【感想】『七つの大罪』第278話 絶望に立ち向かえ!!
週刊少年マガジン 2018年 38号[2018年8月22日発売] [雑誌]
第278話 絶望に立ち向かえ!!
光闇 の条束 はリオネス王都にも間断なく降り注いだ。- 「キャアアアア~~~!!!」
「天から光と闇の災いが降ってきた~~~~~~~!!!」
石壁や屋根すら破壊し貫通する脅威に逃げ惑う住民たち。まるで火山弾のようだ。 - 「屋外にいる者は屋内へ避難しろ!!!」「急げ!!!」
ぐったりした息子 に肩を貸して、ドレファスが指示を飛ばす。 - 傍らの巨体の聖騎士が赤ん坊の頭ほどもある石礫を盾で弾いた。破壊された建物の破片も脅威である。
- 屋根や壁をも砕くのだ、屋内でも安全とは言えないが、無防備に身をさらすより余程マシだろう。地下室があれば一番なのだが…。
- 都市の別の地点ではスレイダーやサイモンが住民の避難を誘導していた。
- また別の地点では、
「この世の終わりだ!!」と泣く騎士たちにジェリコが檄を飛ばしている。
「バカ野郎 諦めんな!!!」 - 魔神軍との もう一戦闘を終えた掃討部隊は、遠くリオネス王都付近に降り注ぐ
光闇 の条束 を見た。 - 「ハウザー聖騎士長」と、彼と馬首を並べたギーラが呼びかける。
- 「ありゃ エリザベスがさらわれていった方角の空からだぜ」
ハウザーは苦々しく顔を歪めた。
「ったく」「一体天空 じゃ何が起こっているんだよ?」 - 彼らは知らぬことだが、天空演舞場は リオネス王都の真上辺りに位置していたのかもしれない。
◆だから、もし天空演舞場が浮遊力を失ったら瓦礫がリオネス王都近辺に降って大変なことになるのでは…と思って読んでたら、次の展開であんなことになって心配になりました。大丈夫だったんでしょうか。 - 「ディアンヌ… キングのことは心配だろうが あいつなら……」
気遣わしげに振り向いたハウザーは「ん?」と目を丸くした。 - 「はい?」
まんまる目で硬直した聖騎士長にギーラが不思議そうな目を向ける。 - ハウザーの視界に映ったのはホークママのお尻と数を減らした聖騎士たち。見落とせるはずもない巨体の少女は、影も形もないではないか。
「あら?」
ハウザーの顔に困惑と呆れが半ばした。
どうやら、彼女は我慢できなかったらしい。 - 天空演舞場。
いよいよ激しさを増す光と闇の千方発射。そんな中、エリザベスはホークの背に乗せられたキングに癒しの光を当て続けている。 - 彼女めがけ光条が またも伸びる。我が身を盾にせんと両腕を広げたゴウセルの眼前で、それはドプンッと空間に呑まれた。まるで水面に投げ入れた石のように。
「!!」 - 「え?」
術を行使する手は止めずに、驚いた顔を向けるエリザベス。 - 「この獣臭!!」
そう言ったホークの背で、ピク とキングが震えた。薄く目を開けて呟く。
「まさか………」「オスロー キミか?」 - 波紋を広げる空間を後ろ脚から器用に くぐって、
黒妖犬 が現れた。 - 「グァルルルルッ」
くるりと回って地面に降り立つや、唸り声をあげて巨大な猛犬と成る。そこにも容赦なく降り注ぐ光条 。 - 開かれた犬の口から巨大な手が突き出した。
「なんだか 思ったより」
その手に当たった光条がバチッと弾かれる。
「すごいことになってる……」
続いて現れた太腿が金属の光沢を帯びた肌で光条を弾いた。
「みたいだね!!!」
最後に突き出された巨大な戦鎚も光条を弾く。 - 巨大化を解いたオスローに代わり、彼の口中から出現した巨人の少女が、
重金属 化させた己の身体を盾に仲間たちの前に立ち上がった。 - 「どうして…来たんだ!!」
どうにか首を上げてキングが咎める。 - 「約束したじゃない ……ボクとキミはずっと一緒だって」「……だから来ちゃった」
光条を戦鎚で弾きながら、振り向かずに少女は言った。次いで戦鎚の柄でドンッと地を打ち鳴らすと、
「<七つの大罪><嫉妬の罪 >!!」「ディアンヌ参・上!!!」
大音声で名乗りを上げたのである。 - 「………それで今はどんな状況なの?」
戦鎚をバトンのように回して頼もしく条束を弾きながら少女は訊ねる。
その間もエリザベスはキングを癒し続け、オスローは主君に顔を寄せていた。 - 「こんな状況」と、ディアンヌの額に闇色の光矢を刺すゴウセル。
「え~~~~~!!!」
たちまち驚いたディアンヌに「早っ」とホークが突っ込んだ。 - 「エスタロッサが<四大天使>マエル ………それが三千年前の聖戦を終わらせた真実!?」「…まさか サリエル タルミエル… デリエリまでが殺されるなんて…」
