『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第275話 心を一つに

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週刊少年マガジン 2018年 33号[2018年7月18日発売] [雑誌]

第275話 心を一つに

  • 「全ての責任は俺にある……」「…だから俺を ――――壊せ」
    ゴウセルは言った。
  • 「魔神族<十戒ゴウセル……」
    彼の姿を見て、マエルは呆然と呟く。
    「そうか…… お前が―――」
  • ゴウセル!! 自分が何を言っているのか わかってるのか!?」
    驚き咎めたキングに、ゴウセルは寂しげな微笑みを見せた。
    「…これで いいんだ」
  • 直後、彼の腹にマエルの飛び膝蹴りが炸裂していた。
    その威力は甚大で、十数メートル諸共に飛んで背から めり込んだ観客席は割れ砕け、観客席最上部にいたホークを巻き込み、石屑となって雪崩落ちていく。
    ◆ここ、キングは自分の顔を両腕で覆って瓦礫から身を守ってる(目を塞いでいる)んですが、守護獣ガーディアンは振り向いて、客席に激突したゴウセルとマエルを「目で追って」います。
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    これ、どう思います?
    守護獣ガーディアンはキングの完全操作ではなく、ある程度 自律して敵の動きに反応できるんでしょうか。
    それとも、実はキングと守護獣ガーディアンの視界は同調していて、キング本体が目を塞いでいても、守護獣ガーディアンの目を通して敵の動きを追えている、ってコトなんでしょうか。
  • 「お前は―― 尊敬するリュドシエルを敵と憎ませ 不浄の魔神メリオダスを兄と慕わせ」「私から恩寵も正義も奪った」
    マエルは乱暴にゴウセルの顔を鷲掴み、その瞳を覗き込んだ。
    彼自身の瞳は、右に女神紋・左に魔神の闇の現れたオッドアイと化している。
    「許されざる罪です…!!」
  • 顔を掴んだまま、手のひらからキラキラしい衝撃弾を発した。まさに人形のように手足をひらつかせて飛んだゴウセルは、橋で繋がった天空宮の対岸、女神の座像で飾られた塔に激突したのである。
  • 「ゴウセーーーーール!!」
    横殴りの瓦礫の雨から身を庇いながらキングが叫んだ。
  • ゴウセルは大の字に瓦礫の上に横たわっている。
    ドゴッ
    その腹の上に、高空から両足を揃えたマエルが飛び降り踏みフット・スタンプした。
  • 「<十戒ゴウセル… 死をもって償う前に お前は私の問いに答えねばなりません なぜ こんな真似を? …なぜ私でなくてはならなかったのです?」
    静かに尋ねる。
  • 踏まれた腹から破砕音を鳴らしながら、横たわるゴウセルは答えた。
    「聖戦の発端は魔神族と女神族の力の均衡パワーバランスの崩壊…」「原因はメリオダスが魔神族を裏切り女神族側についたことだった……」
    トレードマークの眼鏡は どこへ飛んだか失われ、右目は眼球が飛び出して顔の横に転がっている。
    「そこで メリオダスに匹敵する力を持つ戦士を 逆に魔神族側に引き込み 崩れた均衡を正したんだ」
  • 静かに見下ろす男に「お前だよマエル…」と語りかけた。
  • 「女神族は お前マエルを失い 魔神族は お前エスタロッサを得ることで両者の力の均衡パワーバランスは保たれた でも一度始まった聖戦は もう止まらず―――――…」「結果 確実な勝利を逃し 長引く戦で 被害が致命的なものになる前に女神族は常闇の棺の発動に踏み切らざるをえなくなった」
    「…そして聖戦は終結した」
  • ゴウセルは未だ『魔法の心臓』を握りしめている。それごと容赦なく、マエルはゴウセルの右手を左足で踏み砕いた。
    ボキッと耳を塞ぎたくなる音を立てて、指が折れ右手のひらと手首は砕けて、握られていた『心臓』も半分へしゃげている。
  • 「聖戦の終結? その大義名分のために」「私に これほどの苦痛と屈辱を与えたと……?」
    『心臓』をも踏んだのは、危険な魔法具マジックアイテムである可能性を考慮したものか。あるいは、ゴウセルの「大切なもの」と見たからこそ破壊したのか。
    「ならば お前にも せめて私の受けた千分の一の苦痛と屈辱を与え――…」
    ハッとマエルの目が見開かれた。皮一枚を残して折れたゴウセルの右手首の断面が、ぽっかりと空洞になっているのに気づいたからだ。
  • 「お前の その身体は…!?」
    気味悪そうに跳び退ったマエルに、横たわったままゴウセルは答えた。
    「俺は魔術士ゴウセルに作られた…人形だよ けど ゴウセルは禁呪を使った反動で命を――」
