【感想】番外編 パンツを求めて
週刊少年マガジン 2017年26号[2017年5月31日発売] [雑誌]
番外編 パンツを求めて
第219話と同時に掲載された6P番外編。
連載200回記念として2017年2月に行われた打ち合わせ会(作者と読者10人の食事会)にて、読者のリクエストから作られた七本の番外編の第一弾、だそうです。
リクエスト番外編、七本も作られていたんですね。残り六本、これから折を見て描かれていくのでしょうか。楽しみです。
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リオネス王都にある、キノコみたいな塔のある、バンとエレインの小さなお家。
ふたりでベッドに寝っ転がって、くっつき合ってイチャイチャしているお二人さん。
(服は着ています。えっちなことはしてません、多分 笑)
不意にエレインがおねだりしました。「パンツが欲しい」と 。
妖精族には下着を着ける文化がありません。生まれて1000年、エレインも無縁でしたが、どうやら人間社会では異端だと気付いた模様。
つまり今……ノーパンです…。彼氏とベッドに寝っ転がって腰を抱かれている今まさに。穿いてない。
バンさん…。スカートの布越しにノーパンの手触りを楽しんでいるのか…?(多分違う)
エレインに「パンツを穿く」知恵をつけたのはジェリコだそうな。揶揄い混じりに「女なら たしなみとして下着くらい着けろ」と言った模様。
つまり、バンに続いてジェリコも、エレインのスカートの中身を見たってこと。着替えを手伝ったか一緒に水浴びしたかの時に気付いたのでしょうか。
「ジェリコのやろう」
軽い苛立ちを見せて、あまり気乗りしない様子のバンでしたが(そんなにノーパンでいてほしかったのか)、無言のエレインから「買いに行きたいなァ…」という気持ちを感じ取って、二人で店に行くことにしたのでした。優しいですね。
ジェリコと二人旅してた時は、全部 彼女に払わせてたバン。けれど流石に、エレインのためには惜しまず自分のお金を使うようです。
いや、そもそもエレインは無一文だったか。
エレインにとっては「買い物」自体が初めての経験でしょう。ウキウキと お出掛けです。(人生初の買い物がパンツか…。バンも複雑な顔になるよね 苦笑)
エレインは、下着屋に行く途中で出遭った人ごとに、バンと一緒にパンツを買いに行くのと自慢しました。よっぽど嬉しかったんですね。
話を聞いた者は一様に驚き、或いは心配して、ぞろぞろと店に付いてくることに。
まずはキング。
「な…」「なんだって!? パ… パンツを買いに行く!!?」
「バン!! 妹にパンツをはかせて どうする気だ!? 返答次第じゃ キミを許さないぞーーーー!!!」
前述したとおり、パンツを穿く概念がないのは妖精族の文化です。
妖精族の王たるキングも勿論、穿いてません。
冷ややかな微笑みを浮かべる聖女さま。
いいじゃないの、妖精族の文化なんだから、王がそれを守ってたってさあ~。
キングは700年人間界で暮らしてるので、パンツの存在は知っています。
そのうえでノーパンを貫いているということは、意識して人間の文化に迎合していないってコトだと思うのですよ。(もしくは、穿いてみて合わないと感じたか。)
この場面、通りすがりの人間たちが
「なんと……!!」
と、キングを笑いものにしてるニュアンスがあったけど、無理に異種族の文化に迎合しなくてもいいんじゃないでしょうか。(ズボン穿いてるから見えないし)
原案ではキングも自分でパンツを選んで穿くことになってたらしいけど、個人的には、今後もノーパンを貫いていただきたい(笑)。
とはいえ。
キングは自分では穿かないけども、ディアンヌには穿かせてる、ような気がする。
現在ディアンヌが着ている服。キングが作ったものです。ミニスカートの下はスパッツで、その下には恐らくパンツを穿いてると思うんですけど、スパッツもパンツもキングの手縫いのはず。(下にパンツを穿いてない可能性もありますが、そもそもスパッツも下着の一種ではある。)
「脱がせんならともかく はかせんのに文句言われる筋合いはねぇ♪」
と、バンは げんなり顔で反論しました。
そうですよね。しかも、自分はディアンヌに穿かせてるっぽいのに…?
