【感想】『七つの大罪』第203話 リュドシエルの計画
週刊少年マガジン 2017年8号[2017年1月25日発売] [雑誌]
第203話 リュドシエルの計画
古 の時代、妖精王 は己の森を<光の聖痕 >の拠点の一つに提供した。当時ブリタニアで蹂躙を欲しいままにしていた魔神族に対抗するべく、女神族の呼びかけに応じて妖精族・巨人族が結集した、三種族の連合軍である。
今日、そこに人間族が加わったというわけだ。- 女神族は、森に天をも貫きそうな塔城を建てた。
「恩寵の光」と呼ばれる白亜の城は、森の巨大な樹々に劣らぬ7900フィート(約2400m)もの高さがある。内も外も白く輝き、窓ひとつない内部には、女神族の世界である「天界」へ続く門 が設置されているとの噂もあるが、真相は明らかではない。何故なら城は<四大天使>リュドシエルの加護という名のベールに覆われていた。連合軍の拠点と言いつつ、自種族以外が自由に出入りすることを、彼は好んでいないように見える。外側の警護は巨人族や妖精族に任せているが。
◆「恩寵の光」は全高7900フィート。およそ2400m。となると、それとほぼ同じ高さである古 の妖精王の森の木々も その高さということ。
ちなみに、現代の地球上で記録されている世界一のっぽの木(オーストラリアに生えているマウンテンアッシュというユーカリの仲間)の高さは140m前後。2400m前後の高さと言えば、ペルーのマチュピチュ遺跡や、日本の飛騨山脈・乗鞍岳などの標高と同じになります。
乗鞍岳並みの高さの木々が茂っている大森林…。想像を絶する規模ですね。 - だから今日も、<
光の聖痕 >の構成員たる巨人や妖精たちは塔の外に座り、焚いた火を囲んで束の間の休息をとっていた。 - 「…聞いたか? 西では友軍が<十戒>に全滅させられたと」
巨人族の若者が言う。
「<黒の六騎士>とかいう魔神族にも 相当苦戦してるって話さ」
少年姿の妖精族が言った。
◆<黒の六騎士>ですか。思わせぶりな団体名が出てきました。
<十戒>は友軍を「全滅」させ、<黒の六騎士>は「苦戦」させている。となれば<十戒>より格下っぽい。今後、登場するのか。するとしたら過去編と現代編どっちかなあ。 - 「魔神どもめ…!!」
巨人族の女が歯噛みして、ドッと己の膝を拳で打つ。親しい者が魔神の手にかかったのだろうか。 - 枝に座る妖精が「ふん! でも数じゃ ボクら連合軍<
光の聖痕 >が勝 ってるんだ!!!」と鼻を鳴らした。
調子に乗った巨人の男が「魔神族なんぞ 全員 血祭りにあげてやろうぜ」と拳を握って笑えば、彼の肩に座った妖精も、クスクス笑って気を大きくしている。
◆妖精族と巨人族は すごく打ち解け合ってるみたいですね。しかし女神族はいません。三種族連合軍と言いつつ、彼らに交ざって戦っている女神はエリザベスくらい? - そんな中で、妖精の一人がチラリと後方に目を向けた。
- 一同から数十mほど離れ、木の根に少年が腰かけている。メリオダスだ。
傍らに大剣を突き立て、彼は皆に背を向けていた。決して輪に交ざろうとはしない。妖精や巨人たちも無関心を貫こうとしているようだった。無論、表立って敵意は向けない。しかし関わらない。それが互いのためだと結論づけているのかもしれない。
◆輪には交ざらないけど、なんとなく皆の近くにいるメリオダスさん。社員寮の食堂で ぼっち飯してる感じ? - 拳大の肉を もそもそと食べるメリオダスの傍に、無遠慮に近寄る男がいた。
「ヒュ~~~~♬ まるで鉄の塊だ」
「ロウ」
昨日 仲間に加わったばかりの人間は、突き立てられた大剣の刃を拳で ゴン ゴン とノックし(他人の武器に荒く触れるのは無神経な行為と言えるが、彼もメリオダスも気にする質 ではないようだ)、一人分ほど空けてメリオダスの隣に座る。
「それにしても」「…まるで 針のむしろだな」
何気ない風に話しかけてきた。 - メリオダスは、肉を嚥下してロウを見やる。指に付いた脂を ぺろっと舐める表情は、何の痛痒もない風に飄々としているが。