    みなまで言えず、首を片手で掴まれ吊り上げられる。
  • 憤怒のマエルが、ゴウセルの顔を覗き込んで凄みをきかせた。
    「ふざけるな… 痛みも苦しみも知らぬ人形に どう復讐しろと?」「この私を どれほど侮辱するつもりですか…!?」
    消えていたはずの闇が、彼の内で うごめく気配がある。
  • ドンッ
    刹那の後、マエルはゴウセルの前から吹っ飛んでいた。
    ガァン
    真・霊槍第二形態「守護獣ガーディアン」が、マエルを殴打したのだ。
  • 既に大穴を二つ開けていた女神の座像を乗せた塔は、この打撃で ついに二つに折れ、倒れてしまった。
  • 土煙の中からゴウセルは立ち上がる。
    「ダメだ キング…」「お前を巻き込みたくない」
  • 「仕方ないだろ 天空ここにはオイラ一人しかいないんだからさ…」
    キングは言った。戦いの際の冷徹な表情かおで。
    七つの大罪>七つの掟 その四」「「仲間の危機は団員一丸 全力で助ける」…だろ」
  • 罪人ゴウセルの仲間か ……丁度いい」
    キングの背後でマエルが右腕を振りかぶっていた。
    「体に痛みを感じぬなら 心に痛みを与えてやるまでです…………」
  • 「やめ…」
    顔色を変えるゴウセル
  • 「…お前に仮初めでも心が存在することを強く願いますよ」
    静かな顔でゴウセルの様子を確かめながら、マエルはキングの頭めがけ裏拳を振り下ろした。
  • ゴッ
  • キングの頭はスイカのように容易く砕け散った…そのつもりだったに違いない。打撃インパクの瞬間にキングの指先が細やかに動いたことなど、意にも介さなかったのだろう。
  • 「!」
    だが、マエルの腕は守護獣ガーディアンに阻まれていた。逞しい豹紋の腕に己を庇わせたキングは、すかさず新たな印を結ぶ。
    飛び回る蜂バンブルビー
    ほどけた守護獣ガーディアン刃の群れインクリースとなってマエルを取り巻き、襲い掛かった。
  • しばし天空で渦巻いた刃の中から、やがてキラキラしく光が瞬き、発射された一条の光。
    “救済の矢”
    揃えた両手を突き出して、その光の矢を撃ち放ったのはマエル。
    それはキングの右上腕部を貫通した。
  • 「ぐああああ~~~っ!!!」
    仰のけざまに吹っ飛んで地面をバウンドし、キングは絶叫した。
  • 「キング!!」
    ゴウセルは慄く。キングがこれほどの苦鳴を上げたことがあっただろうか。
  • マエルを取り巻いていた刃の群れインクリースが、一斉に散らばり落ちて消え去った。
  • 「“救済の矢”は魔神族には苦しみを一切与えず 死へ導く 救いの力」
    静かにマエルは語る。
    「あ……あああ」
    「キング!! キング!!」
    右腕を押さえ身を丸めて起き上がれないでいるキングと、彼に駆け寄るゴウセルを天空から見下ろしながら。
    「しかし それ以外の者が受ければ耐え難い苦痛をもたらします ……可哀想に…」
    ◆狙ってキングに当てたくせに―。
  • 「それなら俺を壊せ!!」
    ゴウセルがキングの前で両腕を広げた。
    「キングには なんの罪もない!! ……お願いだ!!」
  • 「ぐ…」
    右腕を下にうつ伏せ、キングは苦痛に呻いている。
  • 「うん… その反応ですよ…」「そうでなくては復讐のしがいがありません……」
    神像めいた無表情のまま、マエルは うっすらと満足の色を見せた。
  • その時。
    うつ伏せたキングが、左手で素早く印を結んだのだ。
  • 目を見開いたマエルは、ハッと頭上を振り仰いだ。
  • 真・霊槍シャスティフォル 第一形態「霊槍シャスティフォル
  • マエルの頭上に、穂先を下に向けて巨大槍が現出している。
  • バッ、とキングが左手先を振り下ろすや、
    “裁きの槍”!!!
    光輝と化した巨大槍が垂直落下、マエルに激突した。
  • 「ああ!!」
    思わず、うろたえた悲鳴をあげるタルミエル。
  • だが巨大槍はマエルを押し潰しも貫きもしていなかった。掲げた右手一本、それだけで眉一つ動かさず受け止めている。
    「お前が抵抗すればするほどゴウセルは長く苦しめる… その調子です 妖精」
  • 「オイラは…妖精王だ…!!」
    立ち上がったキングは、歯を食いしばり、槍を操作する左手に力を込め続けた。
    「ナメ…るな!!」
    ◆グロキシニアとドロール以外の<十戒>連中は、キングが当代の妖精王だと認識してなかった、もしくは重視してなかったんでしょうね…。
    もしかして<四大天使>も ここで初めて知ったのかしら。「<七つの大罪>の団員」としか認識してなかったのかも。聖戦開始時の作戦会議にも参加させてもらえてなかったし。

