『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第299話 すべてが凍り付く

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週刊少年マガジン 2019年 10号[2019年2月6日発売] [雑誌]

第299話 すべてが凍り付く

  • マエルの蹴りが叩き込まれた。
    「く…!!」
    倒れこそしなかったものの、ゼルドリスは地を10数m滑って押しやられる。
  • 観戦者と化した皆の間に、繭の傍からヘンドリクセンが降りてきた。
    「みなさん無事ですか?」
    「ヘンディ君こそ…!!」エスカノール。
  • 呪文を唱え続けるマーリンが報せた。
    「いいぞ… 三分を切った!!」
  • 口元の血を拭っていたゼルドリスは「!」と反応する。
  • マエルが語りかけた。
    「ゼルドリス… もう この無益な戦いに幕を引きましょう」「偽りの記憶だったとはいえ… 一時いっときは兄弟だったのです 話し合えば必ず わかりあえます!!」
  • 「フ… エスタロッサかつてのお前が聞いたら一笑に付していただろうな…!!」
    ゼルドリスは柄だけになった剣を突き出し、闇で長剣の刃を作り上げた。これならばマエルが体内に巡らせている太陽の熱にも溶かされないだろう。
  • 「ゼルドリス………!!」
    哀しみに眉を曇らせたものの、マエルも両掌に出した光の三枚刃を高速回転させて高速カッターとした。エスタロッサだった頃も「キリング・ソーサー」と称して使っていた得意の技だ。(当時は闇の五枚刃だったが。)
  • 先に仕掛けたのはゼルドリス。地面すれすれに低く、空気を唸らす速さで襲い掛かった。マエルは待ち受け、小柄な身の軽さを駆使したゼルドリスの攻撃を受け流す。
  • 二人が舞いのように応酬を続ける一方で、マーリンが再び時を報せた。
    「あと二分…」
  • 「チッ」と舌打ちして彼女に目を向けるゼルドリス。
    その隙を逃さずマエルの高速連続突きが叩き込まれ、避けられずに身を固めて耐えた。
  • 「あせっているようですね…  冷静沈着なキミらしくない」「…メリオダスを魔神王にしてまで聖戦の勝利を手にしたいのですか?」
    マエルは問いかける。
  • 固唾を呑んで見守るエスカノールとヘンドリクセン。
  • 耐えきれず、ゼルドリスは尻餅をついた。
  • 「この世で たった一人の兄を…」「そのような存在にしてもいいと…?」
    身を起こすゼルドリスを見つめながら、マエルは問いを重ねる。
    ◆「たった一人の兄を そのような存在にしてもいいと…?」と問うマエルさん。なんか「魔神王」になるのは とんでもなく悪くて おぞましくて可哀想なコトであるかのような言い回ししてますね(汗)。
    単にマエルが女神族だから「魔神王=邪悪と不浄の権化」みたいな偏った印象を持っているだけなのか。まさか「魔神王」とはマジに魔神族すら忌避する惨めで哀れなイケニエ的役職なのか。…はたまた「魔神王になったらエリザベスと幸せになれないから可哀想でしょ」って恋愛脳レベルの話してるに過ぎないのか(苦笑)。
    どうも、いつの間にか設定的に「魔神王になる=元のメリオダスではない おぞましいものに変えられてしまう」ことになってるみたいですが、今まで全くそんな話は出なかったのに。(魔神王化を止める理由は「魔神王クラスの力の持ち主になったらブリタニアに留まれなくなりエリザベスと別れることになるから」だと今まで説明されてきました。)そもそも、何でマエルが「魔神王化とは、おぞましい存在に変えられてしまうこと」だと知ってるんだか。
  • 「なんとでも言え……!!」
  • マエルはぎょっと目を見開いた。知覚を超えた速さで、ゼルドリスに背後を取られていたからだ。
