【感想】七つの大罪ゲームブック 迷いの森の冒険
『七つの大罪 ゲームブック 迷いの森の冒険』の感想をちょろっと。
(第128話感想にくっつけて書いてたものを、長くなったので分割しました。でも、独立項目にするほど実のあるコト言ってないです。はは。)
集中力と忍耐が致命的に欠如している私には、ゲームブックは豚さんに真珠です。番号を追ってページをめくる途中で訳わかんなくなったり、途中で目に入った別のページを読み始めてしまったり。面倒くさがって、過去、幾度か接触した際には、読み順を無視して頭から通し読みするという大罪を犯してきたのでございます…。
そんな人間が手に取ったわけですから、どんなことになったかは語らずとも知れようというもの。無論、買って開くなり頭から…。挙げ句、シンボルが揃う前に袋とじを……(ぶるぶる)。
いや、その後で一応普通にも遊びましたよ。シンボルも全部集めたし、バッドも含めて全部のルートを読んだ、はず。多分。
遊んだ印象としては、児童書寄りかな? と。クイズが、難しくはないけど気付くのにコツのいる頓知みたいな加減で、苦手な私でも楽しめてありがたかったです。でもストーリー自体は結構重くてシビアでした。ゴウセルの地獄のループにギィィィッってなりました。面白かったです。
大昔のゲームブックは、サイコロを振って出た目で進んだりみたいなこともしてた気がするんですが、記憶がおぼろなんで勘違いかも。
この本はサイコロ不要でありがたかったです。なにせ、サイコロなんて最早、どこにしまったんだか判らない。
昔はトランプと同じくらいの程度で各家庭にサイコロとか碁とかオセロがあったかもしれない。コンピューターゲームが席巻した昨今はどうなんでしょうか? 少なくともウチはもう、サイコロ使ってないなあ。
このお話は本編とは関わらない完全パラレルで、それ自体がテーマみたいなものなんですね。
ここでの大罪たちは、どうやら10年前の離散からそう間をおかずに自力で再結集してたっぽい。
(バン、ディアンヌは最初からメリオダスに同行してて、今回ゴウセルとマーリンが加わった感じ? キングは同行してたのか今回合流したのか判らない。エスカノールさんだけストーリー的には行方不明…)(一応、おまけ的に登場はしてるけど。)
なので、マーリンはアーサーの補佐をしていないかもしれない。
ゴウセルはペリオやデールと出会ってない。
ディアンヌはハイド&シークたちと暮らしてないし、
バンは<不気味な牙>にバステ監獄に捕らえられたりしていない。
キングはバンを仇だと憎んだことがないしギルサンダーに匿われたこともなく、
メリオダスは酒場の店主をしていない。
…ですよね、多分。
ホークともここで初対面。
はっきり言われてるわけじゃありませんが、原作とは違う10年を過ごした大罪たちなんだなあと思いました。
大罪メンバー中、バン、ゴウセル、メリオダスだけ、原作とは違うオリジナル衣装を着てるのです。
特にメリオダスは騎士っぽい格好で。原作のメリオダスの店主服とは明らかに違う。
原作単行本のお便りコーナーのコメントで、メリオダスは鎧を着ないのか、だって酒場の店主は鎧なんて着ないだろう、みたいな問答が何回かあったと思うんで、つまり、このお話のメリオダスが、部分鎧を着けた、すこしボロけた騎士風の格好なのは、意図的なものなんだろうなと思ったのでした。
この世界のメリオダスは店主にならなかった。ずっと騎士のままで逃亡生活してたんだなと。
はい、すみません。考え過ぎですね(笑)。
ちなみに、服装の変わってないマーリン、ディアンヌ、キングは、どんなパラレル世界でも同じ格好ってことなんだろうなと思いました。
何故なら、この三人は服を自作してるからです。だから多少の環境の変化には左右されないってことかなと。
(マーリンが服を自作してるかは、現時点では原作で言及されたことはありませんが、彼女の服は独特なセンスで、ディアンヌの服も作ってましたから、そうかなと。)
他、気になったこと。
- バンの精神性が一点、原作と明確に異なる。
「エレインを生き返らせるのと引き換えに仲間を殺せ」と言われた時の反応が原作と明らかに違っていて、非常に紋切り型の「好青年」で「優等生」な態度でした。
これ、何か意図があるのかなあ? たまたまかなあ。10年を監獄に入ることなくメリオダスの側で過ごしたら、バンは精神的に落ち着いてこうなるってことなのかなぁ。
結構気になりました。 - キングの立ち位置が、他の<大罪>たちと微妙に異なってる?
