【感想】『七つの大罪』第247話 回収
週刊少年マガジン 2018年 2・3号[2017年12月13日発売] [雑誌]
第247話 回収
- 両腕を広げたメリオダスは、更に闇の重圧を増していった。
- 「ぬああ…」
「く…ぐ!!」
うつ伏せに床に押し付けられたエスタロッサもゼルドリスも、もはや指一本動かせず、うめくことしかできない。 - 「メリオダスやめて!! これ以上続けたら…」
「……」
エリザベスが肩を掴んで訴えれば、メリオダスは無言のまま闇を解 いた。 - 「ブハッ」
クレーター状に凹んだ床から勢いよく身を起こすと、エスタロッサは天を仰いで哄笑する。
「ハーーッハッハッ ふぬけ呼ばわりしたことは謝る」
口元の汚れをぐいっと拭い、愉快そうにメリオダスに笑いかけた。
「アンタは たしかに あのメリオダスだ」「次期魔神王と噂され <四大天使>すら畏れた 俺の憧れの兄貴だよ!!」 - だが、その視線は兄の背後に一途に注がれている。
(…とはいえ まだ 諦めやしねえがな)
漆黒の瞳にエリザベスを映して、エスタロッサは内心に呟いた。 - 「ふざけるな エスタロッサ兄者が認めても俺は認めんぞ!! 断じて認めん!!」
一方で、ゼルドリスは ようやく身を起こし、憤怒に顔を歪める。
「メリオダス…!! 貴様が魔神王の力を求める理由は所詮」「その女と自分にかけられた呪いを解くためだろう!!」 - 「そうさ…」「そのために お前が
魔神王 から借り受けた魔力を奪いに来たんだ」
メリオダスの顔は冷たく、恥じも悪びれもしない。
「だが 今のでわかった… 正直 当てが外れたぜ」「借り物の魔力を奪ったところで呪いを解く力はねえ」
◆ええ…。なにその しょんぼりな設定変更。
にしても、一方的に奪いに来といて「当てが外れたぜ」って、悪人のセリフですよねえ。(^^;) 恋人の病気の治療費を得るために、駆け落ちで縁切りしてた実家に押し入って弟から金を奪おうとしたら思ってたより金持ってなかった、みたいな。 - 「黙れ…」「黙れ!!」
ゼルドリスは足に力を込めて立ち上がる。右手に剣を拾って。
「魔神王になるのは この俺だーーー!!!!」
剣を振りかぶり、メリオダスに跳びかかった。 - 激烈な剣撃連斬。その猛襲を、メリオダスは突っ立ったまま片手で全て しのいだ。手の先に集めた闇を剣代わりに軽々と受け流す。
一ヶ月ほど前にバイゼルで戦ったときは二人の剣の腕は互角、むしろゼルドリスが上に見えたものだが、感情を失っただけで こうも変化するものなのだろうか。
そもそも、ここには<慈愛>の戒禁を持つエスタロッサがいるのに、なんら影響を受けた様子がない。圧倒的強者として、一片の敵意すら抱かず弟たちを打ちのめしているらしい。 - メリオダスの背後で、両目をギュッと閉じて身を縮こまらせていたエリザベスに、気配なくエスタロッサが迫った。薄く笑いながら両腕を広げ、闇の懐へ奪い去ろうとする。
- ゴオッ
「くおっ」
しかし、ゼルドリスを相手するメリオダスが振り向かぬまま三叉に尖らせた闇を突き出したので、エスタロッサは のけ反って避け、命からがらバックステップで距離を取った。
「フゥ… 抜け目ねぇな」 - (あ~~~も~~~惜しい!!)
