【感想】『七つの大罪』第253話 失われし恩寵
週刊少年マガジン 2018年 10号[2018年2月7日発売] [雑誌]
第253話 失われし恩寵
- 夜が明けた。
小鳥の鳴き交わすなか、朝日に照らされる山々と城下の町並みを、エリザベスは自室の窓から眺めている。
「待ってて… メリオダス」
切なげに呟いた彼女は、昨日までと同じ<豚の帽子>亭の新ウェイトレス服を着ていた。メリオダスがエリザベスのためにデザインした服だ。
[エリザベスの呪い発動まで残り二日――]
この景色を見られるのも、これが最後になるのかもしれない。 - 小鳥の群れは飛びゆき、城壁内の小高い空き地に建つビールジョッキ型の酒場の上を
過 ぎっていった。広い屋上には巨大な戦鎚が載せてある。 - その一室、『不死者と聖女の部屋』。
ベッドに横たわったエレインは、熱に苦しんで ハアハアと浅い息を吐いていた。
汗ばんだ額に優しく右手が触れる。ベッドサイドの椅子に腰かけたキングだ。夜通し妹を看ていたのだろうか。
◆バン&エレの『ペア罪』のエレインの生活サイクル表を見るに、なんと、ほぼ眠っていません。もしかしたら(神樹の加護を多く受けた)妖精族は あまり眠る必要がないのかも。(キングの昼寝好きは あくまで趣味?)
なので昨日あれだけハードな一日を過ごして、ディアンヌは疲れて眠ってしまっても、キングは夜通し起きていられたのかも? - 「バン…」と眠ったまま呟いて涙を浮かべた妹を
労 わるように撫でていると、左肩に トン と暖かな体が寄りかかった。隣の椅子に座るディアンヌだ。膝に掛けた毛布を半ば床に落として、すっかり寝入ってしまっている。
「エリ…ザ…ベス…」
こちらも大切な人を寝言で呼んで、涙を浮かべて「ぐす…」と鼻を啜った。 - 右手で妹の頭を撫でながら、キングは左腕を広げて、寄りかかるディアンヌの頭を柔らかく撫でる。
- 「団長… バン…」「二人共 早く帰ってこいよ…!!」
ここにいない男たちに、キングは呼びかけた。
大切なものは自分が絶対に護る。けれど、皆が本当に救われるには、それだけでは足りないのだ。 - 「やはり師は天才だな…」「直すついでに改良でも施してやろうと思ったが その余地すら許さぬ程 良く造られている…」
ひび割れた小さな素体人形 の身体 を丸テーブルに置いて、マーリンは音楽家のように指揮棒を振るっている。棒の纏う魔力の光が、魔術書、指輪やペンダントなどの いわくありげな貴金属品、水晶原石に宿り、宙に浮いて ふわふわと躍った。テーブルに置かれた幾つかの小薬壺からはミルクのように濃い煙が噴き出て、床を覆い隠すほど垂れこめている。
◆この部屋は、<豚の帽子>亭内のマーリンの私室なんでしょうか? それにしては いやに広いように感じます。リオネス市街のマーリンの研究所や、魔法で<豚の帽子>亭内に作った「秘密の部屋」だったりする可能性もあるのかな? - 「ねぇ マーリン 一つ… お願いがあるんだけど」
部屋の片隅、小さな丸テーブルの上から声がした。 - 「なんだ ゴウセル 性能を更に上げろなどと無茶を言ってくれるなよ? 今の話を聞いていたのならな」
宙に広げた巻物…人形 の取扱説明書らしい…から目を外さぬまま、マーリンは応える。 - 小テーブルに置かれた円座には人形ゴウセルの生首が載っていた。小さく戻された身体とは違って、人間サイズが保たれている。傍らには紐の付いた魔法の心臓が添えられていた。
「「あのチビの呑み込みの早さには 正直 舌を巻く …成長が末恐ろしいよ」」「ゴウセルは そう マーリンを褒めていたよ?」
首だけであっても普段と変わらぬ様子で微笑む。 - 「仕方がない…」「言うだけ言ってみろ」「ただし保証はせんぞ」
機嫌を上向かせて肩越しに目線をよこしたマーリンに、美しい首は語った。長い話だった。 - 「正気か…? それが お前の望みだと?」
マーリンは顔を向けて人形の首を凝視する。
「…いつぞや お前が酒席で言いかけた――<十戒>ゴウセルが聖戦を終わらせた――という話と関係があるのか?」 - 首は微笑んだ。仄かに哀しそうに。
- 鳥たちは飛んでいく。朝日に照らされた城下町の上空を。
