『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第243話 そして彼は旅に出る

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週刊少年マガジン 2017年50号[2017年11月15日発売] [雑誌]

第243話 そして彼は旅に出る

  • 「<七つの大罪>は今日限りで解散!?」
    唖然としてディアンヌは繰り返した。キングが右腕を握って問いかける。
    「団長… キミは自分で何を言ってるのか わかってるのかい!?」
  • 偽りの夜を照らす巨大な満月。それを背に闇の翼を広げて、メリオダスは かつての仲間たちを見下ろしていた。離さないとばかりにエリザベスの腰を抱き寄せ、傍らにはドラゴンの翼を広げたチャンドラーが静かに控えている。
  • 「団ちょ… 何か言え!!」
    焦るバンを見下ろす漆黒の瞳は冷ややかだ。
  • 「ほ… 本気じゃないよね?」
    ディアンヌの問いかけは縋る色を帯び始める。
  • 「エリザベスを必ず救える方法とは なんだ?」
    マーリンの硬い声を聞いて、エリザベスがハッと恐れを瞳に滲ませた。
    メリオダス あなた… ――まさか!?」
  • 冷えていたメリオダスの目に、毅然とした色が燃え上がる。
    「このオレ自身が…」「魔神王になることだ」
    ◆ここ、読者の9割が「“魔神王”に!!!」「オレはなるっ!!!!」ドン!! というパロディ場面を連想していそうです。私もしました(笑)。
  • やはりな、とばかりに黙するマーリン。
    愕然とするエスカノール、キング、ディアンヌ、そしてバン。
  • 「この…」「寝ぼけてんじゃねぇぞ…」
    低く呻いたのはホークだ。器用な耳で首の物入れから加工角肉モンスターブロックを取り出し、口に放り込んで嚥下する。
    「何が魔神王になるだーー!!!」
    暴龍タイラントドラゴン風の姿に変身トランスポークするや、肥大化した耳を羽ばたかせてメリオダスのもとへ飛び上がった。
    ◆初めて この姿に変身トランスポークした時は、頑張って耳を羽ばたかせても数cmくらい浮くのが精一杯でしたが、いつの間にやらパワーアップしてたんですね。
  • 「いいか!? てめぇは最強の騎士団<七つの大罪>団長で」「最悪にめしのまずい<豚の帽子>亭の店長だろーーーが!!!」
    バサバサバサバサバサと忙しなく耳を羽ばたかせつつ、息を荒げて訴える。
  • 「ホークちゃん…」と、エリザベスが呟いた。
  • メリオダスの口から落ちる、冷ややかな声。
    「フン… オレが ずっと気付いていないと思っていたか…?」
  • 「は?」「むごっ」
    キョトンとしたホークの顎を強くメリオダスが鷲掴んだ。引き寄せて、覗き込むように つぶらな瞳を睨みつける。
    「オレたちが苦しむ様を盗み見て さぞ楽しかっただろう」「魔神王…」
  • 「…!?」
    戸惑うホークの顔に冷や汗がびっしり浮かぶ。彼に これほどの憎悪を向けられたことがあっただろうか。
  • マーリンが目をみはった。
  • ピッとホークを投げ捨てるメリオダス
    「プギャーーーッ!!!」
    縦回転しつつ落下した異形の豚を、「師匠!!」と呼んでバンが両腕で抱き留めた。
  • メリオダスの表情は再びうつろとなる。
    ゴウセルにも伝えてくれ…」「お前らとの日々は 悪くなかったぜ」
  • メリオダスやめて…」「私のために馬鹿な選択をしてはダメ!!!」
    エリザベスが必死に訴えるも、眉一つ動かさない。
  • 「…行くぞ チャンドラー」
    告げれば、怪物は揉み手しながら嬉し涙を流して好々爺の姿に戻った。
    「喜んで… 坊っちゃん!!」
  • そして、女神を伴った二人の魔神は一気に離脱し、彼方のキャメロットへと立ち去ったのである。一瞬たりとも躊躇う様子なく。
  • 「たた… 大変だ!!」と、狼狽えるエスカノールの声が聞こえた。この数分間に日暮れが進んだからか、チャンドラーが去っても ひ弱な中年男のままだ。
  • ディアンヌは ぽかんと口を開けて、ぽろぽろと涙を落としはじめる。
  • 腕組みしたマーリンの顔は険しい。
  • もがくホークを小脇に抱えたバンの顔も強張っていた。
  • どうしてこんなことになってしまったのだろう。
    多大な犠牲を払ってでも護ろうとしていた二人の去った空を見上げて、キングは唖然とするばかりだった。