エリザベスをメリオダスから引き離したいチャンドラーは、悔しげに指を鳴らしている。 - ついに、ゼルドリスの腕がメリオダスに掴まれた。
背後に回ったメリオダスに剣持つ右腕を捻られ、身動きを封じられてしまう。 - 「ゼルドリス… お前が魔神王に こだわる理由はわかってる」
「黙れ…!!!」 - エスタロッサは この場で これ以上 手を出す気は失せたようで、突っ立って両腰に手を当てての見物は呑気なものだ。
- その時である。ゼルドリスの耳元で、メリオダスが何かを囁いたのは。
彼の目が見開かれ、動きを止めた弟をメリオダスは解放した。 - 離された途端、ヨロ…と、一歩よろめいたゼルドリスは、立ち尽くし、一言もなく長い沈黙を保つ。
「………………………」「………………………」 - 「……?」
怪訝な顔になるエスタロッサと、『え~っ』とでも言いたげな顔で動揺し、頭の飾りをピクピクと震わせているペロニア。
◆ペロニアの頭の、ハートのワンポイントのある、リボンとも獣耳カチューシャともつかぬ飾り。どうやら、彼女の感情に合わせて動くようです。
実は体の一部なのか、魔神の闇を変形させたものなのか、自作の魔法具 なのか。 - 「ゼ…」「ゼルドリス様… どうされました?」
ただならぬ様子に、服の胸に大穴を開けたままのキューザックが恐る恐ると問いかけた、が。 - 「いいだろう貴様に協力してやる…」「…正直 気は進まんがな」
「!!?」
苦虫を噛み潰した顔ながらゼルドリスがそう言ったので、ぎょっと目を見開かざるをえなかったのである。 - メリオダスの後ろで、エリザベスも ハッと驚いていた。
- 「どういう風の吹き回しだ?」「脅迫でもされたか?」
エスタロッサは はっはっと肩を揺らして笑う。 - ペロニアは丸々した手で口元を押さえ、動揺しながら、ピクピクと頭の飾りを動かしていた。
◆もしかして、ペロニアって耳がものすごくいい? メリオダスが何と囁いたか、彼女には聞こえていたのでは。 - 「…だが 貴様の言う通り俺の借り物の魔力を手にしたところで
魔神王 の力には及ぶまい」「それとも 魔神王の域に達するまで鍛錬でもするか?」
唖然とし続けるキューザックを余所に、既に気持ちを切り替えたようにゼルドリスは長兄に問いかける。 - 「それじゃあ時間が かかりすぎる…」「オレたちには あと三日の猶予もねえ」
否定すると、メリオダスは改めて語り始めた。 - 「かつて
魔神王 は広大で無秩序な魔界を支配下に治めるべく」「下僕 に自らの力の半分を分け与え 一気に制圧しようと画策した」
「だが強大すぎる力は己の地位すら脅かしかねねえ」「魔神王 は効率よく魔界を掌握し 決して一人に強大すぎる力を与えぬよう」「その力を十片に分け」「十人の戦士に与えた」「それが<十戒>だ」
◆ここのイメージ画像、巨大な魔神王の足元に力を分け与えられたらしき下僕の姿が描いてありますが、そのシルエット、剣士や戦士ではなく杖を持った魔術士っぽく見えますね。
長衣か袴を着た剣士にも見えなくはないけど。 - メリオダスは弟たちに話を向けた。
「ゼルドリス エスタロッサ お前たち二人には全ての戒禁を回収してきてもらいてえ」 - 「!」
ハッとするエスタロッサ。 - 「戒禁を全て吸収すれば オレは魔神王と同等の力を得ることができる」
メリオダスは口を閉じた。 - エリザベスは、困惑と驚きと恐れを半ばさせたような顔で恋人を見ている。
- 凶悪と言えるほどの表情で黙り込んでいるキューザック。
- ほくほく顔のチャンドラー。
- エスタロッサだけが話に付いていけないとばかりにキョトンとしていた。
「ちょっと待て… 戒禁を回収?」「おい ゼル… そんなことが可能なのか?」 - ゼルドリスが、ス…と左手を掲げた。
「ジカイ」
唱えれば、手の上に三つの紋様が浮かび出る。
「裏切ったゴウセル… グロキシニア… ドロールの戒禁は すでに回収済みだ」
◆戒禁は紋様の形で貼ったり剥がしたりするものだったんすか…。
