【感想】『七つの大罪』第266話 追う者 追われる者
週刊少年マガジン 2018年 24号[2018年5月16日発売] [雑誌]
第266話 追う者 追われる者
- リオネス王都でも激しい戦いが始まっていた。
- 「“
羅漢扇弾 ”!!!」
ドレファスが、突き出した剣先から複数の貫通魔力弾を扇状に発射する。 - 「ギィ」と悲鳴を上げて貫かれていく、青・橙・白ら低位の色魔神たち。
- 魔神たちの骸が地に落ちていくのを確認して、周囲の聖騎士たちが称賛した。
「ドレファス様 お見事です!!」 - 「これで南門は あらかた掃討できたか…」
振り向いて、確かめるように戦況を語るドレファス。 - 「ヘンドリクセンの抜けた西門はスレイダー隊が十分に補ってくれている」「――――流石は国王陛下の懐刀 <
暁闇の咆哮 >だな」
騎士団<暁闇の咆哮 >と言いつつ、現在の団員は団長スレイダーと若きサイモン二人のみだ。残り三人は、フラウドリンに憑かれたドレファスが殺した。
スレイダーは闘級4000前後の銅色魔神をも倒している。ドルイドの里での修行の成果が出ているのだろう。
◆あれ? 「ヘンドリクセンの抜けた西門」と言ってますが、第257話の作戦会議では「北門 ヘンドリクセン 西門 ジェリコ」と言ってたのに。(単行本版では。雑誌掲載時は、西門守備者の言及はなかった。)
あと「国王陛下」が「国宝陛下」という誤植になってて(読み仮名まで)、面白かったです。バルトラ国王は国宝なのね。 - 「北門もジェリコ隊が被害を最小限に食い止めてくれた」
ドレファスやスレイダーらに比べて疲労も濃く、血みどろになってはいたが、その氷結の魔力で赤や白の魔神たちを一網打尽に凍りつかせていた。
「ただの お転婆見習いと思っていたが… とんだ逸材かもしれんな」
◆あ、ジェリコは魔力に目覚めて正式な聖騎士に昇格したのかと思っていたけど、まだ「見習い」のままだったんですね。
「見習い」なのに、他のトップクラスの聖騎士たちと並んで、この重要な局面で聖騎士たちを率いる守備隊長の一人に抜擢されているなんて、スゴ過ぎない!? - その時、ズズン…と地響きがした。
「!!?」
驚くドレファス。 - 「たっ大変だーー!!!」
駆けてきた聖騎士にハッと顔を向け
「一体 何があった?」と尋ねる。 - 「東門に強力な個体が出現!!」「グリアモール隊 ほぼ全滅です!!!」
- その魔神は人間と変わらぬ体型・体格で、顔面に鼻も口も耳もなかった。代わりに、アルビオンのそれに似た丸い目が一対ずつ縦三つ、全部で六つも並んでいる。一対縦六の目は胸と両膝にもあり、つごう24の瞳があるという具合だ。
両手の指は人間の三倍は長い。足指はフラウドリンやカルマディオスと同じ、サルのように手のひらに似た形をしている。
そして、背中から生え出した闇の荊のような五本の触手が、今しもグリアモールの腹部に突き立ち、鎧を突き破ろうとしていた。 - 「バ…カ…な」「この俺の…「
障壁 」を破る……とは」
ゲホ…と血に えずいたグリアモールは、腹に食い込んだ触手に持ち上げられて足は宙に浮き、ついに手から剣を取り落としてしまう。 - 灰色魔神の大攻撃すら防いでのけたグリアモールの防護魔力が、この魔神にはギリギリで打ち負けた。未だ腹を突き破られてこそいないが、抵抗の余力は残っていない。
- 「グリアモーーーーーール!!!」
その時だ、鎧を鳴らして駆けてくるドレファスの姿が。
「魔神よ!! 貴様の相手は この私だーーーーーっ!!!」 - 「父…さ…」
宙に持ち上げられたまま、グリアモールが肩越しに父を見る。 - (ダメだ)
ドレファスは焦りに歯を食いしばった。息子まで まだ距離がある。間に合わないかもしれない。かといって、
