『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第265話 暴走する愛

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週刊少年マガジン 2018年 23号[2018年5月9日発売] [雑誌]

第265話 暴走する愛

  • 草原を風が渡っていく。
    それにつれて、草の上を濃霧のように滑っていく雲。
    その向こうに霞む幾棟かの塔城。空気の薄い空を鳥たちが飛んでいく。
  • 「どうしたの一人で?」
    鈴のような声に、少年のエスタロッサは振り返った。
  • 「また お兄さんと喧嘩したの?」
    両膝に手を置いた中腰で、下から覗き込むようにして、女神族の少女が微笑みかけている。
  • 「エリ…ザベス」
    少年の頬が微かに染まった。
  • 「……ちがう… みんなが… 俺を虫一匹殺せない腰抜けだって…」
    「そんなこと気にしているの…?」
    「でも 俺が兄貴の顔に泥を塗っているのは事実だ」
  • 「オン!!」
    元気な鳴き声が空気を一変させる。エスタロッサは目を丸くしてエリザベスの足元を見やった。先程から、パタパタと小さな尾を振る毛玉が見えていたのだ。
  • 「…その犬は?」
    舌を出して ハッ ハッ と息を吐く小犬は、ブルテリアに似て、けれどビーグルのような垂れ耳だ。つぶらな目のそれをエリザベスが抱き上げれば、ぺろぺろと彼女の頬を舐める。
  • 「怪我をして動けなくなっていたの この子」
    くすぐったそうに笑うエリザベスは眩かった。

  • (覚えてる… この光景… そうだ… 犬の名前は ――――なんだっけ?)
    何故だろう。思い出せない。

  • 「……あなたは今のままでいいと思うわ」
    話を戻して笑顔を翳らせた彼女から、エスタロッサは顔を背けた。
    「俺は強くなる…!!」「…早く この くだらない女神族と魔神族のいさかいを終わらせたいんだ!!」
  • エリザベスは哀しげな瞳で見つめている。笑ってはくれないのか。
  • 「そして いつか…」
    エスタロッサの頬が紅潮し、小さな声は口の中に消えた。
    今はまだ、言うのは早い。
    …いつか、この戦争が終わったら。

  • (そうだ…)(俺はエリザベスが ――ずっと好きだった)

  • 炎と黒煙が もうもうと上がっている。
  • 「ゼエッ ゼエッ」「ハアッ」「ハア ハア…」
    剣を手に、激しく肩を揺らす呼吸を整えようとしている、少年のエスタロッサ。
  • 5mほど離れた前方には四、五体の下位女神族たちが倒れている。巨人族ほどもある巨体に鉄仮面を被ったような風貌の彼らは、刀傷から血を流し、純白の二枚翼を朱に染めて沈黙していた。
  • そして、それらむくろの山のすぐ前に、傍らに大剣を突き立て、腕組みをして傲然と立つ男。<十戒>統率者にして次期魔神王候補メリオダス
  • 「よくやったな さすがはオレの弟だ」
    その背中に少年は問いかける。
    「俺もいつか… 兄さんのようになれるかな?」
    単独では勝てなかった。危機の中に飛び込んできて、大剣で敵を薙ぎ倒してしまった、この頼もしい兄がいなければ。
  • 「…オレが保証する」
    振り向くことはしない兄が、しかし不敵に笑っているのを感じ取って、エスタロッサは希望を抱き、憧れを以て見つめたのだ。

  • それからどれほど過ぎたのか。
    女神族と戦い続けるエスタロッサは青年になっている。
    単独で女神族共を両断できるようになっていたものの、メリオダスのように鮮やか且つ圧倒的な勝利とは言えず、血を吐き、傷ついての苦しい戦いだ。
  • 傷ついたエスタロッサは、独り、森の中を歩いていた。
    顔を汚す血を拭う余裕もなく、痛む傷口を押さえて、荒い息を吐きながらの惨めな道行きである。
  • そして彼は見た。
    ひとも通わぬような深い森の奥で、密かに抱き合う二人を。
    エリザベスと、メリオダス

