【感想】『七つの大罪』第202話 聖戦の役者たち
週刊少年マガジン 2017年7号[2017年1月18日発売] [雑誌]
第202話 聖戦の役者たち
- 鉱樹オルドーラ。そびえ立つ「生ける建造物」内の大広間で。
『ハーレクイン!! ハーレクイン!!』『目を覚ますんだ しっかりしろ!!』
焦りの色を帯びた「聞こえぬ」声が響いていた。
今は亡霊であるヘルブラムがキングに呼びかけている。くたりと四肢を投げ出した親友は、床に落ちたクッション形態の神器に顔を埋めて目を閉じていた。傍らにはディアンヌも仰向けに倒れており、やはり目を開ける様子がない。 - 『なぜだ……!!』『二人とも まるで意識が戻らない…!!』
交互に二人の顔を見やって歯噛みするヘルブラム。
呼吸はある。しかし目を覚まさない。床から立ち昇った光に照らされるや糸が切れたように昏倒して、それきりだ。始祖王たちは「修行」と言ったが本当にそうなのか。揺り起こしたくとも、己の「見えない」手は親友に触れることもできやしない。 - 「呼びかけても無駄っスよ?」「二人の魂は この場にないんスから…」
降った声に、ハッと顔を上げた。巨人王に並んで浮かぶ古 の妖精王へと。
『俺っちが視 えるのか!?』
肉体を持たないヘルブラムは、基本、生者に認識されない。魂を寄り添わせたハーレクインだけが声を聴き、冑を通じて姿を視ることができる、はずなのに。この古代王は冑を通しすらせずに。 - 「フフ…」グロキシニアはチョイと自身のこめかみ辺りを指さした。
「同じ妖精王同士 波長が合うのかもしれない」「…だから視えるんスかね?」
◆グロキシニアとキングは魂の波長はピッタリ? 確かに、魔力も同じ「災厄 」ですね。
キングは、ヘルブラムの声は聴けるけれど姿は冑を通さないと視えない。対してグロキシニアは素で声を聴き姿を視ています。
二人の妖精王が同じ力を持つべき存在ならば、パワーアップしたら、キングも冑を通さずヘルブラムの姿を視認できるようになるのでしょうか。
グロキシニアの隣で無言で腕組みして立ってるドロール。彼にはヘルブラムの声も姿も認知できないはず。グロキシニアが独り言を言い出したと奇異に思わないのでしょうか。…それとも、実は「魔眼」の力でヘルブラムの存在を感知してる? - 「キミはキングくんの知り合い?」
刺すような目を向ける亡霊を見下ろして、グロキシニアは酷薄に告げる。
「悪いね 二人は試練をクリアしない限りは目覚めない…」
あどけないほど穏やかな顔で眠る二人は、今、死の縁にいる。だが、手助けは許されないのだと。
◆グロキシニアさん、現役妖精王くんの本名が「ハーレクイン」だと知っているのに、「キング」としか呼びませんね。意味があるのかないのか。 - 二つの魂は器を離れ、今しも共に戦っている。3000年前を再現した仮想世界、魔神の軍勢に襲われた化石の谷で。
- 「霊槍バスキアス」「第二形態「
守護虫 」」
キングは神器を操った。シャスティフォルではなく、今の己の器たるグロキシニアに特化された伝説の霊槍を。 - 巨大な蜂の怪物と化したバスキアスを手慣れた様子で操って、襲い来る六本腕の巨魔神に差し向ける。
「“壊死毒 ”」
巨大蜂の毒針が、一息で六本の腕全てに撃ち込まれた。 - 「ぬがっ…」
六本腕の巨魔神…<十戒>カルマディオスは、六つの手 全てからバラバラと武器を取り落とす。太い毒針で穿たれた腕は痙攣と麻痺を起こし、物を握れないようだ。 - 「ディアンヌ!! 腕は封じたよ!!」
阿吽の呼吸で、今はドロールの器に宿るディアンヌが、逞しい四本の腕を動かした。
「はぁあ…」
