『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第297話 太陽の救済

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週刊少年マガジン 2019年 8号[2019年1月23日発売] [雑誌]

第297話 太陽の救済

  • 「…一度は敵として戦った者と こうして再会しようとは…」「恩寵がもたらした不思議な巡り合わせかもしれません…」
    そう言いながら己をぶら下げて飛ぶ天使を、血にまみれ朦朧としたエスカノールは顔を仰のかせて見上げる。
  • 「あなたは… <十戒エスタロッサ…」「い… いいえ」
    その顔立ちは知っている。しかし髪型も服装も、なにより種族が違う。
    マーリンやキューザックが言ったことは本当だったのか、と思いながら確かめた。
    「<四大天使>マエル …なんですね?」
  • 女神族の紋様トリスケルの浮かぶ目を細めてマエルは穏やかに微笑む。
  • 気付けば、周囲には懐かしい仲間たちの姿があった。
  • エスカノール~~ ボロボロじゃない!!!」
    と顔色を変えて案じるディアンヌ
  • 「だいぶ手酷くやられたね」と言ったゴウセルは、彼を背に乗せたスカイマンタ型のホークが「お前も人のこと言えんだろーが…」と突っ込んだ通り、右目右手首を失った状態だ。
  • 「み…みなさん!! い… いや~~ 不甲斐なくて面目めんぼくありません」
  • 四枚の純白の翼で並んで飛ぶエリザベスが、引き締めた表情で右手をかざした。
    “健やかなれ”
  • エスカノールの全身が輝き、傷と血の汚れが綺麗に消えうせる。
    「ああ…!」「ありがとうございます エリザベス様」
    己の身体を確認してエスカノールは感謝した。
  • そして再び仰のいて、己をぶら下げた天使に話しかける。
    「そ… それにしても よく吹き飛んできた僕を見つけて捕まえられましたね…」
  • 「…妖精王が すべて見ていましたから」
    微笑むマエルは、振った顎で前方を指し示した。
  • 見れば、一行の先頭を飛ぶ人物がいる。スーツを着て見事な青い翅を生やした、見知らぬ青年……いや、『妖精王』…?
    「ふえええ!? キングくん!!?」
    妖精王の真の力に目醒めたとマーリンが言っていたが。別人のような成長ぶりに、変な声で叫んでしまう。
    ◆いい反応いただきました♬