  • 出力増す巨大槍と、それを片手で受け止め続けるマエル。
    より苛烈に向かう争いをタルミエルとサリエルが見ている。
  • 妖精王あのコ… マエルに なんて真似を!!」
    憤慨したタルミエルに、サリエルが呼びかけた。
    「タルミエル 僕らも行こう」
    「ええ!! マエルに加勢しなきゃ~」
    タルミエルは勇んで左腕を振り上げたが。
  • 「そうじゃない!! <七つの大罪>の加勢だ!!」
    「!!?」
    タルミエルはサリエルと同じ高さに舞い上がった。
    「しょ… 正気~~~~? マエルをエスタロッサに仕立てた張本人はゴウセルでしょ~~?」「その罪人ゴウセルを あの妖精王は庇いだてしているのに~~!?」
  • 一方、デリエリは無言で離れ、気絶したままのエリザベスに歩み寄っていた。
  • 「エリザベスちゃん…!!」
    その様子を階段状の観客席最上部から見るホーク。つい今まで瓦礫の下に埋もれていたが、やっと這い出せたのだ。
  • 続けてタルミエルは訴える。
    「何よりマエルは私たちの大事な同胞なかまなのに…」
    「ああ そうさ」
    サリエルは同意した。
  • 「太陽」の恩寵こそ失ってはいるけど <四大天使>であることに目醒めた今」「自分を暴走させていた戒禁の力を ほぼ完全に制御し 使いこなしている 最強の<四大天使>だからこそできる芸当だよ」
    サリエルは腕組みして見つめ続けている。キングと戦うマエルの姿を。
    「…でも結局 女神族ぼくらとは相反あいはんする闇の力だ ――…感じないか?」「力を行使する度に彼の心が闇に蝕まれていくのが――――」
    純白だったマエルの二対四枚の翼、その左半分の二枚が、インクを紙に落としたように、じわじわと黒く染まっていきつつあるのを。
  • 「じゃあ… じゃあどうするの~!? 私はと同胞なかましてマエルとは戦えません~~!!!」
    惑乱するタルミエルを正面に見据えて、サリエルは強く言ったのだ。
    「救うんだ… 同胞なかまとして」

