【感想】『七つの大罪』第246話 邂逅
週刊少年マガジン 2018年 2・3号[2017年12月13日発売] [雑誌]
第246話 邂逅
- 「お願い…メリオダス 今からでも引き返して」「<七つの大罪>のみんなが… ホークちゃんが心配してるわ!」
夜空を飛ぶメリオダスの腕の中でエリザベスが訴えている。 - その後方を少し離れて飛ぶチャンドラーは忌々しげだ。
(女神 め… 坊ちゃんの隙を見て 必ずや始末してくれる) - メリオダスは淡々と応えた。
「エリザベス… お前はオレが絶対に護る」「魔神王になって呪いを解いてやるからな」
言葉自体は情熱的であっても、鮮やかさを増した血色の瞳が少女に向けられることはない。
「……………………」
硬く冷えた横顔から目を逸らすと、エリザベスは きゅっと唇を結んだ。 - 白々とした光の中に草原が広がっている。
(ここは…)(どこだ…?)
撫でる風が起こす草波は彼方まで達し、広い空を鳥たちが渡る。
(俺は……)(ここで何をしている…?)
ぼんやりと己の両手を見た。籠手 に包まれた逞しい腕。いつもの黄色い上着。大きく開けた襟元に覗く厚い胸板。髪は銀色。鏡がないので見えないはずだが、己の左額に普段通りの魔神の紋様があり、瞳が漆黒であることも認識できている。 - 「どうしたの一人で?」
声がした。若い女だ。さして心動かぬまま、ゆっくりと目を向ける。
「また お兄さんと喧嘩したの…?」
長い銀髪が風に ひらめいた。ふくらはぎ丈の草の中、両膝に手を当てて僅かに身を屈めるように見上げている、女神族の少女。 - 「……!!」「お前は――…」
ひどい衝撃を感じて上げた叫びは、それ以上 続かなかった。
「がばばっ」「ごぼっ…」
己が液体の中に浸かっていたからだ。 - それを思い出すと同時に、エスタロッサは液体の満ちたカプセルから勢いよく半身を起こした。
「ゼハッ ハァ…」「ハァ… ハァ…」
胸を轟かせながら荒い息を吐く。
「今の夢は………?」
呼吸を宥めるうちに、左額に魔神の紋様が蠢き現れ、瞳が仄赤い漆黒に染まっていった。
◆エスタロッサはメリオダスやドレファスに憑いたフラウドリンと同様に、自由意思で姿の魔神化をON/OFFしているようです。登場初期時点で、目を閉じてゴロ寝しているとき額の紋様がない→目を開けると現れる、という描写がされていました。 - 「よーやく お姫様の お目覚めでしね!」
「!」
間近からの声にハッと顔を向けたが、相手を認めるや鬱陶しげに目を細める。
「…………なんだ てめえか ペロニア」 - そう言われるや、口元に右手を当てつつ パタパタと左手首を振って彼女はニヤニヤと笑った。
「ちょっとちょっと!! エスタロッサ様 それは聞き捨てならないでし!!」「つきっきりの看病をしたのは このペロニアでしよ!!」
妙に動作がオバサン臭いくせに、体格は7、8歳の少女のようだ。 - コロコロと太い手指のため、小さな身体に対して手足の先が大きい。どこか子猫や小犬を思わせるバランスだ。瞳は漆黒。両の二の腕と首には、ぐるりとギザギギザした黒い紋様らしきものが一巡している。派手さはないが愛らしい顔だち。鼻は一見して見当たらず、口にはびっしりと牙が生えていた。
ショートボブの頭には、ハートのワンポイント付きのリボンとも獣耳カチューシャともつかぬ飾り。手足には淡色のレース飾り付きの長手袋 と指付き膝上丈靴下 。幼いラインの身体はオフショルダーの濃色レオタードで覆い、背側に淡色の薄布の裾を襞 たっぷりに長く垂らして、その上に尖った襟付きの濃色マントを羽織っていた。