    マエル曰く「妖精王が すべて見ていましたから」。
    キャメロットで霊槍を操りつつ、飛ばされたエスカの位置を捕捉追跡しつつ、今こうしてみんなとお喋りしてるんですね。キングさんのマルチタスク処理能力はズバ抜けてます。
    キングの元ネタと思われる妖精王オベロンも、森(異界)に居ながら遠い外界の様子を見聞きできる能力を持っていました。(心も読めるし、軽い未来視をすることもある。)なので、キングは本当に妖精王になったんだな~と、なんだか嬉しかったです。
  • 肩越しに微笑んでみせたキングは、すぐに表情を引き締めた。
    「キミが無事で何よりだけど…」「キミが抜けたことでキャメロットは だいぶ苦しい状況と言わざるをえない」
  • 「そ…」「そんな!」
    エスカノールの脳裏に、呪文を唱えるマーリンの横顔とメリオダスの籠る繭が浮かぶ。
  • そこで、ハッと閃いた顔をした。
    「そうだ…」「マエルさん! お兄さんから色々と話を聞いています」
  • 「?」と不思議そうにマエルが目を向ける。
  • 「僕の魔力「太陽サンシャイン」は…」「元々あなたの恩寵ものだったんですよね?」
  • マエルの顔から表情が消えた。構わずにエスカノールは訴え続ける。
  • 「マエルさん… どうか力を貸してください!!」「そのためならば僕は この「太陽サンシャイン」を喜んでお返しします!!」
  • 「………!」
    キングは声もなく驚いていた。
    エスカノールの魔力が… ええ?」ディアンヌも、
    「マエルの恩寵!!?」ホークも愕然としている。
  • 3000年前の情報を持つゴウセルやエリザベスは静かだ。
  • 「マエルさん!!」
    「……」
    沈黙の後、マエルは気まずげに口を開いた。
    「……もちろん あなたたちの力になるつもりです」「しかし 恩寵を受け取ることはできません…」
    「どっ… どうして!?」
  • 二人の会話をエリザベスは切なげに聞いている。
    恩寵しゅくふくのちからを失ったことがマエルを大きく傷つけ、代わりに しがみついた戒禁のろいのちからを漸く手放すことができて ここにいる。そこに至るには大きな犠牲があった。恩寵は今の彼にとり、己の罪深さの証なのだ。…今でも心の底では望んでいるだろうからこそ、尚更に触れ難くあるべきもの。
  • 「…恩寵は闇に染まった私を見限り 永い永い年月を経て あなたを新しい宿主として選んだのです…」「私にはもう資格がない」
  • 「お願いです…」
    苦しげに目を逸らすマエルを見てもエスカノールは諦めなかった。
    「…もう僕には「太陽サンシャイン」に耐えられるだけの寿命が残っていません…」「でも…」太陽このちから」がなければ魔神かれらには勝てない!!!」
    「…時間がないんです」「早くしないと… 取り返しのつかない事態になってしまう」
  • 「しかし………」
  • 「どうしても受け取れないならば……」
    エスカノールの目と声に力が籠った。
    「貸してあげましょう!!!」
  • 「……!!」
    マエルは唖然と息を飲む。
  • ガリガリチョビヒゲが傲慢発言かました!!!」
    驚くホークの背で、ゴウセルは静かに微笑んでいた。
    エスカノール…………」
  • 昼のエスカノールは過ぎるほど自信に満ち自己肯定しかしない傲慢な男だ。対して夜のエスカノールは自信に乏しく自己否定ばかりの卑屈になりがちな男である。どちらが本当のエスカノールなのかと、かつてマーリンが呟いたのをゴウセルは聞いたことがあった。
    太陽サンシャイン」が元はマエルの恩寵だった以上、本来のエスカノールは、その影響を受けていない「夜のエスカノール」の方なのだろう。
    だが。「太陽」は元々 性格を変える力ではない。恩寵を抱いていた頃のマエルは昼夜で性格や体格が変わることは無かったのだから。力の増減にテンションが影響されるのだとしても、「昼のエスカノール」の傲慢なほどに強い言動は、弱く自信を持てない彼の「理想の姿」に過ぎないのかもしれない。
  • すなわち、性格の変化をもたらしていたのは彼自身。昼も夜も、本当は変わらず同じエスカノールなのだ。
    今、弱いはずの夜の姿で、こうして傲慢とも言える強い意志を示すことが出来ているように。
  • 「だから…」「頼みます…」
    射貫くような強さを緩めぬ彼の瞳から涙が流れ落ちた。
    「僕の大切な人たちを救ってください!!!」
  • その言葉はマエルの胸を打った。脳裏に浮かぶのは懐かしい兄の後姿。