大喧嘩祭りの舞台作りでドロールが見せた動きそのままに、高速で無数の印を結んでいく。
「“縛錠 ”」
地より生え出た幾本もの腕が、カルマディオスの腰から下を固く抱きかかえた。まるで拘束具をガチンと閉じたかのように。 - 「今だ!!!」
追撃すべく二人が飛び出しかけた、刹那。 - 「“
邪息 ”!!!!」
拘束されたまま、巨魔神は口から瘴気を吐き出した。
◆カルマディオスさん、瘴気とか八つ裂き光輪とか、口から何でも出しますねー。宴会では鳩を出してほしい。 - 歪つな顔が無数に浮き出ているかのように見える、おぞましき瘴気の塊。それがキングやディアンヌに ぶつかるより早く。横っ飛びで割り込んだのは大剣を持ったメリオダスだった。
- 「!!!?」
驚くキングとディアンヌ。 - 彼らだけではない。
「メリオダス様…」
衝撃と戸惑いは、カルマディオスにも浮かんでいた。
本当に、あなたが同胞 に剣を向けるのですか、と。 - 「…悪く思うな カルマディオス」
言いながら大剣を振るうメリオダスの動きは淀むところがなく。
「全反撃 」!!!!! - 「な… …ぜ」
跳ね返された己の瘴気に呑み込まれながら、うわ言のようにカルマディオスは呟いていた。
「なぜ…だ…!!」
信じていたひとに裏切られた、憤りと悲しみを。 - 一拍遅れて、キングとディアンヌも追撃を叩き込む。
「霊槍バスキアス 第十形態」「「翠蛸 」」
形態変化した霊槍のタコ足状の触手が。そして重力制御で舞い上がった岩塊のつぶてが、
「“砕破 ”!!!」
瘴気に包まれた巨魔神を乱れ打ち、雪崩のように連打した。
◆まさにタコ殴り。 - 「ごあぁああぁーーーーーーーーーっっ!!!」
脚を拘束され腕を麻痺させられた魔神は、成す術なく全てに打たれ続ける。
「おのれ… すぐに舞い戻って…」「必ず…や… 同胞たち… をを」
やがて土の腕が砕けるや、仰のけざまに彼方へ吹っ飛んでいった。巨体が突き抜けた化石の森は粉々に崩壊する。一面の瓦礫の中、動くものは見当たらなくなった。 - 「ゼエッゼエッ」
汗みどろで大きく肩を上下させるディアンヌは、「プハーーッ」と大きく息を吐いて弛緩する。
「や… やったのかな!?」 - 「…ひとまず退けたってとこだろ」
宙から身軽に降り立ったメリオダスは涼しげだった。肩に大剣を担ぎ直し「ぷうっ」と軽く息を吐いて緩めている。 - キングは「ハアッ ハアッ」と荒げた息のまま、緩めず バッ と片手を振って背後を示した。
「二人とも!! 呑気にしてる場合じゃない!!!」「後ろには まだ大勢の魔神族がいるんだ!!」 - が。見やった先には。
「…って あれ?」
戸惑って目を瞬かせる。
「魔神族の軍勢は?」
焼け焦げた大小の死骸や瓦礫の間から、幾筋もの煙が立ち昇り、ゆらゆらと たなびいている。…動くものは それ以外にない。
静かだった。
ほんの数分前まで荒れ狂っていた魔神の群れが、一体も見当たらない。 - 開けた青空には、ただ一人、四枚の翼を広げたエリザベスが浮かんでいた。
「あの人たちには 帰ってもらったわ」
風を受けた髪やスカートがバサバサとなびいている。キングらに目を向けて穏やかに微笑んだ。 - 「か…帰ってもらった?」
呆気にとられるディアンヌ。
「あれだけ血走ってた魔神族を どうやって……?」
キングも唖然として戸惑った。有り得ない。ここに来てから驚くことばかりだ。 - 「…私は少し 話をしただけ」「誰も 心の底から こんな争いは望んでいないもの」
そう答えたエリザベスからは微笑みが消えている。僅かに視線を落とした硬い表情は、確固たる意志があるようにも、何かを思い詰めているようにも見えた。 - 「エリザベス…………」
