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『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第148話 ガラン・ゲーム

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週刊少年マガジン 2015年49号[2015年11月4日発売] [雑誌]

第148話 ガラン・ゲーム

  • 日は完全に暮れ、丸い月が昇っている。
    山の断崖半ばにある段のような空間。そこにひっそりと口を開く洞窟の奥に、これまたひっそりと、酒場<麗しき暴食>亭は開業していた。
  • 「なんだここは?」「酒場…なのか? こんな洞窟に?」
    バンたちを背負って訝しげにカウンターに近づくジェリコに、店主が恥ずかしそうに笑う。
    「ははは おかげ様で いつも閑古鳥が鳴いてますけどね…」「ごくたまに目ざとい行商か道に迷った旅人が立ち寄るくらいで」
    ◆人が来ることあったのかここ! 今回一番の衝撃!
    並べてある酒瓶のラベルの文字。字が潰れてて殆ど読み取れないけど、「ARTHUR(アーサー)」「HECTOR(エクター。アーサー王物語群に出てくる円卓の騎士の一人。バン王の息子でランスロットの異母弟)」など、キャラ名が読み取れるところがあって面白い。
  • 「悪ィけど客じゃない 怪我人がいるんだ」「ここに少し匿って……」言いかけたジェリコは眩暈を起こし、ドサッとくずおれた。
    「お嬢さん!?」泡を食って店主がカウンターから出てくる。「ああ!! これは大変な怪我だ…!!」
  • 「俺は…平気だ こいつらを…」
    血まみれのジェリコに言われてバンに視線を移し、「あ… あれ? あなた どこかで…」と、何かに気付いた顔になる。「頬の傷の具合 その あまりに悪そうな人相 ま… ま… まさか」
  • 「…!!」「オイ…!! てめぇは…」バンはバンで、動けぬままギロッと視線を返し、それだけで「ひいっ!!」と店主は大仰に怯えた。
  • 「<七つの大罪><強欲の罪フォックス・シン>バン…だ」いかにも無理を押した様子でジェリコが身を起こし、バンと彼の背に括りつけられたエレインを担ぎ起こす。
    「!! で… では あなたは彼を捕らえたリオネスの聖騎士!?」何故か、店主は今度は彼女に怯えた目を向けた。「まっ… ままままさか 次は僕を捕まえに!?」飛び退いてカウンターにへばりつく。
  • 「はは… オッサン 何かやったのか?」苦笑してジェリコは続けた。「大罪への嫌疑は晴れたん…だよ」「十年前の事件は二大聖騎士長が仕組んだ濡れ衣…だったの…さ…」
  • 「!!!」「ドレファスさんとヘンディくんが…? ど… どうして…」戸惑って表情を曇らせた後で、店主は勢い込んだ。「じゃ… じゃあ じゃあ <七つの大罪>は もう どこに隠れる必要もなくなったんですね!?」
    面食らって「あ… ああ… 今じゃ すっかり国の英雄さ…」とジェリコが返すや、肩を震わせ「ううう… よかったぁ …」と泣き始める。
  • と思いきや、今度はバンに掴みかかった。ジェリコの背にぐったりもたれかかっていた彼の両肩を押して強引に起こし、彼女の制止も無視して「バンさん…!! マーリンさんは!?」「マーリンさんも無事なんですよね!?」と涙ながらに問い質す。
  • 苦しそうに、それでも苦笑を浮かべてバンは答えた。「団ちょと…一緒だ…」