  • キングとマエルの力比べは続いている。
    諦めず巨大槍に力を込め続けるキング。余裕で受け止めていながら、じわじわと片翼を闇に蝕まれていくマエル。
  • 「キング もういい お前の気持ちだけで十分だ!!」
    後ろからゴウセルが訴えた。
    「俺一人が死ねば それで済むはずだ!! だからキング… 頼む」「俺は もう二度と… 大切なものを失いたくないんだ!!」
    ◆キングのこと、失いたくない「大切なひと」の一人だと思ってくれているんですね。
  • キングが ぼやくように呟いた。
    「まったく…………」
    彼の左手が素早く動く。力を込め続けていた今までとは異なる形に。
  • 受け止めていた巨大槍が唐突にほどけ消えた。虚を突かれたマエルは背後から大衝撃を受ける。
    カン
    巨大槍から変化した守護獣ガーディアンが、マエルを天高く殴り上げて彼方に吹っ飛ばしたのだった。
  • 「ハア… ハア…」
    しばし荒い息を吐き、息を整えたキングはゴウセルに顔を向けた。
    「大切な誰かを失う悲しみを知ってるなら」「簡単に死ぬなんて言うなよ……!!」
    未だ痛みを残した顔で、それでもしっかりと微笑んでみせる。
  • 「…いいね ゴウセル
    言い聞かせると、ゴウセルの残った左目に涙がにじんだ。
    「………ごめん」
    流れ落ちる前に拭った彼を、キングが優しく見つめている。
    ◆厳しくも優しく言い聞かせる感じ、キングさん、パパみがあるなあ。
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    3000年前、術士ゴウセルと人形ゴウセルに「道に迷う彼(人形ゴウセル)を導いてやってくれないか」「お願い、ボクを正しい方向に導いて」とディアンヌが頼まれて以来、キング&ディアンヌ夫妻は、ゴウセルの友人であると同時に、彼を導く 疑似両親的な立場にあるなぁと、勝手に、けれど常々 感じています。
    シェイクスピアの『夏の夜の夢』で、オベロン&ティターニア夫妻が、インドの王の幼い息子(美少年)を育てていたエピソードを思わせる感じで。
  • 直後、キラキラしい光の柱が降り注いで守護獣ガーディアンを貫きほどいた。
    「「!!!」」
    咄嗟にキングを抱きしめて庇うゴウセル
  • 頭上にマエルが飛び戻ってきていた。
    「なかなか楽しめる」「次は二人で来なさい…!!」
  • キングとゴウセルが表情を引き締めたとき、
    「いいや 四人だ!!」
    サリエルが叫び、タルミエルを引き連れて飛んできたではないか。
  • サリエル…… タルミエル!!」
    マエルが僅かに眉根を寄せた。
  • それぞれ印を結んで身構えたサリエルとタルミエル。神器シャスティフォル刃の群れインクリースに変化させるキング。そして印を結んで、ついに戦う姿勢をとったゴウセル
  • キングの右腕からは未だ血が滴り落ち、ゴウセルの右目は失われ、折れ千切れた右手首は皮一枚で繋がって ぶらぶらしている。
    ◆現状、ゴウセルは右目と右手首を損ない、マエルは左目と左翼が闇に蝕まれています。損なわれた部位が左右対称のようになってる。これ、何か意味があるのかな?
  • 片翼二枚を闇に染めたマエルが ゆっくりと両腕を広げ、四体対一の戦いが始まった。
  • 次回「悲しき一撃」

次回サブタイトルは「悲しき一撃」。

素直に考えるなら、狂えるマエルに やむなく致命的な一撃を与えるとか、エリザベスやゴウセルが致命的な一撃を受けてしまうとか、そういう方向なんでしょうけども。

パッと見て、アーサー王伝説群のエピソードの一つが頭に浮かびました。

 

アーサー王に仕えた破戒の騎士ベイリン(バリン)は、戦場で「姿の見えない騎士ガーロン」が仲間を殺すことを恨む。ガーロンは聖杯城の主・ペラム王(漁夫王 / 不具王 / 聖杯王)の弟で、聖杯城では武器の携帯が禁じられている。しかしベイリンは隠し持った武器でガーロンを殺す。怒ったペラム王との戦いの際、ベイリンは城にあった王の聖槍で王自身を刺した。途端に聖杯城は崩れ落ち、ペラム王は癒えぬ傷を得て、彼の王国は不毛と化した。

この破戒の一撃を「悲しき一撃(嘆きの一撃 / 災いの一撃)」と呼ぶ…ってやつ。

 

七つの大罪』における聖杯王はキングだと勝手に思っているので、思わず「キングが大怪我するの?」とズレた想像しちゃいました(苦笑)。

 

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ゴウセルの思惑 

 

 

なぜマエルをエスタロッサに仕立てた? という問いへの人形ゴウセルの回答は、以下でした。

「聖戦の発端は魔神族と女神族の力の均衡パワーバランスの崩壊…」「原因はメリオダスが魔神族を裏切り女神族側についたことだった……」

「そこで メリオダスに匹敵する力を持つ戦士を 逆に魔神族側に引き込み 崩れた均衡を正したんだ」「お前だよマエル…」

「女神族は お前マエルを失い 魔神族は お前エスタロッサを得ることで両者の力の均衡パワーバランスは保たれた でも一度始まった聖戦は もう止まらず―――――…」「結果 確実な勝利を逃し 長引く戦で 被害が致命的なものになる前に女神族は常闇の棺の発動に踏み切らざるをえなくなった」

