【感想】『七つの大罪』第242話 <七つの大罪>終結
週刊少年マガジン 2017年49号[2017年11月8日発売] [雑誌]
- 声が聞こえる。
「…して」「…リン しっかり」「マーリン………!」
マーリンは目を開けた。
「姉 …々 ………?」
「目が覚めたのね!」
幼い姿の彼女は、ニコ…と微笑むエリザベスの膝に乗せられている。
「私は…一体?」 - 「気を失っていたんです!」
エリザベスの隣には午後の体格のエスカノールも正座していて、プルプル震えながら嬉し涙に頬を濡らしていた。ホークも近くから見ている。 - 「………そうだ」「たしか…… “
絶対強制解除 ”の呪言の玉を取りに向かう途中…」「店を襲った衝撃に抗うこともできず 壁に叩きつけられて―――――…」
店そのものが引っ繰り返ったと言って過言ではなかった。テーブルが固定されていたのは幸いだったが、椅子や酒瓶と一緒くたに吹っ飛ばされたのだ。皮肉にも、幼く体重が軽かったのが幸いして死なずに済んだらしい。 - そこまで思考を巡らせて、ハッとした。
「…あの魔神は!?」
店の外で起きたことを知らないが、チャンドラーの攻撃のせいだとは想像がつく。こうして皆が無事でいるということは撃退できたのか。だが、どうやって? - 即答する者はいなかった。エリザベスもエスカノールもホークも。
- マーリンは気付く。少し離れた椅子にキングが座っていて、横顔が酷く暗いことに。
- (初代妖精王様…)
悔恨と哀しみを半ばさせた彼の膝には、小人サイズのディアンヌが布を裸身に巻きつけて座っていた。
(巨人の王様…)
彼女は哀しげに涙ぐんでいる。 - その感情が伝わったように、エリザベスも、傍らに眠るメリオダスに切なげな目を向けた。
(私も… メリオダスも…)(あなたたちのことは決して忘れないわ…) - そろそろ夕闇が近づこうとしている。
◆イギリス南部で6~7月頃と思われるので、夜の9時前くらいかな? - 「…なるほど そんな事態に 想像以上の化け物だな…」
話を聞き終えたマーリンは、しかめつらしく両腕を組んだ。
現実は必ずしも知識に沿わない。初めて<十戒>ガランと対峙した際も、想像を上回る力に後れを取ってしまったものだ。 - 「それだけじゃねえ!! ゴウセルもトンでもねえことに…」
鼻息荒くホークが示した先には、床に寝かされて動かないゴウセルの姿がある。両腕は砕けて波打ち、首も捻じ折れて不自然な しわを寄せていた。胸には『目』を思わせる呪印が白く浮かんでいる。 - 「“
絶対強制命令 ”に強引に逆らうとは …無茶な真似を!!」「人間なら即死は免れんぞ」
だが、幸いにも人形だ。取り返しはつくだろう。 - 「ディアンヌも散々な目に遭ったな……」
床に降り立った小人サイズの少女に話を向ける。
「それを言うならマーリンだって! キミの正体が こんなカワイイ女の子とは夢にも思わなかった」
応えた少女の髪が強風になびいた。鼻先を寄せたホークの鼻息だ。 - 「今なら俺でも倒せるな…!」「フフ…」と笑った子豚の鼻づらを、「フンッ」と 殴るディアンヌ。
「アブラミッ」
涙と鼻水とよだれを散らしてホークは吹っ飛んだ。 - 「…まったく ざまあない」「とにかくまず この封じられた魔力を元に戻さんとな…」
首を左右に振りつつマーリンは自嘲する。
◆この場面のマーリン、せいぜい5歳児にしか見えない。第237話と比べても、更に幼くなってませんか?