    「そっ そうですか!!」と嬉しげな店主。まじまじと見つめるバンに「見ねぇ間にチョビヒゲなんて生やしやがって…♪」と言われ、「い… いや~~ ちょっとは風格がでるかな…なんて!」「たははっ」と明るく照れ笑いしている。
  • 「…お前ら知り合いなのか?」と怪訝な顔をしたジェリコは、ハッとなった。
    世間話をしている場合ではない。匿い交渉の途中だったのだ。
    「それよか 俺たち 今 追われてんだよ!!」誰にですかと きょとんとする店主に、説明してる暇はないんだよと返し「オッサン頼む!!」と懇願する。
  • 「わ… わわわ わかりました」「カウンター奥の食糧庫に…!!」気圧された店主は三人をカウンターに招き入れ、食糧庫にしては大仰な、巨大金庫のように丸く分厚い鉄の扉を開けた。「恩に着る」と、二人を担いだジェリコが中に入り、店主が重い扉を閉じた、その時だ。
    ドンッ
    激しい衝撃に、店主が身を縮こまらせる。
    ◆エスカノールの食糧庫がまるで大金庫みたいなのは、夜の彼が心配性だから? それとも、昼間はここに閉じこもって寝ていたのかな。
  • 「見つけたぞ~~~~!?」
    振り向いた店主が目にしたのは、洞窟内の店から見えるはずのない夜空と丸い月、眼下の山や森の景色。そして、左顔面の潰れた ひょろ長い鎧巨人と、闇をまとって宙に浮かぶ女。
    洞窟のある山が真っ二つに断ち割られ、隠されていた酒場が露出していたのだ。
    そうして外界へ向け開いた面から、明らかに人間ではない二人が無遠慮に上がり込んできていたのである。
  • 「ヒイィィイ~~~~!!!」「に… にに人間じゃない…!?」と怯える店主を無視して、闖入者二人…ガランとメラスキュラは店内を一瞥し「あり?」「おらんぞ?」、「あら?」「おかしいわね たしかに ここを探知したのに…」と小首をかしげている。
  • ガランがくんくんと鼻を鳴らし始め、昔話の人食い魔神よろしく「臭う… 臭うぞ~~」と、カウンターの内側に隠れた店主の辺りを覗き込んだ。
    ガタガタと震える店主。
    しかし、魔神の狙いは彼ではなかった。そこにあったもう一つのもの。
  • 「うっ…」「旨い!!!」
    カウンターの内側に置かれていた酒樽。その匂いに惹かれたガランは、大樽を大ジョッキのように片手で掴んで、グビグビと中身を飲み干していく。
    「三千年の間に 酒がここまで進化を遂げておったとはーーーー!!」「プハ~~ッ!!」
  • 呆れ顔で見ていた女魔神に「メラスキュラ!! 一杯どうじゃ?」と、こちらは酒瓶から、陶製のジョッキに器用に注いでやる。
    「結構よ」「私たちの目的はブリタニアの支配よ?」「ゼルドリスが見たら きっとカンカンに…」
    頑ななメラスキュラの前で、ガランは既にほろ酔いだ。
    「久しぶりの外界に羽をのばしたいと言っとったのは どこの誰じゃ~?」「ヒック」「堅いことばかり言うな!! ホレ!!」
    ジョッキをつまんで差し出し、勧めてくる。
    ◆ガラン爺さんは周囲を堕落に導くタイプか(苦笑)。
  • 「……」堅い表情のままメラスキュラは黙り込んだ。ジョッキに注がれた酒の表面はふわっとした泡に覆われている。ああ、こんなにたっぷりと細やかな泡が立つ酒など、3000年前にはなかったというのに…。
  • 「お~~い」「し~っ!!!」
    暫後。すっかり いい気分のメラスキュラは、闇の触手で手酌しつつ、ジョッキをどんどん空けていた。