メリオダスは天空の彼女を見上げている。3000年後のキングが彼の顔に見たことのない、気遣わしげな…いっそ哀切とさえ言える表情だった。
エリザベスは振り向かない。
◆平和的に解決したはずなのに、どうして二人はこうも張り詰めて悲しそうなのでしょうか。そもそも、ものの数分「話した」だけで「帰ってもらって」戦争が終わるなんて、異常でしかないです。
「強力真っ白まじめ光線」か「カタルシスウェーブ」でも放ったの?(笑)
エリザベスは何をしたのでしょう。 - 「礼を言わせてもらうぜ!!」
空気を読まない大声が響いた。
「! ……人間?」
目を丸くするディアンヌ。彼女から見れば足元の、それでも小高い場所に立って若い男が手を振っている。
「おかげで全滅せずに済んだよ!!」「あんたたち<光の聖痕 >の戦士だろ?」
人間族の戦士なのだろう。鎧のない軽装で、黒いアームカバーとタンクトップ、サンダル、脛丈のサルエルパンツの腰に斜めに毛皮を巻いて、その上から剣を帯びている。
人間としては背が高く手足や胴が長いので、筋肉が付いているのに ひょろりと細く見えた。狐のように吊り上がった目といい、どうにも誰かを思わせる。
そう、<強欲の罪 >のバンに似ているのだ。
サラサラして癖のない短髪や、屈託を感じない素直な物言いこそ真逆だが。 - 「<
光の聖痕 >?」
身を屈めて男を覗き込んだディアンヌは、キョトンとして鸚鵡返す。
「違うのか? あんたら女神族を柱とした 巨人族 妖精族の三種族の連合だろ?」 - 「ああ まぁな… 俺たちは妖精王の森から来たんだ」「
集落 を魔神軍が攻撃してるって情報を聞いてな」
答えたのはメリオダスだった。飄々と笑う彼に、男も満面の笑みを向ける。
「俺たちも ぜひ仲間に加えてくれねぇか?」
躊躇も計算もない言葉と共に、当たり前のようにヒョイと伸ばされる拳。メリオダスも拳を伸ばし、長年の親友のように軽くぶつけ合った。
「俺はロウ」
「メリオダスだ」「歓迎するぜ」
◆ロウさん、「真っ直ぐなバン」って感じですね。髪質だけでなく性格も。
バンが辛い生い立ちで歪められることなく伸び伸びと育ったならば、こういう男に成長してたんだろうなと。
バンとそっくりな顔立ちですが、表情に険が無いので「悪人顔」には見えないです。そしてバンより ずっと若いんだろーなと。見た目通り20歳そこそこでしょう。 - エリザベスは、ロウの仲間の傷ついた腕に治癒の光を当てる。奇跡の力を見て、先程まで怪我人に肩を貸していた男が「おおっ」と感嘆の声を上げた。
「あ… ありがとう…」
傷の癒えた男に微笑みを返すと、彼女は仲間たちに顔を向ける。
「みんな ここはまだ危険よ」「急いで拠点に戻りましょう」 - 急いでと言いつつ、帰路は ゆっくりだった。仲間に加わった人間(ロウを含めて四人の男たち)の歩調に合わせたからだ。
メリオダスもエリザベスも地に足を付けて、ロウと楽し気に語らいながら荒野を行き、二つに裂けた岩山の間の道に入る。 - 本来の体より更に巨体なのだから、人間の歩調に合わせるのは大変だろう。それでも、戦いを終えてディアンヌは笑顔になっていた。目線を合わせて飛んでいるキングに しきりに話しかけている。
- キングはと言えば、やっと気を緩めて「フーー…」と息を吐いていた。だらりと四肢を下げて額の汗を拭う仕草をする。
「いきなり どうなることかと ヒヤヒヤしたよ~~~~~」 - 「うん!! でもさ ボクたち すごかったよねー♥」
ディアンヌはキラキラした笑顔を向けて、人さし指でプニッと己の頬に触れた。
