『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第187話 滅びよ邪悪な者共よ

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週刊少年マガジン 2016年37・38号[2016年8月10日発売] [雑誌]

第187話 滅びよ邪悪な者共よ

  • 「ハウザー! 今の見たか?」
    「おう… 翼の生えた女が… デンゼル殿の身体に吸いこまれるみてぇに消え…た」
    複数人の町人や騎士たちを抑え込みながら、起きたばかりの奇怪な現象に驚き合うギルサンダーとハウザー。
    ◆ハウザー、デンゼルのこと「様」付けじゃなく「殿」付けなんですね。年齢も身分も かなり差があるので(相手は王族、ハウザーは庶民の出)、ちょっと違和感。ドレファスのことは「様」付けなのにな。
  • 『デンゼル』は確かめるように己の両手を眺め、握り開きしている。
  • <戒禁>に侵された騎士や町人たちが どよめき、怯えの声をあげた。
    「ひ…」
    「なんだ この邪悪な気配は……!!」
    ◆これは、彼らが魔神の下僕になっているからなのか。それとも、元々 女神族の気配は人間が怯えるほど邪悪なのか。
  • 「女神族なのですね…?」
    確かめたデスピアスの声に、『デンゼル』は振り向く。瞳に浮かぶ三脚巴トリスケルと表情の作り方以外は、彼そのままだが。
    「私は女神族<神兵長>ネロバスタ」「望みを言えば もう少し若い肉体が良かったのですが…」
    口調も、やはり元のデンゼルとは異なっていた。別人なのだ。
  • 「……」
    デンゼルの心は死んだ。口をつぐむデスピアス。
  • 「…それで何用です? 私を復活させたには それなりの理由が おありなのでしょう」「!!」
    尋ねたネロバスタは、塔の上からこちらを見下ろす灰色の魔神に目を止めた。
    「あれは…魔神族?」「あの戦で生きのびた残党が まだいたのか?」
  • そこでピリッと髭を震わせ、全身に悪寒を走らせる。間近に歩み寄る圧倒的な気配をようやく感知して。
    「お前は……!!」「<十戒>…」「「純潔」のデリエリ!!!?」
    ◆「純潔」…。もしや、デリエリの前で いちゃいちゃしたカップルは、みんな呪われてしまうのでしょうか。別名「リア充潰し」…!!
  • 髪を逆立たせ、左手にまとう闇を大きく膨らませて、今にも食い殺しそうな目で足早に近づいてくる。
  • 「なぜ… <十戒きさまら>は我ら女神族により「常闇の棺」に封印されたはず…!!」「封印を解いた愚か者は誰だ!!?」
    叫ぶネロバスタに、愚か者人間の一人であるデスピアスが懸命な面持ちで乞うた。
    「魔神どもの力はあまりに強大… どうか! 我らに御力をお貸し願う…!!」
  • ネロバスタの気配が、フッと剣呑に変わる。
    「では そなたら人間は―――」「<十戒>と戦わせるために女神族このわたし身体うつわを与えたと申すか?」
    額や首筋には血管が盛り上がっていた。激怒しているのだ。
  • それでもデスピアスは説得を続ける。そのために、デンゼルは彼を同行させたのだから。
    「その通りです ネロバスタ殿」「あなたの身体うつわぬしは魔神族を討つために おのが命を犠牲に……」
    「…断る」
    「え?」
    デスピアスが瞠目した、直後。
  • ドンッと衝撃音を残して、背に翼を生やしたネロバスタは天高く飛び去っていた。
  • 「マジか♪ 逃げたぞ」
    呆れて冷や汗を垂らしたバンの隣で、デスピアスは目を剥いて言葉も出ない。
    「…!!」
  • 矢のように飛ぶネロバスタの前に、素早く赤と灰の魔神たちが回り込んだ。
    「邪魔だ!! どけぇっ!!!」
    デンゼルの身体うつわのネロバスタは左手を突き出す。その先の空間がきらめき、ヒイィ…と、高く振動する音が鳴り始めた。
    聖櫃アーク”!!!
    きらめく光が魔神らを包み込む。
  • 「カ…」
    「キャハ…」
    成す術もなく、魔神らはボロボロと崩れて。
    「神の光に蝕まれよ!!」
    ネロバスタが力を強めれば、眩い光と共に砂細工のように脆く崩れ去ったのである。

  • 見上げて呟くモンスピート。
    「我らの闇と相反する力…」「光の粒子で対象を分解する 女神族固有の魔力…か」
  • 同じく見上げて、ハウザーは感嘆していた。
    「すげえ……!!」
    逃げたとはいえ、やはり、女神族は圧倒的ではないか。