    「三千年の間に お酒がここまで進化を遂げていたなんて~~~~~!!」「ハフ~~ン♡」白い肌を上気させ、闇の触手もハートを描く夢心地だ。
  • 「それ さっき儂が言った」と赤ら顔でふにゃふにゃ突っ込むガランは無視して、「私の順位ランクづけで人間なんて五種族中最低だったけど~~」「一気に一位まで順位ランクアーーップ!!」「ヒック」と大はしゃぎである。
    ◆んじゃ、今まではどんな順位付け? 最下位が人間で、一位は魔神族だろうし、二位は女神族? …いや、実力だけじゃなく好悪も加味してたなら、女神族を四位にしてた可能性もあるのか。妖精族と巨人族はどっちを上に考えてた(どっちの方がまだ好きだった)のかなあ。
  • 「特に このお酒好きかも~~♡」と悶える女魔神の声を聞いて、心臓を「ドキドキ」鳴らして身を縮めていた店主が、その音を「バクバク」に高めつつも口を挟んだ。
    「そ… それはですね エールの中でもコクと甘みが強いバーニャエールです」「林檎の香りづけが女性にも大変人気なんですよ」
    「うんうん グイグイ イケちゃう~~!!」メラスキュラは喉を鳴らして飲み干し、浮かんだまま店主の顔を覗き込む。
    「あなた お酒詳しいのね」
    「一応 酒場の店主ですから」と、冷や汗を垂らしつつ答える店主。
    「合格!!!」
    いきなり叫ばれて、ビクッと店主が身を震わせた。
    「人間を全滅させても あなたは助けてあげる」
    へにゃ笑いしつつ高く浮かび上がって拳を突き上げた女魔神に「ありがとうござ…」と言いかけて「え?」と戸惑う。「にっ… 人間を全滅!?」
  • 「メラちゃ~~~ん 勝手に決めちゃってええんかいな~~?」と、とろとろに酔ったガランが言った。動揺している店主に告げる。
    「これより ブリタニアは魔神族によって支配されることとなろう …そして儂らこそは 偉大なる魔神王の精鋭」「<十戒>♡」
    言っていることは恐ろしいが、フニャ~~と目尻を垂らした赤ら顔だ。
  • 「ま… 魔神族…? さ… 三千年前に封印されたという 伝承の?」「<十戒>… その名前 マーリンさんに聞いたことがあるような…」「ほ… 本当に存在したなんて…」
    店主が冷や汗を流して目を見開く。
    ◆やっぱり、マーリンは<十戒>の存在自体は知ってたんですね。けど、実際の面識・詳細な知識はなかったと。
    で。そんな話をマーリンがするなんて、二人は思ってたより親密な関係だったんですねぇ。
  • 「カッカッカッ」<十戒>の名が3000年を経て忘れ去られていなかったことに満足したか、小気味よさげに笑うと、ガランはおもむろに立ち上がった。
    「その儂らの 面子メンツと心臓を潰した悪童わるがきは絶対に殺さねばならん!!!」
    目が鋭く光り、人ならぬ禍々しい鬼気が渦巻く。傍らに浮かぶメラスキュラの目も闇中の獣のように燃え輝いた。
    「食事の邪魔をした妖精族の小娘と 人間の小娘もね…」
  • ガランの燃える目が、ひたりと店主の背後に向けられる。
    「わかっとるんじゃぞ店主~~~~~~?」「後ろの扉の奥に奴らが隠れておることぐらいな…!!」
    あからさまにギクッとする店主。
  • 食糧庫の中で、扉を背で押さえるように寄りかかっていたジェリコが息を呑んだ。傍らでは、バンとエレインが相変わらずぐったりと倒れ伏している。
  • その様子すら見通したように、ガランは鷹揚に目を細めた。