  • キャメロットでの戦闘は激しさを増していた。
  • 「はあぁ…!!!」
    雄叫びと共に、ゼルドリスは巨艙に神速の連撃を叩き込んでいる。
  • マーリンは火魔時計の前で呪文を唱え続けていた。
    (禁呪完成まで あと10分……)(メリオダス… 頼むから まだ目醒めるな…!!)
  • 「ごおおおおおおおおお~~~!!!」
    ガガガガガッ
    <原初の魔神>はリュドシエルの操る小型聖櫃アーク双剣を振り回して斬り続けていた。
  • 微笑んで、リュドシエルは右手に印を結ぶ。
    「<四大天使>長の力を見せてやる」
  • 「!?」
    周囲に手のひら大の女神族の紋様トリスケル型の光が無数に浮かんだのを見て<原初の魔神>が驚いた、次の瞬間。
  • 乱閃光ライトニング・スプリー
    バズッ
  • 無数の女神紋様光トリスケルから一斉に撃ち放たれた光線ビームが<原初の魔神>を蜂の巣にした。
  • 「ごぼっ…」
    血を吐いた<原初の魔神>は穴だらけだ。
  • 繭の傍から見下ろすヘンドリクセンは感嘆する。
    「すごい…」「エスカノール殿でも手に負えなかった化け物に傷を…!!」
  • <原初の魔神>は杖を差し向けた。
    獄炎極ヘルブレイズ・オメガ
    蜘蛛の足のように八方に炎の先を なびかせた円盤状の獄炎を放つ。
  • 「効かぬ」
    リュドシエルが片手を一振りしただけで、それは弾かれて消えた。
    次いで、巨大な女神族の紋様トリスケル光一つから極太光を撃ち出す。
    狂える電光スパーキング・ドライブ
    ドンッ
  • 「が…」
    上半身を呑み込まれた魔神は血を流して呻いた。
    そして、懲りずに再び同じ獄炎を放つ。
    獄炎極ヘルブレイズ・オメガ
  • 「…笑止」
    鼻で笑って、リュドシエルも再び腕の一振りで弾こうとした。
  • バリェッ
  • 「く…!!」
    ところが、威力が前より強いではないか。弾いたものの、押されて僅かに地を滑ってしまう。
  • 「何… 技の威力が突然増した…?」
    怪訝顔のリュドシエル。ニイ…と魔神が嗤った。
  • 「その薄ら笑いを やめろ……!!」
    「ごがっ!!!」
    腹を立ててキラキラしい光を顔面に投げつけてやれば、容易く命中して魔神は仰け反る。そして。
  • 獄炎極ヘルブレイズ・オメガ
  • ダラダラと血を流して間髪入れず放ってきたのは、またも。
  • バオッ
  • 「くおっ!!?」
    同じ術のはずなのに。
    弾きはしたが、リュドシエルは数m 押し飛ばされてマーリンに激突。彼女は勢いよく地に倒れ込んだのだった。
  • 「すまない… マーリン!!」
    「……っ」
    呪文も途切れて、彼女は なかなか起き上がれないでいる。
  • リュドシエルは歯噛みした。
    「おかしい… 奴のダメージは確実に蓄積しているはず」「にもかかわらず出力しゅつりょくが上がり続けているのはどういうわけだ?」
    細い目で魔神を睨んでいた顔がハッと震える。
    (あ… あれは…)
  • <原初の魔神>の輪郭が崩れていた。端から、少しずつ塵のように。
  • (<原初の魔神>の体… 受けた傷だけではない)(自ら崩壊しつつあるのか…?)
  • リュドシエル自身が光の粒になって崩れているごとく。
  • 一方、苦しげに起き上がったマーリンが術印を結び直しながら警告した。
    「リュドシエル……!!」「奴へのこれ以上の攻撃は危険だ!!」
  • 「流石は察しがいいな……」「そう これこそが我が真の魔力――」「己が命を削るほどに出力パワーは反比例し増大し続ける――――」「「終局クライシス」」
    魔神が嗤う。
    「…そして罪に逆らい元の姿へ戻った罰として この肉体はじきに崩壊を迎えよう」
  • 「フン… 我慢比べというわけか… 貴様が自滅するのが先か 我々が死ぬのが先か……」
    獣の四つ足で歩み寄る魔神。対峙するリュドシエル。
    ◆<原初の魔神>の足音が「タシ… タシ…」なのが犬か猫みたいで可愛い♡
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    肉球みを感じる音だ…。