「ねぇキング さっきの戦いが試練だったってことかな?」「だとしたら ボクたち一応勝ったんだし 合格じゃない!?」
髪の端をフニフニと弄りながら、ウキウキと満面の笑顔を輝かせる。(あくまでドロールの外見なのだけれども。) - けれど、キングの表情は浮かなかった。
「んーーー… 合格なら 元の姿 元の場所に戻っても おかしくないはずだよね?」
眉根を寄せ、顎に右手を当てて思考を巡らせはじめる。
「じゃあ 試練は まだ続行中ってこと…?」と顔をしかめたディアンヌに「そう考えるのが妥当だろうね…」と慎重に返した。
(気にかかるのはグロキシニアの あの言葉…)
過去へ跳ぶ術を掛けられた、少し前に言われたことだ。
『私 らの選択が正しかったか否か 君たちに ぜひ証明してほしい』
(選択ってなんだ…?)
答えは出ない。与えられた試練に、このまま受け身でいるしかないのだろうか。 - 岩山の裂け目を通る道。その突き当りには深い森が広がっていた。
ドロールですら遥か見上げるほど高い梢、腕が回らぬほど太い幹。そんな桁違いに立派な木々が連なる鬱蒼とした大森林だ。 - 「ここが… 妖精王の森 …でけぇ!!」
ロウの仲間が呆然と見上げてから叫ぶ。
ロウは ピュ~~♬ と口笛を吹いて言った。
「ここに<光の聖痕 >の本拠地が…」 - 一方、キングは気まずげに冷や汗をかいていた。
古 の妖精王の森は、自分が守ってきた3000年後の森とは規模が違い過ぎる。
「魔力の差が如実に現れてるなぁ…」「じ… 自信 失くしそう」
◆古 の妖精王の森、どうも、3000年後に大焼失した森ともバンが再生した森とも違う場所にある、今とは全く違う森みたいですね。
この森は聖戦で失われてしまい、二代目妖精王ダリアや、あるいは三代目のキングが新しく創ったのが、20年前にエレインと共に失われた、あの妖精王の森だったってことでしょうか。 - 一行は森に入る。
3000年後の妖精王の森にある「妖精王の大樹」のような、突出して大きなシンボルツリーは見当たらない。代わりのように そびえ立つそれを見つけて、ディアンヌとキングはひどく驚いてしまった。 - 「わ…… あれは何?」と、ディアンヌ。
「さ… さあ? オイラも見当が つかないよ」
キングも ぽかんとして固まっている。 - 遥か高き森の木々と同じ高さまでそびえている、輝くような純白の塔。
根本近くや天辺には幾つかの段があり、まるで天へと続く巨大な階段のようだ。あるいは、天から降りる光そのものを模した建造物か。 - メリオダスが、ドロールの足元から怪訝そうに言った。
「どうも 今日のお前ら変だな」「<光の聖痕 >の拠点だろ」
「あわわっ」
ディアンヌは、思わず四本の手で自分の口を塞ぐ。 - 根本近く(といっても、ちょっとした山くらいには高いのだが)にある段の辺りには、物々しく武装した巨人族や、飛び交う妖精族の姿が多く見られた。
「見て見て!! 巨人や妖精が沢山いるー!」と声を弾ませるディアンヌ。
「本当に連合軍なんだ……」
キングは、妖精王の森に異種族が混在している光景に感心している。 - 根元の段の一番上は、広々としたエントランス状になっているらしい。地上から人間サイズの階段が恐ろしく長く伸びており、上り切った正面の塔の壁一面に、放射する光を図形化したような、ひだ状の線を集中させた模様が浮き彫りとなっていた。
その中心点から外に向け、ひだに沿ってザアッと壁が開く。あれが扉だったらしい。
塔の中から一人の女神が歩み出た。 - 「ようやくの お戻りか…」「三人がかりで<十戒>一匹を退けるのが やっととはな」
