【感想】『七つの大罪』第250話 構図
週刊少年マガジン 2018年 7号[2018年1月17日発売] [雑誌]
第250話 構図
- 攪拌された雲海が、遠雷のように低く唸りをあげている。
中心に目を抱いて渦巻く雲の絨毯を見上げて、ホークママの鼻先のキングたちは困惑していた。
「この巨大な魔力の爆発はなんだ…!?」「まさか…マーリン? それとも…」
怪花からの音声だけでは判らない。その音声も、先程から途絶えてしまっている。 - 「全員 今すぐ
店 に入れ!!」
<豚の帽子>亭の戸口に、空間転移で幼子が現れた。 - 「マーリンさん!!?」「よくぞ御無事で」
笑顔で涙ぐむエスカノール。 - キングは
急 いて問いかけた。
「ゼルドリスとの会話の途中 一体何が起こったんだい!?」 - 「はるか遠方の天空より
魔神 の気配を察知した<四大天使>が一撃を見舞ってきたのだ…」
澄まし顔で返すマーリン。 - 「よ…」
絶句して、キングは傍らの恋人に顔を向けた。同じ動きで目を合わせたディアンヌが後を続ける。
「<四大天使>!? それって…」「マーリンは それに先に気付いて わざとゼルドリスを苛つかせていたの?」 - 「ああ 奴は私に集中するあまりに反応が遅れ直撃を喰らった」
ニヤリとして、マーリンは告げた。
「行動を起こすなら 今しかあるまい」 - 「行動って …え?」
キングたちが戸惑った時には、もう、マーリンの魔法でホークママごと フワ… と宙に浮いており、空間転移で荒野から消え失せていたのである。 - 一方、女神族の天空宮。
- 「フム… やはり この器は上物だ」「完全に掌握するまで もうしばらく 時は必要だろうが…」
己の…正確には己の器としたマーガレットの手を見つめて、動作を試すように指先を動かしながら、リュドシエルが満足げに微笑んでいる。 - 「マーガ…レット?」
その後ろで、ギルサンダーは困惑と恐れに冷や汗を流していた。 - 「すごいよ… 見ただろう あの力を!!」「まさに神の光」「あの御方がいれば人々はもう 魔神の脅威に怯えずに暮らせるんだ!!」
ヘンドリクセンは少年のように頬を紅潮させている。 - 対して、意識のないビビアンを抱えたドレファスは、恐れと憤りを半ばさせた顔で女神を睨み、言った。
「ヘンドリクセン …冷静になれ!」 - 「どうしたんだ… 怖い顔して…?」
「これ以上 あの二人を犠牲にするつもりか?」
「…!」
ヘンドリクセンは小さく息を呑む。 - 視線の先では、リュドシエルにギルサンダーが食ってかかっていた。
「なぜマーガットが選ばれなくてはならないんだ!?」
「健気ではないか… この娘は恋人 を救うため自らを差し出したのだ」
リュドシエルは鷹揚に微笑む。
「た… 頼む!! 彼女を元に戻してくれ!!」「マーガレット 聞こえているんだろう!?」「応えてくれ… どうして…!!」 - 悲痛なギルサンダーの叫びに、ヘンドリクセンの目に迷いが揺れた。
- …いや。迷おうとも、契約の部外者たるヘンドリクセンには、どうすることもできないのだが。
そもそも、契約を結んだのはマーガレットの意思だ。フラウドリンとドレファスとのように脅されて無理やりではない。
天空宮に囚われていたギルサンダーの発見と解放は、地上を駆け回るしかできぬドレファスらには到底 不可能なことだっただろう。リュドシエルは誠実に契約を果たしている。
確かに、彼らの恋が妨げられたのは可哀想だ。けれど、魔神族の侵攻を止められなければリオネスは滅ぶ。待つのは国民諸共の近い死で、当たり前の楽しい恋人の暮らしも あり得ないのである。
優先すべきことは何か。
大勢が魔神に虫けらのように殺されている、この暗黒の時代に、女神族が王女に宿ったのは忌むべきことなのだろうか? - その時、攪拌され渦巻く雲海の中心が球状に膨れ上がり、ドパンと弾け消えていた。中から強大な力が放射されたように。
- 現れたのは魔神ゼルドリス。口元に血が滲んでいたが、それ以外に目立ったダメージはない。
「邪悪の<四大天使>が」「貴様らも復活を果たしていたか!!!」
憎々しげに吠え猛ると、右手に剣を掲げた。
