『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第317話 傲慢なる決意

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週刊少年マガジン 2019年 31号[2019年7月3日発売] [雑誌]

第317話 傲慢なる決意

  • 「受けてみよ~~~~!!」
    貧相な中年男エスカノールは叫びをあげた。
    「聖剣エスカノ~~ル!!」
    革の鎧に革の盾、おもちゃのような短剣を振り上げて真正面からインデュラ幼体へと突進していく。
  • 静観していた幼体は、無造作に伸ばした舌を振るった。
  • ドッ
    「はうっ」
    構えていた盾ごと、ばっくりと肩が割れる。
  • 「くそ…!!」
    血しぶきをあげて のけ反るエスカノールを前にギルサンダーが悪態をついた。
    「“雷帝の鉄槌”!!!」
    剣を掲げ、魔力の雷をインデュラ幼体に落とす。
  • しかし何らダメージを与え得ていない。
  • 「かは…」
    むしろギルサンダーこそが力を使い果たして両膝をついて うつ伏せ、幼体は ギロ… と目を向けて舌を鞭のように伸ばした。
  • バスッ
  • 舌を阻んだのは革の盾だ。
    「あなたの相手は… この僕です…!!」
    血と冷や汗に濡れた顔を しかめたエスカノールが告げる。
    既に ぱっくりと割れ目が開いていた盾は、今も焼け石に水ほどの役にしか立っていなかった。盾を突き通した舌はエスカノールの右肩をも貫通している。
  • 無造作に舌が引き戻され、肩紐の千切れた胸革鎧が散らばった。エスカノールは のけ反りながらも くずおれない。
  • 「!!」
    どうにか顔を上げたギルサンダーの目に滲む涙。
  • 「なんで あの人 …俺たちよか酷ぇ傷で…」
    倒れたままのハウザー、
    「立ち上がれるんだ…!?」
    そしてグリアモールが呟く。
  • 「フ…… フフ…」
    ゴホッ、と小さく血に むせて、よろめきながらもエスカノールは笑った。
    「…キミたちは団長の本当の一撃を受けたことがありますか?」
  • 「?」「こんな時に …何を…?」
    戸惑うギルサンダーたち。
  • 「…僕はありますよ 本当~~~~~~に死ぬほど痛いです!!」「……当然 受けたのは昼間の… 傲慢な方の僕です… けどね…」
    ハア、ハアと荒い息をついて思い浮かべているのは、廃都コランドでの<十戒>統率者メリオダスとの一戦か。
    「……その痛みだけは決して忘れません…!!」「それに比べれば こんな痛み… 虫に刺された程度のもの……」
    ◆ここの回想イメージ、メリオダスが店長服なうえ刃折れの剣を持っています。あれれ?
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    エスカがメリオダスと本気の死闘をしたのって、廃都コランドでメリオダスが<十戒>統率者時代に記憶退行した際の一戦(第231-232話)を指してるんじゃないの? あの時のメリオダスは、全裸に闇をまとったデビルマンっぽい姿で、剣はロストヴェインだったはず。
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    まさか、コランド以前にメリオダスと真剣に戦った知られざるエピソードがあったのでしょうか?
    …いえいえいえ。メリオダスが<豚の帽子>亭の店長服を着て、かつ刃折れの剣を所持していた時代には、二人は一緒にいたことがありません。ついでに回想のエスカは口ひげを生やしていますから、王国騎士時代でもありません。
