【感想】『七つの大罪』第254話 絶望のキャメロット
週刊少年マガジン 2018年 11号[2018年2月14日発売] [雑誌]
第254話 絶望のキャメロット
- 早朝のキャメロット城に黒い翼が舞い降りた。
- 「お帰りなさいませ ゼルドリス様!!」
翼を消して謁見の間に歩み入った彼を、真っ先にキューザックが出迎える。 - 「すまんが収穫はゼロだ…」「ベリアルインの娘が「信仰」の戒禁を抑えていようとはな… まんまと してやられた」
最奥に腕組みして立っていたメリオダスに、ゼルドリスは、こちらも立ったまま報告を始めた。 - その傍らで、澄まし顔で控えるキューザックに チャンドラーが ちょっかいをかけている。
「…ところで お主 昨晩は どこに遊びに行っとったんじゃ?」
「じじいには わからんヤボ用さ…」
「お主だって じじいじゃろが!!」 - 「だが 一番の問題は<四大天使>が復活したことだ…」「あの魔力――― リュドシエルのものに間違いあるまい」
- 「………!」
続いたゼルドリスの報告に、じゃれ合っていた老魔神たちの顔色も変わった。 - 「オレも リオネスの方角に盟約の光を確認した」「おそらく エリザベスと<七つの大罪>は<四大天使>と組んだ」
さして表情を変えずにメリオダスが口を開く。
「フン」「女に逃げられたか」
弟に鼻で嗤われても、ポーカーフェイスは崩れない。
「あいつらが 何をしようと問題ねえ」「戒禁を集め オレが魔神王になれば すべて終わる…」 - 同じ頃、ブリタニア北部の荒野。
人里離れた崖の縁に、ぽつんと石像が建っている。高さ4mほどもある巨大さで、恐慌に駆られた表情、逃げ走っているポーズと、躍動感あふれる見事さだ。
誰もが感嘆するだろう、どんな名工の手になるものかと。…その正体を知らぬのであれば。
その石像は魔神ガラン。エスカノールの威容に怯えて自らの戒禁に掛かった、哀れな成れの果てである。 - 今や風景の一つとなった石像の頭、突き出た幾つもの棘に、小鳥たちが小さな足で止まって羽を休めていた。
『シッシッ!! ええい!』『儂の頭に糞 をするでない!!』
声なき声があがり、聞こえたのかのように小鳥たちは飛び立つ。 - 石となってもガランの意思は消えていなかった。一ヶ月以上、ここで身動きならずに佇んでいたのだ。
- その時、正面にスッと黒い影が降りてきた。
「みっともねえな ガラン爺… お前を捜すのに夜通し飛んだぜ」 - 『お…? お主!!』
地面を切り取った崖の先、空中に、銀髪の男が黒い翼を広げている。
『エスタロッサか!! ゼルドリスに儂の石化を解くよう急ぎ伝えてくれ!!』 - エスタロッサは動こうとしなかった。薄笑いを浮かべてガランを見下ろしている。
「いいって… 面倒臭ぇし」
『お主 何を言って…』 - 直後、一瞬で間近に移動したエスタロッサが、右腕を振るって石像を粉々に破壊していた。
- 「ヨズン・メイヘン・カ・イシュマ・ノ・ジメウ!!」
呪文と共に定められた印を結めば、砕けた石の間から戦斧を思わせる形の戒禁の紋様が浮かび上がってくる。
「…案外 楽勝だな」と、ポーカーフェイスで男は呟いた。 - 同時刻、キャメロット王都。
閑散とした城下を、アーサーが歩いている。
未だ目的地へ到達してすらいないのに、彼は疲弊し、ハア ハア と荒い息を吐き始めていた。
「どうなってるんだ どれだけ歩いても城に近づけない…」「すっかり夜も明けてしまった…」 - 夜通し歩き通してヘトヘトだ。
「キャス… 私たちは おかしな幻でも見てるのかな?」
マントを開いて、肩掛け鞄のように装備した袋に鎮座した丸猫に伺う。
「アーサー ポク お腹すいた」
と猫が幼子のように訴えたとき、目前の曲がり角から ぬ…と現れた灰色の魔神。
「わ」
