『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第289話 <傲慢>vs.「敬神」

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週刊少年マガジン 2018年 50号[2018年11月14日発売] [雑誌]

第289話 <傲慢>vs.「敬神」

  • 天上天下唯我独尊ザ・ワン
    炎の闘神のような大男が小柄な少年に歩み寄っていく。
    「なんだ奴は!? 「凶星雲オミノス・ネビュラ」の影響を受けず平然と立っているだと…!?」
    両腕で壁に己を縫い止めたキューザックが驚き、その隣でチャンドラーが唸った。
    「あの魔力!! どこかで!!」
  • お前の次兄エスタロッサだけでなく長兄メリオダスも自分に倒された。そう言ったエスカノールに、ゼルドリスは淀みなく言葉を返す。
    メリオダスを倒した? …それが本当だとすれば本気のメリオダスではなかったということだ」「奴は強すぎるが故に いかなる強敵をも侮りかかる悪い癖があった まあ自業自得だろうが」
    ◆「強すぎるが故に いかなる強敵をも侮りかかる悪い癖」。いわゆる舐めプですね。ホントだよ…。強敵どころか格下も漏れなく侮って、ギルサンダーにすら殺されかけてたよ…。そんで後で「本気出してなかっただけですが何か」というフォローが来る。

    あと、強すぎるが故に本当の意味で仲間を必要としてないように見えます。廃都コランド戦見るに、仲間愛を語りながら仲間の強さを真には信頼してなかったですよね。任せて待つってことが出来なかった。独断専行を繰り返し、作戦は「各自突撃、俺も突撃」になりがち。強すぎるせいで、物事を本当の意味で突き詰めて考えてこなかったのでは。どんなことも大抵 自分独りの力圧しで どうにでも出来てきちゃったから。
    たった一つ ねじ伏せられなかったのが魔神王と最高神でしたが…。今の流れだと これも「俺が真の本気出したら倒せますが何か?」になりそうですよね。<大罪>は露払いか元気玉要員なんだろうしなあ。
    煉獄編で限定条件下の弱体化したおかげで やっとバンに弱音を見せてくれたと安心してたら、条件無視した超強化して「今まで本気出してなかっただけ。その秘密はバンにも話しません」状態に戻ったのには苦笑させられました。バンさんは君のために全てを捨てて1000年すらかけてくれた、死すら超えた間柄なのに、今更、何をまだ取り繕って秘密にする必要があるのか。メリオダスの心のシャッターの厚さは計り知れません。
    最終回までに腹を割ってくれるのか、最後まで「本気出してなかったし言ってなかったけど俺 本当は一人で勝てるんですけど何か?」を貫くのか。
  • リュドシエルはギルサンダーと折り重なって埋もれた壁からパラパラと小石を落とし、動かない。
    マーリンはヘンドリクセンを連れて瞬間移動テレポートを続けている。
  • ゼルドリスは言った。
    「しかし この俺は違う 相手が獅子だろうと羽虫だろうと――」「全力で仕留める」
  • ニイ、とエスカノールは口角を吊り上げる。こめかみに血管を怒張させ、まるで邪神のように。
    わら
    容赦なく戦斧で強打した。
  • ドウオッ
  • 顔を歪めて力を込めるエスカノールに対し、ゼルドリスは涼しい表情を崩さない。
    吹き荒れた闘気は壁に貼り付いた大繭すら揺らし、苛正しげに見守る老魔神たちも埃にまかれた。
  • 「……!!」
    マーリンは驚く。エスカノールが地を滑って1mほど後退させられたのを見たからだ。
    「“天上天下唯我独尊ザ・あの状態”のエスカノールの攻撃をも弾き返すか…!!」
  • ゼルドリスは位置を変えず無傷である。対して、戦斧持つエスカノールの右腕は袖が破れ、肌に無数の小傷が走っている。
  • 「ありえん… かすり傷しか負っていない!?」
    キューザックが唸った。
  • 「……」
    微かに刃こぼれを起こした己の神器を見つめたエスカノールは、それを指先で地面に放る。
  • 「?」「武器を捨てて命乞いを――」
    ゼルドリスはいぶかしんだ。
    「…する気ではなさそうだな」
  • 嗤うエスカノールは、親指を除く四指を立てた右手を、ぬっと己の眼前に差しかざす。
    “聖剣
    それを掲げ、
    エスカノール”
    勢い良く振り下ろした。ゼルドリスの頭上めがけて。
  • ギイン
    たちまち返った無数の反射斬撃に手を震わせながらも引くことなく。
    ギギギギギギ
  • 「手刀だと!!? 本気か!!?」
    キューザックは驚くばかりだ。
    「「凶星雲オミノス・ネビュラ」発動中のゼルドリス様の間合いに入って無事に済む生物など存在せん… 人間如きに なぜ ここまでの力が!!」
  • 歯噛みする戦友の隣で「……」と考えに耽っていたチャンドラーが叫んだ。
    「間違いない!!! あれは恩寵だ!!!」「怨敵<四大天使>!!! マエルの「太陽」!!!」
  • 「…!!」
    キューザックは息を飲む。
    最高神が女神族に与えし力か!? だが あれは人間だ」