    …つまるところ、単なる作画ミス、でいいんかな?
  • 中年男の空元気を悟って嗚咽をこらえるギルサンダー
    「さあ三人共 僕が盾になります!!」
    ハウザーとグリアモールも歯を食いしばって涙をこらえる。
    「這ってでも逃げてください!!!!」
    こうまでしてくれているというのに、這うこともできないのだ、自分たちは。
  • 「ああ…」
    傷だらけのエスカノールは、再び無謀な特攻を行う。
  • インデュラ幼体の舌が鞭のように しなり、中年男を乱打した。
  • 「う゛っ」「ふぐっ」
    何の奇跡か、膝を崩すことすらなく立ったまま耐えていたが。
  • ドサ
  • 「ハア…」「ハ…ア」「あれ…」
    短剣を握っていた右手が、手首から地面に落ちていた。
  • ドッ
  • 舌の乱打の第二波が襲い狂う。もはや盾を構えることもできず、それでも倒れはしないものの、なすがままの滅多切りだ。
  • (格好悪いなぁ… こんな情けない姿を見たら…)(きっと みんなに笑われてしまうだろうなぁ…)
    切り刻まれながらエスカノールは仲間たちの顔を脳裏に浮かべた。
    ◆こんな状況で「格好悪い」「情けない」「笑われる」と考えるエスカノールは、つくづくプライドが高い…と言うと語弊がありますが、『誰よりも強い自分に存在意義を見出していた』んですね。
    ゴウセル、バン、マーリン、キング、デイアンヌ、そしてメリオダス
  • (ちがう)
    浮かぶ顔の誰一人笑っていない。
    (誰も僕を笑わない)
    彼らの静かな、それでいて真剣な まなざしは、どこか叱咤しているようで。
  • (あんな すごい人たちが こんな何も取り柄のない なんの力もない僕のことを仲間と認めてくれる)
    かつての僕も ほんとうの僕も等しく…)
  • 舌撃に盾が吹っ飛ぶ。それを持っていた左腕は肩から切断されて転がった。
  • (みんな本当に強くて本当に優しい)(そんな彼らと肩を並べて戦ってきた)
    (それが僕の誇りなんだ)
  • 左腕は肩から失く、手首までしかない右腕はところどころ肉が削げて骨が見えている。痩せた体は傷だらけで血だるま、表情は もはや茫洋として目が伏せられていた。
    それでも倒れはしないのだ、彼は。
    エスカの状態がエグい……。欠損も傷も容易く完全治癒する、その意味で犠牲や命の価値が羽のように軽い漫画とはいえ。
  • (みんなと一緒に戦った証はここにある)(だから心だけでも最期まで みんなと共にありたい)
    血で濡れた棒杭のようになりながら、うっすらと目を開ける。
    「僕は…………<七つの大罪>………っ」「<傲慢の罪ライオン・シンエスカノール……だ………」
  • 必死に起き上がろうとしながら果たせず、涙するギルサンダー、ハウザー、グリアモール。
    「や…」「めろ…」
  • 若者たちが見ている前で、伝説は無情に幕を下ろされようとしている。
    インデュラ幼体は間近に進み、仕上げとばかりに巨大すぎる口を がぱっと開けたのだ。棒杭のエスカノールは立ち尽くすのみ。
  • ボウッ
  • 人々の期待通りの奇跡が起きた。
    突如 光に呑まれたインデュラ幼体は、一瞬で消し炭と化して崩れ散った。
  • 立ったまま気を失っていたエスカノールの額に、ひたりと人差し指が押し当てられ、唱える声がする。
    「“健やかなれ”…」
  • キラキラしい光が生じて白い羽毛のように舞い散ると、エスカノールの傷は全て消え失せ、何事もなかったかのように目を開けていた。
  • 同時に わんぱく三人組も光に包まれ、目を瞬いた間に傷が完全に消える。