“怒りの日 ” - ゼルドリスからは彼方離れた天空宮。その直上に極大の闇が現れて渦巻き開く。
- 唖然と見上げたリュドシエルは、そのまま動かない。
- 傍らの人間たちは、各々、四翼の女神を庇う動きで叫んでいた。
「マーガレット危ない!!」とギルサンダー。
「マーガレット様ーーーー!!」とドレファス。
ヘンドリクセンの叫びが最後に響く。
「リュドシエル様ーーーー!!」 - ドズッ
極太の闇の雷 が降り注ぎ、天空宮を粉々に打ち砕いた。 - ゴロゴロゴロ…と、遠雷が響いている。
「…まったく どこのどいつじゃ? 雲の上でドンパチ騒いどる奴は…」「うい~~っ」「ヒック」
ぼやいたチャンドラーは、キャメロット城の前で酒瓶片手に機嫌よく酔っていた。 - ウオオ ワアアアッ
次に響いたのは群衆の叫び声。城下で人間たちが騒いでいるらしい。
「ん~~~~?」「次は城の外で騒がしいときた 少しは静かに酒を呑ませてくれんかのう」
◆ゼルドリスは「人間に手を出さない」指令を魔神たちに出していましたが、チャンドラーには全く伝えていないんですね。 - 「エリザベーース!!!」
騒音の中に、ひときわ耳に届く声がある。
「この声… 坊ちゃん?」
パッと顔を向ければ、塔の窓から愛し子が顔を出していた。 - 「どこへ行った …くそ!!」「今すぐ戻れエリザベス!!」
焦った様子で周囲を見回し、ついに窓から飛び降りる。
「エリザベーーーーーース!!」 - 「………………」
チャンドラーは無言で立ち上がった。
どうやら不浄の女神 が逃げたらしい。メリオダスの庇護を自ら離れて。 - 「これは… あの
女神 を始末できる」「絶好の機会 じゃ~~~~~~い♡」
下卑た歓喜の笑みを広げ、己の両頬を両手で わし掴んだ。
「坊っちゃん 恨まんでくだされ」「これも全部 坊っちゃんのため……!!」
両頬はモチのように容易く伸びて、血の一滴もなく ブチン と引き千切れる。二つの瘤はブルブル震えて本体そっくりの顔が現れた。
“肉分身 ”
「女神 を発見し殺せ!!」
ボールのように放り投げるや、カマキリの鎌に似た両手と細い足を生やして、俊敏に駆けていったのである。
◆「スプリット・ターマー」の英語の綴りが判らなくて、地味に気になる(;'∀')。
スプリットは「split(分割する、分裂させる)」なんでしょうが、ターマーは何? …「テイマー tamer(猛獣使い)」かな? いやそれだと意味が通じないし…。ちなみに英語圏の人はターマーを「ボール ball」と解釈していました。玉 だから? - まさにその時、キャメロット上空に空間転移でホークママが現れていた。
- 「マーリンここは!? すごい騒ぎだよ」
もう深夜だというのに、<豚の帽子>亭の窓から見下ろした街には老若男女が溢れ、てんでに叫びながら駆け回っている。よくよく見れば、街角には灰や赤の魔神が立っていて、それから逃げようとしているようだ。魔神たちは突っ立ったまま何もしていないのだが。 - 「キャメロット王都だ…」
マーリンは答える。
「「敬神」を解かれ 我に返った人々が混乱におちいってるのだろう …救いは魔神共が手出しせぬよう命令を受けていることか…」「…しかし取引が失敗に終わったことで ゼルドリスが魔神共を動かすのは時間の問題 …急がねばならんぞ」
◆メラスキュラの試験管、ゼルドリスに渡さずに持ち帰ったんでしょうか。 - <大罪>たちは街に降り立った。走り回っている人々を集め、まとめてリオネス王都に転送する作戦だ。
- 「み…みなさん止まって!!」
「豚野郎共 ストーーップ!!」「プゴッ」
駆けてくる群衆の前に、エスカノールが へっぴり腰で、ホークが鼻息荒く立ち塞がった。(なお、ホークの鼻に咲いていた怪花は、既に除去されている。) - 「なんだ こいつらは?」
「どけ!!」
威圧して押しのけようとした男たちは、迫った気配を見上げて「ひ…」と悲鳴をあげた。 - 「止まらないと食べちゃうぞ~~~!?」
建物の間から、ぬんと巨大な人影が顔を覗かせたからだ。 - 「キャー 巨人よ巨人!!」
「化け物だ~~~!!」
