【感想】『七つの大罪』第248話 ボクたちの選択
週刊少年マガジン 2018年 4・5号[2017年12月27日発売] [雑誌]
第248話 ボクたちの選択
- キャメロット城前の広場、城下を見下ろす高台で、キューザックは石の手すりに右手を置いている。
「なんたる不覚…!!!」「なんたる失態…!!!」
押し付けた掌に力を込めるにつけ、ビシビシと石に ひび割れが走った。
膨れ上がった筋肉で右腕は丸太のようになり、その肩から二の腕にかけて、魚か蛇の背のような網目模様が現れている。普段の右肩の黒痣が変形したのだろうか。
◆キューザックさんの真の姿は なんじゃろほい? - 「なされるがままのゼルドリス様を御守りもできず ゼルドリス様の師が聞いて呆れる!!」「したがってゼルドリス様に合わす顔もないままゼルドリス様を見送ることも叶わぬとは… この悲しみよ… 嗚呼!!」
蜘蛛の巣状に ひび割れた手すりが バキッ と砕けた。なお収まらず亀裂が足下を越えて、石の床にまで広がっていく。 - 「…なら 今度は留守番くらいは ちゃんとせんとなぁ <うたたね>の!」
数mほど離れた位置で安楽椅子を揺らすチャンドラーは素気無く言った。 - 「すべては貴様の弟子が元凶だ!! <おしゃぶり>の!!!」
振り向かず肩を怒らせて吐き捨てるキューザック。 - 亀裂の広がった床は轟音を立てて崩落したが、魔神たちは宙に浮いて元の高さを保っていた。
- 宙で安楽椅子を揺らしながら、チャンドラーは酒瓶から直接 ぐびぐび 酒を あおっている。
「ん~~ 酒旨 っ」 - 「それにしてもメリオダスは一体 何を吹き込んだ!?」「ゼルドリス様は なぜ… なぜ奴の言いなりに…!!?」
機嫌よさげな老魔術師とは対照的に、天を仰いで吠え猛るキューザックである。 - そこに小柄な影が舞い降りてきた。ペロニアだ。
「あにょ~~~ キューザック様 ちょっちお話があるでし…」
「手短に話せ…!」
不機嫌を隠さぬ男の耳に、どこか困惑した様子で、コソコソと女魔術士は囁く。
「…でし」「…でし …でし」 - ピクッと震えたキューザックの顔色が変わった。
「<おしゃぶり>の …俺は しばらく席を外す」
「ほえ? 留守番は ええんか?」
のんびりした質問には答えずに、彼は闇の翼を広げて夜空へ飛び立って行ったのである。
◆ペロニアは何を耳打ちしたのでしょうか。
エスタロッサからの伝言? 魔神王からの密命? はたまた、メリオダスが何とゼルドリスに囁いたか聞こえていて、それをキューザックに伝えた?
なんにせよ、メリオダスに従属しているゼルドリスの現状を変えるために、キューザックは出掛けたのかも。 - 「…おかしな奴じゃわい」
呟きはしても、さして関心を払うでもなく、チャンドラーは ほろ酔い加減に染めた頬を緩めていた。
「それにしても やはり メリオダス坊ちゃんこそ 次代の魔神王にふさわしい…!!」
一拍 口を閉ざすと、傍らのキャメロット城に目を向ける。
「……唯一の問題は」「あの女じゃ…!!!!」
憎々しげに歯を剥けば、手の中の酒瓶は粉々に握り割られたのである。 - キャメロット城内の一室。
作り付けの燭台は装飾的で美しく、天井にまで細かな絵が描き込まれている。豪華な寝室だった。本来、貴賓室なのだろう。 - 窓際の
腰掛け に腰を下ろしたメリオダスに向かい、部屋の中央に立ったエリザベスが懸命に訴えかけている。
「お願いメリオダス… 考え直して!!」「魔神王になるなんて絶対… 絶対にダメ!!!」 - 「……………これ以外に方法はねえ」「わかってくれエリザベス」
メリオダスは俯けていた顔を上げた。その表情は冷えた鉄のようである。
「「何があっても呪いを解く」」「オレと お前の約束だ……」 - 「………っ」
ぐっ…とエリザベスは言葉を呑んだ。元々、自分が約束させたことだ。何があっても、たとえ私が死んでも、呪いを解いてと。
だが、それが こんな形で返ってこようとは。
