『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第126話 記憶が目指す場所

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週刊少年マガジン 2015年25号[2015年5月20日発売] [雑誌]

第126話 記憶が目指す場所

  • 「キミは…誰?」と、不思議そうに見上げるディアンヌ。キングだと訴えると「キング…って あのキング?」と認識はしたものの、吹き出しておかしそうに笑いだす。
    「あはっ! やだなあ キングはキミみたいな男の子じゃなくて~ ヒゲの生えた太っちょの妖精さんだよ?」
    「それは…そうなんだけど…」と困惑しきりのキング
  • 更にディアンヌメリオダスを呼び捨てにし、彼に肩を貸して胸を揉まれているエリザベスに「…誰キミ?」と怒気を見せ、ホークをつまみあげて食べようとした。まるで初めて会った時のように
  • メリオダス、エリザベス、ホークはマーリンに報告へ。
    彼女は鉄球(神器)のままだが、魔術で普段と変わらぬ姿を映し出しており、一見して元通りになっている。
    マーリン曰く、ガラン戦で頭を強打した故の一時的な記憶障害だろうと
  • キングが真っ青になっていたというホークの声に興味ありげなゴウセル
    スレイダーが彼の世話を焼き、服を選んでやっている
    ホーク、キングに「ちゃん」付けするのやめたのかな?(メタ的には、単に字数制限のせいでしょうけど。)
  • 広間に二人きりのディアンヌとキング。(キングは「ヒゲの生えた太っちょの妖精さん」に変身している。)共に膝を抱えて壁に寄り掛かり、離れた距離で、互いに落ち着かない様子。
    特にディアンヌは『何でこの人ここにいるの?』的な困惑した雰囲気。
    じっと見つめてくるキングに ぎこちない愛想笑いを返せば、彼はもじもじして「キミと再会したら必ず言おうと思ってたことがあってさ…」と話し出す。が、ディアンヌは無視して「メリオダス… 早く来ないかな~~」と、つれない態度
    今のディアンヌは<七つの大罪>入団直前~直後くらいの記憶らしいですが、その頃はキングの真の姿(少年)を知らなかったのか~。本編再会時には認識してましたから、騎士団での6年間のどこかで、キングの正体がバレた瞬間があったってことになります。そのエピソードもいつか見たいものです。
    そんで、<大罪>結成当初の二人って親交がなかったんですね。普通のお喋りすら楽しめないほどに。
    まだ記憶を取り戻していなかった頃でも、ディアンヌとキングって、仲間としてかなり仲が良かったです。なんだかんだ彼女は彼に甘えてました。それは<大罪>に入ってからの6年間で、ハーレクインではなく「キング」が、頑張って新たに構築した関係だったんだなあ。
  • ディアンヌ、会話の途中で不意に目がうつろに。一瞬前まで口にしていたメリオダスのことを「メリオダス… あの男の子の名前……?」と言い出し、<七つの大罪>のことも理解できない。
  • キングはマーリンのところへ飛んでいき、ディアンヌの記憶が新しいものからどんどん消えていっていると報告した。
    面白がるマーリンを伴い、心配したメリオダスとエリザベス、ホークも連れて、再びディアンヌのもとへ
  • ところが彼女はいなかった。警備兵によれば、何かを思い出したかのように慌てて出て行ったという
  • どこへ行ったのか?
    「簡単だ」と言いながら、スレイダーを伴ったゴウセルが現れた。(スレイダーの選んだ服を着ている。)
    彼曰く、ディアンヌは<大罪>入団以前の居場所に行ったのだろうと。何故なら記憶がその頃にまで退行している。それまでの記憶が消去されているからだ。…ゴウセルの技「消えゆく彼岸ロストワールド」によって。
  • どういうことだゴウセル…!!」「ディアンヌに何をしたーーーー!!!
    激昂するキング。ゴウセルは淡々と。
    「感情を知りたかった俺はギーラの記憶を操作した」「それをディアンヌは激しく責め――言った」「”自分はキングとの大切な記憶を忘れていたものの取り戻した”」「”それは自分の心に深く刻まれていたから 大切な想いを消すことは誰にもできない”」
    キング、バンの言っていたことは本当だったんだ、ディアンヌはあの頃のことを思い出してくれたんだと、ハッとする。
    ゴウセルは淡々と言葉を続けている。
    「だから試してみた」
    無表情に、しかしおどけた仕草でピッと自分の頭を指さし。
