【感想】『七つの大罪 戒めの復活』第十話 僕たちに欠けたもの
※この記事の画像は、特に記述のない限り、TVアニメ『七つの大罪 戒めの復活』( 鈴木央・講談社/「七つの大罪 戒めの復活」製作委員会・MBS)より引用
2018年3月17日放送
第十話 僕たちに欠けたもの
今回からメリオダスとキングの喧嘩エピソードが開始…とゆーわけで、ちょっと視聴の気が進まず録画を放置していたら、もう次週の放送間際になってしまいました。(^^;)
第二部の前半は、強大な敵<十戒>が現れただけでなく、<大罪>同士で争い・離脱し、精神・距離ともにバラバラになっていく展開が続きます。
きっと原作者さんは、第一部の構図を逆転させてみたかったのでしょう。
「強者」で「強い絆で結ばれた仲間」だった<大罪>たちが、「弱者」となり「絆を失いバラバラになる」。その意外性で読者をアッと言わせたかったのだろうと。
原作が終盤に至った今、振り返ってみれば、上手くいったとは思い難い、というのが個人的な感想です。
読者をイライラさせただけのように思う。
特にキングに関して「感じ悪い、ゴウセルに続いてメリオダスにまで噛みついてウザい、前は好きだったけど嫌いになった、幼稚だから
人により思うところは色々ですし、そもそも原作者さん ご自身が「キングの「欠けたもの」は狭量であること」だと定めて、カマセ犬的な役のつもりで描いてらしたのかもしれません。
でも私は、キングがヘンドリクセンを許せなかったり、メリオダスの秘密主義や独断専行に憤ったりしたことを「特別に狭量だから、幼稚だから」だとは感じなかったので、彼が報われないのが哀しかった。
今でも残念なのは、この苦しい
特にキングとメリオダスの件は、この後、心をぶつけ合うことすらなく。キングが一方的に怒り・引き下がっただけで、メリオダスは心を閉ざしたままでした。
「構図の逆転」を図って、しかし未消化のまま尻つぼみに終わった印象。これも人によって評価は分かれるのでしょうが。
アニメのみの視聴者さんたちは、これからアニメを観て、どう考えるでしょう。
「人を許す」「人を信じる」。とても美しい行為です。
でもそれ、頭から出来る・するのが当たり前だろうか? 出来ないのは間違っている・悪いことだろうか? 周囲が押し付けることか?
この件だけでなく、この先、作中で提示される「正しさ」のなかに、たまに共感できないものが出てくるようになって、引っかかってはモヤモヤと考えさせられたものでした(笑)。
それも一つの楽しみ方だと思って拝読させていただいています。
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面白かったり気になったりした点を、ごちゃごちゃと。
ホークではない、ホークさん、だ。
ホークが あと一歩気付くのが遅れていたら危険だった…。
そう、あと一歩「香ばしい残飯」でなくオンボロ三人組だと気付くのが遅れていたら、彼らは今頃ホークの腹の中だったでしょう。
後に、ホークが大きな魔物を生きたままバリボリ食べちゃうようになった展開を思えば、マジにヤバかったのではと思う(笑)。
ヘンドリクセンに怒りをぶつけるキング。
「いずれ」報いを受けるつもりだと言うヘンドリクセン。
ところが、同時に「
なお、その後ヘンドリクセンが「報い」とやらを受けたかと言うと、現時点、受けていません。(;^ω^)
彼の言う「報い」とは、ドレファスやリオネス王国のため死ぬ覚悟で魔神と戦うから許してね(死ぬ覚悟をした自分を評価してほしい・死んだら罪もチャラになる)、くらいの安易で甘えた考えでしかないのでは……キングの怒りを やり過ごそうと その場逃れで発言しただけなのでは……とは原作掲載当時から疑っていましたが。
案の定の結果で、その後ドレファスの件が解決しても、キングと改めて話そうとする気配すらなかったです。はは。
ヘンドリクセンの問題点は、謝罪からではなく言い訳から始める点だと思う。
いや、アニメではカットされてますが、原作では怒るキングに「返す言葉も弁解するつもりもありません」と言っており、一見、言い訳せず受け止めているように見えますね。
でも実際の流れは「操られてたから仕方がないんだ、贖罪や謝罪(公的な問題)よりもドレファスを救う方(私的な問題)が重要なんだ」と訴えている。