どんな仕組みか、戦果は既に把握されているようだ。労 いなど一言もない高慢さとは裏腹に、髪を肩まで伸ばした彼女の容姿は美しい。スイカのように豊満な乳房 、輝く翼はエリザベスとは違って二枚。
キングとディアンヌは知る由もない。だが、リオネス防衛戦に参加した聖騎士なら、その姿に見覚えがあっただろう。
ネロバスタ。3000年後には<蒼天の六連星>団長デンゼルの剣に宿り、憑依したデンゼルごと<十戒>デリエリに真っ二つにされた、<神兵長>の肩書の女神である。
◆デンゼルに憑依した際には浮かんでいた三脚巴紋 が、ネロバスタの瞳に見当たりません。
やはり、魔神族の痣や漆黒の瞳と同じように、女神の力が強く発現しているときのみ女神族の瞳に三脚巴紋 が浮かぶ、ということのようですね。 - そして、彼女の後ろから歩み出る もう一人。
「ネロバスタ」「その辺にしておきなさい…」 - 「はっ」
ネロバスタはスッと頭を下げて礼を取る。 - 「!!!」
ピクッと、キングとディアンヌの体が震えた。
その人物の、あまりに桁外れ過ぎる魔力を感じて。 - 人間たちにも感じ取れたのだろう。
「おい… この魔力は」
ロウは強張って冷や汗をかいている。
彼の仲間も目を剥いていた。
「おお… あの女神族は まさか…」 - ネロバスタが高慢に告げた。
「跪 け 人間ども」「この御方こそ 我らが導き手」
「<四大天使>」「リュドシエル様」 - 暗色の髪を女のように長く伸ばしてはいたが、その女神族は壮年の見かけの男性だった。
当然だろう、女神というのは あくまで種族名だ。女も男もいる。
高い背、細身ながら しっかりした体格。立派な鎧で固めた身体を たっぷりした衣で覆い、戦士と聖者の両方の様相を兼ね備えている。背に広がる翼はエリザベスと同じ四枚。何の意図か、両の目は瞑目するかのように閉じられたままである。それでも、歩くのに不自由はないらしい。
◆今回「リュドシェル」と書いてありましたが、次回ではサブタイトル・作中台詞・煽り文・あらすじ文 すべてで「リュドシエル」表記だったんで、「リュドシェル」は誤植だと判断して「リュドシエル」にしておきます。 - 穏やかに彼は言葉を紡ぐ。遥か高みから人間たち、そしてメリオダスや妖精王・巨人王らを見下ろして。
「戦果に傷つきし我らが徒 を救えたのは何より…」「私は あなた方を歓迎しましょう」 - 「女神族…<四大天使>」
噂に聞くだけの、まさに雲の上だった存在を目の当たりにして、ロウは緊張を解けずにいる。彼の仲間も同じ表情で「あ…あれが」と呻いていた。 - メリオダスは無言である。しかしリュドシエルを見る表情は微かに曇り、好感を持たぬことは滲み出ていた。
- 天気の話でもするように、段上のリュドシエルは言葉を続けている。
「ちょうど よかった」「みなさんに朗報です」「全ての種族が待ち望んだ 聖戦の終結が やってきました」 - 「「「!!!」」」
- 衝撃を受けた一同の中、最も表情を輝かせたのはエリザベスだった。翼で舞い上がってリュドシエルらに正面から向き合うと、嬉し涙さえ浮かべたものだ。
「それじゃ… 魔神族との和平が!!?」 - リュドシエルは応える。
「魔神族どもを根絶する時です」
破滅を告げた天使の顔には、おぞましいほど歪んだ笑みが貼りついていた。 - 次回「リュドシエルの計画」
昨年末の作者さん手術・入院を終えての、本編連載再開です。
改めて、退院おめでとうございます。
------------------------------
ディアンヌの魂が入ってるドロールが、どんどん可愛くなってきてて困る。
なんなのもう! ギャグにもならないよ! ホントに可愛いから!!