    「予想通り 簡単に消えたようだ
     やはり記憶は所詮 ただの情報に過ぎない」
  • あまりの言い様に、スレイダーが「…っ!」と息をのむ
  • キング、涙を浮かべて激怒。
    ゴウセル」「人の記憶をなんだと…!!!
    「キング!!」と一言だけメリオダスに諫められ、グッと怒気を呑みこむ。
    自身も過去に幼いディアンヌの記憶を(泣きながら)消したことを思い浮かべ、苦しそうな顔で変身を解いて少年に戻った。俯いて静かに告げる。
    「いいや…… オイラにキミを責める資格はないよ」
  • ゴウセルは「?」と不思議そうにしている。
    200年前にディアンヌの記憶を消したのがキングだとは気付いてないんですね
  • キング、哀しげにゴウセルを見上げて
    「でも これだけは聞かせて…」「キミは どんな気持ちで彼女の記憶を消したの?」
  • ゴウセル、無表情ながら不思議そうに小首をかしげて
    「……気持ち? 質問の意味がわからないが?」「他人の記憶を消去するのに なんら必要ないだろう」
  • ゴウセルの『心無い』答えに、マーリンはため息をつき、スレイダーは額を押さえてやれやれと頭を振った
  • 「必要ない」「……か」
    キングは(渦巻く内心を隠そうとするように)顔を背けたが、ゴウセルは「ん? どうした なぜ怒る?」と、おどけた動作で顔を覗き込んで追い打ちをかける
  • あまりの空気の読めなさに、流石に慌てて「ゴウセル!!」とスレイダーが叱責。(ゴウセルは意に介さない。)ホークはハラハラした様子で汗タラ、エリザベスは心配げ、メリオダスはやれやれという感じで静観
  • が。キングは困ったように微笑んだ。
    「怒ってやいないよ 心底 君を見損なっただけさ…」
    その表情がスッと冷める
    「人の感情を弄ぶな」
    守護獣ガーディアン形態のシャスティフォルで、拳の一撃!
  • ゴウセル、錐揉み状に広間端まですっ飛んで、柱の高い位置に頭から突っ込んだ。上半身がめり込んで下半身が生えているかのような状態に。「あーあ」とスレイダー
  • キング、メリオダスの方を振り向いて「団長 合流早々悪いけど オイラ一人でもディアンヌを捜しに――」と言いかけたが、既に彼の姿はなかった。
    「もたもたするなキング!! 準備をして すぐディアンヌを追うぞ!!」
    メリオダスは勿論、エリザベス、ホーク、鉄球のマーリンすらも部屋の外へ駆け出し始めている。
    「…うん!!」
    キングの口元に嬉しそうな笑みが浮かんだ。
    ディアンヌ待ってて!!」「キミの記憶は 必ずオイラが取り戻す!!!」
    この場面で、誰より先に走っているのがエリザベスっていうのが、すごく良かったです。ゴウセルの記憶消去は、キングへの想いだけでなくエリザベスとの友情まで消してしまったけど、忘れられても親友。揺らぎない。
    ホークやマーリンも走ってくれているのも嬉しかったです。
    いつかゴウセルにも「仲間を案じて居ても立ってもいられない」こっち側に来てほしいですね。
    あと、数時間前までエリザベスに支えてもらえないと歩けもしなかったメリオダスが(速度は遅いみたいですが)一人で走ってて、回復力流石だなと思った
  • 一人残ったスレイダーは、柱から助け出したゴウセルを片手でつまみあげて、「バカ」と一言
    スレイダー、ゴウセルのお母さんみたいですね(笑)。
    ゴウセルが『心無い』発言をした時、ため息をついたり頭を左右に振ったりしたのが、ゴウセルの「保護者」的立ち位置のマーリンとスレイダーだったのは面白かったです。
    今回、スレイダーはゴウセルのフォローに残りましたが、マーリンはキングらと共にディアンヌ捜索へ。ゴウセルのメイン保護者の役は、彼女からスレイダーに移ったかな?
  • しかしどこを捜せばいいのか? メリオダスは心当たりがあると言う。
    「それ本当 団長!?」「これでも一応 団長ですから」
    彼曰く、ディアンヌは入団前は自分の故郷、巨人族の里メガドーザにいたらしい。ただし行ったことはないので場所は知らない。マーリンに尋ねると即座に答えが返った。
    「方角はここより北 距離にして300マイル以上 エジンバラを越えた先にある」
  • エジンバラには今、<十戒>が巣食っている。だが誰もそれを知らない…。
  • その頃、神器を片手に疾走を続けているディアンヌ。目には涙を浮かべ「マトローナ…」と呟いている
  • 次回、ディアンヌ外伝