◆実際、エリザベスは何を考えて「私が死んでも呪いを解いて」とメリオダスに約束させたんでしょうか。呪いを解くためには魔神王になるか、恐らく魔神王を倒すかしかない。それは最初から判っていたコトのはずです。なのに今更? - 「………私だって死ぬのは怖い…… いいえ… 転生して今の記憶を失ってしまうのが怖いの」「父上や姉様たち… ホークちゃん ディアンヌ エレイン… それに<大罪>のみんなを忘れるだなんて……」
やがてエリザベスは口を開く。
「…でも 何より一番怖いのは」「二度と あなたに会えなくなること」
「呪いを解けば きっと私は助かるかもしれない 記憶だって失わずに済むかもしれない……」「でも そのために あなたが魔神王になったらどうなるか… 自分でも わかってるんでしょう!?」 - 幾分の沈黙の後に、再び俯いてメリオダスは答えた。
「…………魔神王の力は強大だ」「オレは おそらくブリタニア には存在し続けることができなくなる…」 - エリザベスの目に涙が滲む。
「なら 呪いを解くことに なんの意味が!?」「…私は いやよ!! あなたのいない世界で生きていくなんて……」 - メリオダスの声は冷たかった。
「そんな心配はしなくていい」
「…え」
「お前は最高神 の呪いで生まれ変わる度にオレを好きになるよう思い込まされているんだ」「呪いさえ解ければ そんな思いは全部…キレイに消えちまうさ …だから心配するな」 - 「………………本気で……言ってるの?」「あなたを好きな
私 の気持ちは誰かに作られたものだと…?」
「でなきゃ ありえねえだろ……」「生まれ変わる度に このオレだけを好きになるなんて…」
◆元ネタのアーサー王伝説群の、メリオダスとエリザベスの息子・騎士トリスタンの物語を思い出しました。
彼と、叔父(主君)の妻・イゾルデは媚薬(惚れ薬)を誤飲して熱烈な恋に落ちてしまい、とうとう駆け落ちする。しかし辛い逃亡生活を何年も続けるうちに薬の効き目が切れて、互いに「この愛は本物か」と悩み・後悔したと、バリエーションによっては語られます。 - 「……………………なら どうして?」
パタッと、涙の雫が床で弾けた。
「私が助けを求めても放っとけばよかったじゃない!! どうせ 死んで何もかも忘れて転生するんだから!!!」「私じゃなくて… もっと別の誰かを好きになって生きる道だってあったじゃない!!!」
◆エリザベスちゃんには珍しい激昂 。…いや、ついこないだの第242話で、<大罪>たちに「…彼(メリオダス)は何も悪くないわ!!」と怒鳴ってましたっけ。 - メリオダスが顔を上げた。立ち上がり、目をギュッと閉じて涙をこらえるエリザベスに近づく。
「……仕方ねえだろ」 - 「何が仕方ないの…」「…」
言い返そうと目を上げて、ハッとエリザベスは言葉を呑んだ。メリオダスの全身から闇が消えていたからだ。
◆服代わりにしていた闇が消えたので、全裸です。 - 「……いつのお前も 女神族だった お前も リオネス王女の お前も」「…オレは全部好きなんだ…」
先程までの冷たい顔ではない。嘘と誤魔化しに長け、常に飄々として考えを読ませなかった彼とも違う。
はにかんだ微笑み、明るい若草色の瞳。
一切の闇を含まぬ姿は恋を知り染めた少年にも見え、隠さない真っ直ぐな言葉はエリザベスの胸を歓喜に沸き立たせた。 - 「メリオダス……!!」
ブワッと涙を溢れさせるや、エリザベスは少年の首にしがみつく。帰ってきてくれた、愛を取り戻してくれたのだと。
「私だって断言できるわ! 106人のエリザベスたちが リオネス王女の私が… 自分の意志で あなたを好きになったって…!」
彼の肩に顔を埋めたまま、甘く懇願した。
「ねえ…メリオダス 時間なら まだあるわ… <七つの大罪>の みんなと他の方法を考えましょう?」
◆「106人のエリザベスたちが リオネス王女の私が」という言い回し、人間エリザベスは王女を含め107人であるように読めます。
しかし第224話のメリオダスの説明だと、最初の人間エリザベス(蛮族)を看取り、「それからの三千年」、王女含む107人のエリザベスと出会ったと語っていて、即ち、最初の人間エリザベス(蛮族)を足すと108人いたように読めます。
どっちが正しいのかな?
