『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第223話 とまどう恋人たち

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週刊少年マガジン 2017年30号[2017年6月28日発売] [雑誌]

第223話 とまどう恋人たち

  • 畑や牧草地、まばらな人家を傍らに、どん どこ どん どこ と歩み続けるホークママ。
    その頭上の<豚の帽子>亭、バンとエレインの部屋で、ベッドに横たわり苦しそうに浅い息を吐くエレインに、エリザベスが癒やしの光を当てていた。
  • 施術が終わり、「フウ……」と深い息を吐くエレイン。
  • 「エレイン 具合はどう…?」
    ベッドサイドの椅子に腰かけたエリザベスが問えば、彼女は穏やかに微笑んだ。
    「ありがとうエリザベス 楽になったわ」
    「良かった…」
  • その様子を立ったまま見守るバンの表情は晴れない。

  • 暫く後。
    エレインの部屋に菓子と茶器が持ち込まれ、女子会が行われている。
  • 「『死しては前世の記憶を失い 幾度も転生を繰り返す』…不思議な話ね」
    エレインが言った。大きなクッションを背に置いて、半身を緩く起こした状態でベッドに横たわっている。
  • 「ボクもビックリだよ!! まさか エリザベスが あの三千年前の女神族エリザベスの生まれ変わりだったなんて!!」
    声を大きくするディアンヌは、片手にティーカップ、片手に焼き菓子ビスケットをつまんで、大きな口でシャクシャクと咀嚼していた。
    今日は目的地に着かないと判ったからだろう、鎧は脱いで、キング作の いつもの服に着替えている。
    「バンの作った お菓子 おいし~」
    巨人族の彼女は、人間の菓子を たらふく食べる機会になど恵まれなかったに違いない。随分と気に入ったようで、些か行儀悪く、喋る間も惜しんで食べていた。
  • 当のエリザベスは、少々居た堪れなさげに縮こまっている。
    「正直… 突然の話すぎて 頭が追いつかないの」「も… もちろん 全部を鵜呑みににしてるわけじゃないんだけど…」
  • 「本当は鵜呑みにしたいんじゃないの~~~~?」
    口の端に菓子屑をつけたまま、ウププ…♡ と笑って揶揄うディアンヌ
    「……」
    仄かに赤くなると、エリザベスは素直に小さく頷いた。
    ◆食べながら喋って口の端に食べかす付けちゃってるディアンヌは、ちょっと行儀悪い。(^^;) キングがいたら、デレデレしながら口を拭いてくれるのかな。
    ワイルドな食べ方は巨人族の文化的には普通で、上品に綺麗に食べるという概念がないのかも。エリザベスの傍にいたら、その所作を見て、自然と矯正されていくのかもしれないですね。
  • 「団長には もう話したんでしょ?」
    「う… うん でも誤魔化されちゃって」
    「ひどーーい団長!!」
  • 二人のガールズトークを、エレインは黙って見ていたが。
    「思い出してほしくない事情がある…… とか?」
    ぽつりと口を挟んだ。
  • 「え」
    キョトンとするエリザベス。
    そんなこと考えつきも していなかった。
  • 食べかけの菓子を握ったまま、ディアンヌがショックを受けた顔をする。
    「それって 団長が前世のエリザベスに すっごいエッチなことをしたとか? 浮気をしたとか?」
    「そこまでは わからないけど…」「浮気って何かしら…」
  • (思い出してほしくない事情……?)
    俄かにエリザベスは不安になった。
  • 「ねえ エレイン 団長の心を読むことって できないの?」
    「う~~~ん 意図的にそうしてるのか わからないけど 彼の心って本当に読めないのよね」
  • ディアンヌとエレインの会話を聞き流しながら、エリザベスは「思い出してほしくない事情」について考えている。その脳裏にゼルドリスの声が蘇った。
    『ならば全て 思い出せ!!』『その時 貴様は己の罪深さを思い知るんだ!!』
    「…っ」
    頭の奥に ズキッ と痛みが走り、こめかみを押さえる。
  • 幸いにして痛みは一瞬で過ぎ去り、手を膝に下ろして揃えた途端、がっディアンヌの両手に掴まれた。
    「絶対に思い出すんだよ!! がんばれ!!」「ボクはエリザベスを応援するからね!!」
    握った両手を目の高さに持ち上げ、力強く握りしめる。
    「ひょっとしたら… 辛い前世の記憶が蘇るかもしれない でも幸せな記憶だって 必ずあるよ!!」「ボクも… ゴウセルもそうだったもん!!」
  • 「……うん」
    心強い親友の励ましに、ニコッとエリザベスは微笑んだ。

