『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第288話 オペレーション“ゴッド”

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週刊少年マガジン 2018年 49号[2018年11月7日発売] [雑誌]

第288話 オペレーション“ゴッド”

  • 佇むゼルドリスから発される引力。両脚を膝まで床に突き入れて抵抗するエスカノールをも、床を脚で抉らせ、グイグイと引き寄せている。
  • 「今わかっている事実… ゼルドリスは「魔神王」の魔力で完璧に魔力攻撃を無効化し――」「本来の魔力「凶星雲オミノス・ネビュラ」は我らを強力な吸引力で引き寄せ こちらの攻撃が届く前に目に見えぬ謎の攻撃を仕掛けてくる」
    エスカノールの腕に抱えられたマーガレット…その器に宿るリュドシエルは言った。
    「その攻撃の正体は闇の力によるものか… 姿の見えぬ新手の刺客か」「見当はつかんが この私が見切れぬ時点で奴の剣技によるものではあるまい………!!」
  • リュドシエルは己の反応速度に絶対の自信を持っている。最高神かみに授かった力なのだから。
  • 「いいな 手はず通りにやれ」
    「仕方ありません…」
    不服そうに目を閉じると、エスカノールはリュドシエルを両手で軽く抱えあげて顔を背けた。
    ◆いつの間に手はずを伝えたのでしょう。リュドにはテレパシー能力がある? 描写されてないけど耳打ちをした?(中身がリュドとはいえ、抱きかかえたマーガレット姫に耳打ちされてる絵面は、傍から見たら萌えますね。)
  • 輝閃ルビー・シャイン
    リュドシエルが印を結んで挙げた右手の先が鮮烈に輝き、一帯が白光に満たされる。
  • 「む?」
    たまらず目をつぶるキューザックとチャンドラー。
    ゼルドリスも僅かに目をすがめた。
  • その一瞬を狙い。
    無慈悲な太陽クルーエル・サン
    エスカノールが小太陽を投げつけた。…ゼルドリスにではない、その足元にだ。そしてリュドシエルは翼を出して跳ぶ。
  • 小太陽は床を砕き、閃光と熱光を逆光にして辺りじゅうに撒き散らされた瓦礫の中にリュドシエルは紛れた。エスカノールの巨体すらも。
    「いくら厄介な技でも確実に盲点は在る!!」「我らの攻撃を見切り反撃する―― つまり「全反撃フルカウンター」と同じ理屈だ …ならば――――」「反撃のタイミングさえ計らせなければいい!!!」
  • 瓦礫に紛れた二人はそれぞれのタイミングで攻撃を放った。エスカノールは神斧の一閃を、リュドシエルは光まとわせた手刀の一刺しを。
  • そして走り抜ける光。
  • バチッ
    二人は弾かれ、
    ドドン
    またも後方の壁に激突したのである。
  • 「なんだと……!!」
    さしものマーリンも瞬間移動テレポートを繰り返しながら驚愕した。リュドシエルの作戦が的外れだとは、彼女も思っていなかったのだ。
    「くっ…!!」
    動揺した一瞬に吸引され、慌ててもう一度 瞬間移動テレポートして距離を開ける。
  • 「がはっ…」
    エスカノールも、
    「ごほっ…」
    リュドシエルも、壁に背中からめり込み、それぞれ胸に斜めに走った切り傷から血を流していた。
  • ゼルドリスは変わらず吸引力を発しながら剣を片手に佇んでいる。
  • 「なぜ… 攻撃が見切られた!?」「奴の視界を遮り… エスカノールの放った魔力の爆発で我らの気配は隠蔽カムフラージュしたはず」「うっ」
    悔しげなリュドシエルの体が壁から引き剥がされ、
    「ぐっ」
    同じくエスカノールも剥がれ落とされて床に四つん這いに着地した。
  • 「ぐ… くく」
    床にしがみついて吸引に耐える二人。
  • 「時間が惜しい」「本気で行くぞ」
    そう言ったゼルドリスの魔神の紋様が左額から眉間に動き、形を変える。
  • 「なん…だと!?」
    吸引に耐えながら驚くリュドシエル。
  • 「ハアア…!!!」
    剣持つ手を掲げて気合いを発し、ゼルドリスは脚幅を広げて姿勢を低く前傾させた。
    途端に、呼吸すら奪われると錯覚するほどの吸引力が周囲を襲ったのである。
  • 「「!!!」」
    エスカノールもリュドシエルも、殆ど地面に貼り付くようにして耐えた。
  • 「吸引速度が倍増した!!?」