(この位置から攻撃すれば)(グリアモールを――――…)
ちょうど魔神がグリアモールの体に隠れているのだ。魔力弾を撃てば彼ごと貫きかねない。 - 走りながらドレファスは左手を伸ばした。彼方の息子に向かって。
(たのむ…)(もう私から)
届かぬことは解っていながら、ぎゅっと掴む仕草をする。
(息子を奪わないでくれ!!!) - その時、触手の魔神は気付いた。
触手の先から獲物 が消えている。何かに掠め取られたか……顔を上げて確認した魔神は、五本の触手を怯えた猫の毛のように逆立てた。 - 「え?」
- 大岩のような拳に握られたグリアモールが、ぽかんとしている。
それを握るドレファス自身も、また。 - 「キャアアアアアアアア~~~~!!!」
建物の影にいた一般女性が悲鳴をあげた。(今のドレファスには足元の小さな声に聞こえる。)
◆まだ避難してない一般人がウロウロしてることに衝撃。 - 「きょ…きょ…巨大ヒゲ魔神だーーーー!!」
「ドドドッ… ドレファス殿が巨人に…!?」
聖騎士たちも頭上を見上げて驚愕している。 - ドレファスは巨人になって、
空 を握ったはずの手で息子を掴んでいたのだ。
今や彼は、ディアンヌら一般的な巨人族より ずっと大きい。巨人族の始祖ドロールより大きいかもしれない。
驚くべき、そして感謝すべきことに、着ていた鎧、手にした剣までもが体と同規格で巨大化されていた。
◆編集さんがツイッターで明かしていましたが、この場面、ドレファスを裸にするか鎧を着せたままにするか、作者さんは迷っていたのだそうです。
鎧を着た方が選択されてよかった!(笑)。
そうでなければ頭上の超巨大ぶらんぶらんを気にし続けなければならないところでしたよ。猥褻物チン列巨人の伝説が歴史に残ったことでしょう。 - ドレファスの手の中で、呆然とグリアモールが口を開く。
「信じられない… こんなことが…」「と… 父さん この魔力はまるで――」 - 息子の言わんとしたことを察して、やはり呆然とドレファスは言葉を継いだ。
「「巨大化 」…………」
◆グリアモール、子供化していた間のこと、完全に思い出してるみたいですね。 - 10年間、ドレファスに憑いていた魔神フラウドリンの魔力だ。使ったのを見たのは一度きりだが。奴は何故か、ドレファスを器としていた間は、可能な限り自身の魔力を使おうとはしなかった。
- その魔力が、奴がドレファスから離れて死んだ今になって、何故。
- (まさか)(
息子 を護るために)(力を貸してくれたのか?)
天啓のように、その思いがドレファスの中に閃き満ちた。 - 奴がしたことは、魔神族の正義ではあっても、人間族の見地からは許されるものではない。ドレファスを脅して肉体を奪い、ヘンドリクセンの精神を汚染して無自覚な傀儡と成し、多くの人間を殺し苦しめた。
だが。人間に対しては まさに「ぺてん師 」であった男にも、ただ一つ、「誠実」はあったのだ。
息子への愛という、ただ一つが。 - 触手の魔神は、ヘビに睨まれたカエルのように小刻みに震えている。
- さあ、逆襲だ。
ドレファスは怒りを浮かべたまま、ニイッと微笑んだ。 - 荒野の掃討部隊。
「エリザベス様が さらわれた!!」「聖騎士長!! 早く救出に!!」
聖騎士たちが馬から降りてハウザーに詰め寄っている。 - 未だ意識のないギーラを膝に抱えたハウザーは
「わかってる!! だが空を飛ばれちゃ手の打ちようがねぇ…」
と怒鳴り返していた。 - 「オイラが追う…!!」
そんな中、決断を下したのはキングだ。 - 「待って… 一人で行くつもり?」
不安を隠せないディアンヌに、キッパリと答える。
「この場で追えるのは オイラしか いないし」 - 「すまねぇキング!!」「<四大天使>が やられた今 頼れんのはアンタだけだ」