単なるデフォルメか、何か意味があるのか…。 - 「え~~ もう元に戻っちゃうんですか?」
残念そうに声をあげたエスカノールを、マーリンが呆れた顔で見上げた時だった。 - 彼の顔が強張り、「こほっ」と むせ始める。
「エスカノール …どうした?」
「ゲホッ!!! ゴハッ!!!」「っぐ…っ ガハッ!!!」
咳は止まらず、折り曲げた身体がグラッと傾いだ。 - 「お… おい」ホークが戸惑い、キングも席を立って近づいてくる。
- 「まだ お体の具合が…!?」
エリザベスも立ち上がり、丸まった背に手をかざして癒やしの光を放った。
“健やかなれ”
「す… すみません…」
ようやく鎮まる咳。
◆エリーさんがエスカノールに治癒術を使ってくれて安心しました(笑)。 - 「気のせいかな? ボクも少し気分が悪い……」
ディアンヌが口元を抑えてケホッと咳をした。
「たしかに…空気が淀んでる」
キングは顔をしかめて冷や汗を拭う仕草をする。 - 「豚くんは平気なの?」
キングが問えば、ホークは軽く鼻息を吹いて、力強い腹の音を響かせた。
「…強いて言うならば腹が減った」
「聞いたオイラが悪かった」 - 「…原因は明らかだ」
断言したのはマーリンである。眉を曇らせて一方に目を向けた。 - 「……」
ぐっと顔を強張らせてエリザベスも同じ方向を見やる。
彼女も、とうに気付いていたのだろう。視線の先で、眠ったまま苦し気にうなされているメリオダス。彼が何を放ち続けているのかを。 - 「メリオダスの発する瘴気…」「負のエネルギーが 刻一刻と強まりつつあるせいだ!」
マーリンは事実を告げた。 - 「…彼は何も悪くないわ!!」
叫んだエリザベスが、マーリンの脇をすり抜けて恋人に駆け寄る。
「…ごめんなさい 二人で外の空気に当たってくるわ…」
そのまま彼を肩で支えると、悲しそうな顔を俯かせて背を向け、<豚の帽子>亭を出て行った。
◆エリザベスさん、意識のないメリオダスを肩で支えて「スウ…」と立ち上がり、誰の手も借りず出て行きました。メリオダスは少年の身体だから軽いのではあろうけど(50kg)、実は結構 力持ち? - 硬い表情で見送るマーリン、戸惑うキングと彼の手の上のディアンヌ、同情顔のエスカノール。
拒絶の背には近寄れない空気がある。 - 「…心配ですね」
気の毒そうに呟いたエスカノールに、マーリンが鋭く投げかけた。
「お前こそ どうなのだ」 - 「え…」空色の目がパチリと開かれ、汗が額から顎まで つと流れ落ちていく。「あ… ああ」
言い淀み、だが、彼は殊更 快活に笑った。
「少し咳き込んだだけですよ!! ハハハ この通り 私なら まだ戦えます!!」
左腕に作った力こぶを右手でパンパンと叩く。
「夕方が近いので微力ですが お役に立てないことも なくはありませんよ」
自信があるのやら ないのやら。 - 「プチ傲慢」と、ホーク。
- 「………………………そうか」
ぽつりと返して、マーリンは目を伏せていた。
長い沈黙に含まれるのは、静かな怒りかもしれない。
「さ… さあ まずはマーリンさんの魔力を元に戻すのが先決です!!」
わざとらしく話を変えようとする男を強いて無視して、キングに問いかける。
◆エスカノールに対しては拗ねたり怒ったりするマーリンさん、可愛いです。 - 「ところで… バンの姿が見えんようだが…?」
「…ああ」「バンなら――――」
言葉を詰まらせると、キングは俯いて表情を翳らせた。 - バンは、エレインと共に暮らす私室にいた。
羽が生え<十戒>すら圧倒する力を得た彼女は、元気になったかのように見えたが、またすぐに体調を崩し、ベッドに伏せっていたのである。
◆羽が生えたら仰向けには寝れなくなるのかなと思ってたら、普通に寝てました。体の下に敷いても痛くないみたい。妖精の羽は柔らかで頑丈なんですね。鱗粉も はげたりしないのか。
それはそうと、ホークママが引っ繰り返ったのに、この部屋は綺麗に片づけられていて、棚に花の挿された花瓶まで飾られていました。バンが全部片づけて、花を飾り直したのかなあ、この短時間で。マメな人ですね。 - 『…さっきは大分 揺れただろう 平気だったか?』
『うん… それより みんなが無事で よかったわ…』
ベッドサイドから語りかけるバンに答えるエレイン。喋る力もないのか、二人の会話は「心の声」で成されていた。
◆二人の会話、フキダシが全てフラッシュ線になっていたので、心の声で会話していると解釈しましたが、実際にはどういう意味なんでしょう?