  • その頃、どん どこ どん と歩くホークママの上空に現れた、一体の赤き魔神。
    「キャハ!!」
    魔神は攻撃をしようとしたのだろうが。
    「ブゴッ」
    ドーン
    その前に、くるっと顔を向けたホークママの鼻息一吹きで、呆気なく粉々になったのだった。
    ◆ええええええ。鼻息一発ですか。ホークママが、なんか、どんどん強くなる(苦笑)。

  • <豚の帽子>亭、一階店舗。
    ホークママから伝わる震動は、マーリンの魔法で軽減されている。それでも、ママが頭を大きく振ったからだろう、ガタッと大きな家鳴りがあった。
    とは言え、それも一回だけだ。後は カタ カタ… と、微かに酒瓶や食器が鳴る程度に戻る。
  • カウンター席に座るマーリンは家鳴りなど気にもせず、酒の入ったタンブラーを ぼんやりと傾けていた。
    (無事でいてくれ…… アーサー)
  • カウンターの中でタンブラーを磨きながら、バーテン服に着替えたエスカノールは切なげに彼女を見つめ、そっと溜息を吐く。
    「ハア…」(マーリンさん……)

  • <豚の帽子>亭、二階の食材の木の庭。
    トレイ状の庭の外縁手すりに手を置いて、ゴウセルは風に髪をもみくちゃにされながら行く手を眺めていた。
    「城塞都市コランド… この距離で すでに強い魔力を感じる 間違いなく<十戒>だ」「それだけじゃない… 何か不自然な気配に満ちている……」
    分析を終えた彼は、けれど、嬉しそうに笑う。
    「でも その前に――」
    立ち寄るべき場所があるからだ。

  • <豚の帽子>亭、外壁。ビールジョッキの取っ手を模した巨大な看板の辺り。
  • 「ねぇヘルブラム さっきは どこに行ってたのさ?」
    看板 最下部に設置された豚の銅像の上に神器クッションを敷いて、その上に腰かけたキングが親友の亡霊に尋ねている。
  • 「あっと! それより お祝いが まだだったよね~ ハーレクイン?」
    取っ手と外壁の間を くるくる潜り抜けながら、ヘルブラムは あからさまに話を逸らした。
    「お祝い?」
    「でっかわいコちゃんとのコト」
    宙に静止して、頭の上でパチパチパチと陽気に手を叩く。
    「…よかったね! おめでとう!!」
    「で…」「でっかわいコちゃんじゃなくて ディアンヌ…!」
    「そしてそして や~~~~っと生え始めた お世辞にも立派とは言い難い羽のコトも…」
    「失礼だなぁ!! も~ 何が言いたいのさっ!?」
  • 「だーかーら チミは ずっと」「俺っちの親友ってことさ!」
    「…?」「ヘルブラム………?」
    キングは戸惑った。親友の笑顔が、いつになく哀惜を帯びて見えたからだ。
  • ヘルブラムは語らない。廃都コランドに待ち受ける<十戒>が死霊使いであることも。エレインの命が再び尽きようとしていることも。
    だってハーレクインは、きっと乗り越える。

