『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第241話 受け継がれる魂

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週刊少年マガジン 2017年48号[2017年11月1日発売] [雑誌]

第241話 受け継がれる魂

  • 「<十戒>ドロール!!! グロキシニアか!!!」「答えろ!!! なぜ!!! <七つの大罪>を助けたのじゃ!!?」
    ホークママの背に<大罪>たちを降ろし、こちらに構えを取った二人にチャンドラーは鋭く問うた。
  • 「アンタに答える義理はないっス」
    「それにしても… 厄介な大物に絡まれましたね」
    二人は素早く複数の印を結び始める。グロキシニアは左手で、ドロールは四本 全ての手を使って。
  • 「ぬ!!?」
    たちまち下から突き上げられたチャンドラーを、噴き上がった大地が四方から包み込んだ。
    「ぬおおおおおおおお!!!」
  • 「こ… これは!!」
    仲間たちと驚くキング。その傍らには、再生した神器シャスティフォルがクッションの形で戻りつつある。
  • 合技 “鉱樹オルドーラ”
    チャンドラーを包み込んだのは、岩とも植物ともつかぬ巨大な塔だった。
    以前 キングたちが囚われたものとは形が違い、先が蕾のように膨らんで閉じている。
  • 「小癪な!!!」
    鉱樹の蕾の中でチャンドラーは歯を剥き、剣を振るった。
    ドンッと蕾がたわんで「ひいい!!!」とホークが悲鳴をあげたが、鉱物の強剛さと植物のしなやかさを併せ持つ鉱樹にはヒビ一つ入っていない。
    ◆鉱樹オルドーラ。いつか初代王たち以上の闘級にキングとディアンヌが成長したら、この合技を「完璧なる立方体パーフェクト・キューブ」と同等の結界として使えるのでは? 魔力は使うけど魔法じゃないから「絶対強制解除アブソリュート・キャンセル」で消去できないみたいだし。
  • 「ここは我らに任せるがいい」とドロールが言えば、
    「今のうちに逃げるっスよ」と、グロキシニアが しっしっ と犬を追い払うように手先を振った。
  • 彼の前に飛び上がって、キングが訴える。
    「オイラも共に戦います!!」「あの化け物チャンドラーは あまりに強い!!」
  • 途端に「ならボクも!!!」と耳元で叫ばれてキングは驚いた。ディアンヌを肩に乗せたままだったのだ。
    「ダメって言っても戦うんだからっ」「ニ゛ャッ」
    先程置いて行かれかけたことが余程 腹に据えかねたのか、ぷんぷんしている。
  • ディアンヌ~~~」
    キングは困ったように眉尻を下げたものの、先程のように無理に置いていくことはしなかった。
    だって、いにしえの王たちが来てくれたのだ。万に一つなら勝てるかもしれない。…それでも、非常に難しいだろうが。
    ◆人により解釈は様々でしょうが、私は、この場面のキングは前回とは違って「もしかしたら勝てるかも・抑えられるかも」という希望が半分くらいあったんじゃないかと受け取りました。
    でなければ、こうも簡単にディアンヌの参加を認めないでしょう。
  • 「バン…… みんなを頼んでもいいかな」
    見下ろして義弟に請えば
    「…ああ わかった」
    一拍 言葉を呑んで、彼は静かに請け負った。
  • 「ドロール!! グロキシニア!!」
    眠るメリオダスを抱いたエリザベスが何かを言おうとする。
  • 「何も言わなくていいっス…」
    グロキシニアが片手を振った。
  • 「これは友人あなたたちを裏切った償い」
    ドロールは背を向けている。