    瞬間移動テレポートを繰り返していたマーリンの体が強風の中の木の葉のように舞い、ヘンドリクセンらと共に吸い寄せられる。
    (“瞬間移動テレポート”が)(間に合わな――)
  • 「まずは お前を始末し戒禁を奪うとしよう」
    見る間に近付くゼルドリスが無慈悲に言った。
  • ドコオッ
  • 「かはっ」
    壁に叩きつけられたマーリンは肺の空気を吐き出す。
    「!!」
    次いで気付いた。自分が逞しい腕に抱き込まれていたことに。
  • エスカノール…」
    抱きしめた腕で壁から、覆う背中で攻撃から護ってくれた男の名を呼ぶ。彼の背に獣の爪痕のように開いた傷から噴水のように血が噴きあがっていた。
    「すまない…!!」
  • なお、身を丸めた彼の太腿の上…壁と腹の間に作られた隙間…にはヘンドリクセンとギルサンダーが乗せられており、やはり護られている。
  • 「我は… 己の心に従ったまで……」
    詩のような言葉で伝えた血まみれの男は、彼女が苦しそうに顔を歪めたのを見て顔色を変えた。
    「! … マーリン?」
    左手のひらで彼女の後頭部を庇い、神斧持つ右手は腰の後ろに回して、彼女の体が直に壁に叩きつけられぬよう配慮した。そして攻撃は全て自分の体で防いだつもりだった。
    なのに。彼女の右肩に浅くはない切り傷が走り、血が流れだしている。
  • 「…!!」
    エスカノールの目が見開かれる。
    「おおおおお!!!」
    吠え猛る男の背に炎が上がった。
    暴発する矜持クレイジー・プロミネンス
    あろうことか、背から無数の燃える岩塊が火山弾のように飛び出したのだ。
    エスカノールがこんなに燃えてるのに、彼が抱き込んでいるマーリンやヘンディ、ギルには何の影響もない。元々は、昼のエスカノールは近くにいるだけで熱くて耐えられない(熱をコントロールできず、仲間を傷つけるリスクがある)と語られていたのに…。その設定、いつの間にか無かった事になってるみたいですね、例によって。
    ところで技(?)名が「暴発する矜持」ってことは、「護れなかったことでエスカノールの矜持が傷つき、暴走した」って場面だと解釈すべきなんでしょうか。それとも「矜持プライドエスカノール」ってだけの意味なんでしょうか。
  • 燃える岩塊は辺り中に激突した。
  • ゼルドリスは髪の毛一筋も怯まない。眼前で炎が飛び散ろうと。
    ◆ゼルドリスの眼前でジュッと飛び散っている炎。これ、どういう意図の描写なのか解らなかったです。
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    炎が顔に ぶつかったのにゼルは平然としてる、って意味?
    炎はゼルの「正体不明の攻撃」を突破できる、という意味?
    それとも、炎は「正体不明の攻撃」によって眼前で四散してゼルには当たらなかった、という意味?
  • 「ぬがっ」
    「ぐおっ」
    壁に自らを固定しているチャンドラーとキューザックは逃れられずに打たれている。
  • 「私まで巻き込む気か!!」
    同じく、床に貼り付いて吸引に耐えていたリュドシエルの周囲にも幾つもの燃える岩塊が激突していた。
  • 見境のない攻撃は天井に亀裂を走らせる。丸く割れた天井がごっそりと崩落してくるのをマーリンは見た。それはゼルドリスの真上に落下したのである。
  • だが。ゼルドリスは押し潰されはしなかった。
    チュイン
    まるで電動ドリルで岩を砕くような甲高い音だ。
  • 「!!!」
    ハッとするマーリン。
  • チュン チュ チュン チチチチチチュン チ…チ チチ チ チッ
    音は続き、その度に落下した天井が削れて砕かれていく。しまいに砂のようになって飛散した。
  • その後には元のまま、ゼルドリスが佇んでいる。
    落下した天井は円型の外側だけが型抜きされたように残っていた。そう、彼を中心にした球状の破砕領域の存在を示して。
  • 「これほど単純シンプルで凶悪極まりないものだとは…」「…奴には視覚も聴覚も気配すら関係ない…!!」
    マーリンは漸く理解した。視界や気配を隠蔽したリュドシエルの作戦が功を奏さなかったわけだ。
    「「凶星雲オミノス・ネビュラ」の正体――
     極限の集中状態コンセントレーションで奴は自身の闇を高速で回転させ渦を生み出し 周囲の生物を猛烈に引き寄せる」「真空に空気が一気に流れ込むようにな……」