    にしても。リュドシエルだけでなく<原初の魔神>まで自己崩壊間近とは。二人とも放っといても もうすぐ退場するんですね。在庫一斉処分セール始まった。

    <原初の魔神>、自由意思で簡単に元に戻れるのに、どうして それが「罰」になり得たんだろう。どうして二人は唯々諾々と分かたれたままでいたんだろうと不思議に思っていましたが、元に戻ったら すぐ自己崩壊して死ぬトコまでセットの「罰」だったんですね。納得!
  • 呪文を再開したマーリンは内心で焦っている。
    (まずいな… この速度ペース出力増大パワーアップし続ければ)(奴が自滅するまで とても持ちこたえることは不可能だ…)
  • 獣の足が地を蹴った。
    「新たな魔神王誕生のためなれば喜んで この命 捧げようぞ!!!」
    リュドシエル目掛け襲い掛かる。
  • 「くっ…」
    攻撃すれば更にパワーアップさせる。防戦一方では遠からず殺される。その迷いが、リュドシエルを躊躇させた。
  • 「リュドシエル様ーーーーーーっ!!!」
    ヘンドリクセンが叫ぶ。
  • 遠雷のような音が低く轟いた。夜空一面を覆っていた雲が大きく渦を巻いて、中心からスポットライトのように強い光が射し照らす。魔神たちとリュドシエルとマーリン、争いの渦中の四人を範囲に収めて。
  • 「ぬ…!?」「“暗夜の帳われのじゅつ”が……!!」
    攻撃を止めて見上げる<原初の魔神>。
  • 「これは…」
    同時に霊槍が姿を消し、ゼルドリスも動きを止めて様子を窺った。
  • 「闇夜に陽光が?」
    範囲の端にいるヘンドリクセンは暖かな光に驚く。
  • 「おお…」
    そしてリュドシエルは。半ば泣きそうに顔を歪めると、ふらつくように天を見上げた。
  • 朗々たる声が響く。
    「偽りのとばりよ 我が恩寵の前に消え失せろ…!!!」
  • 光の射していた一点から ドッ と雲が開いた。
  • 「夜と雲が吹き飛んでいく…!!」
    たちまち四方に広がっていく眩い空に、ヘンドリクセンが声をあげる。
  • まさに雲一つなく青空が晴れ渡ると、夜の闇に隠されていたものが露わになった。キングたちが到着していたのである。
  • まず目を引くのは 巨体をそびえさせたディアンヌ。その前に浮かぶキング。少し後方にエリザベス。ホークの背に乗ったゴウセルと痩せたエスカノール。
  • ――そして、天頂にマエル。
  • 一通りを見やってから、ゼルドリスは天頂に目を向けて不敵に嗤った。
    「戻ってきたか エスタロッサ」「………いや…」
    「マエル!!!!」
  • マエルは胸の前で上下に手のひらを重ね、それを開く。生じた小さな火球は手を開くにつれて大きさを増し、己が太陽であることを誇示して火焔を燃え輝かせた。
  • 次回「マエルvs.ゼルドリス」

マエルがカッコよかったです!

そして今回最上のキメゴマはエスカの「貸してあげましょう!!!」でしたね。

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前回エスカノールが「僕の…この命を…「太陽このちから」を引き換えにしても構わない」と言ったので、恩寵を一度はマエルに渡す展開になるんだなと布石は打たれていました。

でもエスカは まだ外伝も来てないので、その前後に あと一度は 恩寵で派手に活躍するんだろう、つまりマエルからまた恩寵が戻るのかなとは思っていましたが…。この発言には意表を突かれました。

 

エスカがマエルに恩寵を「貸した」形になるのなら、必然的に「返してもらう」ことになるのか。…マエルは やがて兄と共に退場するんでしょうけど、できれば死ぬ形には なってほしくないですね。

 

個人的には、エスカノールは最終的に「太陽」の力を手放すことになるんじゃないか……その方が彼の幸せだろうと思っています。

だって「太陽」の力は、決して彼に幸せを与えてきたものではなかったでしょう? 作中でも、エスカ自身含む色んなキャラから「呪い」と評されていたくらいですから。

 

元は愛してくれていた両親に恐れられて国を追われ、幼くして孤独な流浪の身となり、どこに行っても怖がられて、<大罪>に入団するまでは友人もありませんでした。

マーリンが封印眼鏡を開発してくれるまでは日常生活さえ ままならず、自信が持てないので恋愛にも臆病なまま。

第169話で「あなた(マーリン)は僕と並んで歩む人ではない(愛されなくても彼女を憧れて見上げているだけでいい)」と、高嶺の花マーリンとの恋愛成就をハナから望んでいないと発言していましたけども、後にアーサーの存在を知って嫉妬に苦しみ始めた様子からして、望まないというのは自信がない故の詭弁ウソであり、本心では望んでいたのだと読み取れます。

 