  • メリオダスがそれを望んだ…!!」「そして この俺もな…!!」
    ゼルドリスの猛襲。振り回す剣の強さと速さ、なにより気迫に圧倒されるマエル。
    (なんという)(鬼気迫る気迫…!!)
  • 「だから」「邪魔をするな!!!」
    ドッ
    ついにゼルドリスはマエルの受け手を抜いて、胴に闇刃を叩き込みつつ脇を跳び抜けたのである。
  • 「マエル――!!」
    胴から血を撒き散らし、土煙を上げて床に突っ伏した弟を見て、リュドシエルが絶叫する。
  • 「…あと一分!!」
    マーリンの声。
  • 「うおおおおお…!!」
    マエルを斬って跳び抜けた勢いのまま、空中で体を回転させてゼルドリスは剣を振るった。
  • ビュン
    ドド
  • 一振りで豪雨のように叩きつけられる無数の闇弾。
  • 「ぐおっ… マーリンを護れ!!!」
    弾幕の中にリュドシエルの指示が響き、彼やエリザベスの聖櫃アークが闇を弾いた。エスカノールは両腕を広げてマーリンの盾にならんとし、ホークは「ハチノスにされる~!!」と器用に逃げ惑う。
  • いかに防ごうとも多すぎる闇弾だ。…一つ一つを捌こうとしたならば。
  • ゼルドリスの瞳がハッと震えた。
  • 闇弾は まとめて防がれていた。マーリンを中心とした一帯が、巨人さえ包み込む広さの魔力障壁に覆われていたのだ。
  • 「キング!!」
    皆と一緒に驚いていたディアンヌが、目の前に浮かんで印を結んでいる恋人を認めて顔を輝かせた。
  • 蔦模様の這う卵型の結界は、霊槍の第八形態「花粒園パレン・ガーデン」。内部の者を継続的に癒しながら外敵から庇保する防護治癒の型だ。
  • 「もう諦めろ …キミに勝機はない」
    静かに諭しながら、キングは内心で秘かに独り言ちていた。
    (でないと こっちも限界が近い……)
  • 今日は朝から戦い詰めだ。リオネス王都から天空演舞場、このキャメロットへと、800km以上を飛んでもいる。そのうえで霊槍の遠隔操作に魔力を大量消費したのだから。
    ◆キングさん、戦線離脱フラグ? 魔力が枯渇して以降の戦闘ではメインに立てなくなるのかな? いよいよバン参戦の花道を作るか。
  • 「くそぉおおおおおおおおおおおおおお~~~!!!」
    ゼルドリスは絶叫した。
  • ガオッ
  • 結界パレン・ガーデンの上に移動するや狂ったように剣を叩きつけ続ける。目を血走らせ、汗を滴らせて吠え猛り、振るう腕を一瞬たりとも止めることなく。
  • 「ププ…あいつ殆ど破れかぶれじゃんかよ!」
    微動だにしない花粒園パレン・ガーデンに安堵して、轟く打撃音に時折ビク、と身を竦めながらもホークは小馬鹿にしてみせる。
  • 「ゼルドリス…………」
    エリザベスの顔に浮かんだのは、怯えと半ばされた憐憫だった。
    何故、こうまでして彼は。
  • 「ぁぁぁぁあああああああーー!!!」
    荒ぶり狂えるゼルドリスは、その時、間近に静かな問いかけを聞いた。
    「何がキミを ここまで縛っている?」「何がキミを こうまで駆り立てる?」
    直後に受けた重い衝撃。
    苦い顔のマエルが、高速カッターキリング・ソーサーを発現させた両手を交差させ、ゼルドリスの背を斬り裂いたのだった。一方、彼が先程ゼルドリスに受けた腹の傷はキラキラしい光のもやを立ち昇らせ、殆ど治癒されている。
  • 驚くリュドシエル、エスカノール。
  • 動きを止めたゼルドリスは重石のように落下、地に激突した。
  • 苦しげに荒い息を吐くマエル。勝利はしたが、彼の限界も近かったようだ。
    ◆マエルもキングと同じように、魔力・体力切れ間近? 覚醒キングと戦った時点で一度 魔力・体力切れ起こしてましたもんね。長距離飛行もしましたし。さっき得た「太陽」の恩寵でどこまで保つか?