  • エスカノール… 祈りは たしかに届きましたよ…」
  • 元通りになった両腕を確かめていたエスカノールは、その声に顔を向けた。
  • 「この<四大天使>マエル 力をお貸しします」
    白銀の長髪に純白の四翼、女神族の文様トリスケルの浮かんだ瞳と柔和な微笑み。思った通りの男の姿が そこにあった。
  • 「こ…これが<四大天使>!!」「あ…あんな化け物を たった一瞬で……!!」
    <四大天使>と戦場を同じくした経験がなかったグリアモールは目を丸くして感嘆し、心強い援軍の登場にハウザーは「っしゃあ!!」と笑顔でガッツポーズを決める。
  • 「マエルさん! 本当に来てくれたんですね」
    両腕を広げて迎えたエスカノールの前で、マエルの歯切れは悪かった。
    「……あなたの期待に応えられるかどうか」
    「この地上に迫り来る危機から人々を救うためなら喜んで尽力しましょう……」「しかし魔神王と戦うとなれば話は別―――― 私には無理です」
  • 「あ… あの…」
    広げた両腕を降ろして戸惑うエスカノール。
  • 「<四大天使>が聞いて呆れるでしょう …ですが それほどに魔神王は強大なのです…」
  • 「ちがいますよマエルさん!」
    エスカノールは困った様子で左手首をパタパタ振って遮った。
  • 「え?」
  • 「僕は決してあなたを誰かと戦わせるために呼んだんじゃありませんから」
  • 「?」「で…では一体――」
    ニコニコ笑うエスカノールに、今度はマエルの方が戸惑う。
  • エスカノールは告げた。
    「僕に「太陽サンシャイン」の魔力ちからを返してもらえませんか!?」
  • 「「「!!?」」」
    顔を見合わせる わんぱく三人組。
  • 「…………」
    マエルは目線を彷徨わせた。気まずげに。
    エスカノール… あなた自身が よく わかっているはずだ」
  • 「え… ええ もちろん 力を戻したとして魔神王に対抗できるかどうかはわかりません」
  • 「そうじゃない…!!」
    マエルは拳を握った。言いにくいことを言う勇気を出すために。
    「あなたの身体は「太陽サンシャイン」の恩寵による負荷で もう限界だ」「戦えても… あと一度きり」
    「…その後 あなたは確実に…」「死ぬ」
  • 「「「………!!!」」」
    わんぱく三人組が息を呑んだ。
  • 「命を無駄に捨てることになります!」
    深刻な顔でマエルは諭す。人間族の命と身体は特に脆いものなのだから。
  • 「…それでも かまいません」
    ところがエスカノールはカラリと笑ったのだ。意外さに、マエルが言葉を失ったほど明るく。
  • エスカノール殿… そんな!!」
    前に出て言い募ろうとしたギルサンダー「ギル!」とグリアモールが制した。
  • 「…僕は命を捨てるんじゃない」「<七つの大罪たいせつな なかま>のために賭けるんです…」
    「彼らが誰かのために命を賭けて戦うならば」「僕は彼らのために命を賭けて戦いたい!!」
  • 握りしめられていたマエルの拳が開かれた。痩せた中年男を見つめ、おもむろに、開いた右手を差し出す。
  • 「マエルさん…」
    エスカノールも細い手を伸ばして彼の大きな手を握った。互いにグッと力を込めて握手を交わす。
  • 「…まだ 正午まで時間があります」
    微笑んだマエルの全身から甲高い震動音を微かに響かせながら眩い光が滲み出し、
    「…そうですね」
    微笑み返したエスカノールの全身を包んでいく。
  • 次の瞬間、エスカノールの手が筋骨盛り上がってマエルの手を包むほどに膨れ上がった。
  • 次回「混迷の戦況」