左上のY字みたいな形のは術士ゴウセルの顔に、下真ん中のぐるぐるしたのはグロキシニアの胸にあった紋様ですから、右上の花びらみたいな形のがドロールの尻にあったってことかぁ。 - 「
本当 かよ 見せろ!!」
エスタロッサが笑って駆け寄った瞬間、ゼルドリスは「クヒト」と唱え、紋様を収めてしまった。
「…オイ!!」
次兄の苛立ちにも素知らぬ顔だ。 - エスタロッサは弟に擦り寄った。
「面白え… さっさと回収法を教えろ」
細めた目でジトリと見やるゼルドリス。
「なんだよ その顔は …人手は少しでも多いに越したことは ねえだろう?」 - すると、ゼルドリスがエスタロッサに向けて、組んだ両手を素早く向けたではないか。
- 「!?」
エスタロッサは目を見開く。
「オイ なんの真似だ?」「ゼル… まさか俺の戒禁を――――…」 - 「ヲズン・メイヘン・カ」
無視して、ゼルドリスは腕を組み続けた。
妖精族や巨人族の印の組み方とは異なり、指をバラバラに曲げ伸ばすことはない。全ての指を伸ばすか、折り曲げるか。
「イシュマ・」
グググ…と力を込めて両腕で何かを抱えるような仕草をし、
「ノ・ジメウ!!」
一気に、曲げた肘から先を揃え打ち合わせる。 - すると、エスタロッサめがけて眩い光が放たれた。
「う…」「おおお!!?」
光に包まれたエスタロッサが、戸惑い気味の悲鳴を上げる。 - 「……………?」
だが。
「…何も起きねえぞ?」
眇めていた目を開けて、エスタロッサは拍子抜けしたように言った。 - 「…戒禁の回収には 本人の同意がある場合 戦闘不能状態にある場合 いずれかの条件が必要だ」
既にゼルドリスは背を向け、次兄のもとから歩み去っている。 - 「…それを先に言えよ」「驚かせやがって」
肩越しに見送って、薄く歪んだ笑みを浮かべるエスタロッサ。 - 「だが どうするメリオダス?」
ゼルドリスはメリオダスの前に止まった。
「魔神王への忠誠心がなかったゴウセルと妖精王 …巨人王 は あくまで特殊ケースだ」「基本は皆 魔神王に強い忠誠を誓っている 拒まれれば 当然 奪うことは できんぞ」 - 「なあ」
その時だ。ふと思いついたという様子でエスタロッサが疑問を発したのは。
「…殺しても奪えんのか?」
振り向いて見せた顔からは、半ば表情が抜け落ちている。 - 「…何!?」
ギッ とゼルドリスは次兄を睨んだ。 - 「…!」
メリオダスは何も言わなかったが、僅かに眉根を寄せる。 - 悪びれることなく、ヘラッとエスタロッサは笑った。
「いや… 言い方が悪かったな… ホラ あれだ」「もしも誰かに殺 られていた場合って言いたかったんだ」 - 「………………」
推し量るように次兄を見つめてから、ゼルドリスは生真面目に口を開く。
「仮に<十戒>が死ねば 戒禁は死体に留まる …はがすのは容易だ」「――――現時点で戒禁を持ったまま消息を絶っているのは ガラン・メラスキュラ・グレイロードの三名」
◆メラスキュラは、ガランが石になったことを報告していないんですね。
無責任さから報告の義務を怠っただけか、己の戒禁に掛かって石になったなんて恥と考えて、ガランのために敢えて口をつぐんでいたのか…。
ところで、アニメ版のガランは茹でたカニみたいに真っ赤ですね。ガランの元ネタの一つはアーサー王伝説群の「緑の騎士」だと思うので、原作通り緑のままにしておいて欲しかったなあ。(普段は緑で、臨界突破 したら赤になるくらいの方がよかった) - メリオダスが口を挟んだ。
「グレイロードなら<七つの大罪>マーリンが倒した」
「何?」と、勢いよく振り向くゼルドリス。 - メリオダスは グ…と握った左手を突き出し、唱えた。
「ジカイ」
手を開けば、その上に新たな戒禁の紋様が浮かび上がったではないか。あの異形の身体のどこに刻まれていたのか定かではないが、グレイロードの戒禁である。
「…この時のために 奪っておいた…」 - (メリオダス…)
エリザベスの顔に、驚きと、仄かな哀しみが半ばして浮かんだ。
