【感想】『七つの大罪』第177話 僕が君にしてあげられること
週刊少年マガジン 2016年28号[2016年6月8日発売] [雑誌]
第177話 僕が君にしてあげられること
- メリオダスに向かい、その大きな手を差し伸べるバン。
「立てるか団ちょ♪」
ガッと彼の手を掴んで引き揚げ、半ば強引に立たせた。 - 「バーカ………」「オレが…ケガをしてるように見える……か?」
血まみれの顔で ぎこちなく、それでも不敵にメリオダスは笑う。 - 「メラスキュラ!!!」
一方、白い裸身をぐんにゃり投げ出して動かなくなった女魔神の名を、他の魔神たちが叫んでいた。
「あいつは…<七つの大罪>」「バン!!」と、フラウドリン。
ゼルドリスは無言で剣に手を掛けたものの、飛び出しかけたところでハッと足を止めた。
兄・エスタロッサが、その意を示したからである。
◆ゼルドリスは、基本的にエスタロッサの意向に従うみたいですね。 - 怒りも嘆きもせず、エスタロッサは足元の女魔神を冷たい目で見下ろしていた。
「…こいつは 俺の兄弟の魂を勝手に喰らおうとした」「死んで当然だ」
慈悲も是非もない裁定を下す。
他の魔神たちは黙り込んだ。誰も逆らう気がないというように。
◆「勝手に」って…。メラスキュラは許可取って喰らおうとしたし、抜くのを黙認してたのに。
エスタロッサ的には「喰っていいとは言ってない、だからOK出してない」ってこと? 「オレサマ」とゆーか、怖いひとですね。 - 次に、エスタロッサの目はバンに向かう。
「人間…… …お前には礼を言うぜ」「もっとも お前が殺 らずとも俺がこいつを殺 ったが」 - 闇深い魔神の視線を受けて、バンの顔にびっしりと冷や汗が滲む。
「団ちょ… さがってろ」
それでも、どうにか ひきつった笑みを浮かべて一歩前に出、メリオダスを背に庇おうとした。
――が。 - 「メリオダスは俺の手で死ななくちゃならねぇ」
時間にして、瞬きより短く。
前にいたはずのエスタロッサはバンの横を通り抜けて背後におり、漆黒の短剣でメリオダスの胸を刺し貫いていた。
そう、過 たず、彼の心臓を。 - 「か…」「ぐは」
血を吐くメリオダス。その体が力を失い、再び仰向けに崩れ落ちる。 - それを無感動な瞳で見つめながら、エスタロッサは手の中に形状の異なる六振りの剣を取り出していた。
“反逆剣 ”
最初の短剣と併せて七本。どれも、刀身に至るまで闇に濡れたごとき漆黒である。 - 「団――」
ようやく反応を追いつかせて振り向いたバンに、エスタロッサが問うた。
「ところで お前 何しにここへ来たんだ?」 - 「決まってんだろ……!!」
間髪入れず、バンは魔力を込めた右手を振るう。
“獲物狩り ”!!!
エスタロッサの内から心臓を奪い取ろうと。
しかし。
「……!!」
あたかも鉄塊に素手をぶつけて抉ろうとしたかのごとく。何も奪えず、ただ、バンの拳指が折れ砕けて血をまき散らした。 - エスタロッサは意にも介していない。
「いいことを教えてやる」「――――俺たち上位魔神族には心臓が七つある」
仰向けのメリオダスの上に、刃先を下に六本の剣を並べて浮かべ、その一本の柄頭に トン… と手のひらを添えた。
「これで二本目」
柄頭を押して一気に刺し貫く。苦鳴をあげて血を吐くメリオダス。
「どんな魔神も それを全て潰せば…死ぬ」
◆あれ? じゃあ、盗賊都市で一つ・今回五つ、合計六つの心臓を潰されたことしか確認できないメラスキュラは…? 実はまだ死んでない?