エスカノールに「太陽サンシャイン」が返され戦線に復帰する。第297話の「貸してあげましょう!!!」の時点で約束された展開だったと言えます。

ただ、エスカの両腕欠損が過剰にエグい…。

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ひえぇええ~…。ここまでする必要あったんかな(汗)。

加えて、欠損した両腕を含めた全ての怪我を、マエルが指一本で『無かったことにリセット』しちゃう。

結果として、エスカノールの自己犠牲の価値が減少…強いて言えば茶番化したようにも感じました。死ぬ覚悟で人を庇った? 両腕を切り落とされた? 大したことじゃないよ、すぐ『無かったこと』にできる程度のコトじゃん、…と。

 

こうなっちゃうと、エスカの自己犠牲も、半分は「このまま死んで構わない」と本当に思っていたとしても、もう半分は「このくらい自己犠牲アピールすれば、きっとマエルは助けに来る」という打算もあったのかなと思えてくるほどです(苦笑)。

いや、大人ですからね、むしろ そのくらいの打算はあっていいんだけども。

 

 

 

気になった点、ひとつめ。

両腕欠損の瀕死状態すらチョーお手軽に完全治癒できるのに、「太陽の恩寵で損なわれたエスカの健康」だけは回復しないのは何故?

以前質問コーナーで、女神族の治癒術は病気も癒せると語られていました。なのに、どうして恩寵で損なわれた健康だけダメなの?

今までも「エリザベスやマエルらの治癒術では治らないの?」と不思議に思ってましたけど、治癒術で追いつかないほどダメージが大きいのかなと自分を納得させていました。ところが今回、落ちた腕をくっつけることすらせずピカーと光っただけで元通りにしてしまった。(腕が新しく生えたんでしょうか? 落ちた腕が飛び上がって くっついたんでしょうか?)流石に、そんなバカみたいなことが何の代償もなく安易にできるのを見せられちゃうと、そこまでできるのに なんで健康は元に戻らないのさ、と納得し難い思いが膨らみます。

…結局のところ「エスカ死ぬ死ぬ展開で盛り上げたい」がためのメタ的 都合なのでしょうが…。

 

気になった点、ふたつめ。

マエルが「魔神王には敵わないから戦わない」と拒否するのは不自然に感じる。

同レベルの強さとされるエリザベス(しかも初恋の人)が魔神王と対峙しているのに、マエルより遥かに弱いゴウセルディアンヌも参戦しているのに、魔神王メリオダス戦で消えかかりながらも皆を守り切った兄リュドシエルの姿を間近で見ていたというのに、どうして今更、それほどに臆病風に吹かれた発言をするのでしょうか?

マエル独りだけで魔神王を倒す力はなくとも、<大罪>の手助けはできるでしょうに。(治癒術だけでも大きな助力になるハズ。)魔神王メリオダス戦で手も足も出なかったのがトラウマになってしまったのでしょうか。

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なんで? という疑問が真っ先に浮かび、取って付けた拒否に見え、不自然に感じました。

 

…これも、メタ的な都合は透け見えている気がします。エスカノールと<大罪>を活躍させるには、部外者なのに強いマエルは邪魔なんですよね。参戦させるわけにはいかない。

…だからといって「魔神王には敵わないから戦わない」なんて、最高に情けない発言をさせなくてもいいのに…(;´・ω・)。

マエル、魔神王戦への参戦を表明→エスカが参戦しなくていいと止め、恩寵を返してくれと頼む→エスカの訴えに心打たれたマエルは恩寵を返してサポート役に回る

的な流れでも、問題なく話は繋げられたのではと思うんですが…。

 

作者さんにどこまでの意図があったのかは判りませんけど、結果として、エスカをアゲるためにマエルをサゲている。しかもサゲ方が大雑把なので不自然に見える…と私には感じられたので、悲しく残念に思いました。

 

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それはそうと、危機に天界から駆け付けたマエルが敵を一蹴したうえで人々の傷を癒し、全てを承知していて、「人々を救うためなら喜んで尽力しましょう」と申し出た様子を見て、なるほど人間族が女神族 大好きになるわけだわ、と思いました(笑)。

 

人間族は かつての聖戦で女神族率いる<光の聖痕スティグマ>に属し、彼らが姿を消して3000年経っても、墓地や教会に彼らの像を置いて救いや加護を求め、祈りを捧げてきました。

 

この漫画、基本的には「女神族と魔神族は同等に愚悪どっちもどっち」と語っています。

しかし一時期(キング&ディアンヌの過去修行編~新聖戦開始直後の辺り)は「女神族こそ悪、魔神族は可哀想な被害者」という方向に傾いていたこともありました。

女神族は傲慢で偉そう、他種族を駒としてしか見てない、他種族を器として使うので悪い、と。(モデルケース:リュドシエル)

 

