『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第156話 迷宮探索競技

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週刊少年マガジン 2016年7号[2016年1月13日発売] [雑誌]

第156話 迷宮探索競技

  • ディアンヌ…!! 無事でよかった!! みんな とても心配していたのよ!?」白銀の前髪で右目を隠した綺麗な女の子は、嬉しそうに話しかけてきた。
  • いかにも親しげな笑顔を向けられてディアンヌは唖然とし、困惑するしかない。
    「人間の女の子が ど… どうしてボクの名前を?」「キ…キミは一体 誰?」
  • 「…!」
    今度は女の子の方が唖然として黙り込んだ。
  • この隙にディアンヌの手から抜け出した豚が、悲鳴をあげながら女の子の後ろに駆け込んで身を隠す。そして彼女に言った。
    「エリザベスちゃん そういや こいつ記憶が――――…」
    ハッとした様子になる女の子。
  • 彼女はすぐに、人好きのする笑顔で真っ直ぐディアンヌを見上げると、歯切れよく自己紹介を始めた。
    「私はエリザベス」「あなたと―――― <七つの大罪>のみんなと一緒に旅をしているリオネスの王女よ!!」
  • 「リオネス…王女?」ディアンヌの顔が困惑に歪んだ。「七つの……大罪?」
  • 「あなたは記憶を失って私たちの前から姿を消してしまっていたの」「キング様は あなたを捜すために一人で飛び出して行ったわ…」
    もう一人ぶん、知らない誰かの名前が出たが、今は興味を惹かなかった。それより目の前の女の子だ。『リオネスの』王女だという。
    ◆厳密にはキング、「それ(ディアンヌ捜索)もあるよ …でも もう一つ 行かなくちゃいけない理由ができたんだ」と出て行ったのですが、エリザベス、気を遣ってあえて「あなたを捜すために」と言ったのか。それとも、キングの言う「もう一つの理由」を気にしていないだけなのか。
  • 「ボクとキミが…知り合い?」戸惑いながら、ディアンヌは小さな人間を覗き込む。豚は怯えたようにエリザベスの太ももにしがみついたが、彼女は巨人に迫られても顔色一つ変えはしない。むしろ表情を明るくして訴えた。
    「そう! 私たちは友達なのよ!」
    その笑顔には一点の曇りもない。確かにそう見えたが。
  • ディアンヌはスッと立ち上がり、遥か高みから冷たい目で見下ろした。
    「ディアン…」戸惑い、口ごもるエリザベス。
    ◆この場面、煽りアングルのためエリザベスちゃんのパンツが無防備にモロ見えでござる。お色気と見るか下品と見るか(苦笑)。
  • ディアンヌはエリザベスを睨みつけた。
    「ボクとキミが友達って証拠がどこにあるの?」「そうやって またボクを騙すつもりなんだろ?」
    怒りにも見える拒絶の中には、不信と、僅かな恐れが覗いている。
    「そ… そんな」言葉を失くすエリザベスの隣から「おい ディアンヌ!! エリザベスちゃんに何つー言い草だ!!」と豚が怒鳴ったが、耳を傾ける気にはなれなかった。
    マトローナの家族であるザルパ一家ならいい。だが、大多数の人間は。
    友達になれると思えたメリオダスの同国の仲間…『リオネス王国の』ギャノン騎士団に裏切られ、マトローナと共に殺されかけた。それは今のディアンヌにとって、ほんの数日前の出来事なのだから。
    「悪いけど 人間は信用できない…」「リオネス聖騎士は そうやって騙して マトローナを殺そうとしたんだ」
    背を向けて、傍らの戦鎚を手にした。この子の側にいたくない。
    「ま… 待って」と、焦った様子でエリザベスが引き留めたが。
    「ついてくるな!!!」
    一喝して歩き出した。
    ◆幼い頃、「あんまり人間を信用しちゃダメだよ…?」と忠告したハーレクインに「どうして人間を信用しちゃいけないの?」と無邪気に尋ね、人間と仲良くし続けていたディアンヌが、その200年後となる この記憶の時点では、冷たい目で「人間は信用できない」と拒絶しています。
    <大罪>に入ってからは、メリオダスを人間だと思ってたこともあって気持ちも和らいだのでしょうし、エリザベスという親友も出来た。でも濡れ衣を着せられて追われたり、王都決戦時に民衆に石を投げられたり。
    ディアンヌの人間への評価は常に揺れているように思います。そして、それは当然だとも思う。それでも人間を憎み切れないのは、彼女の生来の優しさなんでしょうね。
  • 肩を怒らせて遠ざかっていく巨大な背中。
    「ついてくるな!! ……だってよ」「どうする?」と、ホークがエリザベスを見上げる。
    エリザベスは傷ついているか。或いは、怒っているか。
    「…行きましょう ホークちゃん!!」
    そのどちらでもない。相変わらずの、諦めや妥協を知らぬ決意の顔だ。記憶のない友達を放っておけるはずがないではないか。
    「…だよな」フッと笑みをこぼしてホークも同意した。