    「大喧嘩祭りの時は他人の空似と気にも留めませんでした」
  • グロキシニアが微笑んだ。
    「でも その懐かしい魔力で ようやく気付いた… キミは あのエリザベスなんスよね?」メリオダスを よろしく頼むっスよ…」
  • エリザベスの目に浮かぶ涙。
  • 「…さあ 行け!!」
    静かに、しかし強くドロールが促せば、ホークが甲高く掛け声をあげた。
    「おっ母!! ゴーー!!!」
    どんっと笑顔で駆け出すホークママ。
  • その間も、鉱樹は内部から めちゃくちゃに たわみ続けていた。
  • 「耐久限度が近い……」
    ドロールの呟きを聞いて、ゴク…と固唾を呑むキングとディアンヌ
  • 「……」
    グロキシアは僅かに目を伏せた。浮かんだのは、どこか哀しげな微笑み。
    それを振り切るように両腰に手を当てて胸を反らすと、殊更に明るい声を出す。
    「あっと! その前に」
    キングが「え」と彼に注意を向けたと同時に、足下から忍び寄った「翠蛸エメラルドオクト」がキングとディアンヌ、ついでにキングのクッションシャスティフォルキュッ と巻きついていた。
  • 「!!?」「初代妖精王様!? これは なんの…つもりです!?」
    「うに~~っ 外れない!!」
    じたばたもがく二人。グロキシニアは両腕を組んで澄まして笑った。
    「羽が生え始めたばかりの妖精と 小人の巨人には ご退場願うっス」
  • 「オイラたちだって まだ戦えます!!」
    「この程度も抜け出せないほど魔力を消耗してるくせに」
    「く……!!」
    キングは歯噛みし、ディアンヌは懸命に力んでいるが、締め付けるタコ足から抜け出ることは出来ない。
  • 「これでもキミを買ってるんスよ…?」
    グロキシニアは言った。背を向けたまま。
    「生え始めで アタシと同等に霊槍の力を引き出せるんス…」「羽が完全な進化を遂げた時 おそらくキミは歴代最強の妖精王になれる」
  • 同じく、ドロールも背で語る。
    ディアンヌよ… お前は これから巨人族を率いねばならぬ存在だ」「ここで死なせるわけにはいかん」
    「ボ… ボクが巨人族を!?」「そんなの… 無理だよ!!」
  • 「……巨人族は死をも恐れぬ勇敢なる戦士だ」「…言い換えれば 戦うことしか知らず 退く勇気を持てぬ臆病な種族」
    僅かに見えた巨人の始祖の横顔は暗く翳っていた。
    勝ち抜くことを誇り、敗北と撤退を恥として、敗北を受け入れられぬあまり、護っていたはずのものを捨てて 敵に寝返りさえした男が。
    「つまり その数を著しく減らした原因と責任は 王の私にある…」
    3000年ぶりに一族のもとに帰って、その衰退に驚き、悔いたのだろうか。彼らが今も始祖王ドロールを神と崇め、その戦いの理念に従い、戦いの中での死を本望としていたのだと知って。
  • 巨人族の繁栄の未来には きっとお前のような者が必要なのだ……!」
    戦うために生きるのではなく、大切な人と幸せに生きるために戦う者。誇りや恥に囚われぬ自由で柔らかな心を持つ者が。
    「なればこそ 私は新しき王――― いや 女王の盾となろう!!」
  • 「さ お喋りは おしまいっス」
    後継者たちに顔は見せぬまま、グロキシニアが左手指をパチッと弾いた。
  • 「待ってくだ…」
    キングの制止に構わず、彼らを拘束した翠蛸バスキアスは高速で飛んでいく。全力疾走するホークママの上でほどけ、彼らを残して風のように戻っていった。
  • 突如運ばれてきた二人に驚くバンやホークたちと、呆然としているキングとディアンヌ
    涙が、キングの目に滲んだ。