ハウザーは悔しげに頭を下げる。キングとディアンヌが ぎょっと目口を開けた。…ハウザーの背後に現れた人物を見て。 - 「誰がやられたって…?」
その声に、ハッと振り向くハウザー。
「サリエル殿 無事だったん…」
そしはて目を剥いた。
「!!!」 - 先程までサリエルは小柄な少年だった。…少年だと思っていた。
だが今のサリエルは、すらりと背の伸びた妙齢の八頭身美女だったのである。 - 「うお!?」「その姿は…!?」
真っ赤になって凝視するハウザー。口の中で「てか」「女だったの?」と呟く。 - 上着を盛り上げる はち切れんばかりの乳房に、上着の裾からチラリと見えるピチピチのホットパンツから覗く尻肉と太腿に、男性聖騎士たちは目を吸い寄せられ、次々と鼻血を吹く始末だ。
(正直、ディアンヌの方が よほど露出高く、四方から見放題なのだが、チラリズムの効果というものだろうか。) - サリエル自身は白々としたものだった。
己の胸に目を落とし、ちょっと目を丸くしたものの、確かめるように軽く押さえただけでサラリと語る。
「ああ… 器が成長しただけさ」 - 「はい?」
ハウザーは未だ赤面して凝視したままだ。 - 「人間の器は大抵 脆く不安定でね…」「上位女神や上位魔神が宿り 力を行使すると 負荷がかかり 様々な変化を及ぼすことがある」
サリエルは次に、肩に届くまで伸びていた己の髪に触れた。
「たとえば―――― 急激に髪が伸びたり 体が著しく成長したり」「宿主の魔力が多少なり器に残ることもある」
◆急激に髪が伸びて体が成長…ハッ…! エレイン……!?(関係ないよ)
それはそうと、ここの台詞で、人間の器に憑いた魔神や女神の方を「宿主」と表現してますが、反対です。「宿主」は本来、寄生される側の生物(ここで言う、器にされた人間の方)を指します。「憑依者」とか「宿った者」とかにした方がいいんではないでしょうか。 - 「はあ…… でもタルミエル殿は 何ら変化は…」
不得要領な様子で、ハウザーはサリエルの後ろに立つ男に目を向ける。 - サリエルが無言でタルミエルを見上げると、彼は飄々と説明した。
- 「私の器は喧嘩祭りとやらの数日後に下位魔神との戦闘で殺されてるの~~~」「その後 魂の承諾を得て 拝借したんだけど~~」
元々、器たる破戒僧アーバスが愛用していた戦棍に、タルミエルは宿っていた。
「…つまり元々死んでいる器は なんの変化も起きないわけ~~~~」 - ドルイドの
長 たる双子、ジェンナとザネリがその例だ。
女神族の姉妹であった彼女らは、聖戦に疑問を抱いて軍 から脱走した際、死にかけていた人間の双子姉妹の体に、その消えかけた魂の許しを得て身を隠したのだという。そのまま数千年、子供の姿のまま変化することなく存在し続けているのだ。 - タルミエルの話に触発されたか、再びサリエルが口を開いた。
「僕の器はブリタニアを旅する幼い芸人だった… けれど道中 不治の病にかかり絶望の淵にいたのさ」「一方 彼女の持つ楽器に宿っていた僕は 復活した魔神と戦う器が欲しかった―――― そして契約は果たされた…」「病を治す その代償に」「身体を貸してほしいとね」
◆回想絵を見るに、病気のソラシドが寝ている場所は屋外です。
福祉の概念に乏しい時代で、かつ社会的には底辺近い「幼い旅芸人」ですから、自宅や病院で療養するなんでできない。サリエルが取引を持ち掛けなかったら、ソラシドは文字通り野垂れ死にしていたんでしょう…。 - 訊きたくて訊けずにいたことを、ついにハウザーは口にする。
「…そ…その… 大丈夫なんスか?」「<四大天使 >が宿った体の持ち主は…」 - サリエルは微笑んだ。
「<四大天使 >が恩寵を行使しつづければ 間違いなく人間の体は耐えきれずに滅びるよ」「この芸人 も」
