『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第228話 女神と聖女

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週刊少年マガジン 2017年35号[2017年8月2日発売] [雑誌]

第228話 女神と聖女

  • ディアンヌ やめてくれ」「今のキミは正常じゃないんだ!!!」
    「ハアアア…」
    訴えるキングの前で、真紅に染めた目から血涙を振りこぼしながら、ディアンヌは愉快そうに舞い始める。
    “ドロールの舞い”
    片足立ちに屈んだ背で戦鎚をバトンのように回せば、それだけで地と空が渦を巻いた。悠々と立ち続けるエスカノールを除き、<大罪>たちは それぞれ身をかわして距離を取る。
  • 「どうやら ただの催眠や譫妄状態とは様子が違うようだが」
    フワ… と髪をスカートを揺らして宙に止まったマーリンの前で、キングが言う。
    「あれはメラスキュラの魔力じゃない… 虐殺された人々の怨念の魂が取り憑いているみたいなんだ…」
    ◆前回、マーリンは「全員 意識を強く保て!!!」「心を乗っ取られるぞ!!!」と警告してて、怨霊が取り憑きに来たと見通してたみたいな言動取ってたのに、実は何が起きたか・起こるか解ってなかったとゆーオチ。マーリンさんは思わせぶりが得意ですね。
  • 「全く厄介なことをしてくれる…」
    地上に降りたマーリンが言えば、バンも ぼやいた。
    「…んなもん どうやって倒すんだ?」
  • 「わからない!!」
    叫び返したキングはディアンヌに近づこうと試み続けていたが、シャン シャン と涼やかな音を響かせ振り回される巨大な戦鎚を避けるので精いっぱいだった。
    「でも なんとかしなくちゃ…」
    岩の上に降り立って、踊り続ける彼女を見上げる。
  • 『おそらく 怨念に物理的な攻撃はもちろん 魔力も効き目はない…』
    冑からヘルブラムの声が聞こえた。
    『ハーレクイン 許してくれ… 全ては俺っちの責任だ…』
    「!? ヘルブラム?」「それは どういう意味…!?」
  • 一方、マーリンはニヤリと笑んで仲間に指示を飛ばす。
    「各員… 多少殺すつもりで行け!!」「今のディアンヌ相手に 加減は許されんぞ?」
    「多少殺すってなんだよ…」
    呆れ顔で突っ込んでから、バンは心苦しげに「悪く思うなディアンヌ」と構えを取った。
  • 「みんな待って!!」
    キングは、踊るディアンヌを背に庇うように両腕を広げる。
    ディアンヌを傷つけても彼女に取り憑いた怨念は倒せやしない!!」
  • 量るようにディアンヌを見たゴウセルが、体内から ピ… と電子音を響かせるや顔色を変えた。
    「!!」「闘級……4万8000!?」「キング!! 離れて!!」
  • 警告はキングの耳には入っていない。いや、聞いたところで同じなのか。
    ディアンヌ!!」
    彼は岩の上から恋人に訴えた。
    「怨念なんかに呑まれちゃダメだ!!」「キミの心はもっと強いはずだろ!?」
  • その時だ、ヘルブラムが鋭く警告したのは。
    『ハーレクイン 下がるんだ!』
  • ゴッ
    踊りを終えたディアンヌが、巨大な足でキングを蹴飛ばした。
  • コオオォン
    石ころのように飛んだキングは建物の残骸を粉砕し、地に激突する。
  • 『ハーレ…クイン?』
    仰向けに倒れた彼は、こめかみから血を流して ぐったりと目を伏せていた。ヘルブラムの声にも応えない。
    『ハーレクイン!!』
  • 亡霊は手当ての手を持たず、その声を聞く者もいない。
  • 「しっかりするんだ」
    誰よりも早く駆け付けたゴウセルが、キングの両肩を掴んで呼びかけた。
    「?」
    そこで、何かに気付いたかのように、傍らに転がる冑に目を向ける。
    いつもキングが被っていた それは、無残なまでに大きく へしゃげていた。
  • 「キングは無事か?」
    空間転移で現れたマーリンに、ゴウセルは応える。
    「兜が うまく直撃から守ってくれたみたい」
    冑がここまで潰れたなら、被っていた方も もっとダメージを受けていそうなものだが、不思議と、命に別状はないようだ。
    ◆ヘルブラム、ついに「冑として」役に立つ!
    ゲームだったら「『ヘルブラムの冑』の身代わり効果(一回のみ)が発動」的な場面?