淡色の薄布は身長より長かったが、彼女は常に1mほど宙に浮いているため裾を引きずることはない。後ろから見るとロングスカートを穿いて濃色の上着を着た成人女性のように見える、騙し絵のような不思議な服装だった。 - 「看病? 実験の間違いだろ…」
にべもなく返して、立ち上がったエスタロッサは尋ねる。
「で―― どれだけ俺は寝てた?」
◆サラッと流されてるけど、エスタロッサは今までもペロニアに「実験」されてきたんですかね。 - ここはキャメロット城の深部。高さ2m以上はあるタマゴ状のカプセルが幾つも並べ置かれた場所だ。そこで唯一 床に横に置かれていたカプセル内でエスタロッサは眠っていたのである。
- 「三、四日ってトコでしね お寝坊さんでし~~~」
両手を広げて笑うと、ペロニアは じー… と、惜しげなく逞しい肢体をさらす男を見つめた。
「でも… えへへ すっかり元気になったみたいで何より何より」 - 「…」「ナニ見て喋ってんだ…?」
両腕を組んで、ジロリと睨 め下ろすエスタロッサである。
「でし!?」
その声音の不穏さに、弾かれたように彼の股間から視線を外して顔を見上げるペロニアだった。
◆
そっかー。元気になってたんですね、ソコが。エリザベスの夢を見た直後の目覚めに。
エスタロッサさん、不機嫌にはなっても全く股間を隠そうとはしませんね。自信ゆえか。
エスカノールにリオネスから吹っ飛ばされた時、服が焼け落ちて すっぽんぽんの下半身丸出しになっちゃってて、あの後どうしたのかなあと案じていましたが、この分なら堂々とストリーキングできていそうです。(や、実際は大怪我負ってて服どころじゃなかったんだろうけど。) - その時である、ピクッと震えてエスタロッサの顔色が変わったのは。
「おい おい… うそだろ?」
一方を見上げる。同じ方向をペロニアも見て、ぽかんと口を開けていた。
「しゅごい魔力反応でしよ!?」 - キャメロット城の上空に、闇の翼を広げ、満月を背に飛来した影二つ。
「エリザベス… 絶対オレから離れるなよ…」
「うん…… わかった…」
一つはメリオダスと、彼に抱き寄せられ、自身も抱きついたエリザベス。
「フン…!! 坊ちゃんとベタベタしておれるのも今のうちじゃからな……!!」
もう一つは、震える拳を握って歯噛みするチャンドラーである。 - 恋人と共に垂直に舞い降りたメリオダスが片手を払うや、正門が轟音を立てて観音開きになった。
- 開いた扉に
強 かに打たれた者すらいたが、誰も無礼を咎めない。城内にいた魔神たちは怯え、メリオダスが廊下を歩いていけば、次々と物陰に隠れるばかりだ。 - 「……よう ゼルドリス」
楽々と謁見の間に到達した彼は、玉座に座る弟に呼びかけた。 - 「裏切りの大罪人が敵地へ ノコノコと いい度胸だな…」
ゼルドリスは頬杖をついて傲岸に揶揄をした。 - 「しかも不浄の女神を伴い戻って来ようとは…!! <おしゃぶりの鬼>がついていながら なんたる不始末!!」
傍らに立つキューザックは冷たく呆れている。 - 「儂は反対したんじゃ!! こんな女は一刻も早く始末するべきじゃと」
歯を剥いて怒る老爺を、振り向かぬままメリオダスが叱りつけた。
「いい加減にしろチャンドラー!!」 - 「だって……」
しゅん…となって、涙しながら いじいじ人差し指同士をくっつけるチャンドラーである。 - メリオダスはゼルドリスに言った。