  • 割れた酒瓶が床に散乱している。その大きな破片を拾うこともせず、ディアンヌはモップの先を ガチャ ガチャッ と当てていた。こぼれた酒を拭き取ると同時に破片を寄せ集め、暗い顔で、ホークが咥えた布袋に押し込んでいく。
    ディアンヌちゃん片付けしてて偉いけど、やり方が雑だなあ。(^^;)
  • 仕方なく戻った屋内で、他の<大罪>たちは未だ何も手に付かず、座る気にさえなれずに佇んだままだ。
    とりあえずカウンター内の定位置に立ったエスカノール。
    両手をポケットに突っ込んで俯いているバン。
    両腕を組んで目を伏せているマーリン。
    キングは、カウンターの前で肩を怒らせていた。
  • 「くそ!!」「団長は何を考えているんだ!?」
    怒り任せにカウンターを殴りつけたが、その手が真っ赤に腫れ上がって悶絶したので、しまらない。
    ◆手がグローブのように(笑)。加減できないほど殴るとは、よほど腹が立っていたのか。(しまらないけど 笑)
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    王都決戦時に“完璧なる立方体パーフェクトキューブ”を殴って反射ダメージ受けてたのを思い出しました。
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    ディアンヌ瀕死時にハウザーの鎧を殴って手からダラダラ血を流したこともありますし(これはシリアス場面)、キングって肉体がひ弱なくせに、たまに怒り任せに物を殴ることがありますよね。

    とは言え戦闘中だと、強大な敵に殴られて地面にめり込むほど叩きつけられても滅多に行動不能にならないので、魔力で防御力を上げてるのか、はたまた、実は妖精族は変身の応用とかで任意で肉体の強度を ある程度 変化できるのか。
  • 「今の団長殿は正気ではない」「煉獄の魔神王に感情を奪われている影響でな…」
    マーリンが取り成せば、
    「とにかく二人をこのままにはできないよ!!」
    と、モップ片手にディアンヌが訴えた。
    ◆「メリオダスは煉獄の魔神王に感情を奪われている」という情報、マーリンとエスカノール以外の<大罪>たちにとっては初耳だと思うんですが、サラッと流されてますね。
  • 「あいつ… 俺のことを魔神王って言った気がするんだよな」
    プゴ、と鼻を鳴らしてホークが言う。
    きょとんとするディアンヌ
    「気のせいじゃない?」とジト目でキングが言っても
    「いや… おそらく この俺が魔神王クラスの強さって意味だろう」
    と自信満々だ。
  • 「……」「ホーク殿 いいか?」
    数瞬考えて、マーリンが呼んだ。
    「ん~~? 何が?」
    とんとことんとんと呑気に歩み寄った豚の前に跪いて目を覗き込む。
    「フム……」
  • 「?」
    戸惑いながら、じ―~と見返すホーク。
  • 「………………!!」
    マーリンの顔色が変わった。エスカノールと団長殿の戦いの時 聞こえた声は…」と独りごちる。
  • 廃都コランドで、暴走したメリオダスを止めるべくエスカノールが対峙した際、不気味な声が聞こえたのだ。
    『そうだ… あと一歩で…』
    あの場にいた誰の声でもない。愉快そうに笑っていた、あの男の声が。
  • 「面白い」「ホーク殿 そなた…」
    マーリンは驚きながらも注視する。子豚の黒々とした瞳の中を。
    「……煉獄と繋がっているな」
    そこには、奇岩の林立する この世ならぬ風景が映っていたのだった。その間を吹き抜ける風の音さえ聞こえる気がするほど明瞭に。
  • 「「「「!!?」」」」
    ぎょっとする一同。
  • 「…言うなれば ホーク殿は この世と煉獄をつなぐ回廊だ」
    「お…俺が? 煉獄と? へ? どゆこと!?」
    「それについては心当たりがある …いずれ話そう」
    マーリンは その方向の説明を打ち切った。
    ◆心当たり…。ホークの前世である鸚鵡のワンドルにも関わる話なんですかね? 賢者の都にも関わる?
  • 「魔神王は長らくホーク殿の目を通し」「団長殿を監視し続けていたのだ」
  • 「マ…本当マジか」
    己が無自覚な密告者スパイだと知って、冷や汗を浮かべて プゴッ と鼻息を吹いたホークである。
    とは言え豚だ。驚きはあるが、恐れや罪悪感のようなものはないらしい。
  • その時、ディアンヌがハッと表情を変えた。
    「…だとすれば ホークを通じて煉獄に行って」「魔神王から団長の感情を取り返せばいいんじゃない?」
  • 「あ…」名案を聞いたとばかりに、ペフッと手を打つエスカノール。「なるほど …そうか」
  • ディアンヌ 冴えてる!!」
    ぱっと表情を明るくしたキングが少女の頭を撫でれば、彼女は小犬のように頭を こすり付けて「えへへっ」と喜んだ。
    「なでて♡ ほめて♡」
    ◆キングのディアンヌへの教育方針は「褒めて伸ばす」なんですね。
    ハーレクインの記憶を失っていた時代のディアンヌは、メリオダスに撫でで褒められると凄く喜んでましたし、ちょっぴり演技してまでメリオダスやキングの同情を引こうとし、甘えてもいました。
    一方、叱って育てるタイプだったマトローナには仏頂面で反発していた。
    愛情に飢えていたディアンヌにとって、褒めて可愛がりたいキングの方針が、ぴったり合っていたってことだったのかなー。