    マーリンがキングの状態を気にかけたの珍しい。
    ゴウセルはキングが吹っ飛んだのと殆ど同時にダッシュして駆けつけて、血相変えて声かけしてたので、彼の中のキングの優先順位(?)が すごく上がってるんだなーと思わせられました。
  • 「キャハハハハハハ」
    ディアンヌはと言えば、のけ反るようにして哄笑していた。恋人を蹴り殺しかけた罪悪感は塵ほども感じられない。
    「アハハ♡」
    愉快でたまらないとばかりに、口元に手を当ててケラケラ笑う少女に、ごく間近から語りかける男の声。
    「やれやれ… 多少の荒療治は必要そうですね」
    いつの間にか、彼女と横並びにエスカノールが立っていたのだ。
  • ディアンヌが赤い目を剥いた、直後。
  • バカ
    身軽に跳んだエスカノールの拳が、ディアンヌの腹部に炸裂した。
  • 「くふ…」
    俯いて呻いたディアンヌの腹部は、鎧もインナーも破砕し、素肌が露わになっている。
  • 「女性であることに免じて 顔は避けてあげましょう」
    静かな目でエスカノールが傲慢に言った、直後。
  • ドンッ
    ニヤリと嗤ったディアンヌに巨大な拳で殴り飛ばされていた。
  • もうもうと上がる土煙。
    背中から建物の瓦礫に激突したエスカノールは、蜘蛛の巣状に ひびの入ったそれに寄り掛かるようにしながら、悠々と両腕を組んでいた。服も体も全くの無傷だ。せいぜい、多少の埃汚れと、セットしていた髪が一筋ほど乱れた程度である。
    「なんと豪気な… この私の優しさを無視するとは…」
    首を軽く捻って、ゴキ、と音を立てる。
    「それでは 是非とも 気の済むまで拳で語り合いましょう」
  • 不穏なことを言った傍らに、ゴウセルが歩み出た。
    「待ってくれエスカノール キングの言う通りだよ」「ディアンヌを傷つける必要はない」
    闇色の光をまとわせた両手を掲げる。
    「俺が助ける」
  • 「に゛ゃっ」「はっ」「はっ」
    ディアンヌが戦鎚を構えて突進してきたが、怯むことなく、合わせて差し伸ばした両手から、彼女の顔面に光を放射した。
    侵入インベイション
  • 突撃中の動きのまま、ピタリとディアンヌが停止する。

  • ディアンヌの精神世界にゴウセルは侵入した。
    静かだ。暗くはなく、明るくもなく、風景もない。
    ゴウセルが踏み出せば、浅い水面を踏んだかのように、ちゃぷ…と波紋が広がっていく。
  • 探るように周囲を見回すゴウセルの服装は、現実で着ている鎧とは違っていた。
    上等な しつらえの上下に、毛皮の襟付き短套、太腿まであるブーツ。かつてナージャ姫がゴウセルに贈った、彼女とのデートの際に着用した思い出の服だ。
    恋しい女ナージャが好んだ物語の騎士メルドルのような出で立ちで、ゴウセルは凛々しく呼びかける。
    ディアンヌ!! どこにいる? ゴウセルだ!」「俺に姿を見せてくれ!! ディアンヌ!!」
  • 反応はない。
    「キングが キミのことを どれだけ心配しているか わかるだろう?」「頼むから応えて…」
  • 「キング…」
    「!」
    微かな声がした。ゴウセルは顔を向ける。
  • 「キング………」「キング………………」「ひっく」
    ディアンヌが泣いていた。
    ゴウセルが靴底しか濡らさず立っている水に、哀れにも太腿まで浸かって。
    「ボク… ダメな子… キングと心が通じ合ったからって… 有頂天になって…」
    そんな彼女の服装も現実とは違い、王都決戦の頃まで愛用していた革レオタードだ。
  • ディアンヌ……………」
    静かに見つめるゴウセルの前で、ディアンヌは透明な涙をぼろぼろと こぼして泣きじゃくる。
    「エリザベスに ひどいことを……!」「ボクのせいで エリザベスは……………」「エリザベスが死んじゃったら どうしよう!!」
  • 彼女の心はエリザベスへの罪悪感で一杯らしい。その涙に沈んで、いつしかゴウセルディアンヌと同じように太腿まで水に浸かっていた。
    「……可哀想に 心の傷に つけ込まれたんだね」
    「ひくっ …っ」
    「……さあ 俺と一緒に帰ろう? キングが待ってる」
  • ゴウセル…」「ボク… ボク…」
    立ったまま迷うディアンヌの背後に、ゴボゴボと沸き上がった水が伸びあがる。まるで水飴のような粘性を持ったそれは、ディアンヌの腰に絡みつくと ザパッ と引き上げ、ゴウセルから引き離した。
    「ダメだ」「返す…ものか」「この体は俺たちのものだ…」
    ディアンヌに取り憑いた怨霊たちなのだろう。水面のあちこちに禍々しい顔が盛り上がり、口々に言い放つ。
  • ディアンヌ 手を!!」
    取り残されたゴウセルが手を伸ばせば、ディアンヌも伸ばし返したものの、届くことなく。二人は悲恋物語の恋人たちのように遠く引き離されていった。
    ゴウセルーーー!!」

  • 精神世界から戻ったゴウセルが我に返った瞬間。
    ドンッ
    戦鎚が正面から彼の全身を打ち叩いていた。
  • 「ナイスショット♡」
    建物の壁に激突したゴウセルを見て、ゴルフクラブのように振りぬき切ったディアンヌが笑う。

