【感想】『七つの大罪』外伝 少女は叶わぬ夢を見る《前編》
週刊少年マガジン 2015年26号[2015年5月27日発売] [雑誌]
外伝 少女は叶わぬ夢を見る《前編》
- 本編から16年前、ブリタニアの平原。
(リオネスとは違う王国の)騎士たちと、侵入者である蛮族たちの戦いを、丘の上から三人の巨人族が見下ろしていた。彼らは地響きを立てて戦場へ飛び降り、蛮族たちを蹴散らし始める。
巨人を率いるのは<大地の牙>として名高い女巨人マトローナ。西の部族の戦士長を務める、歴戦の女戦士である
マトローナは(巨人族の中でも)長身の、筋肉質グラマーな金髪美人でした! 体のあちこちに大きな傷跡がありますが、髪留めにシュシュっぽいのを使っていたり、唇には紅を差していたりと、さりげなく女子力もある感じです。瞳がディアンヌと同じ紫色ですね - 巨人ドロールを始祖とし、五種族中、最も古くよりブリタニアに存在したとされる巨人族は、闘争心旺盛で武力に優れ、常に戦いに飢えて戦場を求めており、故にか数を減らして緩やかに衰退しつつあった。
人間に傭兵として雇われることで、闘争心の充足と生活の糧を得、人間との共存をも成している。
今回、マトローナの部族は騎士側に雇われていた - マトローナは少女を二人連れており、教官のように指導していた。
一人はドロレス。巨人族の中では小柄で、ぽっちゃりした気弱な少女だ。戦場でも戦えず、蛮族たちに囲まれればへたり込んでしまう。マトローナが大地を操る術で蛮族たちを串刺しにしたが、助かったと安堵するより先に、無残の死を目の当たりにして恐怖に身を震わせるのだった。
そしてもう一人がディアンヌ。縫製しない原始人風毛皮服の巨人族の中にあって、縫製したパフスリーブのレザースーツを着た彼女は異彩を放っている。明らかに気乗りしない様子でため息をつき、蛮族たちを数人まとめて掴んでは、殺すことなくポイポイ湖に投げ込んでいた - 騎士側に有利かと思われた戦局が動いた。蛮族たちもまた、巨人族…東の部族を雇っていたのだ。
東の部族の戦士長、巨漢の男性である<鳴動する大山 >ダンベルバスと軽く戦士の礼を取り合うや、マトローナは一瞬の躊躇もなく戦いを始めた。互いに、同族との命の取り合いに迷いはない - 戦いは騎士側の圧勝で終わった。
マトローナは、自身が殺したダンベルバスの遺体の前にひざまずき「…見事な最期であったぞ ダンベルバス」と曇りなき表情で労っている。いっそ美しくさえあるその光景を見るディアンヌの顔には、しかし苛立ちと憤りが浮かんでいた - マトローナら三人は、彼らの部族の里・メガドーザに凱旋した。
勇猛で知られるダンベルバスを倒したマトローナを誰もが手放しで賞賛する
メガドーザはハンマーのような形の巨岩で、なんと、その内部に巨人たちは住んでいました。壁には無数の丸穴が開いていて外光が差し込んでいます。上に登れるみたいですし、ビルみたいな感じ?
そして、「砧 で毛皮を叩いてなめす」作業してる巨人を滅多やたら見かけるんですけどなんなの(笑)? 台の上の石をトンカチで砕いてる人もいたけど、何の作業なのかなぁ?