己に向けた手のひらをパッと開いてみせ、
「リュドシエルが宿った あの王女も」
ハウザーが知りたがった核心を、あっさりと明かしてみせる。 - 「!!」「そ… そんな!!!」
- サリエルは僅かに まぶたを伏せた。
「……」「だから僕は返すことにしたよ…」
その目が虚ろになり、かくんと人形のように首が傾く。
「欲を言えば 元の体が完全に再構築するまで借りていたかったんだけど」「器に嘘を… つくわけにはいかない …僕は これでも義理堅い… んだ」 - サリエルの全身から水蒸気のように光が噴出し始めた。
- 「私の器も ここまでね~~~」「…悪いけど あとで この器 ちゃんと埋葬してあげて♡」
笑って聖騎士たちにバイバイと手先を振るタルミエルからも同様の光が噴き出す。 - 「サ… サリエル殿 タルミエル殿!?」
糸の切れた操り人形のようにくずおれた二人にハウザーが驚いた、次の瞬間。
「くっ!!」
生じた強烈な光に目を焼かれて苦鳴した。 - デスピアスやワイーヨは、眼前に腕をかざして目をすがめている。
- その前に立つデリエリは正面から光を見て瞬き一つしない。
- 素直な驚きの顔を見せているキングとディアンヌ。
- ホークは汗を垂らして鼻息を吹き、ゴウセルは僅かに眉根を寄せて『彼ら』を見つめた。
- 地に倒れている全裸の男と女。その上に、キラキラしい光に包まれた天使たちが浮かんでいる。
- 「さて…… と エリザベス様を救出して」
少年の見かけをした大四翼のサリエル。
「エスタロッサを とっとと ブチのめしましょ~~」
三面小六翼の異形であるタルミエル。 - 3000年前と全く同じ姿で、ついに彼らは顕現していた。
- 『とっとと』と急かす相棒の言葉を聞いて、サリエルは己の手を眼前にかざす。
「たしかに……」「あまり時間はなさそうだね」
手の甲が脆く光の泡のように崩れていた。タルミエルの手も同様だ。固まりきれていないゼリーのように、存在が脆いようである。 - ハウザーが尋ねた。
「…けど どうやって?」「相手は<四大天使 >をも圧倒した化け物すよ!?」 - 「そうさ エスタロッサは<四大天使>最強のマエルをも殺した男だ…」「それにより戦況は崩れ 女神族は追いつめられ 女神の封印を発動せざるをえなくなった…」
- 抑えながらも憎しみの籠る言葉を、デリエリは何処か不服そうに聞いている。
- ゴウセルは、何故なのか、顔を大きく横に逸らして伏せていた。その表情は窺えない。
- 憎しみと決意の入り混じった表情で、二人の天使は
宣 べた。
「何をしてでも奴は 今ここで討たねば」
「聖戦に終わりはこないの~~!!!」 - そしてサリエルが「なぜエスタロッサがエリザベス様を さらったのかは不明だけど」「とにかく急ごう 今の奴は あまりに強大で不安定だ」と続けていた、その頃。
エリザベスを腕に抱いたエスタロッサは、遥か高空を、流れる雲を掠めながら飛んでいた。 - 「私をどこへ連れていくつもりなの?」「お願い…答えて!!」
エリザベスの問いに、エスタロッサは微笑んで答える。
「…いつも俺たちが人目を忍んで会っていた あの場所さ」 - あっさり返答されたことに驚いてから、数瞬 思考を巡らせたエリザベスは、
「…!」「まさか… あの場所は私とメリオダスしか知らないはずよ」
不快と怪訝を顕わにした。 - 「そう 俺とお前の秘密だった…」
「あなたはエスタロッサ! メリオダスじゃないわ!!」
エスタロッサは鼻で笑う。
「エスタ…ロッサ? 魔神王の息子のくせに闇の力も持たねぇ… 出来の悪い弟―――…」「が」
突然、大きな脈動に震えて目を剥くや、エスタロッサは意識をなくしていた。 - 「きゃっ」