  • 暗澹の繭 内部。
    「最高のショーじゃな~い?」「同士討ちなんて!! アッハハハハ~!!」
    耳まで裂けた口で腹を抱えて笑うメラスキュラ。
    「というか… 裏切り者の人形ゴウセルまでも<七つの大罪>だったとはね~~~~~!!」
    瓦礫に埋もれて項垂れたゴウセルを『視』ながら、こめかみに青筋を立たせた。
    「ホント腹立たしいサプライズばっっかりで飽きないわ~~~~!!」
  • 「外で何が起きてる!!?」
    メリオダスが下から怒鳴ったが、素知らぬ顔で笑った。
    「気になるなら自力で脱出すれば~~?」
    「くっ」
    歯噛みするメリオダス

  • コランド市街。
    人形のゴウセルに痛覚はなく、生き物のようなダメージは受けない。上半身の鎧は砕け散っていたが、すぐに瓦礫の中から立ち上がった。
    「その体は大切な仲間のものだ…」「お前たちの勝手にはさせない!!」
  • 「勝手………?」「勝手って~~~」
    ニコニコ笑うディアンヌは、戦鎚の鎚頭つちがしらをヒュンヒュンと振って勢いをつけ、その爪状の先を ザクッ と己の こめかみに突き刺した。
    「こんなこと?」
    血が無残に吹き出す。亡霊に憑かれた身体は痛みを感じないのか、笑顔のままだ。
  • 「やめろ!!」
    ゴウセルが怒鳴り、バンが素早く右腕を伸ばして摑む仕草をした。
    強奪スナッチ」!!
    離れた物体を摑み、引き寄せる魔力だ。戦鎚を掴んでディアンヌ自傷を止めようとしたのだが。
  • 「? 何かした?」
    わざとらしく笑ったディアンヌは、戦鎚の柄を両手で摑んでグイッと引っぱる。
    「くっ」
    反対にバンが引っぱられ、戦鎚の爪はまたもディアンヌの額に刺さって血を噴かせた。
  • 「ディアン……ヌ!!」
    意識を取り戻したキングが、横たわったまま泣く。
  • 目と こめかみから血を流すディアンヌが、猫のように目を細めて にんまりと嗤ったとき、
    『やめろ』
    通常のひとには聞こえぬ声が響いた。
  • キングの傍に転がっていた、へしゃげた冑。それが独りでに浮き上がった。<大罪>たちには そうとしか知覚できなかっただろう。
    『チミらは 恨む相手を間違ってる』『恨みを晴らすべき相手は この俺っち…』
    「お…まえ……は…」
    だが、ディアンヌに憑いた怨霊たちには、冑の上に浮かぶ妖精の姿が見えていた。
    『勝手な思い込みで罪のないチミらを』『皆殺しにした このヘルブラムだ』
  • 「様子が おかしい」
    かぶ冑と対峙して明らかに様子の変わったディアンヌに、怪訝な顔になるゴウセル
    「一体 何を喋ってんだ?」と、ホークが細かな瓦礫を掻き分けて頭を上げた。
  • 「ヘルブラム …どこへ?」
    横たわったまま動けないキングが、スーーッと高度を上げる冑に手を伸ばそうとしたが、肘すら地面から上げられない。
  • 冑はディアンヌの顔の高さまで浮かび上がった。
    「おまえは… あの…時の……妖精…」「覚えているぞ」「俺たちを殺した…」
    赤く染まった目を更に血走らせたディアンヌは、怒りに震える手のひらを、包むように冑に添える。
    この街コランドを滅ぼした妖精だ!!」
    ◆ヘルブラムは妖精狩りの老兵アルドリッチの姿を借りて虐殺を行っていたはずなのに、コランドの皆さんは妖精姿のヘルブラムを仇として認識してる。この都市では本当の姿で虐殺したってこと?
    それにしても、ファンブックによればヘルブラムの闘級は1400ぽっちしかないのに、聖騎士だっていただろう城塞都市を皆殺しなんて、よくできましたね。「付和雷同ブラインド・フォロー」って信頼関係ゼロの相手でも強制発動できるんでしょうか。
    それとも、最初は老兵の姿で何年もかけて都市の人間たちに取り入って、少しずつ殺していったのかな。
  • オオ と怨霊たちの怨嗟の呻きが沸き上がった。
    「憎い……」「殺せ……」「憎い…憎…憎憎憎憎憎憎憎憎憎…」
  • その声を正面から受け止めて、ヘルブラムは動かずに留まっている。ディアンヌの巨大な手のひらが、へしゃげた冑をゆっくりと包み込んでいった。
  • 「やめ… ……ろ」「行くな… ヘルブラム」
    キングは身を起こそうとしながらも出来ず、微かに震えて涙を滲ませるばかりだ。
  • 怨霊たちに押し潰される寸前、ヘルブラムは振り向いて微笑んだ。
    『さよならだ ハーレクイン』『チミの親友で いられてよかった』ディアンヌのこと ちゃんと幸せにしてやれよ』
  • ヘルブラムの笑顔。キングの目から大粒の涙が流れ落ちる。
  • ペキ
    呆気なく。
    小さな音を立てて冑はディアンヌに握り潰された。手を開けば、残骸はゴミのように落ちていく。
    ◆この場面、TV版『エヴァンゲリオン』で、主人公のシンジが、乗ってた初号機(巨人型兵器)で友人のカヲルくんを握り潰した場面を思い出しました。
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    この件でシンジは精神のバランスを いよいよ崩したものでしたけど、さて、ディアンヌはヘルブラムを握り潰したこと・彼がキングの親友であることを認識しているのでしょうか? スルー・大したことじゃない扱いにされそうで怖い。
    ディアンヌに苦しんでほしくは全然ないけど、ヘルブラムが虫けらみたいに存在を軽んじられるのは悲しい。
    また、親友を失ったキングの悲しみに恋人のディアンヌが気付きすらせずに、全く心を添わせないのだとしたら、むごい話だと思います。
  • 「淀んだ気配が消失していく」
    何が起きたのか、正確に知覚できたわけではないだろう。それでも、自身の感知できる範囲でゴウセルは呟いた。
    「………」
    しばし後、その表情が ハッと険しくなる。
    「いや… まだだ」「満たされない精神が幾つか残存している」
  • 赤い目のディアンヌが憤怒に顔を歪め、ギリ…と、砕かんばかりに歯噛みした。
    「恨み晴らさで おくべきか!!」
    大技を放つ気か、戦鎚を両手でバトンのように回し始める。
    「うあああ~~~~~っ!!」
  • (やめて…)(…ボクは もう誰も傷つけたくないのに…)
    ディアンヌの意識は嘆いていたが、意味をなさない。
  • 金風まんぷうの逆鱗”!!
    その時、突風が吹き上がってバトンを回すディアンヌの手を大きく弾いた。
    ◆「金風」と書いて「まんぷう」と読むので確定なんですね。第163話「王女と聖女」の感想で書いたことがありますが、「きんぷう」の誤植なのかと思ってた。
    なんにせよ、とても珍しい読み方だと思います。造語? マイナーな特殊読み?
  • 「この風は……」
    ハッとするバン。
  • エスカノールに殴られてすら微動だにしなかったディアンヌが、その風に大きくよろめいて たたらを踏んだ。
    そこに掛けられる優しい声。
    「もう ゆっくり眠っていいの」
  • 「!?」
    ハッとしたディアンヌが声の主の姿を確認するより早く。
  • “光あれ”
    ズッ
    羽毛を螺旋にまとわりつかせた紡錘型の光のドリルが、背後からディアンヌの胸を貫いた。
    「…っ」
    突き抜けた光はディアンヌの目のように赤く染まり、パリンと砕けて塵となって消える。
  • 見守っているマーリンとエスカノール。
  • ディアンヌが目を開けると、赤かったそれは元の色に戻っていた。足元に立つ二人の少女に、決まり悪げな顔を向ける。
    「どうして… キミ…が?」「ボクなんかのために…!!」
    透明な涙を流して自虐の言葉を吐く惨めなディアンヌに、凛々しく立って優しい微笑みを向ける女神エリザベス聖女エレイン
  • 「大切な友達だから……」「それじゃダメ?」
    舞い飛ぶ羽毛の中、そう告げたエリザベスの両目には女神の紋様トリスケルが浮かんでいる。
    ◆この場面でエリザベスの周囲に沢山ヒラヒラ舞っているモノ、直前の「光あれ」のドリルに羽毛っぽいモノが巻きついてるから、羽毛かなと判断しました。
    けど、次回以降の話を読むと、エリザベスが癒やしの力を使うときにもヒラヒラしたのがブワッと舞ってるんですよね。…羽毛じゃなくて、光で出来た花びらっぽいモノなのかな??
  • ディアンヌは唇を噛んで、ただ涙した。
  • 次回「愛は乙女の力」