- 「しっかしよー みんな いいのかねーー 本気でメリオダスと やり合うつもりかよ?」
とんとことんっと蹄を鳴らして歩く豚と、コツコツと革靴の踵を鳴らして歩く男。
「やむを得ないでしょう 向こうが本気で来るならば こちらも本気で迎え討つのみ…」
◆「向こうが本気で来るなら」とエスカノールは言うけれど、メリオダスは戦争は どーでもいいんでしょうけども。エリザベスの呪いが解ければいいだけ。
気が向けばその後 停戦を手がけてくれるかもしれませんが、どんな方法か…。 - 「メリオダスもエリザベスちゃんも互いを思っての成り行きってやつじゃねーか… もっと こう穏便に話し合いとかでさ どうにかならん?」
プゴッと鼻を鳴らすホークは「BOAR HAT」と店の名が書かれた袋を ずしりと頭に載せて、腹に巻いたベルトで留めていた。
◆「互いを思っての成り行き」。メリオダスとエリザベスは3000年前からこればっかりで、周囲を振り回しています。沢山の命が失われ、新たな憎しみが生まれるレベルで。
でも二人は(いや、作者さんはと言うべき?)、今まで描かれてきた範囲で見る限り、それが二人の罪とは思っていないっぽい。悪いのは戦争や・二人の仲を認めないキャラたちや・魔神王・最高神で、二人は悪くない、愛し合うことの何がいけないの、という空気で物語は語られています。実際、二人は極悪人ではないんですけどね…。
そろそろ物語の終わりも見えてきたようですが、最後までこの視点だけなのでしょうか。ハッピーエンドになる前に、一回くらい「個人的な愛に周囲を過剰なレベルで巻きこみ・傷つけてきたこと」を自覚して、なんらか思うエピソードも見てみたいですね。 - 「羨ましい限りです」
傍らを歩くエスカノールは「ハア…」と冴えない溜息を落とす。
日が昇ったため彼の身体は膨張しつつあり、お馴染みの酒場の制服のシャツやズボンはパンパンになっていた。 - 「はい~~? 何がだよ!」
豚が聞き返すと、エスカノールは足を止めて、いやにニコニコ微笑みながら問いかけた。
「時にホーク… マーリンさんは私のことを どう思ってると思います?」
「どうって…… マーリンが? お前を?」 - 見上げて、間髪入れずにホークは答えた。
「昼ムキムキ 夜ガリガリのチョビヒゲ」 - 「そのまんまでしょう!!」
くわっと目を見開いて突っ込むエスカノール。 - 「たしかに 私は ほとんどの女性にとって魅力的かもしれません …しかし 心から愛する女性に好かれなければ なんの意味もない…!!」
芝居がかって大きく両手を広げた男に、プンプン怒ってホークが突っ込み返した。
「どっから その自信が来るんだよ!! だったら直接本人 に聞きゃあいいだろーが!!」
「無理です」
「なんでだよ!!」 - 気が大きくなりつつはあるが、未だ朝の時間帯では告白する勇気は持てないらしい。
「私の代わりに聞いてくれてもいいですよ?」
引きつった微笑みに冷や汗を浮かべたエスカノールに、ムニ゛ィッと両頬を挟まれ持ち上げられたホークも冷や汗を流すばかりだ。
「頼み事まで上から目線」 - その時、オオオオッと野太い歓声が響いた。続いてパチパチと拍手、ピューと口笛も聞こえる。リオネス城内からだ。
- 「朝から騒がしいですね…」
「プガ」
眉根を寄せたエスカノールの手に挟まれて、ホークはちょっとばかり へしゃげている。 - リオネス城内。
早朝にもかかわらず、呑んだくれた騎士たちが機嫌よく気炎を上げていた。
「<四大天使>様が おられる限り 我らは負けん!!!」
肩を組み酒杯を掲げてオオオオと叫ぶ者。
「聖戦 の勝利を…わしらの手に…ムニャ」
酒瓶を抱えてテーブルに突っ伏している者。 - それは<四大天使>たちも例外ではなく。
「まったく いつの時代も人間は この毒を呑んで騒ぎたがるものだな」
ぶつぶつ言いながら呑み続けているリュドシエル。器たるマーガレットは顔どころか肩まで真っ赤で、それでも上品さを崩していないのは彼の矜持ゆえか。
「仕方ないれしょ こんな美味しい毒は女神族 には作れにゃいもの」
ヒックとしゃくりあげつつ、だらしない半笑いで手のひらを振るタルミエル。
「二人共~~♫ 毒じゃなくて酒らよ~~♫」