キャメロットの人々は一層の恐慌に陥ったが、「<七つの大罪>ディアンヌ様?」と足を止める者もいた。リオネスの民や騎士たちだろう。 - (う~~ 地味にショック)
密かに傷つきながらも、ディアンヌは ベロリと舌を出して お化けのように通せんぼをする。 - 「ひいいいっ!!」
効果はてきめんで、酷く怯えてバネのように飛び上がった男もいた。…エスカノールだが。
「お前が驚いてどーーすんの」と豚 も呆れた次第である。 - 直後、足止めされた群衆が一斉に掻き消えた。
「わっ!!」「わお♡」と驚くホークとディアンヌ。 - 上空に浮いて様子を見守っていた幼子マーリンの仕業だ。
「いいぞ」
胡散臭く嗤いながら片手を伸ばし、神器 を媒介に転送魔法を行使している。これだけの人数を一度に転送するとは、流石はブリタニア一 の魔術師だ。 - 街の別の一角では、地を突き破って超巨大な妖花が花開き、蠢く
蔓 で次々と人々を絡め捕らえていた。キングの真霊槍第四形態 である。
街の広範囲から、蔓一本に十人以上を一絡 げにして持ち上げ、ポイッと宙に放つ。するとバラバラに放り出された人々は フッ と掻き消えた。転送したのだ。
十数本の蔓で同じようにして、どんどん人々を消していく。 - 「よし!! この調子で じゃんじゃん
王国 に転送させるんだ!!」
妖巨花を操りつつ檄を飛ばすキングと、傍らで術を用いるマーリン。
◆キングのサンフラワーを使っての転送、時間が無かったからなんでしょうが、見た目、救助活動にはまるで見えない…(;^ω^)。
阿鼻叫喚~。
恐怖でトラウマ残る人がいそう。ちびった人は確実にいそう。もっと優しくしてあげて~。
キングが放り投げたのをマーリンが転送という連携作業なら、あんなに一度に沢山ポイポイしてたら、うっかり取りこぼして地上に落ちちゃう人もいるのではと少し不安になりました(苦笑)。そんなことはなかったようで、阿吽の呼吸ですね。
それとも、マーリンが空間の特定位置に転送門を開いていて、キングは そこに人々を放り込んでいたのかな?
サンフラワー救助は見た目が怖すぎですが、同時に十数本の蔓を操って街の広範囲から一度に大勢の人々をピックアップしては転送地点に集めてる点は凄いと思いました。キングさんはマルチタスクが得意ですね。 - 「ガオ~~」
他方、戦鎚 を持つ両手を掲げて人々を脅しつけているディアンヌ。 - 「あれは……!」
それを遠目に見て、ハアッ ハッ と荒い息を吐いて呟く少女がいた。ここまで駆け続けていたのだろう。 - 「ディアンヌ!! みんなーー!!」
「んが?」
吠えていた口を大きく開けたまま、ディアンヌは呼ばれて顔を向ける。
「うそ…」「エリザベス!?」
一時間ほど前に連れ去られた親友が、笑顔で駆けてくるではないか。 - 「!!!!」
だが、ディアンヌの顔は凍りついた。エリザベスを追うように現れた影。小さな、しかし洒落にならない闘級の魔物が、跳ねるように少女の背に襲い掛かろうとしていたのだ。
「危ない!!」 - チャンドラーの肉分身がカマキリのような右手を振るったのと、エリザベスが振り向いたのは同時だった。
- ザンッ
そして、肉分身の鎌はエリザベスの額を真横一文字に切り裂き、鮮血をほとばしらせたのである。 - 女神の血を真正面から浴びながら、肉分身は少しも焼けただれることなく、続けて左手を振るう。だが、それは空を掻いた。巨大な手が、ぐったりした少女を掴んで引き上げたからである。
代わって降りてきたのは、ブーツを履いた巨大な踵。 - 「女の子の顔に何するんだ!!!!」
ドンッ - 怒り心頭のディアンヌに、肉分身は呆気なく踏み潰されたのだった。
- 「エリザベス!?」「エリザベス しっかりして!!」
涙ぐんで覗き込むディアンヌの問いに、エリザベスは大きな手の中でよろよろと身を起こした。
「私なら ……っ 大丈夫」
俯いて額を押さえた指の間から、血が滝のように滴り落ちている。 - 「ディアンヌ!! もう退く… 早く乗れ!!」
マーリンが鋭く呼んだ。
「あっ… うん!!」
振り向いて見れば、既に全員がホークママの鼻先に集合している。人々は全て転送し終えたらしい。 - エリザベスを持ったディアンヌが戻り、ホークママがキャメロット上空から消えた、そのすぐ後に、静まりかえった街にチャンドラーが現れた。