    「おそらくは!! 死んだマエルから!! はがれた恩寵が!! 永き時を経て!! 人間あやつの体に宿った!!」
    反射斬撃の轟音に負けぬよう声を張る戦友に、キューザックは意を酌んで言った。
    「…ということはチャンドラー!!」
    「うむ!!」
    戦友は阿吽でいらえる。
  • エスカノールは手刀を押し込み続け、ゼルドリスの反射斬撃フルリアクトは続いていた。
  • 「わからんな…」とゼルドリスは睨む。「これは魔神族と女神族との永きに及ぶ因縁の争い」「人間である貴様が己の命を懸け 戦う理由とは なんだ?」
  • 歯を剥いてエスカノールは返した。
    「全ては友のため」
  • 「……」「エスカノール…」
    マーリンが呟きを落とす。
  • その間にも、手刀は次第に深く押し込まれていく。
    「まずい…!! 押されている!!」とキューザックが焦った。
  • 「あの冷酷非情のメリオダスを「友」だと…?」「笑止!!」
    ドンッ
    ゼルドリスの攻撃が手刀を押し返す。
    「そんな生っちょろい感情など持ち合わせる男ではない!!!」
  • エスカノールは大きく揺らいだが諦めなかった。再度の気迫を込めて押し込んだ手刀は。イイィ…ンと金属質の唸りを残して停止したゼルドリスの剣に受け止められていたのだ。
  • 「ぐ…!!!」
    横一文字にした剣を両手で掲げ、歯を食いしばって手刀の押し込みに耐えるゼルドリス。全反応フルリアクトは解除されている。
  • 「間合いを潰した!!!」
    驚きの声をあげたキューザック、そしてチャンドラーの はためいていた髪や髭が元に戻った。
  • 「こ…これは!! ゼルドリスの力場が消えた?」
    ヘンドリクセンが片手をついて床に降りる。
    「…よくやったエスカノール」
    その隣にフワ…とマーリンも降り立った。吸引力が失せたので、己とヘンドリクセンを宙に浮かせるのをやめたのだ。
    「「凶星雲オミノス・ネビュラ」の強制解除に成功したな」
  • 「ちっ」
    舌打ちして、ゼルドリスは押し負ける前に後ろに跳びのいた。支えを失った右の手刀は床を砕くが、既にエスカノールは左手を構えている。
    「逃がさん」
    左人さし指を突き出すと、未だ空中にあった…回避できないゼルドリスの腹を一突きしたのだ。
    “聖槍エスカノール”
  • 「が…」「あ!!」
    ゼルドリスは血を吐いた。
    並の男の腕ほどもある人さし指は、腹を貫きこそしなかったが、半ば刺さって血が流れ出し、バキ ベキベキ と骨の砕けていく音が無残に響く。
  • 「ゼルドリス様ーーーーー!!!」
    キューザックが叫んだ。
  • 「貫け」
    エスカノールが情け容赦なく殺そうとした、その時。
  • 「………はら?」
    ぷしゅう、と空気が抜けたように縮んで、燃える大男は小柄で貧相な中年男に変貌、ぺそりと床に落ちたのだった。
  • エスカノール殿の姿が……!!」
    焦るヘンドリクセン。正午までの1分間は尽きているから「天上天下唯我独尊ザ・ワン状態モードは いずれ終わるところだっただろうが、夜には程遠いというのに。
  • 「!!」
    マーリンはハッとし、「やってくれたな…!!」と僅かに眉根を寄せる。
  • 吸引力が失せて自由になったチャンドラーが竜の翼を広げて舞い上がり、杖を掲げていたのだ。「ニイッ…」と勝ち誇った笑みを浮かべて。
  • 暗夜の帳ダークネス
    キャメロット一帯が時ならぬ夜のとばりに包まれていた。「本物の夜を連れてくる」チャンドラーの魔術だ。エスカノールの「太陽サンシャイン」も これには敵わず力を失ってしまう。
  • エスカノールが力を失った、その数瞬。
    貫通を免れたゼルドリスは、緩い放物線を描いて仰のけざまに宙を飛んでいた。
  • [この時 ゼルドリスから二つの魔力が消失していた][エスカノールの一撃により 一瞬 気を失ったことで解除されたためである]
    [だが 魔界の王子は即座に目を醒ました][その間 わずか0.8秒][さらに そこから][「魔神王」の再発動まで およそ1秒]
  • カッ
    閃光がけ抜け、眩く広がる八角星がゼルドリスを撃ち叩いた。
    黄金の輝きゴールド・シャイニング
    純白の四翼を広げたリュドシエルが、ゼルドリスの脇を飛び抜け様に星型の光輝を放ったのだ。
  • 驚きと怒りを目に燃やすチャンドラーとキューザック。
    不敵に口角を上げるマーリン。
    床に這いつくばって顔を上げる痩せっぽちのエスカノール。
    ヘンドリクセンは ハッと一方を見やった。リュドシエルと共に壁に埋もれていたはずのギルサンダーは、穴から落ちて壁に寄りかかり項垂れている。意識がないようだ。
  • それらを含む数瞬を越えて、マーガレットの器に宿るリュドシエルはトン、と軽やかに床に降り立つ。
    全身から血を噴いて落ちていくゼルドリスを女神族の紋様トリスケルの瞳で肩越しに見やると、涼やかに言った。
    「…私の前ではまばたきが命取りになると思え」
  • 次回「小賢しき蛆虫うじむしたち」