「…そして聖戦は終結した」

目的は力の均衡パワーバランスを元に戻すこと」だったが、「予想外に常闇の棺が使われてしまった」と解釈できる説明です。

でも、おかしいですよね。

だって第273話の人形ゴウセル自身の回想で、術士ゴウセルが明言していたからです、「常闇の棺を使わせることが目的」だと。

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 「この禁呪が成功すれば女神族は常闇の棺を使わざるをえなくなる」

 

この期に及んで、人形ゴウセルは微妙な嘘をついています。

なんのために?

…保身のためでしょうね。

責任は俺にある・俺を壊せと覚悟を見せながらも、全てをさらすことはできていない。どこかで自分と術士ゴウセルの尊厳を守りたがり、僅かにでも罪を軽減しようとしている。

 

そもそも人形ゴウセルは、記憶を取り戻した時点で 本件を把握していたはずです。

しかし誰にも言わなかった。

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「ごめんなさい…」「今は まだ話せない」「話していいのか わからない」「話しても納得してくれるか わからない…」

と言い訳して。(第220話)

 

新聖戦が始まって、女神族たちが「作られた記憶による誤った復讐心」をたぎらせているのを見ても、何も言わなかった。

エスタロッサとサリエル&タルミエルが、本来しなくていいはずの凄惨な殺し合いをしていてさえ、端っこで憂い顔して思わせぶりなことを呟くばかりで、止めはしなかった。

 

それら全て、保身ですよね。

本当のことを言って、軽蔑されたり憎まれたりするのが怖かったんでしょう。

彼は人形だけれど、とても人間的ですね。 

 

 

 

前回のラストで、ゴウセルが思わせぶりに「魔法の心臓」を握りしめていたので、何か仕掛けがあるのかなと勘ぐってたのに、アッサリ破壊されちゃいました。

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あれれ?(^^;)

 

じゃあ、魔法の心臓を握っていたのは、罪を告白する勇気を出すための「お守り」みたいな意味に過ぎなかったのかな。

 

たとえばバンは、養父ジバゴが落としていった上着をずっと大事に着続けていました。お守りみたいなものだったんでしょう。上着は赤き魔神と戦った際に失われましたが、代わるように、新たな「大切なひと」であるエレインを得た。

同じように、父親たる術士ゴウセルに与えられた魔法の心臓を、ゴウセルは お守り代わりにしていた。それは破壊されたけれども、キングら新たな「大切なひと」がいたから大丈夫でしたよ。……と、見ることも可能ですかね?

そう思ってみると、ゴウセルへのキングの向き合い方が どこか「父親的」に思えるのも示唆的に感じられてきて面白い。(妄想はなはだしくてすみません。)

 

 

とはいえ

気になるのは、第254話で、修理中のゴウセルがマーリンにした「お願い」です。

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マーリンが

「正気か…? それが お前の望みだと?」「…いつぞや お前が酒席で言いかけた――<十戒ゴウセルが聖戦を終わらせた――という話と関係があるのか?」

と言っていたので、今回の件に関わるはず。

私てっきり、ゴウセル または魔法の心臓が破壊されることで、何かの術が発動する仕掛けを「お願い」したのかと思っていました。

それで今回、強いて「俺を壊せ」とマエルに迫ったのかな、ゴウセルが破壊された瞬間に何かが起こって、マエルが浄化か何かされる手筈かなと。

 

でも今話の流れを見る限り、そうではなかったようですね。

「簡単に死ぬなんて言うな」「ごめん」って真剣にやってるし。

 

 

 

 

だけど皆さん、思いませんでしたか。

ゴウセル

「万が一の場合は俺が止める この命に代えて」

と言い、

「全ての責任は俺にある……」「…だから俺を――――壊せ」

だの、

「俺一人が死ねば それで済むはずだ!!」

だのと決死の覚悟を叫んでいましたが。

ゴウセル、死なないですよね。ほぼ不死だもん。

 

私、チャンドラー戦でゴウセルが「絶対強制命令アブソリュートオーダー」に逆らって壊れた時、二度と復活しないとまでは思いませんでしたが、直るまでには相当の時間や手間がかかるんだろうなと思ってたんですよ。

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だってゴウセルが「絶対強制命令アブソリュートオーダー」に逆らうのに かなり躊躇して、死(壊れること)を大いに恐れている風に描かれてましたから。

 

ところが。

なんと、作中時間にして たったの半日で、あっさり直ってた。

あんなに躊躇して、仲間のために決死の行動、と盛り上げておいて、半日で直る程度でしかなかったのかい!