彼の行動が、実は以前からの計画だったなんて。音頭を取って<七つの大罪 >と足並みを揃えるふりをしながら、エリザベス以外を捨てて魔神王になる準備を とうに進めていたのだ。 - 「…が あいにくメラスキュラとガランの行方はわからねえ」「なんとか捜し出してくれ…」
◆メリオダスが暗澹の繭に閉じ込められている間にエリザベスがメラスキュラを倒した件を知らないのはまだしも、ガランの件は、エスカノールやバンから報告を受けていなかったんでしょうか。
…あ、石になったとは聞いてるけど場所は知らないって意味かな?? それにしたってブリタニア北部だってコトくらいは見当がつくでしょうに。 - エスタロッサが薄笑いを引っ込め、微かな苛立ちを見せた。
「…なんだよメリオダス」「自分は一人 高みの見物で 俺らに お使いさせる気か?」 - 「魔神族の裏切り者に戒禁を おとなしく渡す奴がいると思うか?」
両腕を組んで胸をそびやかし、メリオダスは威圧を見せる。
「だから お前らに任せんだ… 頼んだぜ 二人共」 - 「自分の立場を よく御存知のようだ…」と、珍しくゼルドリスが皮肉った。
- エリザベスは唇を噛みしめ、硬い表情で恋人の背を見つめている。
- (ちがう…!! 本当の理由は
あの女 を護るためなんじゃ)
チャンドラーは再び苛立ちに襲われていた。メリオダスが自ら戒禁回収に行かないのは、エリザベスを自分の傍に置き、安全に留め置くためだと。
(坊っちゃん 早く目を醒ましてくだされ) - 満月下、ゼルドリスとエスタロッサは荒れた城下を眼下にキャメロット城の前を歩いていた。
エリザベスの呪いが発動した今、一刻の猶予もない。すぐに戒禁の回収に行けとの長兄様 の御命令だ。 - 「なんだか面白えことに なってきたじゃねぇか」「裏切り者が戻ってきて 今度は
魔神族 の王になろうってんだ!」
ゼルドリスの後ろを歩きながら、エスタロッサは ハッ ハッ と笑う。 - いつもの しかめ面でゼルドリスが言った。
「念のために言っておくぞ エスタロッサ」「くれぐれも回収した戒禁を取り込もうなどとは考えるな」 - 「………」
弟をジロリと見下ろして黙り込むエスタロッサ。 - 「行くぞ」
構うことなく、ゼルドリスは統率者らしい号令をかけた。 - 一方、キャメロット近くの
荒野 。
夜も更けたにもかかわらず、今日のホークママは休息することなく、どんどこ どん どん と歩き続けている。 - <大罪>たちは、マーリンの部屋からバンとエレインの部屋に移動していた。
- 「バンが このまま戻ってこなかったら私……私…!」
ベッドに半身を起こして泣きじゃくる妹を前に、キングの動揺は半端ない。だって、妹が こんなに泣くなんて滅多になかった。
「大丈夫エレイン… バンならきっと …いや おそらく …戻ってこれるよ …たぶん… うん」
生真面目な性格が今は裏目に出るばかり。どうにか作った微笑みは強張り、額には冷や汗。ぎこちなく伸ばしかけた手も、妹に触れる前に逡巡させてしまっていた。 - バンが心身満足で戻ってくる可能性は限りなくゼロに等しい。そう解っていて彼は旅立ち、止めることが出来なかった。その後ろめたさもある。心の声はエレインには丸聞こえだろう。
バンは無事に戻ると信じたい。だが、口先で無責任な気休めを言っていいものか。どうしても迷ってしまう。 - 思わず「正装」した情けない顔を、横から力強い手が ぐいっと押しのけた。
- 汗タラで見守るホーク。
- 「大丈夫だよ バンは絶対戻るから!!」
ニパッと満面の笑みを浮かべる人間サイズのディアンヌは、不甲斐ない恋人 に少々 おかんむりのようである。
いくら絶望的だろうと揺るぎない励ましは必要なのだ。一緒に動揺して、かえって不安にさせてどうする。 - 「ディアンヌ ……うん」
泣き濡れた顔で頷くエレインだった。 - 「団長と王女様のことも心配だな」
ゴボ、と不穏な咳をしながらエスカノールは呟いた。その視線の先には、運び込まれたゴウセルが横たわっている。