  • だが。
    ゴウッと風を鳴らして、ネロバスタの背後にデリエリが飛翔した。
    振り向きざま、女神は再び魔力を放つ。
    聖櫃アーク”!!!
  • まともに喰らい、デリエリの全身が光に包まれた。
  • 「デリエリ……!!」
    モンスピートが顔色を変える。
  • 光に囚われたデリエリの身体が、ボロボロと崩れていった。
    「グ…ア…アア……」
    「黙って見逃せばよいものを…」
    光の中で身を丸めて苦しむ女魔神を残して、ネロバスタが飛び去ろうとした、その時。
    「ア!!!!」
    デリエリが咆哮した。
    その全身から噴き出した莫大な闇が、光を消し去る。
  • 「くっ」と、歯噛みするネロバスタ。
  • 「ケツから言うぞ」「殺す」
    長かった髪が分解され、顎のラインほどに短くなっていた。
    だが、それだけだ。
    まさに悪魔の形相で結論を告げたデリエリに。
    「死ねええーーー!!!」
    ネロバスタは剣で襲い掛かった。
  • 薙いだ剣は、まともにデリエリの首にぶつかる。
    だが、その首が飛ぶことはなかった。闇が首筋に集められている。それでガードしたのだ。
    対して、ネロバスタの剣は真っ二つに折れ、刃先は虚しく地上に落ちていく。
  • ネロバスタの顔に、びっしりと冷汗が浮かんだ。
    「まあ待て… 興奮するな 話をしようじゃないか
    …どうだ? お前が女神族われわれに怒りを向ける理由はわかっているつもりだ……が」
    言葉を一度切り、白い翼の女神は話を続けていく。説得のつもりか、目前に浮かぶ黒い翼の女魔神に向かって。
    「我らが お前たちとの協定を反故ほごにした件… 捕虜にした女子供を皆殺しにした件… それらは全て 我らがおさの命令でやったこと」
  • 命乞いをしているつもりだったのだろうか、この言いようで。
    次の瞬間、デリエリの闇の腕の一振りが、ネロバスタの宿る身体うつわを破壊していた。
    上半身は粉砕され、残った下半身が地上に落下していく。
  • 「あ…」
    小さく引きつったような声をあげ、見開いた目に涙を溢れさせるデスピアス。
    デンゼルの心だけでなく、今、体も死んだのだ。
    なんと惨めな結末だろう。十年以上研究を続け、非力な人間族でも活路を見出せるはすだと、信じていたのに。

  • デリエリはドンッと地上に降り立った。
    そこに歩み寄るモンスピート。
    「デリエリ… 気持ちはわかるが無茶は よくない」「神兵長クラスだからよかったものの<四大天使>なら話は別だよ」
    俯いて、デリエリは何も言わない。
    少し視線を彷徨わせると、モンスピートはデリエリの頭を ポン ポン と軽く叩いた。小さな子供を あやすように。
    「後で髪を整えてあげよう」
    「ん」
    やっと返事したデリエリは、髪が短くなったからだろうか、どこか幼く見える。
    彼女の頭を撫でながら、モンスピートは眼前の半壊した城を見やった。
    「これでここは堕ちたようなものだしね」

  • その頃、リオネス王城内。
    「陛下… お顔の色が優れないようですが?」
    「…………う…うむ」
    玉座に座るバルトラ王を、傍に控えたギーラが気遣っている。
    「父上… 少し奥で休まれた方が…」と、マーガレット。
  • その時、鎧を脱いだ聖騎士たち…ギルサンダー、ハウザー、サイモン、そしてグスタフを担いだスレイダーが駆け込んできた。
    「国王陛下ーーー!!」「早く城から脱出してください!!」
  • 「戦況は どうなっておる!? 報告せよ!!」
    国王の問いに返る報告。
    エスカノール殿が<十戒>の一人と共に行方不明に…」
    ◆ゼルドリスもエスカノールに吹っ飛ばされたこと、皆は知らないんですね。モンスピートは見ていなくとも正確に把握していましたが。
  • 「行方不明だ? 何してやがる!!」とドゲッド。
    「民の救助に行った聖騎士たちは?」とワイーヨ。
    ギルサンダーが返す。
    「聖騎士も民も 魔神側に寝返り暴徒と化した!!」「<十戒>の戒禁によってな…!!」
    スレイダーの補足。
    「それらの暴動で聖騎士一名死亡 一名が重傷です」
    彼が担ぐグスタフは、青い顔で冷や汗をびっしり浮かべ、殆ど意識を失っている。血圧が下がっているのだろう。
    「こここへ押しよせるのも時間の問題」「我々も別の<十戒>の戒禁で戦うことを封じられました…」
    ◆第177話で、一般民衆の現状が「ある者は自らと家族を守るため ある者は<十戒>に心酔し―― 生贄を捧げた」と語られていましたが、もしかすると、生きのびるため 小狡く魔神側に付いた者だけでなく、<敬神>の戒禁に掛かって心底 魔神の下僕になっている人間も、少なからずいるのかもしれないですね。
  • 「ちょ… 待ってよ デンゼル様は?」
    黙って聞いていたデルドレーが口を挟んだ。
    「デンゼル様は何か秘策があるって さっき外へ―――」
  • 「…死んだ」
    答えたのは、歩いて入ってきたデスピアスだ。
    真実である証しに、彼の両目からは とめどなく涙が流れている。
    言葉をなくすデルドレー。
  • デスピアスの後ろから入ってきたバンが、ハッと顔を上げた。
    吹き抜けの上階の手すりの上に、見慣れた鎧の男が立っている。
    元聖騎士長ドレファス…いや、<十戒>フラウドリンが。
  • 「お前たちも すぐに後を追わせてやる」
    「!!!!」
    邪悪な笑みと共に吐かれた言葉に、一同は声を呑んで戦慄した。
  • 次回「友を救う その剣 その魂」