目を丸くしたアーサーめがけ、魔神は口から光線を吐き出した。 - それが地面を爆発させたときには もう、アーサーは石畳を蹴って数十mは逃れている。
「く…」「これじゃ埒が明かない!!」
あの魔神はアーサーがどこに逃げたか把握できておらず、追ってくることはないが。また別の魔神に出くわす可能性は高い。 - 「キャス…!?」
そこでアーサーはハッとした。肩掛け袋が空っぽになっていたからだ。
「どこだ~? 返事をしろ!!」「キャス~!! お~~~~~~い!!」
魔神に見つかるリスクも忘れて呼ぶものの、出てくる様子はない。 - とりあえず その場を駆け離れながら、アーサーは歯噛みした。
「城にある聖剣さえ手にできれば…」「王国を魔神族から解放できるのに!!」 - 「でっしっしっ~~~~~」「それは絶対に無理でし~~」
ほくそ笑む少女の声。
「…何者かは知らないけど 城へは近づけちゃいけないと ゼルドリス様の命令でし」「このペロニアが侵入者 の気配を捕捉している限りは…」「“無限迷路 ”から脱出することは不可能でしよ~」
路を駆けるアーサーを、脇の建物の屋根の上に胡坐をかいたペロニアが見張っていた。広げた両手の間には、根元に細かな結晶柱を生やした細長い卵型の宝珠が浮いており、アーサーの姿が映っている。 - 「それにしても… ずっと見張ってるせいで お腹がすいたでし?」
「ポクも お腹ペコペコ」
不意に返った声に驚いて、ペロニアは振り返った。
「でし?」「ね…猫?」
すぐ後ろにキャスがおり、ぺろりと舌なめずりする。 - 「…っ」「え…… あれ?」
駆けていたアーサーは、足を止めた。
「城が近づいてきてる…!」「やった… 幻覚から抜け出したんだ!!」 - 「ア~~~サ~~~~」
「キャス?」
呼び声に見回せば、屋根の上からポンポンと跳ねてキャスが飛び降りてきた。
「ただいま」
プニッと、柔らかい体をアーサーの頬に押し付けて止まる。
「心配したぞ!! どこで何をしてたのさ!?」
安堵の笑みで問うた主人に、猫は答えた。
「ごはん」
「え?」 - キャスが降りてきた、屋根の上。
ついさっきまで侵入者を見張っていた女魔神の姿は見えない。
ただ、砕けた宝珠と、千切れたリボンの端、そして右手首だけが、幾分の血と共に残されていた。
◆えええええ。ペロニア、キャスに食い殺された~!?
登場したばかりだったのに、あっという間の退場でした。むごい。 - キャスを連れたアーサーは、幾度かのジャンプで城の壁を容易く登ると、裏口の一つから城内に進入した。
「待っててくれ みんな…」「必ず私が救ってみせるから!!」 - そうして、左右に鎧を並べた細長い廊下…何の遮蔽物もない…を忍び歩いていた時だ。
「何者だ?」 - 「!!!!」
背後からの誰何 に、アーサーは凍り付いた。
◆ザコ魔神には全く気付かれることなく行動できて「死神」呼ばわりすらされていたアーサーですが、ペロニアやゼルドリスらには簡単に見つかってしまうんですね。
全く気付かれることなくゼルドリスの様子まで観察して帰還した妖精インビジブルちゃんの有能さが、ますます証明されました。デスピアスさんはもっと誇っていい。
つーか、「祝福の息吹 」を受けたデスピアスが、もし恐怖心を失くして無茶しようとしたら、インビジブルが止めてくれたらいいのに。 - 廊下の奥から人影が歩み寄ってくる。
振り向いて、それを確認した瞬間。
「……!!」
全身を怖気 が走って、文字通り、アーサーは震えあがった。 - 「
城 へは任意の者しか立ち入れぬはずだが…」「どうやって侵入した?」「俺の戒禁に かかっている気配もない………」「城の宝でも狙う賊か?」
逆立てた黒髪の小柄な少年。左額に魔神の紋様を浮かべ、面差しは彼の英雄に瓜二つ。 - (この押し潰されそうな威圧感… 魔力… 間違いない… 彼が…)(魔神族の処刑人 <十戒>ゼルドリス!!!)