ところで、ここでエリザベスの台詞に「意志」の漢字の方が使われてて(意思ではなく)、ちょっと思うところがありました。「意思」は考え・思考・思いというだけの意味ですが、「意志」には強い気持ちで成し遂げようとすること、という意味があります。
エリザベスは、私は何が何でもメリオダスを好きになる・彼以外好きになるものかと思ってて、そんな自分を誇りに思ってるっぽい。 - 少年は嬉しげに微笑む。両腕が腰から背中に回され、そっと恋人を抱きしめた。
「お前が ずっとずっと愛しくて たまらなかった…………」「こうして触れる度にに心が躍って仕方がなかった……」
その声音が、不意に硬く冷たいものに変わる。
「…なのに 今は何も感じねえ」 - ぎょっとして突き放したエリザベスが見たのは、魔神の闇に覆われた「
殲滅状態 」メリオダスの姿。
違う。取り戻せたのではなかった。演技だったのだ。 - 「だから わかってくれエリザベス」
「オレに残っているのは」「お前との約束を守ることだけなんだ……」
意地と執着、義務感。それら愛の残骸だけだと言うのか。突き放されようと一片の痛みすら浮かばぬ瞳には、硬く冷えた鋼の意志だけがある。 - ぽろぽろと、涙がエリザベスの頬を伝った。
「…………そう」「なら 私にも考えがある」
怪訝な顔をしたメリオダスを睨んで、少女は拳を握りしめる。
「私は<七つの大罪>と協力して…」「あなたが魔神王になるのを 全力で阻止するから!!」 - 「バカな真似はやめろ…!」
取り押さえるつもりか、メリオダスは無造作にエリザベスの左腕を掴んだ。
「放して!!」
身をよじっても逃れられないと見るや、エリザベスは右の平手を高く振り上げる。
「…殴って気が済むなら殴れ」
「バカ」
涙混じりの呟きと同時に。 - 掲げた平手の上にキラキラしい巨大な
光球 が膨れ上がった。唖然と見上げたメリオダスは、魔神に絶大効果の聖光に頬を張られて、軽く吹っ飛んだのである。 - 壁に穴を開ける威力こそ なかったものの、部屋の端まで飛んで、鏡台を粉々にした。
「……」
破片の上に大の字になって呆然としているメリオダス。
◆メリオダスの超YESウーマンだったエリザベスが、前世の記憶アリの状態で ここまで反抗してきたの、きっと、3000年の付き合いで初めてだったんでしょうね。 - エリザベスは既に部屋を飛び出していた。
- 「あなたが私を救おうとするように」「私も あなたを助けたいの…」
涙を振りこぼしながら、それでも怒りと勇気と希望を胸に、少女は全力で駆けていく。
(待ってて…)(メリオダス!!!) - 一方、ブゴゴッと鼻を鳴らして夜の
荒野 を駆けるホークママの頭上、<豚の帽子>亭。 - 「まずい… まずいぞ!!」
とりあえずバンとエレインの部屋から一階店舗に降りて、キングらは戦々恐々だ。
「キャメロットの方角から とんでもない魔力が近付いてくる……!!」
「こっちは さっきの戦闘で魔力が からっきしだよ~~」
焦るキングの傍らでディアンヌもアワアワしている。 - エスカノールとホークは ひしと抱き合って怯えていた。
「まっ まさか またチャンドラーさんでは!?」
「エスカノール へ…変身だ変身!!」
「よ… 夜じゃムリですよぉ」 - 「全員落ち着け」
螺旋階段の上から声がした。
「私が交渉に出よう」 - 「!!!」「マーリン!?」
キングは驚く。神器 を片手に浮かべた女魔術士が、久しぶりに余裕綽々の 笑みを浮かべていたのだから。 - 「こ…交渉って そもそも相手が何者で何を仕掛けてくるか わからねえのにか?」
ホークが問うた時には、パチと指を鳴らした彼女は、店の外へ続く扉の前に瞬間移動していた。 - 「相手も目的も おおよそ見当はついている… ああ それと――」「くれぐれも手出しは無用だぞ?」「安心しろ こちらにはカードがある」