第163話「王女と聖女」に引き続き、エレインは戦闘キャラとしても強いんだぜ!! エリザベスは慈悲を垂れるマジ女神だぜ!! と持ち上げるための導入回でした。

 

また、第146話「さらば愛しき盗賊」と同じ

メラスキュラ戦で絶体絶命のピンチ→身内の亡霊(ジバゴ / ヘルブラム)が身代わりとなる

パターンが踏襲された回でした。

 

 

今回は面白くなかったです。

お話の質が悪いというコトではなく、個人的な嗜好に合わなかったという意味で。

 

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犬死にのヘルブラム

 

 

ヘルブラムが退場しました。

それ自体は、キングに羽が生えて冑を背負えなくなった(デザイン的に邪魔になった)時点で、多くの読者が予測していたでしょう。近いうち、冑を手放すことになるだろうと。そのうえで、ヘルブラムが完全に退場するのか、別の携帯し易いアイテムに憑依し直すのかまでは判りませんでしたが。 

 

それにしたって。

なんてイヤな展開を選んでくれたのだろうか作者さんは、と恨めしい気分になりました。

考え方の違いなんでしょうか?

「親友のため自己犠牲して退場」という見せ場を与えられたんだから、むしろ優遇されてると思うべきだ、と怒られるのかもしれません。

でもなあ。結局のところ「女神エリザベス超スゲー!」と運ぶための噛ませ犬になっちゃってたじゃないですか。

 

親友のために自己犠牲したからカッコいい? 感動エピソード?