- 「……あんた魔神族だろ?」
ロウは、探ることなく核心をついた。
「魔神族たちと殺 りあってた時の魔力といい そんなバカでかい剣を片手で軽々振り回せる子供 がどこにいるよ?」 - 「………驚いたか?」
脂で口元を汚したまま、ニッとメリオダスは笑ってみせる。何でもないことのように。ゲプ、と食後のげっぷを吐いてさえみせた。 - 「そりゃ驚くさ」「魔神族が女神族と共闘してるなんざ前代未聞だろ」
ロウは言い、一旦 言葉を切ると、メリオダスの目を見て微笑む。
「…だけど俺にはわかる」「アンタは いい奴だってな」 - 「ははっ」
空笑いして、メリオダスは木々の梢に顔を向けた。
「魔神族 からすりゃ オレは とんだ大悪党さ」
それは事実だ。
ロウの好評価は、メリオダスが人間の集落のために戦い、彼と仲間の命を救った、その印象に拠る部分が大きいのだろう。それが魔神を敵とする種族から見た善行・正義なのだから。
しかし魔神族側から見ればどうなのか。血族 を裏切り・傷つけ・殺している。これは「正義 」と言えるのか。 - ロウも梢を見上げる。
「…聖戦の決着は どうつくのかな」 - メリオダスは言った。
「…戦争に聖 も邪 もあるかよ」
ばっさり切って落とす言葉には、己は正義ではなく、さりとて悪のつもりもなく、ただ譲れないもののために戦っているだけだと、そんな、ある意味 開き直りの感情が込められていたのかもしれない。
あるいは、女神が聖 の旗印を掲げ、魔神が邪 の烙印を押されて、この戦が「聖戦」などと呼ばれている偏った現状への、いささかの皮肉を含めていたのかもしれなかった。 - 「………………………」「…だな」
ロウは肯 った。つい昨日、己の集落を魔神に滅ぼされておいて、そう考えることが出来るだけの度量と客観性が、この若者にはある。 - 「でもよ メリオダス 一コ確かなのは――」「今 俺たちは仲間ってことだ!!」
並ぶメリオダスに緩く拳を伸ばす。
「……おう」
応じて、メリオダスは拳を軽く合わせた。まるで長年の親友のように。
◆昨日の今日で、ロウさんは なんでこんなにメリオダスが好きなんじゃろ?
「助けてくれた」というなら、ドロール、グロキシニア、エリザベスも条件同じなのにね。
メリオダスだけが、一見して人間そっくりの容姿だったところが大きいのでしょーか。孤立してたから庇護欲が沸いたのでしょーか。
いやハイ、「ウマが合った」ってだけですね。言葉も理屈もない。 - <
光の聖痕 >内のメリオダスの立場は決していいものではない。孤立しがちな彼を、普段ならエリザベスが決して放っておかなかっただろう。
しかし今は離れざるをえなかった。「恩寵の光」に彼は入城を許されない。白亜の城に籠るリュドシエルの真意を質 すためには、一人で行くしかなかったのだ。 - 「リュドシエル… あなた 正気なの!?」「魔神族を根絶やしにするですって!!?」
幾重ものカーテンが掛けられた城内は白く輝き、磨かれた床は、その上に立つ三人を鏡のように映し出している。 - 「エリザベス様!! これは聖戦なのですよ!?」
まなじりを吊り上げたネロバスタを、リュドシエルは静かに たしなめた。
「口が過ぎるぞネロバスタ」
二枚羽の彼女は、本来、エリザベスに意見できる立場ではない。口をつぐんだ部下の脇から歩み出て、リュドシエルはエリザベスに向かい合った。
「…これは かねてよりの計画です」 - 男は見上げるほど背が高い。気圧されそうになるのをこらえて、少女は声高に感情をぶつける。
「あなたは言ったわ 全ての種族が待ち望んだ平和がやって来ると…」「それを よくも… メリオダスの前で あんな―――…」 - スッと身を屈めて、リュドシエルがエリザベスの顔を覗き込んだ。
「魔神族なぞ虫ケラの糞 も同然 我らと同じ生命体と誰が認める…?」 - 愕然と。エリザベスの両目が見開かれた。
- 「エリザベス様 目を醒ますのです」「メリオダスとは手を切りなさい」