「単純な用件さ」「オレは魔神王になるために来た」
上着を模していた闇が煙のように たなびいて蠢き始めた後ろで、不安げにエリザベスが見ている。 - ゼルドリスは返した。
「魔神王になるのは この俺だ」
メリオダスの視線を受けて、退きも恐れもしていない。 - 「…だから なんでそう俺だけ のけ者にするかな?」
次に割って入った声に、一同が一斉に顔を向けた。身支度を整えたエスタロッサが、薄笑いを浮かべて大股に歩み入ってくる。
「この世に たった三人の兄弟だろ?」「ぶっちゃけ魔神王の座 なんぞに興味はねえが お前らが奪い合うなら俺も混ぜてくれよ…」 - ペロニアは入り口付近の壁際に控えていた。
- 「生きていたか… エスタロッサ」と、メリオダス。リオネス王都防衛戦の際、彼がエスカノールに撃退されたことは知っていた。
「おお… お陰様でな」と、気安く返すエスタロッサ。
◆エスタロッサは死んだと思ってたんですね、メリオダスさん。
実際、バンやハウザーらに掛かっていた、エスタロッサが死ななきゃ解けないはずの慈愛の戒禁が解けちゃってましたもんね…。なのにエスタロッサは生きている。この辺の謎は今後明かされるのでしょうか。
それと、エスタロッサの「お陰様でな」って台詞、ただの慣用句なだけ? 誰の「おかげ」でエスタロッサは死ななかったのでしょうか。キャメロットまで運んでくれたのだろうゼルドリス? 治療してくれたペロニア? それとも…。 - エリザベスはハッとした。
(あの人は…! メリオダスを一度殺した…)
二ヶ月ほど前のバイゼル大喧嘩祭りの後、この男が剣で一つ一つメリオダスの心臓を潰していった、あの恐ろしい光景は忘れられない。
(……でも不思議だわ… その前に一度 どこかで…?) - 「兄貴こそ 元気そうじゃ――…」
自分が彼を殺したことなど忘れたかのように気安く続けたエスタロッサが、不意に止まった。見開かれた目は、メリオダスの後ろの少女に向けられている。
「お前は……… エリザベス?」 - 「!!!」
ビクッと、大げさなほどに少女は震えた。 - メリオダスは表情を動かさない。
- 「ど… どうして私の名前を?」「あなたと会うのは これが初めてよ…」
つい先程、バイゼル以前に見覚えがあるように思った自身の感覚は棚に上げて、警戒心もあらわに彼女は尋ねる。 - 「…」
呆けたように少女の顔を見ていたエスタロッサは、自身でも説明がつかない様子で、困ったように右手で頭を掻きむしった。
こっちが訊きたい。夢にさえも名は出てこなかったのに、どうして。
「………さあな」「俺にも よく わからねえ」 - そして言ったのである。
「なあ やっぱり気が変わった」「俺は魔神王の椅子取りゲームからは降りるわ」
ニヤリと笑みを浮かべて。
「…そのかわり」「エリザベスを俺にくれよ」 - 「…!?」
戦慄して大きく肩を震わせるエリザベス。 - 「でし!?」
ペロニアが呆気にとられたように口を開けた。 - 「…こりゃあ都合がいい!!」
チャンドラーは興奮に頬染め、口元に手を当てて ほくそ笑む。 - 「…」
メリオダスは、表情を やはり動かさない。
だが、まとう闇が放電のように小さく弾けた。
「今更 兄弟喧嘩をしにきたわけじゃねえが… 二つだけハッキリさせておく」
低く、ドスを効かせた声を出す。
「魔神王には オレがなる」
そして、背後の少女を囲うように、勢いよく右手を水平に振り伸ばした。
「エリザベスは誰にも渡さねえ」 - その直後。