    あ、でも こうして考えてみると、魔力・体力切れを起こしても30分くらい休めば長距離飛行したり戦えるくらいには回復できるんですね。キングもそのくらい休めば もう1ラウンドくらいイケるんでしょうか。

    キングの魔力は神樹から引き出しているもの。神樹は一つの『世界』を育み支えるほどの存在ですから、やろうと思えば ほぼ無尽蔵に魔力を引き出せるのかもしれません、キングの体力と器が保つかは別として。前やったみたいに鼻血出す覚悟で頑張ったら、まだ戦えるかも? ←ヒドイ
  • 一方、地に落ちたゼルドリスは、…土煙の中、まだ立ち上がっていた。
    倒れない。まだ諦めるわけにはいかない。血に汚れ息を切らせた彼の目は、しかし、もはや焦点を失いつつある。
  • 脳裏には繭に入る前のメリオダスの言葉が切れ切れに木霊していた。
    (約束は守る)  (俺が魔神王になった その時にな)   ゲルダは生きている)   
  • 立ちはしたが動く余力のないゼルドリスの耳に、無情にマーリンの声が届く。
  • 「みんな…礼を言う よく もちこたえてこれたな……!!」
    彼女の見つめる火魔時計の長針と短針が、カッチ カッチと音を響かせながら、「12」を示す頂きで一つに重なった。
  • カチ…
    針が止まる。
  • その瞬間。
    時の棺クロノ・コフィン”発動
  • 禁呪は完成したのだった。
  • 縋るように繭を見上げるエリザベス。
  • 「………………」
    絶句して息を呑むエスカノール、ディアンヌ
    漸く呪文を止めて、荒く疲労の息を吐くマーリン。
  • 「ホントに繭の時間は止まったのか…」
    汗タラして疑っているホークに、ヘンドリクセンが指をさして一点を見るよう促した。
    「ホーク君 あれ……!」
  • 「………鳥が止まってる」「ガレキも」
    繭の周囲を飛ぶ鳥や舞い散っていた瓦礫が、空中にあるまま凍り付いたように停止している。
    時間は、確かに止まっているのだ。
    ◆激しく戦闘をしていた場所に、何故 鳥が飛んでいたのか。鳥は臆病で、普通はこんなに激しく轟音立ててる場所に近付きませんよね。怖いもの知らずのヤローだぜ(;^ω^)。
  • ゲルダ…)
    虚ろな目のゼルドリスの身体から力が抜けた。涙を流し、ゆっくりと仰向けに倒れていく。
    ゲルダ…)
    ドサッと音を立てて彼は横たわった。
  • 今度こそ起き上がらないかどうか、不安げに見つめるマエルとリュドシエル。
  • 花粒園パレン・ガーデンを解除したキングが、少し息を荒げて呟いた。
    「…長いようで短かったね」
  • 合流してから僅か五分の攻防だった。
  • その声を合図に、ワッと歓声が沸き上がったのである。
  • 「ヒャッホ~~~イ!! 聖戦が終わったぜ!!!」
    跳ね上がって鼻息を吹くホーク。
  • 「バンザーーイ!!!」
    ディアンヌも戦鎚を持つ手で万歳しながらジャンプし、キングは通常運転に戻ってと彼女を見つめ始めた。
  • 安堵と喜びに無言で顔を綻ばせるヘンドリクセン。
  • ランランと はしゃいで手を取り合い、パンッ と打ち合うハイファイブするエスカノールとゴウセル
  • 「マーリン… ご苦労様!!」
    エリザベスは魔女の手を両手で握ってねぎらった。
  • そして。
    「兄さん… 私は―――」
    気まずげに言いさした声を遮って、リュドシエルは弟の肩に手を置く。
    「今は何も言うな!」
    首を左右に振って優しく微笑んだ。
    ◆よかったね!
  • 兄弟の善き再会に、エスカノールとゴウセルは ほのぼのと目を細める。
    「よかった…」「ゴホッ」
    「だね」
    ◆何気に、エスカノールが小さくながら咳き込んでいます。
    「太陽」を手放しても、エリザベスの治癒術を受けても、蝕まれた身体は治ったわけではないようです。心配ですね。