振り向かず扉へ向かう彼女の掌の上に、魔術で取り寄せたのだろう、小蛇の入った試験管が フワリと浮かぶ。 - 「あれって… メラスキュラ……だよね?」
口元に人差し指を当てて戸惑うディアンヌの隣に、キングが空中から降り立った。
「カードって …どういうこと……?」
◆以前は、メラスキュラは もっと太いガラス瓶に入ってましたが、細い試験管に入れ替えたんですね。 - 扉を開けたマーリンは、夜空を見上げて薄く笑う。
「来たのは お前か ならば話が早い」「ゼルドリス」 - 晴れた星空には、闇の翼を生やしたゼルドリス、ただ一人が浮かんでいた。
「…何者だ? 貴様の顔など見たこともない」 - 「それは心外だ」
小さく呪文を唱えて、マーリンは少し浮かび上がった。
「……何?」
「フン」「これなら どうだ?」
ポウッと湧いた煙が消えれば、不敵に笑う姿は5歳程度の幼い子供になっている。 - 試験管の中の小蛇が、アラ可愛いわネと言いたげに幼子にハートを飛ばした。
- ハッと眉根を寄せたゼルドリスは、次いで大きく目を見開く。
「!!!」「まさか メリオダスの言ったマーリンとは貴様のことなのか…」「▓▓▓」 - 「「え? 今なんて?」」
開けっ放しの扉から様子を窺っていたキングは、隣のディアンヌと戸惑った顔を見合わせた。エスカノールやホークにも解らなかったらしい。
◆マーリンの真名は「人間には発音できない」とのことでしたが、妖精や巨人にも、発音どころか聞き取ることもできない?
でもゼルドリスは普通に発音している。……となると、魔神族は本来、人間・妖精・巨人とは別の言語文化を持っているってコトになる、のですかね。
人間族と比較的交流を持って暮らしていた巨人族はともかく、基本的に自分たちの領域に籠っていた妖精族も、本来は、独自の言語を持っていて然るべきではあるんだけど。 - 睨むように見据え、ゼルドリスは真名に続けて彼女の二つ名を呼んだ。
「魔神王と最高神の祝福を受けし娘!!!」 - 「「へ?」」
同じタイミングで ポカンとするエスカノールとホーク。 - 「「はい!!?」」
キングとディアンヌも驚きの声を揃えた。 - 次回「取引」
今回の
(笑)(笑)(笑)
メリオダスとエリザベスの喧嘩と言えば、王都決戦後、メリオダスがエリザベスを旅に同行させないと言い出した時期があって、それに反抗するエリザベスと言い争いになったことがありました。(第114話)
その時はエリザベスの代わりにホークやディアンヌがメリオダスを殴ってましたっけ。
で、その後、スレイダーがエリザベスに、こんなアドバイスをしていました。
「言葉ではなく行動で想いを示すべきですわ」
「女は男の言葉に 男は女の行動に グッとくるものよ」「私の持論だけどね」
今回、メリオダスのために行動開始したエリザベスちゃん。
グッときましたか? メリオダスさん。
それにしても。
今までのエリザベスは
メリオダスは破壊の怪物だから別れろとベロニカに言われる
↓
そんな話は信じない。世界を敵に回してもメリオダスを信じる
愛の感情が希薄になったメリオダスが、バンに嫌われたかもしれない、昔の自分に戻るのは怖いと泣く
↓
誰を敵に回しても私はあなたの味方よ
って感じで、たとえメリオダスが破壊をなそうと他の人に恐れられようとも、自分だけはメリオダスを否定しないし傍にいる、という、良い捉え方をすれば超母性的、悪い捉え方をすれば恋は盲目な発言が目立っていたわけですが。
今回、ついに はっきりとメリオダスに反抗したので、これはエリザベスの自我の確立であり、意見をぶつけ合えるようになったっていうのは、二人で今後も生きていくためには いいことなんだろうな、と最初読んだときは思った、んですけども。
よくよく読んでみたら、エリザベスが反抗したのは
「メリオダスと一緒にいられなくなるから」
でしかなかったよ。