  • <豚の帽子>亭、屋上。
    その外縁手すりに並んで寄りかかって、髪を風になびかせながら進行方向を眺めているのは、メリオダスとバンだ。
  • 「なあ団ちょ」進行方向に目を向けたまま、軽い口調でバンが言った。
    「悪ィが 今回のだけは抜けさせてくれねぇか~~?」
  • 「…ああ いいぜ」
    こちらも軽い調子で即答である。
    目を見開いて、バンは傍らの親友を凝視した。
  • 「エレインのことだろ?」
    メリオダスはバンに目を向けず、ポーカーフェイスで話し続ける。
    「次元のひずみとやらを作ってんのは 十中八九 メラスキュラだ」「魔神王を「信仰」する あいつは 間違っても交渉のきく相手じゃねえ」「必ず戦うことになる… …でも 奴を殺せば――」
  • ギリ、とバンは歯を食いしばった。
    それを恐れていた時期もある。だが最早、それ以前の問題なのだ。
    「エレインは もう限界だ…」「メラスキュラを倒さずとも いずれ――…」
  • たとえば、マーリンがグレイロードをそうしたように、メラスキュラを生かしたまま捕らえ続けることも可能かもしれない。けれど、そうしたところで遠からずエレインは衰弱して死ぬだろう。
    メラスキュラの怨反魂おんはんごんの法は、死者の怨みの感情を増幅させて蘇生のエネルギーとする。今のエレインに それはない。むしろ、これまで よく保ってくれた。昨日は宴会に参加する元気があったが、今日は もう枕が上がらない。エリザベスの治癒術で小康は保てても、焼け石に水だ。これ以上を望んでも彼女を苦しめるだけではないか。
    「だから せめて 最期の瞬間は一緒にいてやりてぇ……」

  • その頃、ディアンヌとエリザベスが、笑顔でエレインの部屋を辞していた。
    エレインは横になったまま微笑んで、700年の孤独の果てに得た友人たちを見送っている。

  • メリオダスが、珍しく硬い表情になって言いかけた。
    「バン… お前の気持ちは」
    「わかんのかよ♬」
    遮るバン。
    「好きな女を 二度も死なせる気持ちが」
    苦しみゆえの憤りと八つ当たりを、メリオダスは黙って受け入れている。
    その表情は寂しげで、どこか虚ろだった。

  • その時だ。
    屋内から、カシャーン と何かが割れる音、次いで「キャーッ」と悲鳴が聞こえたのは。恐らくディアンヌである。
  • ハッと振り向くキング。
    ピクリと反応して様子を窺うゴウセル
  • 「たっ」「大変だっ メリオダス!!」
    そして屋上の跳ね上げ蓋を開けて、階下からホークが顔を出した。
    血相を変えて駆けだすメリオダス