    「……そして間合いに入る あらゆるものを脊髄反射による回避不可能の神速の斬撃で斬り散らすのだ 言うなれば―――」「「全反応フルリアクト」!!!!」
  • 彼女の声をリュドシエルは聞いていた。
    (神速…)(形容ではなく)(「閃光このわたし」すら凌駕する神の領域だと!?)
    確かに、自分には見切れなかった。あの攻撃が剣技だということすら。「閃光」は最高神かみに授かったもの。それを超える力を、王子とはいえ魔神が、単独で体得しているというのか。
  • 過ぎったのは敗北感、諦念と絶望。
  • 「…っ」
    だが、リュドシエルは歯を食いしばる。
    「それがなんだ……!!」
    右手にキラキラしい光が沸き上がった。大剣と化したそれを手に、四翼を広げて跳ぶ。
    「私には聖戦このたたかいに勝利する責任と義務がある!!!」「<四大天使>長として… <光の聖痕スティグマ>指導者として!!!」
  • 「………!」
    意識を取り戻していたヘンドリクセンがハッとした。
  • ギルサンダーは朦朧と呟く。
    「マ…」「ガ…」
    その身体から微かな放電が瞬いた。
  • 「私は……」リュドシエルは叫ぶ。
    「―――私は!! そのために全部を犠牲にしてきた!!!」「愛情も!!! 友情も!!!」
    友の亡骸を抱いて哭泣した日のことも。たった一人残った弟を奪われたことも。忘れるはずがない。投げ出すことなど、『許される』ことなどありえない。
    「下劣な魔神族には理解できまい!!!」
  • いちかばちか、真上から吸い寄せられ様に光の大剣で刺し通そうとした視界の端を電光が過ぎった気がした。同時に閃くゼルドリスの見えぬ剣筋。
  • 不可避の攻撃は鮮血を迸らせた。電光のような速さでリュドシエルの…マーガレットの前に割り込んで庇ったギルサンダーの胸鎧を裂いて。
    ◆強調されたギルの放電の描写と、神速の攻撃に なんとか割り込んでマーガレットを庇えた速さ。愛の力か、ここにきて新たな力に覚醒したのか?
  • ギルサンダー!!!」
    ヘンドリクセンが叫ぶ。
  • 諸共に、ギルサンダーとリュドシエルは壁に叩きつけられた。二人が重なったぶん衝撃は大きく、壁に穴を開けて、リュドシエルを下に折り重なって沈黙する。
    ◆リオネス防衛戦でエスタロッサがエスカノールに小太陽をぶつけられて吹っ飛ばされた時、兄を救おうと後ろに回って押さえたゼルドリスの行動が、逆にエスタロッサを小太陽に押し付けたみたいになってて微妙な感じになってた(苦笑)ことがありましたが、このギルサンダーの行動にも似たものを感じました。