    ちなみに、キングの(王国騎士時代の)バンへの教育方針は「叱って育てる」でしたね(笑)。バンには相手にされませんでしたが。もし「褒めて伸ばす」方式を彼にも適用していたら、どんなことになっていたのでしょうか。(ウザいおっさん扱いなのは相変わらず? 結局は狼の群れに蹴り込まれるオチになった?)
  • 「残念だが不可能だ」
    けれども、無慈悲に否定するマーリンの声。
  • 黙り込んだ一同のなか、「ど… どうして」ディアンヌが問うた。
  • 「呪いをかけられた団長殿は例外に」「煉獄へ行き 戻ってこれた者を 私は一人しか知らぬ」
  • 「一人…」ゴク…と固唾を呑むキング。
  • 「で… でも 一人はいたってことだよね?」ディアンヌは諦めない。
  • マーリンは答えた。
    「我が父にして賢者の都のおさだった男だ」「彼は研究の末 発見した煉獄への扉をくぐり たった一分だけ 足を踏み入れ戻ってきた…」
    一拍、彼女は言葉を呑む。
    「――廃人と成り果ててな」
  • 「「!!!!」」
    驚くディアンヌとキング。バンも顔を強張らせた。
  • 「い… 一分で!?」
    エスカノールとホークは怯えている。
  • 「彼は死の間際まで煉獄での詳細を うわ言のようにつぶやき続けた」
    当時、幼い外見に釣り合う年齢だったマーリンは、冷めた思いで父の世話をしながら、その言葉を聞かされたものだ。
    煉獄そこは」
    「灼熱と極寒が入り混じる大気と 猛毒の大地にして」「生ける者の肉体を破壊し」
    「歪んだ時空は一分の時の流れを一年にも変え」「死せる者の魂を蝕み侵す」
    「感覚は失われ 頼れるものは第六感のみ」
    「魂を砕かれし亡者と化け物が獲物を求め跋扈する混沌の国」

    ◆「灼熱と極寒が入り混じる大気」…。そんなの、寒暖差アレルギーとヒートショックが起きまくりじゃん! 確かに「生ける者の肉体」に悪そうです。
  • 「…そんな地獄で どこにあるかも知れぬ 団長殿の感情を どう探し出す?」
    その問いに答えられる者はいない。
    「何より 感情それを捕らえているのは魔神王であることを忘れるな…!!」「相手が悪すぎる ―――諦めろ!!」
  • 「……でも」「……でも」
    己の髪の端を握って、ディアンヌが しゃくりあげ始めた。
  • 「そんな…」「諦めろと言っても…」
    エスカノールも納得し難そうに口ごもっている。
  • 「じゃあ… じゃあ どうすれば!!」
    ギリ…… と歯噛みして、キングが震えるほど両拳を握りしめた、その背後から、
    「俺が行く」
    長身の男が爆弾を落としたのだった。
  • 「バン…!!?」
    全身で振り向いてキングが叫ぶ。
  • 「あいにく 俺は不死身だ♬」
    仲間たちの視線とキングの非難めいた叫びを悠然と受け止めて、バンは歌うように言い切った。
  • 「私の話を聞いていたのか…?」
    マーリンが声を荒げる。
    「たしかに お前は不死だが 魂は他の人間と同じ」「仮に行ったところで団長殿の感情を見つけられる保証も取り戻せる保証も 何より 戻ってこれる保証もないのだぞ!?」「…行って亡者の列に加わるのがオチだ!!」
  • 流石のバンも言葉を失い、恐れたように視線を落とす。
    だが、やがて目を伏せると静かに口を開いていた。
    「…かもな」
    無謀だと解っていても、諦める気はないらしい。
  • キングが顔色を変えて声を大にした。
    「マーリンの言う通りだ!!」「キミに もしものことがあれば エレインはどうするんだ!」
  • 「バン…」「みんなで別の方法を考えよう?」
    ディアンヌは涙を流して訴える。
  • バンは伏せていた目を上げた。
    「…頼む やらせてくれ」「この手で…… 親友ダチを救いてえ」
    その表情に迷いはない。
    「それくらいできなきゃ」「惚れた女を護ることは絶対できねぇだろ?」
    ◆そうかなあ…。死にかかっている恋人を置いて、高確率で死ぬ行動をとるのは、正しいことなのかなあ。