  • (違う)

  • 見たことのない、愛おしげな顔で抱き合う二人。
    一人きり、木の陰から意図せず垣間見ている、傷ついた惨めな己。

  • (俺は)(兄貴になりたかったんだ)

  • 「違う」
    エスタロッサは大きく声に出した。
    思い出の中ではない、この現実で。
  • 唖然としたホーク、ディアンヌ、キング。
    動揺しながらも表情を硬くするゴウセル
  • サリエルとタルミエルは腹部に大穴を開けて地に落ちている。未だ超回復の兆しはなく、ピクリとも動かない。
  • 強張ったデリエリとエリザベスの前で、まとう闇を放電のように閃かせながら。
    「俺が」「メリオダスだ」
    かつてのメリオダスがそうしていたように、腕組みをして不敵に笑ってみせたのだ。
  • 現実の事象を捉え始めた目が、今更、目の前の少女の顔形を認識させたらしい。
    「…なんだよ エリザベス」「俺に会いに来てくれたのか?」
  • ハッと体を震わせたエリザベスに向かい、
    「俺も お前に会いたかった!!」
    ニパッと開け広げに笑った表情は、彼自身の名乗り通り、メリオダスに よく似ていた。いや、彼以上に少年めいて純粋にさえ見える。
  • だからこそ異常性が際立つのだ。
  • 「エリザベス様 私の後ろへ!!」
    ゾッとした様子で、ギーラがバッと片腕を伸ばし、王女を己の背に庇った。
  • エリザベスは強張りながら考える。
    (やっぱり私… この人を知ってる)(でも それなら なぜ 何も思い出せないの…?)
  • その時だ。
    フッ…とエスタロッサの目が揺らぎ、目を ぎょろりと剥き出した。
    「…………デリエリ?」
    綺麗に服の形になっていた闇が崩れ、四方に血管のように広がり蠢きだす。
  • デリエリは緊張を濃くして身構えた。
  • 「そうだ… 俺はお前の戒禁を奪いに来たんだったな…」「戒禁を全部取り込んで兄貴を超えれば俺が――」
    前屈みになり、ぽかりと口を開けて言いかけたところで、再び、スッと目が元に戻る。
    「…?」「俺が… メリオダスだ」
  • 「こいつ… ブッ壊れたな」
    忌々しげなデリエリの言葉に「!?」とエリザベスが視線を向けた。
    「モンスピートが言ってた メリオダスかゼルドリス以外が自分の戒禁以外を取り込めば破滅すると…」「こいつはモンスピートとガランの分も含めて三つの戒禁を取り込んだ!!」
  • 崩れ始めた闇の服をまとう男が、ゆっくりと歩み寄ってくる。
    「戒禁をよこ…」「デリ」
    一歩踏み出した足元に、ドロッと蜘蛛の巣状に広がる闇。
    「エリ」「ザベス」
    意識が再び揺らいだようで、据わった目でエリザベスを射抜くと、もはやデリエリを忘れて楽しげにニヤつき唱えだす。
    「エリザベス… エリザベス!!!」「エリザベ~~~ス♫」
    ◆『Perfect Time』を歌い出しそうなエスタロッサさん。
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    シリアス場面だけど、「デリ」「エリ」「ザベス」は面白かった(笑)。ラップみたい?
  • 「ひ…ひいっ」
    聖騎士たちが怯えて どよめき、馬までもが棹立ちして いなないた。
    「こいつは… やばすぎる!!」
    ハウザー含め、今にも逃げ出したい気持ちに耐えている様子だ。
  • 「う…」
    エリザベスを背に庇うギーラは、近付いてくる男を真正面に見据え、びっしりと冷や汗を浮かべて小刻みに震えている。
  • 「ギーラ… 戦ってはダメ!!」
    察したエリザベスが鋭く止めたが。
  • “ショット・ボム”!!
    耐えきれなかった少女は無数の爆熱弾を放った。
  • ドドドドドド…
    膨れ上がる爆炎と轟く轟音。
    「ああああああああ~~~!!」
    我もなく雄叫おたけんで、間断なく撃ち続けた。
  • 「ああああああああ~~~!!!」
    (ダメ…)
    爆炎の向こうに見える人影は、何に阻まれる様子もない。
    (近付いて)(…くる!!)
  • デリエリは身構えて動かず耐えていた。これまでなら軽率に飛び掛かっていただろう。だが今や、フォローしてくれる相棒モンスピートはいないのだ。
  • 「ギーラ ストップ!!!」
    大音声が響き、ギーラは反射的に槍を引いて攻撃を止めていた。
    「何を!?」
  • 見やれば、ディアンヌ戦鎚ギデオンを背でバトンのように回している。それを勢いよく両手で掲げるや。
    金剛の盾ダイアモンド・シールド
    ジャゴン
    厚い壁が、ギーラたちとエスタロッサの間を阻んで、大地から数10mの高さに せり上がったのである。