    ゼルの斬撃からマーガレットを護ったのは立派。暗黒領域に入って以来、バケモノたちの間で硬直しきってたのに よく頑張った。有言実行でカッコよかったです。
    しかし一緒に壁に叩きつけられたので、ギルサンダーと壁の間に挟まれたぶん、マーガレットのダメージは増大したのでは…という疑念が湧いてしまいました。(^^;)
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    だってリュド一人の時はゼルに吹っ飛ばされて壁に激突しても軽くめり込むだけで気絶もしてなかったのに、今回は壁に大穴開けて埋もれたうえ、ギルの下敷きになって気絶しています。
  • 「…残るはお前たちだ」
    こちらに背を向けて壁と自分の間にマーリンとヘンドリクセンを庇い続けているエスカノールを、ゼルドリスは見やった。
  • 強まる吸引力にも彼は耐え続けている。
  • 引っ張られた髪や髭が顔にかぶさってしまったチャンドラーが「むぐぐ」と呻く隣で、キューザックは こめかみに血管を怒張させて吐き捨てた。
    「しぶとい奴らだ さっさと始末されてしまえ!!」
    彼らとて この状態でい続けるのは辛いのだ。
  • どれほどの時が過ぎたのか。エスカノールが腕の中のマーリンに言った。
    「一分だけ耐えてくれ」
  • 「!!」
    彼の目を見たマーリンはハッとして、血の気の引いた顔に どうにか不敵な笑みを浮かべてみせる。
    「…よし… …私も二度とヘマはすまい」
    ぐっと唇を噛んで力を入れると、ヘンドリクセンを連れてエスカノールの腕の外に瞬間移動テレポートし、その場で目まぐるしく繰り返し始めた。
    超連続瞬間移動ちょうれんぞくテレポート
  • エスカノールはゆっくりと振り返る。
    吸引力などないもののように、自然な動作で。
  • 「……」「な…」
    キューザックは唖然と目を剥いた。ゆったりとゼルドリスへ歩み寄っていく男を目の当たりにして。
    「「凶星雲オミノス・ネビュラ」に影響を受けることなく己の意思で歩いている……だと!?」「化け物か!?」
  • 恐らく、ゼルドリスの間合いギリギリの地点なのだろう。2mばかリ開けた至近距離まで近づいて、彼は傲慢に語りかけた。
    長男メリオダスといい 次男エスタロッサといい」「貴様ら兄弟は よほど我に打ちのめされたいらしいな」
  • 「この魔力はどこかで…」と呟くチャンドラー。
  • スッとエスカノールは左人さし指を掲げる。そこから、全身から白熱する炎を揺らめかせながら。
    「…時は満ちた」
    天上天下唯我独尊ザ・ワン
    瞳の縁にすら炎を揺らめかせた異形の大男が、対峙する小柄な少年に向けて凶悪に口を歪めた。
  • 次回「<傲慢>vs.<敬神>」

ザ・ワン状態のエスカノールさん、相変わらず顔が怖い!(苦笑)

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小柄なゼルドリスに向かいザ・ワン状態の巨漢エスカノールが歩み寄っていく今回のラストシーン、そこだけ切り取って見たら、どっちが敵役なんだか判らない感じですよ(笑)。

 

 

そして今回、めちゃくちゃエスカノール×マーリンでしたね! もはや「匂いがする」どころでなく、完っ全ですよ。ヒューヒュー!

常に状況を支配コントロールする側にいて超然としていたうさんくさかったマーリンが、本当に追い詰められてエスカノールに護られた姿。エスカノールを信頼して超連続瞬間移動テレポートを頑張る表情。ぐっときました。

しかしマーリンの肉体年齢的な本性が幼女だと思い出すと…。

マーリンの肉体が大人に成長するまで待ってたら次世代編に二人の子供(仮)が間に合わないよ。その辺はどうなるんでしょうね。

プラトニックなままで終わるのか、マーリンの肉体時間の凍結が解けたら一定年齢まで一気に成長するとかの仕掛けがあるか、次世代編で二人の子供(仮)だけ十歳くらい年下になるか…。

 