    ゴウセルは、マエルが兄(女神族の同胞)に受け容れられたのを見て嬉しかったでしょうね。彼を殺さず連れてきたことは間違いではなかったと確信できただろうなと思いました。
  • その時、マーリンが「…っ」と呻いてガクッと膝をついた。
    「マーリンさん… 大丈夫ですか!?」
    驚いたエスカノールが覗き込むと、彼女は疲弊した様子ながら微笑んでみせる。
    「禁呪は流石の私も こたえる …団長殿には後で たっぷり酒を おごってもらわねばな」
  • いつも通りの物言いに安心して「はは」と笑うエスカノール。
  • ヘンドリクセンは一人、弟を抱き寄せるリュドシエルを嬉しそうに見つめていた。
    その肩をポンポンと誰かが叩く。振り向けばエリザベスが微笑んでいた。
  • 「ヘンドリクセン… 姉様とギルのこと感謝するわ…!」
    「エリザベス様… なぜ そのことを?」
    「キング様が霊槍で ずっと見ていたの…」
  • 少し離れた場所に浮かぶキングがヘンドリクセンに微笑んで軽く片手を挙げた。
    けれどヘンドリクセンはキョロキョロしている。子供姿のキングを探しているのだ。目を点にしたキングは己を指さして自己主張してみたが、まだ気付かない。エリザベスは困り、ディアンヌが笑った。
  • 繭は沈黙している。
  • ホークは首のホルダーから器用にモンスターブロックを取り出すと、口に放り込んで暴龍タイラントドラゴン型に変身トランスポーク、耳を羽ばたかせて繭の上に飛ぶとプゴーーーッと呼びかけた。
    「さっさと元に戻りやがれ!」「お前のために みんな苦労したんだぞメリオダス!!」
    「エリザベスちゃんの呪いが発動するまで あと一日しかねえんだからなーーーー!!!!」
    ◆ここ読んでて すごく腑に落ちなかったのですが。
    「さっさと元に戻りやがれ」って、どうやって? すでに戒禁は全て吸収されてて、取り返しはつかなくて、時間停止は先延ばしの応急処置に過ぎないのに。
    とりあえず時間を止めて誤魔化しただけ。なのに全員が「すべて解決した!」みたいな空気になってたのは、なんだか落ち着かなかったです。
    このまま永遠にメリオダスの時間を止めておく(常闇の棺への封印と実質同じ状態にする)のなら、まあ解決したと言っていいのかもだけど、ホークはメリオダスに すぐに元に戻れと呼びかけている。
    でも時間停止を解いたら すぐ魔神王化するし、時間停止を解かなきゃ治療(?)もできないだろうし、そもそも吸収済みの戒禁を外部から分離できるのか。マエルの場合みたいに精神世界に入って説得する? ホント、どうするつもりだったんでしょう、マーリンは。
  • 豚の傍若無人な様子を微笑ましげに眺めて、エリザベスは クスッと笑う。
  • 一方、彼女を見つめるディアンヌ「・・・」と寂しげに眉を下げていた。恋人の機微をキングが見守っている。
  • メリオダスはエリザベスの呪いを解くために魔神王になろうとした。それを阻止したのは即ち、彼女の呪いに打つ手がなくなったということ。それを承知の上で、<大罪>たちはエリザベスの望みに応じて戦いに臨んだのだ。
  • メリオダス…)(私は あなたが無事でいてさえくれれば…)
    繭を見上げるエリザベスの微笑みは満ちていて悲壮感はない。
    リオネス王女としての死は恐ろしくとも、メリオダスが魔神王にならず呪いが解かれない限り、エリザベスとメリオダスとしての再会は約束されているのだから。
  • 「あら?」
    その時、繭の真上まで飛んだホークが目をしばたたいた。たらりと汗を流す。
    「繭の中身が空っぽ……」
    エリザベスらがキャメロットに到着した時点では上空から見ても疵一つなかった繭。その天辺…下からは見えない頂きが十字に破れていた。何も居ない空虚が ぽかりと空いている。
  • 直後、一帯が闇に覆われた。
    いや、現実に暗くなったわけではない。満ちた あまりに強大な闇の魔力が、一瞬、そう錯覚させたのだ。気温さえ下がったかと思わせたほどに。
  • マーリン、リュドシエル、マエル、キング、ディアンヌゴウセル。全員が冷や汗に濡れて凍り付く。エスカノールとヘンドリクセンは小刻みの震えを抑えきれていない。
  • エリザベスも、また。
    メリオダス …あなたなの……?」
    凍り付いて振り向けぬまま、背後に現れた異様な気配に呼びかけていた。
  • 倒れていたゼルドリスが、血にむせながら笑う。
    「く…」「ゴホッ」「くく…… ははは…」
    横たわったまま、その人物へ目を向けた。
    「…約束は果たしてもらうぞ」「魔神王」
  • 背中まで伸びた金色の髪、緑の瞳。見慣れた面影は残しつつ逞しい青年の姿に成長した『メリオダス』が、薄い笑みを浮かべて立っていた。
    …異形の片鱗を、気配と その身に宿して。
  • 次回「魔神王メリオダス