  • 騒ぎが起きたのは一階の店舗。
    「放して ディアンヌ!!」
    ディアンヌに羽交い絞めにされたエリザベスが、ただならぬ様子で もがいている。
    「落ち着いて!! どうしたのエリザベス!?」
    暴れる親友を抑え込みながら、ディアンヌは泣きそうな顔で狼狽えていた。
  • 何が起こったのか解らない。
    エレインの部屋から出て、一階の店舗で酒をジョッキに注ごうとした。そこでエリザベスの様子が突然おかしくなったのだ。酒瓶は床で割れ、木製ジョッキも転がっている。
  • 唖然とするエスカノールと、鋭い視線を送るマーリン。
  • 「早く… 知らせなきゃ」
    エリザベスは取り乱した叫びをやめない。
    「何を!? 誰に!?」
    「バルザドが狼男ウェアフォックスに噛まれたって 早くメリオダスに知らせて頂戴!!」
    「バルザド…? だ… 誰?」
    ◆ここ、「狼男」に「ウェアフォックス」とルビが振ってありましたが、「ウェアウルフ」の間違いでは。
  • 「?」「お… 王女様?」
    固まっているエスカノールを置いて、マーリンが サッと席から立った。
  • そこに、ガシャッ ガシャッ と鎧を鳴らして、メリオダスが階段を駆け下りてくる。
    「何があった!?」
    「団長!! 急にエリザベスの様子が変に…」
    メリオダスを見るや、エリザベスが暴れるのをやめた。
    「ああ…! メリオダス」「バルザドが重傷だって 騎士団から連絡があって」
    その声音は、いつもの彼女からすると幾分低い。凛々しさがあって、まるで女騎士のようだ。
    ◆ちなみにこの「バルザドが狼男に噛まれて重傷」という記憶、第131話のドルイドの聖地での精神修行で描かれていた、ダナフォール騎士団の「森の西側に現れた狼男の討伐」任務に繋がっているっぽい。
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    バルザドはダナフォール騎士団の一員だった「炎のバルザド」ことケイン・バルザドのこと。第一部のバィゼル喧嘩祭りでキングを倒した おじいちゃんです。
  • 彼女の目を見たメリオダスの顔色が変わった。
    「……お前」「………まさか」
  • 「私が見よう」
    靴音を鳴らしてマーリンが歩み寄る。
    「エリザベス王女 私がわかるか?」
    乱れた前髪が落ちた少女の顎をつまんで、クイッと上を向かせた。
    「…!」
    マーリンの顔を見たエリザベスが、前髪の下の瞳を親しげに和ませる。
    「久しぶりね マーリン…」「見違えたわ… あんな幼かった子が…」
  • マーリンが目を見開いて硬直した。
  • 「まだ一人で ベリアルインに いるの?」「今日は また メリオダスのところへ遊びに来たのかしら?」
    先程とは、また少し声音や口調が違う。まるで次々と人格が変化しているかのように。
  • 「これは…」
    異常の大きさを悟って、ディアンヌが恐れたように一歩退いた。
  • バンとゴウセルは、階段の途中に立ち止まって様子を見ている。
  • 「エリザベス…………っ」
    喉が詰まったような声で恋人を呼んだ男に、彼女は パッと顔を向けた。
    「プッ プゴ!!?」
    その顔を見て、足元にいたホークがビクッと震える。
    「エリザベスちゃん… そ… その目は!!?」
  • 振り向いた際に前髪が払われて、露わになった両目。
    これまで、右目だけがその状態になることは たまにあった。
    女神族の紋様である三脚巴紋トリスケル
    それが今は、彼女の両の目に現れていたのである。
  • その両眼が ゆっくりと閉じられると、彼女は意識を失って床に倒れたのだった。

  • 昏倒したエリザベスは、彼女とメリオダスの私室に運び込まれ、ベッドに寝かされた。目覚めない彼女の左手を、ベッドサイドの椅子に座ったメリオダスが、手甲ガントレットを外した素手で握りしめている。周囲には<大罪>と子豚が集い、見守っていた。
  • 「一体何が どうなってるの?」
    遅れて来て困惑しきりのキングに問われたディアンヌは、泣き顔をツインテールの両先で隠しながら「ぐす…」と鼻を啜る。
    「ボクにも… わからない… 大丈夫かなエリザベス?」
  • 「マーリン 原因は わかんねえのか?」
    「……」
    バンに問われた魔女は、一瞬、口をつぐんだ。そして、目を伏せて答える。
    「私の呪いを解く際 ゼルドリスの魔力に干渉した影響だろう」
  • 「じゃ… 今度はエリザベスが その呪いに?」
    「違う」
    涙目のディアンヌの問いかけは遮られた。メリオダスによって。
    「エリザベスの記憶が戻り始めたんだ…」
  • 「…へ?」
    ディアンヌは目を丸くして、涙も引っ込んだ。
    「記憶が?」「それって… 前世の!? すごい!!」
    両手を握って、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
  • 「ん? 前世? なんの話?」
    「キング~ 絶対 驚くよ~~!?」
    笑って、ディアンヌは弾む声を大きくした。
    「なんと!! エリザベスは三千年前から 前世の記憶を失くしながら 何度も転生し続けているんだって!!」
    「ふええええ!? うそ!?」
    驚くキング。メリオダスは黙って聞いている。
    「だからエリザベスはね 前世の記憶を取り戻したいって さっきボクらに」
  • 「口を慎めディアンヌ!!」
    尖った声でマーリンが怒鳴りつけた。
  • 「!!?」
    ビクッと震えたディアンヌの顔が困惑と怯えに歪む。目の端に涙がにじんだ。
    「な… 何? どうして」
    今まで、マーリンにこれほど強く怒鳴られたことはない。そもそも何が悪いのかも解らない。理不尽な仕打ちへの戸惑いは、すぐに怒りへと変換された。
    「ひどいのは団長だよ!!」「エリザベスの その話を わざと無視したんだから」
    プンスカむくれながら、ビシッとメリオダスの背を指さす。
  • メリオダスは黙っていた。だが、
    「…もう終わりだ」
    僅かな間を置いて口を開く。
    「記憶が全部戻るまで そう時間は かからねえ…」「記憶が全て戻れば」
    エリザベスの左手を握る両手に ギュッ… と力が込められた。手だけではない。固く目を閉じて歯を食いしばり、苦悶の表情で彼は告げたのだ。
    「エリザベスは三日で死ぬ」
  • 愕然とする<大罪>とホーク。
  • マーリンだけは静かに目を伏せた。彼女は最初から知っていたのだろう。そのうえで、ゼルドリスの魔力のせいなどと嘘を言ったのだ。メリオダス自身が明かさぬ限り、仲間を騙してでも隠し通す心積もりだったらしい。
  • 「死…?」
    ディアンヌの声は情けなく震えた。
    「え? 何その冗談… ……団長?」
  • 「それが 俺たち二人の運命だ」
    振り向かぬまま、メリオダスは虚ろな目で返す。
    「もう黙ってる必要もなくなった」「お前らに全て話す」「俺の三千年の旅の目的を…」
    3000年前、女神エリザベスと二人で立ち向かった最大の戦い。その結末から呪われた運命は始まったのだ。
  • 次回「それが僕らの生きる道」