あと、巨人族の里には犬が飼われている(放し飼いにされてる)模様。家畜はいないようなのに。ペット? 猟犬? - 戦えなかったドロレスと殺さなかったディアンヌは、並んで立たされマトローナに説教されていた。怯えてろくに言い訳もできないドロレスに比べ、ディアンヌは物怖じせず反抗的な態度を見せる。
なぜ殺さなかった、あの時とどめを刺しておけばと後悔することになるぞとマトローナ。一瞬言葉に詰まりながらも、殺す理由にはならないよとディアンヌは食い下がった。
「大体 なんで人間同士の争いに手を貸して 同じ巨人族と殺し合わなくちゃいけないの?」「人間にいいように使われてるだけじゃないの!!?」
マトローナはため息をついてみせ、それが巨人族の生き方であり共存だと語った。人間は巨人族に戦いと報酬(金銭)を提供し、巨人族は人間に力を提供するのだと。 - また、マトローナは言った。
「人間を信じた挙げ句 騙され 逆恨みし 殺しつづけた妖精がいたと噂に聞いたが」「筋違いの間抜けもいいところだ…」
ヘルブラムの事件は、かなり広く世間に知られてたんですね。ちょっと驚きました。妖精王がその責任を負って禁固されたことも広まってた? だとすれば、それを全然知らずにいた(少なくともエレインは知らなかった)妖精族は、外界の情報に恐ろしく疎かったってことに。
マトローナの言うことはちょっと解りにくいんですけど、巨人族と人間には利用し合う契約関係があるだけで、信じてないし一方的に利用されてもいない。人間(他種族)と仲良くなろうとすること自体が間違いで、人間だって他種族を受け入れる義理はないのだから、裏切られたからと復讐に走ったヘルブラムは、自分がバカなのに逆恨みした筋違いの愚か者である、ってことでしょうか - マトローナは凛として語った。
「我ら巨人族は誇り高き戦士」「戦いを求めることが本分であり 戦いの中で死ぬのが本懐であり 戦いの中に生を見出すのが本質」「なればこそ手を抜かず 相手の命を絶つが 戦士としての際上の礼儀だろう」
戦って殺すことこそが正義だという巨人族の道義に、納得できない顔のディアンヌと、辛そうな顔のドロレス - 午後からの戦闘訓練の前に昼食を採ってくるよう命じられた。
好物の焼き豚(丸焼き)と煮豚(丸煮)を前にディアンヌは上機嫌。先程までの説教なんて忘れたように笑顔でもりもり。しかしドロレスは元気がない
本編には、胡坐をかくディアンヌを、エリザベスが(女の子として行儀が悪いと、お姉さんぶって)叱る場面がありましたが、ここでは、ディアンヌもドロレスも胡坐をかいて食事しています。
つまり、女でも胡坐をかくのは巨人族の文化だったんですね。
巨人族も多分下着は穿いてませんから、レザースーツのディアンヌはまだしも、毛皮のミニ丈ワンピースのドロレスは色々ヤバそうなんですが、本人も周囲の男たちも、誰も気にしてる様子がなかったです。裸族の裸が日常であるように、当たり前だからなんでしょう。(元々、殆ど半裸みたいな種族ですし。ディアンヌが大胆に胸元を出した服で平気なのは、やはり、それが巨人族の文化だからなんでしょうね。)
ただ、『まちぼうけの妖精王』の食事場面の幼ディアンヌは、脚を閉じて可愛く女座りしてました。…ハーレクイン(キング)にも「女の子は胡坐をかいちゃダメだよ」って叱られたのかなぁ? 対面して食事してると見えちゃうから、彼も必死で駄目出ししたのかもしれない(笑)。 - 「ディアンヌは昔 一人で里を出たことがあるんだよね…………楽しかった?」
ドロレスに訊ねられてディアンヌは屈託なく返す
「ああ… 実はボク その500年の記憶がまるでないんだ 一体 どこで何をしてたんだろ…?」
衝撃の事実! てっきりハーレクインの記憶だけ消されてたんだと思ってたら、500年分の記憶全てが無い、だと…!?