  • 「フーーーー ようやく…」長々と息を吐くドロールと
    「肩の荷が下りたっスね」少しだけ苦く、しかし明るく笑うグロキシニア。
  • 直後、たわみ軋み続けていた鉱樹の蕾が、ついに弾けた。
  • 同時に、弾丸のように飛び出してくるチャンドラー。振るわれた超長剣の斬撃を、ドロールとグロキシニアは左右に跳んで避けた。
    二人の間の大地が深く長く断ち割られる。
  • 舞い落ちる瓦礫の中、チャンドラーは竜の翼を広げて舞い降りた。
    「<十戒>… いや!!! 巨人王!!! 妖精王!!! これは重大な!!! 裏切りと見なす!!!」
    ◆チャンドラーさん「!!!」使いすぎィ。
  • 「我らは もはや<十戒>にも王にもあらず」
    ドロールは流れるように構えを取った。
    「ただの巨人と妖精ッス」
    穏やかに微笑うグロキシニアは、霊槍バスキアス死荊デスソーンに変形させる。

  • 怒り猛るチャンドラーの突進から、戦闘が始まった。
  • 印を結んだ両手を振るって生き物のように死荊デスソーンを操るグロキシニア。その荊は猛毒を持ち、トゲが掠りでもすれば、通常は即死する。
    だがチャンドラーは鞭や蛇のように しなり襲い掛かる荊を全回避し、剣で断ち切った。
  • ドロールが印を結んだ四本腕を動かす。
    途端に、地に叩き付けられるチャンドラー。
    大地が割れ、幾本もの巨大石柱となって天に突き上げたのだ。高速上昇による重力に潰され地に めり込んだが、血管を浮かせて立ち上がるや、拳一発で石柱を粉砕。
  • 開いた大穴から舞い戻ろうとした彼の背を、グロキシニアの守護虫ガーディアンが襲った。強烈な毒針一刺。それは確かにチャンドラーの背を穿ったが、毒針の方が折れ、毒が効いた様子もない。
  • それでも生まれた僅かな隙に、打ち込まれるドロールの鉄拳連打。
  • 両腕を交差したガードで耐えたチャンドラーは、超長剣でドロールの腕を斬り落とす。

  • 駆け続けるホークママは、チャンドラーの運んだ「夜」の領域を抜けた。
  • 心を読み聞く力のある者ならば、その声を聞けただろう。

    メリオダス… あなたは我らが奈落へと堕ちた あの日から――』『三千年もの永き間 己の意志を貫き続けてきたのですね………』

  • 日差しの中、己の膝に眠るメリオダスの頬や頭を優しく撫でながら、エリザベスは涙ぐんでいる。

  • 『たった一人の愛する女性のためとはいえ』『到底 誰にも 真似のできないことっスよ…』『キミらに もう一度会えてよかった』

  • ゴウセルを担いだホーク、バン、そしてキングと肩のディアンヌ。ホークママの背にある全員が遠ざかった彼らを想い、その魔力の状態を感じて、哀しげに地平線を見つめていた。

  • 彼らの目線の先、時ならぬ「夜」に包まれた地には、静寂が訪れている。

  • 『どうか』

  • 動いているのは、荒く息を吐いて佇むチャンドラー。
    その腕や胸には毒針の跡や斬り傷が残っていたものの、さしたるものではなく、既に血も止まりかけていた。

  • 『どうか』

  • 動かないのは大地に仰臥した二人。
    胸に袈裟懸けに刀傷を走らせたグロキシニアの四肢で満足なのは左手のみで、羽は子供が虫のそれを千切ったように散らばっている。
    ドロールの巨体からは腕が四本とも斬り落とされ、首も半ば以上が断たれていた。
  • 虚ろに目を開けたままの二人は、しかし、口元を微かに綻ばせている。
    まるで、満足しているかのように。

  • 『キミの苦しみが いつか報われますように……』

  • 沈黙した二人に背を向けて、チャンドラーは愛し子を追うべく歩み出した。
  • 次回「<七つの大罪終結

グロキシニアとドロールが死亡。

第235話でペナルティもなく魔神化が解かれたときは、お、この人たち普通に生き残れるかなと思ったんですけど、驚きのスピード処分でしたね。

 

彼らの死に顔は微笑んでいたし、この死に方でよかったんだろうなと思いつつも、少し物悲しい気分になってしまうのは、彼らが最初から死ぬつもりで来たのだと、あからさまに語られていたからです。

 

ゲラードは悲しんだだろうなあ…。

第235話見るに、彼女はメガドーザに同行していました。彼女が妖精族の領域を出たのって、森が焼失した時以外では初めてなんじゃないかな?