聖槍エスカノール!

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シュール(笑)。

この大きさ対比だとエスカノールがディアンヌ並みに巨大化してることに?

小中学生の ちびっ子たちは真似して遊びそうですね。

手刀が聖剣、指差しが聖槍なら、ゲンコツは聖鎚せいついエスカノールでチョキは聖鋏せいきょうエスカノール?

聖槍は突き指しそうで不安だから両手を合わせて突いたら より心強いかもしれない。と思いましたが、見た目カンチョーみたいだからダメか。(あの遊び、日本と韓国にしかないと聞いた気がしますが本当でしょうか。)

 

殲滅状態アサルトモードメリオダスとの戦いで初めて聖剣エスカノールを披露した際は、手の指を折られて神斧リッタが持てなくなったから緊急の代替え的に使ったんだと思ってたんですが、今回の様子見てたらリッタが刃こぼれしたので捨てて手刀に換えてて、え、じゃあマジに神器より素手の方が強いんかい、とビックリするやら呆れるやら。(^^;)

生身の肉体を武器にする点で、なんとなく、ゲゲゲの鬼太郎の「指鉄砲(ホントに指飛ばす)」とか「髪の毛針(使いすぎるとハゲになる)」とかも連想しました。『マガジン』連載仲間だし。

エスカノールさんも、最終的に頭から回転体当たりして「聖砲エスカノール!!!」なんてのもやれそう。またスピンオフギャグ漫画が始まったら そこで見たいかもです。

 

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魔力「魔神王」の効果

 

 

今回、「魔神王」の魔力がまだ切れていない時点で、「聖槍エスカノール」がゼルドリスに大ダメージを与えました。

以前(第286話)から、マーリンとリュドシエルの魔力攻撃はゼルドリスに何の効果もなく、しかしリュドシエルの剣撃は彼の肩を切り裂いていたわけで、どうやら魔力攻撃は無効化するが物理攻撃は普通に通るらしい。

でも、待ってください。魔神王の魔力って「全ての攻撃を無力化する」ものでしたよね?(第283-284話)

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「自分に向けられた どんな攻撃と弱体化も治癒と強化に反転する」

私はこれを、魔力攻撃はもちろん物理攻撃も反転して無効化するのだと解釈していました。でも、実は無効化できるのは魔力攻撃だけだったんでしょうか?

しかも、二話先の第291話の柱に書かれてあった担当編集さんによる注釈には、以下のようにありました。

大罪用語集「魔力・魔神王」

ゼルドリスが魔神王代行として貸与されている魔力。攻撃魔力を反転させ、実質的に無効化させる能力を持つ。

魔力攻撃しか反転させないの?