    バンもエレインも どうせ死なない(生き返る)のでしょうが、バンは恋人エレインより親友メリオダスを取った、と受け取らざるを得ません。
    バイゼル大喧嘩祭りの時にエレインの死を覚悟してメラスキュラの首を折ったのは、王都決戦時に「エレインのためメリオダスを殺そうとした」ことへの償い。そして今回は、散々 前振りされてきた「メリオダスの可哀想な事情を知らず八つ当たりした」ことへの償い、というコトにもなるんでしょうが…。バンは常にメリオダスに罪悪感を覚えていて、償うため自分の大切なものを切り捨てる選択をしている、ということに。バイゼル大喧嘩祭りの時は感動したけど、二度目の今回は ちょっと微妙な気分になりました。
    主人公特権とはいえ、メリオダス愛され過ぎ(苦笑)。
  • バンはマーリンの方に歩み出した。すれ違いざま、キングの肩にポンと触れる。
    「必ず戻る… それまでエレインを頼むぜ」
  • もはや何を言うこともできない。
    (バン)(キミってやつは…)
    ぐっと涙をこらえるキングだった。
    ◆キングとバン、信頼関係が出来上がって、すっかり義兄弟らしくなりました。
  • 「バカめ… 本当に保証はできんぞ?」
    そう言って、スッとマーリンは視線を逸らす。
    確証はなく成功率も限りなく低い。つまるところ、バンの命を捨てるにも等しい行いだが。
    「…仕方あるまい 姉々ねえねえ呪い発動イムリミットまで時間がない」
    彼女にとって、エリザベスの呪いを解くチャンスを失わぬ方が、よほど大切なのだ。何より、バン自身が望んでいる。
    ◆ここ、バンはメリオダスを救いたいと言って煉獄へ行く覚悟を決めているのに、マーリンはエリザベスの三日殺しタイマーの心配をしていて、ズレがあります。つーか、エリザベスの呪いは新魔神王メリオダスさんが解いてくれるんじゃないの?

  • 夕闇のなか、ホークママは足を止めていた。
    マーリンは神器アルダンに手をかざして呪文を唱え、並んだホークとバンの周囲を霧のようなものが渦巻き包んでいく。
  • 「なあ バン」と、ホークが呼びかけた。
    「なんだよ師匠?」
    「ちゃんと戻ってこいよ? …お前が いねーと うまい残飯が食えなくなっちまうんだからな」
    「…心配すんな♬」
    キツネ目を細めてバンが笑い、ポンッと子豚の背に手を置いた時。
  • 「バン!!」
    感極まって涙したホークの目が ずずっ と歪んで迫り、己を呑み込むのをバンは感じた。
    「!!」
  • 一瞬のことだ。
    「!!」
    ホークはキョロキョロと室内を見回したが、バンの姿はない。
  • キングとディアンヌは驚いた顔を見合わせ、エスカノールも唖然と左右を確かめながら呟いていた。
    「き……消えた」

  • そして、バンは。
    一瞬気を失っていたのか。バチッと目を開けて、彼は覚醒した。
    「なん… …だ?」
    不安定さに下を見る。
    「地面の感触が ねえ…」「浮いてんのか…?」
  • 足を軽くジタバタさせてから、吹き上げる風を感じて「ちがう…」と呟いた。
    「落ちてる!!?」
    遥か高みから、霧か雲のようなものを突き抜けて、猛スピードで背中から落下していたのだ。
  • 「コロロロ…」「コロ…」と、不思議な音が聞こえた。
    ◆これ、何の音(声?)なんでしょうね。何かが転がる音? 魔物の声? コオロギ鳴いてる? はたまた、まむしの女王を呼ぶ声?(誰にも解らないだろう民話ネタ)
  • ピクッと反応したバンは、顔を強張らせて背中越しに天地を見やる。
    「ここが煉獄…」
    奇岩の林立する大地は霞み、未だハッキリとは見えない。空には禍々しい瘴気が漂い、無数の目を潜ませているようにも見える。
    「待ってろよ 団ちょ…!!!」
    未知の世界に、決意の声が木霊した。
  • 次回「選ばれし王女」

魔神王はホークの目を通してメリオダスの様子を見ていました。

普通に考えて、バンがメリオダスの感情を取り戻すため煉獄へ向かったことも、魔神王に筒抜けなんじゃないかと思うんですけど…(苦笑)。

いいのか、<大罪>たち。

 

 

バンが煉獄へ行くことになろうとは、思いもよらぬビックリ展開でした。また、彼の修行編が始まったのは嬉しい。一体どんなことになるのか想像もし難くて面白いです。

とは言うものの、煉獄行きへの話運びや設定が強引というか大雑把というか、諸々フワッとしていて、「え? は? それでいいの?」と、釈然としない・戸惑った気分になるのも拭い去れなかったです。

 

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メリオダス、団長やめるってよ 

 

 

メリオダスが、魔神王になってエリザベスの呪いを解くと宣言しました。

 

前回、彼は「この方法なら エリザベスを必ず救える!!」と言いました。

それを受けたマーリンが「エリザベスを必ず救える方法とは なんだ?」と問うたところ、メリオダスが答える前に、エリザベスが顔色を変えて

メリオダスあなた… ――まさか!?」

と言っています。

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つまり『女神エリザベス』は「メリオダスが魔神王になれば呪いを解くことが出来る」と、とうに知っていたというわけです。

 

そもそもメリオダスも、第51話の時点で

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「…捨てなきゃいけねぇのかな」

(中略)

「あぁ… そして終わらせようぜ」「オレは約束する」「ずっと一緒に戦ってきた あいつのためにも」「三千年繰り返してきた この戦いに―――…」「今度こそ決着ケリをつける!!」