- ペロニア、そしてキューザックは目を剥いた。一瞬前までいた場所に、エスタロッサとゼルドリスの姿がないのを見たのだから。
- 彼らはもう、メリオダスに襲いかかっていたのだ。
- 「ふぬけの分際で欲張ってんじゃねーーぞーー?」
エスタロッサは上段。メリオダスの頭上に跳ぶと同時に七本の反逆剣 を展開させている。
「今更 貴様なぞに俺の野望を邪魔されてたまるか」
ゼルドリスは下段。メリオダスの脛を狙って、女神族の紋様 の刻まれた己の剣を居抜きかけていた。 - だが、全ての刃は用を成さなかった。メリオダスが両腕を振り下ろすと同時に、二人共に床に叩きつけられたからである。
- ズンッ
- メリオダスが、上着状に身にまとっていた闇を投げつけたのだ。一方で、背後のエリザベスには蛇のように闇をまとわせていた。護ると同時に離すまいとしているかのように。
- 「ゼルドリス様!!!」
激昂したキューザックが、二本の剣を両手に抜いて飛び出した。
◆キューザックの二本の剣、どちらも柄だけで刃がありません。魔力の刃を出すとか、何か特殊な戦い方をするのかな? - 「動くな!!」
メリオダスの闇に押さえつけられ、床に半ば めり込んで動けないゼルドリスが叫ぶ。 - 警告虚しく、竜の首のように伸びたメリオダスの闇がキューザックの腹を貫いていた。
- 「オレたち兄弟の問題だ ひっこんでろ」
「お…の…れ!!」
そのまま宙吊りにされ、だらりと四肢を垂らして、どうすることもできずにいる。
◆チャンドラーと物語上 同格に扱われてきたキューザックのあまりの弱さ・呆気なさに驚きました。メリオダスが それだけ強いんだ、と言いたいがための描写なのでしょうが…。これじゃあ、同格のチャンドラーに殺されたグロキシニアたちや殺されかけたキングたちなんて、メリオダスに比べて箸にも棒にもかからないゴミクズみたいなものじゃないですか…。それがメリオダスを護るために戦って、まんまと死んで? 虚しい気持ちになりました。
ただ、改めて柱の紹介文を見たら、チャンドラーは「最上位魔神」なのにキューザックは「上位魔神」と紹介してあるんですよね。もしや、キューザックはチャンドラーより魔神として格下? - 「あ…」「コレ動いたら死ぬやつでし」
硬直してプルプル震えるペロニアは、しまいに おしっこを漏らした。 - 「こ… これぞ王たる威厳 王たる力!!」「チャンドラーは感動の涙を禁じえません!!」
杖は傍らに浮かせ、老魔神は感涙してパチパチと両手を打ち鳴らしている。 - うつ伏せに床に押しつけられ、惨めにも頭をもたげることさえできずにゼルドリスは歯噛みした。
(バカ…な…!! 「魔神王」の魔力をもってすら ビクとも身体を動かせんだと!?)(魔神王 の言う通りメリオダスは本当に―――――…) - 一方、エスタロッサは どうにか半身を起こしている。
「…面白えよメリオダス」「こないだとは まるで別人…」
重圧の中でも嗤って右手を伸ばしかけた時、メリオダスが ぐっ と手で抑える仕草をした。 - 更なる重圧。
- 「ごあっ!!!!」
ズンッ
たまらず、エスタロッサも うつ伏せに轟沈したのである。 - 「それでいい…」
軽く腰を屈めると、メリオダスは床に貼り付けられた弟たちを冷たい顔で見下ろした。
「話し合うには まず 互いに腰を据えねえとな?」 - 次回「回収」
一挙二話掲載の一話目です。
ゼルドリスがメリオダスに手も足も出ず、赤ん坊の手を捻るように一方的にやられただけでした。
ええ~?