ベロベロに酔ったサリエルは狂ったようにリュートを掻き鳴らしてヘッドバンギングしている。 - 次の瞬間、タルミエルとサリエルはドシャッとテーブルに撃沈した。酔いが限界突破したらしい。
- 「情けない…奴らめ」
残ったリュドシエルもフラフラと頭を揺らしていたが、潰れる前に自らに治癒術をかけた。
「ヒック……… “健やかなれ”」
ス…と肌の赤味が抜け、表情が冴える。
「フウ」
◆メラスキュラの溶解液を喰らったバンを救ったエリザベスの解毒術「健やかなれ」は、彼女の固有技ではなく、女神族の一般術だったんですね。 - 酔いを醒ました、その途端だった。リュドシエルがその魔力を感知したのは。
「!!」「この気配は…!!」
ピクッと震えて目を見開く。 - 城下町に未だ人影は全くなかった。早朝だからか、昨日の魔神族襲撃や深夜のお祭り騒ぎの影響か。
- 「さーーて ゴウセルの修理に必要な材料の買い出しも済んだし 店に戻るかね」
エスカノールの手から降ろされたホークが歩き出す。
◆こんな早朝に材料を売ってる店が開いてたの? つーか、ゴウセルの修理に必要な材料って、その辺の店で普通に買えるものなんですね。 - 「…さっきの件 くれぐれも よろしくお願いしますよ?」
人さし指を立ててホークに注文を付けていたエスカノールの顔が、ピク…と僅かに動いた。 - 「ついててやるから 自分で告れよな」
意外に面倒見よく応えたホークに、エスカノールがやんわりと制止をかける。
「おっと その前に お客のようです」 - 「へ?」
足を止めて見上げたホークが見たのは、上空、建物の すぐ上あたりに浮かんだ美しき天使の姿。 - 「そこの貴様 …何者だ?」
マーガレットの器に宿るリュドシエルが尋ねた。
直後、足から垂直に舞い降りてくる。エスカノールの正面に1mほど浮いた状態で止まった。 - 「プゴッ?」と驚くホーク。
- 「これはこれは マーガレット王女」「――の体を奪った<四大天使>殿」
エスカノールは眉一つ動かさず、チクリと言葉で刺した。慇懃無礼に、名を呼んでやることもしない。
「私とは昨晩 お会いしたはずですが」 - 「何…」
一瞬怯んだリュドシエルを じーー… と無遠慮に見上げてから、エスカノールはドンッと地を踏んで跳躍、背後の建物の屋根の上に降り立った。
「失礼」「…どうも自分より小さな人間に見下 されるのは気分が悪いもので」 - 「昨晩 会っただと…?」
傲慢な物言いには頓着せずに、リュドシエルは肩越しに屋根の上の男を見上げて思考を巡らせている。そして思い出した。エリザベスの背後に豚と共にいた、いちいち怯える貧弱な男の姿を。
「まさか」 - 昨夜の貧弱男の面影を残しつつ、別人のような体躯と態度で男は名乗った。
「改めまして… <七つの大罪><傲慢の罪 >――」「エスカノールです…!!」 - リュドシエルは尋ねる。
「昨晩は微塵にも感知できなかった どうやって魔力を隠していた?」 - 「隠していたわけではありませんよ 日が沈んでいる間は発現しないだけのこと」
エスカノールは、朝日輝く天空を見上げて指さした。 - 「………やはり」
リュドシエルは呟く。
「…だが 日の出と共に力は発現し 正午に近づくにつれ 力は より増していく」 - 「ほほう! 女神族にも知れ渡るほど この呪われた力は有名なのですね」
- 「呪われた力? …ふざけるな」
リュドシエルの声が低く震えた。腰の刺突剣 に手を掛けるや
「貴様!! その力 誰から奪った!!?」
一気に抜いて飛び掛かったのである。 - 目にも止まらぬ刺突を、エスカノールは目を丸くしながら全て素手で弾いてのけた。更に高い屋根にバックステップして距離を取る。
「なんの真似ですか?」「仮にも人間と女神族は味方関係… 突然 斬りつけられる いわれはありません」 - 「質問に答えろ エスカノール」
リュドシエルは更に飛び掛かった。 - 「質問の意味が わかりません」
エスカノールは再び刺突を避け弾く。 - 「やい<四大豚野郎>!!! いきなり卑怯だぞ!!」
地上では、ホークが屋根の上の戦いを見上げて鼻息荒く怒っていた。 - 「やれやれ いくら王女の器とはいえ おいたが過ぎると」