    「だが もはや三人共 虫の息のようじゃ 殺すはたやすい」「何より旨い酒を飲んで 儂は今 非常に気分がいい」「そこでじゃ」
    ガランの顔が、再び、ふにゃと酔い蕩けた。威勢よく天に拳を突き上げる。
    「「ガラン・ゲーム」♫」「イエ~~~~イ!!!」
  • 戸惑うジェリコ、店主。
  • 「よう聞け お主がこのゲームに勝てば お主も後ろの三人も見逃してやろう!!」「<真実>のガランに二言はなし!!」
  • 「ガラン!!」黙って聞いていたメラスキュラが、キッと表情と声音を険しくした。「なんじゃ?」と呑気に返すガラン。
    敵を侮るあまり無為なゲームを楽しむ老魔神を、これまでなら彼女はたしなめていただろう。が。いかんせん、彼女も相当に酔っていた。
    「イエ~~~~イ!!」ノリノリで囃して、同じ囃しを返すガランと闇の手でハイタッチ。パァン、と景気良い音が響く。止める気はなく、むしろ大賛成らしい。
  • なんのつもりかは知らないが、嫌な予感しかしない。「おい… オッサン なんか やばいぜ」扉の中からジェリコは訴えた。「俺たちはいい 早く逃げろ!!」
    とは言え、魔神から逃げおおせられるはずもなかろうが。
    ところがである。臆病なはずの店主が、冷や汗を流しながらではあったが受けて立った。幾許かの自信すら見せて。
    「フ… フフ… 大丈夫 僕 喧嘩はからきしですが――――…」「ゲ… ゲームは 結構得意なんですよ カードもダイスも どっちもイケます!!」
    ◆ほほう。夜のネガティブな精神状態の時ですら「得意」「イケます」と断言しちゃえるってことは、エスカノール、賭けが超! 強いんですね。彼がいると勝負にならなさそう。
  • しかし、魔神のゲームは人間の想像を超えていた。
    「ルールは単純シンプル!! 一対一の殺し合い」「まず互いに武器エモノを持つ!! 先攻と後攻を決めたら互いに一撃を与えていき 先に死んだ方が負けじゃ!!!」
  • ええぇえぇええぇぇええぇえええと慄く店主。嫌な予感の当たったジェリコは「く…」「オッサン逃げ…」と朦朧と呟いたが、もはや限界。血を流し過ぎている。そのまま完全に意識を失った。
  • 店主のオッサン、孤立無援である。
    「あ… あわわ… あわ で… ででできれば他のゲームとか…」舌をもつれさせながらも どうにか提案はしてみる。酔っぱらい魔神は機嫌良く、酒臭い息を吐いてこう言った。
    「普段ならコインで決めるとこじゃが… 今日は特別じゃ!! 先攻はお主にやろう」
    他のゲームにしてくれる気はないらしい。
  • 「ち… ちなみにゲームをお断りした場合は?」と尋ねれば、即座に魔神は答えた。「今すぐ全員殺す」
  • 選択肢はないのだ。
    「…さあ決めろ」「るか? 死ぬか?」
  • 「………」カタカタと小刻みに震え、冷や汗と涙をダラダラ流して、店主は決めた。決めざるを得なかった。
    「やります」
  • 「よう言った!!!」ガランが上機嫌な笑いを上げた。嬉しそうに、バシッと店主の肩を叩く。
    「ただしゲームをやると誓ったからには放棄も逃亡も許されん」「誓いを破れば<真実>の戒禁かいごんの呪いで石化する 無論 儂も同じ条件じゃ」
  • しかし、店主の耳にその言葉は届いていない。手酌を続けるメラスキュラに指摘されて、ガランも漸くそれに気付いた。
    「はら? 軽く肩を叩いたつもりじゃが…」
    魔神に肩を叩かれた店主は、顔面から床に叩きつけられて気絶していたのだ。かけていた丸眼鏡もバラバラになって散らばっていた。