口に出してディアンヌが確認しているうちに、繭から激しく放出されていた条束 が次第に まばらになり、やがて完全に鎮まる。
◆火花がシャーシャー派手に出て、やがて出なくなって消えていく感じ、手持ちタイプの花火っぽい。 - 「エネルギーの放射が止んだ」
ゴウセルが言った時、キングが濡れた手に首筋を撫でられたように体を震わせ、勢いよく顔を上げた。
「これが… あのマエルの魔力…なのか?」 - 「キング様…………」
ホークの背から降りた彼を気遣うエリザベスに
「ありがとう もう大丈夫」と、顔を少し顰めながらも返す。
その背に、オスローが嬉しげに体をこすり付けた。 - 「みんな見て!!」
鎮まった繭から目を離せずにいたディアンヌが喚起する。
「光が… 縮んでいく?」 - モヤモヤと繭状に広がっていた光が収束していき、一人分の形となった。
マエルだ。しかし姿が違う。
背に広がる白と黒の翼は一対増えて六翼。髪はザンバラに背まで伸びている。
服はつま先まで覆い隠す長袖の長衣。袖口には魔神の闇を、裳裾 には女神の光を模した模様がある。
左右に角のような突起の伸びた頭巾を被り、それと一体化した面布を垂らして顔を完全に隠していた。
面布は胸を過ぎるほどの長さで、上から慈愛・真実・沈黙・純潔、四つの戒禁の紋様が縦に並んでいる。 - 見上げるデイアンヌ、キング、ゴウセルは恐怖と緊張に心臓を轟かせた。(ゴウセルに心臓はないが、同じ心境だっただろう。)
- 「ガルルルル…」
半ば巨大化して牙を剥くオスローの足にしがみついて、ホークが小刻みに震えている。
「うわわ… 嘘だろ」「闘級…に…にに20万以上……!?」 - 傍のエリザベスは立ち尽くして硬直し、やはり細かく震えていた。
「みんな…」「逃げて…」
◆みんな硬直してる中で、オスローだけ臨戦態勢 取れてる。勇敢だにィ。 - マエルの面布に浮かぶ慈愛の紋様が不穏に蠢いた。スウウ…と消えた一方で、差し伸ばした右手のひら上に光が渦巻いて収束していく。リンゴ大に固まった光球に慈愛の紋様が現れた。
“慈愛の光玉 ” - カッ
閃光、
ドッ コオッ
一拍後の大爆発と爆風。まるで大型爆弾の炸裂のように。 - ドン、と響いたのはディアンヌが両膝をついた音だ。
それでも少女は両手を広げ、背後の仲間たちを爆風から護り続けた。 - 爆風に洗われた天空宮にキングは転がっていた。
「ぐ…あ! がはっ!!」「ディアンヌ!!」
どうにか上体を起こす。
「ディ…」
ハッと言葉を呑んだ。 - 目当ての少女は間近に座っていた。血まみれで。一目で判るほどの大怪我だ。
「エリザベス様!! 今すぐディアンヌの傷を――」
必死に呼びかけるも返事はない。 - ボロボロのディアンヌが へらりと笑った。
「変なの… 全然痛くないんだ」「それどころか すっごく気持ちよくて… ムニャ」
まるで凍死間際の遭難者のようにトロ~~ンと目を閉じていく。
「瞼が重い…… フニャ~~~」 - 「ま……ず…い」
くら、と めまいを起こしたようにキングは頭を傾げた。
「オイラも… 眠た…く…」
激痛の代わりに猛烈な睡魔に襲われている。尋常ではないと解っているのに抗えない。 - ディアンヌとキングは それぞれ うつ伏せると、そのまま寝息を立て始めた。
- 「メリオ……ダ…ス」
すぐ傍にはエリザベスも倒れていた。寝言に恋人の名を呟く彼女の向こうには、ホークとオスローも眠っているのが見える。 - 安らかな顔で眠る彼らを、天空からマエルは見下ろしていた。
その面布に、消えていた慈愛の紋様がスー…と滲むように戻ってくる。 - だが、そこでマエルは気付いた。
エリザベスが目覚めて立っている。背後の豚と犬は未だ眠り呆けているのに。
強張りながらも マエルの視線を受け止める彼女の頭部を覆う、揺らめく闇色の光。 - 三つの影がマエルの傍らを すり抜けて空高く跳び上がった。
- “
感覚の目醒め ”
闇色の光の残滓を左手にまとわせてマエルを見下ろすのはゴウセル。
「肉体への致命傷を伴うはずの苦痛を快楽に変換し眠るように殺す…」「…恐ろしい技だけど 俺には通用しない!!」 - ゴウセルに痛覚はない。よって、それを利用した術は何の効果も もたらさなかったのだ。
- 「ゴウセルに起こされなかったら危なかった~~~~!!」
「おかげで体中が痛みで悲鳴をあげてるけどね」
ゴウセルと並ぶ高さで口々に言うディアンヌとキングの頭部も闇色の光に覆われている。 - 「ディアンヌ!! キング様!!」