アホくさ!

 

あのエピソード以来、ゴウセルが「壊れる」と言っても深刻に心配する気はなくなりました。

 

今回の件も、もしマエルに粉々に破壊されていたとしても、マーリンがあっさり修理したんだろうなと思っています。(だからこそ、自分を破壊させることで発動する何かを仕掛けてるのではと疑ってました。)

加えて言えば、マエルも述べた通り、人形たるゴウセルに痛覚はないので、どんなに壊されても肉体的な苦痛はないんですよね。

マエルに撃たれたキングが絶叫して のたうち回ったのとは大違い。

 

…ただ、痛みがないから・罪を犯したからと言って、仲間が執拗・過度に痛めつけられ続けているのを見るのは辛いことだから、キングが護りに出てしまった気持ちも、よく解ります。

何より、懐に入れた者(大切なもの)は護らずにいられないのが「ハーレクイン」のキャラクター性でもありますし。  

 

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マエルは「やっつけるべき悪」か? ゴウセルは「可哀想」か?

 

 

今回、ゴウセルを苦しめるマエルをやっつけよう! 的な流れになっていて、気になりました。

だって、この件に関して、被害者は間違いなくマエルだからです。

彼が激怒するのも、ゴウセルが殴られるのも当然だと思います。

 

勿論、私はゴウセルが好きです。ずっと味方キャラとして応援してきましたから。

彼がマエルに痛めつけられた場面は可哀想で見ていられなかったし、マエルに殺されればいいとは全く思っていません。

また、人形ゴウセルは主犯ではなく、3000年前は物事を知らぬ子供で、親(術士ゴウセル)の言いなりに動いただけなのだから、情状酌量はされて然るべきだとも思います。

 

…それでも人形ゴウセルが無罪だとは とても言えませんし、何より、やったことが あまりにも酷過ぎる。記憶を取り戻した後も土壇場まで黙秘していたのも、褒められたことではないです。

 

それが、「闇に蝕まれたマエルを止める」という大義名分で、(ゴウセル含む)大勢で寄ってたかってマエルをボコる展開になっちゃって。

立場の違うキャラたちの共闘は大いに燃える展開なんですが、同時に、これいいのかな…?(汗)という気分にもなりました。

 

「復讐に囚われるのは いけないことだ、ゴウセルを許しなさい」と説教したり、エリザベスのピカ~で浄化洗脳してゴウセルへの怒りを「無かったこと」にされたりしたらどうしよう。(^^;)

 

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救済の矢のこと

 

 

マエルが新たに見せた技「救済の矢」が興味深かった。

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「“救済の矢”は魔神族には苦しみを一切与えず 死へ導く 救いの力」

「しかし それ以外の者が受ければ耐え難い苦痛をもたらします ……可哀想に…」

「誰も苦しめたくない」という生来のマエルの優しさと、「魔神族を殺すのは彼らの魂を救う正義」というリュドシエルの教えが混じり合って発現した技なんでしょうね。

歪んでいるけど、紛れもなく「魔神族への慈悲」でもある。

 

魔神族には一切の苦痛を与えないのと引き換えのように、それ以外の種族には耐えがたい苦痛をもたらすというのも面白い。

それを知っていたってことは、マエルさん、うっかり魔神族以外に当てちゃったことがあるのかしら(苦笑)。

 

 

 

 

この技を見て、ギリシア神話アポロン&アルテミス兄妹を思い出しました。

アポロンは、太陽・光明(理知 / 文明 / 理性の光)・生命(医療)・音楽や芸術などを司る神として知られていますが、太陽(生命)神であるということは、同時に冥界神であるというコトでもあります。太陽は昼に天空を渡り、夜は海に降りて闇の大河を渡って、青銅の大門を通って冥界に座すと考えられていました。そこでは太陽神は人食いの魔神です。(冥界=魂を食らう怪物のイメージから。イギリスの民間伝承ですが『ジャックと豆の木』で人食い巨人が天空の宮殿に住んで黄金の卵を産む鶏を持っているのは、彼が太陽神だからです。)