  • 小鳥が鳴き交わしながら明るくなった空を飛んでいく。剥き出しの酒場に日の光が差していた。朝になったのだ。
  • 気絶した店主が正気づくのを待ちながら、魔神達はずっと呑み続けていたらしい。酒樽を全て空にしたガランは酒瓶二本を束ねてラッパ飲みし、メラスキュラは酒樽にしなだれかかって、海の漂流者のごとく、それごと宙に浮いている。
  • 「もう半日たった~~」締まらない茹でダコのような顔で「うふふ」と笑ってメラスキュラが言った。「全然起きないわよ… 死んでるんじゃない?」
    「フム…」
    「それにしても さっきから少し暑いわね~~?」
    「フム…」
  • 鉄の扉で閉ざされた食糧庫の中では、朦朧としたジェリコが「あ… 暑い…」と呻いている。その傍らでハッと目を開いたバン。
    「まずいな… もう朝か!」未だ横たわったままだが、冷や汗は引いており、呼吸も元に戻っている。
  • 「ガラン!! さっきから空返事からへんじばっかり~~ まさか酔ったのぉ?」
    どう見ても泥酔中のメラスキュラの揶揄を、酩酊したガランは素でスルーして「ほれ そこに飾られとる物を見ろ…」と別の話を始めた。持っていた酒瓶二本は興味を失くされて取り落とされ、足元で砕け散る。彼の目はカウンター奥の壁に飾られていた戦斧に吸い寄せられていた。
    「なんとも惚れ惚れする美しい戦斧じゃわい!!」「これは かなりの名匠の手による業物わざものじゃぞ?」
  • 「貰っちゃえば?」とメラスキュラ。「いやいや 一応 断らんとな」と答えたガランに「律義ねえ」と返す。持ち主であろう店主は、もう死んでいそうだし、生きていたとしてもすぐ死ぬだろうに。
  • ガランはいそいそと戦斧を手に取った。途端、その重さに驚く。
    「なんじゃ この戦斧は? 設計ミスじゃぞ…」酔っているとはいえ、あまりの重さに支え切れず、落ちた刃先が床に食い込んでしまった。両手で持ち上げようとしたが、柄が短くて力が入れにくい。「この斧頭ふとうの重量ならば つかは三倍の長さが必要じゃ 両手斧には柄が短すぎる」
  • 「当然です これは片手斧なのだから」誰かの声が聞こえ、フッとガランの手が軽くなった。持っていたはずの戦斧が消え失せている。
  • 神斧じんぷリッタ」「太陽に愛でられし乙女の名を冠した戦斧」「暗闇に蠢き生きる魔神如きが触れていいものではないのですよ」
    片手で軽々と神斧を持って立っているのは、ウェイター服を着た男。
    大きく見えるのは、丸めていた背筋を伸ばしたからだけではない。身長がガランの胸ほど、三メートルあまりもある。盛り上がり続ける筋肉でシャツは断続的に弾け破れ、メキメキと骨を軋ませ背が伸び続けていくために、ズボンは短くなって脛が露出していた。
    「しかし あなた方 愚かでかつ運がない」「わざわざ死ぬために こんな辺鄙な酒場にやってくるのだから」
  • 異常な事態だったが、泥酔したメラスキュラはケタケタと笑った。「何よ~こいつ?」「ってか誰~~? えっらそ~~に」
  • ガランは女魔神よりマシな反応だった。
    「まさか… 店主か? さっきまでとは様子が明らかに違う…」「お主… 人間ではないな?」
  • 「人間です」
    即答した店主の上着が弾け、背が裂けて肌が露出する。そこには、一面に大きく刻まれた獅子の紋様があった。
    「ただし」スッ…と彼は左の人差し指を立て、己の意を示す。「全ての種族の頂点に立つ者でもある」己こそが、天上天下唯一の、絶対的王者であると。
    あまりに不遜。あまりに傲慢たる彼の名は。
    「<七つの大罪>」「<傲慢の罪ライオン・シン>エスカノール様だ」
  • 次回「ガランの魔力」