と呟いていました。

当時は「戦場で敵に情けをかける甘さを捨てる」意味のように見えていましたが、実際は「甘さ=(エリザベスと出会って以降に目覚めた)感情」を捨てて魔神王になる、という意味だったんですね。

第196話でも

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「俺は昔の自分に戻るのが怖いよ」「でも… 元の俺に戻らなくちゃ…」「お前を救うことができねえんだ…」

と涙ながらに言っています。

メリオダスは ずっと前から「愛の感情を捨てて魔神王になり、エリザベスを呪いから救おう」と考えていたらしい。

 

…では、<七つの大罪>が<十戒>を倒し呪いを解くための「運命の仲間」だ、という話は何だったんでしょうか?

今日の午前中にも、メラスキュラに「<大罪>は運命の仲間だ」と誇っていたというのに。

 

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以上から、以下のように推測しました。

メリオダスとエリザベスは、とっくの昔から「メリオダスが魔神王になればエリザベスの呪いを解ける」と知っていた。呪われた直後に魔神王&最高神に提言されていたのかもしれません。

 

しかし二人はその方法を選ばず、3000年も抵抗し続けています。

恐らく、二人にとって多大なリスクがあるのでしょう。

 

例えば、

メリオダスの今の人格が消える・変質する・乗っ取られる
メリオダスのエリザベスへの愛情が薄まる・消失する

など。

即ち、二人の恋の成就が妨げられる可能性が高まるので、この方法は意地でも避けたかったのでは。

 

今回のエリザベスの様子を見ていても、メリオダスが<大罪>に俺たちに関わるなと言ったり解散を告げたりした時は口を挟みませんでしたが、魔神王になると宣言するや

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メリオダス やめて…」「私のために馬鹿な選択をしてはダメ!!!」

と激しく止めていました。

この「馬鹿な選択」とは、<大罪>を解散してたもとわかつことではなく、「魔神王になる」ことの方が主なんだろうなと感じました。

エリザベスは、愛する彼を絶対に魔神王にさせたくないんですね。それは彼と自分にとっての大きな不幸なのでしょう。

 

 

そこで「運命の仲間」です。

七つの大罪>結団は、呪いを解く次善の策だったのではないでしょうか。

 

実際は、メリオダスは<大罪>で「確実に呪いが解ける」とは思っていなかったように見受けられます。

第一部のバィゼル喧嘩祭り時、ヘンドリクセンやヘルブラムなど、本来の魔神メリオダスからすれば雑魚たる聖騎士たちに、敗北ギリギリまで追い詰められた。その時、メリオダスは思ったのでは。「こんなことじゃ魔神王に抵抗して呪いを解くなんて出来ない」「<大罪>は期待していたほど強くも特別でもない」と。

だから、自分の「甘さを捨てて」魔神王になる道を選択すべきではないか、と迷い始めた。

 

ずっと、<大罪>が「運命の仲間」なら、どうしてメリオダスは<大罪>たちに何の情報も与えず、協力を頼むこともしないのか? と疑問に思っていました。

そして、今回の解散宣告を見て思いました。 

メリオダスは、<大罪>を「呪いを解くための戦力」としては力不足だと思っていた。「頼りにできなかった」のではないでしょうか。

だから<大罪>と行動を共にしながら、並行的に「魔神王になる」覚悟を決めていた。

 

コランドでは、<大罪>がメラスキュラに対抗できる程度に強くなったと知って「運命の仲間だ、舐めんな」と誇りましたが、エリザベスが戦場に現れたと知るや、暴走するほど無理して暗澹の繭を破っています。(バイゼルで女神の琥珀を無理に破って暴走した時と同じ轍を踏んでる。学習しないひとです。)

エリザベスを安心して任せられるほどには<大罪>の力を信用していなかった、と判断せざるを得ないのではないでしょうか。

 

結局のところ、メリオダスは<大罪>を心底では信用できていないのでしょう。呑み仲間としては好きだけど、恋人の命を任せられる・実力で肩を並べる・深い情報を共有できる存在だとは思っていない。仕方ないですね。メリオダスは圧倒的に強く、比べれば<大罪>は弱いですから。

 

今回、メリオダスが<大罪>解散を告げ、魔神王になって呪いを解くと決めたのは、次善の策を諦めた、ということだと思いました。

できるなら魔神王にならずに解決したかった。でも、こりゃ無理だ。チャンドラーにすら殺されそうになってる有様で、エリザベスの呪いは発動していて、もう<大罪>に頼ってもどうにもできない。諦めて魔神王になるプランで行こう。…と、頭を切りかえたのではないでしょうか。

 

ここまで<大罪>を引きずり回しておいて、随分と虫のいい話でもありますが、それを躊躇もなく淡々とできたのは、「愛・優しさ」の感情が薄くなってたから…? なんですかね。

 

 

 

 

