【感想】『七つの大罪』第303話 みんながキミの力になる
週刊少年マガジン 2019年 15号[2019年3月13日発売] [雑誌]
第303話 みんながキミの力になる
- 「エリザベス? お前らまで…なんで……」「…オレは夢でも見てんのか…?」
有り得ない状況に、メリオダスは ほかんとしている。 - マーリンが言った。
「夢などではない 本物だ… 正確には精神体だがな…」 - エスカノールは ぐすっと鼻をすすりあげて涙を拭う。
「団長こそ… 本物なんですね…!?」 - 「団長だ… いつもの団長だ!!」
ディアンヌは口を むにむに にして泣き笑いながら、興奮を堪え切れない様子で拳をぶんぶん振っている。 - 「外ではバンが応戦しているよ」
キングは涙を引っ込めて生真面目に報告した。隣でゴウセルも頷く。 - エリザベスがメリオダスの手のひらを握った。
「メリオダス諦めないで!!」「私たちみんながあなたの力になる!!」
笑顔の頬には、まだ涙が伝い落ち続けている。 - 老魔神王が やっと口を開いた。
「エリザベス…!! <七つの大罪>!?」「なぜだ… なぜ奴らが…!!」 - ゴウセルが語り始める。
「ここは団長の精神世界 俺たちは直接干渉することはできない」「だから みんなの想いを伝えるために――――」
不意に、彼は口を噤んだ。
「どうしたのゴウセル?」と訊ねたキングに向かい、スッと自分の唇に人差し指を当ててウインクしてみせる。
「…空気を読まなきゃ」 - メリオダスとエリザベスは抱き合っていた。
愛の場面 に説明台詞は無粋だ。
◆ゴウセルさんは空気を読めるようになりました。 - 額と目線を合わせて微笑み、愛おしげに髪や頬に触れて互いを確かめ合う恋人たち。
- 「にしし… 老けたろ?」「
煉獄 にゃ千年は居たからな!」
メリオダスは飄然と笑ってみせた。 - 「…好き」
微笑んで万感の想いを告げたエリザベスの両頬を、更に涙が流れ落ちる。
◆ゴウセルは言いました。
「ここは団長の精神世界 俺たちは直接干渉することはできない」と。悪夢語り など他人の精神に直接干渉する技を彼は持っているのに、メリオダスの精神世界には介入できないの?
…むむ。本人の精神に干渉して記憶や思考を弄ることはできるけど、「魔神王・戒禁・フラウドリンのような外から精神世界に入り込んだ異物を、直接・強制的に追い出す干渉はできない」って意味でしょうか。
メリオダスは言いました。
「煉獄 にゃ千年は居たからな!」と。
…んん? 煉獄に千年(現世時間で18時間弱)いたのはバンであって、感情メリオダスは最初に殺された3千年前からとすれば、煉獄には15億7千6百80万年はいたでしょ? 仮に、最新の死亡時刻でメリオダスの記憶と自我が更新 されてるとしても、彼が最後に殺されたのはバイゼル大喧嘩祭りの際で、現世時間だと一ヶ月半くらい前。煉獄時間だと「6万3千年は煉獄に居た」ことになるはずでは。
まさか殲滅状態 化して聖剣エスカノールに倒された時、実は死んでいたんでしょうか??? だとしたら、バイゼルで死んだ時は生き返るのに一ヶ月かかったのに ここでは一瞬で生き返ったことになりますけど、それは どうして?
エリザベスは言いました。
「…好き」と。
王女エリサベスとしては初めての直接的な愛の言葉? いやいや、第248話でメリに向かって「あなたを好きな私 の気持ち」「断言できるわ! 106人のエリザベスたちが リオネス王女の私が…自分の意志であなたを好きになったって…!」と言ってましたね。そもそも今のエリザベスは初代以降全ての記憶と人格が統合された存在ですから、3000年でそれこそ数えきれないほど伝えてきた言葉でしょう。
ただ、ここで会話が噛み合わない感じで「好き」と印象的に言わせた作者さんの意図は何なのかな、とは考えるべきなのかもしれない読者側は(笑)。
メリオダスが何を喋ろうと関係なく好きで好きで顔を見ていると気持ちが溢れちゃうの、くらいのことかしら。それとも、茶化した言い方をして和ませてくれようとするメリオダスの優しさに改めて好きって気持ちが溢れた、ってことかしら。 - 老魔神王は空気を読まなかった。無論、敢えてだ。
巨体で跳んで大剣を振りかぶる。抱き合う恋人たちに向かって。
「…逝け」
鋭く剣を横薙ぎにした。 - だが、それが二人に当たるより速く。
- ピッ
ドンッ - 魔神王は撥ね飛ばされて後方に仰向けに激突していたのだった。
その胸に開いた五、六個の丸い穴から、時間差で血が噴き出す。 - 「この
魔神王 を……!!」「その力は…!!?」 - 頭を抱えて縮こまっていたエスカノールが恐る恐ると涙の浮かぶ目を上げ、マーリンは「む?」と言いたげに片頬を上げた。エリザベスは軽く驚き、ディアンヌ、キング、ゴウセルは呆気に取られて見つめている。メリオダスが水平に伸ばした左手の先、そこに五、六個 浮かんだ直径2、3cmの闇の玉を。