この解釈で正しいのなら、どうしてそんな方法で会話しているのか。エレインが声すら出せなくなっているということ?? でも、表情や呼吸は穏やかなんですよね。
静かな衰弱ということでしょうか。そして、このまま眠るように…? - 『いや…………』『…犠牲は出ちまった』
『知ってる…… でもグロキシニア様とドロール様は 自ら望んでいたの…』『…最期に二人の心の声が聞こえた』
哀しげな恋人に微笑みかけて、エレインは ス… と細い右手を差し伸ばす。
『バンが気に病むことじゃないのよ? だから――…』
その手を、ずっと大きな手がギュッと握った。
『わかってるっつーの エレイン』 - 横たわる少女の額に自分のそれを合わせ、目を覗き込んで笑う。手を強く握りしめたまま。
『もう 泣きごとは言わねえ♬』『俺は今の自分 にできることだけをやるつもりだ♬』 - エレインは嬉しそうに微笑んだ。
◆流石の心理カウンセラー・エレインちゃん。
時々バンのお母さんみたいですね。幼女の外見で精神的にお母さん。バブみって言うんですか こういうの? - 同じ頃、ホークママの額の上。
髪をなびかせて座るエリザベスが、膝にメリオダスの頭を乗せている。
「メリオダス…………………」「私は あなたの傍に ずっといるから……」
<豚の帽子>亭に背を向け、眠る恋人に語りかけた。
まるで、世界に二人ぼっちでいるかのように。 - 一方、<豚の帽子>亭内の<大罪>たちは次なる行動に移っていた。
一階の店舗からマーリンの私室に場を変える。
部屋の中には棚や机から吹っ飛んだ魔法具 が足の踏み場もなく散乱しており、その中を漁って「絶対強制解除 」の呪言の玉を発掘した。それを用いてマーリンにかけられた「魔力封じ 」を解除すれば、彼女はすぐさま美熟女の姿に変身し直したものである。真の姿をさらすのは居心地が悪いらしい。
◆あれ。マーリン、えらくアッサリと復活しましたね(^_^;)。暫く無力化してるのかと思ってた。 - 「やっと呪言の玉が見つかったな やれやれ さっきの騒動で すっかり部屋が散らかった…」
手元に神器 を浮かべて余裕の 笑みを取り戻した彼女に、エスカノールもニコニコしっ放しだ。 - 「どうです マーリンさん 私とキングで お片付けしてあげてもよろしいですよ?」
目の前に浮いていたキングのクッションを両手で掴んで、上機嫌に伺いを立てたものだから、「オイラの神器を雑巾にするの やめてくれる?」とキングが少々焦って釘を刺した。 - 壊れたゴウセルもマーリンの私室に運び込まれ、ガラクタを掻き分けて設置された簡易ベッドに寝かされている。
「ゴウセル… きっと良くなるからね」
心配そうに呼びかけるディアンヌも「極微 」を解除され、今は人間サイズになっていた。着ているのはキング手製のお馴染みの服だ。 - そんな中、積み重なる
魔法具 の中に我が物顔に鼻先を突っ込んで掘り返しているのはホークである。
「プゴ プゴ」「なーーんかオモロイもんねーのー?」
やがて、内部で何かが回り続けている試験管を見つけて顔を寄せた。
「おんや~? なんだ この試験管は!」
それは、<十戒>不殺のグレイロードが封印された試験管だったのだが…。 - 「とにかく急いでチャンドラーへの対策を立てよう!!」
キングが檄を飛ばし、ディアンヌが頷いた。
「その前に団長とエリザベスを どこかへ避難させるのは?」
