【感想】『七つの大罪 戒めの復活』第十五話 戦慄の告白
※この記事の画像は、特に記述のない限り、TVアニメ『七つの大罪 戒めの復活』( 鈴木央・講談社/「七つの大罪 戒めの復活」製作委員会・MBS)より引用
2018年4月28日放送
第十五話 戦慄の告白
今回は、エピソードのカットや短縮が目立ち、作画カロリー的にカットされた場面もあって、全体にヘルシーでした。
エピソードのカットは尺的な問題だったのでしょうが、原作にあった伏線の幾つかも消えており、ちょっと残念ではありました。
今回から王弟デンゼル様が登場!
デンゼル様の声が、自分がイメージしていたものより ずっ…と若々しく濁りのない美声だったので、彼が喋る度に違和感がありました。(^^;)
同様に、マトローナの夫・ザルパの声も、想像していたものよりクリアな美声で、やっぱり少し違和感がありました。もっと武骨な声のイメージでした。
声と言えば、前回の感想に書き忘れてましたが、エスカノールの声も、自分が想像していたより若い声でした。
といっても、昼エスカノールには そんなに違和感はないのですが。夜エスカノールには、わざとらしく道化キャラを作ってる感が強くて、慣れるまで少しかかりました(苦笑)。夜エスカノールには、もう少し素朴なイメージがあったかも。
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無駄な作画カロリーをカット? 解釈の違い?
グレイロードに騙されたデルドレー、アーデン、ワイーヨの凸凹三人組が、大喧嘩祭り会場へ向かう道中で本物のドゲッドと鉢合わせする場面。
アニメ版では全員が徒歩ですね。
しかし原作では、三人組は馬車に・ドゲッドは馬に乗っていたのでした。
確かに、この場面のためだけに、馬や馬車の設定画を作ってアニメーションさせるのは大変な労力でしょう。省力するのも無理はないのか…物語進行上は馬車だろうが徒歩だろうが関係ないわけだし。
原作を知っていると、乗り物が無くなっちゃって、しょぼくなったような気はしてしまいますが(苦笑)。
アニメの制作現場は大変なんだろうな、と思わせられました。
この場面はもう一つ、細かいことで申し訳ないのですが、ドゲッドの表情の違いも気になりました。
原作のドゲッドは眉根を寄せて「研究棟の番はもう終わったのか?」と不思議そうに尋ねています。魔神を封じた塔の番(封印解除の呪言の玉の管理)は非常に重要な任務ですから、それを放棄している三人を怪しんでいるわけです。
しかしアニメ版のドゲッドは明るい笑顔。重要任務を同僚が放棄していることなど、屁とも思っていない の~てんきに見えます。
声優さんの演技も、絵に合わせた明るい呑気な声音でした。
どんな意図で、アニメスタッフさん方は、この変更を選んだんでしょうね?
もう一つ。
研究棟内部、フラウドリンが囚われていた部屋の背景画が気になりました。
この部屋の壁には等間隔に柱があって、その全ての根元に、木の根元の洞みたいな円錐形の穴が開いています。
原作で見るに、その内部には ロウソクがびっしり立ててあって火が点いていました。これが、この部屋の照明なんですね。呪術的な おどろおどろしさがある、魅力的な背景美術設定です。
ところがアニメ版では。
柱の根元にあるのが穴ではなくなってます。カッチリ線の整理された、ただの模様になっちゃってるよ(汗)。壁の石積みも、キレイで近代的な、凹凸や陰影のないモノになってるし。
勿論、中にロウソクは燃えておらず、この部屋の光源が何なのかは判らなくなっています。
これも作画カロリーのカットなんでしようか。(´・ω・`)
どうせなら、穴の中の びっしりロウソクと揺れる火影を、美しいアニメーションで見たかったです…。
消費する側は期待ばかりしてしまいますが、アニメの制作現場は大変なんですね。
もう一つ。これは作画カロリ―より尺の問題の方が大きかったんかなーという気もしますが。
ディアンヌが楽しく踊るうち、自然と一体化したように感じる場面。
原作では
(まるで)(大地の一部になったみたい)
(まるで大地に呑み込まれるみたいに…)
という独白の直後に、ディアンヌが「大地が大津波となって押しよせる幻」を見ます。
しかしアニメでは、その場面は存在しませんでした。
この「大地の大津波の幻」、ずーーーーーっと後にディアンヌが唐突に披露した、大地の大津波に波乗りして敵を呑み込む大技「
なので これに関しては、アニメでカットしちゃうのは英断かもな、と思いました(苦笑)。
それに「大地の大津波」をアニメで作画するとなると、それこそカロリー甚大ですもんね。
ついでに もう一つ。
これは「解釈の違い」という奴になるのだとは思いますが。
ゼルドンの研究棟の全景。
原作だと、画面左手側の奥に大海原が広がっていたと私は思うのですが(この研究棟はブリタニア北端の海岸線近くにある)、アニメでは海がチラとも描かれていなかったので、あれ? と思いました。
うーん…?