- 「こいつらの存在が」「こいつらの想いが オレに力をくれた」
未だ老魔神王に背を向けてメリオダスが言った。肩越しに睨んで言い捨てる。
「…アンタにもう勝ち目はねえ!!!」 - 「ぐおっ!!!」
現実世界では、恐らく精神世界の老魔神王が闇の玉を叩き込まれたのと同時に、魔神王メリオダスが目元を押さえ、天を仰いで悲鳴をあげていた。
「我に勝ち目がない…だと!?」
バンの腹から手刀を外し、節腕で掴んだまま痛みで堪らずと言った様子で振り回して、折角 捕らえていたものを投げ捨てる。 - 「フー」「フー」
顔面を押さえて暫く荒い息で身を屈めてから、
「ならば………」
キッと一方を睨み据えた。 - そこには<大罪>たちが寄り集まっている。
前に伸ばして合わせた両腕の先に一張の光の弓 を展開して立つゴウセルを中心に、エリザベスと<大罪>たちが各々 彼の体に手で触れている。彼ら全体がゴウセルの神器 から発した光に包まれ、全員が目を閉じてじっと硬直していた。
メリオダスの精神世界に潜っているため、彼らの意識は ここにいない。つまり無防備であるということ。 - 「貴様の力の源を断ち切ってやる!!!」
魔神王メリオダスは叫んだ。 - 「させん!!」
精神世界での成り行きは彼らには知る由もないことだだろう。それでも傷の癒えたマエルが、消えかかっているリュドシエルが<大罪>たちの前に出て庇う。 - 「<
四大天使 >ごときが神に刃向かうか!!」
僅かに苛ついた魔神王メリオダスが身を屈めて ぐっと力を込めると、後背に浮かんでいた闇が弾け消えて節腕だけが うねり天に昇った。 - 「「!?」」
怪しむマエルとリュドシエル。 - 二本の節腕は絡み合って一塊となり、カイゼル髭の奇怪な顔面を創り出したのである。
“嘆息の賢人”
南国の儀礼用の面にも似ているが、目元の辺りはフクロウをデフォルメしたようでもある。鼻筋には闇の紋様が浮かんでいる。
◆フクロウは知恵の象徴。
わざわざ「嘆息の賢人」という分身を作って相手させようとしたというコトは、徒手空拳の一撃(短時間)でマエルとリュドシエルを蹴散らす自信が、今の魔神王メリオダスには無かったということ。それなりに弱体化しているようですね。 - 「人間ごときも刃向かわせてもらうぜ♬」
瓦礫の中からバンが ゆらりと立ち上がり、バッと右手を「賢人」に差し伸ばした。
“強奪 ”
ぐっと掴む仕草をする。 - ビタッと動きを止めた賢人は、しばし グギギ と抵抗する様子を見せたが。
バンが右手を グン と振り下ろした途端、
ドンッ
引っ張り落とされて大地に激突していた。 - カンッ
直後にバンの顔面に叩き込まれた魔神王メリオダスの肘打ち。バンは吹っ飛んで大地に沈んだ。 - その間に、半ば地に埋もれていた賢人は もがいて飛び上がり、再び天高い位置へ戻っていったのである。
- 「親子の問題に他人が介入するな」
と魔神王メリオダスは沈んだままのバンに言い捨てた。 - 天に戻った賢人は口を大きく開ける。
『ハァアアアア…』
口の奥が輝いて、外側に電光が輪となって瞬いた。 - 半ば消えて苦しげに膝をつきかけた兄の傍らで、見上げるマエルが呆然と呟く。
「不可能だ… あれは防げない!!」
あの威力を防ぐ術 を彼は持たない。と言って、<大罪>とエリザベス全員を抱えて逃げるのは難しい。そもそも精神世界に入っている彼らを動かすのは危険である。 - 『ア』
賢人の口から とぐろ巻いた光が ぼとりと落とされた。尾を引いた それが大地に到達するや、 - 白光、爆炎。
- 大型爆弾なみの大爆発がキャメロットであった地を焼き砕いていた。
- 吹き荒れる濁った熱風のなか、薄笑いを浮かべ平然と立っている魔神王メリオダス。
「…無駄な あがきを」
彼が見ていたのは透き通った双角錐の結界。その中に護られた<大罪>らとマエルらの姿だった。 - 「うおおおおおお~~~~~~!!」
リュドシエルが雄叫んで聖域 を維持している。彼は全身の半分近くが光の泡となって分解し、後頭部すら残っていない。 - 「兄さん!!!」
「リュドシエル様……………」
うろたえるマエルとヘンドリクセンの前で、彼は搾り尽くすように叫んだ。
「二度と失うわけにはいかんのだ …友も!! 弟も!!」 - 「あと五秒も もつまいて」
再び悠然と両腕を組んだ魔神王メリオダスが小馬鹿にしたように笑う。 - その背後、視界を塞ぐ熱風の向こうに背の高い人影が立ち上がった。
「その前に止める…!!」
バンだ。右手を天にかざして、もう一度 賢人を地に引き落とそうとしている。 - ジロリと魔神王メリオダスは目を動かし、
「止めさせはせん!!」