刺突を躱しながら飄々とぼやいた一瞬の後、エスカノールはリュドシエルの背後に移動している。かなり巨大になってきた身体で背後から抱き込もうとしたが、残像を残して天使は遠い空に移動していた。 - 「へ?」
ポカンとするホーク。 - 「速い…」
エスカノールが初めて眉根を寄せた。 - 「フフ… 私の動きを見切ったつもりかな…?」
空中に浮かぶリュドシエルは笑って剣で指し示す。 - 「!!!」
エスカノールの上衣が、シャツもベストも、全て細切れになって千切れ飛んだ。肌を傷つけないギリギリで斬られていたのだ。 - 「この力こそ<四大天使>が最高神様より賜りし… 恩寵」「<十戒>が魔神王に与えられた 戒禁のようなもの―――と言えばわかるか」
リュドシエルは語る。
「私の恩寵は「閃光」」「サリエルは「竜巻」」「タルミエルは「大海」」「そして四つ目が」「太陽」
「我が亡き弟<四大天使>マエルが賜りし恩寵!!」「日の出と共に力を増し 正午を迎えると この私でも歯が立たぬ強さを誇った」
「だが弟は三千年前 <十戒>に討たれ…」「恩寵も また失われた…」 - 「え? え?」
思いがけない話にオロオロしているホーク。 - 「…その恩寵が」「私の この力だと?」
エスカノールが静かに問うた。 - 「恩寵の力は神の力 人の子が手にすれば 必ずや その身を蝕み 破滅へと導くだろう…」
リュドシエルは答える。
「それは お前が一番 よく理解しているはず」 - そう。己が
未来 のない人間だとは、常々 理解していた。だからこそ、この力を「呪い」と称してきたのだから。浮世に馴染み辛いというだけではない。大き過ぎる力によるダメージは肉体に蓄積され、健康が損われつつある。 - 「身の程を知るがよい 人間」「死にたくなくば その恩寵 今すぐ手放すのだ…!!」
表情を険しくすると、リュドシエルは改めて刺突剣 をエスカノールに突き向けた。 - 「そんな話に興味はなし!!」
対して、エスカノールは人差し指をリュドシエルに突き向けた。指先に太陽の灼熱を宿して。
「「太陽 」は 生まれながらに宿った 私の力です!!!!」 - そして、続けられた言葉にリュドシエルがハッとしたとき、
「千歩譲って これが あなたの言う恩寵だとしても」「恩寵自らが選んだということでしょう…」
突き向けていた刺突剣 の刀身は、灼熱によって一瞬で溶解・蒸発したのである。
「!!!」
「私こそ 最も強く偉大な者だと!!!!」 - まだまだ続くエスカノールの主張を、ホークは汗タラして聞いていた。
「感謝するのですね 私が味方である限り――――」「勝利は約束されているのですから」
小声で「キング オブ 傲慢!!」と呟く。 - 「…っ」
傲慢な口上を聞かされたリュドシエルの口元が、一瞬、悔しげに歪んだが。
「はははは!! 気に入ったぞ」
それは乾いた笑いに一転された。
「…ならば せいぜい役に立ってもらうぞ!!」 - 「はっはっはっ! おこがましい」
エスカノールも乾いた笑みを返す。
「そちらも せいぜい足を引っ張らぬよう!!」 - 剣呑な空気を隠せぬまま、乾いた笑いが響き合った。
- 次回「絶望のキャメロット」
酔っぱらってる<四大天使>が可愛かったです。
メラスキュラ&ガランも人間の酒は美味しいと絶賛してましたが、魔神族や女神族は精緻な装飾品や魔法具は作るのに、何故か酒は自分たちで殆ど作らない・開発しないんですね。で、「文化の素晴らしさこそ人間の取り柄だ」と語られる。
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恩寵と「
第205話の感想に、サリエルは風の力を使う、タルミエルは真っ二つにされても断面から血が出ず直ぐ くっつくので水属性らしく見える、ならば残り二人が火か土の属性で、<四大天使>は四大元素の力を持つのだろうか、と書いたことがありました。
正解は「竜巻(風)・大海(水)・閃光・太陽」でした~。
サリエルの「竜巻」は まんまですが、タルミエルは「大海」…。斬られても水のように くっつくどころではなく、まだまだ大きな力を隠していそうですね。(サリエルも、もっと規模の大きな、アメリカのハリケーンレベルの竜巻を起こせるのかもしれない?)