ど こ が。

自己犠牲までしたのに怨霊を鎮められませんでした・直後に現れたエリザベスが片手でチョイで怨霊を完全浄化しました。

(ヘルブラム曰く、怨霊には魔力も効かないとのことでしたが、エリザベスの魔力は普通に効くのであります。)

無 駄 死 に!

むしろキングに「親友を守れなかった」という心の傷を、またも刻み込んだだけ。

虚しいばかりで、ラストシーンのエリザベスが美しくカッコよく持ち上げられている分、後味が悪かったです。

 

 

ヘルブラム(とキング)は、『七つの大罪』作中で、最も贖罪を成しているキャラクターです。

妖精王を殺された報復に500年間 人間族への襲撃を続けたヘルブラムは、妖精王本人に断罪・処刑されました。

ここで彼の贖罪は終わっています。死刑になったんですから。

しかも、処刑を行った妖精王がヘルブラムの罪を肩代わりして、人間族の言うがまま逮捕・裁判に応じ、事実上の終身刑(禁固1000年)を受けました。更に、投獄200年目に人間族の都合で牢から出され、罪人騎士として人間族の王に使役される身となっています。

作中では、この辺を当たり前のことのように語っていますが、民の罪を王に負わせて牢に入れるなんて、本来は有り得ないことです。異種族の王に使役されていることも、客観的に見て、屈辱的な状況でしょう。 

 

だって、そもそもの発端は人間族が妖精王補佐を騙して誘拐し、妖精王を殺した事件なのですから。

キングは生きていましたが、記憶喪失・行方不明で、妖精族にとって死と同じ状態でした。それだけで人間族と妖精族が断絶・戦争になる理由に足りています。(生きていたからイイでしょ、って話じゃない。重傷を負わせた時点でアウトですよ。)事実、その後の数百年、妖精王の不在を知った人間族による 妖精王の森侵攻は度々 行われていますし。
作中で、ヘルブラムの報復は「逆恨みによる個人的な復讐」としてしか扱われていませんが、本当は、そんな簡単なコトではないと思うの。

 

また、罪人騎士として使役する際、バルトラ王(とメリオダスとマーリン)は、妖精王の森が大焼失したこと、当時 犯人が人間(バン)とされていたことをキングに伝えませんでした。伝えれば彼が従わないと判っていたからだと思います。つまりは、公正フェアに扱われていないのです。キングの方は公正フェアであろうとして、人間の言いなりに受刑したのに。

(そもそも、人間ではないキングに、人間の法に従う義務はありません。ディアンヌ連れて妖精界に戻るだけで済んだことでしたが、ヘルブラムを苦しませた分、自分も苦しまなければならない・贖罪せねばならないと、生真面目なキングは考えたのでしょう。)

「仲間だから」「王国の平和のため」という耳触りのいい言葉でくるんでいますが、大焼失を伝えなかった時点で、バルトラ王やメリオダスたちに公正な友情があったとは言えません。状況を客観的に見るならば、お人好しなキングが利用されていた、というのが実情だと思います。

 

ヘルブラムは処刑され、法的な贖罪はキングが肩代わりした。

これで、ヘルブラムの贖罪はきちんと成されていると、私は思っています。

 

だって、考えてみてください。作中に登場する他のキャラに、これ以上の贖罪をした者がいますか?

例えば、魔神フラウドリンは3000年間かけて 沢山 人間を殺したり騙したり魂を食ったりして苦しめました。(彼にとってみれば、仲間や祖国のため戦い続けていただけなんでしょうが。)彼はメリオダスに処刑されました。これで断罪終了です。

例えば、ロウは故郷を滅ぼされた恨みから、同じ組織に所属していただけの直接関係ない妖精・巨人・女神族たちを騙して虐殺しました。彼はグロキシニアに処刑されました。これで断罪終了です。(オスローに前世の罪を問う者なんていないですよね。)

そして、ドレファス、ヘンドリクセン、ギルサンダーらは、憑かれたり精神汚染されたり脅されたりして、10年間 大勢の人間を苦しめたり殺したりしました。バルトラ王は「王国に平和を取り戻すのが先決だから罪は問わない」としました。

他、グロキシニアやドロールは人間を沢山殺していますが、今のところ、全く罪を問われてはいません。

ヘルブラムだけです。本人が処刑されただけでなく、親友が罪を肩代わりして重い刑罰を受けたなんてのは。

 

それにヘルブラムは、処刑後も辱められ・苦しめられ続けました。

彼の遺体は埋葬されず、「商品」として200年もの間 転売され続けていました。これは、200年前にキングを逮捕した騎士団の中に、ヘルブラムの遺体を横流しして金儲けした者がいたことを暗示しています。700年前の妖精狩りたちと本質が変わってないんですね。

そしてヘンドリクセンの死者使役で強制的に蘇生させられ、魂を汚染・摩滅させられて、人間の手先として使われ、妖精王と戦うよう仕向けられました。結果として最も敬愛していたはずの妖精王に深い心の傷を与えましたし、ヘルブラムも苦しかったでしょう。最期には自ら完全な死を願いました。

