『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第179話 希望を求めて

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週刊少年マガジン 2016年30号[2016年6月22日発売] [雑誌]

第179話 希望を求めて

  • 口から次々と黒炎弾を吐く灰色の魔神。その全てを掻い潜って走り、アーサーは魔神の脇を跳び抜けた。
    「は!!」
    薙いだ剣を振り切って背後に着地する。
    数拍を置いて、灰色の魔神は崩れ落ちて地を轟かせていた。
  • 強張った顔から大粒の汗を落とし、荒い息を吐くアーサー。
    「や…」
    ガシャン、と大の字にひっくり返ると、笑って歓声をあげた。
    「やったーーーーっ!!!!」
  • 魔神の肩から胸にかけて、地割れのように大きな剣傷が走っている。囮役を務めた騎士二人が登っても、もはや動きはしなかった。
  • 「お… おおっ! やりましたなアーサー様!!」
    豊かな髭をたくわえた老騎士が、魔神の上でピョンと跳ねて快哉を叫ぶ。
  • もう一人の兜騎士は魔神の屍を踏みにじった。
    「…しかし魔神族が これほど強力とは」
    「一・二匹倒すのに これでは 先が思いやられるのう」と、髭の老騎士。
    ◆「匹」か…。
  • 寝転がって空を見ながら、アーサーは笑みを浮かべた。
    「…それでも 誰かが やらねばならない」「諦めなければ いつか光は射すよ」
    ◆キャスが、アーサーのマントの肩部分を ハグハグ噛んでるぅ~!(カラー扉絵でも。)前は髪の毛も モグモグしてましたが、味見に余念ありませんね!?
    (真面目な話、アーサーの魔力か何かを食べて成長してるんでは?
    ドルイドの修練窟で出てきた以上、アーサー自身の内部から生まれた、彼の力か何かが実体化したモノなのかしらん。)

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    あと、キャスのぶち模様が真紅だったことに地味に驚きました。
    ついでに、ななしさんが緋袴に白上衣(道着?)で、巫女装束みたいだと思った。

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  • アーサー王…!」兜騎士が感極まったように声を詰まらせる。
    「ならば その光は アーサー様じゃの」と、髭の老騎士がウインクした。
  • 「わ… 私が? まさか!!」
    赤面して がばっ と半身を起こすアーサー。
    「私が光なんて おこがましい! ななし殿がいなければ正直危なかった」
    焦って顔を向け、異国の剣士に早口で呼びかける。
    「ななし殿 ありがとう!!」
  • 彼はすまし顔で草楊枝を噛んでいたが。
    『…その化け猫が ついている限り お前は死ぬまい』
    異国人らしい細い目を開くと、異国の言葉で呟いた。
    ◆果たして、化け猫は「付いて」いるのか「憑いて」いるのか。
  • 「…?」「な… なんて言ったんだろう…」
    キョトンとするアーサー。異国の剣士の視線の先にあるのが、己の肩に乗る風船猫キャスだとは気付きもしない。
  • その時だ。兜騎士が斧で天を指して警告した。
    アーサー王!!! 魔神の増援です!!!」
    全身真っ青の鳥型魔神が、五、六体ほど群れを成して飛んでくる。
    「う… うーん さすがに連戦は厳しいから…」
    焦って言いかけたアーサーに構うはずもなく、青色の魔神たちは口々に黒炎弾を吐く。
    「撤退ーーーーーーーーーーーーー!!!」
    ドパパァンと黒炎弾が炸裂するなかを、一行は泡を食って逃げ出すのだった。
  • 「く~~~~っ!! もっと もっと もっと強くならねば!!!」
    必死な顔で先頭を駆けてアーサーは叫ぶ。するといらえが返った。己の肩から。
    「ポクもアーサーが強くなるとうれしい」
  • 「!!! しゃ…喋った!!?」「喋れたのかキャス!!?」
    己の肩に乗る風船猫に驚愕の目を向けるアーサー。くっつかれてから一か月ほど経ったが、今まで一度も口をきいたことなんて なかったのに。
  • ななしは内心で考えている。
    (薄気味の悪い猫だ………)
    アーサーが風船猫に尋ねた。
    「い… 一人称「ポク」なの?」
    (…そこじゃなかろう!)
    内心ツッコミを入れる ななし。アーサーの後ろを走る髭の老騎士も、表情を見るに同じツッコミを脳に浮かべたのだろう。
  • そして、彼らの抵抗レジスタンスの日々は続いていく。
    ◆灰色の魔神の闘級は2700~3200程度。それを何とか倒せるようになったアーサーの今の強さは、第一部時点の<大罪>と同等くらい、ですかね?

    ところで ななしさん、喋る方は異国の言葉のようなのに(フキダシに横書きで記載され、アーサーたちは彼が何を言っているか理解できてない)、聞く方はブリタニアの言葉を理解できてるんですね。本当は喋る方もブリタニア語ができるのに、あえて喋ってない可能性もあるのかな?