------------------------------
キングとディアンヌが、グロキシニアとドロールの技・術を使いこなしていたこと。
キングらにとって未知であるはずの「他人の」術を使いこなし、しかも、そのことに本人たちが何の疑問も抱いていませんでした。
無意識に、グロキシニアやドロールと精神的にも重なり始めている?
思えば、メリオダスがドルイドの聖地で仮想過去での修行を受けた際も、「ここは仮想過去だ」という自覚がありつつ、次第に「本当はこっちが現実で、<七つの大罪>の自分は夢だったんじゃないか?」と認識がぶれていました。
「選択の時」が来たとき、キングやディアンヌの「自己認識」はどうなっているでしょう。
二人一緒ですから、自分たちが「ハーレクインとディアンヌ」だということを忘れることは ないでしょうけども。
あくまで「過ぎ去った過去を疑似的に体験しているだけ」という他人目線のままか。
それとも、多少なりとも認識がぶれて、3000年前の妖精王と巨人の王として、リアルな気持ちで試練に向かうことになるんでしょうか。
------------------------------
エリザベスが「少し話しただけ」で魔神族の軍勢を「帰らせた」件
上にも書きましたが、普通では有り得ません。
話し合いで解決するにしても、長い時間が必要なはず。ものの数分しかなかったんですから。
なので、これは精神操作系の能力を使ったってことかなと感じました。
思えば、彼女の転生体であるリズに関しても
「リズ自身も不思議な魅力を持つ娘でな…」「儂らも リズに心を開いていった」
と語られてましたもんね。
ダナフォールを襲撃した敵国騎士だったリズを、メリオダスが謎の依怙贔屓で強引にダナフォール騎士団に入れた。
当然、ダナフォールの騎士たちは反発し、リズを警戒していた。
なのに、いつのまにかリズに好意を持つようになって、すっかり仲間として打ち解けてしまったと。
このリズの「不思議な魅力」と、女神エリザベスが「ちょっと話しただけで、荒れ狂っていた魔神の軍勢を改心させた」ことは、恐らく無関係ではないのでしょう。
接した相手の精神に介入して、自分に好意を持たせ、魅了・懐柔してしまう能力かな?
肯定的に表現するなら「精神浄化」。否定的に表現するなら「洗脳」ってことになるんでしょうね。
気になったのは、魔神の軍勢を改心させたエリザベスが、ちっとも嬉しそうに見えなかった点です。
そして、そんな彼女を見るメリオダスが、すごく気遣わしげな顔をしていた。
となると、この精神介入? の能力を、エリザベス自身はあまり肯定していないのかな?
それとも「エリザベスは 戦争が起きた(自分の身内が戦争を続けている)こと自体を憂いている」「戦争に胸を痛める彼女を、メリオダスは気遣っている」ってだけのことかしら。
……いや。この表情 微妙だなあ。
じーっと見てたら、単に
「思想に迷いのないカッコいいエリザベス(男前)」と「そんな彼女に惚れ直してポ~ッとなってるメリオダス(乙女)」
な、ラブラブ場面にも見えてきた(苦笑)。
皆さんはどう感じましたか?
------------------------------
ロウのこと
「髪質と性格が まっすぐのバン」って感じの人間族の戦士・ロウさん。
彼が本当にバンの前世や先祖なのか、他人の空似に過ぎないのかは別にして、キャラクターの立ち位置的に、バンと相似の存在なのは間違いないのでしょう。
既にメリオダスと親友っぽくなってますし。
となると。
間もなく訪れるだろう、
ゲラードと出会うかなあ?