「奴がオイラたちに追いつくのに まだ時間は かかるはず!!」 - その頃、時ならぬ「夜」に包まれた地では。
くん… くん… と鼻を鳴らして風の匂いを嗅いだチャンドラーが、大きく身を屈めるや、大地を踏み割って一気に飛び立っていた。 - すると、一帯を覆っていた「夜」そのものが、ドロォッと とろけ剥がれて彼を包み、共に飛んでいったのである。
- 近付いてくる気配を、ホークママ上の全員が察知した。
「まさか…」と、戦慄するバン。
「来るぞ!!!」
マーリンの叫びに、キングとディアンヌは強張った顔を、エスカノールは傲慢らしからぬ不安に曇った顔を、迫る気配の方角に向けた。 - ハッと見上げたエリザベスの膝で、ピクと動くメリオダスの手。
- プゴッとホークが鼻息を吹いた。
「エスカノールが再び しょんぼりバージョンに!!」
一瞬で、エスカノールが痩せた小柄の中年男に戻っていた。 - 「!」
己の姿を見て驚くエスカノール。夕方ではあったが、まだ日は落ちていなかったはずだ。
「ということは また…」 - そう、ホークママの周囲一帯が、時ならぬ「夜」に包まれたのである。
チャンドラーは、もう来ている。 - 「まずい!!!」
「屋外 には団長とエリザベスが!!」
キングとディアンヌが部屋を飛び出した。 - 「二人を護るんだ!!」
バンやホークも、店舗に降りて外に飛び出していく。遅れて続くマーリンとエスカノール。 - そして彼らは見た。
「!!!?」 - 竜の翼を生やしたチャンドラーが
跪 いていた。右拳を地に押し当て、主君の前で跪礼 を取る騎士のように。
「お゛…」
唸り声に思えたのは泣き声だったのか。彼は泣いていた。滂沱と涙を流し、鼻水まで垂らして。
「お゛お゛お゛……!!!」
いや。正しくは歓喜の声だった。何故なら跪く彼の前に、目覚めたメリオダスが立っていたからである。
「お帰りなさいませ!!! メリオダス坊ちゃん!!!」 - 老臣を見下ろすメリオダスの目は冷たいものだった。背に翼状の闇を広げ、腰を片手で抱き寄せたエリザベスと共に、数十cmほどの高さに浮かんでいる。
- 「最悪のタイミングで目覚めおって…!!」
マーリンが苦虫を噛み潰す。 - 「なんてこった… あ… あの姿は<十戒>統率者メリオダス!!!」
殲滅状態 のまま、目覚めても姿が元に戻っていないメリオダスを見て、ホークが声を震わせた。 - 「違う!! てめぇは<七つの大罪>」「<
憤怒の罪 >メリオダスだ!!!」
バンが叫ぶ。 - メリオダスは漆黒の目を向けた。
「ああ… バン 何もかも覚えてるさ」「…お前たちはオレの大切な仲間だった」 - ハッとするバン。そして<大罪>たち。
- ホークは ホッと安堵の息を吐いた。
「な… なんだよ ビックリさせやがって~~~」
姿こそ半異形のままだが、中身はちゃんと元のメリオダスではないか。 - 「…仲間…… …だった?」
その後ろから、エスカノールが困惑した様子で呟く。 - 彼に抱き寄せられているエリザベスも、困惑の表情を浮かべていた。
(違う… この感じ…)(まるで あの時の…) - <大罪>たちに構わずに、メリオダスはチャンドラーに話しかける。
「チャンドラー オレをゼルドリスのもとへ案内してくれ」
「坊っちゃん… まさか その女を一緒に…!?」
エリザベスを離さぬ彼に、チャンドラーは不満の声をあげたが。
「連れていく ……文句は言わせねえ」
一言で黙らせる。 - 「待て!!