「ゴウセルくんも早く元気になってくださいね…」
彼は機能停止したままだ。 - マーリンは
魔法具 が積み上げられた私室に一人でいた。
◆マーリンの私室。よく見ると、雑多に積み重ねられた魔法具 の合間に、二体くらい、小型のアルビオンらしきものが置いてあります。
今まで何度か出たマーリンの部屋の場面には見当たりませんでしたが、ずっと存在していたのでしょうか。(キングらの目につかないよう奥に隠してた? それがチャンドラー事件で表に まろび出てきたのかな。)有事に起動させたら、巨大化して、キングやメリオダスが戦ったみたいな巨獣アルビオンになる? - 「戒禁が奪われている」
ベッドに腰かけ、手の中の試験管を見ながら呟く。
透明な管の中では、<十戒>グレイロードが唸りながら永遠の風に巻かれ続けていた。それを見ただけで どう確認したものか、戒禁が剥ぎ取られていることに彼女は気付いたらしい。 - 「…さては 私を介抱した あの時――…」
不覚にもゼルドリスの呪いに倒れたマーリンを、メリオダスがベッドまで運んでくれたことがあった。三日前、<大罪>再集結の祝宴の夜のことだ。その後すぐに、マーリンは前後不覚に意識を失っている。奪われたとしたら その時以外にない。 - だが、どうして この私までを出し抜き、裏切るような真似までして。
「メリオダス… そこまで追い詰められていたのか…」 - 呟いた直後、ピクッとマーリンは体を震わせた。
「強大な魔力が接近してくる………!!」
勢いよく顔を上げ、一方に緊張した目を向ける。 - エスタロッサとゼルドリス。夜空に闇の翼を広げた魔神兄弟が、戒禁を求めて接近しつつあった。
- 次回「ボクたちの選択」
一挙二話掲載の二話目です。
メリオダスの試練やバンの修業に話が移って、残りの<大罪>たちの活躍ターンは当面(半年くらい?)ないんだろうと思っていたので、アッサリ再登場で嬉しいやら拍子抜けやらでした(笑)。
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天使は囁き、メリオダスは耳打ちする
メリオダスがゼルドリスに何かを耳打ちしました。途端に、反抗をやめて協力的になったゼルドリス。一体、何を囁いたのでしょうか。
現時点ではサッパリ判りませんが、真っ先に思いつくのは、ゼルドリスの恋人・吸血鬼王族ゲルダの件です。
12年前、エジンバラ近くの東の大洞穴に封じられていた
応じたメリオダスの闇の力でエジンバラに(ダナフォールのような)大穴が開いたと、番外編『エジンバラの吸血鬼』で語られています。
色々話してから
一方、その12年後に常闇の棺の封印から解放されたゼルドリスは、拠点として真っ先にエジンバラを選び、仲間を率いて そこに飛びました。メリオダスが12年前に開けた大穴を発見して怪しんでいたものです。(第113話)
後にメリオダスの挑発で<十戒>がブリタニア各地に分散することになった際には
「俺も この近くに用事がある」
と言って、しばらくエジンバラに残っていました。(第136話)
この時、ゼルドリスはゲルダを捜していたのではないでしょうか。
彼女との恋は禁忌で秘されたものだったので、仲間の前で大っぴらに捜すわけにいかなかったのだと思います。
しかし彼女は見つからず、代わりに、メリオダスの魔力の残滓 色濃い大穴が開いている…。
3000年も経っているのだから何があってもおかしくはないが、もしや、メリオダスがゲルダに何かしたのでは…と、彼はモヤモヤしていたかもしれません。
その流れで、今回の耳打ちです。
もしメリオダスがゲルダの行方を ほのめかしたのなら、ゼルドリスは一も二もなく協力せざるを得なくなるのではないでしょうか。
さて。
もし耳打ちがゲルダに関することなら、耳打ち直前のメリオダスの台詞
「ゼルドリス… お前が魔神王に こだわる理由は わかってる」
にも関連した意味が付くことになります。