暗黒登場、魔神王メリオダスさん。

今回は殆ど顔のドアップしか表示されていません。全身像は意図的に隠されています。次回 連載300回記念カラーでのお楽しみってことで。勿体付けますね。

ただ、身体の一部がピンボケながら少しだけ描かれていて、どうも、何か異形的なパーツが体にくっついているっぽい。

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さてさてさーて。

 

 

ところで、魔神王メリオダスを「マエルにそっくり」だとする感想を国内外問わず とても沢山 拝見して驚きました。

私には全く違う顔に見えるから…。

そう人に言ってみても「いやマエルそっくりじゃないか」と反論される。(;^ω^)

ええー?

 

↓魔神王メリオダス

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↓マエル

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私にはやっぱり全然違う顔に見えるんだけどなあ…。

まず、目の形が違うでしょ。

メリオダスはどちらかというと吊り目気味。マエルは垂れ目気味。

そしてマエルは笑ってても怒ってても常に、少し目を細めて眉根を寄せてるみたいな、気怠げな目つきをしています。

対してメリオダスの方は晴れ晴れとした主人公らしい精悍な目だと思う。の、ですが…。

 

マエルと青年メリオダス、強いて似てるところを挙げるなら「白ヌキ長髪の成人男性キャラ」ってくらいです。

でも「二人はそっくりだ、やっぱりマエルとメリオダスは兄弟だったのでは?」とまでする感想も国内外問わず満ち溢れている…。むむ。

このくらいで瓜二つ扱いになるのなら、バンとヘンドリクセンなんて生き別れの双子の兄弟かってくらい顔立ちはそっくりだと思うんですけど。(^^;)

でも二人は赤の他人ですし、マエルと青年メリオダスはそもそも顔が違う……と思うんだけどなあ。

 

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『エリザベスの三日殺しの呪い』の日数の数え方、答えは? 

 

 

第292話の感想に書きました。

>エリザベスの呪いの「三日」のタイムリミットは、きっかり72時間なのでしょうか。

>だとすれば、まだ一日と少し…26時間くらいしか経ってない。残り二日弱…46時間くらいあることになる。明後日の昼前まで大丈夫。

>でも、足掛け三日方式(初日を一日目と数える)なら、明日には呪い発動しちゃうことになる。

 

で、今回ホークが言ってました。

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「エリザベスちゃんの呪いが発動するまで あと一日しかねえんだからなーーーー!!!!」 

エリザベスの呪いが発動したのは、作中時間で「前日の正午前」です。三日=72時間と考えるなら、まだ二日弱の残り時間があります。その場合のリミットは「翌々日の正午前」です。

しかしホークは「あと一日」だと断言しました。

なるほど。

つまり、呪いの日数の数え方は「足掛け方式」の方だったんですね。呪いが発動した日を「1日目」と数えて、翌日である今日が「2日目」、だから残り一日だと。

この場合のリミットは翌日の……いつになるんでしょうか??