姉々 をどうするつもりだ!!?」
さっさと夜空に舞い上がった魔神たちを、マーリンが鋭く呼び止めた。 - 「エリザベスには もう時間がねえ… だが この方法なら」「エリザベスを必ず救える!!」
その答えに、ディアンヌが縋るように食いつく。
「エリザベスを必ず救える方法…!? ね… ねえ団長 だったら みんなで力を合わせて…」 - 「悪いが もうオレたちに関わるな…」
静かな拒絶は、しかし、有無を言わさぬ圧力を持っていた。 - 「…っ」
ディアンヌは竦み、言葉を呑んでしまう。キングもビクッと震えた。 - 「お前たちを殺したくはねえ………」
今までの最凶化とは違う。底冷えする虚ろな目と声は、どこか不気味な違和感と異物感をまとっている。
「<七つの大罪>は今日限りで――」「解散する!!!」
彼は冷淡に告げた。 - 次回「そして彼は旅に出る」
今回、エリザベスの両瞳に
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無意味な死
チャンドラー、アッサリ再襲来。しかも無傷。
メリオダスは<大罪>解散を通告し、自ら魔神族側へ戻ることに。それで全て解決するらしいです。
なんだか虚しくなりました。
グロキシニアとドロールの死は何だったのでしょうか。
彼らが命をかけようが かけまいが殆ど関係なく、目覚めた
少し前の、廃都コランドでのヘルブラムのエピソードを思い出しました。
彼も友を救うため身を犠牲にしましたが、殆ど意味がなく、目覚めた
ヘルブラムは何の意味があって退場したのか? と恨めしく思ったものでしたが、殆ど間を置かず、ほぼ同じパターンが繰り返されるとは。
メリオダスやエリザベスが目覚めるまでの 僅かな時間稼ぎの役に立ったんだから意味があるんだ、と思うべきでしょうか。
彼らの命が、僅かな時間稼ぎ程度の価値しかなかったと語られたことこそが哀しいのです。
せめてグロキシニアらがチャンドラーに一矢報いていてほしかったなあ…。毒が効いてて一時的にでも少し弱ったとか、腕一本失って再生に時間がかかるとか。
そうした配慮すらないので、犠牲死の感動エピソードとしては雑に感じました。不要キャラの在庫処分セールみたいだヨ~。(~_~;)
こんなことなら、死ななくてよかったじゃないか!
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エレインの生きる死ぬ詐欺
立派な羽を生やして闘級超アップしたことで完全に生き返ったのかと思われていたエレインが、また死にそうです。
はあああ?
えーと、つまり、あのパワーアップエピソードは別に何の意味もなかったということ?
申し訳ないけど、「もういい加減にしてくれよ…」という気分になってしまいました。
あのエピソードが不評だったか何かで、やり直すことにでもしたんですかね?
どうにも戸惑ってしまうのは、エレインの健康状態が短期間でコロコロ変わるからでもあります。
第219話
椅子に座ったままで、立ったり浮いたりしない。体調があまりよくないらしい。しかし重病には見えない。
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番外編
第219話と同日? パラレルワールド?
超元気にお買い物。少しも具合悪そうに見えない。
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第220話
第219話の夜。宴会に参加。すごく元気で、具合が悪そうには見えない。
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第222~223話
第220話翌日の午後。
ベッドから起き上がれないらしい。一晩で急に重病人になった。
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第227話
第223話の翌日の午前中。歩けないし飛べない。いよいよ悪化して、明日にも死にそうな重病人に見える。
↓
第228~230話
第227話の直後。
超元気で戦闘に参加、ビュンビュン空を飛び、大技を連発して大活躍、しまいに羽が生えて超パワーアップ。少しも具合が悪く見えない。さっきまで死にそうだったのは何だったんだよ!
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第233話
戦闘終了後の帰り道。自分で普通に飛んでいる。少しも具合が悪そうに見えない。
↓
今回(第242話)
第233話の数時間後。
また重病人になった。
ベッドから起き上がれないどころか、喋ることもできないらしい。今にも死にそうです。
僅か三日の間に、数時間刻みで「元気」と「死にそうな病人」の間を行ったり来たり。振り幅が大きすぎですよ~。死にそうなのか そうでもないのか、どっちじゃい!
脳内補完するなら、
基本「死にそう」なんだけど、エリザベスの治癒術で たまに「元気」になっている、
ということなんでしょうが(今 死にそうなのは、エリザベスがメリオダスにかかりっきりで、エレインに治癒術をかけていないからと推測)、それにしたって、都合よく元気だったり死にそうになったりし過ぎです。
この雑さじゃ、読者はエレインの不調に感情移入しづらい。
死にそうになっても「あーハイハイ、またですか。どうせ都合よく元気になるんでしょ? 死んでも生き返るんでしょ?」と思ってしまいそうになる。
エレインが再び「死にそう」に戻ったのは、恐らく、バンのパワーアップイベントに関わらせるためなんでしょうが…。
パンのパワーアップと同時に、エレインの完全復活も やり直すのかな。
今度は どんな感じになるんでしょうか。
今回、ホークママの転倒によって、マーリンの部屋の荷物が ぐちゃぐちゃに床に散乱しています。グレイロード入りの試験管はホークが発見していましたが、メラスキュラ入りのガラス瓶は…?