  • 戦鎚を手に歩く女巨人と、小走りに追う人間の女と豚。
    奇妙な一行の行く手に迷路は続く。
  • やがて、通路の両壁に人間の家や塔が突き出した、奇妙な場所にさしかかった。
    「ホークちゃん!! 壁一面に家が張りついてる!!」
    左右の壁を見やってエリザベスが声をあげる。
    「おっそろしーな… たぶん 迷路ができる時に集落や何かが巻き込まれたんだぜ」
    垂直の壁から生えた家々は、かろうじて形は保っているものの、どれもへしゃげ壊れ、半ば埋もれている。地面には窓枠や床板の破片、生活道具や家具が散乱して、やはり半ば埋もれていた。空気はしんと沈黙し、人の気配は感じられない。
    「ひどい有り様… 人々はどこへ?」と、不安げにエリザベスが見回す。
  • 黙って進んでいたディアンヌが、ついに立ち止まって不機嫌な顔を向けた。
    「なんでボクの後をついてくるわけ?」
    ホークが、プゴッと鼻息を吹いて言い返す。
    「ヘン! 俺たちの行こうとしてる方向にお前が進んでるだけだろ!」
    この屁理屈に、ディアンヌは少し考える素振りを見せた。すまし顔で脇に避け、「じゃっ お先にどうぞ」と親切ぶって道を譲る。
  • 「お… おうとも」
    そう言われてしまうと、先に行かざるを得ないではないか。
    仕方なく、ホークとエリザベスはディアンヌを追い抜いて歩き始めた。彼女を気にして振り返ってばかりのエリザベスは、若干歩みが遅い。
  • 「さ… さーて 次はどっちに曲がろうかなぁ?」
    ホークが誤魔化すように言った、その時だ。彼の足元、直径3mほどの地面が円く盛り上がり、一気に5mほどの高さまで突出したのは。
    ドンッと、下から棒先で跳ねられたかのごとく、豚が高空に弾き飛ばされた。
    「ほんげーーーーーっ!!」
    弾丸のように飛んだ体を、通路の両壁に次々と突出した同様の突起が叩く。まるでビリヤードかピンボールのボールのように、ガンガンガンと左右ジグザグにぶつかり続けて、挙げ句、ちゅどんっ、と小爆発のごとく地面に激突した。
  • 「ホークちゃーーん!!」
    無惨な様子でビクンビクンと痙攣している豚に、血相を変えてエリザベスが駆け寄る。傍らにひざまずき、「しっ… しっかり!!」と両手で頭を抱え起こした。
    「オ… オレはもうダメだ 最後に残飯をたらふく食いたかった…ぜ……」
    以前に命を落とした時と似たような心残りを豚は言ったが、頓着している余裕はなかった。背後からの地響きに振り向いて、エリザベスはぎょっとする。
    「!?」「じ… 地面が崩れてくる!!!」
    地面が砂の滝のように崩壊し、奈落の底へ雪崩落ちながら、亀裂をどんどん広げて迫り来ているではないか。
  • これを見て、ホークがボロボロのまま ピョイン と跳ね起きた。エリザベスと共に脱豚のごとく走り出す。が、とうてい間に合うものではない。
    「キャアアァアッ!!!」「プゴォオ~~~!!!」
    走る二人の体が、たちまち宙に浮いた。既に地面がない。遥か闇の底へ落下する…!
  • そう思われた刹那、二人は大きな手にすくわれていた。
    ディアンヌだ。通路にぽかりと口を開いた、彼女から見ても大きな穴の上を助走もなく跳んで、落下しかけた二人をキャッチ、反対側に軽々と着地してのけたのである。
  • 「ありがとう ディアンヌ…」手のひらの上で礼を言ったエリザベスに応えず、強いて仏頂面を作ってみせる。
  • 「おい エリザベスちゃん 穴の底を見てみろ!!」
    ホークが手のひらの縁から身を乗り出して、蹄で穴の底を示した。
    暗くて見えづらいが、底には鋭く尖った結晶のような岩が生え出しており、十数人の人間が突き刺さっている。男も女も。とうに死んでいるのだろう、ピクリとも動かなかった。よくよく見れば、落下したせいか手足が変な方向に折れ曲がっていたり、体が折れ千切れていたり。無惨に過ぎる。
    「…たぶん 集落の住人たちだぜ」
    「ひどい……!!」
    自分たちも危うく その仲間入りをするところだったのだ。
  • ディアンヌが二人を地上に下ろした。いささか乱暴だったので、エリザベスは何とか転ばずに済んだが、ホークはコロコロと背中から転がってしまった。
  • 「今のは たまたまボクの目の前で起きたから 助けはしたけど……」「つ… 次はないから!!」
    ディアンヌはツンとして立ち上がる。
    ディアンヌ……………」拒絶を崩さない親友に、エリザベスは複雑な面持ちで呟いた。
    ◆典型的ツンデレっスね。
    「か…勘違いしないでよね! キミのためなんかじゃないんだからっ」的な。
  • 一方、ホークは壁に開いていた小さめの横穴を覗いて歓声をあげていた。
    「おおっ!?」「この穴ん中 見ろ!! ベリーがたんまりなってるぜ!!」「ヒャッホーーうまそーー!!」「おい 奥にも たんまりあるぜ」
    奥にちょっとした空間が開けていて、木イチゴのような実がズッシリ生った茂みがあったのだ。
    ◆都合よく大量の果実が。
    迷路が作られた過程で、元々あった果実の茂みが たまたま ここに配置されただけなのか。それとも、幻覚キノコのごとく意図的に生やされたものなのか。
    意図的ならば、休憩用に設けられたサービスなのか(ゲームの回復ポイント的な)。それとも、この果実自体も毒やら幻覚作用やらのある罠なのか。
  • 「食べ物…!」ディアンヌは ごく… と喉を鳴らした。結局、昨日の朝から何も飲み食いしていないままだ。知らず、よだれが垂れかける。
    が、ハッと我に返って「フン」と顔をそむけた。リオネスの人間は敵だ。弱味を見せるわけにはいかない。
    「じゃ… じゃあね!!」言い残すと足早にその場を去る。
    豚は果実に夢中で見向きもしない。エリザベスは物言いたげだったが、諦めたのだろう、追ってこなかった。