リュドシエルの「閃光」は、光のように素早く動ける、という力なのかな? 3000年前の戦いぶりを見る限り、光線技も得意そうでしたが。
真っ二つにされても腕が飛んでもくっつく上位魔神なのに、デリエリの左腕は3000年前にサリエルの竜巻で砕いて以降、未だに再生していません。これも恩寵の力なのでしょうか。
未登場の<四大天使>マエルが3000年前に殺されていて、リュドシエルの弟で、しかもエスカノールと同じ力を有していたとは驚きでした。
エスカノールはエスタロッサを圧倒したのに、マエルはエスタロッサ(?)に殺されたらしいのは、ちょっと不思議ではあります。
だって、エスタロッサは太陽と共に上昇するエスカノールの力を知らず、本気で呑まれて、ちょっと怯えてすらいましたよね。
エスタロッサの記憶が欠けているのか、マエルを倒したエスタロッサらしき人物は実は彼ではないのか。何か秘密があるんでしょうか。
また、エスカノールの力がマエルと同じものなら、3000年前から生きているメリオダス、マーリン、そして記憶の戻ったエリザベスは、当然それに気付いていたはずです。(人間の肉体には過ぎた力で、いずれ身を蝕まれるだろうことも。)今まで何も言ったことがありませんが、どう思っていたんでしょう。
「その魔力は あらゆる種族のものと 異質」「全ての生命の根源たる」「「
太陽 」」
と言っていましたけど、最高神の力の欠片なのに「あらゆる種族のものと 異質」なのか。(これは独り言で、近くには人形ゴウセルしかおらず、嘘を吐く必要はない場面でした。)最高神の力と女神族の力は違うものなんでしょうか?
マエルの死は、<四大天使>たちに大いなる哀しみと復讐心を植え付けたらしい。
過去修業編で描かれた3000年前のエピソードで、リュドシエルが「マエルを呼べ」とネロバスタに命じていましたから、その頃はまだ生きていたはずです。
あの後、聖戦終了間際に殺された?