振り放されたエリザベスの傍らから、気を失った男が石のように落ちていく。 - 続いて落ちるエリザベスは、雲の切れ間に地表を見た。かなりの高空を飛んでいたと思ったが、随分と近い。見る間に近づくそれを目の当たりにして、少女はキッと表情を引き締めた。
- バッと、背に二対四枚の純白の翼を広げる。
落下より速く飛び、弧を描いてエスタロッサの前に回り込むと、地表激突寸前だった彼を両手で押し留めた。少女のつま先が地表に当たり、そのまま10mほど、靴底で後ろに滑っていく。 - やがて力は弱まり、男は自然にエリザベスの手から離れて、ドサ… とうつ伏せに倒れたのである。
- 荒い息を吐いていたエリザベスは「はーーーー…」と安堵の息を吐いた。
汗を拭いながら周囲に目を巡らせる。
「ここは……!」 - その時だ。
「あぐっ」
伸びた手のひらが、ガッとエリザベスの細い首を掴んだ。 - 「ゲ…グ…ギギギ!!!」
右手だけでエリザベスの首を絞めるエスタロッサに知性は感じられない。肌に血管のように広げた闇を蠢かせ、口からは奇声と共に よだれを垂れ流して、狂気の目で力を込めた。 - 次回「天空より」
現象に感情を付与する、それが人の心
サリエルが語った、
上位の魔神や女神が人間の体に憑いた場合に起こりうる変化
は、いろいろと示唆的でした。
「人間の器は大抵 脆く不安定でね…」「上位女神や上位魔神が宿り 力を行使すると 負荷がかかり 様々な変化を及ぼすことがある」
「たとえば―――― 急激に髪が伸びたり 体が著しく成長したり」「宿主の魔力が多少なり器に残ることもある」
例のうち「急激に髪が伸びる」「体が著しく成長」は、サリエルが宿ったソラシドの身に起き、もう一つ挙げられた例「宿主の魔力が多少なり器に残る」が、フラウドリンに宿られていたドレファスの身に起きたことだと示唆されています。
つまり、比較的 起こりがちな現象、必然的な、ある種の自然事象だと言えるでしょう。
ところが、それを知らないドレファスは、この現象を「亡きフラウドリンからの、息子を案じるゆえの贈り物」と理屈づけしていたので、人の心は面白いなと思った次第です。
ただの現象も、人の心というフィルターを通せば、「愛が起こした奇跡」になり、価値や重みが増すのですね。
番外編『キミに伝えたいのは』にて、ジェリコの身に亡き兄と同じ魔力が発現した際、ジェリコはそれを「兄からの贈り物」と解釈していたように読めました。
これも、実際は「兄妹だから たまたま同じ魔力が発現した」だけの、ただの現象に過ぎなかったのかもしれない。しかし、人はそこに「愛ゆえの奇跡」を見るという。
自然現象か奇跡か。二通りの解釈ができるように描いてくださっているのは嬉しいなと思いました。
ところで。
フラウドリンがドレファスの器を使っていた時代、正体がバレた後も、頑なにドレファスの技・魔力ばかり使っていました。
当時の感想にも書いてますが、不思議に思って読んでたものです。
で、今回明かされた「女神・魔神の力を行使すると、いずれ器が滅ぶ」という設定。
なるほど!
フラウドリンの特技は「人間への憑依」。そしてドレファスの器を気に入っていたという設定。
過去に様々な人間に憑いていたのだろうフラウドリンは、魔神の力を行使するほど器が壊れやすいということを、経験を以て知っていたんでしょう。
だからこそ、ドレファスの体では なるべく魔神の力を使わないようにしていたのでは? この器を壊したくないと思っていたから。
人間としては強いし社会的地位もあるから使い勝手がいいという点もあったのでしょうが、なにより、「ドレファス」である限り、「息子に尊敬される父親」であることが出来たから…ではないでしょうか。
ちょっと話変わって。
危機にあるグリアモールを救おうと走り手を伸ばすドレファスの独白
(たのむ…)(もう私から)
(息子を奪わないでくれ!!!)