…でもやっぱ、女神族と魔神族どっちと仲良くしたいかと問われれば、断然 女神族ですよね~。

利用したいからだ・偉そうだと言ったところで、他種族のために賭けつけて、災いを追い払って、怪我や病気を治してくれてたのには変わりないし。

対して魔神族は、他種族の魂を嗜好品として食べる。食べられた者は転生すらできなくなって完全消滅です。

 

女神族にだって悪い奴はいるだろう、魔神族にだっていい奴もいるだろうと言ったところで、例えるなら、馬と熊のどちらと一つ屋根の下で暮らせるかと言えば、やはり馬だよね、という話。

 

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キャメロット決戦~エピローグ辺りのエスカは、普通の人なら20回は死んでいそうなほど痛めつけられ、なぜ戦うのかと問われれば

「全ては友メリオダスのため」

と答え(第289話)、メリオダスの精神世界では

「あなたメリオダスのためならば この命 喜んで懸けます!!」「だって」「あなたは僕の命の恩人であり友人なんです!!」

と涙ながらに叫んでいました(第304話)。

友達を助けたり恩人に恩を返すのは素晴らしいことだけど、何度も いつまでも瀕死になるレベルで自己犠牲して自分の命と肉体を粗末にして、全てを差し出して、泣きながら『恩人の あなたのためなら喜んで』と叫ぶのは、もはや異様じみていると私には思えたものです。

友情の美談として片付けるには いささか度を超えていて、友人と言いながら大きな上下関係があり、よく言って忠臣的、悪く言うと妄信徒を想起させられてモヤモヤしたものでした。

 

それが今回は、メリオダスだけでなく<大罪>全員のために自己犠牲したいと対象が分散。(「命を賭ける」と表現してますが、今回は確実な死が前提なので、自己犠牲と言い切れるでしょう。)『恩人のメリオダスのために』とも言わなかった。

作者さんの配慮でしょうか? 少しホッとしました。

 

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かつてグロキシニアの神器で串刺しにされた際、瀕死のエスカは

「僕は…死ねない… 死にたく……ない…」

と呟いたものです(第162話)。未だマーリンに愛を伝えていないから死ねないと。

 

ところが、今回のエスカは清々しいほど死ぬ気満々で、死にたくないとは まるで言いません。どうしてでしょうか?

 

アーサーの存在を知って失恋したと思い込み、告白する気持ちがなくなった?

何をしても間もなく寿命が尽きるんだから言っても言わなくても同じ、と諦めの境地に至った?

…実は、物語で語られていないところでマーリンに愛を告げていて、もしくは置手紙などを残していて、もはや心残りがなくなった?

 

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その男、傲慢につき

 

 

第308話、エスカノールは

「また この全員で<七つの大罪>を続けていけるんですよね…?」

と不安を口にしました。

実のところ<大罪>は10年前に離散していて、現在は一時的に再結集した状況。マーリンやキング、ディアンヌにはそれぞれ戻るべき場所・進むべき道があります。メリオダスの結成目的『<十戒>を討つ』は果たしましたし、再結成の理由だった『聖騎士の悪逆から王国を救う』『魔神族の侵攻を止める』も果たされています。

 

それでもエスカノールは<大罪>を続けたがっていた。同じ顔ぶれ・変わらぬ形のままで。メリオダスの魔神王化という どうしようもない事態さえなければ、当然 続けていけると考えていたように見えます。

 

エスカノールは<七つの大罪>が 非常に好きなんだなぁ、永遠を求めるくらいに、と改めて感じました。

勿論、他メンバーも<大罪>の一員であることに誇りと愛着を持っていることが描かれています。でもエスカノールの それは格別に見えます。

それは今回のエスカの発言の端々に一層 現れていたと思いました。

彼の存在意義であり拠り所なんだなあ、と。

 

 

そして、今回もう一つ感じたのは、エスカノールの誇りプライドの高さでした。

(あんな すごい人たちが こんな何も取り柄のない なんの力もない僕のことを仲間と認めてくれる)