ちなみに、ガランがメラスキュラと共にエスカノールと戦ったとき「我ら最高位の魔神」と言っていました。<十戒>オリジナルメンバーであるメラスキュラも「上位魔神族」だと思われるので、実は下位魔神だから元々心臓が六つしかない、みたいなことではないと思います。 - エスタロッサの頭から首に、背後からバンの両腕が絡まった。
「させるか……よぉ!!!」
必死の形相でヘッドロックする。 - しかし、エスタロッサの表情は気だるげなまま。何かを感じている様子すらない。
「三つ」
もう一本、剣の柄頭を押してメリオダスを刺し貫いた。これが、大罪を犯した兄弟に『してあげられる』ことだとでもいうつもりなのか。 - 「!!」
押し下げる動きにつれエスタロッサが身を屈めると、彼の頭を抱えたバンの両足が地から浮いた。まるで負われた子供のように。不死身の大男バンも、ここでは幼子のように か弱き存在でしかない。 - 「四つ」「五つ」
闇の剣は次々と押し下げられていく。 - “
狩人の祭典 ”!!!
ついに虎の子を発動させるバン。周囲の半径 数十ヤード内の全生物…即ち、<十戒>たちから力を強奪したのだ。
「団ちょは絶対に殺させねえ…!!!」「かあぁあ…」
一挙に膨張させた筋肉で締め上げる。並みの相手なら ひとたまりもないだろう。 - だが。バンの奪える量には限界があった。闘級30000弱のガランには効いたが、相手が限界以上の闘級であったならば。
- エスタロッサの顔色は変わらなかった。バンの締め上げなど そよ風にも劣るとでもいうように。
「六つ」
淀みない動きで六本目の剣を押し下げた。 - 残る剣は一本。
全力で締め上げ続けるしか術はない。だが、そうしていても止められない。
最後の剣の柄頭に添えられていくエスタロッサの手を、バンは、目を剥いて見つめているしかなかった。
エレインを犠牲にしてここに来た。これまで自分が抱えてきた全てを一度捨てる覚悟で。だというのに。
(俺は自分の女も…)(ダチ一人を守ることもできねぇのか!!)
「やめ…ろ」
親友に何も『してあげられ』ない。涙が溢れ、食いしばって自ら噛み切った口の端からは血が流れる。 - あろうことか。エスタロッサの目からも、バン以上に滂沱と涙が流れていた。
「あばよ 兄弟 俺の愛するメリオダス」
◆この場面、普段はベタ塗り漆黒のエスタロッサの瞳が、ハイライトが入って虹彩の描かれた普通の瞳になっています。
魔神の力が消えている? いえいえ、額の魔神の紋様は消えてません。
これ、何の意味なのかな? - その涙を見上げるメリオダスの表情は静かだった。
もはや朦朧としていただけかもしれない。あるいは。今となっては この剣を受け止めることが、己が歪めてしまった兄弟に『してあげられる』ことだと観念したのだろうか。 - 最後の剣が押し下げられ、メリオダスの肉を貫いた。
- 「おああっっ!!!」絶叫するバン。
- 彼を頭にしがみつかせたまま、エスタロッサが不機嫌そうに俯いた。
「つか… さっきからピーピーうるせえぞ…」「耳障りだ……」
次の瞬間。
ボンッ、とバンは破裂し、肉片以下の血煙となって消え去ったのである。 - 空虚な瞳から涙を溢れさせたまま薄ら笑うと、エスタロッサは背後の仲間たちを返り見た。
「メリオダスは たった今 死んだ」「――ブリタニアは魔神族 のものになった」「…行くぞ」
その一言で、魔神たちは一斉に飛び立つ。 - 水晶玉が映した一部始終を、リオネス王城の仲間たちは見つめていた。