このページの柱に、担当編集さんによる解説がありました。
展開をおさらい!
「もう私から息子を奪わないでくれ」
ドレファスはダナフォール跡地でフラウドリンに身体を奪われ、10年以上もの間、息子・グリアモールと引き離されていた。
……んんん?
担当編集さんが解説するからには、そういう設定なんでしょうけども。
なんだか不得要領な気分になったのは、第一部を読んでいた限り、ドレファスが10年の間の全て「ドレファスのふりをしたフラウドリンだった」とは思えなかったからです。
ヘンドリクセンも同様に、自分が魔神に出遭い・契約してしまった記憶を亡失させられ・部分的に判断の方向を操作されていたようですが、基本的にドレファス本人で、たまにフラウドリンが表に出て、暗躍したり・魔神の本を集めて読みふけったりしていたように見えました。
そもそも、「10年間 完全にフラウドリンで、ドレファスは全く表に出ず、息子とすら『引き離されていた』」というなら、ハウザーは、弟子入りしていた13年のうち、殆どの期間 フラウドリンの弟子だったということになってしまいます。彼が尊敬してやまなかった「ドレファス聖騎士長」は、殆ど「フラウドリンだった」ことに。
うーん?
王都決戦後~フラウドリン死亡までの二ヶ月ほどの期間、魔神として行動し人間ドレファスとしては行動できず、息子にも二度と会えなくなるところだった辺りを指している方が、個人的には腑に落ちるかも。
余談。
ドレファスはフラウドリンに憑かれていた間のこと、完全にではないかもしれませんが、結構 覚えているようですよね。心の声としてフラウドリンと会話していたこともありますし。
なのでソラシドやマーガレットも、実は器を貸している間の記憶が、映画や夢の記憶みたいなモノかもしれませんが、残ってる可能性もあるんじゃないのかな…と期待していたりします。
そうでもなければ、目覚めたら急に大人になっていたソラシドは可哀想かもですし。
どうなんでしょうね。
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器の生死の基準ってどこ?
かつてヘンドリクセンが語ったドルイド族の風習に、
「子供時代は いつも死者の埋葬の番をさせられたな…」「自然ならざる魂を得て死体が蘇らないよう 完全に骨になるまで 毎晩 見張りをするんだ」
というものがありました。(第124話)
魔神族に死体を乗っ取られる危険を警戒した風習なんだなと思っていましたが。
なんと、女神族も「死体を器に出来る」ことが判明。
えええええ~~?(汗)
死体を器にすると力を行使しても変化しないそうで。
でも、死体を使っているというタルミエルも、ジェンナやザネリも、見た感じ生き生きとして、腐っても冷たくもないようだし、飲み食いして酒に酔ったりもしてたし、傷を負えば血を流し回復術で治癒していて、生きた器を使っているサリエルらとなんら変わった点はありませんでした。
んんんんん?
こういうのって「死んだ器」と言えるのか?
…器の持ち主の魂が有るか無いかで「生」と「死」は区別されるってことなのかな?
例え肉体が最低限の生命活動を…食べて飲んで消化排泄して髪や爪が伸びて傷が治癒して…いても、本来の魂がなければ「成長・老化」はしない??
素朴に疑問に思ったのですが。
生きた器を使えば器を壊してしまう・死んだ器なら変化しないというなら、みんな死体を使えばいいじゃないですか。
なのにどうして、わざわざ、リスクのある「生きた器」を使うのでしょうか???
色々考えてみたのですが。
「生きた器」「死んだ器」どちらを使う場合にも、共通項が一つありました。
- 器を借りる際に「器の主の許可」を得て、契約している
魂が、死ぬと同時に肉体から離れていくのなら、許可を得るには、魂が離れていない「死んだ直後」「死ぬ間際」でなければならない。
ならば、墓に埋葬されて時間の経った遺体はダメで、死ぬ間際・直後に立ち会うという偶然がなければ無理。
そのうえで器と魔力の相性がよく、器の魂が契約に応じてくれなければ不可。
つまり「死んだ器」を得るのは、かなり難しく稀有なこと…なんでしょうね。
そんな稀有な「死んだ器」を、タルミエルが簡単に放棄していました。
なんで?