 

 

「城塞都市コランドは数百年前に虐殺によって滅びた」と情報が出た時点で、ヘルブラムが虐殺した都市ではないか・死霊がヘルブラムを恨んで攻撃してくるのではという予想は、読者間に広がっていました。

私はその展開になったら嫌だなあと思ったので、このブログでは強いて取り上げませんでしたが。なので、その意味でも今回は しょんぼりでした(苦笑)。

 

どうして その展開になったら嫌だと思ったかと言えば、前述したように、ヘルブラムの虐殺の贖罪は既に完了していると考えていたからです。

でなければ、200年前のヘルブラムの処刑はおろか、キングがヘルブラムを手ずから処刑したこと・代わりに牢に入ったこと(その間 200年、エレインを更に孤独にさせたこと)の全てが、全くの無意味だったということになってしまう。意味がないのにディアンヌと別れて牢に入って200年も無駄にしたことになってしまう。

だから、今更、ヘルブラムが断罪される話なんて見たくありませんでした。

 

それに、もう一つ。

少し前の過去修業編で、散々 語ってたじゃないですか。

「キングは間違っている! メリオダスゴウセルもロウも<十戒>も、みんな可哀想な過去や事情を抱えてるんだから、相手がそれを隠してようがこちらの身内に危害を加えようが、怒ってはならない! 許せないキングは間違っている! たとえ嘘をつかれようが・誤魔化されようが・大切な身内を傷つけられようが、相手の事情を鑑みて『全身全霊で善悪を見極めて』許さなければならない!!」

って。

それが「この漫画世界の正義」だというのなら、ヘルブラムに殺されたコランドの皆さんも、彼を許さなければならないんじゃないですか?

 

…ええ、無理ですよね、そんなの。

ヘルブラムの「可哀想な過去・事情」なんて、コランドの人たちには何の関係もありませんもの。

 

でも、キングに対しては「事情があるんだから許さねばならない。許せないのは間違っている!」と、無理を押して強要しているんです。

どうしてこの物語は、キングとヘルブラム周りにだけ、やたら厳しいんでしょうか?

他のキャラたちは、ムカつく奴がいたら感情のままにブチ殺して(または瀕死にして)爽快に復讐することが許されているのに。

 

 

遺体が消滅して完全死亡した後、ヘルブラムが死者の都の門から引き返して冑に宿ったのは、キングのためでしょう。

キングがヘルブラムの件で心に深い傷を負ってしまっていたから、それを癒し・支えるために この世に留まった。

つまり、キングに対しての贖罪でした。

 

なのに、今回の退場で、キングに新たなトラウマを与えてしまいました。

これじゃ本末転倒です。キングを苦しめるために この世に留まっていたことになってしまった。

退場するにしても、キングを苦しめない方法で去ってほしかったなあ…。

つーか、「キングの前でヘルブラム死亡・キング泣く」ってパターンを何回見せられなければならないのか。

 

 

ヘルブラムは亡霊ですから、憑代よりしろにしてた冑を握り潰されたところで、ヘルブラムの霊自体は傷つかないのかもしれない。もしかしたら今後、平気な顔で再登場するのかもしれない。

そう思いつつも、ディアンヌに握り潰された=怨霊たちに摑み潰された と考えれば、霊魂としても完全消滅した可能性も拭い去れません。

今後の展開次第でしょうが、完全消滅なのだとしたら悲しいですね。

 

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役立たずのキング

 

 

今回、キングが全くの役立たずで悲しかったです。

こないだの過去修業編で やっと闘級アップして「大切なひとを守るために戦う」と声高に誓ったばかりなのに。恋人も親友も守れませんでしたとさ。

酷すぎる。がっかりです…。

 

エリザベスは超パワーで軽やかに親友を救った!

ヘルブラムは親友を救おうとしたが無意味だった!

キングは無力で親友を救えなかった!

この対比がね、もう…。意地が悪いというか何とゆーか。

 

 

今回に限らず、キングは 期待したタイミングで活躍してくれないキャラだという印象が強いです。 

 

●「ディアンヌの記憶はオイラが必ず取り戻す!」
 →ゴウセルが記憶を戻したと後で知らされる

●エレインの蘇生を察知して飛び出す
 →事件が終わって半日以上経ってから現場に到着

●大喧嘩祭りでディアンヌを守って戦う
 →キングがボロボロになっても倒しきれなかった敵を、ちょっとアドバイスを受けただけのディアンヌが楽々倒して戦闘終了

 

活躍してほしい・するだろうと思った時にしてくれない。痒いところに手を届かせてくれないから、読んでて欲求不満フラストレーションが溜まっちゃう。

 

 

 

メタ的に考えるなら、今回のお話は

主目的:エリザベスを輝かせる
副目的:ヘルブラムを退場させる

だったから、キングを活躍させるわけにはいかなかった、というコトなのでしょう。

彼の出番じゃないから、キングは簡単に戦闘不能になり・回復技を持ってるくせに使わず・寝転がって泣いてるだけの役立たずにならざるを得なかった。

それだけのことなんですよね。

でも。

ディアンヌの大危機なら、エリザベスよりキングに救ってほしかった。

ヘルブラムの自己犠牲をキングが見ているだけなんて展開は見たくなかった。

それが本音です。

 

