【感想】『七つの大罪』第127話 絶望との再会
週刊少年マガジン 2015年28号[2015年6月10日発売] [雑誌]
第127話 絶望との再会
- 北のメガドーザを目指し、どんどこどんと疾走するホークママ。
彼女の背の<豚の帽子>亭内で「待ってて ディアンヌ…必ず見つけるから!!」と眉を下げて窓の外を見やるエリザベス。
キングは席について、トントンと指でテーブルを叩いて苛々した様子。
「確かに速いのは助かるけど…」「ねえ マーリン どうせなら君の瞬間移動で行けないかな?」
鉄球のマーリンは宙に浮いて応える。
「すまないな キング… 今の私は魂を神器 に留めておくだけで精一杯なのだ」「それに いざという時のためにも魔力を温存しておきたい」
「…いざという時?」
「ディアンヌが向かう先――その途中にあるエジンバラ城跡から」「とてつもない邪悪な波動を感じる」
「!?」と驚くキング。メリオダスも真剣な顔で「…ああ」と頷く。
ホークママの走る速度は、キングが飛ぶより速いんですか!? ちょっとびっくりでした。流石に300マイルも飛び続けられないのかな。
そして、そんだけ速く走っても室内が「全く」揺れてないのがまたすごい。(天井から下がってるランプが微動だにしてません。)揺れに揺れて立っていられず、物は落ちて壊れ、人は酔って吐いたり転んで怪我したり、しそうなものなのに。
そして、皆を乗せての長距離走でも、息一つ乱れず心温まる笑顔なのですよ、ホークママ。
やっぱホークママは人を背に乗せて運ぶ用の魔導兵器的なもので、上に乗ったものが揺れない重力制御魔法でもかかってるのかなあ。(と、こじつけてみる。)
あと、キングはマーリンの瞬間移動を期待してましたが、オスローは?
…より優れた瞬間移動能力のあるマーリンがいるのに、あえてオスローを酷使しようとは思わないってことかな。今日はもう、森からリオネス、リオネスからキャメロットと、二回もオスローに頑張ってもらってるはず。キャメロットからメガドーザまで300マイル(約483km。東京から奈良くらい)は大移動だとメリオダスが言ってましたが、妖精王の森からキャメロットまでは、それと同等か、以上の大移動だったんではって気がします。
そんで、マーリンとメリオダスが気付いていた「邪悪な波動」に、これまでは気配に聡い描写の多かったキングが気付いてなかったのは印象的でした。ディアンヌが本当に心配で、そればかりに気をとられていたんですね。
もう一つ。魂を神器 に留めておくだけで精一杯なのかマーリン。気を緩めると魂が石化した体に戻っちゃうのかな? まさか死者の都に逝っちゃいそうに?
なんにせよ、瞬間移動すらままならないようでは、団長に「10年前に奪ったもの」を返すのも難しそうですね。団長のパワーアップは、エリザベスが力に目覚めてマーリンの石化を解くまではお預けかな?
そう思わせといて次週辺りでいきなりパワーアップするのかもしれませんが(笑)。 - 場面変わり、エジンバラの溶け城。思い思いの姿勢でくつろぐ<十戒>たち。
横たわって頬杖をついたガランが、メリオダスを仕留めたとフラウドリンに話している。
「他の小うるさいハエ共々 始末してやったが」「拍子抜けもいいところじゃよ」「…あれが かつて魔神族を震撼させた異端者の末路とはのう……」
メリオダスは「魔神族を震撼させた異端者」…。何やらかしたんでしょうね。 - ガランの力は十分承知していると認めつつも「奴が それほどたやすく倒せるとは思えんが」と、半信半疑のフラウドリン。「<真実>のガランの言葉を信じられんのかいな」と、ガランは身を起こして不本意そう。
ガランは、彼に嘘をついた者が石になるだけでなく、彼自身も嘘をつかない(つけない?)のかな。彼自身も嘘をついたら石になる? 単に嘘が嫌いってだけでしょうか。
<十戒>の戒禁 が、武器であると同時に弱点でもあったら面白いですよね、それを見つけていくのが。 - その時、何かに気付いた様子のガラン。おもむろに立ち上がる。またどっかに行くんスかと尋ねる「タコ娘」に「散歩じゃよ」と返して、フラッと溶け城を離れていく。
- その様子を見ている「ヒゲ男」。あどけなく眠る「ケツから女」を膝に抱いている。
…か。可愛いですね この二人! カップルだったのかな? - ディアンヌは疾走をやめ、とぼとぼと歩いていた。
「早く里のみんなに伝えなくちゃ…」「マトローナがボクを庇って…………………」「死んっ…」
溢れ出た涙をグッとこらえる。
「戦いの最中 他人を庇ったら死ぬって…」「そう言ったのはマトローナじゃない …バカ…バカ!」
こらえきれず溢れた涙を拭ってから、目の前の景色を見て不思議そうにした。
「なんだろ…… こんな変なもの見たことない…」「不思議な岩山…それとも建物?」
それはエジンバラの溶け城である。
今のディアンヌの記憶は、マトローナが死んだ直後、逮捕される前なのか…。 - 直後、ゾクッと総毛立つディアンヌ。
背後にガランが現れていた!