「翌日になった」瞬間、エリザベスは息絶えるのか? それとも「翌日内の いつか」に死ぬ?

歴代のエリザベスが「最終日に日付変更した瞬間に死んだ」とは思われませんので、「3日目内の いつか」に死ぬ予定の方式かな?

 

 

 

そういえば、この漫画における「日付変更点」はどこなのでしょうか。

 

現代では「深夜0時」で日付変更としますが、これは ごく近代に採用されたものです。

かつては、バビロニアに始まりユダヤ暦キリスト教暦と引き継がれた「日没」を日付変更とする形式がありました。12月24日クリスマスイブと25日クリスマスの二日に またがる祭日が、本来は一日でしかない…(現代の)24日の日没が(かつての暦での)25日の始まりだった名残であることは、よく知られている通りです。

一方で、「日昇」を一日の始まり…日付変更点とする日常感覚もありますね。

 

第253話、朝日を見るエリザベスの場面に

エリザベスの呪い発動まで残り二日――

とナレーションが付けられていました。

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ここから推察するに、この漫画における日付変更点は「日昇」っぽい?

…となると、作中時間で翌朝が明けてから「三日目」となり、更にその翌朝が明けるまでの範囲内にエリザベスは死ぬ定め…ということになるのでしょうか。

 

 

…って。

ここで まとめようとして、「あれ?」と思いました。

ホークは足掛け方式の数え方で、エリザベスの呪いが発動するまで「あと一日」と言った。しかし第253話、作中時間で今朝の時点のナレーションでは「残り二日」となってるのです。日昇を日付変更点とする足掛け方式で数えるなら、朝だろうと昼過ぎだろうと、残り日数は同じであるはずなのに。

え、え、え???(困惑)

 

う、ううーーん…。

ナレの「残り二日」は『今日を含めて二日』の意図であり、ホークの「あと一日」は『今日を含めずに一日』と言ってるんだろーけど。

一日の始まりである朝と、昼を過ぎて残り時間の減った午後の、感覚的な表現の差?

でも、ややこしいなあ。表現を統一した方がいいんじゃないでしょうか。

 

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何を以て「聖戦の勝利」とするか

 

 

繭の時間を停止させ、ゼルドリスが倒れると、皆が「聖戦が終わった!」と大喜びしました。

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少し前(第291話)でも、ゼルドリス、チャンドラー、キューザック三人が戦闘不能になった時、リュドシエルが

「勝った!!!」「永きに及んだ聖戦に終止符を打ったのだ!!」

快哉を叫んでましたよね。この時は なんとも思わなかったのですが、今回はどうも釈然としないような戸惑わされる感が。

 

第一に。

「聖戦が終わった」と大喜びして断言できるほど片のついた状況に思えなかったからです。

とりあえず戦闘不能になったゼルはともかく、<原初の魔神>の生死は確認されていません。

何より、繭の時間停止しただけで、メリオダスを説得できたわけではない。ギリギリまで進行してるはずの魔神王化を解いたわけでも・解く見込みが提示されたわけでもないじゃないですか。

繭の時間停止を解除しなければメリオダスを救えない。しかし時間停止を解いたら魔神王化 待ったなしでしょう。ホークは気楽に「さっさと元に戻りやがれ!」と言って、エリザベスは笑ってたけど、どーするつもりだったの。

先延ばし的に時間を稼いだだけで、殆ど何も解決していない。

なのに全て解決したかのごとく大はしゃぎをしたので、困惑させられたのでした。

 

 

第二に。

最初から「魔神を滅して聖戦を終わらせる」のが目的だったリュドシエルは ともかく、エリザベス率いる<大罪>は「メリオダスの魔神王化を止めてエリザベスと別れさせない」ために「聖戦を仕掛けることにした」状況だったはず。それに応じて魔神軍も出撃してきた。

途中でエリザベスが素知らぬ顔で「聖戦を止める(キリッ)」と言い出してはいましたが。だからといって、ここで「聖戦が終わった!」と、まるでそれが最初からの最大目的であったかのように喜ばれてしまうと、ちょっと腑に落ちません。