女子会の際に茶器が、酒場の場面で酒瓶が、震動でカタカタ音を立てていました。

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あれ? 第219話の新<豚の帽子>亭の説明に

マーリンの魔力でホークママの頭上に固定されているため、抜群の安定感と揺れのなさを再現!!

とあったから、完全無震動になったのかと思ってたら、そうじゃないのか。

(関係ないけど、上記の説明文の「揺れのなさを再現」って「揺れのなさを実現」の誤植でしょうか。)

そもそも、ベルトで固定してただけの旧<豚の帽子>亭すら、ホークママ全力疾走中の酒場内で、吊るしランプが揺れることすらなかったのです。本当なら大地震状態でしょうし、振動を無効化する魔法でも掛かってるのかなと思ってました。

で、新<豚の帽子>亭はブリタニア一の大魔導士マーリンの魔法が掛かってる。となれば、より凄くなって、完全無震動なんだろうナと…思ってたんだけど……。

うーん。

そうか。振動は軽減されてるだけで、あくまで揺れるんですね。

じゃあ、乗り物酔いする人や病人には地味に辛いのかも?

 

(ホークママが頭をブンと振って鼻息で赤き魔神を撃退した時、ちょっと家鳴りがした程度で ほぼ揺れてなかった・誰もよろめかなかったのは凄いと思いました。重力加速度制御の魔法も掛かってるっぽい?)

 

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エレインは浮気が解らない

 

 

まさか過去の団長は浮気したのかとディアンヌが言うのを聞いて、

「浮気って何かしら…」

と呟くエレインちゃん。

そうか。妖精族には結婚の概念がない。となれば「浮気」という概念もないんですね。

 

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と言って、浮気を疑ったり・嫉妬したりといった感情を知らない・感じない無知無垢な ふわふわちゃん…とゆーワケではない。ってのは、既に語られていましたっけ。

バンがジェリコと二人旅して同じ部屋に宿泊した際、エレインは死者の都からその様子を覗いて、泣いたり怒ったりしていましたし、邪術で負の感情を増幅され蘇生するや、ジェリコを殺そうとし、バンを粉々に切り刻みさえしました。

 

あくまで「浮気」という語彙が妖精族にない(文化的に、その言葉が使われる状況が少ない)だけであって、感情自体はあるということなんでしょう。

バンと共に人間界で暮らしていくのなら、そのうち、自然に「浮気」も「不倫」も彼女の語彙に追加されていくんでしょうね。(勿論、バンは浮気や不倫とは無縁だけど、他者との関わりで周囲に見ることになるでしょうから。) 

 

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信じてる

 

 

ヘルブラムは、廃都コランドに待ち受けるのが死霊使いの<十戒>であること、エレインの命が再び尽きかけていることを、キングに隠しています。

 

親友と妹を、またも一度に失ったら、キングはどうなるのか?