メリオダスと一緒にいられるなら彼が何をしても構わない・信じるけど、一緒にいられないなら、彼たっての望みであろうと受け入れられない! 絶対別れないから!! とゆー。
(;^ω^)
つくづく、エリザベスちゃんの頭の中は「メリオダスを永遠に独占したい」ってキモチでいっぱいなんだなあ。
それを可愛くて綺麗と取るか、怖くて醜いと取るかは、読者にお任せなんですね。
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欲張りなお姫様と、疲れた王子様
エリザベスは3000年前、たとえ私が死んでも呪いを解いてとメリオダスに約束させました。そして どうやら以前から、彼が魔神王になれば呪いを解くことが出来ると知っていたらしい。
なのに、いざ彼が魔神王になると言ったら断固拒否。
よほどのリスクがあるんだな、一体 何だろう。メリオダスの人格が豹変して世界に災厄でももたらしかねないとか? などと想像していたら、答えは
「力が強大すぎてブリタニアに存在し続けられなくなる=エリザベスと今まで通り一緒に暮らせなくなる」
でしたとさ。
自ら<十戒>を捨て、<大罪>も捨て、最後はエリザベスとも離れます、と。
確かに可哀想ではあるけれど。うーーん…。
どうせなら、ここで「魔神王になれば、オレの権限で魔神族の侵攻も止められる。王国や<大罪>も みんな助かるんだ」くらいの「恋愛以外の」動機も並行して提示してくれたらなあ。エリザベスが(皆のためにはそうした方がいいの? でも私はメリオダスと離れたくない!)って葛藤するよーな、ベタだからこそ共感できる姿も、できれば見たかったかも。
現実は、二人とも「自分たちの恋愛」のことしか言いません。
この二人、脳内バランスが恋愛に傾き過ぎではないでしょうか。
生き別れどころか、死んで二度と会えない・魔神に魂を食われて転生もできない人たちがウジャウジャしてる戦乱の中で(作中時間で つい一、二時間前にグロキシニアたちも死んだばかり)、恋人と生き別れることが許せないエリザベス。
エリザベスは三日後に呪いで死ぬかもしれない。転生したら記憶も消える。可哀想です。でも今、呪われてない人たちも沢山 理不尽に殺されていて、元のままの姿・名前で転生することもない。転生したら記憶がリセットされるのは当たり前のコトで、エリザベスだけの特別な不幸じゃない。
勿論、他の人も不幸だからといってエリザベスが不幸じゃないことにはなりませんが、エリザベスには やり直しができるという特典がある。
もう少し他の人たちのことも考えてくれてもいいのにな。この戦乱が彼らを中心に渦巻いているのは確かなのだから。
メリオダスと一緒にいられないなら呪いが解けても意味ない、と激しく悲憤するエリザベス。呪いが解ければ気持ちも消える(=別れよう)と告げるメリオダス。
切なくて胸打たれる場面だったのは確かなんですが…。
皆さん、思いませんでしたか。
だったらエリザベスも異界に行ってメリオダスと一緒に暮らせばいいじゃん、と。
だって、魔神族も女神族も、元々 魔界や天界といったブリタニア外の異界からやって来た存在なんですよ。
たとえば、メリオダスの行先が煉獄のような苛酷な地なのだとしても、「魔神王に呪われたメリオダスだけは煉獄でもノーダメージ」なんて ご都合設定が既に出されてるんですから、魔神王になったメリオダスなら どんな環境であろうと、エリザベスを安全に暮らさせるなんてワケないでしょう。
それに「
あるいは、こうも思いました。
今まで散々、「マーリンがメリオダスの強大な力を分離してドルイドの聖地に封じた」とか「魔神王は己の力の半分を下僕に分け与えた」とか「魔神王はメリオダスに譲位しようとしている」と語られてきたのです。この世界の「力」は分離したり・封印したり・分け与えたりできるものなんでしょ?