もしメラスキュラが瓶から出ていたとしたら、エレインに影響があるのでしょうか。誰かが うっかり踏み殺したりしたら、その瞬間にエレインは死ぬ? 小さな姿でもメラスキュラは毒蛇だから、弱ってるエレインや誰かを噛んだら毒に侵される?
今は ただの毒蛇のメラスキュラ。しかし今、エスカノールの健康を害するほどの瘴気をメリオダスが放出しています。かつて魔界の瘴気を浴びて上位魔神に変化したというメラスキュラが、メリオダスの強い瘴気を浴びたら、また魔神化することもあるのでしょうか?
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吹っ切れ、バン
ここ暫くずっと、バンが自分の力不足に悩む展開が続いていました。
(エレイン含む)皆より弱いのは嫌だ、メリオダスの役に立てないのは嫌だと、コンプレックスを膨らませて「強くなりたい!」→「パワーアップ!!」となるのかなと思っていたら、少し違う方向に行きましたね。
『もう 泣きごとは言わねえ♬』『俺は今の
自分 にできることだけをやるつもりだ♬』
名言!
おお。バンさんが一皮むけた。
バンの「
そんな力が発現したのは、幼少時から飢餓感を持ち、人から奪ってでも満たされたい(強くなりたい)と思っていたからでしょう。自分を「クソみてえ」な価値のない人間だと思っていたし、人から奪うことで己を強く見せようとしていた。
それが「泣きごとを言わず、今の自分に出来ることだけをやる」と。
人を羨むことをやめた・自分の小ささや不幸をポジティブな意味で認める強さを持った、…と解釈していいんですよね?
作者さんはバン&エレインのキャラブックで
バンは強くしたいです。彼は男性目線で見ると強くなってほしいキャラだと思いますし、僕も一皮むけてほしいと考えていますから、その構想を練っています。
(中略)
武器を手に入れたからパワーアップ、という単純な形にはしたくない。武器よりキャラクターありきだと思いますので、生身のバンをどう強くさせるか、ご期待ください!
と仰っています。
凝ったパワーアップが用意されているらしいのですが、恐らく、闘級がメリオダスやエスカノールを超えるとか、そういう方向ではないんでしょう。
「自分が今 持っている力」をより伸ばした形でのパワーアップになるんじゃないでしょうか。
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チャンドラーの「夜」
チャンドラーがもたらす「本物の夜」って何? という疑問を、これまで何度か考えてきましたが、今回、答えらしきものが示されていましたね。
チャンドラーが飛び立つと、星を抱く「夜」がドロォッと剥がれて彼にまとわりつき、一緒に飛んでいきました。
えええええ。そーゆーモノなの!?
思い返してみれば、第236話でチャンドラーがメリオダスのもとへ飛んでいった場面でも、彼の周囲にドロドロした闇がまとわりついていましたっけ。
てっきり「魔神の闇」かと思ってたけど、「夜」だったんですね。
いや、彼の「魔神の闇」を薄~く広げると「夜」にできるということなんかなあ。
つまり、マーリンは「本物の夜」と言ってたけど、自然現象としての本物ではなく、魔術効果的な意味で「本物の夜と同等の効果をもたらす闇」ってことなのかしらん。
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世界は敵だらけ?