他の<大罪>はクライマックスの決戦時に集結して主人公(プレイヤー)を助けてくれるのに、何故かキングだけ出てこない(苦笑)。ページ数の都合でカットされただけかもですが。
願いを叶えてくれる聖杯への態度も、キングは、少し違う感じでした。
ディアンヌやバンは、メリオダスの言いつけだからとそれへ近づく者を排除しつつ、もしも願いを叶えることができるのなら…と心揺らされている。
メリオダスすらも、聖杯は偽物と予想して破壊しようとしつつも「……だけど、ほんのちょっとだけ、それが本当だったらという期待も、なかったわけじゃない」と告白してました。過去の後悔のためらしい。
ゴウセルやマーリンは聖杯に興味はないけど否定もしない。それを得ようとすること自体を止めることもない。
対してキングは、そんな都合のいいものがものあるわけないと一刀両断。追い払おうとし、そのくせ主人公の知恵や善良性を執拗に試して、「キミなら、森の奥で何か答えを見つけられるかもしれない。あるいは――本当の意味での<聖杯>をね」と、意味深なことを言うのでした。
けど、この意味深さの回答は何もなかったです。
都合のいい奇跡は存在しないが、絶望して立ち直って得る精神的成長が本当の<聖杯>です、みたいな精神論なんじゃろか。
あと、ディアンヌ、ゴウセルは主人公の妨害をするけど命は取らない。バンはルートによっては主人公を殺しますが「手加減をし損ねて殺してしまった」風に語られてるのに対し、キングは(基本的には警告して追い返すか、記憶を消して森の入口に戻すだけだけど、ルートによっては)容赦なく殺してくるのも印象的でした。殺すと宣言したらマジ殺す、とゆー。
ちなみにギャグパターンですけども、主人公が成り行きでディアンヌの胸によじ登って「団長にもそんなことされたことないのに」と泣かれたら、キングがすっ飛んできて弁解すらさせてもらえず<光華>で滅されるルートも(笑)。つくづく容赦ねぇー。
キングは出番は少ないんですが、登場シーンの描写に情趣があって印象的でしたね。
そこは森のなかの開けた場所だった。そこには木がなくて、いくぶん陽も差しているようだった。
その場所に……少年がクッションを抱いて、ふわふわと宙に浮かんでいる。
眠っているようだ。肌が透きとおった、女の子のような美少年だ。
この森ではすでに不思議な光景に出会ったが……これはまるで童話の一シーンのような幻想的な光景だ。きみはしばし気をとられる。夢でも見ているのだろうか?キンモクセイの香りがした。きみはまわりを見るがキンモクセイの花は見あたらない。
「……誰?」
少年が目を覚まし、不機嫌そうな顔できみを見た。
常若で病知らずの妖精族だから、肌も透き通る健康さか~。スキンケア要らずは羨ましい限りです。原作初期やアニメ版参照するにまつ毛長いから、確かに、じっとして目を伏せてれば綺麗に見えそうかな。(熱入れた会話して動き始めるとコミカルになっちゃうけど。)
この話のキングは、ヘルブラムを殺したのは正しかったのか未だに悩み続けていて、「正しいもの」を懸命に見極めようとしてる感じでした。それによって何かの救いを求めてるとゆーか。
『だんじょん商店会』やマンションズ&ドラゴンズ シリーズが好きだったので、ゲームブック著者の藤浪智之さんのお名前は懐かしかったです。
『だんじょん~』は、イケメンエリート騎士さんが「これ、もういらなくなったから」とミニスカートを売りに来るゲームでした。何度も何度も…。ええ、すごく偏った説明ですが嘘は言ってません(笑)。面倒くさがりの私が珍しくアイテム図鑑コンプリートみたいなとこまで遊んだゲームだったなぁ。
今はソニーのゲームアーカイブスでPS系の最新機種でも遊べるみたいなんで、宜しければ遊んでみてください。個人的にはお勧めです。
そして、そのゲームのノベライズがゲームブック風だったのですが、やはり頭から通して読むという大罪を……(ぶるぶる)。