 

ディアンヌの記憶喪失の設定は、第114話から微妙に変更したのかな? と感じました。その時点では「七つの大罪」という言葉を聞いて一瞬目がうつろになり「七…つ?」と呟いてただけで、それ以外は支障が無かったですから、キングの存在だけ忘れたように見えましたが。

なんと、エリザベスやホークのことまで忘れてしまいました。今まで積み重ねてきたものが白紙に。恋愛だけでなく友愛まで幅を広げて「記憶に左右されない大切な想い」を語るのでしょうか。

 

とゆーか、正統少年漫画の『七つの大罪』で、次第に記憶が消えていく系の記憶退行ネタ(個人的にマイナー系の女性向け創作に多い印象)を見られるとは思ってなかったです。幅広いなあ。そして、そのネタも数回で使い捨てて次の展開に進んでいく疾走感はホントすごい。贅沢!

 

 

ゴウセルのこと。

彼には、かなり希薄ではあるけど感情(心)はありますよね。

だからペリオを喜ばせたいと思ったり、魔神化したデールに(人工的に創り出された存在である)自身を重ねて「俺には殺せない」と感傷的なこと言ったりしたし。今回も。

「感情を知りたかった俺はギーラの記憶を操作した」「それをディアンヌ激しく責め――言った」

「だから試してみた」「予想通り 簡単に消えたようだ やはり記憶は所詮 ただの情報に過ぎない」

 赤文字にしたところ。本来なら必要ない、感情が入った表現修飾です。

つまりゴウセルディアンヌに責められたのがムカついてたんですね! だから仕返しして、勝ち誇ってみせたんだ。ざっくり言えば。

希薄であっても悪意(感情)ですよねこれ。

 

ギーラの記憶を操作した時も。彼女を救うという側面もありましたが、一方で、彼女からジールの記憶を消し、ジールの記憶まで、かなり雑に消してました。

それ、非合理的行動です。

本当にギーラを救いたいならば、もしくは、周囲にバレずに事を進めるならば、ジールの記憶をも、ギーラにした記憶改変に合わせて書き換えればよかった。「ゴウセルはギーラお姉ちゃんの婚約者で、僕にとっても大好きなお義兄ちゃん」みたいな感じに。

でもそうしなかった。そこには、ギーラを使った愛情獲得実験を邪魔されたくない、独占しておきたい、そのためならギーラの大切な感情を踏みにじってもいいし、ジールが路頭に迷ってどうにかなっても構わないという、自己中心的な欲望……希薄であっても「悪意」となり得る感情の芽があったと思うのです。

 

ゴウセルは、名前の元ネタの時点で「極悪人から英雄に更生した」葛藤・成長系キャラなので、まず「悪」の面を提示しないことには、彼の物語を始められない。

だからこその、今回の『心無い』発言連発、怒りを我慢してるキングを(無自覚に)煽りまくり、というエピソードなんだろーなと思いました。

 

いやでも、キングよくあそこまで冷静を己に課せたよ。私だったらもっとキーキー、理屈なく感情で、地団太踏んで怒ったり責めたりしちゃったと思うよ。大人だな。

そんで、彼は心底怒ると冷たくなるんですね。

とは言え、『七つの大罪』のメインキャラは基本的に気性がさっぱりしてる気がするので、キングも、今回一発殴ったことでゴウセルへの怒りには一段落付けたんだろうなと思います。尾を引いて怒り(見損ない)続けることはなく、早い段階で元の距離感に戻るんじゃないかな?

 

 

前回キングは、早くディアンヌに会って気持ちを伝えたいと思っていました。そして今回も「キミと再会したら必ず言おうと思ってたことがあってさ…」と言いかけています。

これ、一見して「好きだという気持ちを伝えたい」という風に見えますが。

実はそれだけではないんじゃなかろーか、と、ちょっと思ったりしました。

好きだと伝えて受け入れてもらいたい気持ちが半分。

もう半分は、「200年前に記憶を消したことを伝えて謝罪したい」ってことじゃないかなと。

なんにせよ、避けて通れないことですし。

ディアンヌは許してくれるでしょうか? ハラハラします。

 

 

今回、ゴウセルの衣装が新しくなりました。

第二部からの新衣装が、正直、ちょっと…だったので(ごめんなさい)、変更は嬉しかったです。前のより好きです。

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しかし、男なのにホットパンツか(笑)。ゲイ(スレイダー)が選んだゲイファッション? いや、女の子の服装ですよね。

 

あと、何気にメリオダスの衣装もマイナーチェンジしてました。

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前は、インナーがベージュの立衿シャツでしたが、黒のタンクトップに。首筋から鎖骨にかけて見えるようになりスッキリしました。色気も出たかも? 個人的にはこっちの方が好きです。

 

 

さてさて。

次回はいよいよ、待ちに待ったディアンヌ外伝です!

マガジン巻末の予告ページに、内容がちょっと書いてありました。

キングと別れた後、故郷・巨人族の里に戻ったディアンヌ。だが、戦うことが全てという巨人族の価値観に疑問を持つ彼女は、戦士長マトローナと対立。巨人族の誇りとディアンヌの優しさの間に、やがて悲劇の<罪>が生まれる!!

 ちょっと前のキング外伝で

ヘルブラム
巨人族だって族長や戦士長を決めるために 闘技会をやったりするんだぜ?」

ハーレクイン(キング)
「…巨人族とは あまり わかりあえる気がしないなぁ…」

 と言ってたの、伏線だったのかー。

 

…この内容で、ディアンヌの罪に間接的にキングが関わるってことは…。

つまり、争いを好まないキング(ハーレクイン)と暮らしたせいで彼の価値観が染みついちゃって、巨人族の中で孤立してしまい<罪>に繋がった…ってことなんでしょうか。

いやでも、元々そういう価値観だったから幼い頃から里を出て一人暮らししてたってセンもありかな?

ヘルブラムは「仲間たちとの価値観の違い」がコンプレックスだったそうだけど、ディアンヌもそうだったんですね。そういうタイプと縁があるんだなあキングは。

読むのが楽しみです。

 

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