 

 

 

エレインは、自分が再び死んだ後のバンの心配はしても、キングの心配は一切しません。

恋人が一番大事で、肉親への思いは軽いから?

いや。多分、そういうことではないんじゃないかなと思っています。

 

エレインは、死者の都でキングと再会した時も、亡霊となったヘルブラムにキングへの伝言を頼んだ際も、常に「バンを守って」と言っていました。

バンに「兄さんを守って」と言ったことは、現時点で一度もありません。

 

これは、エレインにとってのキングが「絶対守護者」だからなんだろうと思っています。兄は強くて、何があっても「大切なひと」を守ってくれる存在だと。

そしてまた、死者の都でのエレインの独白

「あなたは自分のためよりも 誰かのために 力を発揮できるから」

を読むに、キングは 守るべき存在 がいるほど強くなれる性格だと知っている。

なので「バンを守って」と頼ることは、兄への絶対の信頼であると同時に、鼓舞・応援なんだろうなと。

(同時に、兄が「泣き虫(繊細)」で「虚勢ばかり張る(無理をする)」性格だとも知っているので、亡霊ヘルブラムに 暫く傍にいてあげてと頼んだのかなと。王都決戦直後のキングは、エレインの目から見てメンタル ボロボロだったんでしょう。…でも今は、ディアンヌという伴侶を得たので、一安心なのかも。)

 

 

一族や、<大罪>の仲間や、ディアンヌ……守るべき大切な存在がいる限り、キングは折れない。たとえ妹と親友を再び失っても。

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二人は そう信じているのかな、と思いました。

 

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メリオダスとエリザベスの呪わしくて可哀想な運命

 

 

エリザベスが3000年前から転生を繰り返していること、恐らく「長く生きられない、人生を全うできない」呪いを受けているんだろうことは想像していましたが、例えば「17歳までしか生きられない」的な時間制限なのかなと考えていたので、 「前世の記憶を取り戻すと死ぬ」という設定には非常に驚いたし、衝撃を受けました。

なんて残酷で意地の悪い呪いなんでしょうか! 可哀想ですね。

 

 

で。

とりあえず「可哀想」って部分は置いておいて~。(オイオイ)

 

 

メリオダスが、自分たちが呪われた経緯と「真の目的」について話し始める際、

「もう 黙ってる必要もなくなった」「お前らに全て話す」

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 と言ってて、「ん…?」と戸惑いました。

 

黙ってる必要」?

そりゃ、記憶を取り戻したら死ぬエリザベスに黙っておくのは当然ですが。「お前らに全て話す」と。

もしかして、ドルイドの修練窟でキングに「キミの本当の目的を話せ」と迫られた際に頑なに話さなかったのも、説明したらエリザベスが死ぬからだった、と言いたいのでしょうか??

 

あの時、メリオダスはこう言ってたけど。

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「…今 全てを話すことはできねぇ」「仮に話したところで信じてもらえるとも思えねぇ…」「正直なところな」

うーん…。

隠していた真相が「エリザベスの前世の記憶が蘇ったら死ぬから」でしかなかったのなら、打ち明けても支障なかったんじゃないんですか?(困惑)

だって、キングに打ち明けたらエリザベスの記憶が蘇るわけじゃないじゃん。

現に、マーリンや、恐らくザネリとジェンナも真相を知ってたけど、それは問題視されてなかったでしょう。

 