だったら、メリオダスも魔神王になって呪いを解いた後で、自分の力を分離して封じたり、信頼する仲間に分け与えたりすればいい。そうしたら「力が強大すぎて」ブリタニアに存在し続けられぬなんてコトにはならないのでは?
もしくは、魔神王になって呪いを解いた後で、信頼できる相手――ゼルドリスあたりに譲位すればすればいいのでは?
(魔神王は、産卵した鮭のごとく、譲位した瞬間に死にます。とか言い出す気じゃなかろーな…。)
…エリザベスの三日殺しの呪いが明かされた時も、どうしてゴウセルやキングに記憶を消させるのを試さないんだろうと疑問に思いましたし、3000年前のメリ&エリの状況を見た時も、どうしてブリタニア外に駆け落ちするなり・最高神と話し合うなり・仲間を募って第三勢力を作るなりせず、
恐らく今回のも、他の道など存在しないという扱いで、「メリオダスが魔神王になったら絶対に会えなくなる、阻止するしかない」と押し通しちゃうんでしょうか。
(そのうち、例によって話が崩壊して尻つぼみになって、全然違うオチになる可能性も高そうですが。魔神王化を阻止する前に、状況に変化が起きて有耶無耶になるとかさ…。)
魔神王になったら異界に去る、二度と会えなくなるけど、オレへの恋は呪いのせいだから忘れてくれと言うメリオダスさん。
事実上、別れ話ですね。
愛情は消えても、3000年も大事にしてきた・好きだったという記憶は残る。優しさが消えれば、それは愛の残骸……執着心・所有欲・独占欲となりうる。
前々回のエスタロッサへの対応を見ても、メリオダスが未だエリザベスへの強い執着を持っているのは確かです。
なのに、呪いを解いてエリザベスと別れることを選びました。
手放してでも幸せを願う優しさが残っているから…と善的に考えてもいいですけど、もしかしたら、メリオダスは疲れてしまったんじゃないかな、という気もしました。
エリザベスのことは手放し難い。でも、もう この関係を続けることに疲弊してしまった、と。
だって3000年ですもの。自殺も色々と試みたと以前語っていましたし(第182話)、逃げたかった気持ちがあったのは間違いないんじゃないかなあ。
そんな風に感じてしまったので、エリザベスが「離れない」の一点張りで泣いてキレたのを見て、
鬼かな。
と、一瞬思ったりもしました(苦笑)。
第224話で、蛮族エリザベスが「たとえ私が死んでも呪いを解くと約束して」とメリオダスに誓わせたエピソードを見た時は、メリオダスの辛さを慮って、呪いを解けば運命の糸は切れて会えなくなるかもしれないけど、あなたのためなら身を退くわ、くらいの気持ちで言ったのかなと思っていました。
実際は、呪いが解けようと未来永劫離れたくない! だったんですね。
じゃあなんで「呪いを解く」ことを誓わせたのか?