自分本来の闘級+魔神王から魔力を借りられる+敵の魔力を封印できる
という最強に近い設定が、今まで色々 盛られてきたのに…。所詮メリオダスに一蹴される存在でしかないのか。
積み重ねてきたものをポイとゴミ箱に放り投げられ、雑に片づけられちゃったという印象。ちょっと拍子抜けでした。(;^ω^)
ハイ、メリオダスはそれ以上に強いってコトなんですよね。感情を喰われて非情になっただけで無尽蔵に強くなっていく。凄いなあ。でもその理屈だと、今まで力を出し惜しみしてたってコトになっちゃいますね。
なんでこんな異常に強くて死ななくて支配者気質であちこちで仲間を裏切りまくる人を護るために、グロキシニアとドロールは死ななきゃならなかったんだろう。護られなくても大して困らなかったよね、この人。
メリオダスが3000年前に魔神族を裏切って<
それは、激化させられた戦争に巻き込まれ、結果的に「エリザベスを救うため」の踏み台にされたブリタニアの大多数の弱者から見れば、ちっとも美しくも立派でもないんだって視点にも、いつか作中で触れてほしいなあ。(メインストーリー否定になってしまうかもしれないので、無理そうですけども。)
一組の恋人たちの愛を満足させる代償にするには、世界を巻き込んだ戦争は、流石に大きすぎる。
恋人たちが互いを想い合って一途で陶酔した愛を見せつければ見せつけるほど、周囲を散々巻き込んで一杯苦しめて死なせておいて、何が美しい愛だ、という気持ちも湧いてしまいます。
エリザベスと結ばれるのに不都合だから魔神族を裏切って、今度はエリザベスを救うのに必要だから戻って、一度は捨てた弟たちを暴力で従えさせて。そのくせ、どこか悲劇ぶっている。感情が消えてもオレは辛い。でも「エリザベスを救うため」なら何だってする、オレはどうなってもいいんだ…的な。
正直、今のメリオダスさんってば自己中心的・自己陶酔的でカッコ悪いよ…。
いや、流石に、この先 ある程度は心を入れ替える? 展開が来るんでしょうけども。
最終的に二人には幸せになってほしいけど、二人の愛を至上視して、(過剰なレベルで)周囲を踏み台にしてる現状は、よろしくない。
ブリタニアの人々を踏み台にしてでも二人の愛を満足させたいのなら、皆が手助けしてくれるのは当然だと思うのなら、その分を世界に返さないとね。
(返し過ぎなくてもいいんですよ。「メリオダスだけが異界に消える」オチとかは、元ネタから予想できるからこそ回避してほしい。なんにせよ、聖戦は今度こそ二人の手できっちり終わらせる、それが最低限のけじめではないかと思う。死んじゃった人たちはもう戻ってこないから、せめて今と未来を幸せにしてほしいでし。)
物語の最後には、上手くバランスをとってハッピー地点に着地してくれたらいいなと期待しています。
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エリザベスは どうしてオッドアイなの?
単行本28巻の表紙イラストで既に明かされていたことではありますが、今回のカラーページでもエリザベスの目はオッドアイでした。
どちらの目にも
初代の女神エリザベスは、
なのに王女エリザベスは、どうしてオッドアイなのでしょうか。
王女エリザベスは幼少期…恐らく大罪が罪を着せられ離散した事件までは、両目を出した髪型でした。しかし小説版含めてオッドアイだと語られたことはありません。なので、本来は両方 同じ青い瞳だったのだろうと思います。
てっきり、女神の力が現れた時だけ瞳の色が特別にマリーゴールド色に変わるんだと思っていたのに…。
じゃあ、何の意味で右目だけ色が違うのか。
もしや、誰かによって右目に特別な何かが施されてるのかな?
歴代の人間エリザベスたちはどうだったんでしょうね。
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混じり合う夢
今話の目玉は、「エスタロッサとエリザベスの関係」でしたね。
エスタロッサの初登場時、『彼はメリオダスの悪分身か何かで、エリザベスを挟んだ三角関係になる』と、少女漫画的な展開を想像した読者もいたのではないかと思います。
けれどその後、エスタロッサとメリオダスは誕生日も年齢も違う、幼少時の姿は似ているけど そっくりというほどではない、と判明して、分身じゃないし特にエリザベスとも関係なさそうだなあ……と、思わせたところでこの展開(笑)。
さて、どうなるのでしょうか。
ベタな三角関係になる? それとも、ぶっ壊した超展開が来る?