◆あれ? なんでアーサーはゼルドリスが「処刑人」の二つ名を持つことを知っているんですか? バイゼルでメリオダスが殺された時に水晶玉を通してゼルの姿と名は見知っていたはずだけど、「処刑人」だとは知らないはずでは。
誰に教えられたのでしょう。マーリンが予め教えていた?
だとしたら、メリオダスやマーリンに何も教えられないまま引きずり回されていた<大罪>たちとの情報格差が酷い(苦笑)。 - 「は… 早く聖剣を…」
冷や汗に濡れて ジリ…と後ずさりかけた背中が、ドッと何かに突き当たった。
「?」
そこには何もないはずなのに。 - 「ゼルドリス様が聞いておられる 貴様は何者だ?」
「!!!」
振り向けば、すぐ後ろに奇妙なナマズ髭の男が立っていて、据わった目で見下ろしていたのである。 - (な…)
直前まで、気配など まるで なかった。
アーサーの心臓が、いよいよ早鐘を打ち始める。
(なんだ… この者は…)(ゼルドリス級の魔神が もう一人!?) - そこで名乗る覇気を持てたのは、褒めるべき胆力と言えただろう。
「わ… 私は この国の王」「アーサー… ペンドラゴン…」 - 「!」
歩み寄りながら、ゼルドリスが はっと息を呑んだ。
「なるほど… お前か マーリンが身を案じていた王は」 - 「マーリンが…?」
思いがけない反応に、目を見開くアーサー。 - 「それで この城に こそこそ忍び込む理由は なんだ?」「死を覚悟してまで得るような価値のものが ここに…」
ピクッと震えて、今度はゼルドリスが目を見開いた。
「……………まさか あの妙な剣か?」 - その価値に気付かれれば、入手は より難しくなる。
「アーサー 早く行って!!!」
「キャス!!?」
ナマズ髭男が「?」と眺める前で、キャスが決死の形相で掛け袋から跳ね上がった。
◆キャストオフ! - 「プニャアァアァ!!!」
「わっ」
毛を逆立て魔力の光に包まれたキャスが宙に浮かぶと同時に、アーサーもが吊られたように浮く。更には、廊下の左右に並んでいた鎧がバラバラになって、一斉に浮かび上がった。 - 「!!」
目を丸くするキューザック。
「念動力 !?」 - ドゴゴゴゴッ
バラバラの鎧が飛び回って魔神たちに襲いかかるなか、アーサーだけは宙を運ばれて、勢いよく廊下の先へ押し出されていた。
「うわ!!」 - 「急いで
聖剣 を!!!」
輝きながら攻撃を休めずに叫ぶキャス。 - 「あれが聖剣?」
嵐のような攻撃のなか、顔色一つ変えず佇むゼルドリスは呟く。 - 「すぐ助けに戻るから!!」
肩越しに叫んで、歯を食いしばり、アーサーは自らの足で走り出した。 - 鎧の廊下を抜け、感じた気配に物陰に身を隠す。
獅子のような髪と顎髭の、魔術士然とした老人が、フワ――~…と通路を過 ぎっていった。
「なんじゃ 朝から城の中で騒ぐ奴は」
騒ぎを感じて、鎧の廊下へ出向くところかもしれない。 - どうやら気付かれずに済んだものの、アーサーは肝を冷やさずにはいられなかった。
(どうなってる… 城の中は化け物中の化け物ぞろいだ!!)