  • 「!!」
  • 巨顔の装飾のある一枚壁は、ちょうどギーラとエリザベスを庇うだけに足るであろう、5mほどの横幅だ。
  • 阿吽の呼吸で、キングが間髪入れず印を結んだ右腕を振り下ろした。
    メリオダスは キミのような無精ひげの大男じゃない!!」
    真・霊槍シャスティフォル
    第一形態「霊槍シャスティフォル
    ◆この台詞、ちょっと面白かったです。
    f:id:ikanimo:20180522172532g:plain
    フフッと笑ってしまいました。
  • 巨槍がエスタロッサの背めがけ投擲される。
    エリザベスらの間近だが、ディアンヌの作った壁が衝撃波から彼女らを護ってくれるだろう。
  • ドンッ
  • だが、壁の幅はエリザベスとギーラ二人分。
    「ぐあっ」
    近くにいたデリエリは護られず、全体からすれば ほんの僅かな程度であったが、漏れ来た衝撃波を喰らって吹っ飛んだ。
    ◆この流れ、王都決戦後にヘンドリクセンが初めて わんぱく三人組の前に現れて共闘した時、グリアモールがヘンドリクセンの前だけに魔力壁を作らなかった場面を思い出しました。
    あの時ハウザーはグリアモールを責めたけど、流石に今回は責めない?
  • 「デリエリ!!!」
    ハッと返り見たエリザベスは、まるで友人を案じるように叫ぶ。
  • 間を置かず、壁に横筋が走っていた。闇の刃が、熱線で鉄板を切るかのように容易く、厚い壁を斬り倒したのだ。
  • 同時に、エリザベスの前にいたギーラの胸も、鎧ごと横一文字に斬り裂かれていた。
  • 少女騎士が、胸と口から血を噴いて倒れていく。
  • 「ギーラ!!!」
    エリザベスが叫び、キングとディアンヌは あまりの成り行きに愕然とするばかりだ。
    「「……!!」」
  • その間にも、壁の残骸を乗り越えて、ゆっくりとエスタロッサは歩み寄ってくる。
  • その体を、前後から交差するように襲い掛かったサリエルとタルミエルが、それぞれの手の先に作った光の刃で斬り裂いた。
    二つの太刀筋がエスタロッサの胴を横薙ぎし、彼の胴は鎖骨から上と、鎖骨の下から鳩尾までと、その下の三つの輪切りに分断された……のだが。
  • 輪切りの体が高速で横回転して、左右にすれ違っていこうとしていた天使たちの胴を斬り裂き返していた。
  • 勢いよく地に突っ伏し、死体のように転がる天使たち。
  • 悪趣味な冗談か悪夢のように、鎖骨と鳩尾から上を別々に回転させていたエスタロッサは、やがて回転を止めて闇で体をくっつけた。
    広げた両腕の先には、天使たちを斬り裂いた刃が闇で作られている。
  • 「エリザベス… ここは うるせえ」「もっと静かな場所に行こうぜ」
    しゃがんでギーラに回復術を掛けていたエリザベスに語りかけた。
  • その背後から攻撃を仕掛けるディアンヌとキング。
    「でなきゃ ここを静かにするか…」
    エスタロッサは闇の刃の生えた両腕を交差させ……。
  • 「ダメ!!!」
  • 「「!!?」」
    エリザベスの必死の叫びが、ディアンヌとキングの動きを止めた。
  • エスタロッサは、無言で両手の先の刃を霧散させる。
  • 「これ以上… 誰も傷つけないで…!」「あなたの言う通りにするわ…」
    超回復は始まっているものの動かないサリエルとタルミエル、意識の戻っていないギーラを見やってエリザベスは決断した。
  • 「お前と行きたい場所が あるんだ」
    遠慮なしに、エスタロッサはエリザベスの肩を抱いて顔を覗き込む。
  • 無言で睨み返すエリザベス。
  • 「エリザベスちゃーん!!」
    とんとこ とーん とホークが駆け寄ったが間に合わない。
  • 『みんな聞いて 私なら平気…』
    エリザベスの心の声が伝わった。
    『それよりも お願い… デリエリを護って…!!』
    ◆ここ、エリザベスのフキダシが二重線で、時間差がある感じでもなかったので、心の声ってコトなのかなと解釈しましたが。何故? 別に心の声で伝えなけりゃならない内容でもないし。
    エスタロッサの意識を戒禁回収から逸らしたかったので、デリエリの名を彼に聞かせたくなかった?)
    実際はどういう意味だったんでしょうか。
  • 霊槍のダメージが大きかったらしく、傷はないが ようやく半身を起こしかけていたデリエリは、ハッと顔を強張らせる。
    3000年前に続き、またもエリザベスに庇われようとは。
  • エリザベスを右腕に抱いたエスタロッサは闇の翼を広げた。そして雲海を突き抜け、遥か高空へと飛び去ったのである。
  • 次回「追う者 追われる者」