この後の、デンゼルが「ゴウセル討伐作戦」を出すエピソードで、フラウドリンに破壊された研究塔の残骸や周囲の石灰化した大樹の破片が、海岸の波打ち際に散らばってる描写もありましたから、直ぐ近くに海があったのは間違いないと思うのです。
だから、この全景画で左手奥に見えるべきは海だと思うんだけどなあ。
原作の白黒絵では判りづらかったからこそ、カラーのアニメで明確に描いてもらえたらと期待していたので、残念でした。
次。これも解釈違い? で、結果として伏線が消えちゃった奴。
マトローナがディアンヌに舞いを教える際に表示された、始祖ドロールのイメージ画。
普通に二本腕の男として描かれています。
一見して、原作絵をそのまま写し取ったように見えますが…。
実は原作の絵では、腕の下の両脇部分にボワボワ~ッと細かく線が書き込んである。(色を付けてみました。)
それは高速で動いてブレている一対の腕を示しているらしく思われます。
ドロールが四本腕であり、その正体が<十戒>にいる四本腕の巨人であることを暗示した、伏線だったと思われるのです。
でもアニメでは線をキレイに整理して普通の二本腕に描き直してしまい、結果として、伏線が消えてしまっています。
まあ、アニメでは この回で もうドロールの正体が明かされちゃいますから、伏線もヘッタクレもないんですけど(苦笑)。
そして最後に。
研究棟に助っ人に現れたグレイロードが
『微弱な魔力が二つ… 人間か』『一つから嫌なモノを感じる』『嫌なモノだ』
と言い、そんな魔神たちと デンゼルたちが しばし睨み合う場面。
原作では、この時デンゼルが構えていた剣の刃に、女神(ネロバスタ)の横顔が浮かび上がっています。
↓ 赤丸で囲った部分
デンゼルの剣に女神族ネロバスタが宿っていること、その魔力を察知したグレイロードが「嫌なモノを感じる」と言ったことが察せる、後のネロバスタ復活の伏線になっています。
これ、原作だと かなり判りづらかったので、アニメ版では判りやすく強調演出してくれるんだろうと期待していました。デンゼルの剣を ぼうっと光らせるとか、ネロバスタの横顔を特殊光で揺らめかせるとか。
ところが。そもそも剣に何の像も浮かんでないじゃんか~~!!
アレェエ!?(;´Д`)
演出以前の問題だった。
これは本当に残念でした。
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マトローナとザルパ
毒で死んだかと思っていたマトローナが生きていた。それどころか人間と夫婦になっていて、性格がメチャクチャ柔和に、別人かってレベルで変貌していた。
まさに「恋は人を変える」を地で行ってますね。
毒で死にかけたマトローナがザルパに救われたのは16年前です。
そして、ザルパが亡き妻との間に設けた長男・ゾルは11歳。長女・デラは8歳。
原作単行本19巻のカバー下には10年前のマトローナの姿が描かれていますが、若きザルパと その妻と共におり、ザルパの妻は赤ん坊のゾルを抱いています。
つまり、マトローナは16年前にザルパに救われて以降、巨人族の里には戻らず、ザルパとずっと行動を共にしていた。そして恐らくは彼が妻を娶り子を成す様子を、友として寄り添って、ずっと見守り続けていたということになります。
マトローナは、どうして巨人族の里に戻らなかったのでしょうか?