息がかかりそうなほど近くで言葉を続け、男は、ス…とエリザベスの顎に手を掛ける。ネロバスタの一途な視線は気にすることなく。
「奴は忌むべき魔神王の跡を継ぐ男だったのです」「あなたに ふさわしい相手は他にも……」
顎を掴む指に力を入れ、少女の顔を少し上向かせようとした。
◆セ、セクハラだーー! - 弾けるように離れ、身をひるがえすエリザベス。
「エリザベス様!!」
ネロバスタの声に止まることなく、翼を鳴らして、城を、文字通り飛び出していった。 - 「…追いましょうか?」
伺いを立てつつ、ネロバスタは気が進まなげにリュドシエルから目をそらしている。万が一にも、彼の顔に少女への執着が浮かぶのは見たくないというように。
しかし、袖にされた男に浮かぶのは澄ました微笑みだけだ。
「いや 放っておけ あの小娘には何もできまい」
少女の心に なんら興味はないのだろう。彼女の価値は別のところにあるのだから。
「それより今は計画の遂行が最優先だろう」
「はっ!!」
居住まいを正して、ネロバスタは兵士の顔で応諾した。
◆リュドシエルに強い態度で接し「様」付けで呼ばれる女神エリザベスは、「女神族の長の娘」とかですかね。そうなら、3000年前から「お姫様」だったんですね。 - その頃、「恩寵の光」から離れた森の中で。
男女の巨人が、二人がかりで巨人の王に立ち向かっていた。
「おおっ」
「ぜあっ」
女巨人は蹴り、男巨人は拳打を、彼らより半身分は大きな王に嵐のように叩き込む。息つく間もない猛襲だったが、王は全てを難なく いなし、掌で軽く二人の顔面を張った。よろめいた二人の攻撃は止まったものの、すかさず、それぞれ大地から岩塊を生みだして ぶつけようとする。
静かな顔のまま、王は四本の手を前へ押し出すような仕草で気を吐いた。
「せいっ!!!」
ドンッ と、先のものより大きな岩が大地から突出する。先の岩塊も、それを出した巨人二人をも、一撃で高く跳ね飛ばしていた。 - ダウンした巨人たちの前に立つ王は、汗ひとつなく息も乱れていない。厳めつらしくも涼やかである。
- 「ま… 参りました!!」
汗に濡れた男女の巨人は よろよろと立ち上がると、荒い息を吐きながら、それぞれ己の両拳を胸の前で合わせて武人の礼を取った。
「ドロール王!! 稽古をつけていただき感謝します!!」 - そう彼らが言い終えるや。
重々しかった王の気配が、がらりと変化した。
「いーの! いーの!!」「ボクも超楽しかったしーーー♡」
かしましい。キャッキャッと はしゃいでOKサインを出しながら、少女のように口元に手を当てて、なんだか内股気味で腰をくねらせている。 - 「「・・・」」
偉大な王の別人のような変貌ぶりに、思わず無言になる巨人たち。 - 少女のような王――ドロールの器に宿ったディアンヌは、はしゃぐ気持ちのまま、ずっと見ていてくれたはずの友人に無邪気な顔を向けた。
「ねぇ キング どおどお? すごい!?」 - 「う… うん」
傍らに浮かんでいた、アゲハ蝶の羽持つ妖精王――グロキシニアの器に宿るキングは、けれど、上の空だった。正直、殆ど見ていなかったのだ。 - 「ところでディアンヌ あの<四大天使>と名乗る男―――… すごい魔力だったね」「ひょっとしたら<十戒>と同等か それ以上の……」
『グロキシニア』でも太刀打ちできるかは怪しいだろう。3000年前には、あれほどの実力者が うようよしていたのか。
「それと………」
キングは一方に目を向ける。「恩寵の光」とは別方向だ。森に入って以来、ずっと感じ続けていた違和感。
「ずっと森の奥に強い魔力を感じない? それがリュドシエルのものと同じ魔力で」
妖精王の森は、本来、妖精王の魔力で守られ、管理されているべきものだ。そこに他者の力が入り込んでいる。隠されてはいるようだが……。
違和感は胸中に不安をわだかまらせた。チリチリと警告の鈴が鳴っている気がする。
「これって なんだと思う ディアン―――――」
キングはディアンヌに顔を向けた、が。 - 「ねーーねーー もう一回勝負しよーよ」