えぇえええ…。

デンゼルさんが可哀想すぎるでしょ…。

第154話から23話も引っ張ってきた結末が これとは。悪い意味で驚きでした。

勝てずに負ける結末は同じでも、もうちょっと何かが報われるかと(せめて、勇気を人々の心に残すかと)思っていました。

 

結局、力無き者の努力や工夫なんて無意味、エスカノールやメリオダスのようなチート天才でなければ、立ち向かう価値すらなし、ということなのかなあ。

虚しいですね。

 

 

つーか、第168話で1ページ大ゴマ使ってドーンと言ってた、

ゴウセルの討伐作戦」

は どうなったの?

指揮者のデンゼルさん死んじゃったけど。(^^;)

 

ギーラが普通にバルトラ王の護衛してましたから、ギーラとベロニカが別行動でゴウセルを追っている、みたいな展開でもないんですよね。

まさか、尻つぼみに終わってしまうのかな…。

 

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あと、今回はデリエリが可愛かったですね。

急に印象が幼くなってきた感じがします。

 

女神族に皆殺しにされたという魔神族の捕虜の中に、デリエリの大切な人がいたんでしょうか。

母とか姉か妹とか、友達とか。

 

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剣の中の女神のこと

 

第168話でギーラが言っていました。

「(ゼルドンの研究棟で行われていた)研究の中には 三千年前の魔神族との大戦で用いられた秘術があると聞きましたが…」

アイテムに宿る女神の精神体(魂?)に、人間の肉体を渡して復活させる秘術は、3000年前から存在し、聖戦で使われていた、らしい。

 

一方 第77話、ケルヌンノスの角笛から語り掛けてきた女神は言っていました。

「(姿を見せるのは)不可能です 今のところは――…」「いにしえの戦で力を失った我らが 元の姿を再び構築するには しばし時間が必要です」

 

女神族が肉体を失った原因が「聖戦で力を使い果たしたから(聖戦終了後)」ならば。

「人間の肉体を、肉体を失った女神に、依代として与える」秘術が、聖戦中に用いられていたのって、微妙におかしくない?

 

うーん。

聖戦の最中、既に女神族側の戦力が足りなくなってて、肉体を失って戦闘不能になった女神をリサイクル的に戦わせるべく、人間の肉体を依代に使う技術が確立された、ってことなんでしょうか。

 

ちなみに、ネロバスタは「聖戦終了後に」剣に宿ったみたいでしたね。

常闇の棺に<十戒>を封じたことも、全ての魔神族を討伐したはずであることも認識していましたから。

 

しかし、剣に宿った後は意識がなかったらしい。

デンゼル含む、今の人間たちの状況を把握していませんでした。

 

 

肉体を依代として与えた人間は(精神的に)死ぬらしい。使い捨てなんですね。

そして、人間の肉体に宿った女神も(今回、ネロバスタが デリエリから みっともなく逃げようとした様子からして)、肉体が破壊されれば、やはり死ぬっぽい。

 

そもそも、元の姿を失って、剣などの道具に宿っているっていうのは、どういう状態なんでしょうか?

それは「死んでいる」ってことなの?

煉獄に黒モヤみたいな状態で潜んで力を取り戻そうとしている魔神王と、実は同じ状態なんでしょうか?

 

女神族の魂は死んでも「死者の都」へは行かないの?

本来は生まれ変わら(れ)ない存在なのか?

 

色々謎ですね。

 

 

 

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