しかし全く気にしてない感じに見えます。目の前のご飯の方が重要。ドロレスも「ふーん… そうなんだ」で済ませてました。巨人族大らかだな - ドロレスは、自分も里を出たいと呟いた。
「私は 戦うのが嫌い… ましてや 誰かを殺すことなんてできない…」「戦うくらいなら死んだ方がいいもん…」とすすり泣く。ディアンヌは慰める言葉を持たない - 午後の戦闘訓練が始まった。
大地を変質・変形させる術の訓練。己の身を硬質化させる「重金属化 」の訓練。上手くできないドロレスをマトローナは容赦なく殴り倒し、上手くできたディアンヌをも、力を量るように、より激しく殴り続けた。
ついにドロレスが「もうやめて!!」とディアンヌを庇った。泣きながら、初めて反抗的に声を荒げる。
「もうやだ!!」「もう私たちは戦いたくないの!!」「戦にも もう行きたくない!!」
マトローナは眉一つ動かさず、冷たく言って立ち去った。
「…ならば子を産み 貴様に代わる戦士を育てるのだな」
訓練中、殴り倒されたドロレスをディアンヌが泣きながら抱きしめて庇った時、戦場で他人を庇えば己も死ぬと思えとマトローナに言われて「他人じゃない!! 同じ仲間だよ!!」と言い返してました。「友達」じゃないんですね。
ディアンヌもバンと同じで、本当に特別な相手しかそう呼ばないのかな?
そして、戦うのが嫌なら子を産めと言うマトローナ。彼女自身は、子を産まずに死ぬまで戦う生き方を選んだってことですかね - 夜になった。
丸穴から覗く満月を眺めながら、二人の少女は眠りに就こうとしている
寝具はなく、石の床に転がって眠っていました。
いつも地べたに直接転がって寝てるディアンヌが可哀想だと思ってたけど、あの寝方も巨人族の文化だったのか…!
考えてみたら大地を変質させられるんですから、地面を寝心地よく柔らかくすることも可能なのかもしれない - 「ねえディアンヌ」「子供を産めば もう戦わなくても許されるのかな…?」
ドロレスの呟きに、半分眠ったままディアンヌは答えていた。
「子供を産むのは戦う道具を作るためじゃない」「命を繋ぐためなんだよ」
ハッと目を覚まして自分で驚く。「……ボク 今 なんて?」
ドロレスはきょとんとしている。巨人族にはない価値観なのだ
かつてハーレクインに教えてもらった、人間は結婚して子を産んで命を繋ぐという知識と、それを「羨ましい」と思った自身の価値観は生きていました。500年の記憶と経験は消えたわけではないんですね - その頃マトローナは、部族の重鎮らしき男たち(ひときわ巨体の長髭の老人が部族長?)と焚き火を囲み、言葉を交わしていた。
「マトローナ なぜそこまで あの娘に肩入れするのだ?」「あやつの父と母はたしかに指折りの戦士じゃったが まるで血を継いでいるように思えん」
マトローナは、ディアンヌを殴ったことで血まみれになった己の手の甲を彼らに見せて言った。
「ディアンヌは歴代の戦士長らをしのぐ素質を秘めています」「もしその力を完全に解放することができれば…」「問題は あのコの甘さにあるかと」
だから、今まで以上に厳しく戦士の誇りを叩き込んで、必ずや巨人族最強の戦士として育ててみせましょう、と
ディアンヌの両親は亡くなっているっぽいですね。
というより、親が揃っている子供は巨人族社会では珍しいのかも? 戦いを好むあまり数を減らしつつあるとのことですし、ディアンヌとドロレス以外に若い世代(子供)が見当たらないよーな…。多くが戦いで早世して、子を持たずに戦士として生きる者も多いのかな? - その話を、(目が冴えて散歩していた?)ディアンヌが立ち聞きしていた。
冗談じゃない、とばかりに腹を立ててドロレスのもとへ戻り、眠っている彼女を起こして、もうこんな里耐えられない、ボクもドロレスと一緒に里を出るよと、不機嫌そうに言った - ところがドロレスは目をそらして謝った。
昼はああ言ったが、やはり考え直したと。里に居場所はないが、外に居場所があるとも思えない。
「だって… 巨人族の私たちを受け入れてくれる場所なんて…」「きっと 怖がられて 受け入れてくれる人なんて誰も…いないと思うから」 - 一人で里を出たディアンヌは、あてもなく街道をぶらついていた。
すると<金色 の麦>騎士団が現れて、人間の作った街道を通るなら通行料を払えと難癖をつけ、巨人族は野蛮な種族だと嘲った。
イラッとしたディアンヌが騎士団の足元に石を投げつけたことでケンカに発展、男たちが剣を手に「討ちとってくれる!!」と襲いかかって来たところで、颯爽と現れたのがメリオダスだった!