水晶玉を両耳で掲げたまま震えて泣いているホーク。
無表情のゴウセルの背でエスカノールはとめどない涙を流す。
崩れ落ちて泣くギルサンダーの背に手を置いて宥めるハウザー。
涙するヘンドリクセンは幼いグリアモールを強く抱きしめ、スレイダーもいたたまれない様子である。
アーサーは涙をこぼしつつ、畏れと怒りを露わにしている。同じように、バンとエレインの顛末を見届けたジェリコも、冷や汗に濡れて拳を握り締め、悔しさを隠していない。
ディアンヌは呆然とした様子で涙を流し続けていた。キングは涙を浮かべて俯き、歯を食いしばっている。
大喧嘩祭りの参加者たちは、メリオダスとは面識がないからだろう、落ち着いた者が多かった。
動揺のない侍ななし、拳闘士ハイファン、吟遊詩人ソラシド。マラキア暗殺団エスタロと聖騎士シルバーは仮面や兜で表情が判らない。
そんな中、死に瀕する子供たちに 出来ることを失ったマトローナは、強張った様子で俯いている。 - そして。
誰 気付かれることなく静かに笑みを浮かべた者がいた。破戒僧アーバスである。
それは生物の断末魔の見物を好む彼の性格ゆえか。あるいは…。
◆アーバスは女神を信じているらしい破戒僧。
彼、実は女神族の刺客だったんでしょうか? そのために大喧嘩祭りに参加したとか。メリオダスが死んでくれて万々歳?
女神族は、他種族たちが潰し合った後で出ていって、ブリタニアを手に入れるつもりなのかなあ? - スッとエリザベスが歩み出た。ギルフロストへ向かって。
「私を あの場所へ連れていって…」
ハッと緊張した魔術師が「………ですが」と気まずげに言葉を濁したが。
「お願い……………」
静かながら、王女は譲らなかった。 - 今は静まり返った魔神の戦場には名残の土煙がたなびき、地表を隠している。
その中をエリザベスはさ迷い歩いた。一縷の望みをかけ、愛しい者の名を呼びながら。
「メリオダス…様………」「返事を…して」「メリオダス様ーーー!!」
詰まった喉から出る声は、懸命に張り上げても大きくならない。 - 右往左往としていた足が止まった。目の縁に溜まっていた涙が溢れだす。
「ここに……いたの」「メリオダス様…………」 - 少年が横たわっていた。
残った左手の爪の何枚かは痛々しく剥がれ、輝いていた金髪は血と埃に汚れている。その胸から腹にかけて、無残に突き立てられたままの七本の闇の剣。 - 側にうずくまると、エリザベスは少年の肩を起こして抱きしめた。
「お願い… ……目を開けて…」
乾いた血で汚れた顔は眠っているかのように穏やかだ。しかし瞼が動くことはない。いつものように笑うことも、手で触れてくることもない。
「…やだ」「あ…」「あ…」
冷たい頬に己のそれを擦り付けて、少女の涙は止めようもなく、唇はわななく。
「あぁあぁぁああ~~~~~~~っ!!!!」
慟哭が響き渡ったとき、残酷に夜が明けた。
◆希望になりえなかった、何もかも手遅れの夜明け。もう少し早ければ、エスカノールが助けられたかもしれないのに。
この夜明けのラストシーン、よく見ると画面手前に大きな血溜まりらしきものがあります。砕け散ったバンでしょうか。再生していないように見えます。(再生するとき上がる水蒸気? が出ていない。)
そしてもう一つ。メラスキュラの遺体が見当たりません。<十戒>の誰かが運び去ったのか? たまたま描かれてないだけ? それとも…。 - 次回「暗黒のブリタニア」
メリオダス、死す!?