今回マーリンさんが

「今の団長殿は正気ではない」「煉獄の魔神王に感情を奪われている影響でな…」

と言ってたけど、これ少しズルいよなあと思いました(笑)。

魔神王に感情を取られたメリオダスの症状ってバラバラで、いまいち一貫性がないです。

 

●戦闘時に嗜虐性・残忍性が増す。怒りや復讐心を抑えるのが困難になったらしい(でも、「死んじまえ!」とニヤリ笑いしながら優しい心でデリエリたちを見逃してあげたとも言われています)

●何故か記憶が退行(これも感情を奪われた影響だとマーリンさんは言いましたが、関係あるの? 何でもアリだなあ)

●記憶は戻ったが、急に感情が薄く冷たい感じになる(バイゼル以降は感情を奪われていないはずなのに、まるで進行性の病気のように感情の希薄化が悪化しているみたい。まあ多少はメリオダスの演技もあるのかもですが)

 

うーん。

メリオダスの都合の悪い行動を全て「感情を奪われたせいだ、魔神王が悪い」で片付けるようになったら嫌なので、早く呪いが解けるといいですね。 

 

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ベリアルインの娘

 

 

マーリンの故郷と父親について、チラッとですが説明されました。

彼女の父は「賢者の都の長」だという。

マーリンの出身地が「ベリアルイン」だとはファンブックで明かされていますから、「賢者の都=ベリアルイン」なんでしょうね。

 

 

マーリンのお父さんが賢者らしくフクロウの意匠の杖を持っていて(フクロウは知恵の象徴)、彼が煉獄から廃人になって戻ったとき、杖のフクロウも溶けたみたいにダラッとなってたのは面白かったです。

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煉獄の炎が杖が溶けるほど熱かったってだけかもですが、「知恵が失われた」という暗喩とか、もしかしたら、この杖は賢者の都で製造された魔導生物的なもので、煉獄の過酷さで死んでしまったってコトもあるかもなあ等々 想像しました。

 

伝承上のマーリンは気が狂ってたり電波ゆんゆんだったりすることも あるんですが、マーリンの父が廃人になったのにはその辺のイメージも入ってるのかしらん。

 

廃人となった父を介護する3000年前のマーリンが、冷たい表情をしていて、父娘仲は良好ではなかったっぽい。説明も感情が入ってなくて他人事みたいですよね。マーリンはお父さんが そんなに好きではなかったのかな。

マーリンは幼い頃は師匠に付いていたけど、すぐ追い越してしまったそうですが、師匠は父親だったんですかね? だとすれば、マーリンにとって父は自分より愚鈍な見下すべき存在で、父にとっては、我が子ながら天才過ぎて妬ましい存在だったのかもしれません。

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あと、この場面、背景に何気にアルビオンらしきモノたちがいます。

魔神族の造った兵器とされる巨獣アルビオンは、どうやら賢者の都で開発・製造されたものらしい。

 

となれば、賢者の都は魔神族と関わり深かったんでしょう。

とゆーか、魔神族…の眷族なのかな? 吸血鬼族みたいに、種族的には違うけど魔神族の傘下に入ってる一族、みたいな。

 

マーリンは「完璧なる立方体パーフェクトキューブ」「絶対強制解除アプソリュートキャンセル」など魔界由来の魔術を使いますが、今のところ、女神族系の術は、知識はあっても使ったことがありません。女神族の眷族ドルイドの治癒術は使えないと明言してもいます。 

それに、(魔力が使えない無防備な状態で)メリオダスの強い瘴気にもケロッとしていました。人間、巨人、妖精は影響を受けて気分が悪くなっており、平気だったのは魔神族寄りの存在らしいホークと、強い女神族のエリザベスだけ。マーリンは女神族とは思い難いので、ならば高確率で魔神の眷族ではないかと。

 

 

ただ、アルビオンが賢者の都で開発されたもので、マーリンは幼い頃から慣れ親しんでいたのだとすれば、辻褄が合わない点が出てきます。

第115話、キャメロットアルビオンに襲われた際、マーリンは 

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「体の内部に複数の魔力反応を感知したが生命反応は感じない おそらくは魔導人形ゴーレムだ」

と、まるで正体を知らない・初めて見たかのように解説しているからです。

 

十戒>との戦い迫る中、この程度の知識を隠す必要はないでしょうに。(メリオダスの方は、あれは「魔神族に造られた兵器」だと明言してました。)

まさか、「自分がベリアルインの娘で戒禁に掛からない存在であることを うっかり忘れていた」のと同じく、アルビオンのことも「忘れていた」のでしょうか(苦笑)。

 

 

 

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前回のマーリンの姿が5歳児程度にしか見えず、どう見ても(エリザベスが言っていた)12、3歳以上とは思えなかったので、 

もしやマーリンは妖精族と同じ「肉体的成長をしない種族」なのだろうか? 「30歳の時に肉体の老化を止めた」という設定は、30歳になっても姿は幼いままだったという意味だったんだろうか?