あれよと言う間に騎士団をのしてしまい、「もう大丈夫だ …こわくなかったか?」と女の子扱いでいたわってくれる。ディアンヌは嬉しくて もじもじしてしまった - 彼は巨人のディアンヌを恐れず、一緒に狩りをして昼飯にしようと屈託なく誘ってきて、食事をしながら色々な話をしてくれた。
メリオダスという名前で、普段はリオネス王都に住んでいること。ここに来たのは人捜しで、しばらくこの辺りにいるつもりであること。
よけりゃ今度リオネスに遊びに来いよと誘われて「でもボクは巨人だし みんな怖がるよ…」とためらうと、彼はにしししっと笑ってこう言った。
「少なくともオレの仲間は驚きゃしねぇけどな
色んな奴がいておもしれえぞ?」
二人が昼ごはんにした「ソードウルフ」、アニメ第一期14話でメリオダスが狩ってたやつですよね。(デザインはちょっと違いますが。アニメでは舌が剣みたいになってる狼で、漫画のはサーベルタイガーみたいな牙の狼。)アニメの彼は「ソードウルフの肉は赤身が多くて燻製にぴったし! 皮も割といい値で売れる」って説明してましたっけ。
食えて金になるとはなんて素敵な獲物なんだ。
今回、藪にソードウルフを見るなり舌なめずりしてましたし、(色んな意味で)好物なのかな? - ご飯を食べ終えた二人は、縁があったらまた会おうと笑顔で別れた。
別れ際にやっと「あっ ボクはディアンヌ!!」と少女は名乗り、遠く見送り終えてからやっと「ん? ディアンヌ?」と、メリオダスは何かに気付いた顔をしたのだった - 大急ぎで駆けて、暗くなってからディアンヌはメガドーザに帰ってきた。
ドロレスに伝えたくてたまらなかったのだ、外の世界にも自分達を怖がらずに受けて入れくれる人(メリオダス)が、場所(リオネス)があるという喜びを。
ところが、彼女はどこにもいない。
ついにマトローナに尋ねると、彼女は獣の皮をこそげる日常作業の手を止めもせずに淡々と告げた。ドロレスは死んだと。
とある鉱山街の護衛に単独で派遣したが、山賊と交戦して殺されたという。
「たかが山賊相手に情けない奴だ……」「だが役立たずでも戦って死ねたのなら本望だろう」 - ディアンヌはマトローナの顔面を殴りつけた。涙を浮かべ怒りのまま、全力で!
が。それ以上に激しく殴り返され、周囲に置いてあった道具類をなぎ倒して勢いよく転がった。口の中が切れてだらだらと血が溢れ出す - マトローナはディアンヌの怒りを意に介した様子がない。鉄のように立って、「その怒りはとっておけ」「明朝 リオネス騎士団の大規模な蛮族討伐に参加することが決まった」と、いつものように冷静に告げた
- だが、顔を腫らし涙と血をぼたぼた落として子供のようにしゃくり上げながらも、ディアンヌは反論をやめなかった。
「戦って死にたいマトローナとは違うの」「ドロレスは…っ」「自分が死んでも…戦うのは嫌だった」
「お前はどっちだ?」と、マトローナの声が険呑を帯び始める。
「ボクは… どっちでもないよ…」「ボクだって いざとなれば戦う…」「でも きっと それは 大切な誰かを守るためなんだ……」「戦いのための戦いなんて… そんなの…っ 悲しすぎるよ」
マトローナは強い口調で一蹴する。
「くだらん! 大切な誰か…?」「我ら が生きるは力と誇りのためのみだ……!!」
「ちがう! ボクらも…ボクらの命もきっと…」
きっと、『大切な人』を守り、共に生きるためにある。そう思った瞬間、ディアンヌの脳裏に見知らぬ少年の姿が浮かんだ。顔は判らないが、頭にはいつも寝癖があって、フードの付いた服を着た…。
(今のは…)(頭に浮かんだのは…… 誰?)