…とは言え、読者の9割方が「どうせ 生き返る or 死んでない んでしょ?」と思っているかと。主人公ですもんね。
最終ページの後引き文が「王女の魔力も、癒やせるのは生者のみ。」となってましたが、作中のエリザベスは治癒術を試していない(本当に癒やせないのか不明)とゆーのは、可能性が幾つか残されているという意味で、気にかけておくべき点かもしれません。
エレインはどうなったのか? 全く描かれていません。
本当に遺体に戻ったのか。
(メラスキュラは本当に死んだのか? 彼女の潰された心臓は、盗賊都市で一つ・今回五つですから、まだ一つ残っているのでは?)
遺体に戻ったとして、ヘルブラムみたいに魂状態で こちら側に居残ることはできないのか。
バンは ちゃんと再生できるのか。
エリザベスが魔神の戦場に来たとき、数分は経過していたと思いますが、まだ再生の様子が見えませんでした。
いや、普通に再生するでしょうけど。
メリオダスに魔神の力で攻撃されたら傷が消えず残った過去設定があるので、メリオダスに似た強魔神エスタロッサに粉微塵にやられたとなれば、今まで通りは いかないかも…? と、ちょっと不安になっちゃいました。
なんにせよ、メリオダスもエレインもバンも、死んだり瀕死になったりしていても、みんな復活するでしょう。
それは大前提として、あまりにも軽々しい・ご都合的な展開じゃないといいいですね。
相変わらず、展開が迷走しているように感じます。
メリオダスが<十戒>に囲まれたときは、<十戒>挑発時の状況に戻ってら。と思わされましたが。
今度は「ガラン襲来、<大罪>死亡!?」の状況に戻ったなあと。
おかげさまで新鮮味は乏しいです。
安全地帯に隔離されたエリザベスが、メリオダスが殺される? 様子を泣きながら見てるって状況も同じだし。
もうずっと、物語の流れが ぶつ切りですよね。
ちょっと話が進むと、大ナタでぶった切ったみたいに話が破壊されて、流れも布石も放棄して、別の切り口で語り直し始める。でも、それもちょっと進むとまた断ち切られる。
ビックリ超展開が連続して、気持ちよくお話を楽しめない。ちょっと進むとストップをかけられて、色々と後回し・無かったことにされて、読者のイライラ・モヤモヤは募るばかり。
世の中、色々漫画はあるけれど、こんだけ波大きく ぶつ切れてるのは珍しい気がします。
読者の反応を気にしながら展開を模索し過ぎた結果グダグダになっただけ、にも見えますが、そうでなく、何か大きな意図があったりするんでしょうか?
読者的には、もう、普通でいいから楽しめる展開でお願いしますって気分です……。
来週から仕切り直しになるんだと思いますけど、しばらくは安定してくれると嬉しいですね。
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魔神の心臓と「罪」に関する、グダグダな話
最初の頃、魔神族は「自然ならざる存在」だと語られていました。
一方「ドルイド族は、死体が自然ならざる魂を得て蘇らないよう、死体が腐るまで見張る習俗がある」と語られ、ドレファスに魔神フラウドリンが憑いているとも語られました。
そして、ドルイド族は女神族を信仰し「自然ならざる魂を消し去る秘術「
以上から、魔神族とは他種族の死体や肉体に「自然ならざる魂(メリオダスやガランの中に入ってた黒モヤ?)」が取り憑いたものなのかなと想像していました。