城の外の灰や橙の魔神たちなど、雑兵に過ぎなかったと思い知る。 - もはや一刻の猶予もない。
勝手知ったる通路を駆け抜け、アーサーは聖剣の間の扉を叩き開けた。
城を出る前と変わらず、床に深々と剣が突き立っている。
「よかった!! 剣は無事…」 - 直後。
ドンッ
扉含む広範囲の壁が爆発した。
マントが焼け焦げて千切れ飛び、アーサーは部屋の端まで吹っ飛ぶ。壁ごと背を撃たれたのだ。 - 「ガフッ」
床に倒れ伏して むせる。 - ガラガラと瓦礫が飛び散るなか、もはや扉の意味をなさなくなった壁の穴から、ゼルドリスとキューザックが部屋に入ってきた。
- 「もう少しで……!」
どうにか身を起こして肩越しに睨んだアーサーは、キューザックが左手に鷲掴んだものに気付いて目を見開いた。
「…!!」「キャ……ス?」 - 血まみれの丸猫は、尖った舌を だらりと垂らして沈黙している。目を覆うように鷲掴む魔神の指が、その頬の辺りに深く食い込んでいた。
- 「くそ…」「くそ!!」
アーサーの目から悲憤の涙が流れ落ちる。 - その時だ。壁の穴の向こうから、もう一人の魔神が現れたのは。
「お前たち やめろ…」「そいつはオレの顔見知りだ…」 - アーサーはハッとした。
もうもうと舞う土煙を越えて歩み出てきた、その小柄な男の姿を見て。 - 「アーサー」「もう ここは
人間 の来る場所じゃねえ… とっとと失せろ!」
メリオダスだった。子供の頃から憧れていたリオネスの英雄が、バイゼルで<十戒>に殺されたはずの男が、裸身に闇をまとい、額に大きな魔神の紋様を蠢かせて、魔神たちと共に立っている。
その瞳は仄赤く光る漆黒だ。かつての優しい緑の瞳も飄々とした微笑みもなく、底冷えする視線で見下ろしてくる。 - 「メリオダス殿? なぜ あなたが…魔神と共に…?」
彼が魔神族で元<十戒>であることは知っていた。キャメロットやバイゼルで、魔神の力を使って<十戒>と戦っていたからだ。
だが、彼は魔神族とは決別して、今は人間を護る聖騎士ではなかったのか? 伝説の騎士団<七つの大罪>の団長ではなかったのか?
ここには<七つの大罪>の団員もエリザベス王女も見当たらない。
「それに… その姿… 魔力は… …まさか…」
何より、彼の放つ魔力の桁違いの大きさ、禍々しさはどうだろう。この場にいる化け物級の魔神たちの誰よりも強大で、闇深く、おぞましいではないか。 - 生きていたのですか、と喜ぶ余裕もなく、アーサーは声と体を震わせる。
- メリオダスは冷たく答えた。
「<七つの大罪>とは決別した」「もう お前の知るオレじゃねえ…」 - アーサーの目から涙が流れ落ちる。
「なんで!!!」
ぐっと目をつぶり歯を食いしばってから、拳を床に叩きつけた。
「どう…して!」「あなたは私の憧れだったのに………!!」 - 佇むメリオダスは応えない。
- 「…いつか私に言いましたよね」「「大事なのは相手にどう思われるか ではなく どう相手を思うかだ」と」
バイゼル大喧嘩祭りへ向かう迷宮の中でのことだ。ガランからマーリンを救えなかった己に失望し、恋人 や親友 に深く信頼されて自信に満ちたメリオダスを羨んだアーサーに、彼はそう言ったのだった。 - あの言葉にアーサーは救われた。確かに、周囲の期待や評価に振り回されるのは愚かなことだ。たとえ失望されても嫌われても、自分の思う正義と愛を貫くことで突破できる壁がある。
- だが、王の立場であるからこそ言える。期待に応えてこそ成り立つ信頼もあるのではないか。
周囲の期待や思いを振り切って、自分だけの思いで行動する。それは時には、信頼を裏切る、独りよがりの愚行になるのではないか? - きっと、メリオダスにはメリオダスなりの考えがあるのだろう。…だが、そうだとしても。