加えて、「太陽」の力は人間には大き過ぎるため、彼は今、健康を害しています。

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今回エスカは「寿命が残っていません」と言いましたが、命の長さが元から決まっているという意味ではなく、このまま「太陽」の力を使い続ければ遠からず死ぬ という意味だと思いました。

ですから、長生きするためにも「太陽」の力は手放すべきだと思うのです。

 

12年前のマーリンは、エスカノールの「太陽サンシャイン」について

「先天的に生まれついたものであり それが呪いか加護か…詳細はわかっていない」

と述べていました(番外編『エジンバラの吸血鬼』)。けれど現在では「マエルから離れた恩寵」だったことが判明しています。そして<四大天使>の手を借りれば、恩寵から解放されることも可能だとも。

 

恩寵を回収せずにリュドシエルやマエルが去れば、エスカノールは恩寵から解放されるすべを失い、それこそ体を壊して短い生涯を終えることになるでしょう。

彼は永遠ならぬ存在・人間です。既に40歳で老いの入り口にいる。今後ますます「恩寵」の力の大きさに耐えられなくなっていくことは免れません。

 

であればこそ、この聖戦での華々しき活躍を最後に、力を手放した方が彼の幸せになる。……と思うんだけど。

 

 

今回の読者の質問コーナーは、以下のようなものでした。

Q.エスカノールにはマエルの人格が混じっていますか?

A.エスカノールは、夜(本来)の一種の願望です。

エジンバラの吸血鬼』にて、マーリンは

「果たして夜と昼…」「どちらが 本当の お前なのだろうな?」

と言っていましたが、本来のエスカは夜の方だったんですね。昼の彼の自信に満ち満ち過ぎた傲慢さは、彼の願望、「理想の自分」だったと。

 

本来のエスカノールは、卑屈なくらい自分に肯定感がありません。

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人間族にとって異質な「太陽」の力のせいで親にすら恐れられ、愛される経験を充分に得られなかったからかと思われます。

先述したように、規格外ばかりの<大罪>に入るまでは友人もロクにいなかったと思われるのです。

 

しかし反面では、エスカノールは「太陽」の力に依存していました。

その力を呪いだと言いながら、存分に誇り・執着もしていた。

リュドに初めて その力はマエルの恩寵だと指摘され、

「恩寵の力は神の力 人の子が手にすれば 必ずや その身を蝕み 破滅へと導くだろう…」
「身の程を知るがよい 人間」「死にたくなくば その恩寵 今すぐ手放すのだ…!!」

と迫られたとき

「そんな話に興味はなし!!」「「太陽サンシャイン」は 生まれながらに宿った私の力です!!!!」
「千歩譲って これが あなたの言う恩寵だとしても」「恩寵自らが選んだということでしょう…」「私こそ 最も強く偉大な者だと!!!!」

と反論したように(第253話)。

痩せっぽちで非力で見向きもされない自分が、この力で最強になれる。友達を救って役にも立てる。

誰よりも強い自分は何も恐れなくていいのです。そう、愛されない・孤独だということも。

 

けれども、健康の面を考えても、そろそろ「太陽」の力を手放すべき時。

今回、エスカノールは「夜」の状態だったにも拘らずマエルに強い態度で相対し「貸してあげましょう!!!」と傲慢な発言を果たしました。

作者さんが この場面でホークに驚かせ、古くからの友であるゴウセルに 感慨深げな態度を示させたことには、意味があるのではと思います。

「太陽」の力がなくとも自信をもって人に接することができる。彼はもう、力に依存しなくとも大丈夫なまでに成熟できた、ということではないでしょうか。

 

臆病に逃げ続けていたマーリンとの恋愛も、これで、失恋するにしろ成就するにしろ、結果を出して前に進むこともあるのかもしれません。

 

 

ところで。

一つ気になっていることがあります。

女神族や魔神族の器となった人間には、時に、その女神族や魔神族の魔力が移ることがある、という設定です。

これが「恩寵」にも適用されるのならば、エスカが恩寵を手放したとしても、健康を損なわない程度に、その魔力の片鱗が残ることもあるのかも? 彼に将来 子供が出来たとして、その子に発現することもあるのかも??