サリエルが器から出たのは解ります。ソラシドを生かすためですよね。
でも、タルミエルが器にしたアーバスは既に亡くなっています。いくら力を使っても変化しないというし、壊れたとしても、遺体に戻るだけですから、誰も困らないでしょう。
なのに、本来の身体の再構築が未だ成されていないという状態でパージ。
なんで??
相棒のサリエルに付き合ったのでしょうか?
不完全な状態でエスタロッサに立ち向かうのは、消滅を覚悟するほどの決意だとかで、それを悟ったタルミエルが自分も同じ状況にして付き合うコトにした?
はたまた、アーバスの魂との契約が「最後は遺体を埋葬してほしい」とかで、エスタロッサと戦えばその契約を果たすのが困難だと判断して、聖騎士たちの前に遺体を置いていった?
色々 妄想がはかどりますね。
そういえば。
とても意外だったのですが、大喧嘩祭りに参加した時点では、破戒僧アーバスは まだ女神に憑かれていなかったんですね。
んじゃ、メリオダスが<十戒>に殺された時、思わせぶりにニヤリ笑いしてたのは、別に意味なかったんかい。(^^;)
じゃあ、アーバスは何の望みを叶えようと大喧嘩祭りに参加したんだろう。
一方ソラシドは、大喧嘩祭りに参加した時点で、既にサリエルが憑依済みだったようですね。
でなければ、迷宮中の生命反応を察知したり・ディアンヌも登れなかった迷宮の壁の上に座ってたりなんて、ただの「幼い旅芸人」にできるはずないですもの。
ということは、関西弁っぽい方言で喋ってたり、調子よく即興曲を歌ってたのも、実はサリエルがソラシドの真似をしてやってたんでしょうか(笑)。
サリエル、酔っぱらった時に楽器を掻き鳴らして即興で歌ってましたしね。
それとも、その時はソラシドの意識が表面に出た状態だったんでしょうか。
サリエルがソラシドの器に宿ったのが、実はすごい昔(16年前か10年前)で、ずっと二人で一人の相棒として吟遊詩人生活をしていたんだったりしたら、面白いですね。
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エリザベスの羽
エリザベスが羽を出しました。
メリオダスと再会して以降のクライマックスに出すのかと思ってたので、ここで出しちゃうんかい、と、ちょっと拍子抜け。
そして、羽が背中から直接生えているのではなく、人間の器に宿った<四大天使>たちと同じ、背中から浮いている形式だったのは、目を引きました。
今のエリザベスは「人間の器に女神族の精神体が宿っている」状態と同等ということですから。
(彼女の器は「成長・変化」していますから、人間の魂もある状態なんですよね。…元々の人間の赤ん坊の魂と女神エリザベスの精神が融合してる感じなのかなあ。)
…ということは、王女エリザベスも、調子に乗って女神の超パワーを使っていたら、三日を待たずして肉体が壊れて滅びる可能性がある?
「髪が急激に伸びて」髪型が また変わる展開は用意されていそう。
エリザベスの羽と言えば、前々から疑問に思っていたことがあります。
単行本28巻の表紙が「女神の力に目覚めた王女エリザベス」なのですが。羽が六枚あるんですよ。
しかし、3000年前の女神エリザベスは四枚羽でした。
今回、王女エリザベスに生えた羽も四枚です。
…たんなる作画ミス?
と言い切れないのは、3000年前にインデュラを浄化した際、背後に羽の形の光が出て、それは八枚羽だったからです。
エリザベスの羽って、状況に応じて枚数増えるのかな??
設定上、女神族の力の大きさ(闘級)は、羽の枚数と大きさに現れていることになっています。
下位女神族は二枚羽が基本。
<四大天使>ら上位女神族は四枚~六枚になっています。
最高神は十枚羽っぽい。
エリザベスの羽の枚数が これから増えることがあるのか、注目していきたいと思います。