ディアンヌもキングの話を聞いていなかった。
ニャーーン♥ とはしゃいで二対の腕をぶんぶん振り回す巨人王に追われて、「ヒ~~~!! 今日は もう勘弁してください!!」と男女の巨人が逃げていく。
◆真面目にあれこれ考えてるキングに対し、流石におバカっぽくないか? ってレベルで浮かれているディアンヌ。
同族に稽古を求められるくらい強くなってるのが嬉しくてたまらないようですね。借り物の力なんだけどなー。 - 「………………………」
どどど と足音を響かせて巨人三人が遠くに消えるのを見送ってしまってから、「ディアンヌ~~~~…」と、キングは情けない声をあげた。
なんて呑気なんだろう。勿論、それが彼女の好 さでもあるけれど。
「はあっ」知らず、大きなため息がこぼれる。
「この試練… どうやったら終わるんだろ」 - 柔らかな声がした。
「ため息などついて どうされました?」
「!!」
浮かぶキングの遥か下、巨木の根元に、ほんの つま先分だけ浮かんだ妖精族の少女が微笑んでいる。
(こ… この魔力は…)
「ゲ… ゲラード?」
自信なさげな声音になったのは、今ひとつ確信が持てなかったからだ。
3000年後にハーレクインの補佐を務めてくれているゲラード。感じる魔力は彼女と同じに思えた。けれども……。 - ゆっくり舞い降りて、もう一度キングは確かめる。
「ほ… 本当に… キミなの…?」「でも どうしてグロキ――…じゃなくて オイラのことを知って…」 - 小首をかしげて、少しおかしそうに少女は微笑んだ。
「妹が兄の心配をするのが そんなにおかしいですか?」 - 「いっ」「妹ぉっ!!?」
- 素っ頓狂に叫んだキングを、ゲラードが驚いた顔で覗き込んでくる。
「あ… 兄上? なにか…いつもと様子が違うような気が………?」 - 慌てて、キングは手と首を無茶苦茶に振った。
「あ……あははは そんな! き… 気のせいじゃないのかな~~~ …なんて」 - (ゲ… ゲラードがグロキシニアの妹!?)(つまり… それってオイラとエレインみたいな?)(そうだ…! ゲラードは初代妖精王の頃から仕えてたって話してくれたことがあったっけ)
脳内は忙しなく回転させながら、改めて目の前の少女を見直した。
大輪の花を飾ったターバン風の帽子や、長い耳に着けた三連石のピアス。左右に振り分けて顔の横で縛った髪も、大きな目や小さな唇も、なるほど、確かに見慣れた補佐役のものだ。
なのに初見で確信が持てなかったのは。
(でも この姿… 雰囲気…)(オイラの知る彼女とは 全然違う………)
そう、今の彼女とは、あまりに違っていたためだった。
目の前の少女は、両目と両耳を露わにして、タイツに包まれた脚はすんなりと伸び、透き通った虹色の羽は長く美しい。
キングの知るゲラードは右目と右耳を隠している。脚は…包み隠されていて見たことがないが、恐らくは…。羽は半分以上が千切れて、痛ましく短くなっている。
何よりも。
目の前の少女は、安らいだ微笑みを浮かべていた。
キングの知るゲラードは、笑うことがない。 - 「私の顔に何か…?」
あまりに凝視していたため、不思議そうに小首をかしげられてしまった。
「う… ううん なんでも…」 - 3000年は、妖精にとっても莫大過ぎる時間だ。何があったのか。きっと詮索すべきでない類のことなのだろうし、そもそも、このゲラードは3000年後の自分のことなど知るはずもない。
- キングは話を変えることにした。
「そうだゲラード」
「はい?」
「森の奥から うっすらと不思議な魔力を感じるんだけど」
そちらを指さして尋ねると「お忘れですか兄上?」と返される。
「あれは妖精王 の力で護 られた この森を さらに守護するために」「兄上の留守中にリュドシエル殿が張られた結界 …」
◆キング、ディアンヌには「強い魔力を感じる」と言ってたのに、ゲラードには「うっすらと不思議な魔力を感じる」と言ってます。
本当は強く感じるけど、ゲラードを怖がらせまいと曖昧に表現したのかな?