- ぺちゃんこになっていた肉分身に指先で触れれば、水のように吸い込まれ、削げていた頬がニュウンと膨れて、元のでっぶりしたラインに戻る。
- 「フン… 仕留めそこなったか」
もう片方の頬も元に戻っていた。どこかで肉分身を回収したのだろう。
「…じゃが これで坊っちゃんの傍を うろつくこともあるまい…」
そう呟きながらも、表情は剣呑なものだったのである。 - 夜空を飛ぶホークママ。その頭上の<豚の帽子>亭内。
- エリザベスの周囲に<大罪>たちが集まっていた。肉分身に切り付けられた直後こそ うずくまっていたものの、今は何事もなく<大罪>たちの前に立ち、むしろ意気軒高である。
- 「エリザベスちゃん メリオダスに いつも以上に変なコトされなかったか~~~~?」
のほほんと尋ねたホークに(メリオダスが裏切ったことも、豚の頭には既に残っていないのかもしれない)、キングが不謹慎だとばかりに眉をひそめて注意する。
「豚くん 今は そういう話をしてる場合じゃ…」 - 「たしかに今のメリオダスは いつもの彼じゃないわ…」
声を大にエリザベスは語った。
「彼は今 弟たちに戒禁を集めさせようとしている」「私はどうしても それを止めたいの」 - 「その事情なら 我らもすでに承知している」
両腕を組んで むっつりと目を伏せるマーリン。 - 「……」
思い詰めた顔で黙っていたディアンヌが、決まり悪げに目をそらして、おずおずと口を開いた。
「けどさ… 団長はエリザベスのために」「魔神王になろうとしてるんだよね…」
だったら。それでもいいのではないか。エリザベスを助けるためだと彼が覚悟しているのなら。
だって、たったの二日と少ししか残っていないのだ。エリザベスの死の呪いが発動するまで。 - 「…それでも止めなきゃダメ」
一瞬の間を置きはしたが、エリザベスの声音は毅然としたままだった。
「もし彼が本当に魔神王になれば二度と私たちと会えなくなる…」 - 「「「!!?」」」
驚くキング、エスカノール、ホーク。 - 「おそらく そうだろうな……」と、マーリンが保証した。
- 目を見開いて硬直したディアンヌの頬を、ポロッと涙がこぼれ落ちる。
「でも… だからって このままじゃ…」「エリザベスは呪いで死んじゃうんだよ?」
涙は次から次へと溢れて、目をぎゅっと閉じても止められない。 - 俯いて嗚咽をこらえる親友を包み込むように、エリザベスは腕を伸ばして柔く抱きしめた。
「ディアンヌ… 私は何度でも転生するわ…」
「…………っ」
しゃくりあげるディアンヌの背を優しく撫でる。
「そうしたら きっと また友達になってね」
「エリザベス~~~~!!」 - 辛そうに俯くエスカノール。己の力不足に悔しげなキング。今までも『エリザベス』との別れを経験してきただろうマーリンは むっつりと目を逸らし、ホークは滂沱の涙を流していた。
- そして、エリザベスは嘆かない。
チャンドラーの肉分身に切られた額は跡一つなく治癒していたが、一緒に切れた前髪は短いままだ。
かつて前髪を目が隠れるほど伸ばしていたのは、右目に浮かぶ三脚巴紋 を引け目 に思って隠したかったからだった。だが今、眉毛より上の位置で切り揃えられた前髪は、もはや何も隠すことがない。
「たとえ この命と引き換えようとも彼は絶対助ける」女神の紋様 の浮かぶ両瞳に強い意志を込め、左手を胸の前で握りしめて、エリザベスは はっきりと意志を叫んだ。
「だから お願い みんな… 私に力を貸して!!!」 - 次回「聖戦協定」
今回の最ショッキングシーン。
ひいいいいっ!!
まさに「女の子の顔に何するんだ!!!!」ですよ。
そんなディアンヌも、コランド戦では額を戦鎚でガスガス傷つけさせられて血を噴き出してましたけど…。跡が残らなくてホントによかったです。
エリザベスの額の切れっぷりは あまりに凄かったので、とんだことになったとドキドキしてページをめくったらば、即 回復してら。前髪が短くなっただけですかい(;^ω^)。
髪型を変えてイメチェンするために、あのショッキングシーンを?