読みたかったのは コレじゃないんや…! って気分でした。 

 

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自虐するディアンヌ

 

第223話、前世の記憶が戻ると三日で死ぬエリザベスの呪いが明かされる直前に、ディアンヌが「記憶を取り戻そう」とエリザベスを励ますエピソードが入った時点で、ああ、ディアンヌの立場を落として負い目を持たせ、対比的にエリザベスを持ち上げるつもりなんだなとは予想できていました。 

 

それにしたってさー。

コリャナイデショってくらいのディアンヌの落としぶり。

 

 

心の弱さから怨霊に憑かれて暴走した、ってところまでは別にいい。

けど。

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「どうして…キミ…が?」「ボクなんかのために…!!」

って、なんでそこまで自己卑下させたんですか作者さん。

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悲しかったです。

負い目に負い目を重ねて、これではディアンヌとエリザベスは対等な友人同士には見えないです。

 

 

第156話、大喧嘩祭り会場へ続く迷路でも、エリザベスがディアンヌを助けるエピソードはありました。

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ディアンヌ
「ボクを追いかけてくれたの………?」

エリザベス
「友達のために当然のことをしただけよ」

 

この時は、直前にディアンヌがエリザベスを助けるエピソードがあり、互いに助け合う対等な友人同士としてバランスが取れていました。

私はこのエピソード、好きでした。

 

でも今回は、とても嫌だった。

ディアンヌが「エリザベスに酷いことをした」と一方的に落とされていて、反対にエリザベスは「にも拘らずディアンヌを救う」と持ち上げられている。

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そもそも、ディアンヌはエリザベスに酷いことをしたんでしょうか?

ぶっちゃけ、ディアンヌが何を言おうと言わなかろうと、エリザベスは そのうち勝手に記憶を取り戻したでしょう。それにディアンヌが「記憶を取り戻そう」とエリザベスを励ましてしまったのは、事情を秘密にしたメリオダスの責任(彼の選択の結果)です。

 

エリザベスは致死の呪いにかかっている、可哀想に、でも助かるよう力を尽くすよ、友達だもの。…と、負い目など持たない親友の立場で、ディアンヌをエリザベスの隣に対等に立たせるのではいけなかったのでしょうか。

 

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藪の中

 

ディアンヌがキングを蹴り殺しかけ、キングの目の前でヘルブラムを握り潰した。

それについて考えていたら、なんだか『今昔物語』の「妻と共に丹波の国へ向かう男が大江山で縛られた話」(巻29第23)が思い浮かびました。芥川龍之介の『藪の中』の元ネタになった話です。

 

昔、京都の男が、妻の実家のある丹波の国(現在の京都府兵庫県)に行こうと、妻を馬に乗せて、自分は歩いて旅していました。

途中で若者と道連れになり、仲良くなります。

若者は立派な太刀を持っていました。男はそれが欲しくなり、自分の弓矢と交換してもらいました。

やがて弁当を食べることになり、「人に じろじろ見られると落ち着かない」と若者が言うので、道から外れて藪の中へ入りました。

果たして、若者は急に態度を変えると、太刀を奪い返して男を木に縛り付け、男の前で妻を強姦したのでした。

終わると、お前の妻がヨカッタのに免じて命だけは助けてやる、これからは お人好しも大概にすることだな、と言って、馬を奪って立ち去りました。

妻は縛られていた夫を解放し、こんなことでは頼りにならないと説教しました。それでも二人で再び旅を続けていきましたとさ。という話です。

 

幸いにも命は奪われず、怪我もなく、夫婦は旅を続けることができた。

しかし、元のままの夫婦関係には戻れないでしょう。互いに負い目と怒りを抱いているはずです。

 

ディアンヌはキングを蹴り殺しかけ、キングの目の前でヘルブラムを握り潰しました。

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ヘルブラムは「ディアンヌのこと ちゃんと幸せにしてやれよ」と言いましたが、果たして、親友を握り潰した女と幸せになれるものでしょうか?

 

 

…って。

ハイ、作者さんはきっと、こんなの何でもないとしか思ってないんですよね。

ディアンヌは怨霊に憑かれてたんだから何をしても彼女の罪じゃないし、キングの怪我なんてエリザベスが片手をヒョイと かざせば治る程度のコトでしかなく、ヘルブラムの退場も大したことではない、と。

この件で今後 何らかのドラマが発展することもないんでしょう。

何があろうとキングはディアンヌを嫌わないし責めないし、ただ愛し続ける。何か思うとしたら、守れなかった自分が悪い、みたいな感じなんでしょうか。

 

しかし、現実であれば互いに気まずくなっておかしくない状況です。

二人には仲良く幸せにあってほしいけれど、読者としては、何事もなかったかのようにスルーされるとしたらディアンヌが、自分が恋人の心身を痛めつけたことを自覚せず・少しも省みないのだとしたら)、それはそれでモヤモヤしちゃいますね。

 

作者さんは、どういう意図で、あえてディアンヌにヘルブラムを握り潰させたんでしょうか。

 

 

 

キング&ディアンヌはペア投票二位の人気カップルで、ファンブック『ペア罪 キング&ディアンヌ』が発売されることも決定している。二人が別れることはないでしょう。

そう解っていても、今回の話を読んで、ついつい思ってしまいました。

ディアンヌって、本当にキングのこと好きなの?