コメディだった(笑)。

 

今回はとにかく、酔っぱらったガランとメラスキュラが可愛い回でした。 

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日本神話のヤマタノオロチも酒好きで身を滅ぼしたものですが、魔神族も呑んべえだったんですね。メリオダスが酒好きなのも、実は種族特性だったりするのでしょーか(笑)。

あと、何気に酒の強さに個人差があるのも面白かった。二人とも際限なく呑んじゃう品のない呑み助なのは同じだけど、ガランの方がメラスキュラよりお酒に強い。あんだけ呑んでて、まだしも正気を保ってる。

 

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ガランッ、ゲェーーーームっ!! イェーーーーッ♫(ドンドンパフパフッ♪)

「ルールは単純シンプル!! 一対一の殺し合い」「まず互いに武器エモノを持つ!! 先攻と後攻を決めたら互いに一撃を与えていき 先に死んだ方が負けじゃ!!!」

 

『ガウェインと緑の騎士』の首切りゲームかーいっ!(苦笑)

や、全然関係ないのかもですが、読んでパッと頭に浮かんだもので。

 

 

『ガウェインと緑の騎士』は、アーサー王物語群の一つに含まれる、12世紀頃のイングランドの小説(詩文)です。

 

アーサー王の宮殿でのクリスマス期間の祝宴のさなか、風采優れた見知らぬ騎士が馬に乗ったまま入ってきました。髪・肌・服、馬まで全て緑色で、手に常緑のヒイラギの枝と緑の斧を持っています。この《緑の騎士》はこう言いました。

「名高いアーサー王と円卓の騎士の噂は真実か試しに来た。ここにいる誰でもいい、この斧で私の首に一撃浴びせてみよ。その後で私も一撃を返そう。この賭けゲームを受ける勇気のある者はいるか」

誰もが唖然としていると騎士は嘲笑います。ムッとしてアーサー王が受けようとしたとき、王にそんなことはさせられぬと、甥のガウェインが進み出て挑戦を受けました。

彼は一撃で騎士の首を打ち落としましたが、血を噴出させながらも騎士は倒れず、自分の首を拾い上げて脇に抱え「臆病者のそしりを受けたくなければ、一年と一日後に緑の礼拝堂に来い」と言い置いて、馬に乗って出て行ったのでした。

騎士の誇りにかけて約束は破れません。行けば、今度はガウェインが首に斧の一撃を受けねばならぬのだとしても。

 

翌年の十一月、ガウェインは、どこにあるとも知れぬ《緑の礼拝堂》を探して旅に出ました。

様々な人に尋ね、様々な怪物や動物と戦って進むうち、クリスマスの前日、森の中の城に辿り着きました。城主ベルシラックは、緑の礼拝堂はここから一日の距離にある、期日にはまだ数日あるから、ここに逗留してクリスマスを祝うといいと言ってくれました。

翌日、城主が狩りに出かけた留守の間に、城主の妻がガウェインを誘惑しました。彼は当たり障りなく拒んで城主への義を通しましたが、三日目に《装備者の身を守る》魔法の帯をせめて記念に貰ってちょうだいと言われ、心揺らいで受け取ってしまいました。だって、やっぱり首を斬られて死にたくはありませんでしたから。

 

翌日に城を発ったガウェインは、こっそりと魔法の帯を身に着け、ついに緑の礼拝堂に到着しました。そこは草に覆われた荒野の岩窟でした。

約束通り、ガウェインは緑の騎士の前に首をさらしました。騎士は三度斧を振り下ろしましたが、二度は空振りで、三度目は掠めただけでした。

ガウェインがこれで約束は果たした、これ以上やるというなら容赦しないぞと意気込むと、緑の騎士は、元より殺す気はなかったと告げました。

彼の正体は森の城主ベルシラック。彼の妻の誘惑も、ガウェインを試すための試験だったのです。

 

なんたる美人局つつもたせ

斧の二度の空振りは妻の誘惑を二日拒み続けた忠節への返礼。最後の一撃を掠めさせたのは、三日目に弱気に負けて妻の帯を受け取ったことへの罰だと。

ヤバい、ヤバかった。誘惑に負けてたら首ちょんぱでした。やっぱり騎士たるもの、人妻に手を出してはいけませんね。

 

己を恥じるガウェインを慰めて、約束を違えずやって来た勇気を称え、ベルシラックは、この一件は全て彼の叔母である魔女モルガンの計画であり魔法であったと告白したのでした。

 

ガウェインはベルシラックと帯を交換し、心の弱さに完全に打ち勝てなかった自分への戒めとして、その緑の帯を身に着けました。

以降、緑の腰帯は勇士の印とみなされ、騎士たちはみなそれを身に着けるようになりましたとさ。おしまい。

 

 

…とまあ、大体こんなお話です。

このお話は、もっと古いアルスター物語群(アイルランドの神話。ケルト神話としても扱われる)の一つをアーサー王物語にアレンジしたものです。

そちらは、ロイガレ・ブアダハ、コナル・ケルナハ、クー・フリンという、アルスター王コノールに仕えるいずれ劣らぬ三人の騎士が、我こそは最高の勇士だと譲らず争いになったところから始まります。