呪われてない幸せカップル♡になりたかったから、ってだけだったんでしょうか。
呪いを解く方法は、元より「魔神王になる」か「父殺しをする」くらいしかなかったのだから、こうなることなんて最初から予測できたでしょうし、彼が思い悩むことも目に見えていたでしょうに。
少年漫画ですから、最後は普通に呪いが解けてハッピーになるでしょうし、今回の喧嘩は犬も食わないナントヤラでしかないんでしょう。
でも、メリオダスをここまで追い詰めても「未来永劫、傍にいなくちゃダメ」なのかな、と考えさせられたエピソードではありました。
愛のかたちは色々ですね。
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天井画のこと
メリオダスとエリザベスが喧嘩したキャメロット城の一室、天井に装飾画がありました。どうも、3000年前の聖戦の伝説を描いたものっぽいですね。
一番上の絵
六枚羽(?)の天使(女神族)が町に立って剣を掲げていて、足元に人間がひれ伏して(?)て、空に沢山の天使が飛んでいる。
真ん中の絵
町に恐ろしいドラゴンが現れている。
ところでエビフライの尻尾が食べたくなりました。
一番下の絵
盾を構えた大勢の騎士たちが、各々 剣や槍などの武器を掲げていて、その指す中央(上空?)に なんか光り輝く(?)ゴチャッとしたものがある。
このゴチャッとしてるのが何なのか、ジッと見ても、私には判りませんでした(*_*;
アニメ版になったら判るかしら。
とりあえず、3000年前の聖戦時に「恐ろしいドラゴン」の出番が目立つ形であったってコトでいいのかな?
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チャンドラーさんの羽のこと
多くの魔神族は、己の闇を黒い翼に変えて空を飛びます。
ただし、元・小蛇のメラスキュラは闇をストールみたいに巻いて飛び、元・巨人のドロールは背中の上に闇の旋盤を出して飛んでいました。
そして、元々飛ぶ能力のある 元・妖精のグロキシニアは、闇を使わず自前の羽や神器で飛んでいたものです。
さて。
チャンドラーを見ていると、魔術師バージョンの時は全身に闇(夜)をまとって飛ぶか、闇を翼の形にして背中に出していますが、剣士バージョンだと、背中にドラゴンぽい羽を生やして飛ぶんですよね。
この羽、ちゃんと肉体の一部として身体から生えている。
もしかしたら、チャンドラーはグロキシニアと同じように、生粋の魔神族ではないのかも。
背中にドラゴンぽい羽が生えているのですから、闇を得て魔神化したドラゴンとか?
ファンブックのザルパ(マトローナの夫・人間の蛮族)の項目に、尊敬する人物は「竜族の神」とありました。
この漫画のドラゴンは、今まで
魔神王は己の力を十片に分けて
その精鋭にチャンドラーは含まれていません。でも、(本気を出さない状態ですら)恐らく<十戒>以上に強い。
そもそも、チャンドラーは魔神王の「<七つの大罪>を皆殺しにしろ」という命令を最初から軽視していました。
また、魔神王と最高神の祝福を受けた「ベリアルインの娘」たるマーリンに、<十戒>のグレイロードは泡を食って逃げ出し、ゼルドリスもひどく動揺・警戒していたのに、チャンドラーは呑気な態度でしたよね。
チャンドラーは、魔神王や最高神を恐れていないように見えます。
怒りを買うことも怖くないし、マーリンに与えられた彼らの祝福も、大したことではないとしか思っていないのでは。実際、彼女を軽くあしらって無力化していました。
チャンドラーは何者か。ただの態度のデカい魔神族の老兵に過ぎないのか。
それとも、例えば、元は魔神王にも最高神にも
ドラゴンと言えば、キャメロット城の玉座の後ろや、キャメロットの旗なんかにもドラゴンの絵が描いてあります。アレは、アーサーの姓が「ペンドラゴン(竜頭、竜の頭領)」だからなんでしょうね。
いつかアーサーは、「ドラゴン・シン」たるメリオダスさえ従えちゃう?
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魔神王と最高神の祝福を受けし娘(笑)さんのこと
こりゃまた強烈な中二ワードがキタなあ(笑)(笑)、という辺りは、まあ次回の感想まで置いといて。
マーリンの本当の姿が、ますます幼くなってきてませんか。
加えて、着てるのが、幼稚園児のスモック&提灯ブルマ風。
なんなのマーリンさん。幼児コスプレのつもりなの(苦笑)。
交渉を運びやすくするため、いたいけな幼児感を出そうと、あえて こんな服装を選んだのかしらん。
そのうち、もうちっと可愛い子供服も着てくれたら嬉しいですね。