作者さん、何年もエリザベスを描いてきて、少し飽きちゃったとか。目先を変えたくなったのでしょうか。
エリザベスの オン ザ 眉毛な新しい髪型は、
連載前の
連載版エリザベスの幼少期の髪型に戻ったとも言えますね。
メラスキュラやギーラも同系統の髪型ですし、作者さんは この前髪が お好きなのかな。
エリザベスは6歳くらいまで、オン ザ 眉毛の前髪で両目を出していました。
そして、小説版の挿絵など参照するに、8歳の頃には、例の右目を隠す前髪になっています。
どうも、6歳の頃に女神の力が発現し、たまに右目に
ちなみに、6歳の頃に起きた「女神の力が発現した出来事」は、
- 木登りしたエリザベスを助けようとして、バルトラ王が木から落ちて大怪我をした
- エリザベスを庇って吊り橋から落ちたベロニカが足に大怪我をした
- 王国誕生祭の日、濡れ衣を着せられ聖騎士に追われていたメリオダスをエリザベスが助けようとした(結果、大怪我を負ったらしい)
辺りのことだと考えられます。
今、エリザベスの髪型が幼少期のものに戻って、
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ゼルドリスの必殺技
ゼルドリスが初めて、技名の付いた大技を披露。カッコよかったです!
しかし…。
「
キリストが今までに死んだ全てのキリスト教徒を生き返らせ、永遠に生きられる新世界に行くか地獄に落ちるかを審判するという。
つまり、神が行う断罪です。
それが悪魔(魔神)たるゼルドリスの必殺技名になるとは。ちょっと面白い。
これ、何か意味があるのでしょうか。…別にないか。(;^ω^)
アニメ版でこの技が使われる時は、モーツァルトかヴェルディの『怒りの日』が流れたり……雰囲気合わないっぽいから なさそうですね。
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「私の命と引き換えにしても」と彼女は言うけれど
エリザベスは言いました。
「もし彼が本当に魔神王になれば二度と私たちと会えなくなる…」
「たとえ この命と引き換えようとも彼は絶対助ける」「だから お願い みんな… 私に力を貸して!!!」
命と引き換えようとも?
だってあなた、すぐ生まれ変わるのに。
エリザベスは、私は何度でも転生する、そうしたらまた友達になってと、ディアンヌを宥めました。
読者としては、ここで涙すべきなのでしょう。
生まれ変わっても、そのエリザベスは違うエリザベスだよ。ディアンヌの親友は今の王女エリザベスなんだから。エリザベス、死んじゃダメ!
という風に。
以前は、私も そう思っていました。生まれ変わったら別人で、今のエリザベスこそが大事なんだと。
(だから、メリオダスがリズに特別に こだわっている風に一時 描かれていたのが好きではなかった。魂は同じでもリズと今のエリザベスは別人なのだから、今の彼女を もっと見てほしいなと、当時は思っていました。)(なので、前々回メリオダスが全てのエリザベスが好きだと言ってくれたのは嬉しかったです。)
です・けれども。
第222話、自分がメリオダスの傍に転生し続けていたとゼルドリスに教えられたエリザベスは、歓喜に震え、過去のメリオダスが自分に与えた愛の全てを知りたいから記憶を取り戻したいと叫びました。
そして第229話、記憶を取り戻したエリザベスは「今の自分は女神族のエリザベスであり、リオネス王女のエリザベスでもある」と言いました。
つまり、
記憶がなかったエリザベスは、前世の自分と今の自分の区別をつけていなかったし、
記憶が戻ったエリザベスは、過去から今までの全てのエリザベスの人格は一つに統合されていると明言した。
エリザベス自身が、前世の自分も今の自分も「同じ存在だ」と認識していると、しっかり語られてしまっているのです。
こう断言されてしまった以上、エリザベスは何度生まれ変わろうと「同じ」だと判断せざるを得ません。 少なくとも本人はそう思っている、と。
なのに今更、死んだら今のエリザベスとはお別れなんだよ、生まれ変わったら別人なんだよ、哀しいよ~と やられてもな…。
と思ってしまった私は、冷たいのでしょうか……。(´・ω・`)
作中時間でほんの二、三時間前、キングたちはまさに「自分の命を引き換えにする」覚悟でメリオダスとエリザベスを護って戦い、結果、グロキシニアとドロールは死にました。
彼らは生き返らないし・元の姿と名前で転生することもない。死ねば取り返しがつきません。
死んでも取り返しのつくエリザベスが、「私の命を捨てる覚悟」を担保に掲げて、死ねば取り返しのつかない仲間たちに協力を頼んだ点にも、少なからず理不尽な気分になりました。
勿論、エリザベスが仲間たちを頼ってくれたことは嬉しいのです。少年漫画として、こうでなければね、という展開です。
でも、その前に迷ってほしかったなあ。
「私たちのためにドロールとグロキシニアは死に、ディアンヌたちも殺されかけた。皆を犠牲にしてまで、私たちの恋を実らせなければならないの? メリオダスと生き別れになることは、みんなと死に別れるより重大なことなの?」
ってことを一度は考えて、数コマでも いいから、迷ったり・後ろめたさを示したりしてほしかったです。
ところで。
エリザベスは「メリオダスを救う」と言っていますが、今の状況で彼の魔神王化を阻むのは、本当に彼を「救う」行為なんでしょうか。
だって、魔神王になるのを阻止したところで、彼にそれを決意させた状況は、何も変わらないんですよ?