今回のエスタロッサの夢は、第113話でエリザベスが見た夢と対になっています。
↓第113話、エリザベスの夢
↓今回のエスタロッサの夢
「誰もいない草原」、「自分が何者か・何をしているのかも忘れてぼんやりしている」と「求める相手が目の前に現れる」、と状況が対になっています。 無関係とは思われません。
ごく素直に解釈するのなら
説A
エスタロッサとエリザベスは3000年前は親しい関係だったが、互いに記憶を失っている
ということになるのでしょうか。
その前提で「エスタロッサは兄の恋人であるエリザベスに横恋慕していた」とか「実は元はエスタロッサとエリザベスが恋仲だったが、記憶を消された」とか、色々妄想がはかどりますね(笑)。
ただ、この説を採ると、今一つ 違和感があります。
今回、エスタロッサを見たエリザベスは内心で呟きました。
(あの人は…! メリオダスを一度殺した…)(……でも不思議だわ… その前に一度どこかで…?)
「一度」どこかで見たことがあると、わざわざ回数を限定している。バイゼル以前には「一度」しかエスタロッサと
一方、エスタロッサの夢を確認してみますと、夢の中のエリザベスは
「また お兄さんと喧嘩したの…?」
と言っています。何度も会って話していることを前提にした言い回しで、下から覗くように見上げる仕草は、実に親しげではないですか。
とても、たった一度しか会ったことのない(初対面の)相手への態度とは思われません。
また、エリザベスの夢に現れたエスタロッサっぽい人物が、<七つの大罪>のメリオダスの鎧を着ている、という問題もあります。
回答は、間もなく放送開始されるTVアニメ第二期で明かされるんでしょうけども。エスタロッサとメリオダスは髪色が違うので、白黒の漫画では判りませんが、カラーのアニメならハッキリするはずです。
ただ、あの人物の髪色がエスタロッサと同じ銀だとしても、メリオダスの鎧を着ているという点は揺るぎません。
そうなれば、あの人物は
ということにならないでしょうか?
以上から、以下の説を想像してみました。
説B
エスタロッサにはメリオダスの記憶が混じっている。
草原でエリザベスと何度も逢っていたのはメリオダスであり、エリザベスの言う「一度どこかで」エスタロッサに会ったというのは、例の113話の夢のことである。
つまり、現実のエリザベスがエスタロッサと二人きりで会ったことはない。
そもそも、エスタロッサは色々な面で不自然な存在です。
- メリオダスとゼルドリスが魔神王の椅子を争っているなか、次男のはずなのに蚊帳の外のような扱いをされている。
(メリオダスは次期魔神王と呼ばれ、ゼルドリスは魔神王 代理を任されている。二人とも<十戒>統率者を経験。しかしエスタロッサは、闘級ではゼルドリスと並ぶのに、何も与えられていない。) - メリオダスとゼルドリスには、チャンドラーら教育係 兼 後見人が付いているのに、同じ王子であるエスタロッサには いる様子がない。(ペロニアは後見人の立場に思われない。)
- メリオダスの
全反撃 (魔力)はチャンドラーに伝授されたもので、彼はメリオダスを溺愛している。エスタロッサも全反撃 (物理)を使うが、彼はエスタロッサに少しも関心を持っている様子がない。(チャンドラーの全反撃 は、魔力・武力の両方を反射できるのか?) - キューザック曰く「奴から漂う説明のつかない違和感と異物感」「その正体はわからんが とにかく不気味な男」
- メリオダスは鎧、ゼルドリスは剣に、何故か「
女神の紋様 」をあしらっているのに、エスタロッサだけは一切 身に着けていない。
エスタロッサはメリオダスに酷似しているわけではない。誕生日も年齢も違う。
それでも、エスタロッサとメリオダスには、何か不自然な繋がりがあるのではないかと想像させられます。
たとえば、メリオダスから取った何かからエスタロッサは造られている。あるいは、エスタロッサにメリオダスから取った何かが移植されている。
ペロニアがエスタロッサに「実験」を行ってきたらしい点も気になるかも。
しかし、説Bを採った場合でも、矛盾点が出てきます。
エスタロッサの夢の中のエリザベスが
「また お兄さんと喧嘩したの…?」
と言っているからです。お父さんじゃなく。
もし、これが本当はメリオダスに向けた言葉なら、メリオダスに兄がいたことになってしまいます。
メリオダスはエスタロッサとゼルドリスの兄で、今回エスタロッサが「この世に たった三人の兄弟」だと言っている。彼が三人兄弟の長男ならば、兄がいるはずはありません。
…まあ、今は死んでいるけど3000年前にはメリオダスにも兄、または兄的存在がいたと こじつけることも不可能ではないでしょうが…。例えば術士ゴウセル辺りとか。
さて、答えはどうなるんでしょう。
説A系なら、エスタロッサはエリザベスに横恋慕しつつ報われることなく情けなく倒されていく当て馬役になりそうです。
説B系なら、彼が死ぬことでメリオダスが完全体になるのかもしれません。
それと、説A系だとするならば、エリザベスの記憶は完全に戻っていないということになるので、三日殺しの呪いも発動していないことになる、のかも?