 

ギリシア神話で不和の女神エリスが、最も美しい女神は誰かとアフロディテ、ヘラ、アテナの三女神を争わせてトロイ戦争を起こしたように、ここでは《毒舌》ブリクリウというトラブルメーカーが、意図的に争いの芽を仕組みました。

当時の宴会では、豚の焼肉の一番上等なところは一番の勇士に与えられるという、クラド・ミールなる習慣があったのだそう。その栄誉を巡って争ったのです。ついでに彼らの妻までが、誰が一番の貴婦人かと争い出す始末でした。

…ホークちゃんの一番美味しいところを貰える一番の英雄がいるとしたら、やっぱりメリオダス? それともエスカノール? 意外にバンか。キングだったら「豚肉はちょっと…。オイラはいいや」と辞退しそう。)

 

話戻って。困った王が三人を調停役の前で競わせて最高の勇士を決めようとし、例の首切りゲームが発生、という流れになっています。

その試練に打ち勝ったのはクー・フリンのみ。そして、斧で首を斬られても死なない謎の男の正体は、アルスター王に調停役を託された、マンスター王クー・ロイでした、というオチ。

 

ちなみに、こっちの話だと『ガウェインと緑の騎士』より首切りゲームのエピソードが長いです。争っていた三人の騎士全員が、順番に試練に挑むことになっています。一年後に指定場所に旅立つエピソードはありません。一番の勇士を決める勝負の旅をして、マンスター王クー・ロイの城に滞在し、それで決まらず帰国した後に首切りゲームになります。

以下、ちょっとあらすじ。

 

三人がアルスターに帰国して、仲間たちと共に王宮の広間で晩餐を食べていたとき。突然、見知らぬ大男がぬっと広間に入ってきました。オオカミのように光る目、オオカミの毛皮をまとい、片手には根こぎにした若い樫の木、片手には巨大な斧を持っています。異邦の蛮人でした。

ウアトと名乗るその男は賭けゲームを申し出ました。

「この斧で私の首を打ち落としてみせよ。その代わり明日の晩、もう一度私とここで会う約束をせねばならん。そして明日は私がお返しに斧を振るう番となる。さあ、その勇気を持つ者はいないのか」と。

最初の晩に名乗り出たのはロイガレ・ブアダハでした。

うなじをさらしてひざまずいてみせたウアトの首を、彼は見事に打ち落としました。ところがウアトの体は立ち上がり、跳ね転がった自分の首と突き立っていた斧を持つと、悠々と広間を出て行ったのです。騎士たちはみな戦慄しました。

次の晩、約束通り晩餐のさなかにウアトは再び現れました。首は元通りで、何事もなかったかのようにピンピンしています。

ウアトは「今度はお主の番だぞ」とロイガレを呼びましたが、彼は来てすらいませんでした。ウアトは「アルスターの騎士とは臆病者よ」と嘲笑いました。

すると、今度はコナルが名乗りをあげました。

ロイガレの時と全く同じことが起こり、ウアトは自分の首を抱えて立ち去りました。

翌日の晩餐会、コナルは逃げずに来ていましたが、いざウアトが現れたのを見ると恐ろしくなり、咄嗟に裏口から逃げてしまったのでした。ウアトは嘲笑いました。

するとクー・フリンが名乗りをあげました。

やはり同じことになり、ウアトは自分の首を拾って、首無しのままスタスタ歩いて広間を出て行きました。

翌日の晩餐会、クー・フリンは逃げずにいて、ウアトの前にひざまずいて己のうなじをさらしました。

しかしウアトは斧の背で軽く打つに留めて(もしくは、わざと外して)、クー・フリンの首を落とさず、お前こそアルスターいちの勇士、その妻エウェルが第一の貴婦人と認定すると宣しました。

ウアトこそは、魔法で変身したマンスター王クー・ロイ。猟犬とあだ名される勇士にして、ドルイドより古い力を持つとされる魔術師だったのです。

 