わんぱく三人組の前に現れた時、一言も謝罪せず頭も下げず、自分とドレファスの可哀想な過去を語って泣いた彼に、違和感を覚えませんでしたか。
今回も、しおらしい態度を見せているようでいて、不思議なことに、ヘルブラムを悼んだり・謝罪の言葉を発したりはしていないのでした、実は。
(原作者さんご自身が、ヘンドリクセンは悪くない、と考えておられたからなんでしょうね。)
キングとヘンドリクセンの深刻な様子を「話は後にせんか」の一言で片づけて、笑顔で話を進めるジェンナさん。
ここ、声優さんの演技が場違いなほど明るくて、ああ、やっぱり この場面の彼女の言動は「世間ズレ[誤用]」した、一種 異常なものだったんだなと思いました。
ひとの心や常識が あまり解らないのね。
寿命の尽きかけた
ジェリコが目パッチリで可愛い。
ショタバンは、全編通じて とにかく可愛かった♡
ジバゴに息子として可愛がられて、生まれて初めて与えられた「無償の愛」に、嬉しくて恥ずかしくて仕方ない様子が、愛くるしくて切なかったです。
実の父に盗みを強要され、暴力を振るわれていたバン。
この場面、原作で家にいた女性はバンの実の母だったと思うんですよ。顔がバンそっくりでしたから。バンは、ツンツン立った髪質は父に、顔立ちや髪色は母に似たのだと思っていました。幼くして儚くなったバンの妹キリアも銀髪でしたから。
ところが、アニメではバンの母らしき女性が顔を見せていないうえ、髪が濃茶です。
あれ? と思って確かめたら、字幕やキャストが「女性」「女」になっている。父親の方は「バンの父」「父親」なのに。
はああ? アニメ版ではバンの実母ではなく、継母に変更されてる!? なんで?
実の両親に虐待されていたのは悲惨だから、せめて母親の方は実母ではなかったことにしようとかの、謎の配慮でしょうか。(^^;) なんかの規制でも入ったのかな。
ちなみに原作ではこうでした↓
↑バンの母の顔立ち、企画扉絵で女装した時のバンにそっくりなんですよね。
「人間を信じるな」というジバゴの言葉は、小説版『セブンデイズ』に先行して出ていたもの。小説では、エレインがその台詞を、兄(キング)が言った類似の台詞と重ね合わせていました。
エレイン(と、当時のバン)はジバゴが「人間ではない」ことを知らなかったので、人間ジバゴが同族を「信じるな」と言ったのだと思い、妖精族のキングが「人間を信用するな」と言ったのとは意味が違うのだろうと、彼女は解釈していました。
でも実際は、ジバゴも異種族の立場から「人間を信じるな」と言っていたのですね。
妖精の領域を人間族から護り続けていたキングが「人間族は欲深く・争い好きだから、信用してはならない」と思うようになったように、ジバゴも人間に迫害され、幾度となく裏切られ傷つけられてきたのでしょう。
獣人の正体を現したジバゴ。
あれ? 獣人になった時に上着が千切れ飛んだことになってるっぽいですね、アニメ版では。(腰に千切れたシャツが残ってる)
塀から飛び降りて駆けていく場面も、
↓原作では脱ぎ捨てた上着が舞っているのに、見当たりません。
この上着を後でバンが拾い、大人になるまでずっと大事にしていて、エレインと出逢った時にも着ていた、という設定だったのに…。
その辺をより解り易く、原作以上に強調した演出をしてくるだろうと思っていたので、反対に「無かった」ことになってて残念でした。(´・ω・`)
バンとジバゴ、義父子の再会。
バンさんが いい息子過ぎて(涙)。
ドルイドの修練窟での修行開始。
ここで強いて ツンッ としちゃうキングさんは大人の対応ができてないけど、根深い問題を無神経に片づけようとしたジェンナのせいでもあるとも思うんだよなあ。
前回、ジェンナはキングの気持ちは解ってるがヘンディ坊やを許せと言っていましたが、こうした発言を見ていると、決して解ってないなと思います(苦笑)。
簡単に許せたり後回しに出来たりする程度のコトでしかないって思ってるよね?
そんな雑に扱えば、ひとの気持ちは更に こじれるってこと、考えてないよね?
ギルサンダー&ハウザー組の修業。
修練窟の修行で唯一、過去回想付きで丁寧かつ正統的に描かれたエピソードでしたが、その後、特に何にも繋がらなかったとゆ―…。
新技も、その後 使われたこともないような?
(あ、でも原作の最終エピソードではギルサンダーが活躍しそうだし、新技も再び日の目を見るのかも?)