それ故に、一度はインデュラ浄化に協力したサリエルとタルミエルが、再び「魔神族 憎し!」状態に戻ったのでしょうか。
リュドシエルもマエルの死には並みならぬ怒りを抱いている様子です。
しかしリュドシエルは
「聖戦の勝利のために家族も友も捨て去った」
とネロバスタに言われていたんですよね。
「捨て去った」というのは、戦いにかまけて家や故郷に帰らなくなった程度のこと? それとも、自身の決意を強めるため妻子(愛)をあえて捨てたとか(苦笑)。無いとは思うけど作戦上の囮にしたり魔神族への人質に出したとか?(そして失敗して殺されたんだったりして)
それでも、共に戦場で戦う同士でもあったマエルとは、ずっと仲がよかったんでしょうか。彼がリュドシエルの傍に最後に残っていた家族だったのなら、殺されて悔しかったでしょうね。
マエルは「太陽」の恩寵を授かった、いわば太陽の天使だったんですね。
↑このイメージイラストを見ていたら、なんとなく、アニメ『創聖のアクエリオン』の太陽の翼・
『アクエリオン』というアニメは、
1万2千年前に人類と「
ちょっとメリオダスとエリザベスの設定に似ているかもしれませんね。
アポロニアスは自種族を裏切って人類陣営に付き、結果として、堕天翅族は敗北して国ごと封印されてしまう。そして1万2千年後、堕天翅族を封じていた南極の氷が溶けたことで彼らが復活し、再び戦争が起こるところから物語がスタートします。
…で、セリアンの生まれ変わりである少女・シルヴィアと、アポロニスの生まれ変わりである少年・アポロが出会い、二人は断片的な前世の記憶に翻弄されながら反発し合い惹かれ合って、最終的に深く愛し合うようになったのに、アポロは地球を救うため己の身を犠牲にして地の底に消えてしまう。遺していくシルヴィアに1万2千年後の再会の約束を遺して…。
……というロマンチックな転生悲恋ストーリー、だと見せかけておいて。
実はアポロはアポロニアスの転生者ではなく、前世ではアポロニアスとセリアンの脇にいた第三者で、周囲も本人も勘違いしていたのだと、数年後に制作された続編で明かされちゃって(アポロニアスの転生者は全てを解っていて、アポロとシルヴィアが仲を深めていくのを上司・師匠ポジで見守っていたのだ)、なんじゃそりゃ―感動を返せー―(怒)! と心で暴れたのも懐かしいです(苦笑)。
アポロニアスは仲間を裏切って人類側に付いた後、次第に人類と堕天翅族の融和を考えるようになったそうですが、心に秘めた それを実行する前に殺されてしまいます。
人類側の戦士でセリアンやアポロニアスとチームを組んで戦っていた若者が、超英雄であるアポロニアスに憧れるあまり、彼に比べて力のない自分へのコンプクレックスに病んで、彼を裏切ったのです。
愛に眩んで自種族を裏切った英雄の末路は、愛で病んだ人類に裏切られての死だったのでした。
セリアンはアポロニアスとの間に子も産んで、彼の死後に立派に育てたけれど、敵将を愛したことへの罪悪感や後悔に苦しめられ続け、死後はアポロニアスを愛する魂と憎む魂に別れて、それぞれ別の人間に生まれ変わったという設定でした。
エリザベスには、そういう葛藤は一切ないですね。敵将を愛したことも・彼に仲間を裏切らせて戦わせたことも・周囲を振り回し傷つけたことにも、迷いや罪悪感が描かれたことがなく、己の正義は正しく 己の愛は至上だという一本道しかない。
まあ、そういう漫画なだけだけど。
それが私には、時おり物足りなく感じられることがあります。(;^ω^)
さておき。
エスカノールの「
説A
エスカノールはマエルの生まれ変わり
魂に恩寵が溶け込んでいる。故にメラスキュラがエスカノールの魂を食べたら発火した。と考えてみる。
…しかし、恩寵が戒禁と似たものならば、死ねば遺体に留まるはず。魂に溶け込んで一緒に転生したりするでしょうか?
説B
マエルの遺体から恩寵を剥がして秘匿していた何者かが、幼いエスカノールに与えた
この場合、犯人候補の筆頭は、エスカノールの幼少時代の侍女?、ローザです。
彼女が、実は女神族憑きの人間(女神の使徒)だったというのも有り得そうではあるけど…。
彼女に関しては、親指の思わせぶりな傷跡も気になります。
説C
最高神が、計り知れない思惑によって直接 恩寵を与えた
最高神なら、実体を失っていても そのくらいできるかもしれない?
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ゴウセルのこと
ゴウセルが機能停止したエピソードの際、壊れることを今までになく恐れていたので、きっと修理不能なくらい壊れるのだろうな・「死」も同然なんだろうなと思っていたら、超アッサリ(作中時間で翌日には)直せてて、拍子抜けでした。(^^;)
しかも、特殊な修理材料を探しに行ったりするのかしらと思っていたら、リオネス王都で簡単に入手できるものなのね。
ゴウセルの修理シーン。
身体だけ人形の素体状態に戻されて修理を受けつつ、首は呑気に修理者と会話している。
これ、『Dr.スランプ』のロボット・則巻アラレの製造・修理シーンのオマージュ?
あはは。やっぱりゴウセルの元ネタの一つは「アラレちゃん」ですかね。
ゴウセルがマーリンにした頼み事は、何なんでしょうか。
3000年前に聖戦を止めたという術士ゴウセルと同じことをしようとしている?