  • ディアンヌはまた独りになった。
    迷路は更に様相を変え、岩壁ではなく、木々の幹が絡み合ったトンネルのような通路となっている。絡み合う枝で天井まで覆われて空は見えない。
    ◆生きてる巨木で出来た迷路。
    これもドロールが作ったものなのか? もしそうなら、巨人族は植物も操れる?
    それとも、やっぱタコ娘が初代妖精王グロキシニアで、植物系の通路や仕掛けは彼女が手を加えたものなんでしょうか。
  • 「お腹すいたし… 喉も渇いたよぉ…」「マトローナどこ~~?」
    腹の虫を鳴らしつつ、上を向いて ぼんやり歩いていると、突然、ガクッと足を踏み外した。
    「わっ!!」「わ」「わ」
    バランスを崩しそうになって危うく踏み止まる。
    「ぬ…沼…?」
    それまでの通路から低くなり、膝下まで水に浸かっていた。
    「結構 深いや… 人間が通ったら危ないかも…」
    脳裏に浮かんだのは誰の姿だっただろう。思わず独りごちて、気まずげに「ボ… ボクには関係ないけど」と言い添える。
  • その時だ。
    「いたっ」ディアンヌは顔をしかめた。「なんか足にくっつい…」
    言葉が止まる。
    見下ろした自分の足。そこにぎっしりと群がり這い上りつつある、嫌な色合いの生き物たちを目にして。
  • 「ニ゛ャーーーーーーーーーーーーー!!!」「ジャ…巨大蛭ジャイアントリーチ!!!」
    ディアンヌは甲高い声で絶叫した。
    「ボク 虫はダメぇっ!!!」
    ヒルは虫なのかという議論はさておいて。虫嫌いでなくとも、これはおぞましいだろう。数が多すぎる。
    人間の子供ほどもある巨大なヒルたちは次々と濁った沼水の中から浮かび上がり、ディアンヌの剥き出しの足に寄りついては、膝から太腿へと、じわじわ這い上りつつある。ゾワゾワと鳥肌が立ち、血の気は引いて涙が滲んだ。
    「ひぃっ」「やめ…」「こない…で!!」
    全身が硬直して、声を出すのがやっとだ。蛭を剥がすことも、沼から出ることすらままならない。いや、思いもよらない。
  • ディアンヌ!!」誰かが名を呼んだ。「待ってて!!」
  • 「!?」見やった先に、信じられないものをディアンヌは見た。
    人間の女の子――エリザベスが、小さな体で沼に飛び込んで泳ぎ寄ってきたのだ。彼女の体の半分ほどもある不気味な巨大蛭ジャイアントリーチに、なんと、全身でしがみつく。一呼吸の躊躇すらなく。
    ディアンヌからっ」「離れなさい!!」
    叫んで、力を込めて引き剥がすと水の中に投げ捨てた。
  • 唖然とするディアンヌ
  • その一匹だけではない。ディアンヌに張り付いた無数の蛭を、人間には足も立たない沼の中で、時に自身が張り付かれようとも怯まず、果敢に、長い時間をかけて全て剥ぎ取り捨ててみせたのである。
    ◆蛭を剥がしたディアンヌの肌、ちょびっとしか血が出てませんでした。巨人族って肌が強い(?)んだなぁ。