かつてキングは、ディアンヌのパンツを見て卒倒するほど鼻血を出したことがあります。(全裸見た時より よっぽど出してた)
キングにとっての「パンツ」は、基本は穿かないものだからこそ、非日常的で特別なモノだというイメージがあるのかも…? 穿いてないのよりエッチに感じるのかもですね(※ディアンヌ限定)。
だから、彼にとっては幼いままのイメージだろう妹に、バンが それを穿かせるのが許せなかったのかも。(;^ω^)
キングの次に会ったのは、ホーク、エリザベス、スレイダー、ジェリコです。
エレインがパンツを穿くと聞いて、エリザベスは恥ずかしそうに戸惑い、スレイダーは「アラ いいわね~♡」とお母さんみたいな反応を見せ、ジェリコは「エレイン………… 俺の言ったこと… 真に受けたのか」と、ちょっと責任を感じた様子。
話が逸れますが、バイゼル大喧嘩祭り以降 絡みがなかったジェリコが、ちゃんとエレインと友達付き合いしてたと判って、すごく嬉しかったです。
そしてホークは、キングに近い反応でした。
「パンツ… あの豚野郎どもが はくという あの!?」
「とりあえず ついていってみようぜ!!」「こいつはタダごとじゃねえ!」
そうか、ホークもノーパンでしたね(笑)。
パンツを穿かない種族にとって、パンツを穿くって「タダごとじゃねえ」ことなのか。
当のエレインはと言えば、ず~っと、ニコニコ笑ってバンにしがみついて上機嫌です。
こんなに はしゃいだエレイン、見たことない。
バンのこの表情。一見して、未だ気乗りしてなさそうにも見えるけれど…?
彼の思考を読んだエレインが上機嫌のままですから、バンも機嫌がいいってことなんでしょうね。ウキウキ照れ照れなんですね。
エレインが喜ぶならバンも幸せ!
やがて到着したのは「イバーヤのおパンツ屋」。
やばい。
この人、どう見てもツイーゴ・カイーデ・ワイーヨ兄弟の血縁っスね。
そして、男なの? 女なの?
立派な髭がある…。でも女の服着てて女の髪型で胸もある…。
付け髭したゴツい女性なのか?
胸に詰めもの入れた女装男性なのか?
パンツだらけの店内に、エレインは超ハイテンションで大はしゃぎ。
「どこを見てもパンツばかり~~!」
「パンツ屋だからな~~~♪」とバン。
可愛い。くるくる踊ってる。
でもダメだよ~~、商品をそんなに撒き散らかしちゃ。
けどバンさん注意しない。
この場にいる中でエレインに最も注意できる立場にあるのはキング兄さんかと思いますが、彼も何も言いませんでした。
キングはエレイン(とディアンヌ)に甘いですね(苦笑)。
そして店主のイバーヤも、嫌な顔一つせずニコニコと試着を勧めてくれました。商売人の鑑です。やばいとか思ってごめんなさい。
試着するにも 穿き方が分からないと言うエレイン。
「しゃあねえ…」と、ふつーにエレインと共に試着室に入るバンであった。えええ(笑)。
「オイラが教えてあげようか?」と、(正装して)気取ってみせたキングは無視されました。それどころか「覗いたら殺すぞ♪」とまでバンに言われ、ぐぬ… 状態。
キング的には、人間の文化のこともオイラに任せてよ、と兄として頼りがいのあるトコ見せたかったんでしょうに(笑)。
店に付いてきた連中に選ばせた「オススメ」パンツを、バンは次々とエレインに試着させていきました。
エリザベスが選んだのは、ハートのワンポイントの普通に可愛いパンツ。
ホークが選んだのは水玉のトランクス。……を、帽子代わりに頭に被る。エレインもバンに穿き方を教えてもらえなかったらこうなっていたのか!?
ジェリコが選んだのは大人っぽいセクシーな紐パンツ。
スレイダーが選んだのは、おへそまで隠れる暖かそうな健全パンツ。
何故か、キングはパンツを選んでなかったです。
彼が選んでたらどんなのになったんでしょう? スレイダーが選んだような暖かそうなのか? 可愛いらしいカボチャパンツか? 膝上まで隠してくれる上品なズロースか?