それとも「強い魔力が隠されていることを、うっすらと感じる」という意味かしら。 - 「あ… ああ~~~~」「そうだ…ったっけ?」
妖精王 の了承済みのことだったのか。キングは気恥ずかしい思いで頭を掻いた。 - ゲラードの言葉は続く。
「表向きは そうなっています」 - 不穏なことを言われた気がして、キングは彼女に目を向けた。…どうして、そんなに気まずげな、苦しそうな顔をするのだろう。
「兄上… すみません」
そう、彼女は解っているのだ。それが兄の意に染まぬことだと。
「生き餌です…」「魔神族を おびき寄せるための…」 - 妖精王の森の深部。巨大な木々が茂る、その地中深くに。
恐ろしく巨大な光球が沈められていた。
内部には、人型や異形や、様々な姿の魔神が数え切れぬほど閉じこめられている。その顔は苦悶や絶望や怒りに歪み、ある者は力なく佇み、ある者は膝を抱え、互いに すがりつくように抱き合っている者たちもいた。
彼らの服、果ては肉体もが分解し、光の中にゆっくり融けていこうとしている。
女神族の光の魔力は、魔神族の闇の魔力と相反する。触れれば魔神の肉体は焼け、脆く分解してしまう。
あえて分解の速度を緩め、閉じこめたまま ゆっくりと融かしている…。それは、あまりにも残酷な光の牢獄だった。 - まさにその時だった。
森の上空に広がる空。その彼方から、遠雷のように ゴ ゴゴ ゴ ゴ と低い唸りが響いた。森にいた<光の聖痕 >の構成員たちは、みんなして空を見やる。
「この音は? た…大気が震えてる…」と、慄 く巨人の男。
「ものすごい数の… 怒りに満ちた魔力が近づいてくるよ…」と、妖精が声を上ずらせた。 - 森の向こうに広がる空に黒い雲が見えた。渦を巻きながら見る間に近付いてくる。
「み… 見て あの黒雲!!」
「あ… あれは…」
一千はくだらないだろう赤や灰色の魔神を従えて天翔 る、闇をまとった五人の上位魔神たち。
「じっ…」「<十戒>だーーーー!!!!」 - 先陣を切って飛ぶのは、<十戒>「沈黙」のモンスピート。続くは「純潔」のデリエリ。「信仰」のメラスキュラ。「真実」のガラン。「無欲」代理のフラウドリン。
- 急迫する<十戒>の気配を、キングもビリビリと感じていた。
強固な結界に覆われた妖精王の森は、本来、外界からは探知されないはずだ。たとえ<十戒>であろうとも。
だが、彼らは迷うことなく、まっすぐにここへ向かってくるではないか。 - ゲラードは俯いている。彼女は言った、魔神族をおびき寄せる生き餌を、リュドシエルが森に仕掛けたと。
つまり、これはリュドシエルの仕掛けた策なのだ。不可侵のはずの妖精王の森に、怒り狂った<十戒>を呼び寄せるという。
なんということをしてくれた。ただで済むはずがない。 - その時、森の各所で。
ディアンヌやロウは、巨人や妖精たちと共に空を見上げていた。表情は硬いが、怯えや恐れは窺えない。
メリオダスは俯いていた。伏せられぬ目に燃えるのは、何かの決意。
エリザベスは、翼を広げて舞い上がっていた。迫る魔神の方へと。
そして「恩寵の光」内で ほくそ笑むリュドシエルとネロバスタ。 - 「まさか… これが試練なのか…?」
呻くようにキングは ひとりごちる。
「とんでもない展開になってきた……!!!」 - 次回「光あれ」
映画版の『風の谷のナウシカ』で、王蟲の群れをおびき寄せるために王蟲の子供を半殺しにして飛行機械から ぶら下げてたエピソードを思い出しました(笑)。ちょっとだけ状況が似てるかも?
「大気が…大気が怒りに満ちておる」(うろ覚え)
エリザベスは「蒼き衣の者」になれるのか。
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「恩寵の光」内部には天界への
そんなものを妖精王の森の内部に建てることを許していたグロキシニアは、とんでもなくお人好しじゃないか?
仲間を信じ切っていた、ということなんだろーけど。
これ、女神族がちょっと気を変えたら、たちまち森を壊滅させられちゃうじゃないですか。
現に、勝手に変な仕掛けを仕込まれちゃってるし。
「信じる」と言えば聞こえはいいですが、疑う・考える・知ることを怠って、リュドシエルの目論見に気付かなかった。これこそキリスト教上の本来的な意味での「怠惰の罪」ですね。
前回、リュドシエルは高い塔の上にいて、人間たちや魔神のメリオダスはおろか、(この領域の主である)妖精王や、巨人の王すら、遥か下から彼を見上げて お言葉を頂戴する、みたいなシチュエーションになっていました。
妖精族や巨人族は、女神族に隷属でもしてたの?