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ペロニアちゃん
第236話に後ろ姿だけ出ていたペロニアが、正式に登場しました。
まさか、この後ろ姿で↓
前から見るとコレだなんて。↓
度肝を抜かれましたよ。
なにこの騙し絵みたいなの(苦笑)。びんぼっちゃま みたい。
ペロニアはエスタロッサと親しいようですが、チャンドラーやキューザックのような教育係・後見役ではないようです。また、キューザックより格下らしい。第248話で彼を「様」付けして呼んでいました。
エスタロッサが目覚めた時、ペロニアに向けて
「看病? 実験の間違いだろ…」
と言っていました。
ペロニアはマッドサイエンティスト系の魔術師…なんですかね?
小動物じみた可愛らしさのおかげで無害っぽく見えますが、実はエスタロッサの身体に改造・管理を施していそうな疑惑が湧きます(笑)。
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時間経過の考察
目覚めたエスタロッサが「どれだけ俺は寝てた?」と尋ね、ペロニアが「三、四日ってトコでしね」と答える場面がありました。
三、四日? いつから数えてなんでしょうか。
第236話にエスタロッサが数分だけ目覚める場面がありますが、あれは作中時間で この日の昼のはずですから、当てはまらないでしょう。
となると、キャメロットに運ばれてカプセルに入れられてから?
まさかエスカノールに倒された日(リオネス防衛戦)から ここまでで 三、四日しか経ってなかったということですか!
うーん。
「今日」を起点にして、起きたことを遡って数え上げてみましょうか。
日付 | 起きたこと |
---|---|
リオネス 防衛戦の 5日後 (エリザベスの 呪い発動 1日目) |
第225~ |
リオネス 防衛戦の 4日後 |
第225話
|
リオネス 防衛戦の 3日後 |
第221~224話 |
リオネス 防衛戦の 2日後 |
第216~220話 |
パラレル? | 番外編『戦え!! 残飯処理騎士団団長』
|
リオネス 防衛戦の 翌日 |
第197~ 番外編『やさしい魔法の解き方』
|
およそ 一ヶ月後 (4月末~5月頭) |
第183~196話 |
3月29日 (王都決戦の 9日後) |
第177話 |
3月28日 (王都決戦の 8日後) |
第155~176話
|
…なるほど。
ホークが変身して暴れた番外編をパラレルと見て除外して数えれば、リオネス防衛戦(エスタロッサがエスカノールに吹っ飛ばされた日)から、ちょうど今日で五日目なんですね。
※最初、オーダン村に立ち寄った日のことを忘れて四日で数えてたのに気付いて、五日に修正しました。(^^;)
第234話で、バイゼル大喧嘩祭りでアーサーと知り合った ななしが
「上出来だ アーサー この数ヶ月で よくここまで到達した」
と言ってたので、まさか防衛戦の後から 一ヶ月以上も経ってたのかと惑わされましたが、結局、新<豚の帽子>亭は一日で建造され、<大罪>は防衛戦後すぐにキャメロットへ向かっていたんですね。