兄の死んで償う決意を聞いて、受け入れて覚悟して、見送るためにメガドーザでのドロールとの合流に付いて来たのだろうかと想像しました。

 

オスローや一般妖精のみんなが、ゲラードに寄り添ってくれたらいい。キングも、森に帰ったらハグしてあげてほしいです。

 

 

ドロールが

「これは友人あなたたちを裏切った償い」

とエリザベス(とメリオダス)に言ったのには、少し考えさせられました。

 

私含め、(人間族である)読者の多くが感じるドロ&グロの死に値する罪は「無関係の人間を、戯れに沢山殺した」ところではないかと思うのですが、そこは問われません。メリオダスとエリザベスを裏切ったこと」が死に値する罪なんですね。

 

友や仲間を裏切るのが死に値する罪ならば、魔神族を裏切っているメリオダスも死んで詫びるべき?

実際 彼は、同族を裏切り・殺した罪で魔神王&最高神に呪われています。

しかし作中で、それは「理不尽な罰」という扱いになっていて、メリオダスにそれを処した神々は「悪」と定義されている。

 

自分の都合で寝返ったグロキシニアやドロールと、やはり自分の都合で寝返ったメリオダス。一方は死に値するとされ、もう一方は救われるべきとされている。

うーん?

 

ここら辺に、作者さんの無意識の定義があるのだろうなと思っています。

魔神族は悪じゃない・戦争に善も悪もない・全種族は平等であるべきと語りつつ、「魔神(闇)は悪」という一般的な(人間族視点に偏った)価値観が根底に残されている。

よって、魔神族を裏切ったメリオダスは正しい。それを促したエリザベスも正しい。一方で、魔神族に寝返っていたグロキシニアたちは悪い。…という運びになっているんだろうなと。

 

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チャンドラーの「本物の夜」の正体?

 

 

チャンドラーは夜を伴って現れ、その夜の中ではエスカノールはパワーダウンしてしまう。マーリン曰く「本物の夜」ということで、地球の自転を操作するなり部分的時間移動するなりの、本当の自然現象上の夜なのかなと考えていましたところ。

今回、ホークママが駆け続けていくと、トンネルを抜けたみたいに昼に戻っておりました。

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うーんん?

じゃあチャンドラーのもたらす「夜」って、吸血鬼族がエジンバラでやってたのと同じ、一定の領域を魔力のフィールドで覆って日光を遮り、疑似的な夜にしてただけってこと??

 

吸血鬼族の作った常闇の中でもエスカノールは普通に昼の姿に変身してたのに、チャンドラーの闇だと変身できない。

これは単に、魔力の差ってだけ??

そもそも「本物の夜」って何なんだろう。

 

 

ところで、チャンドラーが「本物の夜」を自在にもたらせるなら、マーリンさんは「本物の真昼」をもたらして24時間いつでもエスカノールを「天上天下唯我独尊ザ・ワン」状態にすることができるのでしょうか。 

 

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エリザベス他人の空似だと思ってた問題

 

 

3000年前の修業編で、女神エリザベスと遭遇したキングは、どうして3000年前にエリザベスがいるのとディアンヌに問われて

「た… たしかにエリザベス様にそっくりだけど」「きっと他人の空似さ…」

と誤魔化していました。(と言いつつ、結局、王女エリザベスへと全く同じ対応をしてましたけど。)

 