    川で蛭に喰われたことって子供の頃以来ありませんが、一匹に張り付かれただけでも、血がダラーーっと出た記憶が。血の凝固を阻害する物質を出すらしい。出た血が水で広がるので、足が無駄に血まみれに。
    あと、蛭に喰われても痛くなかった気がします。山ダニとかもそうですが、ヤツらはいつの間にか喰いついている…。血まみれの足を見て、喰われてることに気付くとゆー。
    巨大蛭ジャイアントリーチは、噛まれたときディアンヌが痛がってました。痛いのと、無痛で気付かないの、どっちが より気持ち悪いんだろう。

  • ようやく沼から上がることができた頃には、ディアンヌは虚脱して座り込み、エリザベスも全身ずぶ濡れで座り込んで ハアッハアッ と荒い息をついていた。
  • 「ははは…」「は……はは…」許容量を超えた恐怖、そして驚きだったのだろう。乾いた引きつり笑いが、ディアンヌの口から漏れる。
    エリザベスも、荒い息を整いきれないまま「あはは…」と ぎこちなく笑ってディアンヌを見上げた。「こ…怖かった…」
  • 「ボクを追いかけてくれたの………?」
    信じられない気持ちでディアンヌが訊ねる。
    冷たい態度で置いていったのに。巨人族は人間に忌まれているはずなのに。体も力もずっと小さく頼りない彼女が、どうして、こんなことまでしてくれたのだろう。
  • その不思議そうな顔を見たエリザベスの脳裏に、かつての思い出が幾つもよぎっていった。

    バイゼルでの戦いの後、姉・ベロニカを力不足で死なせたと思い、王国の平和を取り戻そうと決意を新たにした朝。共に戦うからと寄り添ってくれたディアンヌのくれた言葉。
    『頼っていいんだよ ボクたちは もう仲間なんだから』
    王都決戦の日、自らの命を危険に晒しながらもエリザベスのために戦い、父王からの感謝の言葉に返した屈託ない笑顔。
    『ボクたちは友達のために当然のことをしただけだよ』