(中略)

(そんな彼らと肩を並べて戦ってきた)(それが僕の誇りなんだ)

(中略)

(だから心だけでも最期まで みんなと共にありたい)

「僕は………<七つの大罪>………っ」「<傲慢の罪ライオン・シンエスカノール……だ………」

無残な絵や、執拗な自己卑下や仲間を想う文言に目を取られますが、彼が「凄い人たちと肩を並べ、仲間扱いされる」ことに大いに価値を置いているコトも読み取れませんか。

 

…老いと病の無い妖精族は例外として、巨人族や魔神族ら長命種族であろうとも、いつかは老いて衰えていきます。どれほどの英雄であろうとも。

魔神王ですら若い息子の肉体に移ろうとしたのですから。

 

エスカは「太陽サンシャイン」に耐えきれなくなって手放した、という特殊な状況ではありましたが、既に40歳であり、本人が老兵ロートルと自称した通り、そろそろ第一線の英雄の座から退いておかしくありません。

 

どんな人間にも平等に、それまで立っていた前線から退くときは来る。

しかし、それは無価値になるということではありません。違う形・違う場所での活躍を模索していくものです。

 

今回、エスカがわんぱく三人組の肉の盾になった行動は、少年漫画としては必然なんだろうなと納得しつつも、残念にも思っていました。

エスカは少年ではなく、中年なので。

無謀に突進して肉の盾になるよりは、後方で人々の支援をして役立ったり、前線に出るにしても何かしら知恵や機転を利かせて切り抜けてくれてもよかったのになあ、なんて。(例えば、空間転移魔法入りの呪言の玉を使うとか。)

 

エスカは わんぱく三人組を助けようとした…けれど、実際には、三人は這う余力すら無く逃げることが出来ていませんでした。マエルが来なかったら四人で殺されていただけだったでしょう。

 

でも、エスカは三人組が逃げられたかどうかには あまり頓着していなかったように見えました。(朦朧としていたせいでもあろうけど。)

それで思いました。

三人組を助けたいというのは目的の二番目で、彼の第一の目的は

「英雄として華々しく死ぬ」

ことだったんじゃないか、と。誇りプライドが高いゆえに。

 

太陽サンシャイン」を失い、「凄い人たちなかまたち」と肩を並べて戦うことが出来なくなった、それは彼にとって耐え難い喪失感であり、苦痛だったのかもしれない。

 

 

 

今回の話を読んで、もう一つ気になったことがありました。

現状、<大罪>VS.インデュラや メリ&エリVS.ゼル魔神王は戦力が足りていて、エスカノールの参戦を必要とする危機的状況には思えない。なのに、「(この戦いに勝とうが負けようが、参戦しただけで)確実に死ぬ」エスカが、どうして強いて参戦しなければならないのか?

 

いや、メタ的な理由は解ります。

最終決戦に<大罪>勢ぞろいさせるためですよね。

 

でも悪いけれど、エスカの参戦が何が何でも必要な状況には、今のところ思えないとゆー…。みんな余裕ありありで戦ってるから。

なのに、何でエスカは命を投げうってまで参戦したがるのか。戦場で仲間と肩を並べることの方が大事なのか。

 

よって、思いました。

エスカは、どうせ寿命が尽きるなら

「英雄(<大罪>の一員)として華々しく死にたい」

と思ったのではないかと。誇りプライドの高さゆえに。

 

 

 

 

 

…いや、メインキャラですから死なない可能性が高そうですけども。

死んだとして、最高神か血まみれエリ―あたりが生き返らせるのかもしれませんね。

いっそ、マエルが例の「記憶を保ったまま転生する術」を使い、次世代編でピチピチの若者として再登場…。あはは。

 

 

 

 

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おまけ。

先日『グラクロ』を遊んでいたら、不意にメリオダスが樽の中に入りました。

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可愛かったので記念撮影。

この後、中に入ったまま綺麗に樽を割ってくれました。

流石だ団長!