戦う力は守るために使うもの。それは彼 が教えてくれたことだが、ディアンヌは思い出せない - マトローナはついに怒りをむき出しにして、ディアンヌの襟首をつかむと怒鳴りつけた。
「幼少時代 戦うことを嫌い 里から独り逃げ出し 500年の間 放浪した挙げ句」「帰ってきてみれば その期間の記憶を失くし おまけに おかしな妄言を吐くようになった…」「一体 どこの誰に吹き込まれた?」
「大体 この服装は なんだ!?」「人間だか妖精だかのような真似をしおって!!」「忘れるなディアンヌ!!」「お前は誇り高き巨人族!! 人でも妖精でもない!!!」
力なく泣いて、もはや反論の力を失った少女を床に投げ捨てると、マトローナは「…くだらぬ夢は捨てろ」と冷たい目で吐き捨てたのだった。
いやいや、人間と妖精だけでなく、魔神族や(多分)女神族も、しっかり縫製した服を着てるから。原始人ルックなのは巨人族だけだから!
…っていうどーでもいい突っ込みはともかく。「お前は人でも妖精でもない」という言葉は、その後もずっとディアンヌに突き刺さったままになる、痛い真実でしたね。
けどその棘は、マーリンのミニマムタブレットと、キングの言ってくれた「大っきくても小さくてもディアンヌはディアンヌ」という言葉で、だいぶ小さくなったのかな? - 夜になった。けれど、哀しみを分かち合ってきたドロレスはもういない。
メガドーザの広大な屋上に独り立って、顔を腫らしたまま、ディアンヌは満月を見上げていた。
「ボクは… そんなに変なのかな」
満月に、今となってはただ一人の理解者かもしれないメリオダスの笑顔が浮かぶ。
「ねえ メリオダス キミだったら なんて 言うかな…」
答えは返らない。声もなく泣き始めたディアンヌの脳裏に、ふっと誰かの声が浮かんだ。
『キミをずっと好きでいるし …ずっと側にいるよ…』
いつか、そう言ってもらったことがある。渇望するその言葉をくれたのは誰だっただろう?
「メリオダス…」「そんなこと言ってなかった…………よね?」 - 足元に咲いていた白い花が、記憶の何かを刺激した気がしたが思い出せない。それでも、その声は涙を止めてくれた
- 「本当に誰なんだろ」「メリオダスはそんなこと言いそうに…」「ううん!! メリオダスが言ってくれたのかもしれない!!」
白い花を指先に摘んで横になり、それを眺めながらディアンヌはまどろみ始める。
「いつかメリオダスと一緒に暮らして…」「子供をたくさん作って 楽しく暮らせたら…………」「いい…のに」
白い花に頬を寄せて穏やかな顔で眠り始めた少女の見る夢は、愛する人と手を取り合って生きる幸せな情景。自分は巨人ではなく彼と同じ大きさだ。叶うはずはない。くだらぬ夢は捨てろとマトローナは言ったが。
(そんな夢くらい見てもいいよね…)
けれど少女は自覚しない。夢で手を取り合う少年がメリオダスではないことを。ハーレクインという、愛する人の名と姿を。 - 次回「少女は叶わぬ夢を見る《後編》」
なんと、ディアンヌ外伝は初めての前後編でした! びっくり。今後の大罪過去外伝も長くなっていきそうですね。カラーピンナップも付いてて豪華です。
(しかし、電書版にはなんで付けてくれないの……)
ハーレクインは、ディアンヌにとって本当に大きな存在だったんですね。
超体育会系の巨人族社会は、子供の頃に家出しちゃうくらい、元々ディアンヌの肌には合わなかったようですが、その頃はただ、暴力上等な社会が辛かっただけなのかな?