そして、それはマーリンに頼めば用意できることで、聞いただけでマーリンが「正気か?」と問い返すことらしい。うーん?
自爆装置の内蔵…で聖戦が終わるわけないし。
記憶と心をリセットしてほしい…そんなことしても意味ないし。
改良はできないと言ってたから、性能アップ方向ではない。
…普段は閉じているヤバい回路を解放してほしいとか?(笑)
あるいは、それが(術士ゴウセルが所持していた)「無欲」の戒禁を必要とすることなら、今はゼルドリスが持っているそれを、逆に奪うことになるのかなあ。
そういえば、無欲の戒禁をゼルドリスが持っていたということは、術士ゴウセルはゼルドリスに倒されたか、目の前で死んだ・遺体を発見したかなんですね。
彼は術士ゴウセルが何をしたか知っているのでしょうか。
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女神族の洗脳のこと
先日発売された単行本30巻の描きおろし番外編『祭壇の王』にて、上位女神族の行う洗脳とは「
メリオダス曰く、
「あれは上位女神族の“
祝福の息吹 ”か…」
「魔神族 はこう呼んでる “ペテンの光 ”ってな…
かけた対象の高揚感を極限まで引き出し 恐怖心を失わせ洗脳… 従順な傀儡を作り出す」
…えーと。
つまり、<蒼天の六連星>は洗脳されてるけど、ヘンドリクセンは素のまま(笑)。
そして、3000年前に女神エリザベスが魔神の軍勢を追い返したアレは、作者さん的には洗脳ではない、と。
ものの数分 見合っただけで軍勢を撤退させるのは、明らかに尋常ではなく、なんらか精神干渉を行っているのは確かに思えるのですが。
作者さん的には「エリザベスの清らかさが魔神たちの心を打った」とかなのかいな???
謎が増えました(笑)。
「
これ「魔神の血」の効果と殆ど同じ…。
魔神の血を与えられた人間は、好戦的・自信過剰となり(即ち、高揚状態となって)、ギーラ曰く人を傷つけることが怖くなくなってしまったと。まさに「恐怖心を失」っています。
つくづく、魔神族と女神族は似た者同士ですね。
魔神の血と比べて、その場で破裂したり異形化したりしないだけ、女神族の方がマシ?
また、メリオダスの台詞に女神族への嫌悪と揶揄が明らかに滲んでいて、裏切ってもメリオダスは魔神族で、その立場と価値観で物事を見ているのだな、と改めて思いました。
ところで、この番外編にジェラメットという女神族の女性が新たに登場しました。女神エリザベスの親友だったけれど、エリザベスがメリオダスと恋に落ちたことで仲違いしたようです。
ジェラメットは自分含む女神族が実体を失い3000年も行動不能になっていた原因はエリザベスとメリオダスにあると思っていて、
「エリザベス!! だからアンタは永劫の輪廻の呪いにかけられたのよ!!」
「でも そんなんじゃ腹の虫が納まらない いずれ見つけ出して お仕置きしなきゃ!! どうせ死んだって また転生するんだし」
と独り言を言っていました。
この「どうせ死んだって~」のフレーズは、私自身、感想で何度か書いてきたものだったので、それが悪役の台詞として出てきたことに「うぐっ」という気分にさせられました(苦笑)。
まあ私が言ってたのは「エリザベスは死なないから何度死んだっていい」という意味ではなく、「一度死ねば二度と生き返らない人々が沢山死んでいる・死にそうになっている非常時に、エリザベスの命の価値ばかり至上視するのは不満がある」ということなんですけども。
ともあれ、愛するエリザベスの命を軽んじられたメリオダスは当然ムッとして、
「まったく たいした親友だな」
「お前は… エリザベスのダチじゃなかったのか ジェラメット?」
と皮肉を言いました。
メリオダスが怒るのは当たり前ですが、同時に、「あなたが それを言うかな」とも思いました(笑)。
だって、メリオダスは親友のバンを、ちょっと気に食わなければ腹を打ち抜いたり・壁にめり込むほど殴ったりと、日常生活でも気軽に殺しているからです。
バン自身が気にしてないし、じゃれ合いと化しているし、「すぐ生き返るから」殺しても問題ない? そうですね。(私もギャグだと思って大して気にしてません)
バンは死んでも赤ん坊になったり記憶や感情を失ったりといったリスクを負わないのだから、いくらでも殺して構わない?