そうでないなら異常な状況です。
きっと、グロキシニアもドロールも、そんなことなんて気にしてなかったんだろーけど。
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ゲラードの短いスカートの件
3000年前のゲラードちゃん。
とってもかわいい。しかし、誰もが気になっただろう、あまりのスカート丈の短さ・切れ込みの深さ。
ええっ。妖精族は文化的にパンツ穿いてないのにっ。
ノーパンでこの短さは、ヤバいってレベルじゃないでしょー!
魔力で めくれないようピタッと抑えてるのか?
それとも女神エリザベスみたいにスカート付きレオタードなのか?
などとアレコレ考えたのですが。
よーーく見たら、なんと、スカートの切れ込みの合間から股間がちらっと覗いているじゃありませんか。
設定上、妖精族はパンツを穿いていない。ならば、コレはパンチラではない。
しかし、いくら何でもナマの股間が見える服はアリエナイ。
うーーーん。
となると、タイツを穿いている、と解釈するほかないんでしょうね。
それにしても、ゲラード マジ可愛い。
流石は初代妖精姫♡
こころもち、エレインよりもスタイルがいいように見えるのは、気のせいでしょうか。(胸部の隆起具合とか…)
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ゲラードがグロキシニアの妹だった件
一年前からの予想が当たりました。わーい!
今回は、当たったのが今までになく嬉しかったです。
とゆーのも、自分の見た範囲でですけど、私と同じ「妹説」を挙げてる(肯定してる)感想って全く拝見したことが無くて。世間では「ゲラードはグロキシニアの恋人」説が主流だったからです。
第198話で、グロキシニアとゲラードが情感たっぷりに踊ったのは記憶に新しいです。
私は、これを見て「やっぱり兄妹で間違いないっぽいね」と思いました。
ところが世間には「やっぱり恋人で間違いなかった!」という解釈がドッと溢れ沸きかえったじゃありませんか。
自分と世間がズレ過ぎていて、わりとかなり・ショックでした(苦笑)。
ちょっと おろおろしましたよ…。一人も同意見の人がいないって怖すぎた…。
とゆーわけで。
な~んだ、やっぱり妹なんじゃん!
と安心して、むやみに嬉しくなった次第です。
つまんないことで鬼の首とったみたいに喜んじゃって痛々しいですね。(;^ω^)
どうしてゲラードを妹だと思ったかの理由は過去の感想に書きました。
もう一度書くのはしんどいので、引用してみます。
>ゲラードさんは右の目と耳をターバンで隠しています。恐らく欠損しているのでしょう。聖戦で失ったんじゃないかと思っています。
>そして、彼女のスカートは蕾か蜂の尾のようにつぼんだ不思議な形で、足が完全に見えないようになっているのですが、両足の先を失ってるんじゃないかと疑っていました。だって、足があるにしてはスカート部分が いやに短くありませんか? 第139話でキングに膝枕してましたから、膝まではあるはずですけども。
>3000年前の、体を損なう前のゲラードは、この花人形みたいな姿だったんじゃないのかなあ、両足もすらっと出して。
>それはそれとして。なんで初代妖精王のしもべ人形がゲラードそっくりなんでしょうね。
>ゲラードが仕えていたのは先代妖精王からだ(初代妖精王には仕えていない)と、単行本17巻お便りコーナーのコメントで語られています。
>とは言え、3000年前まで初代妖精王が健在だったならば、聖戦を経験しているらしいゲラードと面識があるのも当然なんだけど。
>花から生まれるゲラード一族みたいなのがいて、代々妖精王に仕えてた? それとも、妖精王補佐になったのは二代目からで、初代妖精王とは別の関係だった? 例えば妹とか。恋人…は、妖精族だとあまりなさそうなんだけども。うーん。
>第162話の感想に、ゲラードはグロキシニアの妹なのではという説を書きました。(ハイ、当たるも八卦・当たらぬも八卦っス)
なんでそう思ったのかという補足を、暇つぶしに少々。
>小説版『セブンデイズ』にて、妖精族には基本的に身分の上下はなく、全妖精を従えることが許されているのは妖精王だけ、という設定が明かされました。
>この小説の発売から三ヶ月くらい経って、原作にゲラードが登場しました。
>ところがです。前述の設定を踏まえると不思議なことがありました。
>ゲラードって、一般妖精たちに「ゲラード様」と敬称付きで呼ばれてたんです。彼らより明らかに上位の態度で振舞いさえしていて。
>妖精王補佐は、王に準じた存在として敬われるのか?