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ゼルドリスの魔力・回答編

 

 

ゼルドリスの真の魔力「凶星雲オミノス・ネビュラ」の正体が明かされました。

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「「凶星雲オミノス・ネビュラ」の正体――
 極限の集中状態コンセントレーションで奴は自身の闇を高速で回転させ渦を生み出し 周囲の生物を猛烈に引き寄せる」「真空に空気が一気に流れ込むようにな……」

「……そして間合いに入る あらゆるものを脊髄反射による回避不可能の神速の斬撃で斬り散らすのだ 言うなれば―――」

「「全反応フルリアクト」!!!!」

 んん…?

これは魔力じゃなくて技でないの?(困惑)

ゼルドリスしかできない特殊能力っていうより、持てる力を組み合わせて工夫して編み上げた技、って感じがします。だって「闇を操る」のは魔神族全体の固有魔力で、間合いに入ったら反射で斬るっていうのは剣技では?

でも本人が「このゼルドリス本来の魔力」と言ったんだから そうなのか…。

メリオダスの「全反撃フルカウンター」も、魔力でなく他人に習った「技」でした、ってことになってるし。魔力と技の違いって何なんでしょうね。

 

 

周囲の生物を引き寄せる力は、「自身の闇を高速で回転させ渦を生み出し」て発生させているとのことで、やはり、元ネタは「ブラックホール」っぽいですね。

ブラックホールにも色々ありますが、中には

  • 高速で回転している

ものが観測されています。

 

ゼルドリスは吸い寄せた生物を斬って弾き飛ばしていました。

近年のアメリカの観測によれば、

そうです。

 

また、ブラックホールからは

  • (物理法則上、世界最速である)光すら脱出できない

とされています。

今回「閃光」たるリュドシエルが速さ勝負で「凶星雲オミノス・ネビュラ」に負けたと語られているのは、ここから想を得ているのかも?

 

ただし、実際の高速回転ブラックホールの回転速度は光速の84%とされており、光より遅いです。

そして、光がブラックホールから脱出できないとされるのは、超重力で時空すら歪ませるブラックホールは中心に近付くほど時間の流れが遅くなり、中心部では時間が止まっていると考えられているから。時間が止まっているなら どんなに速いものでも動きようがありません。しかしこれにも異説があります。高速回転ブラックホールの場合、中心である特異点がリング状になっていて、光はその穴を通って別の時空間に脱出できるだろうと。

 

これらを踏まえると、光であるリュドシエルがブラックホールであるゼルドリスに対抗する「目」は残されているのかも??

ちなみに、大きなブラックホールは太陽(恒星)すら楽々呑み込むとされていますが、ゼルくんは この漫画の最強枠たるエスカノールに対抗できるのでしょうか。

 

 

 

 

ゼルドリスは強烈に吸引した生物を手当たり次第に斬り捨てるという。その際、生物は遠くの壁に大激突するほど強烈に弾き飛ばされていました。

とゆーことは、ゼルドリスの斬撃のエネルギーが吸引のエネルギーを遥かに上回っているということになりますね。どんだけ激重い斬撃なのか。

その割にダメージ的に大したことないのは気になりました。人間であるヘンドリクセンやギルサンダーすら体が真っ二つになることもなく、むしろ壁にぶつかったダメージの方が大きそう。

 

そもそも「間合いに入るあらゆるものを脊髄反射」で「斬り散らす」って、つまり めくら斬りしてるってことで。見もしないで むやみやたらに斬ってる。

そんな斬撃では威力も半減以下でしょう。だから、必ず当たるけどダメージは小さめ、なのかなあ? 上手く斬れずに攻撃エネルギーが跳ね返す方に逸れちゃってる? たまたま上手くヒットしたら大ダメージも与えられそうではありますが、運に左右されそう。

 