しかし、その理屈が通るのなら、ジェラメットが「お仕置き」でエリザベスが死んだとしても生き返るからいい、と言ったことをメリオダスが咎めることは、自分を棚に上げた発言だと言えるでしょう。
エリザベスはバンに比べれば死ぬことで負うリスクは重いですが、死んだら二度と生き返らない一般人に比べれば、リスクはずっと軽いのですから。
たとえ生き返るとしても、命の価値は誰のものも重いというのなら、バンはいいけどエリザベスはダメ、という理屈は、ちょっと都合がいいのでは、という感じがします。
いやまあ、メリオダスのバン殺害には愛があるから許されるが、ジェラメットのエリザベス殺害には きっと愛がないのだろうから許されない、ってコトなんでしょうけどね。(^^;)
余談ながら、30巻はパラっと見ただけでも判るくらい絵の修正が入っていて、色々感じるところがありました。
- マーガレット一行の野営の場面にトーンやベタが入り、時間帯が「夜」に修正
(ドルイドの祭壇に行くと突然 夜になるのではなく、最初から夜だったことに。しかし同時進行で描かれるリオネス王都での魔神と聖騎士たちの戦いの場面は昼のままなので、時間のズレがある感じになっている。) - ヘンドリクセンを許すマーガレットの微笑みを微修正
(心から許している、と強調?) - リュドシエルの宿っていたドルイドの祭壇を、山ではなく「岩」に見えるように左右の輪郭強調。
(…っていうかこの祭壇、巨大な人型の岩とか土偶みたいなモノ?) - 「
呪いの婚約 」の痣がビビアンの首や指先まで広がっているように変更
(もう末期ですね…。誘拐してからの数日で、ギルに向けて そんなに魔法使ったのか、ビビアン。)
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朝焼けを見ながら「待ってて… メリオダス」と呟くエリザベス。
ちゃんと眠れたんでしょうか。
エリザベスは具体的にどうやってメリオダスを救うつもりなのでしょう。
説得と泣き落としは、既に失敗しています。
大嫌いなリュドシエルと盟約を結んだくらいですから、高い「戦力」が必要だと考えているということ。
キャメロットに攻め入って魔神族を皆殺しにしてメリオダスを叩きのめして、さあ懲りたでしょ帰りましょう、と連れ戻す?
戒禁を集めているゼルドリスやエスタロッサを叩きのめして、戒禁は回収できないわ、さあ諦めて帰りましょう、と連れ戻す?
とは言え、この漫画はメリオダス至上主義ですから、彼を本当の意味で負けさせる(プライドを折る)ことはないのだろうと思う。(一時的に敗北、とかはあるとしても。)
エリザベス率いる仲間がメリオダスを叩きのめすようなことは起こらず、横槍が入って有耶無耶になるか、メリオダスが自分の意思で戻ってくる方向になりそう。
例によっての「全ては作戦だった!」をやるのは、流石に勘弁ですけども(笑)。
少し気が早い話ですけど、この漫画のラスボスは誰になるんでしょうね。
少年漫画ですから、最後は強大な敵を倒してカタルシスを感じさせてほしい。
でも、一番強そうな魔神王と最高神は、主人公とヒロインの親なので、親殺しになってしまう。
しかも、今まで描かれたエピソードを見る限り、主人公とヒロインにも悪いところがあると感じてしまうので、これで親を殺してハッピーエンドなんてことになったら、なんだか寝覚めが悪い…。
作者さんの過去作の『僕と君の間に』はヒロインの一族が悪役で滅亡するエンドでしたが、一族の始祖の意思みたいなのが出て来て、いいんやで~この一族は悪いから滅ぼしてもいいんやで~的に正当化してくれた気がします、確か。
なので『七つの大罪』でも、魔神王と最高神より上位の存在とか、あるいは魔神王と最高神自身が「いいんやで~親を殺してもいいんやで~」と言ってくれるのかもしれない。
リュドシエルやエスタロッサがラスボスになるのだとしたら、ゲームの最終ステージみたいな怪物化待ったなし?
何は置いても、キャメロットの空にドラゴンが舞う情景は見たいような気もします。アーサー王伝説の前日譚だもの。