だから、真っ二つにしようが焼こうが死なず、「
ところがどっこい。
今回「心臓を全部潰せば、どんな魔神も死にます」って設定が公開されちゃいました。
えええ。急に難易度下がったなー(苦笑)。
元からこの設定だっただけかもしれません。
けど、今後の展開に窮して、設定を変えたのかなという気もしました。
この設定なら、「
ドルイド族(ヘンディ)や女神の使徒(エリザベス)に頼る必要はなくなった。彼らは対魔神の「切り札」ではなくなった、ってコトですね。
今回、メリオダスの心臓に一つ一つ剣が突き立てられていった場面を見て、『北斗の拳』でケンシロウの体に七つの傷が刻まれた場面を思い出したのは私だけでしょうか(笑)。
もしくは、奇術ショーで、人間の入った箱に一本一本剣を突き刺していくやつ。あるいは、おもちゃの「黒ひげ危機一髪」(笑)。
古くよりイギリスでは「猫には九つの命がある」と言われていました。死んでも九回生き返れると。猫と同様に、魔女も九つの命を持つとされていたようです。
概念上、世界的に、心臓・魂・命は同一視されています。(そして魂は、生命の木に実る果実・生命の木の枝にとまる鳥・生命の木の枝や高山に置かれた卵、の形でイメージされます。)
心臓を取り出して生命の木に果実のように掛けておく(体の外に心臓を隠しておく)と、その木が倒されて心臓が潰れない限り死なない、という不死性のモチーフは古くより語られ続け、紀元前エジプトのパピルスに書かれた物語にも見出せます。
心臓が命と同一視できるならば、『大罪』の魔神族も、心臓の数だけ、殺されても死なずにいられるんだとイメージできるでしょうか。
(そう考えるならば、一度潰された心臓は、どんな治癒術を使っても再生されない、のかも。)
魔族に複数の心臓があるという設定を持つ物語は、多分、世の中に色々あるんでしょう。『ダイの大冒険』の魔王も心臓二つあった気がする。
とりあえず自分がハッキリ思い出せるのは、前田珠子のファンタジー小説『破妖の剣』シリーズです。
魔性(魔族)には力の大きさによる厳然たるランクがあって、上位ほど心臓の数が多い。ほんの一握りしか存在しない最上位の魔性たちは四つの心臓と、その中に詰まる無数の命を持ち、絶大な力と美しさを誇る。ほぼ不死の神にも等しい存在だが、心臓を全て潰すか封印すれば倒すことは不可能ではない、と。
ちなみに、この小説の主人公は、最高位の魔性と人間の間に生まれたハーフで、人間社会で育って魔性を狩る剣士に。そして主人公の弟は魔性社会で育ち、愛憎を抱いて主人公を狙う、という設定でした。
個人的には、メリオダスはハーフでなく純粋な魔神族じゃないかな、そうであってほしいなと思ってます。
だって半分 異種族だったら、それが「魔神族を裏切った」ことへの免罪符にされかねない。それは嫌なので。
メリオダスの罪は大トリになるでしょう。そこは正面から向き合ってほしいのです。
「人間族」の立場からすれば、魔神族は人を虫けらのように殺す「悪」であり、それを裏切って人間側で戦ってくれたメリオダスは「正義」です。
しかし、魔神族側から見ればどうでしょうか?
たとえば、日本が地底人と戦っていたとして。
日本側の攻撃の中核を担っていた英雄が、謎の東京壊滅の直後に国外逃亡、地底人側について日本を攻撃し始めたとしたら? しかも世界中が地底国と同盟して日本を攻め始めたら?