即ち、ゼルドリスが魔神王を目指していたのはゲルダのためだったと。
その場合、どんな意味合いでゲルダのためだったのか。
もしも「ゲルダと結婚したいから魔神王になりたかった」というだけなら、正直、個人的にはガッカリです。
既に、兄のメリオダスが「恋人のために一族を捨て、一族を殺し、恋人のために一族に戻って利用する」恋愛重視の男であることは確定しているのですから、弟まで似たようなことをしなくていい。どうせなら違う道を選んでほしいです。
まあ、「死んだ?ゲルダのためにも、王となって差別のない魔界を作りたい」とか「王になって古いしきたりを撤廃し、正式にゲルダを妃に迎える。そして王として一族の繁栄と幸せに尽力する」とかいう、自利から他利へと発展する形なら歓迎なんですけど…。(偉そうで済みません)
今のところ、メリオダスは「魔神王の力半分を入手して、自力で呪いを解く」と言っているように見えます。
しかし、もし「魔神王を殺して呪いを解く」つもりなのだとしたら、いくらゲルダを人質(?)に取られているのだとしても、ゼルドリスには、メリオダスに従い続けてほしくはないですね。
彼は今まで、父王に忠実に仕えてきました。なのに恋人のためなら平気で裏切って父王の殺害に協力する、そんな自己中心的な恋愛至上主義者として描いてほしくはないなあと。(父王を殺す・背くのなら、違う理由であってほしい。)
…何にせよ、ゼルドリスが このままメリオダスに唯々諾々と従い続けることは、恐らくないだろうと踏んではいるのですが…。
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戒禁回収の呪文
これまでの女神族やドルイドの呪文と同じく、日本語文章のアナグラムでしたが、今回のは複雑で難しかったですね。(;^ω^)
回収した戒禁を取り出す呪文
「ジカイ」→開示
取り出した戒禁を収納する呪文
「クヒト」→秘匿
戒禁を回収する呪文
「ヲズン・メイヘン・カ」→返還を命ず
「イシュマ・」「ノ・ジメウ」→十の戒め
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魔神王の闘級考察
メリオダス曰く、魔神王は「己の力の半分を十片に分けて」十人の戦士に与えた、それが<十戒>だと。
うーん?
「力」って何なんでしょうね。流石に武力は分けられないと思うので「魔力」かな? また、十に分けられた力は、均等な量なんでしょうか。
しかしファンブックによれば、単行本22巻時点で魔力が最も低いのはガランの「1000」。ガラン本来の魔力が0だったとしても、十人分合わせて魔力1万にしかなりません。それが半分なら、魔神王の魔力は2万ということになってしまいます。いくら何でもコレはショボイ。
前提を考え直して、魔神王が分割した「力」は、魔力・武力・気力全てを包括したものだとしてみましょう。
正式な<十戒>で最も闘級が低いのは、メラスキュラの34000です。これ以上の力は与えられていないということになります。
仮にメラスキュラ本来の闘級を1万とするなら、魔神王から与えられた力は闘級24000ぶん。十人分だと24万。これが半分なら、魔神王の本来の闘級は48万ということになります。
まあ、22巻時点で<十戒>の魔力がどこまで回復していたかは判りませんし、十人に均等に力が分け与えられているのかも判りません。
なので全くあてにならない数字ですが、最低でも そのくらいはありそうですね。
仮に、メリオダスが戒禁を全て吸収したとしたら、24万+メリオダス本来の闘級になる。現時点のメリオダスの闘級は明らかにされていませんが、11万4000のエスカノールを圧倒しましたから、仮に13万あるとすれば、足して37万くらい? それでも魔神王本来の闘級には少し届かないかな、という感じでしょうか。
ただ、魔神王は力を半分失っているわけですから、魔神王24万・メリオダス37万って感じになりますし、簡単に勝てちゃいそう?