などと疑念を抱いたりしたんですが、今回、しっかり大人の「父親」が登場したことで疑念は晴れました。

マーリンは、本当は ちゃんと成長して大人になれる体なんですね。

 

…じゃあ、どうして少女の姿で肉体年齢を止めて、なのに熟女の外見に変身しているのでしょうか。己の外見に、相反する魔法を二重掛けしてて、おかしいですよね。

 

「成長できない」理由があったりする?

 

30歳の時に「どんどん若返っていく呪い」をかけられて、食い止めるため肉体時間を止めたとか。あるいは、父親の実験とかで外見の成長ができなくなってるとか。(内臓は老化するので、肉体の時間を止めた)

呪いを解いて真の大人になる方法を、マーリンは3000年間 追い求めているのです……とかいう想像をしてもみましたが、まあ、考えすぎですね。(^^;)

 

 

 

 

メリオダスとエリザベスの呪いの件が三日リミット中に片付くのなら、この漫画の最終エピソードにはマーリンの物語が入るのかもな、と最近 想像しています。

で、そこでアーサーが活躍して、噂の次世代編に繋がる?

 

ちなみに、次世代編の主人公はアーサーではなく、若き円卓の騎士たち(ガウェイン、トリスタン、ランスロットら)だと思っています。元ネタのアーサー王物語群からしてそうですし。次世代編のアーサーは、元ネタと同じく、30代半ば~アラフォーの親世代組でしょうから。 

 

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「謙虚さこそが、煉獄を旅する者の護符となる」と彼は謳った

 

 

バンが煉獄へ旅立った展開には、本当に度肝を抜かされました。想像もつかなかったです。どんな冒険が展開して、どんなパワーアップを果たすのか。ワクワクですね!

 

…でも、「第三者がメリオダスの感情を取り戻しに煉獄に行く…? どうやって? そんなことできるの(汗)?」と、大いに困惑した気分にもなりました。

皆さんはどうでしたか?

 

そもそも「感情」って、保管したり・取り返したり・持ち運んだりできるものなんでしょうか。

魔神王がメリオダスの感情を奪う、というトコロまでは、魔王だからできるのね、くらいに思って気にならなかったのですが。流石に、それがマーリン曰く煉獄のどこかに魔神王によって捕らわれていて、第三者が行って取り返せばメリオダスの感情は元に戻るという理屈は、えらく突飛でムチャクチャに思えて、ポカ~ンとしてしまいました。

 

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ディアンヌは何を言い出すんだ? どうかしちゃったのか? と思ったのに、作中では(常識系のキャラである)エスカノールもキングも「名案だ!」という反応してて、ますます戸惑う…。

 

いやあ。

だってね、第183話で魔神王は言ってたじゃないですか。

「かつて最凶の魔神の名を ほしいままにした 貴様が」「あの女のせいで役立たずの骨抜きにされて はや三千年…」「それが今の状態まで 戻れたのは誰のおかげだ?」

「そう… 貴様が死を選び煉獄へ来るたびに」「我が 貴様に芽生えし感情を喰らってやったからにほかならぬ!!」

「…さあ 此度も我が飢えと渇きを満たすがよいぞ」「これも互いの今後のためだ…」

だからてっきり、魔神王はメリオダスの感情を奪った端から消化して己のエネルギーにしてるんだと思ってたのに。今回のマーリン曰く「感情を捕らえている」って…。喰らってたんじゃなかったんかい。ワケわかんないです。

 

ダンジョン奥地の宝箱とか宝珠とか、ボスキャラ的な生き物の身体とかに封じ込めてあるんでしょうか。それを破壊したら、光がパーッと飛んでって、たちどころにメリオダスに感情が戻るとかゆー、ゲームのイベントみたいな仕組み?

 

いやでも、奪った感情を わざわざ保管しておく意味ってあるの?? いつか元に戻すと想定しているんでもなきゃ、そんな面倒なコトする必要ないですよね。

実は魔神王の壮大な親バカ愛なんでしょうか。「メリオダスが立派な魔神王となるための試練として感情を奪ったけど、パパが大事に保管しておいて、いつか戻してあげるからね♡」とか。(苦笑)

 

 

……まあ。

ハッキリしているのは、バンが魔神王を倒して感情を取り戻す、というオチにはならない・なってはいけない、ということだけです。それやったら物語として崩壊ですから。

じゃあ、どうやって感情を「魔神王から取り返す」のか?

 

判りませんが、煉獄は死者の世界ですから、これまでに死んだキャラが再登場して、なんらか関わってくる可能性はありそうです。

煉獄は一応「生前に罪を犯したため成仏できず、浄罪の苦しみを負って彷徨う死者たちの世界」のはずですから、フラウドリン、ヘルブラム、グロキシニア、ドロールあたりが出てきそうと言えばそうですかね?