 

長くなりましたが。

今週の展開を読んで、読者の90%以上が、これからガランはエスカノールに斧で叩き切られて死ぬんだ、または逃げようとして石になってオシマイだ、と考えただろうなと。

けど、もしガラン・ゲームが首切りゲームと似たようなものなら、意外とそうならないのかもしれないなあ、とか。

 

エスカノールの一撃で、どう考えてもガラン死んだ―! って状態になったのに、彼は何故か死なず、また戦おうと言ってスタスタ―と去っちゃうのかもしれない。勝負続行中だとガランが思ってるなら、途中で去っても石にはならない、みたいな理屈で。

 

……って。

いやいや。次回のサブタイトルが「ガランの魔力」ですし、ガランに魔力戻ってエスカノールに立ち向かうけど、やっぱ敵わずにペシャン・死亡、ってことなのかなあ。

 

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日が昇るとともに筋肉ムキムキ~の背が伸び~るので、服がビリビリ破れていくエスカノールさん。

大罪時代は昼の体の大きさに合わせた服を予め着てたけど(だから夜は服がブカブカだった)、今は夜の体の大きさに合わせた服なんですね。

 

隠れて暮らしてたなら、そうそう服の替えも用意できなかったでしょう。なのにそうしてたってことは、普段は服を破らずに生活できてたってことで。

 

朝になる前に全裸になってたとか? 独り暮らしだからこそ可能な荒技ッ。

 

それとも、眠ると体が大きくならずに済むのかな? 例えばキングは、気絶すると魔力が切れて変身が解けちゃいます。同じように、眠ったり気絶してたりすると<太陽サンシャイン>の魔力も発動しないとか?

今回発動したのは、とうに正気づいてたけど気絶したふりをしてたからってことで。

 

で。

ムキムキになって服が破れて、露になった背中に<傲慢の罪ライオン・シン>の獅子の紋様が見える、という演出。『エジンバラの吸血鬼』でもやってました。彼の定番なのだろーか、アニメの魔法少女の変身バンク的な(笑)。

 

これ見てて、何かを思い出すなーっと首を捻ったんですけど、アレでした。往年の名作『北斗の拳』。

ケンシロウが本気出すと筋肉が盛り上がって服がビリビリ破けて、胸の「七つの傷」が露になり、あっお前は噂の…! と敵が驚いてくれるとゆー、アレ。

 

むむ。もしエスカノールのムキムキ服ビリリがケンシロウのリスペクトなのだとしたら、今回の、カウンターの内側に金庫みたいな食糧庫があったのも、『北斗の拳』のパロディだったのかなぁ(笑)。

ちょっとウロ覚えなんですが、『北斗の拳』の、わりと序盤辺りにそういうエピソードありましたよね。あの世界では水や食料が貴重品なので、砂漠の町の酒場で、カウンターの内側に巨大金庫が作ってあって、その中にそれらを入れてあるっていう奴。

 

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少し気になるのは、一晩経って、バンがどうやら<狩りの祭典ハンターフェス>の反動から復調してるらしいこと。

 

バイゼルでディアンヌが神器を使った時みたいに、エレインとジェリコを連れて慌てて逃げ出す、救助要員になるのかなあ?

エスカノールの魔力が発動したら、辺りは灼熱地獄。エジンバラ城を、あの溶け城と化した熱気です。下手すりゃ、みんな巻き添えで死んじゃいそうだから。

 

それは別として、ジェリコには、いい加減ちゃんとした治療を施さないと、マジ死ぬよこれ…。いくら聖騎士見習いでも、これで自動回復したら人間じゃないわ(苦笑)。

 

ジェリコがバンを背負って逃げ始めた時、彼の三節棍をしっかり携行してたので、まだバンが戦う出番があるのかな、そして神器入手イベントはまだ来ないんだなと思ったものでした。

けど、別に関係なかったですかね。

バンの出番はまだ何かあるのか、ないのか…。

 

 

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