そして今回、ドロール&グロキシニアも、王女エリザベスに対し同じ解釈をしていたと判明(笑)。

「大喧嘩祭りの時は他人の空似と気にも留めませんでした」

「でも その懐かしい魔力で ようやく気付いた… キミは あのエリザベスなんスよね?」 

えええ~…。

容姿と声はそっくり、名前もそのまま、メリオダスの傍で愛されてるのも同じ、大喧嘩祭りの舞台上で癒し(女神)の力も使ってたのに

なのに「他人の空似と気にも留め」ず、今「ようやく気付いた」んかーい!(苦笑)

流石に無理があるゾ~。(;^ω^)

 

でも、もはや こう説明する以外にないんでしょうね。

 

こうなると、大喧嘩祭りで人形ゴウセルに気付かなかったのも「人の顔と名前を覚えるのが苦手なんです」とか「<十戒ゴウセルに似てる気もしましたが他人の空似だと思っていました」で終了なのだろーか(笑)。

 

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グロキシニアの気持ち

 

 

グロキシニアの霊槍バスキアス第十形態「翠蛸エメラルドオクト」。

まだ彼の正体が妖精王だと明かされていなかった頃、タコ足の先っぽが黒いのは魔神の闇なのかなと思ってたんですが、魔神化が解けた今も黒いままですね。元々黒かったのか(苦笑)。

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触手プレ……いえ、なんでもありません。

 

 

グロキシニアは言いました。

羽が生え切れば、キングは歴代最強の妖精王になるだろうと。

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…って、歴代最強も何も、妖精王ってキングで三代目なんですけど。(;^ω^)

しかもグロキシニアは二代目妖精王ダリア(マッチョ)とは面識がなく、彼がどの程度の闘級だったか知らないはず。

フィーリングで語ってるなあ(笑)。

 

それとも、実はグロキシニアはダリアと面識があるとか?

 

妖精王が神樹に選ばれる詳細なシステムは未だ明かされていません。

 

全ての妖精の中から、その時点で最も力の大きな者が選ばれる?

最初から妖精王として生まれてくる?

 

もし前者なら、グロキシニアが妖精王として活動していた時代にダリアは一般妖精として存在していたのかもしれない。グロキシニアが封印された後、急遽 神樹に選ばれたのかもしれない。

…いや、それでも「(神樹の力を得た)妖精王としての」強さは知らないはずだしなあ。

 

個人的には、妖精王は最初から王として、神樹から生まれてくるんじゃないかと想像しています。「妹」は同じ枝から遅れて生まれるシステムとか?

 

 

 

 

最初、エリザベス(とメリオダス)に語りかけた時、ドロールは背を向けて顔を見せず、グロキシニアはエリザベスの方を向いて笑顔でした。

 

次に、キングとディアンヌと会話した時。

ドロール同様に、グロキシニアも背を向けました。キングに

「これでもキミを買ってるんスよ…?」

と本音を吐露して以降は背を向けたまま、全く表情を見せなかったです。

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相手と顔を見合わさないのは、感情を見透かされたくない、相手の情に流されたくない、という意味に見えます。

この時、グロキシニアはどんな気持ちだったんでしょう。

「肩の荷が下りた」と笑っていたように、未来を後進に託すのは安堵することでもあろうけど、寂しい・悔しいことでもあると思う。先達ぶっているけど彼の実年齢は1400歳で、1300歳前後のキングと大して変わりません。死ぬのが怖くなかったとは思えないです。

 

ドロールはディアンヌ巨人族の未来を託しました。けれど、グロキシニアは「妖精族を頼む」的なことは一切言いませんでした。「ゲラードを頼む」とすら言わなかったです。

託すまでもなくキングが「妖精王」だと認めていたから?