日本が再起不能なまで衰退し、国の要人たちは牢に入れられたとしたら。
数十年後に脱獄して、例の裏切りの英雄に遭うと、彼は言うのです。実は地底人の女性を深く愛してしまったんだ。彼女を守るために仕方なかったんだ、と。
これ、日本人のあなただったら「そうか、愛のためなら仕方ないね」と笑って許せるでしょうか。
恐らくこれから、メリオダスの裏切り? の陰には陰謀があった、彼はそれに巻き込まれたんだとか、全ては「エリザベス」への愛ゆえだったんだとか、何か事情が語られることになると思います。
それは、物語が始まった時点で期待・約束されている展開です。
でも、その一方で。
メリオダスが仲間や兄弟と敵対し戦ったこと、彼らの封印が解かれぬよう刃折れの剣を死守していたこと、自ら殴り込んで「お前らが まだ三千年前の続きをやろうってんなら… オレと<七つの大罪>が全力で叩き潰す!!」と好戦的に恫喝したこと。
これらも、動かしようのない事実なんですよね。
メリオダスは、彼らを裏切り・敵対し・人生を奪って苦しめたという「罪」を、能動的に犯していると思うのですよ。
なので、そこを無視して「事情があったから、陰謀のせいだから、愛のためだったから仕方ない」というだけで終わってほしくはないな、と思っているのでした。
(今回のお話も、メリオダスがエスタロッサに何かしら「悪いことをしたな」という感情を持っているといいのにな、と期待して読みました。
「かつての仲間や兄弟に、取り返しのつかない悪いことをした」と認めたうえで「その罪を背負ってでも、譲れない想いがある」と思っててくれたらいいのになあ、と。)
…いや、こんな風に杞憂を抱くのは、ギルサンダーやヘンドリクセンの犯した「罪」への扱いが、「事情があったから、恋愛・友愛のためだったから、仕方ない」で許されちゃってたからです。
(ギルは子供だったので、その意味でなら、容赦されていいと思うけど。)
このままだと、メリオダスの罪の扱いもそうなっちゃうのでは? と。
第一部で魔神化デールと戦ったとき、殺しを躊躇するメリオダスにエリザベスは言いました。
「人々のために戦うあなたのためなら――そのための罪なら 私も一緒に背負います!!」
人々を守るためだから「仕方ない、悪くない」とは言わず、メリオダスは罪を犯していると認めたうえで、その罪を共に背負って、一緒に歩むと言っています。
このスタンスが忘れられることなく、物語の最後まで貫かれてくれたらいいなと思っているのでした。
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さて。
メリオダスが死んで(?)、来週のサブタイトルは「暗黒のブリタニア」。
『北斗の拳』みたいな、強者(魔神)に支配された世紀末的世界を想像しちゃいますね(笑)。
メリオダスの金魚の糞だったサブキャラたちが、レジスタンスでも修行でも、各自 動いて活躍してくれることを期待しています。
(勿論、一番見たいのは<大罪>たちの活躍っす。つーか、ゴウセル討伐計画どーなったの?)
ただ、ちょっと心配なのは「メリオダス復活の方法を探して旅や修行をする」みたいな、それだけにかまける、それを中心にした展開になりはしないか、ってこと。
メリオダスさえ生き返れば、魔神に支配されたブリタニアも救われるはずだ、みたいな理屈で。
もしそんなことになったら、いよいよダメダメですよね、仲間キャラ達。
その前に自分で何とかしないと。(真に力なき人々とは違って、彼らには出来るはずだし、出来なければこの先はないとも思っているので、こう書きます。)
だって、メリオダス一人に頼り過ぎた結果が、コレだったんじゃないですか。
個人的に、エリザベスがどうなっているかに注目しています。
三千年前の、非情の魔神メリオダスすらその心の強さで感服させた「エリザベス」ならまだしも、たった16歳の「エリザベス・リオネス」にそれを望むのは酷でしょう。けれど、メリオダスの死? に囚われすぎず、人々のために戦っていてほしいなーと。
第一部にて、彼女自身がメリオダスに誓ったように。
メリオダス
「…泣きたい気持ちぐらいはわかるさ」「でも――」「お前が王国と人々を聖騎士共から守りてえって想いは――――」「涙の一つや二つで折れちまう程度のもんなのか?」「オレは エリザベスと<七つの大罪>を捜し聖騎士共を食い止めると決めた……」
「たとえ お前が死んでも……」「オレはお前との約束を果たす!!」
「人は――」「――人は いつか死ぬ」「でも… その想いを誰かが守り続ける限り想いは死なねえ」「想いを守ると決めたら」「どれだけ血を流そうと 涙の一滴まで涸らそうと」「貫き通す!!」「それが騎士だ」
エリザベス
「私は 騎士じゃありません」「…けど」「私も 王国と人々を守るために戦い続けます」「たとえ メリオダス様が 今 死んでしまったとしても」