戦いが全てじゃない、愛する人と幸せに暮らして命を繋いでいきたいという彼女の価値観は、ハーレクインとの暮らしによって培われたものだったのかー。(そうだったらいいなと期待してたから嬉しいです。)
価値観も服装も愛も夢も、彼女の全てがハーレクインと繋がってたと。ひょー。
キングさんよ、ディアンヌはキミ色に染まり切っちゃってますよ。責任とってあげてください。
キング外伝で、ハーレクインが(闘争を好む)巨人族とはあまり解り合える気がしないと言ってましたが、巨人族(マトローナ)の方からも、キングの考え方は全く受け入れ難い「妄言」なんですね。
そして、ディアンヌのメリオダスへの恋心にさえ、ハーレクインへの想いと混同した部分が含まれていたとは。
今回のタイトル「少女は叶わぬ夢を見る」は、本編第8話サブタイトル「少女の夢」に対応したものかと思います。そちらでは、メリオダスとの出会い、彼への恋心や、彼と同じ大きさになりたいという夢を切々と語っていました。その真実はこうだったんですね。
現時点ではまだ、メリオダスへの思いは「仮想恋人」的な憧れ程度に見えますが、次回辺りで「団長大好き~」になる、何か決定的な事件が起こるのでしょうか? それにもキングが絡んでるといいのにな。
メリオダスとの会話場面は、色々興味深かったです。
彼が捜している人とは、十中八九ディアンヌですよね。バルトラ王の
で。ディアンヌの名に聞きおぼえがある風だったのは何なのか。
バルトラ王の予言に名前が含まれてた?
それとも、キングからその名を聞いたことがあった?
そう。メリオダスが、巨人を見ても驚かないそれぞれ変わってて面白い「オレの仲間」がリオネス王都にいると語ってる。つまり、<大罪>メンバーはこの時点で数人は集まってる。
誰なんでしょう?
個人的に、最初期メンバーっぽく感じるのはキングとマーリンです。なんか古株っぽい感じしませんか? 特にキングは、メリオダスが200年前の逮捕に立ち会ってますから、バルトラの予言を聞くや、すぐ捜し当てられそう。
さて。
前編時点ではディアンヌが罪を犯しそうな気配はありませんし、マトローナを尊敬しそうにも思えません。後編で大展開が来るんでしょうね。
個人的には、マトローナが実は親のようにディアンヌを愛してたとか、ディアンヌに過去の自分を見て歩み寄ってきたとか、ドロレスも死んでません全てはディアンヌを発奮させるための嘘でしたとか、そういう「実はいい人でした」、だからディアンヌも彼女を尊敬するようになりました、みたいなパターンよりは、マトローナには今の印象のままであり続けてほしいかなと思ったりします。
価値観的には相容れず、仲良く暮らすことはできなくても、「信念を貫きとおす」姿勢そのものは尊敬できる…ってことは、あっていいんじゃないかなと思うので。
変に日和るよりは、己を貫く鉄の女で居続けてほしいかな。
で。
<七つの大罪>は人間社会で裁かれた罪人たちの集団ですから、巨人社会で何やらかそうとも<大罪>メンバーになるはずがない。
つまり、後編でディアンヌは人間社会に影響する罪を犯す…はず。
リオネス王国の大掛かりな蛮族討伐に参加すると言ってましたから、そこで、彼女の行動が起因となって、リオネス騎士と巨人族に甚大な損害が出るのかな?
ピンナップイラストで、ディアンヌが手に一人の騎士の遺体(?)を抱えているのが気になるところです。後編に人間の新キャラ出るのかな?
ところで、今回の蛮族討伐に<七つの大罪>は参加するのでしょうか。
戦場でディアンヌと<大罪>が遭ってくれたらいいのにな。キングがどんな顔するか見たいので。
あと、どうせならザラトラスやドレファス、ヘンドリさんも、ちらっとくらい出てくるといいなあ。
しかし、バルトラ王が<大罪>メンバーとしてディアンヌの存在を予知した時点で、彼女はまだ罪を犯していなかったんですね。
タマゴが先かニワトリが先か…。
キング辺りがそれを知ったら、彼女が罪を犯す前に救えなかったことを、自分の罪であるかのように悔やみそうです。
後編、楽しみです。
今からハンカチの用意をしなくては。