    貰ってきた沢山の心を、今、返したい。
    エリザベスは微笑みを浮かべた。
    「友達のために当然のことをしただけよ」
  • ディアンヌは目をみはる。
    「……っ」
    その頬が紅潮し、眩しそうに顔をそむけた。
  • そこに、トントロ トントロと、ゆっくり歩いてくる豚。
    「ふい~~ やっと追いついたぜ」「走ると崩れちまうぜ!」
    「あ 来た来たホークちゃん!」と、エリザベスが嬉しそうに呼びかけた。
    ホークの背には、例のベリーの生った枝が蔓でまとめられ、山のように積み上げられている。
    「ホラよ ディアンヌ!! お前のためにエリザベスちゃんが枝ごと摘んだんだ!!」
    ディアンヌは目と口を丸くした。
    「そんなに たくさん…?」
    巨人族からすれば一つまみだが、人間がこれだけ摘むのは大変だっただろう。
    立ち去るディアンヌをすぐに追いかけなかったのは、これを摘みたかったからなのか。
  • 今度は素直に、ディアンヌはベリーを口にした。
    「おいし…」
    しばらく夢中で口に運び続ける。その様子を満足げにエリザベスとホークが見上げている。
  • 食べ終わると、ディアンヌツインテールにした髪の先をいじりながら恥ずかしそうに言った。
    「あ… ありがとう」「お… 王女さん」
    エリザベスの微笑みが深くなる。
  • その時、不意に傍らの茂みが音を立てた。
    「!?」
    ぎょっとして一斉にそちらを見た一行の前に現れたのは、エリザベスやホークにとっては待望の姿。
    メリオダス様!!」
    はぐれていたメリオダスではないか。
  • ディアンヌも「キミは!!」とハッとした。
    今の彼女にとっては、つい先日知り合ったばかりの好きになれそうだった男の子だ。
  • 「さてさてさーて…」「うまそーな飯があるな」
    いやに歯を剥いて うすら笑いを浮かべた彼は、そう言いつつもベリーに目を留めない。
    「人間の女に巨人の女に」「丸々と太った豚」
    視線を巡らせるのは、何故か、エリザベスやディアンヌやホークの方だ。
    その背後の茂みが揺れ、次々と人影が歩み出してくる。
  • 「プゴッ!?」「どうなっとんじゃ~~!!?」と、ホークが喚いた。
    茂みから出てきた十人近い人影。その全てが、ギザギザした歯を剥いて嗤う『メリオダス』だったからである。
  • 次回「乱れ舞い踊る挑戦者たち」

ディアンヌとエリザベスがもう一度仲良くなれてよかったです。( ´◡` )♡

まだ「王女さん」呼びだから、名前呼びになるエピソードがもう一段階あるかな? それとも、記憶を取り戻してからかな。

 

巨大蛭を引き剥がすエリザベスのガッツには驚きました。

この子、運動音痴って設定じゃありませんでしたっけ?

沼をクロールでギュンと泳いだのもビビりましたが、足の立たない(踏ん張れない)水中で、自分の体の半分ほどもある蛭を引き剥がすなんて、もっと屈強な人でも難しそうなのに。(立ち泳ぎも できるの?)

火事場の馬鹿力って奴なんでしょうか。それとも、実はエリザベスって身体能力も高い?

 

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罠に引っ掛かってボコボコにされたホークの姿が無残過ぎて…!

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ホークちゃ――ん!!

って、私も叫びたくなりましたよ。こ、こりゃ ひでぇ…(震)。

すぐ元気に跳ね起きて、傷も消えちゃったから安心したけど。

 

第一部のバイゼルで、ギーラのエクスプロージョンに焼き豚にされたのに元気なホークを見て「キミって 案外タフだね…」ってキングが汗タラで言ってたけど。

漫画だからではありますが、やっぱホークって普通の生き物じゃないんだろうなあと、改めて思いました。

 

あんなガンガン叩かれ続ける罠に引っ掛かったら、普通、骨と肉がぐちゃぐちゃな肉塊になっちゃうだろうに。

ホークには魔力も体力もないはず。再生力が突出してるのか?