作中時間で つい昨日の夜。

エリザベスはメリオダスの腕に抱かれて連れ攫われました。

そして半日後の今。

今度はエスタロッサの腕に抱かれて連れ攫われたよ~(;^ω^)!

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いそがしい。

うむ。「お姫様は連れ攫われる」ものなのである。

似た展開の反復は、何かの演出的意図があるんでしょうか。 

 

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思い出の場所

 

 

エスタロッサとエリザベスが会っていた草原の場面再び。

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これまでは「広い草原」「風が強い」「鳥が飛んでいる」以外の情報がありませんでしたが、今回から背景が描かれるようになり、幾らか読み取れる情報が増えています。

 

まず「大きな建物が幾つも、比較的近くに見える」

敵対種族である二人が会っていたのだから、誰も来ないような人里離れた場所かと思っていたら、意外に都会っぽい?

次に「草原の草の上を煙のようなモノが流れている」

これは多分、なのだと思います。標高の高い場所に行くと、雲が霧のように地面の上を流れていくものですが、それっぽい。

つまり、この場所は地上ではない。おそらく女神族の天空宮のような場所ではないかと。

(雲が流れているということは、かなり寒いんだろうなと思いますが…。エリザベスは薄着で へっちゃらですね。)

 

しかし、女神族の天空宮に魔神族であるエスタロッサがいられるものでしょうか? 彼の発言からして、人質交換などで女神族の下にいた、というわけではないようです。

 

そこから想像できるのは、

A.戦時中でも全種族が利用できるような中立・非武装地帯だった

B.放棄された天空宮で、遠くに見える建物は廃墟。誰も来ない秘密の場所だった

C.エスタロッサの記憶そのものが間違っている

という感じでしょうか。

個人的にはBかなと思っています。

 