ゴウセル&アーサー組の修業。
何気にホラー映画っぽい修行(笑)。
キャスはどこに隠れて鎧を操っていたんでしょうね。
思い直して、自ら修行の参加を頼みにきたキング。
ところが、ジェンナさんはやっぱり無神経なのです。
アニメではカットされている台詞も含めて、ジェンナはキングに ちょっと辛辣だなと感じて、過去にドルイドの里に来たときに何かあったのかなと勘繰ってみた時期もあったのですが、別に何もなかったっぽい(苦笑)。
単にジェンナの性格であり、キングが舐められ気味ってだけみたいですね。
ヘンドリクセンの代わりにメリオダスが立候補してくれて、キングも修行に参加。
身長は同じくらいな二人。筋肉量の差が凄い(笑)。
メリオダスは凄いマッチョ。流石ですね。
いや、私はキングの少年らしい すんなりした体格もいいと思いますよ?
修行着のズボン、腰の部分にスリットが入っていて、原作だと(多分)素肌が見えているのですが、アニメ版では濃灰色に塗ってあって、素肌じゃなくなってますね。
うーん? セクシーすぎるから規制された?(苦笑)
セクハラや首ちょんぱは規制しないのになあ。
ちゃんとスリットを作画して塗り分けてもいるのに、一色ベタ塗りスリット無しと一見して変わらない仕上がりになっちゃってるので、手間をかけたスタッフさん方がちょっと気の毒かなと思いました。(^^;)
とうとう、キングとメリオダスの喧嘩エピソードが開始。
メリオダスさん、今、それはキングには地雷です。
人を許すにも時間が必要でしょうに。王都決戦から一週間弱しか経ってないんですよ? 今、生きていたヘンドリクセンと顔を合わせたばかりですよ?
急かさず、もう少し そっとしておいてあげればいいのに。
また「お前の気持ちは解っている」。
ジェンナもメリオダスもそう決めつけてくるのですが、解ってないですよね。
解っていたら軽々しく「許せ、広い心で見ろ」とは言えないと思う。
だってヘルブラム周りの問題は、200年経っても癒えなかったキング最大のトラウマだから。その心の傷をヘンドリクセンはグリグリ抉りまくったわけで。
もう一つ釈然としないのは、メリオダス自身、王都決戦の時点でヘンドリクセンが操られていることに気付いていたはずですが、それでも(エリザベスを傷つけホークを殺した)ヘンドリクセンを許さなかったからです。
たまたま生きていたけれど、殺したつもりで
また、後には(リズを殺した)フラウドリンを許さずに殺しています。
メリオダスは決して「
常に感情のまま報復を行っています。
なのに、キングには「広い心で見ろ」と強いて説教。
なんでじゃろ?
そう。
なんと、ジェンナもメリオダスもヘンドリクセン当人も、誰もキングに経緯の説明すらしていなかったのである!
それでいて「許せ、贖罪を待ってくれ、広い心で見ろ」と要求ばかりしていたのでした。
では説明を受けていたらキングは許したか?
かつてキングは、人間族を大量に報復虐殺したヘルブラムを「どんな理由があろうと、かけがえのない親友であろうと」許さず処刑しました。そのうえで、ヘルブラムが罪を犯した責任は自分にあると、自ら禁固1000年の刑を受けていた。
「どんな事情があっても罪は罪、償わなければならない」というのが、彼の基本的な考え方であるように見受けられます。
なので、ヘンドリクセンの罪を軽々に無いものと見たとは思わないですね。でも多少の同情はしたかもしれません。
メリオダスのこの表情。
原作で初めて見た時は、色めき立ったものでした。
いつも飄々とした彼の、こんな複雑な表情、初めて見たからです。
きっと「疑われて辛い・仲間に嫌われたくない」と傷ついている、それだけ仲間が大切なんだと思ったし、この表情を引き出したキングと、喧嘩エピソードを経て もっと仲良くなるんだろうなと、ワクワクしたものでした。
…結果は、まっったく そんなことなかったけどな!(苦笑)
今、振り返ってこの表情を見るに、メリオダスは「また3000年前みたいに裏切り者扱いされるのは嫌だな、面倒くさいことになったな」くらいに考えてたんじゃないかと思う。
(心を開きたくないので)キングたちには「本当のこと」は説明したくなかったんだろーな、痛いところを指摘されて嫌な気分だったんだろうなと。
原作が終盤になった今になってさえ、メリオダスが仲間に本当に心を開いているとは思えないですしね。
キングがトネリコ棒を飛ばして攻撃したのがちょっと判りにくかった。
ってところで次回へ続く。
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今週の「教えて! ホーク先生」。
生徒が、過去に登場したバンに戻りました。
鼻ちょうちんパチーーン!
あれ? ホークって「残飯しか食わせてもらえねえ」んじゃなくて、「残飯しか食わない」ポリシーの持ち主なんじゃなかったっけ?(汗)
綺麗なままの食べ物は食べない、床に落ちたり、崩してエサ入れに入れてもらったものしか食べないとかだったよーな…。