 

医療と生命を司るとされたアポロンは、同時に、その見えざる黄金の矢で大勢の人々を射殺す疫病神であるとも考えられており、妹のアルテミスも兄と同様に、見えざる矢で無数の女たちを殺す疫病神と見做されていました。

概ね、男はアポロンが、女はアルテミスが射殺すと考えられていたようです。(疫病で死んだ者ばかりでなく、何かの疾患で急死した者を、この兄妹神に射られたと見做していたようです。)

一説に、これら死の矢は「恐ろしい痛みが籠る」とされています。

 

アポロンが疫病神(死)である半面で医療神(生)であるように、アルテミスも女性や子供の守護神(生命、繁殖、豊穣をもたらす者)であり、産褥の床で苦しむ妊婦を矢で射て安らかな死を与えるともされていました。

 

「矢で射殺す」神。多数を容赦なく殺す無慈悲さと、安らかな死を与える慈悲とが同居している。

マエルの「救済の矢」と似ているかもなあ、などと思ったのでした。 

 

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今回、思いがけずキングが活躍して、印象的な台詞の見せ場まであって、嬉しかったです。

 

臆さずマエルに立ち向かうキング。

とは言え、彼の攻撃は例のごとく効かないし、マエルに片手で楽々受け止められちゃってる。

ところが、おや? と思うことが。タルミエルがキングの攻撃を見て「ああ!!」と慌て、「マエルに なんて真似を!!」と憤慨し、「マエルに加勢しなきゃ~」とまで口にしたからです。

 

キングの攻撃が蚊ほども効かないモノなら、怒りも加勢もする必要ないですよね?

タルミエルはキングの「裁きの槍」を、マエルを そこそこ危険にさらす攻撃だと判断したらしい。

 

また、平然と受け止めているマエルも、次第に片翼が闇に浸食されていて、キングの攻撃を受け止めるために、それなりの力を消費しているらしい。

 

現在のキングの公表闘級は4万1600。

タルミエルやサリエルは恐らく8~9万で、マエルは10~14万くらいでしょうか。

大人と子供以上の差があり、この数値を見る限り、キングの攻撃ごときでタルミエルが憤慨するのは奇妙です。

 

…もしかして、キングの闘級が以前より上がってきてるのかな?

そろそろ羽がもう一段回くらい成長するのかもしれませんね。

 

 

俺一人が死ねば それで済む、二度と大切なものを失いたくないと訴えるゴウセルにキングが言った台詞。

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「大切な誰かを失う悲しみを知ってるなら」「簡単に死ぬなんて言うなよ……!!」

カッコい~い!

 

ここでゴウセルが言った「大切なもの」とは、父である術士ゴウセルと恋人のナージャ姫、二人のことでしょう。

キングは勿論それを知っていますが(だから「魔法の心臓」をペンダントに加工してあげた)、それとは別に、この言葉には彼自身の思いも重ねられているのかなと思いました。

 

だって

「自分の罪だから、自分一人が責任をとって殺されれば済む」

というのは、城塞都市コランドでキングを庇って消滅したヘルブラムが掲げた理屈と、そっくり同じだからです。

 

あの時キングは、ヘルブラムの消滅を見ているしかできませんでした。

その経験があるからこそ、いっそう、自分の命で罪をあがなおうとしたゴウセルを放っておけなかったのではないでしょうか。

 

大切な誰かを失う悲しみを知っているなら簡単に死ぬなんて言うな。それは、遺された者が いかに悲しいかという指摘。

ゴウセルが死んだらキングは悲しい、と言っている。

ヘルブラムが消滅して本当に悲しかったからこそだと思います。

 

 

 

 

 

 

……でも私、自己犠牲で責任を取ろうというヘルブラムやゴウセルの決断は悲しいけど、まだ感情移入はしやすいと感じています。したことを重く受け止め、自分で最大限に責任を取ろうという誠実さがある気がするからです。

素知らぬ顔で無かったように振る舞ったり、仕方なかったんだと可哀想ぶったり、周囲に「この人は悪くない」と庇われてナアナアに甘んじるのよりは、よほどいい。

 

 

 

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