正体が判ってみると「凶星雲オミノス・ネビュラ」は使い勝手の良くない技(いや、魔力)じゃないかなと感じました。

一対多数の戦闘なら大きな効果をあげられると思います。しかし味方まで見境なく吸引して斬り捨てちゃうから集団戦では使い難い。

また、結局のところゼルドリスが超集中して超速く闇を回しつつ超速くかつ絶重く斬り続けてるだけとなると、魔力・体力・気力共に大消費して、スタミナ切れも早いんじゃないかと思えてきます。

 

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公的な義務社会に尽くすか、私的な自由愛に生きる

 

 

3000年前、ネロバスタは言いました(第206話)。

「聖戦の勝利のために家族も友も捨て去ったリュドシエル様の覚悟を無駄にしてはならない…」 

友も家族も捨て去ったとはどういうことか。その回答が、今回 語られていました。 

「私には聖戦このたたかいに勝利する責任と義務がある!!!」「<四大天使>長として… <光の聖痕スティグマ>指導者として!!!」

「私は……」「―――私は!! そのために全部を犠牲にしてきた!!!」「愛情も!!! 友情も!!!」

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戦争のなかで家族や友人を失ってきたことを、指揮者の立場にある自身の責任と捉えていた。それを「犠牲にしてきた」と表現していたんですね。

 

第252話、リオネスでの同盟締結後の宴会でのリュドシエルの言葉

「私たちは かつて数え切れぬほどの犠牲を払い…」「身を焼かれるような… 大切な者との別れも味わってきた」「その気持ちは女神族も人間も変わりはないはずだ……」

は、嘘ではなかったということか。

 

世界には色々な価値観があって、この漫画の中でも複数提示されています。

その中で最も良いと作者さんが考えているのが、主人公&ヒロインらの掲げる「私的な愛」を最重視する価値観でしょう。

リュドシエルの掲げた「私的な愛を放棄してでも公的な義務に尽くす」価値観は、もちろん否定されてはいませんが、悪役寄りのキャラであるリュドシエルに言わせている辺り、作者さんの中では あまり順位が高くない方の価値観なんだろうなと感じます。

 

しかし困ったことに、私はメリオダス&エリザベスのよりも、今回リュドシエルが掲げた価値観の方に より共感できるのでした。(^^;)

 戦争には絶対勝たなきゃならない! とか、勝つためには誰を犠牲にしてもいい! とかいうことではないですよ。「社会的にその立場にある者は、時に、私的な感情よりも公的な義務に尽くすべき時がある」ってところにです。それは苦しいことで難しいことだから、心打たれる部分があると思うのです。

 

ただ、リュドシエルは思い詰め過ぎてるとも思います。

第245話で

「(女神族と魔神族が)完全な決着をつけるためには双方どちらかが滅ぶしかないと」

と言ってましたが、単純に戦争に勝つんじゃなく、「滅ぼすか滅ぼされるかしかない!」みたいになっちゃってる。そこは解きほぐされて、和解に至ってほしいですね。

 

 

最後に。

回想イメージでリュドシエルが抱きかかえている女神族。どう見ても男性です。彼は何者なんでしょうか?

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え? マエルに決まってるだろって?

よく見てください。髪が短く見えますし、髭もマエルよりフサッとして見えますし、なにより服装が違います。マエルの上着は丈が もっと長くて脇にスリットもありません。ズボンの裾には細かくひだが入っています。

なので私は、これはマエルではなく、別の女神族の男性だと思いました。

 

で。台詞で

「愛情も!!! 友情も!!!」

犠牲にしてきたと言っています。「愛情」の方は、妻や恋人も入ってるかもしれませんが、家族であるマエルを意識した言葉だと思うのです、ネロバスタの「家族も友も」という言葉も併せて読むに。 となると、残るは「友情」です。

 

この男性は、リュドシエルの友人だったのではないでしょうか。それも、亡くなって哭泣するほど思い入れのある…親友だったのでは。

そしてまた思いました。この人、ちょっとヘンドリクセンに似てませんか?

 

どうしてリュドシエルは ああもヘンドリクセンを気に入っているのかと不思議に思っていましたが、死んだ親友に ちょっと似ていたからということなのかな、と思ったのですが、どうでしょうか。

 

 

 

 

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