眠るメリオダスが発する瘴気で、エスカノールとディアンヌが健康を害し始めた。(病気をしない妖精族であるキングすら あまり気分がよくなさそうだったので、弱っているエレインにも良くないかもしれません。)
で。
それをマーリンが指摘した途端、エリザベスが
「…彼は何も悪くないわ!!」
と怒鳴ってメリオダスに駆け寄り、連れて屋外に出て行きました。
エリザベスがこういう風に声を荒げるのって珍しい。よほど腹が立ったんでしょうけど……。
でも、マーリンは事実を告げただけ。(そしてどうやら、エリザベス自身も そのことに気付いていた。)何より、マーリン含む誰も、メリオダスを責める言動をとっていません。
どうしたのエリザベスちゃん。反応が過剰で、被害妄想者っぽいぞ。
仲間から離れて屋外に出たエリザベスは、眠るメリオダスに語り掛けるのでした。
「メリオダス…………………」「私は あなたの傍に ずっといるから……」
まるで、メリオダスが 仲間たちどころか世界中から非難・迫害されているかのような悲壮感ですね。
3000年前の聖戦末期辺りに、実際に迫害されてたのかな??
グロキシニアやドロールが姿を消した後は、<
第196話を思い出しました。
昔の自分に戻るのが怖い・バンに嫌われたかもと恐れるメリオダスを、エリザベスが優しく慰める場面です。
「……大丈夫 メリオダス」「私は何があっても誰を敵に回しても あなたの味方だから」「あなたの側に ずっといるから」
てっきり、バン様はあなたを嫌ったりしないわ、という方向で慰めるかと思っていたので、誰が敵になっても自分だけは側にいるという発言には度肝を抜かれたものです。思っていたより排他的なんだなあと。
つまるところエリザベスは、世界はメリオダス(と自分の恋)を受け入れない・敵である・自分だけが彼の理解者足り得ると、どこかで思っている。一種の独占欲ですかね?
仲間たちがチャンドラーからメリオダスとエリザベスを護るため戦ってから、恐らくニ時間も経っていません。
みんな、二人のために命をかけた。ディアンヌもキングも本気で庇い死にしようとしてましたし、グロキシニアとドロールは死にました。
そもそも、今回のチャンドラーの襲撃は「メリオダスを連れ戻す」のが目的であって、殺すことではありません。
もし殺されたとしても生き返りますし、エリザベスも、万が一死んでも すぐ転生します。無限コンティニュー可能です。
対して、キング、ディアンヌ、エスカノール辺りは、死んだら二度と生き返りません。セーブなしのゲームオーバーです。
また、メリオダスもエリザベスも元々、神に準ずる力を生まれ持った最強ランクの存在です。なにせ彼らのパワーアップは成長ではなく復活ですから。
彼らに比べ、今回戦った<大罪>下位メンバーたちは貧弱です。
つまり、最強ランクなうえ死なない二人を、彼らより遥かに弱くて一度死ねば終わりの人たちが、命を賭して護っていたんです。「仲間だから」というだけの理由で。
キングやディアンヌには帰るべき場所も待っている人たちもいるのに、それを捨てて、二人を護る方を取っていた。
その直後なのにエリザベスちゃんったら、皆さんありがとうではなく「メリオダスは何も悪くないわ!!」です。世界中が彼を理解しなくても私だけは味方よみたいな悲壮感を醸し出しているのです。こんだけ みんなに力を尽くしてもらっておいて!
ちょっと感じ悪いなぁ~と思っても、許されますよね。(;´Д`)
メリオダスがバイゼルで<十戒>に殺されかけた時、バンは、エレインが死ぬのを覚悟してメラスキュラの首を折りました。
以前エレイン復活のためメリオダスを殺そうとしたことへの償いではありますが、最愛の恋人を捨てて友人を取ったのです。(エレインもそれを許した。)
メリオダスやエリザベスも同じことが出来るのでしょうか。
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「あの時」って、どの時?
ついに目覚めたメリオダス。元通りのメリオダスだと安堵するホークですが、エリザベスは違和感を覚えます。
(違う… この感じ…)(まるで あの時の…)
「あの時」って、どの時?
3000年前のメリオダスを指しているのなら「あの頃の」と言いそうな気もします。
なので、今生もしくは ごく近い前世での、ごく限定的な状況下でのメリオダス、または「誰か」を指しているのではないかと思うのですが…。どうなんでしょうね?