「なぜ生きておる?」「巨人族の娘よ」
「お前さんには ちゃんととどめを刺したはず」 - 振り返らぬまま、ディアンヌは思考する。
(な…に? 全身が粟立つ この感じ…!!)(後ろにいるのは 一体――)
冷や汗が流れ、鳥肌が立ち、握りしめた手が震えだす。
(ダメ!! 振り返ったら……)
ドンッ、と地を蹴って逃げ出した!
(何も考えるな!! ただ全力で走れ!!!)
が、全力で走り去ろうとした眼前にもう一人、恐るべき何者かが飛び降りてきて、やむなく急ブレーキで立ち止まる。 - それは<十戒>の「ヒゲ男」。無感動にディアンヌを見上げ、飄々とした口調で言った。
「巨人族じゃないの」「魂がでかい分 魔力回復には都合いい」
あれ? なんか、初登場時と口調の印象が違う感じですね。ちょっとおネェっぽい? いや、とっぽくなった??
そして、巨人族は魂も大きいのか。食べでがありそう。 - カカカッとガランが笑った。
「モンスピート」「お前さんも鼻が利くな」
モンスピートと呼ばれた「ヒゲ男」が返す。
「人間の魂を一つばかり食ったら かえって腹がすいちゃったもんで」
「大方 デリエリに頼まれたんじゃろ お前さんも 存外 世話焼きじゃの」
武器をバトンのようにヒュンヒュン片手で回しながら、ガランがゆっくりディアンヌに近づいてくる。ごく日常的なトーンで言葉を返すモンスピート。
「あいつは関係ない あくまで個人的な空腹の問題だよ」
「デリエリ」というのが「ケツから女」の名前でしょうか。 - 二人の<十戒>に挟まれ、行くも退くも出来ないディアンヌは おろおろするしかない。
(なに… なんなの こいつら?)(見た目は人間でも 中身は まるで別モノ…)(妖精族でも巨人族でもない!!)(まさか… まさか!!)
「見た目が人間」なのはモンスピートの方だけ。ガランは到底 人間には見えぬでござる。
魔神族は妖精族と同じで、同種族内でも姿や生態にかなりの個体差があるみたいですね。「タコ娘」みたいのもいるし。
妖精族のキングがたまたま人間の子供そっくりの容姿であるように、メリオダスが人間的な容姿なのも たまたまの生まれつきってことでしょうか。 - ガランは一歩一歩と近付きながら「ところで巨人族の娘よ …まだ儂の質問には答えておらんぞ?」「なぜ生きておるのだ?」と尋ねる。
「こっちに来ないで…」「キミのことなんて全然知らない…!」
ディアンヌは冷や汗を流して怯え、ついに「ボクに近寄るなーーーっ!!!!」と、追いつめられたネズミのように必死で戦鎚 を振るった。
が。インパクトの瞬間に戦鎚は微動だにしなくなり、振り切ることができない。 - (メリオダス……!! 怖いよ… 助けて…)
必死の顔で涙を浮かべ、メリオダスに助けを求めるディアンヌ。
この記憶の時点では彼とは一度会ったことがあるだけなのを考えると、深層心理的にはハーレクインに助けを求めてるってことでいいのかな。
つーか、第126話時点じゃメリオダスの記憶失われてたじゃん!? どーなってんのこれ。 - ガランは巨大な戦鎚を全身で受け止め、僅かなよろめきすらなく、平然と立っている。不思議そうに「石化しない…………?」とディアンヌを見上げて、理由を量っている様子。
「何も憶えておらんのか……それとも 儂がとどめを刺し損ねたか」「まあ よいわ」と、ディアンヌが全力を込め続けていた戦鎚を片手でひょいと押し返す。「ならば今度こそ死ね…」 - 戦鎚から手を離されて、バランスを失いよろめいたディアンヌの腹に、ガランの飛び蹴りが炸裂した。骨が折れるような音が響き、口から血を吐きだしながら巨体を宙に浮かせ、後ろざまに倒れていく。
- 「では遠慮なく魂を食わせてもらおう」と、モンスピートが片手をさし伸ばした。
- が。唐突に、大地が巨大な棘となって突出! モンスピートはどこかに跳ね飛ばされた。ハッと振り向いて武器を構えかけたガランに向かい、何者かの魔力が放たれる。
「”砕破”!!!」
ガランの足元一帯の地面が細かく粉砕され、無数の石つぶてとなって噴き上がり全身を打ち叩いた。続いて、舞っていた石つぶてが無重力のように静止し、「”獄握”!!!」と拳を握る動作に合わせ一気にガランに集中。グシャン、と石つぶてを圧縮した岩の中に押し潰されたかのごとき状態に。 - 「そんな…」「この魔力は……」「うそ…」「これは……夢…なの?」
土煙の向こうに現れた巨大な姿を見て、感極まった涙と共に、ディアンヌはその名を呼んだ。
「マトローナ!!!!!」
微笑みを浮かべて立っていたのは、死んだはずのマトローナだった。
あれ? マトローナの服装が、彼女が嫌ってたはずの「人間だか妖精族だかのような」ものになってますね。表情も険が消えて柔和に。おやおや? - 次回、増ページ&巻頭カラー
あれっ。電書版マガジンが……変わった!? グラビアが収録されてるし、表紙デザインも紙版と同じになってる!