もしそうなったら面白いですね。

 

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「俺はまだ本気出してないだけ」

 

 

キャメロット決戦に入って以降、敵が変に強くなったかと思えば いやに弱くなったり、強さが乱高下し過ぎというか、どうも納得できないことが多くなってきました。

 

闘級17万前後のチャンドラーとキューザックに、闘級20万超えのリュドシエルが「かすり傷一つ負わせられない」。理由は彼らが「極めて強い」から。

そんなチャンドラーとキューザックが融合した、マーリン曰く「勝機が無くなった」くらい強いはずの<原初の魔神>を、リュドシエルが楽々と傷つけていく。

なんで?

…これは まだ「マーガレットの器を使っていたリュドシエルは実力を殆ど出せていなかった」「マーリンが掛けた防御力低下の魔法は未だ効果が切れていなかった」とでも理屈づければ納得できなくはないのですが。

 

問題はゼルドリスの方です。

 

ファンブックによればゼルドリスの闘級はリオネス防衛戦時点で6万1000。

メリオダスが魔神王になるべくキャメロットに現れた際、当時 闘級14万ほどだったと思われる彼に手も足も出ずに叩き伏せられましたし、その後 戒禁をメリオダスに譲り渡しましたから、更に大きくパワーダウンしているはずです。

なのにキャメロット決戦では、闘級20万以上のリュドシエルを凌駕する強さを見せ、やはり闘級20万を超えていると思われ<原初の魔神>をも圧倒したキングとも対等に戦っているのです。

なんで?

 

うーん…。ゼルドリスは速さに超特化しているだけで、攻撃力は低いという見方もできるかもしれない。「凶星雲オミノス・ネビュラ」を使った際、闘級3000程度のヘンディやギルすら一撃で切断できず、回復可能程度の傷を負わせただけでしたから。

…って。

どうせ、ゼルドリスもメリオダスと同じ「俺はまだ本気出してなかっただけ」で、話の都合に合わせて無尽蔵に強くなれるだけなんでしょうけどね…。

 

ところで、ゼルドリスがメリオダスに叩き伏せられた時(第246-247話)、メリオダスは手を触れずに弟たちを押し潰してた……つまり魔力を使っていました。

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なのに、全ての魔力攻撃を無効化するはずのゼルドリスの「魔神王」は、ここでは全く発動していません。

メリオダスは「魔神王」の力すら効かない特別な存在? いえいえ、全然そんなコトなかったですよね。煉獄で あれだけ苦労していましたもの。なのに、ここではゼルドリスを「攻撃魔力を使って」簡単に打ち倒しているのです。

なんで?

 

 

 

今回、ゼルドリスはキングの霊槍と戦っていました。

注目したいのは、彼の額の紋様の形です。

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ゼルドリスやメリオダスは本気を出すと(?)紋様が額の真ん中に移動して形も変わりますが、今のゼルの紋様は通常状態のままなのです。

あれ? つまり本気出してないってこと? 手を抜いて霊槍と戦ってる?? 実はゼルくんキングより遥かに強い??? いやいや、ちょうど同じくらいの強さ????

 

…まあ これは、

説A
キングの方も霊槍を お喋りなんかもしつつ遠隔操作しているので、本来の強さを出せていない。よって本気を出していないゼルドリスと拮抗している。

 

と考えることもできますが。個人的には、以下の説を推してみたいです。

 

説B
霊槍は破壊しても すぐ再生する。キング本人がこの場にいない以上、霊槍に勝つ・攻撃を止めることは実質 不可能である。よって、とにかく長期的に戦い続けてマーリンの援護に行けないよう妨害するのが最善手とゼルドリスは見て、余力を残しながら戦い続けている。

 

 

…ただ、ゼルドリスが本気を出すとき必ず額の紋様が変わるのか、紋様が変わらない時は本気を出していないのかというと、どうも違う気もするんですよね。

何故なら、キャメロットに来たメリオダスに叩き伏せられてから這い起きて戦った時も、額の紋様は通常状態のままだったからです。流石に、このとき手を抜いていたとは思われませんから。

 

 

 

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