- アーサーは右腕を伸ばした。
「どんな事情があろうと」「あなたを信じる<七つの大罪 >を」
ちょうど傍らに突き立っていた聖剣の柄を、ガッと握りしめる。
「愛する人 を裏切るなんて…許せない!!」 - 「アーサー …とって」
キューザックに鷲掴まれたキャスが呟いた。 - 「絶対に…」
力を込め、立ち上がりながら一気に引き抜く。
「許さない!!!!!」 - 抜き放たれた聖剣エクスカリバーを掲げて、若き王は咆哮した。
- 次回「希望の子」
ガラン爺さんが殺されてしまった! 南無…。
石化してから一ヶ月ちょっと。ずっと意識のあるまま放置されていたというのも衝撃ではありました。いかにも、民話とかに出てくる封印された悪魔っぽいけど。(考えてみたらフラウドリンも、意識のある状態で動けないまま、6年間穴の底に放置されていたのでした。)
しかも、石化はゼルドリスに頼めばすぐ解いてもらえるものだったのね…。
メラスキュラは、どうして報告してあげなかったのだろう。蛇だから脳の容量少なくて忘れてたのか。
ペロニアのアッサリ退場も衝撃でした。
えええ、こないだ登場したばかりだったのに。
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キャス怖い
謎の丸猫・キャスの能力が色々明かされた回でした。
■魔神を食べる
「お腹すいた」「お腹ペコペコ」と言いつつ、魔神を食べてしまう。
マーリンより「暴食」に相応しいですね(笑)。ちょっと『鋼の錬金術師』の暴食を司るホムンクルス「グラトニー」を思い出しました。
キャスは混沌の母(ホークママ?)から、ホークと同時期に生まれた、ある意味ホークの兄弟なんじゃないかと想像しているのですが、考えてみたら、「魔力ある大きな生き物を、生きたまま食べてしまう」「しょっちゅう お腹を空かせている」という特性も、ホークとよく似ているかもしれません。
ホークも、サンドクローラーや
ホークの場合、食べた生物の魔力的な特性をコピーして
キャスは、魔物を食べることで何かの能力を発揮したり、何かに変化したりするのでしょうか。
二年くらい前の感想に、キャスの元ネタの一つではないかと思われる、アーサー王伝説に登場する人喰い猫「キャス・パリーグ」(フランス語では「カパル」)についてメモしたことがあります。
>アーサー王物語群に「キャス・パリーグ」という怪物が登場します。
>ライオンか豹のような巨大な人食い猫で、一説に、メス豚・ヘンウェン(大地に豊穣をもたらすが、その産み落とす様々な獣たちは災厄をもたらす)が産み捨てたとか。
>フランスの伝承では、アーサー王がこの怪物を退治したとされますが、同じくフランスの別の物語では、アーサーはこの猫に沼に突き落とされ、沼の中で死闘したものの殺されてしまったそうです。怪物はイギリスに攻め入ると、その王になってしまったとか。フランスの猫がイギリスの統一王アーサーに成り代わっちゃったんですね。
キャスは魔物を食べ続けて、いつかパワーアップして、アーサーを食べちゃうのか?
…って、そんなことは起きないでしょうけど(笑)。
でも、キャスがどうして あれほどにアーサーに懐いたのか・どうして魔力に目覚めるのを心待ちにしているのかは、まだ不明なので(単純に「好きになった」だけかもですが)、ちよっと不穏さが残ってはいる?
ウェールズ語で、キャス・バリーグの「キャス」は猫、「パリーグ」は鉤爪で引っかく、という意味です。
そのうちキャスが大猫(豹型魔物)に進化して、手足が生えて、鋭い爪で戦ったらカッコイイかも…?