じゃあ、煉獄でメリオダスの剣や拳の物理攻撃やワイルドの体当たりが効果なかったのは、魔神王の魔力は関係なく、単に弱くて彼らの攻撃が通らなかっただけだったんですか?? 

とても釈然としないです。

 

それとも、魔神王が使う魔力「魔神王(支配者ザ・ルーラー)」と、ゼルドリスが貸与されている魔力「魔神王」は効果が違う……劣化モノってことなのかなあ。

スッキリしないので、いつか作中で説明があると良いのになと思いました。

 

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同種族には優しく平等だが、異種族に対しては強い差別主義者

 

 

…と言うと、リュドシエルのことだと思いますか?

今回分を読んで その評価を抱いたキャラは、ゼルドリスでした…。

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 「わからんな… これは魔神族と女神族との永きに及ぶ因縁の争い」「人間である貴様が己の命を懸け 戦う理由とは なんだ?」

何言ってんだ この人。

唖然としてしまいました。

本気で言ってるんでしょうか?

 

ゼルドリスは部下を率いて人間の国を襲い、破壊し、奪い取って、大勢の人間を殺し、魂を喰い、封印解除の燃料として消費した。

その状況で、なんで「関係ない人間が何で戦う?」なんて言えるのか?

 

ゼルドリスは人間を女神族の下僕の泥人形か何かと思っていて、同胞が殺されようと生活を破壊されようと怒りも悲しみもしないし戦う気概もないとでも思っているのでしょうか。

そもそも、封印から出て最初にメリオダスと顔を合わせた時点(第135話)では

「…する話などない」「あるのは メリオダス お前への怒りと四種族への復讐心だ」

と言ってて、人間族にも復讐心を持っていると言ってましたよね。

なのになんで「魔神族と女神族の戦いだから人間は関係ない」なんて今更言うの? 人間が戦うことを疑問に思えるの? 作中時間で今朝、王国を取り戻そうと戦いを挑んできたアーサーのこと忘れたの?

 

ゼルドリスへの好感度が少し下がったかも…。(^^;)  魔神族の中では一番好きだったんですけどね。

 

 

 

エスカノールの「全ては友のため」という返答はかっこいい。バンも己の全てをなげうって煉獄へ行ったし、キングも命を捨てる覚悟で戦って「運命の仲間だ」と言い切ってました。素晴らしい友情だと思います。

けれど私は正直、メリオダス(とエリザベス)はその友情に見合うものは返せていないと思っています、現状では。

たとえて言うなら、大金持ちのお坊ちゃんが駆け落ちしたら親にカード停止されて嫁が重い病気になって親を恨みつつ金が必要なんだと無知な友人たちに詳しい事情は言わないまま金を出させて、お人好しな友人たちは自分の家屋敷はおろか臓器まで売る勢いで金を集めたけど、その程度じゃ足りないから俺 実家に帰るわ~と立ち去り、実家で弟や父の部下たちから金を奪って(元々親父のカネだから俺が手に入れていい理論。しかし家は継ぎたくないと言う)、彼を連れ戻すと言う嫁に従ってお人好しな友人たちがお坊ちゃんの家と抗争をしてる最中に、実は俺 隠し口座持ってるんだ親父の資産より上の、とお坊ちゃんが言い出した…みたいな。

友人たちは なんで そうまでしてお坊ちゃんと嫁に尽くさなければならないのでしょうか? もはや友情の域を遥かに超えていないでしょうか?

…って思っちゃう(;^ω^)。

もちろんメリオダスたちだって仲間を助けてくれていますが、仲間の方の負担が大きすぎる。大金持ちが資産の一部を出すのと貧乏人が臓器売って金作るくらいの差があるように見えちゃいまして。

「オレ本気出してなかったんだけど何か? まだ隠してることがあるんだけど何か?」と言い続けるメリオダスを見ていると、そう感じてしまいます。

 

ごめんなさい、あくまで個人の感想です。

でもメリさんエリさん、全てが終わったら仲間に本当の意味で感謝するのがいいと思うよ。二人の恋愛のために周囲に負担掛け過ぎたのだから。無償の愛の親や妄信の信徒でもない限り、ここまでしてくれる友達っていないよ普通。ここまできちゃうと、「友達だから」で片づけていいレベルを超過してると思います。 

 

 

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