呪いは解けないし、王女エリザベスが死んだら、彼は更に苦しむだけです。
エリザベスは、「私が死んでも呪いを解いて」とメリオダスに約束させた。
しかし、彼が呪いを解こうとしたら「私の命と引き換えようとも阻止する」と宣言した。
一体どうしろと?
そもそも、呪いを解く作業をメリオダスに一任しているのはどうなんだろう。
例えば、エリザベスが最高神に頭を下げて呪いを解いてもらうなり、自分が最高神を継ぐなりしようとは思わないのでしょうか。今なら、それも不可能ではないはずです。
その結果、エリザベスが「ブリタニアに存在し続けられなくなる」かもしれませんが、メリオダスは(異界に去らずに済むという意味では)救われますよね。
「愛する人を救いたい」だけなら、そういう方法もあるのでは。
で。エリザベスが そうしようとしたなら、メリオダスはきっと止めようとするんじゃない? そしたら彼の魔神王化は有耶無耶になって阻止できるかもよ。
それに、どちらかが異界に去ることになったとしても、死に別れるわけではない。取り返しはつきます。呪いを解き戦争を終わらせた後で、再び会う方法を考えてもいいんじゃないの?
エリザベスは、3000年前から「私は正しい、私の望みは一つたりとも譲らない、メリオダスとは離れない!」という押せ押せ一本道の正面突破しかない印象です。
でも、押してダメなら引いてみたり、回り道してみたり、やりようは色々あるでしょうに。
100回以上の人生を経験しているのですから、少女的な考え方ばかりでなく、もう少し融通をきかせられるようになってもいいんじゃないのかなあ。
…ってことを、少年漫画のヒロインに求めても仕方ないんでしょうけども。(^^;)
あと。
エリザベスが「メリオダスが魔神王になったら、二度と私たちと会えなくなる」と言って、マーリンも「恐らく そうだろう」と追随してましたけど。
当代の魔神王はブリタニアに現れてメリオダスたちに呪いをかけたり、ゼルドリスと会話したりしているので、会えないって言うのは、まあ、嘘ですよね。やりようや抜け道は幾らでもありそうです。
エリザベスにしてみれば、今のまま一緒にブリタニアで暮らせないならば二度と会えないも同然、ということなんでしょうが。
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とりとめもない無駄な妄想。
魔神王になったら力が強大すぎてブリタニアに存在し続けられない
↓
ブリタニアの大地に湧き出していた豊かな魔力は、聖戦後、ブリタニアの全ての生き物に少しずつ分割吸収されたという。
何がどうしたらそんなことになるのか。人為的?
ともあれ、そんなことが可能なら、メリオダスが魔神王になったとして、逆 元気玉的に、その力をブリタニアの全生命に微量ずつ分け与えられないのかな? そうしたら異界に去らなくていいのでは。
王女エリザベスは呪いで死ぬか?
↓
死んだとしても、何か特別なことが起きそうな気もします。
今まで、死んだら魂が近場の人間の赤ん坊に憑いて乗っ取ってたようですが、もしも どこかに女神エリザベスの遺体が保管されていたならば、それに魂が戻るという手もあるのかもしれない。
まあ、ギルとマーガレットの間の子として転生するのも王道かもしれませんが、それやってると次世代編にトリスタンが間に合わないですよね…。