>でも、同じ妖精王補佐だったヘルブラムは、現時点で明かされたエピソードで見る限り、敬称付きで呼ばれていませんでした。
>よくよく読むに、妖精たちはエレインも様付けで呼んでいます。
>王の血族も身分が高い存在として敬われるらしい。
>ところが、そんな彼女に対し、ゲラードは時に敬語を使うものの、時に呼び捨てで対等な口をきいていました。
>思うに、敬語は状況に応じた建前。本心からエレインを敬っているようには見えません。
>つまり、ゲラードとエレインは、立場的には妖精王補佐(臣下)と妖精族の姫(主人の血縁)であっても、実質には対等か、ゲラードの方が格上っぽい。
>『セブンデイズ』を読み返せば、「ゲラード」の名は未だありませんが、エレインに生命の泉の警護を指示した妖精が、どうもゲラードらしく感じられました。
>エレインや黒妖犬たちは、その妖精の指示で配置され、警備の仕事を行っていた。
>聖女エレインは、いわば象徴にして警備員。
>実質、ハーレクインの留守中に妖精界を仕切り、守備の形を整えて指揮していたのは、長老のゲラードだったように思うのです。
>なるほど。だから一般妖精たちは彼女を敬い、王のように敬称付けして呼んでいたのかな?
>そんな風に考えていました。
>そんな思考の経緯があって。
>ゲラードが初代妖精王と深く関わっていると判ったとき、考えたわけです。
>妖精族に身分の上下はなく、敬われるのは基本、妖精王だけ。
>けれど妖精王の妹も、姫扱いで敬称付きで敬われる。
>ゲラードも敬称付きで敬われている。彼女はエレインに対し、しばしば対等か、むしろ格上の態度をとる。彼女は先代妖精王から補佐役を務め、初代には仕えていない。しかし3000年前の聖戦時に生きていて、この聖戦で死んだ初代妖精王とは深い関わりがあったらしい。
>……つまり、初代妖精王の妹とか姉とか、そういう、エレインと同等の立場の先輩なんじゃないか?
>ちなみに、恋人の可能性は あまりなさそうだと書いたのは、妖精族は「みんな仲良し」ってのが基本で、特別に仲良い存在を作るのは珍しいことなのだと、小説『セブンデイズ』から読み取れたからです。
>ハーレクインがヘルブラムを親友と呼んでいたのは、ヘルブラムの影響で人間かぶれした、ちょっと変わった考え方だったのだそう。(エレインは、それがあまり気に入らなかった。)
>また、キング外伝を読むに、妖精族には結婚の文化がありません。
>以上から、恋人という可能性は低めなんじゃないかなあと考えた次第でした。
>や、普通に恋人とか妃なのかもしんないけど。
>もしゲラードが、グロキシニアの姉か妹なのだとしたら。
>彼女は、彼の死後に遺され、ずっと一族と森を守り続けてきたんでしょうね。気持ち的に独りで。
>生命の泉が3000年前から存在するアイテムなら、グロキシニアの死後、新たな王が立つまで、ゲラードが泉を守っていたのかもしれません。
>エレインの元にはバンという王子様が現れましたが、ゲラードには現れなかった。
>そう考えると、ゲラードは「もう一人のエレイン」なのかも。
>もしバンが現れず、キングも帰ってこなかったなら、遠い未来、エレインはゲラードのような存在になって森を守り続けていたのかもしれない。
>なんてことを妄想しました。
ゲラードは「もう一人のエレイン」の立ち位置。
こっちの考察は当たるでしょうか。
ゲラードの右耳・右目・両脚は、3000年前に欠損したんだろうなと思っていましたが、まさか羽までそうだったとは思っていませんでした。
元々短い羽で、ボロボロなのは最長老だからなのかと思ってた。
真っ二つに千切れてたんですね。痛々しいです…。
妖精王の妹であるゲラードの羽は、ヘルブラムに似たカゲロウっぽい形。
蝶の形の羽は妖精王だけのものっぽい。
となると、エレインに羽が生えても、蝶型ではないのでしょう。