途中で話や目的がすり替わってないか? 超★私的な目的で自ら戦いを仕掛けてたのを、世界平和のため皆を護るために戦争を終わらせるのが主目的でした、みたいに、シレっと話が変えられてないか? って感じの心地悪さがあります(苦笑)。

 

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二つの大団円ハッピーエンド

 

 

聖戦が終わった! と、いささか現実逃避気味に皆が大はしゃぎしたのには戸惑わされましたが、けれどメタ的には、ここに一旦「幸せな場面」を挟む必要があったのかなぁ、とも思わされました。

ここで顛末を見せておかねば、もはや最終回まで語られる余地はないだろう、二つの「大団円ハッピーエンド」が描かれていたからです。

 

 

ひとつめ。

マエルとリュドシエル、女神族兄弟の幸せな再会

リュドシエルは悪役寄りのキャラとして描かれてきたので、マエルと再会したら弟を許さず殺そうとするんじゃないか、場合によっては その流れでリュド自身も<大罪>か魔神敵キャラに殺されるオチになるんじゃないかと不安を抱いたこともありました。

でも現実は、そんな懸念など吹っ飛ばす、幸せな再会でした。

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よかったね。

再会を喜ぶ二人を、ゴウセルエスカ、ヘンドリクセンら、二人に縁のあるキャラ達が、それぞれ笑顔で見守ってくれている…祝福してくれているのも嬉しかったです。(考えてみたら一番縁のあるエリザベスは見守ってないですね。たまたまだろうけど 笑)

 

余談ですが、マエルは終始 気まずげで、兄の前で俯いてしまっているのだけど、リュドが笑って肩を叩き、頭を抱き寄せてやっているのが、年の離れたお兄さんらしい包容力で いいなと思いました。

マエルの方は、抱き寄せられても兄にハグを返せていません。兄に許してもらっても、自分で自分を許せていないんでしょうね。だから甘えきることが出来ない。罪の重さは忘れないでほしいけど、いつかハグを返せるくらいには自己を許せるようになったらいいなと思いました。

 

この兄弟は、恐らく この後の展開で退場することになると思われます。

リュドは遠からず分解消滅する(実体を失って天界で眠る?)でしょうし、マエルは場合によっては死亡するのかもしれません。

今度こそ死に別れる可能性もありますし、「幸せな再会」を描くことのできるタイミングは ここしかない、のですね。

 

 

ふたつめ。

キングとヘンドリクセンの和解

キングとヘンドリクセンの確執の始まりは、第二部の序盤で描かれました。

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親友ヘルブラムの魂の…死者の安息と尊厳を踏みにじられ・魂を摩滅させられ。そもそも人生最大級の古傷トラウマをグリグリと抉られたうえ親友を更に二度殺す苦しみまで与えられ。怒りの収まらぬキングに、ヘンドリクセンは自分の親友ドレファスの救出を達成するまで償いは待ってほしいと頭を下げました。

しかしその後ドレファス救出を果たしても、キングに対しては何もせず。二人が会話する場面すらなく、そのままになっていたのです。 

 

その決着が、今回 語られたように思いました。

 

ヘンドリクセンは命を捨てる覚悟でギルとマーガレットを逃がしました。

それについてエリザベスが礼を言う。

どうして知っているのかと驚くと、彼女は言いました。

「キング様が霊槍で ずっと見ていたの…」

キングはヘンドリクセンが贖罪をしようとする姿、そして、償いという「自分の都合」を優先してリュドシエルを裏切ったに終わらず、それを超えて、彼と対話し友情を結び直すまでの全てを見ていたというのでした。それを周囲にも伝えた。

 

キングは穏やかに微笑んでヘンドリクセンに合図(挨拶)しました。そこにはもう、かつての怒りはありません。

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キャメロット戦場でのヘンドリクセンの立ち居振る舞いを見届けて、充分に償いを果たしたと認め、赦したということです。

言葉で説明されたわけではありませんが、そういう意図が、このエピソードには含まれていると感じました。

大団円バッピーエンドで よかったです。

 