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思わせぶりな犬

 

 

思わせぶりな感じに「3000年前、女神エリザベスが可愛がっていた」小犬が登場。

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誰もが思うでしょう。ホークの3000年前の前世? と。

 

ただ、ホークの転生の証である「四葉マーク」が、この犬には見当たりません。

腹側が見えていないので、そこにある可能性もありますが…。

また、ホークもワンドルも人間並みの知能があり人語を喋るのに、今回描かれた範囲では、この犬は人語を喋っていません。

 

もしこの犬がホークの前世で、現時点で「四葉マーク」を持たず・人語を喋れないのだとしたら、これから何かが起こって、マークと人語を喋る力を授かったのでしょうか。

誰がそれを授ける?

 

 

そもそも、いつからホークは魔神王の「目」だったのか。

ワンドル時点でそうだったなら、ダナフォールで死んだ時、ホークがそうなったみたいに そのままの姿・自我で再生しても良さそうなものだし…。

 

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 戦争の終わらせ方

 

 

回想の中で、3000年前のエスタロッサは言いました。

「俺は強くなる…!!」「…早く このくだらない女神族と魔神族の諍いを終わらせたいんだ!!」

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 一見して、平和を求めた言葉のようです。

ところが、そんな彼が目指し・行ったのは

「女神族を沢山殺すこと・そうできるくらい強くなること」。

 

戦争を終わらせたらエリザベスと恋愛的に結ばれたいと考えながら、その手段は「彼女の一族を大量に殺す」ことなのでした。

 

この矛盾にも思える言動に、エスタロッサは何の疑問も抱いていません。エリザベスも哀しそうな目をしてはいますが、やんわり「あなたは強くならなくていい」的なことを言っただけで、明確な否定をしません。 

どうやら、これが当時の普遍的な考え方だったようです。

「敵陣営を完全に打ち負かすことが、戦争を終わらせる方法」

 

過去修業編で3000年前の状況が明かされた時、エリザベスとメリオダスが女神軍に所属して使い走りのような扱いを受けていたこと、それでいて、エリザベスが最高神の娘で、女神族ではトップレベルの闘級と立場を誇っていたことを、意外に思ったものでした。

勝手ながら、3000年前のエリザベスは力無き存在で、メリオダスと共に心と言葉を尽くして人間・妖精・巨人の有志を集め、魔神・女神の争いを止める第三勢力としてレジスタンス活動をしていたのではないかと想像していました(苦笑)。真逆でしたね。

 

エスタロッサが そう考えていたように、当時の<光の聖痕スティグマ>の人々もみんな(ドロールやグロキシニアも含めて)、「敵陣営を完全に打ち負かすことで戦争を終わらせる」と考えていたように読めました。

ところが、女神エリザベスは「魔神と女神が対等な立場で和平する」と考えていた。

当時としては異端だったのではないでしょうか。

 

困ったことに、エリザベスはその思想を、自分の中だけで展開させていました。

まるでリュドシエルだけが特別に悪いみたいな描かれ方をされてましたが、実際は<光の聖痕スティグマ>一般兵たちも魔神を激しく憎み、打ち滅ぼして平和を作ろうと考えていた。

エリザベスは、すぐ傍にいた仲間の彼らすら説得・感化できていなかった。そもそも交流が ろくに出来ていなかったように見えました。

メリオダスは孤立していたし、エリザベスは浮いていましたよね。

 

メリオダスもエリザベスも、仲間に目的や情報を伝えない傾向があると思います。

二人とも猪突猛進に突撃し、生まれ持った圧倒的パワーで押し通して解決する。非常に頑固、我が強い。

 

(最近思うようになりました。作者さんは<光の聖痕スティグマ>一般兵たちをエリザベスの「善」思想に反する「悪」だと設定していたのかも? と。だから皆殺しされたうえ、殺したロウや術士ゴウセルの方が正しいみたいな扱いになってて、エリザベス側の思想になったゲラードだけが許されたのかも、と。)

 

 

 

 

まあとにかく、現代の聖戦は、きっと、エリザベスの望んだ「全種族が対等な立場での和平」になるんでしょうけども。

なるのかな?