エレインにパンツを穿かせるバンが、彼女の顔を見て、下を見なかったので、意外と真面目なんだなーと思いました。(指先に神経集中させとったのかもしれませんが)
恋人に下着を穿かせてる色っぽい場面…ってより、「子供にパンツ穿かせてるお父さん」みたいですね(苦笑)。
試着したパンツというパンツに、何かしらダメ出しをするエレイン。
違和感が半端ないようです。
そりゃ、1000年も開放感あふれた生活してりゃなあ。
エレインの全てのダメ出しに、
「パンツだしな♪」
と一律に返すバンは、律儀なのか面倒くさがりなのか。
試着した全てを拒絶した果てに、エレインの目が輝きました。
「あれ!!」「あれにする!!」
ぎょっとして渋い顔になるバン。
それでもエレインの熱意には逆らえず、それをお買い上げ「決済!!」となったのでした。
キ「…で」「結局 買ったものがバンのパンツって…」
バ「うるせぇ 知るか」
クスッと失笑するキングに悪態をつくバン。
パンイチ状態の彼がお披露目しているのは真新しいビキニブリーフです。
エレインが目をキラキラさせて選んだのは、自分のではなくパンのパンツだったのでした。
仕方ないなーという風に笑いながらエレインに声を掛けるキング。
キ「エレイン 兄さんが買ってこようか?」
エ「ううん 大丈夫」
あれ、キングは女の子のパンツを買ってくることに抵抗はないんだ。
まあ、エレインとは300歳も離れてますから、殆ど親子みたいなものだろうし。小さい子の日用品を買ってきてあげるような感覚なんでしょうか。
兄の申し出を断ったエレインは、後ろ手に小さな包みを持っています。
それはバンがこっそりプレゼントしてくれたもの。
リボンの付いた可愛いパンツです。
なーんだ、お互いにパンツを選び合ってたんですね。
それを握りしめて、心から嬉しそうに微笑むエレインなのでした。
(バンとの お買い物 …楽しかった)
なるほど。
「パンツが欲しい」ってのは、本当は口実。
エレインはただ、「バンと一緒に買い物デートに行きたかった」んですね、きっと。
おしまい。
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漫画の柱部分に、打ち合わせ会で作った原案がどんなものだったか、文章で併記されてありました。
打ち合わせ会とは
「週刊少年マガジン」2016年52号で募集した、先生とファンが食事をしつつ『七つの大罪』番外編の打ち合わせをした会のこと。10名が当選し、7つの番外編ネタを作ったぞ!!
「パンツを求めて」は、「エレインにパンツをはかせてあげてほしい」という女性ファンの意見から始まった!! ちなみに、ジェリコ・スレイダーの登場は、鈴木央先生のオリジナルアイデアだ!!
パンツ屋店主・イバーヤも先生オリジナル。会ではパンツを選び終え、ツイーゴが「決定!!」と叫んで終わるというネタが出されていたが…。
当初はエリザベスがパンツを選び、ホークが被り、キングはエレインと自分のパンツを選ぶ流れ。登場予定のプオーラ・ヘルブラムはカット。ノーパン妖精オールスター、残念ながら結成ならず。
面白かったです。
この文章、単行本収録時にも掲載されるのかな?
原案がどう調理・昇華されたかも、この打ち合わせ会番外編のお楽しみなんですね。
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バンの選んだパンツ、エレインが選んだバンのパンツと同じく、ごく普通で無難なものでした。バンさんに特殊性癖はないと判った(笑)。
両サイドに小さなリボンが付いてて可愛い。
このデザイン、どっかで見たなぁ……と思ったら。
あ。この日エレインが着てたワンピースも、両肩に小さいリボンが付いてるデザインだったのか。
……服とお揃いのパンツ…!?
バンさんの こだわりか…?
どうでもいいけど↑の「私 パンツをはくわ…!!」のドヤ顔エレイン、パンツを穿いてないスカートの中身がチラリと見えちゃってますね(汗)。
これはパンツ必要だわ。
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このお話を本編の時間軸に当てはめるとしたら、キング&ディアンヌが<大罪>合流した翌日(第221話)~<大罪>の王都出発(第222話)の間になるでしょうか。
でも、本編の流れには当てはまらない、パラレルな時間軸でのお話かもしれないな、とも感じました。
本編では新ウェイトレス服のエリザベスが、何故か懐かしの旧ウェイトレス服を着ていたり。キングの服も本編のとは違ってたり。
また、原案では死亡キャラのツイーゴや、遠い妖精王の森にいるプオーラまで登場予定だったようですから。お祭り的なお話だったのかなあ? と。
パラレルだからか無理してただけか、この時期のエレインは かなり体調が悪かったでしょうに、元気いっぱいで買い物に出かけています。
死者の都から20年間バンを見つめ続けていて、人間みたいに買い物デートするのに憧れてたのかな、と思いました。
楽しい買い物ができて よかったね、エレイン。
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「妖精族にはパンツを穿く文化がない」という設定は、ある程度ディープな読者にとっては周知の情報。(ファンブックにも載ってる)
しかし、そうではない読者にとっては初耳だったようで。
WEBの感想が「可愛い」と「引いた」の賛否両論になっていたのが面白かったです。
確かに、普段の番外編よりマニアックというか、フェティシズム的だったかも。
残り六本、ファン目線ならではの ニッチなネタ振りと、作者さんによる昇華を期待しています。