いやいやいや。今のまんまの丸猫でいるのが可愛いし。大猫になったら人食い感 増して怖いし。うん。
■念動力を操る
謎の念動力を発揮して、ガピガピに毛を逆立てて光輝きながら、鎧を操って戦わせたり、アーサーを運んだり。
びっくりしました。なんじゃこりゃああ。
遥か昔の第133話、ドルイドの聖地・修練窟でのアーサー&ゴウセル
で、修行を終えるとアーサーの頭にキャスがくっついていた。
今の今まで全く解ってませんでしたが、修練窟で鎧が襲ってきたのは、キャスの仕業だったんですね…。
(だって、知性があるかも不明な丸猫が鎧を操るなんて、連想できないじゃん…。)
キャスは どこから湧いたのかと不思議でしたが(マーリンも
修行と関係なく現れた謎のマスコットキャラかと思っていたら、修行用のモンスターで、思ってたより好戦的で体育会系脳なヤバい奴だった、のか。
(だって、ゴウセルは首を すっぱり斬り落とされていました。人形なので死ななかったけど。)
なお、当時のキャスの闘級は1万10。闘級3000~4000前後だった当時の<大罪>や聖騎士たちの修行相手に用意されたモンスターとしては、闘級高すぎません?
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「どんな事情があろうと」許せない
アーサーは言いました。
「…いつか私に言いましたよね」「「大事なのは相手に どう思われるか ではなく どう相手を思うかだ」と」
「
かつて「大事なのは相手に どう思われるかではなく どう思うかだ」とアーサーを諭した通り、メリオダスは
「たとえエリザベスを怒らせようとも、『彼女を救いたい』という思いを貫くために魔神王になる」
と決めて行動している。全くブレていない。
しかし、それが
愛されるより愛するべき・人にどう思われようと信念を貫くべき、というのも正論なんですが、周囲の心情や状況を無視して、自身の思いを押し付けることになっては。
まして、周囲の生活や命を損なうレベルの影響が出るようでは、愚行でしかないですよね。
今回、アーサーがメリオダスを「裏切り者」認定して怒りました。
しかし、この漫画はメリオダス&エリザベス至上主義です。
今まで、
キングが「詳細は判らないし訊いても だんまりだけど、きっとメリオダスなりの事情があるんだろう。なのに怒った自分は愚か者だ」と一方的に自分が悪かったと結論して退いたり
バンが「メリオダスの可哀想な事情も知らずに不幸面した自分は罪深い、償うために自分の大切なものも捨ててメリオダスを救う」と煉獄へ行っちゃったり
そういうのと同じように、アーサーも「エリザベスの呪いを解くためでした」と聞かされると
「それならメリオダス殿は悪くない、事情も知らず裏切り者呼ばわりした私は罪深い」
と、むしろ過剰な懺悔を始めるんじゃないか、とゆー気がしてなりません(苦笑)。
怖いですね。
ただ今回、わざわざ「どんな事情があろうと」と言わせているので、退かずにメリオダスの行動を諫めてくれるのかも?
…無理か。
皆さんは、どう思ったでしょうか。
メリオダスには事情があるんだ、エリザベスへの愛のためだし感情を魔神王に取られたせいだ、メリオダスは悪くない、事情も聞かないくせに裏切り者呼ばわりするアーサーこそ悪い、と思いましたか?
アーサーはキャメロットの王です。
今キャメロットは侵略され、多くの民が苦しめられ、既に命を奪われた者も少なくありません。
その侵略者である魔神族の中にメリオダスが入り込んでいて、馴染むどころか ボス面をしている。
裏切りと判断するのも当然だと、私は思います。
メリオダスとエリザベスの可哀想な事情なんて、キャメロットの民には(ブリタニア全体の殆どの人々にも)何の関係もないからです。
どう思われるかは関係ない、相手をどう思うかだ。
そうメリオダスは言い、自分の考えるエリザベスの幸せのために行動しています。
キャメロットの王であり、多くの民の希望を背負っているアーサーは、どう行動すべきでしょうか。
民にどう思われようと関係ない、か?