 

第三部になったらホークの背中から羽でも生えて、女神族のペットでしたとか言い出したらどうしよう(苦笑)。

 

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うじゃうじゃ出てきたメリオダスの集団。

神器を使っても五人までしか分身できないっぽいのに、少なくとも八人はいる。

 

白夢の森のハイド&シークを思い出さされますが、剥き出した歯がギザギザしてて肉食獣っぽい。エリザベス達を「うまそーな飯」と認識してるようですし、人食いの魔物なんでしょうか。

 

変身能力のある肉食の魔物?

それとも、さっき食べたベリーに幻惑作用があって、肉食獣がメリオダスに見えてる?

後者ならば、集団で同じ幻覚を見ているってことになりますかね。

 

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迷宮に巻き込まれた集落と、その住民たちの末路は衝撃的でした。

滅ぼされるような理由など何一つない、平凡で平穏な集落だったろうに。

 

そして、またも思ってしまいました。

十戒>を挑発し、意図的に散開させたメリオダスの行動は、やはり納得できないなぁと。

 

「今やブリタニアには たくさんの国や町がひしめいている」「侵略するにはバラバラに散った方が効率的――奴らは必ず そう考える」
「<十戒>が一つに固まってる限り 正直 勝機はねえ …今のオレにもな」「だから 奴らを分離させ 一人もしくはふたりずつ潰していく!!」

 

メリオダスは誰より<十戒>の力を知っています。彼らが侵略のため各地に散れば何が起こるか、よく解っていたはず。

そもそも、キャメロットに襲来したガランが、腕の一振りで都市を半壊させたのを目の当たりにしてますよね。

 

あの無惨な情景を見ていて、どうしてわざと<十戒>を散開させて得意げに笑うことができたのでしょうか。

案の定、たったの数日で、各地の都市や集落が壊滅し、沢山の無力な人間が無残な死を遂げているじゃないですか。

 

物語の中で、メリオダスは「どんなクソみてぇな相手だろうと殺さねぇ」誰よりも甘っちょろく優しい人間だと語られています。

でも、そんな人が、多くの人間が殺されると判っている作戦を独断で強行したうえ、平然と笑えるものなのでしょうか?

 

そりゃ、人々を殺したのは<十戒>です。メリオダス自身が手を下したわけではありません。また、彼が挑発しなくとも、数日後には勝手にエジンバラを出て侵略開始していたでしょう。

でも。

彼が即日に挑発したりしなければ、今日、この集落の人々が、こんな無残な死に方をしなくてもよかった。

結果論だと怒られるでしょうけど、その思いが拭いされません。

 

メリオダスが「どんなクソみてぇな相手だろうと殺さねぇ」のは、何者であろうと命を奪うのはよくないと考えているから? 知らない相手や嫌いな相手でも殺したら可哀想だと感じるから?

そんな心の持ち主が、人々が殺されることを織り込み済みで、わざと魔神を散開させるものなのでしょうか?

魔神を倒すという大事のためには数千人程度の人間が殺されるのは小事だと、そんな意味のことを一欠片の葛藤すら見せずに、得意げに笑って言えるものなのですか。

 

これが、誰より甘くて優しいひとのすることで、彼一人が勝手に決めて強行しても許されることで、笑って胸を張れるだけの優れた作戦だと言うならば、この漫画世界の倫理は、ちょっと歪んでいると感じてしまう…。

 

なんかもう、いっそ、メリオダスが「どんなクソみてぇな相手だろうと殺さねぇ」不殺を行っていたのは、彼自身の良心や倫理観に基づいたものではなかった、くらいの真相があった方が納得できるかもしれません。

例えば、3000年前の「エリザベス」に「むやみに殺さないで」と約束させられていた、とかさ。

だから自分で殺すことは避ける。けど、魔神が知らない人間を殺してる分には、約束に抵触しないから構わない。最も大切なのは「エリザベス」、おまけで少数の仲間で、どれだけ多くの人間が死のうとも、速やかに<十戒>を倒して「エリザベス」の安全を確保するのこそが最優先。…みたいな。

 

いくらなんでも、そんなことではないでしょうが。

主人公がそんなだったら困るし。

 

自分の感覚だと「無情、軽率、手落ち」だと思えることが、この漫画では「完璧」であるかのように扱われている…。

それがこの漫画世界での「正道」なら仕方ないよねと諦めつつも、時折、モヤモヤがぶり返してしまうのでした。

 

 

 

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