その理由の一つが、助けてもらった当時からザルパに恋をしていたからならば、彼が結婚し子供が生まれるのを横で見続けているというのは、どんな気持ちだったのだろうなと思わされます。
マトローナは巨人族の戦士長でした。
戦いたくないならば子を産め、とディアンヌに言ったことがありますから、逆に言えば、戦士長になるまで上り詰めたマトローナは「子を産まないことを選択した女」だったのだと思われます。
誰とも
ザルパの妻が亡くなった後、どんなやり取りが二人の間にあったのかは判りませんが、きっと、まだ幼く世話の必要な「子供」を挟むことで、夫婦として家族として成り立っていったのでは。
アニメではカットされましたが、子供たちが青魔神に襲われたのは、ディアンヌとマトローナのために魚を釣ろうと川に出かけからでした。
子供たちを護れなかったことを悔いたマトローナは、優勝すれば何でも望みを叶えるという、胡散臭さMAXな大喧嘩祭りに向かう。
ザルパに「大切な家族」と言われて
「私のような女には もったいない言葉だ」「ありがとう」
と涙ぐんで微笑んだマトローナの様子に、彼女の頑ななまでの「女性としての」コンプレックスや、それを受け入れてくれたザルパへの愛や感謝が窺えて、ジーンとくる場面でした。
巨人族と人間族は そもそもの寿命が違いますから、彼らが天寿を全うしたとしても、一緒にいられる時間はマトローナの人生においては ほんの一瞬になるのでしょう。でもきっと、その「記憶」は生涯の宝になるのだろうなと思います。
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面白かったり気になったりした部分を、ごちゃごちゃと。
番組冒頭の「前回までのあらすじ」。
「記憶を失い始めたディアンヌは」
とナレーションされてて「!?」 と思いました。
ディアンヌの記憶退行は「<
16年前、ザルパに毒創を治療してもらっているマトローナの姿。
この場面のマトローナはノーパンだったと原作者さんが公言しています。
原作ではチラリと股間の隅が見えているのですが、アニメではスカートで完全に隠してあって、良心的だなあと思った(笑)。
そーいや原作の この場面、ザルパがマトローナの足を斬り落とすのに使ったらしい血まみれの斧が転がってたり、マトローナの足の断面が見えてたり、切断された膝から足先の方も その場にあったりしたんですが、アニメでは 全て見えなくして優しい表現にしてありますね。
ゼルドンの研究塔のこと。
この塔、石化した巨大植物に絡みつかれ、半ば埋もれています。
グレイロードも わざわざ指摘したものです。
『切り立つ大地に建てられた塔』『いや大地でなく長い時間を経て石灰化した大樹』
デンゼル曰く、ドレファスとヘンドリクセンによって<蒼天の六連星>が辺境ゼルドンに左遷された際、バルトラ国王が密かに この塔を建てて、魔神の研究を させていたのだと。
ドレファスに魔神フラウドリンが憑いたのは10年前。
しかし、いくら魔神とはいえ、憑いた直後から王弟を左遷できるほどの権力持ちになれるはずがありません。また、<六連星>メンバー最年少のアーデンは19歳で、聖騎士になれるのは早くとも16歳前後でしょう。
以上から、<六連星>がゼルドンに左遷されたのは せいぜい1~3年前だと推測します。
しかし、1~3年前に建てられたにしては、研究塔は古色蒼然とし過ぎてはいないでしょうか。
「長い時間を経て石灰化した大樹」が塔に絡みつき、半ば一体化もしています。
どう見ても ここ数年内に建てられた新築ではなく、何百年も前から ここに建っていたように思えませんか。
この奇妙さ、原作を読んだ当時から気になっていました。
わざわざグレイロードに「化石化した大樹」と言及させてる辺り、いかにも何かの伏線らしく思え、裏設定がありそうじゃないですか。
大樹に石化とくれば、まずはキングを連想します。<怠惰の罪>を受けたキングが<大罪>にスカウトされるまで200年間 幽閉されていた牢獄だったのかも?