片手を地について身体をスイングし、バンに回し蹴りをした。 - 咄嗟に両腕でガードしたため、バンは「
強奪 」を使う機会を失う。
◆バンさん、黙って「強奪 」使えばよかったのに…。何故わざわざ「その前に止める」と宣告して注意を引いたのか。 - その間に賢人は次々と口から とぐろ撒いた光を…魔力爆弾を吐き落とす。
『ハア アア』 - ドド ド ドド ド ドド
◆
口から ぼっとん ぼっとん…。 - 魔神王メリオダスの拳をガードし続けるバンは悪態をついた。
「くそが…」
メリオダスの精神攻撃で弱っても強い。防ぐ以外のことが出来ない。「強奪 」を使う隙が無い。
「まずい…!魔神王 とやり合うだけで手一杯だ…」「このままじゃ あいつら全員…」 - 五秒も持つまいと言われながらリュドシエルは よく耐えていた。だが、彼自身は もう半分以上も消えている。
- おろおろと成すすべなく兄を見ているマエル。
- 「!」
一方でヘンドリクセンは、聖域 の外に見えたものにハッと目を見開いていた。
(ひ… 人影?)
濁った熱風のなか、戦うバンと魔神王メリオダスとは違う場所に、小柄な人影が立っているように見える。
(いや… まさか)(この魔力の爆撃の中をバン殿以外に耐えられる者が…) - 人影が、バンッと地を蹴って跳び上がった。
◆バン殿以外の人影がバンッ。 - ドバババババッ
- それは落下中の複数の魔力爆弾を、何の苦もなく下から上まで次々に貫き散らして無効化し、到達した天辺の賢人に闇の刃を突き立てたのである。
- 時同じくしてリュドシエルの
結界 が消滅した。
「!!」
力なく膝をついた兄を支えたマエルは、天を仰いで息を呑んだ。
「…なぜキミが…」
◆リュド兄さん、もはや中身を食べた饅頭の皮みたいな状態じゃないか…。 - バンたちも ハッとして戦いの手を止め、天を仰ぐ。
「貴様…」
魔神王メリオダスが唸った。
「ゼルドリス」「なんの真似だ!!?」 - 魔力「魔神王」によってゼルドリスにはあらゆる魔力攻撃が効かない。魔神王本人の魔力であろうとも。
- 爆撃を ものともしないゼルドリスが、父の分身たる嘆息の賢人を闇刃の剣で貫いていた。
- 次回「処刑人は願う」
リュドシエル頑張った!! それに尽きる回でした。
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ホークが現実世界の場面でも見当たりませんでした。
どこへ行った?
サンドクローラー型か何かに
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魔神王が節腕を切り離して「嘆息の賢人」を作ったの、チャンドラーが自分のほっぺたを千切り取って「
チャンドラーこと<原初の魔神>も、やはり魔神王が作った存在だそうですし、ある意味では親子とも言えるでしょうから、行動が似てくるんですかね(ほのぼの)。
とゆーか、魔神族って こういう、自分の体の一部を切り離す方法でもドンドン増えてくものなのかなあ。これなら、なるほど、腕や首が取れようと・胴を真っ二つにされようとも、平気で すぐ くっつけられたんだなと思えます。
短足の…もとい嘆息の賢人は、お髭が ちょっと女神族の翼っぽいのがチャームポイントだなと思いました。
お髭フサフサばさばさ~。
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今回、メリオダスが闇の玉を飛ばして魔神王に穴を開けました。
初見の時点で、アッこれは、ドルイドの修練窟でキングとケンカした時(第134話)にキングの技を真似して作ったきり放置されてた、あの新技かな? と思ったんですが。
リアル時間では もう四年も前の、忘れられていたエピソード。
それにしては説明しないし、技を初披露した際にキングをクローズアップすることもない(彼は他の大罪たちと同等に背景に描かれていただけだった)。
なので、あれ? 違うのかな? と
アニメ化されるときは、キング単独でハッと驚く表情を入れるとか、何か演出が加えられるんでしょうか。
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精神世界なので現実での<大罪>やエリザベスのダメージは無かったことになってて、ゴウセルの片目は潰れてないし腕もあるし、みんな血まみれではなくなって綺麗な服を着ています。
そんな中でもキングは半裸のままなんだなあ、とちょっと
イメージの世界なんだから、元の服装…マーリンが作ってくれた戦装束とか着ててもよかったのに。つくづく融通 効かないひとですね(^^)。
…はっ。キングがドルイドの修練窟でケンカした時と似た服装(半裸)だったから、メリオダスはその時習得した技を思い出したのか!?(考えすぎ)