重く辛い話ですし、軽々しく話したくなかったのは解ります。

けれど、あれだけ正面から真剣に問うてきた仲間(一方的に呪いを解くための要員にされてる)にまで隠さなきゃいけないことだったんでしょうか? 一から十まで言う必要もなかったんだし。甚だ疑問。

 

メリオダスは「話したところで信じてもらえるとも思えねぇ」と、キングに真相を語ることを拒否しました。

当時から、この言い回しだと「お前は どうせ信じないだろう。俺はお前を信用していないから言いたくない」という意味に解釈できちゃうなァと思ってましたが。

つまりは、

メリオダスは、真相を話してもキングは信じず、果ては軽々しく周囲に吹聴してエリザベスにも伝わり、彼女の前世の記憶を早々に呼び覚ますかも…と疑ってた、ってコトだったんですかね?

私は、キングが人が真剣に説明することを信じない性格には見えないし、仮に信じられなかったとしても、それを周囲に吹聴して回るような口の軽い男ではないんじゃないかなと思う。のだけど。

 

 

今回の展開。

ちょっといやらしいなァ…と思ったのは、メリオダスが「真相」を明かす直前に、

ディアンヌが「記憶を絶対取り戻そう」とエリザベスを励ましたりメリオダスを責めたり、 

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バンが「好きな女を二度も死なせる気持ちが団長に解んのかよ」と八つ当たりするエピソードを、わざわざ入れたところです。

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ディアンヌとバンが、「事情も知らないくせに・無神経に」可哀想なメリオダスを責める。それに無言で耐えるメリオダス…。

すると「事情を知っている・メリオダス最大の理解者である」マーリンが、ビシッと叱りつけてくれるのでした。「口を慎め!!」と。

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この流れ、メリオダスに感情移入して読んでいたら、爽快でしょう。

そして、今後バンやディアンヌが(場合によってはキングも) どんな風に己を恥じたり悔やんだりするのかに、期待を募らせるのかも。

 

 

個人的な考えですが。

より可哀想な方が偉い、ってコトはないです。

何百回 恋人の最期を看取るのも、二度しか看取らないのも、辛さは変わらない。

だからバンには「団ちょは俺よりずっと辛い思いをしてきたんだ、俺に辛いと思う資格はねぇ」みたいな思い詰め方はしないでほしいな。(いや、しないでしょうけど)

まあ、普通に考えて、似た苦しみを持つメリオダスとバンで互いに励まし合って前に進む、のかな?

 

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にしても。

マーリンは3000年前の時点で、孤独で幼い天才少女だったんですねー。

それで、メリオダスに恋してたってわけか。

そして、その後3000年、残酷な呪いに囚われたメリオダスを見守ってきたと。

メリオダスのために仲間に嘘もつくし、秘密にするし、結果として何も知らない仲間が失言すると、ビシッと怒ります、と。

「二人だけで結束してる」感が凄い。(;^ω^)

第182話、16年前のリオネスに突然マーリンが現れて<大罪>を集めようだの戒めを討つ時だの言い出した時も、周囲の人たちを無視して、二人にしか解らない話で二人だけで盛り上がってて、置いてけぼり感が凄かったのを思い出しました。

 

でも、やっと「情報解禁」しましたし、これからは秘密主義はやめて、皆に本当に打ち解けてくれますかね? メリオダスもマーリンも。

それとも、あくまで<大罪>は呪いを解くために必要なコマであり、仮初の仲間なんでしょうか。

せめて自分たちがコマとして集められてたことくらい教えてあげてほしいです。

 

 

 

どうやら孤独な幼少期を送っていたらしいマーリン。 

彼女は彼女で、何かの宿命から救われたいと思っていて、その鍵となり得るのがアーサーってことなのかな。

 

話がズレますが。

今まで、エスカノールのマーリンへの恋は実らないものだと思ってたんですけど、最近の展開を見ていると、意外とエスマリ展開もあるのかなと思えてきました(笑)。

次世代編にガウェインが出るなら、恐らくエスカノールの息子なんでしょうが、その母親となるのは誰か…。まさかマーリン…? でも正直、彼女が母親になるイメージって全く湧かないです。  

 

 

 

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