(二人が<大罪>の盾となって「最期くらい王様らしく」死ぬ 最終的な覚悟をしたのは、キングがそうしようとしたのを見たから、という面もあるかもしれない。)

一族を裏切ってしまった自分が、今更 王の立場で口を利くことを避けたのでしょうか。 

 

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ドロールの気持ち

 

 

第215話、ドロールは語りました。

巨人族にとって「戦いからの逃走」は死より恥。よって完全敗北した際に死ぬか寝返るか選択を迫られて、寝返りを選んだと。

彼は この決断が間違っていたとは認めたがらず、自分の正しさを証明したいがために、ディアンヌに「絶対成功しない」試練を与えさえしたものです。

ディアンヌが試練に成功した後も、唖然と驚くばかりで、間違いを認めたのかどうかは語られませんでした。

 

今回のエピソードは、その回答でもありました。

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「……巨人族は死をも恐れぬ勇敢なる戦士だ」「…言い換えれば 戦うことしか知らず 退く勇気を持てぬ臆病な種族」「つまり その数を著しく減らした原因と責任は 王の私にある…」

おお。間違っていたと認めたどころか、現在の巨人族の衰退すら自分のせいだと言い切っちゃって、逆に自虐気味なくらいです。

「恥」「誇り」に過剰にこだわる点からしても、ナイーブで潔癖な面があるんだろうなとは思っていましたが。なかなか融通の利かない人だなあ。(;^ω^)

 

でも、寝返りのエピソードを読んだときは、「こんな理由で一族を裏切って恥ずかしくなかったのか? 個人の誇りはあっても王の誇りはないのか?」「同族のディアンヌを殺そうとするし、王の自覚がないのか」と思ったのですが、王としての責任を考えるようになったんですね。

 

 

ディアンヌが幼くして家出するくらい馬の合わなかった「戦いの中に生きて死ぬのが本分」という巨人族の価値観。

それを根付かせたのは、やはりドロールだったということなんですかね。

そして、そのために一族が衰退したとドロールは見て、一族の変わり者扱いだったディアンヌこそが、新しい巨人族の価値観を根付かせてくれるはずだと考えた…のかな。 

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ただ、ディアンヌ巨人族の女王になるのは、私はあまり嬉しくないかもです。(^_^;)

だって、女王になったら責任ができるから、一族から離れるわけにはいかなくなるでしょう?

それはキングも同じで、彼は妖精界から離れるわけにはいかない。

そーなると、この二人、結婚できなくなるじゃないスか。

 

結婚は諦める?

別居婚

 

巨人族の数が既にすごく少ないのなら、ディアンヌの紹介で一族ごと妖精界に迎え入れてもらって、妖精王と巨人女王の夫婦のもと、二種族が仲良く暮らす…という未来もアリなのかもしれませんけど。

 

 

 

女神エリザベスが全種族の平等と平和を掲げておりますが、全ての種族が入り混じって仲良く暮らすファンタジックなユートピアが完成、みたいなオチにはならないと思っています。

だってこのお話、基本はアーサー王伝説で、舞台はブリタニア…即ち、1500年前くらいのグレートブリテン島(イギリス)ですから。

今のイギリスに、巨人や妖精や魔神や女神はいない。だから遠からず異種族たちは異界に去るのではないか。

キングが かつて人間族と結んだ和平の盟約みたいに「不干渉・不可侵によって平和を作る」道を選ぶことになるんじゃないかなあと。

 

で。

女神族には天界、魔神族には魔界、妖精族には妖精界と、それぞれ本拠となる異世界があると語られていますので、そこに帰ればいいと思えるのですが、今のところ、巨人族だけ本拠となる異界の存在が語られていません。

あの巨体では密かに人間に混じって暮らすのも難しい。

なので、妖精界に入れてもらったらいいんじゃなかろーか、とか。3000年前の聖戦の時も、妖精族と巨人族は仲良しな感じでしたし。

どうでしょうね。

 

 

 

なお、ディアンヌは性格・気質的に、「王」には向かないんじゃないかなあという気もしています。今後 成長すれば分かりませんが、現時点では。

 

 

 

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