 

いくら憑かれていたからって、キングの説得に「一瞬たりとも動じず」蹴り飛ばしてゲラゲラ笑ってたのは、割とショックでした。

魔神化暴走したメリオダスだって、エリザベスだけは攻撃しなかったって言うのに。

 

加えて、精神世界でキングの名を連呼はしたものの、彼の容態を一度も心配しなかったです。

泣いて懺悔するのは「エリザベスに酷いことをした、エリザベスが死んだらどうしよう」ということばかり。

ディアンヌちゃんよ…。三日後に死ぬかもしれない友達の心配をするのも結構だけどさ、キミが蹴ったせいで「今」大怪我を負ってる恋人の心配もしてあげてよ。

冷たいなあ、と思ってしまいました。

ディアンヌの中のキングの優先順位が、エリザベスより ずっと下にあるみたい。

 

それに

「キングと心が通じ合ったからって… 有頂天になって…」

と言ってて、まるで、キングと恋愛関係になったのが悪いことだった(そのせいでエリザベスが死にそうになった)と後悔してるように感じられてしまう。

 

 

加えて、キングとディアンヌの間にゴウセルが割り込んだような形になっていたのも、モヤモヤを助長してくれました。

 

作者さんが そこまで意図していたとは思いたくないですが

キングが

「キミの心は もっと強いはずだろ!?」

と説得して失敗した後に、ゴウセルディアンヌは心の傷につけ込まれたのだと見抜く展開になっていたので、まるで

 

キングディアンヌの本当の心を理解できていない

ゴウセルディアンヌの本当の心を理解している

 

という対比になってるように見えて。

あたかも、ゴウセルこそがディアンヌの本当の理解者・相応しい男だと言われているかのようで、なんだか悲しかった。

 

その印象を強めたのが、精神世界でのゴウセルの服装です。

何故か、ナージャとのデートの時に着ていた勝負服だったんですよね。

精神世界での姿は、本音の反映と見るのが一般的でしょう。

素直に解釈するなら、ゴウセルディアンヌに、ナージャに対するのと同じような感情を…異性への好意を抱いている、という暗示になると思います。ゴウセル自身が自覚しているかどうかは別にして。

 

ゴウセルは、カッコイイ騎士の姿でディアンヌの精神世界に入り、彼女をお姫様のように救い出そうとした。物語みたいに。

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そして、キングの説得には全く反応しなかったディアンヌも、ゴウセルの呼びかけには応じて、彼の名を呼んで手を伸ばすのでした。

 

 

ゴウセルは、キングからディアンヌを奪おうなんて、考えていないでしょう。それは解っています。

ディアンヌに蹴られたキングに誰より早く駆け寄って心配したのはゴウセルでしたし、精神世界でも「キングが心配しているよ」と呼びかけていました。とてもいい人です。

でもなあ。

情けなく蹴られただけのキングと、カッコイイ騎士の姿でディアンヌと名を呼び合いながら引き裂かれたゴウセル

この対比はキツかった。ゴウセルの方が、キングよりよっぽど恋人らしい描かれ方をされていました。

 

 

ディアンヌの記憶がゴウセルに消された時も、ディアンヌは、怒ったり心配したりしたキングの気持ちは一つもすくい上げず、ゴウセルが記憶を戻してくれた彼は悪い子じゃないと、何故か全面的にゴウセルを支持して、キングの方を叱りました。

大喧嘩祭りのドロールゴーレム戦でも、キングへの強い信頼のおかげで勝てたと語りつつ、「本物よりカッコいいメリオダスのゴーレム」を同時に作ってたりして。

なんか、100%の気持ちをキングに向けてないニュアンスがあるんですよね。

 

そんなこんなで、「本当にキングのことが好きなの?」と、チラッと思ってしまいました。

今後のラブラブを期待したいです。

 

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全てはエリザベスを輝かせるために

 

 

言っても仕方のないことですけど、私、第一部の頃の「戦う力はないけれど、体を張って人々のために戦っていた」エリザベスの方が好きでした。

 

第二部になって女神の力に目覚め、

 

大喧嘩祭りでマラキア暗殺騎士団を「許して救う」エリザベス。

3000年前にインデュラ化した<十戒>を「許して救う」エリザベス。

そして今回、ディアンヌを「許して救」いました。

 

このパターン、好きじゃないです。

エリザベスが「救う」キャラが必要になる。

そのキャラはエリザベスを輝かせるための犠牲になります。とても惨めなことになる。

 

次は誰がエリザベスに「救われる」のかなあ。 

 

 

 

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