正直、人間族と魔神族は共存できない(一部の例外者が個人的に親交を結ぶことはできても、全体的には)、魔界に帰ってくれるのが一番平和な解決だと思ってます。(エリザベス様に怒られる?)

 

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どうしてエリザベスは「デリエリを護って」と言ったのか?

 

 

エスタロッサに連れ攫われたエリザベスは、仲間たちに伝えました。

「お願い… デリエリを護って…!!」

どうして そう言ったのでしょう。

あなたは どう思いましたか?

 

相棒モンスピートを失い意気消沈しているデリエリが可哀想だからでしょうか。

エリザベスが「敵を赦す」優しい女神であるゆえに そう言った?

 

しかし闘級的には、デリエリは この場のトップクラスです。

彼女より強いサリエルとタルミエルは斬られて人事不省状態。

キングとディアンヌは彼女とやっと並ぶかどうかと言ったところ。

聖騎士たちは話にもなりません。

なのにデリエリを護れと命じるのは、なんだか奇妙です。

 

そもそも、大切なひとを失って精神的に不安定になっているデリエリを哀れむのなら、どうして同様のデスピアスらの気持ちは気遣わないのでしょうか。

敵だったデリエリには優しくとも、仲間であるはずのデスピアスらに対して無神経ではないでしょうか。

 

 

…なんてことを思いそうになりますが。

実は最終ページに正解のヒントが書いてありました。

最悪は、戒禁が揃うこと。王女は自らを犠牲に捧げ、聖戦の遂行を試みる…!!

担当編集さんの付けた後引き文です。

編集さんは作者さんと話し合って展開の確認をしていますから、この文章は物語の意図を踏まえたものであるはずです。

 

「最悪は、戒禁が揃うこと」とある。

つまり、エスタロッサがデリエリから戒禁を奪うことを何より忌避した、と。

そのために大人しく彼に従ったし、「デリエリが死んだら戒禁を簡単に回収されてしまうので」デリエリを護ってと言った……ということになるかと思います。

 

勿論、エリザベスが慈愛の女神なのは間違いないのですから「デリエリへの思いやり」もあるはず。でも主目的は「戒禁の確保」かと。

 

 

 

しかしデリエリ本人は、100%優しさからの言葉だと感じたようですね。

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モンスピートに甘やかされ護られ続けてきたデリエリは、末っ子気質というのか、甘えたがりな面があるように思います。彼がいなくなった途端、敵陣に飛び込んでまでエリザベスに甘え縋ったのですから。

(3000年前に助けてくれたから・他に話せる相手がいなかったから、ということなんでしょうが、作中時間で10日くらい前に、デリエリ、エリザベスを殴り殺そうとしてメリオダスに吹っ飛ばされてんのに。よく甘えに来れるなあと思わなくもない。)

 

ともあれ、自分はエリザベスに許されている・愛されていると確信したデリエリは、恐らく、今後は彼女に依存しようとするでしょう。

エリザベスを助けに行く! とか、エリザベスのためだから お前らと一緒に戦ってやる! とか言い出しそうですね。そんでバトル少年漫画お約束の「共闘したからには俺たちは仲間だ」発動。

 

 

いいけど、デスピアスらにも何か いい感じの救いを作ってあげてほしいなあ。

灰色ヘンドリクセンに親友を殺されて憤っていたドゲッドが、ヘンドリクセンを責めた直後に惨めなカマセ犬死をしたのは、悪い意味で印象的でしたから…。

 

 

 

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