ヘンドリクセンが赦してくださいと悲痛な感じに頭を下げ続けるとか(そして周囲がキング赦してやれよと説教したりヘンディに同情したりする)、私を殺して気を済ませてくださいと迫ってくるとか(殺したらキングが悪者になるだけなんで、赦しを強制されてるも同然)、そういう形になるのは嫌だなあと危惧していました。

といって、なんとなく無かったことになるというのも つまらない。

「復讐はいけないことだから」という道徳教育で赦しを強要されるのは悲しい。

 

このように、ヘンドリクセンの真摯な言動をキングが陰から見ていて、高く評価し、自然な形で赦すという、誰もがホッと微笑むことのできる形に着地してもらえたのは、本当に嬉しいことだったと思います。

 

加えて。

個人的には、ヘンドリクセンが ただ「自分の命を粗末にしてギルたちを救い、それを償いと定義した」だけだったなら、それを「我が身を犠牲にするなんて尊い」と讃えられるだけだったら、どこかモヤっとしたままだったと思うんです。

リュドシエルがヘンディの思惑を外して治癒術を掛けてくれたとき、ホッとしてスカッとできました。命を粗末にする償い(ヘンディ曰く「報いを受ける」)で自己満足されても、嬉しかないですよね。

 

この決着も、本筋からは外れた枝葉なので、ここに入れなければ もう触れる機会はなかったのかなと。

 

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キング様が見てる

 

 

知らないはずのことをエリザベスが知っていた。驚くヘンディに彼女は言いました。

「キング様が霊槍で ずっと見ていたの…」

 

第275話、天空演舞場で戦っていてゴウセルが吹っ飛ばされた時、キングは両腕で目を覆っているのに、彼の操る守護獣ガーディアンの方は飛ばされたゴウセルの動きを目で追っている、という場面がありました。

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もしかしてキングって、自分の目だけでなく霊槍の目を通しても物を見ているのかな? と、当時の感想に書いたりもしてましたが。

マジに霊槍を通して物を見ることが出来たんですね。

 

なるほど なるほど、何百kmも離れた地点から正確に遠隔操作できたのも、キャメロットの様子を見聞き出来てたのも、全部 霊槍を通して見ていたから…。

んん?

一部に理屈に合わない点がないでしょうか。

  1. エスカノールのピンチにぴったり合わせて霊槍を投げている。
    …投げる前は霊槍はキャメロットにない。霊槍がない時点でキャメロットの様子が判っていなければ、投げるタイミングを合わせられないはず。
  2. <原初の魔神>に吹っ飛ばされたエスカノールの行方を正確に追い、マエルがキャッチできるように導いた。
    …飛ばされたエスカの周囲に霊槍はない。霊槍で見ていたなら、エスカの行方は判らないはず。
  3. ヘンディとリュドのやり取りは、霊槍がゼルと戦っていた場所からは外れていた。
    …霊槍から見ていたなら、ゼルと中央で戦いながら、隅っこの方で展開していた二人のやり取りまで把握するのは困難ではないか?

うーん。

以上の点から見て、とても視野が広いと思わざるを得ない・霊槍がない場所の物事も把握してるっぽいので、

  • 霊槍(神樹の端末)を中心にした かなりの広範囲の事象(全体像)を、多角的かつ同時に把握できる
  • 霊槍だけでなく、キング自身を中心にした より広範囲の事象を、ある程度 多角的に把握できる

ってコトなんじゃないかな、と思いました。「見ていた」と言っても、普通に人間が「見る」のとは違う感覚なのかもしれません。

 

つーか、ゼルと戦いながら、ヘンディとリュドのやり取りを見守りながら、飛ばされたエスカの位置を追いながら、キャメロットで起きたことを周囲の皆にお知らせしつつ、 お喋りもして、高速で飛んでたんですね。

このマルチタスクぶりは、8~10人と別々の対話を同時に こなしたという聖徳太子(今は厩戸皇子と言わなきゃいけないのかしら)にも負けないに違いない。将棋の多面打ちとか得意そう。

 

 

 

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