でも、戒禁を あんなに簡単に剥がせるんですから、もしメリオダスが戒禁の力を持って魔神王に立ち向かったとしても、その場で簡単に力を奪い返されて、結局 魔神王48万・メリオダス13万みたいなことになりそうな?
追記
あれ? 頭がボケてた(苦笑)。一番闘級が低いのはガランの27000でしたね。
ガラン本来の闘級が1万として分け与えられた力が1万7千、十人分で17万、魔神王の本来の闘級は34万。…低いなあ。
メリオダスの現時点の闘級を13万と仮定して、戒禁を吸収すると30万か。戒禁を吸収しない状態でも魔神王17万・メリオダス13万になる。ほぼ同等になりますね。
これだと、わざわざ戒禁を吸収しなくとも、真昼エスカノールを連れて立ち向かえば何とかなるんじゃ? って感じです。
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一挙二話掲載時のお約束。今回も読者の質問コーナーが拡大され、大回答祭りとして、十一もの質問への回答が成されていました。
そのうち、興味深かった回答について。
Q.
マーリンに魔術を教えた師匠は誰ですか?
A.
父や魔術士ゴウセルです
マーリンは父親だけでなく、術士ゴウセルにも師事していたんですね。
父親のことは好きじゃなかったっぽいけど、術士ゴウセルのことは「偉大なる術士」と言ってましたから(第114話)、尊敬していたんでしょうか。
Q.
過去のエリザベスが記憶を取り戻す以外の原因で亡くなったことはありますか?
A.
老衰で亡くなる場合もありました。
うーん。「メリオダスと必ず会って恋に落ちる」呪いだから、老衰で死んだ時も傍にメリオダスがいてデキてたんですよね。添い遂げてるじゃん…。
それでも満足しない、まだまだ ずっと、呪いが解けても未来永劫 傍にいたいエリザベスちゃん。贅沢で強欲だな、と改めて思いました。
個人的には、呪いが解けて王女エリザベスとしてメリオダスと幸せに添い遂げたら、それで満足してくれたらいいのになと思います。それで尚、来世も「絶対に」と言い出したりしたら、なんか嫌かも(苦笑)。偶然なら別にいいけども。絶対にと縛るのなら、それこそ「呪い」ですよね。
Q.
フラウドリンはどうやって女神族の封印から解放されたんですか?
A.
その前、別の女神族に封印されていましたが、16年前ダナフォールの人間によって封印が解かれ復活しました。
ええええ!?
てっきりフラウドリンは3000年前からずっと封印されず人間界を彷徨っていたのかと思ってたら、別口の封印をされてて、16年前に初めて解放されたんですか。
じゃあなんで常闇の棺の封印のこと知ってたの? それより前に封印されてたんですよね?
…ドレファスの身体に憑依してから、人間の書物を紐解いて、3000年前の聖戦の顛末について勉強したのかな??
そして、16年前にフラウドリンの封印を解いたダナフォールの人間って何者で、何の目的で解いたんでしょうね。
それに、フラウドリンが復活したのが16年前で、すぐメリオダスによって行動不能にされていたのなら、
- 20年前、妖精王の森に赤き魔神が現れて何かを探していた
- 12年前、吸血鬼王族が封印されていた古の石棺が何者かに破壊された
のは、ただの偶然か自然現象であって、何の理由も陰謀もなかったのでしょうか。
あと、フラウドリンを封印した「別の女神族」って、何者なんでしょうね。その女神族が常闇の棺の封印に参加していないのなら、実体を失わずにいたのかも…?
その他、「ドルイド族は あくまで人間なので、特に長生きではない」「<四大天使>に序列はない。リュドシエルが偉そうなのは あくまで性格」という情報も面白かったです。