エリザベスはメリオダスの何に違和感を覚えたのか。
感情が薄いことか。(人格に対する違和感)
はたまた、仲間に冷たい態度を取っていることか。(言動に対する違和感)
前者なら、以前に感情の薄いメリオダス、または似た「感じ」の誰かと会ったことがある。
後者なら、以前(第二部冒頭)に足手まといだから旅に付いてくるなとメリオダスに言われた辺りのことを指しているのかもしれません。(ただし、その時のメリオダスの様子と今回の彼の様子は特に似ていませんが。)
「愛」を奪われて感情が薄いらしいメリオダスさんは、気怠げな表情が少しエスタロッサに似てるなと思いました。
<慈愛>の戒禁持ちで「愛」に満ちたエスタロッサさんは、薄ら笑いがデフォルトですから、いーや全然似てないと言われればそうですが。
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身勝手な男
メリオダスが<大罪>解散を通告しました。
一般的な解釈は、
●仲間たちを殺したくないという思いやりからの発言である
●感情を奪われているので正気ではない
ということになるかと思います。
それを前提にしたうえで、それでも、「身勝手な男だな!」と思いました。
ドルイドの聖地での修行を終えた辺りから、メリオダスの
仲間たちに何も教えないし相談もしない。独断で(大勢の命を危険にさらす)行動を繰り返す。
当時の感想に「メリオダスの運転する行く先の判らない車で、仲間たちが連れ回されている感じ」だと書きましたが、
今回のエピソードは、
「行く先不明の車で さんざん連れ回された後、急に『お前たちを殺したくないから降りてくれ。オレは これからエリザベスと もっと危険な道を暴走するけどな。もう関わるなよ! 絶対関わるなよ!』と言われて、山奥の道に置き去りにされた」
みたいな印象でした(苦笑)。
これも何度も感想に書いてきましたが、私がメリオダスに期待するのは
「仲間たちに事情を話し、ちゃんと協力を頼むこと」
です。
第224話、自分とエリザベスにかけられた呪いを明かした時が、その絶好の機会だったと思うのですが、その目的で<大罪>を集めたこともハッキリ言わなかったし、「俺たちを助けてくれ、協力してくれ」と頭を下げることはありませんでした。
作中にあるのは「メリオダスが言わなくても・頭を下げなくても、仲間なら察して助けるのが当たり前である」という不文律です。
勿論、二人には幸せな結末を迎えてほしい。呪いも解けて共白髪まで連れ添ってほしい。そして、仲間たちが それを手助けするのは、素晴らしいことだと思う。
でもそれ、「仲間なら、して当然」「何も言わなくても尽くすのが当たり前」ではないでしょう?
そう私は思うのですが、作中では「当たり前」扱いになっている。
何も頼まれなくても、<大罪>たちはチャンドラーからメリオダスとエリザベスを護りました。まさに命を捨てる覚悟で。ハラハラしながら読みましたよ。
ところが、その直後の二人の反応は「メリオダスは何も悪くないわ!!」と「悪いが もう オレたちに関わるな」でした。拒絶。二人ぼっち宣言。
虚しいなあ。
ここまで引きずりまわしておいて、ほんっとーに身勝手ですよ。
何のために命をかけたんだろう。グロキシニアとドロールは何で死ななきゃならなかったんだろう。
どうしてメリオダスは、こうまで頑なに「俺たちを助けてくれ」と言わないのか?
番外編『大罪Vacation』でも、エリザベスに贈り物するための金を稼ぐ目的で仲間たちを騙して働かせて、事情の説明も・協力を頼むことも、最後までしなかったです。
ここまでくると、もはや、作者さんの信念みたいなものなのかなとさえ思えてきます。
作者さんは恐らく、メリオダスを「最高にかっこいい男」として描いているハズ。人に頭を下げる男はかっこ悪い、黙っていても周囲に尽くしてもらえる男が最高、と考えておられるのだったりして…?
ずっとモヤモヤしていたのですが、ふと思いました。
メリオダスと仲間たちの関係って、「対等な友人同士」というより「(日本の武家的な)主君と家臣」のイメージの方が近いんじゃないか? と。
主君の決定に従い、自分や家族の命を捨ててでも尽くし護るのこそが美徳、という。
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ところでメリオダスっていつから起きてたんでしょうね。
第234話の時点で薄目を開けてたし。
半覚醒状態だったのかもですが、実は、結構 前から意識があったのかも?
でないと、起きてすぐなのに状況を把握した様子だったのは腑に落ちない気もします。