演舞場からエリザベスが両腕を広げた。駆け昇った癒しの光が一瞬で二人の傷を癒す。
◆エリザベスの治癒術。少し前の場面でキングの右腕を癒すのには ひどく時間が掛かったのに、この場面では二人まとめて一瞬で癒しています。この差は どこから生じているのでしょうか。
キングの右腕の傷が それだけの重傷だったってだけ? あるいはマエルの「救済の矢」には「傷が治りにくくなる」効果があったため、治しにくかった? - 「キング……デイアンヌ!! あの技で決めよう!!」
呼びかけると、ゴウセルは左手首から内蔵神器を展開させた。
双弓ハーリット
特性「範囲拡大」
解放された神器は、マエルを中心にした広範囲をゴウセルの術の効果範囲とした。その中にいる全員が幻影を真実として共有するのだ。
“幻影庭園 ” - 「行くよ!!」
キングが両腕を大きく動かして印を結ぶ。 - 「うん!!」
ディアンヌも刀印のように指先を切って応えた。
◆ディアンヌが印を結ぶような仕草をしてるけど、この後の行動を見るに、これは ただのポーズで、術印ではなかった模様。その場の雰囲気でカッコイイポーズをとっただけ?
それとも、この術印で「自分ではなく他者のパワーを上げる」ことが可能になるんでしょうか。 三位一体会技 発動!!!!- 空中でマエルを包囲した三つの大罪、その合わせ技が発動した。
- 次回「勝利の鐘の音」
「あの技で決めよう!!」とゴウセルは言い、「今こそ、修行の成果を見せる時!!」と後引き文にあったけど、いつ そんな修行してたんでしょう?
修行するなら この三人が特に仲良くなって以降でしょうし、そもそも技の内容が、ディアンヌが「ドロールの舞」を習得しているコト前提です。
廃都コランド戦後~チャンドラー出現までの数時間に特訓してたんでしょうか。或いは新聖戦で王都を出発する直前の一時間弱くらいの隙間に?
何にしても、ホントに仲良くなったなあ、この三人。
ここにきてディアンヌが参戦したのはビックリでした。
ゴウセルとホークが後になって追いかけてきたのも、急遽 展開を変更したのかな? と勘繰ったものでしたが、まさかディアンヌまで来るとは。
ディアンヌとオスローは、マエルのような桁外れの敵相手では、戦力的には大して役に立たない。となれば、それ以外の物語上の意味があって急遽 追加参戦したということになります。
にしても。
オスローって、天空宮のような「一度も行ったことのない場所」にすら転移できたんですね。何気にハイスペックです。
馴染みの人(キング)のいる場所なら、匂いを辿って亜空間移動できるってことかな。
治療中のキングに寄り添ったり、治ると背中にスリスリしたり、愛犬らしくて可愛かった。
ホークちゃんは、不謹慎ではあるけど、慈愛の光玉でやられて ひっくり返って腹を上にしてヨダレ垂らして眠ってたのが可愛かったです。
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マエルの面布
繭から羽化したマエルさんの新ファッション、読者間では結構 物議をかもしたようです。
女物のドレスを着てると揶揄されたり、頭巾や面布が可笑しいと くさされたり。
それはそれで納得できますが(笑)、個人的には曰くありげに見えて気に入ってます。
聖と魔 両極の存在であることを、服の色を白黒にするとかでなく、袖口と裾の模様で表現してるのとか、面白くて好きです。
羽化マエルさんの面布、戒禁の紋様が縦並びしてるのが面白い。
中国のキョンシーみたいなのを連想もするし、日本の雅楽の舞(舞楽)で着ける
舞楽の
私は表紙しか見たことがないのに、とてもインパクトがあったので、なんとなく陰陽師や呪術に関連する おどろおどろしいモノ、というズレたイメージを持っちゃってます(苦笑)。
そのイメージの影響で、羽化マエルにも この面布が相応しいように感じちゃうのかもですね。
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ゴウセルの神器解放
ゴウセルの神器・双弓ハーリットの特性が「範囲拡大」だと判明しました。
これは「神器解放」したと解釈していいんですよね。
これまで「神器解放」したのは、キング、メリオダス、エスカノールの三人。
メリオダスとエスカノールが神器解放した際には、どちらも「神器の特性」を披露していました。
↑第119話
↓第170話
また、キャラガイドブック『<ペア
神器解放=神器の特性を使う
と見て間違いないでしょう。
以上から、ゴウセルの神器特性の披露=神器解放と みなせると思います。