いやいや、彼以前の
いやいやいや、3000年前の聖戦に関係する場所なのかも。
そんな風にあれこれ想像したものでしたが、結局、その後、この塔や大樹の由来が語られることがありませんでした。(^^;) もうこれは語られることなさそう。
ウーン。結局 何だったのかなあ、この塔と大樹は。
デンゼルとフラウドリンの
カッコイイ~~!!
デンゼルが魔力「
するとフラウドリンの胸に聖印が刻まれ、彼が「ドレファス聖騎士長」として この10年の間に謀殺してきた、無数の騎士たちの亡霊が襲いかかってくるのでした。
覚悟はしてたけど、<
何故なら、アニメ第一期では原作を改変して、フラウドリンは彼らを殺さず、彼らは生きていたことになっていたから。
第二期になったら、シレッと原作通りの経過で殺されたことになってて、こうして無事 怨霊として登場されました。
一方、バイゼル大喧嘩祭りの準備を 着々と整える<十戒>安息のグロキシニアさん。
赤い髪が綺麗。グロキシニアさんは美人ですね。
そして、大けがを負った子供たちの命を救うべく、藁にも縋る思いで大喧嘩祭りへ向かうマトローナとディアンヌ。
罠と知りつつ参加するメリオダスたち。
あ、ドロールが巨人族の始祖であると同時に、人間族の間では魔眼の魔神バロールと呼ばれていたことは、触れないんですね。ドロールが魔眼でガラン&メラスキュラの敗北を探知したくだりもカットされてましたし。
…つーか、改めて考えてみると疑問です。ドロール君は、いつ、どこの人間たちに、なんで「バロール」と呼ばれてたんでしょうか。魔神族に寝返って<十戒>になってからの僅かな期間に、皮肉的に そう呼ばれていたのかな?
再びゼルドンの研究塔。
逃げようと全力で壁に体当たりしたら結界が張られてて思いっきり跳ね返された、最高にカッコ悪いフラウドリン。
しかしグレイロードの助けで、すぐさま結界を解いて脱出。
ついでに
原作だとフラウドリン、剣をデルドレーの鎧の隙間(接ぎ目部分)に差し込んで刺してました。
スゲー、最小の労力で殺す達人の技だ!! と印象深かったのですが、アニメでは隙間に差し込むことはせず、鎧の金属部分を貫いてますね。
あと、剣を持つ手が左右変えてある。
そして、塔の前で「自分は<十戒>じゃない」と語り出します。
原作とはエピソードの順番が入れ替えられていますね。(原作では、グレイロードが助けに来る直前に、塔の中で明かした。)
ゴウセル周りの設定は、このエピソードの後で、ある程度 変更がされたように感じています。
だって、ここでフラウドリンが語ったこと、殆どが嘘なんだもん!!
ここ、原作をアレンジしてありましたが、正直、改悪だと思いました。
原作では、フラウドリンが
「よく聞け…」「その<十戒>の名こそ…」
と勿体ぶって、すぐ次のコマで
「「無欲」のゴウセル」
と語り切っていました。
そして、その次に<豚の帽子>亭でのゴウセルとアーサーのやり取りが描かれていたのです。
でもアニメ版では、フラウドリンの台詞を「その<十戒>の名こそ…」で一時停止させたまま<豚の帽子亭>の場面に入り、その最後に「「無欲」のゴウセル」というフラウドリンの台詞を回している。
これ、<豚の帽子>亭の場面が かなり長いため、視聴者はフラウドリンが言いかけていた台詞を忘れてしまいます。それで最後に「「無欲」のゴウセル」と暴露されても戸惑うし、間の抜けた、しまらない印象になっていると感じました。
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今週の『教えて! ホーク先生』
今回は授業風景ではなく、校長室での会話。
ホークちゃん、何で校長室で食事してるの?(^^;)
残飯なんだろうけど、彩りがよくて美味しそうに見えますね。バン特製の残飯(古い食材や残り物で作った残飯風の料理)でしょうか。
バルトラさん、デンゼルをリオネスに戻したくないの?
…この世界線ではアーデンとデルドレーは不良らしいし、そのせいで僻地の学校に転校させられてるとかなんでしょうか。(;^ω^)