個人的には、悲しい死に方をした彼らが死後も成仏できず苦しんでいる姿は見たくないので、出てこなくてもいいやと思うけど。

術士ゴウセル辺りが出て来て、3000年前の聖戦終結の真相を語り、人形ゴウセルの修理の方法や必要部品の在り処を伝授する、とかいうのなら見たいです。

あと、エレインが死んで、魂となってバンを追いかけて助ける(そして一緒に現世に戻る)、とかいうのも有り得そうではある。

 

 

ともあれ。

この漫画の今までのパターンからして、最初に提示された通りに、ゲームイベントのように お行儀よく話が運ぶことはなさそうでもあります。

途中で ぶっ壊れて・うやむやになって・なんか違う形でオチが付くんじゃないかな?

 

魔神王になるためキャメロットに行ったメリオダスが死んで、魂が煉獄に来て、バンと共闘して魔神王から感情を取り戻す…というのじゃ王道過ぎるか。

あるいは、「感情を魔神王が奪っている」という前提が間違っていて、感情は封じられていただけでメリオダスの中にずっとありました・仲間たちの想いで解き放されたよ~な人形ゴウセルの踏襲オチとか(笑)。

はたまた、実はエスタロッサは術士ゴウセルの作った人形で、メリオダスから奪った感情は彼の中に蓄積されていたのです・エスタロッサを破壊することでメリオダスに感情が戻るのですオチとか。(人形が培養カプセルで治療されるのかよとか、成長してるじゃんとかの矛盾は色々こじつけて誤魔化します)

いやいや、バンが煉獄へ行ってる間にキューザックが<豚の帽子>亭を急襲して皆死んで煉獄に来るとか。(後で、完全復活したエリザベスが蘇生させます)

 

…というようなことはなく、想像もつかないことになるのでしょうね。

 

 

 

にしても。

メリオダスが言うに、エリザベスの呪いは魔神王がかけたものだから、魔神王の力が得られれば解くことが出来るそうだけど。

メリオダスの不死の呪いも魔神王がかけたものですよね。

じゃ、最高神は何の呪いをかけたんでしょう? 何もしてないの?

メリオダスの不老の呪いをかけた…のでしょうか? でも呪われる前からメリオダスは子供の姿だったし…。

 

 

話が少しズレますが。

そーいえば第182話に、3000年も生きるなんて妖精族でも巨人族でも、魔神族や女神族でも あり得ない、そんなに長く生きることになったら自分なら耐えられず自殺すると酔ったザラトラスが言って、メリオダスが「全部試した」と返す場面がありましたよね。

けど、この漫画、3000年以上生きてるキャラがメリオダス以外にもゴロゴロしてるので、ちょっと変な感じではあります。

特にゲラードは、魔法も呪いも掛かってない天然状態で4000年以上生きている。身体に障害を負っていますが、長く生きるのが辛くて死にたいなんて思ってる様子はないです。「妖精王を補佐し、一族を護る」という目標があるから、そんなこと思わないってことでしょうか。泉を700年守ったエレインを見ていても思いますが、妖精族って、全種族の中でも特にメンタルが強いのかもしれない。

 

…まあ、今回「煉獄は一分を一年に変える」という修行向けご都合設定が出てきちゃったので、一ヶ月間死んでたメリオダスは、煉獄で4万3000年くらい過ごしてたことになっちゃうけども。(^^;) 

3000年ずっと煉獄にいる魔神王なんて、15億7千600万年以上も過ごしてることになるんですけど、いい加減成仏した方がいいんじゃないかな。

 

これも「歪んだ時空は一分の時の流れを一年にも変え」という表現だから、煉獄でも時空が歪まずに現世と同じ時間が流れたり、逆に、現世より早く流れたりすることもあるのかもですが。全てが曖昧だなあ。

  

 

 

 

キングの元ネタのページで、キリスト教 教会史方面の切り口で「煉獄」の解説を書きました。

キリスト教において「煉獄」の名で定義されている、実際にはキリスト教とは別の、土着の死後の世界。さすらう王や亡者行列、あの世とこの世の境をフラフラしながら燃え続けるひとの物語。私は結構好きです。

でも煉獄と言うと、ダンテの『神曲』をイメージする人の方が多いのかもしれません。『神曲』では煉獄は層状の山の形をした世界でしたが、この漫画の煉獄は奇岩の林立する荒野っぽいですね。(コロロロ…と音を立ててるのが何なのか、気になります)

 

神曲』に、煉獄に向かうダンテの腰に、煉獄の門番が藺草いぐさ(燈芯草)を巻いてくれる場面があります。藺草は煉獄を旅する者のお守りになるからと。

藺草は日本では畳表たたみおもての材料となる草です。川辺に生え、時に氾濫で濁流にさらされても、流れに逆らわず受け流して、流されることなく残り続けます。

その しなやかさな強さ・謙虚さが、己の罪(傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲)に向き合い浄める煉獄において必要とされるものらしい。

というわけで、藺草の花言葉は「謙虚、謙遜、従順」です。そして「固く信じる」。

 

この漫画の煉獄では、旅する者には何が求められるのでしょうか。少年漫画らしく「勇気・勝利・友情」なのかな?  

友情のため困難の克服を目指すバンの勇気を信じて、この先も楽しみにしたいです。

 

 

 

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