というのが、漫画を読む以前の感想でした(笑)。
しかし『七つの大罪』だけが、何故かぼやっとした読みにくいピンク色で、何故か扉絵が収録されないってのは相変わらずです……。
どこまで続くのかしら この電書版読者苛め。
単行本は紙版を買ってますし、読者はその都度の都合で買い分けてるだけなんですから、いいかげん諦めて、「質を落とす」方向の差異付けはやめてほしいものです。(『マガジンスペシャル』掲載の外伝の方は、普通に黒色で読みやすくて扉絵も付いてたのになあ。こんなことする意味が解らないです。)
そういえば、第39回講談社漫画賞の選考評付きの結果発表が各雑誌に掲載され始めましたね。遅れましたが、『七つの大罪』少年漫画部門受賞おめでとうございます。
では漫画の感想。
今回の本編中に姿は見当たりませんが、(電書版には収録されない)扉絵にはスレイダーがいるので、彼とゴウセルも、ちゃんとホークママに同乗してそうですね。
うむ。ゴウセルたんには是非とも、ディアンヌとキングの♥愛の奇跡♥を目撃してもらわないと。
(あ、いや…。よく見たら表紙にはアーサーもいますね。流石に王のアーサーが大損害を受けた国を放置して同行するはずありませんから、扉絵はあくまでイメージで、やっぱり今回はスレイダーもゴウセルも同行してないのかな??)
実は生きてたマトローナ。
死んだはずだよお富さん♪ て春日八郎の歌が脳内を流れました。
生きていたとはお釈迦さまでも知らぬ仏のマトローナさん♪ でござった。
これに関しては現時点では何も言えない感じです。いいとも悪いとも。色々不明すぎて。
ディアンヌ外伝は、後編の展開が色々モヤモヤ&中途半端で、消化不良に思えたものでしたが、要は、あれは実際終わっていなくて、これから本当の決着を見せるってことなのかなぁ?
とりあえず、前回の外伝後編を読んだ時にマトローナの死に感極まって泣いたりしてなくて本当によかったと思いました。もし泣いていたら、決まり悪さのあまり今週の『マガジン』ぶん投げてたかも(苦笑)。電書だと端末壊れるから投げられませんが(笑)。
マトローナさん、前髪伸びましたね。いや、全体に伸びてるんですけども。
上にも書いたように、かつては原始人ルックだった服装が、否定していたはずの人間風に変わっているのは、大きな意味があることなんでしょうね。
思想も変化しているんかな。守るために戦うぞ党に入党。
くだらない追記。
ひとつ。
再登場マトローナの手袋に、第一部までのディアンヌの服の胸に付いてたのと同じマークが入っています。
(すごく判りにくいので、赤色を付けました。)
このマークは、ハーレクインが最初に作ったディアンヌの服には付いていなかった(それを真似てディアンヌが自作した服に付いていた)ものです。
ふたつ。
巨人族はパンツ穿いてないんだろうと思ってましたが、マトローナさん穿いてるっぽい。
あれっ、でも『まちぼうけの妖精王』の幼ディアンヌは下着を着けていませんでした。(服が一枚破れただけで全裸になってた。)
第一部時点のディアンヌも、普段は穿いてなかったっぽい。(喧嘩祭りの際、亀裂の底にホークママがディアンヌの服一式を落とす場面に、パンツらしきものが見当たらない。)
……んんー?
幼ディアンヌがパンツ穿いてなかったのは、彼女個人の趣味(または、破れたりして穿かなくなってた)に過ぎなかった?
あるいは、日本では明治時代くらいまで、成人式(元服/髪上げ)するまでは下着を着けないものでしたが、巨人族もそういう文化だった?
まさか、穿いてるマトローナの方が巨人族として異端?
パンツ問題根深い(笑)。←勝手に根深くしてるだけだよ私が
みっつ。
ドロレスという名前の愛称は「ロリータ」。
ロリータ・コンプレックス(ロリコン)の語源となった小説のヒロイン、ロリータの本名は「ドロレス」です。
そんだけなんだけど(笑)。