    ななしさん曰く、キャスがついてる限りアーサーは死なない。反面「薄気味の悪い猫」とも評しています。アーサーの役には立つだろうけど正体が判らないって意味でしょうか。


  • 一方。
    リオネス王都より北、白夢しろゆめの森。
    魔物が棲み霧に包まれた魔境は、巨人のディアンヌを十年間隠しおおせたほど深い。
    その南東側に面した村で騒ぎが起きていた。
    ◆白夢の森の南東側を進むと、ダルマリーの町やバステ監獄(跡地?)があります。
    この森、第一部でディアンヌを捜しに行ったときは判りませんでしたが、思っていたより人里に近いし、森っていうより「山」だったんですね。
    かなり高い山がすっぽり霧に覆われてて、裾野に森が広がり、隣接するくらい近くに大きな村がある…。
  • 「あの聖騎士は見つけたか!?」
    オーダンの村と同様に、ここでも男たちが鎌や三又農具ピッチフォークを手に集まり、魔神の生贄にするべく聖騎士を追っていたのである。
    「くそ… 逃がした!! 野郎… パッと消えたかと思えば 別のところに現れやがる」
    「今頃 白夢の森に逃げちまってるよ」男の一人が霧に覆われた山を見やって「チッ」と舌打ちした。「追うか?」と別の男が尋ねたが。
    「いや…」と、尻込みする。
    「最近 森の中で とんでもねぇ化け物を見かけたって噂が後を絶たねぇからな…」
  • その頃。
    くだんの聖騎士は険しい山肌に背中をこすり付けて村を見下ろし、怯えた息を荒げていた。追手がないらしいのを確認すると、山の上を振り仰ぐ。霧が流れ、行く手はたちまち隠されていった。
    「霧が濃くなってきたようだ…」
    魔境と恐れられる山中で霧に包まれる。通常なら運のなさを嘆くところだろうが。
    「ついてたみたいですねぇ……」
    男は呟いて、フラッと立ち上がりながら失笑を漏らした。長い髪を後ろで一本縛りにし、顎髭と鼻の下には無精髭。右目の周囲に刀傷のような目立つ痣がある。
    「イヒヒッ… ついてる…か」「自分で言ってて笑けてきますよ」「今や どこへ逃げようと魔神どもで溢れかえってるというのにねぇ」
  • 脳裏に浮かぶのは、宿で聞いた村人たちの声。
    『今 この部屋に聖騎士が泊まってる』『早く知らせよう…』『聖騎士の魂を差し出せば 俺たち助かるんだ!!』
    ベッドから跳ね起きて、慣習的に枕元に置いていた大剣を掴み、かろうじて甲冑に着替えて飛び出してきたが、兜は置いてきてしまった。
    そう、リオネス王国聖騎士団<不気味な牙ウィアード・ファング>・隠形のゴルギウスのトレードマークだった、あの兜は。
  • 同胞にんげんはもはや味方ではない。農具を手に追ってきた人々の目は狂気に光り、背後に現れた赤き魔神にも劣らぬ おぞましさだった。
    思い出すだけで全身が震え、歯がガチガチと鳴る。大の男が。聖騎士ゴルギウスが。滑稽さに自分で笑えてしまう。
  • ほんの数ヶ月前までは聖騎士として権勢を誇り、民衆を思うさま支配して、任務と うそぶいて好きに殺してさえいたというのに。見下げていた彼らに今は追われ、差し伸べられる手もなく命を奪われようとしている。なんという惨めな境遇だろう。ああ、そのきっかけは、あの大罪人たちに敗れたことだった。
    「<七つの大罪>に打ちのめされ王国を追われた次は――――…」「魔神族のエサですか… 豪勢な展開だ イヒッ…ヒ…」
  • その時である。
    どんっ
    「な……?」
    間近に轟音が響いた。ビリビリと周囲を振動させる その音はテンポよく続き、どんどんと近づいてくる。
    「足音………?」
    だとすれば、どれほど巨大な化け物なのか。
  • どごっ
    ついに、轟音はゴルギウスの間近にまで迫った。
  • 「ま…魔神?」
    霧に包まれ朧にしか見えないが、小山ほどもある大きさ。
    「あ… あ…… あああああ」
    巨大な一本角を生やし、大きな目は霧の中でもギラギラと輝いている。
    「あああああ~~~~~~~~~!!!」
    隠れてやり過ごすべきだったろう。なのに恐怖を、絶叫を抑えられなかった。
  • 「ひ」「あ」「あ」
    (これが死…)
    化け物の目が、確かにこちらを捉えている。
    (……意外とあっけないものですね)(イヒヒ… ヒ…)
    立ち向かう選択肢など浮かびもしない。諦めが心の糸をぷつりと切って、彼は自ら意識を手放したのである。
    ◆アーサーは諦めない。ゴルギウスは諦めている。

  • パチ…と、ゴルギウスは目を開いた。
    目に入ったのはガラス窓の向こうの森の景色。天井から下がる豚の形のランプ。
    室内だ。ベッドに寝かされている。
    「こ…………こは?」
    見回した。小ぢんまりとした部屋で、窓辺にはハンモックが掛けられている。
    甲冑はブーツだけ脱がせてあり、大剣と共にベッドの脇に並べられていた。何も盗られていないようである。
  • 室内には誰もいない。うろたえていると、ドアの外から男の大声が聞こえた。
    「おーーーーーい!! エール5杯追加!!」
    思わずビクッと震えたが、聞こえた内容は危険なものに思えない。むしろ、場違いなほど平和なような……?
    「?」
  • ドアを開ければ狭い階段があり、階下には大勢の男たちがざわめいていた。
    「「「乾杯ーーー!!」」」
    手に手に木製ジョッキを掲げ、打ち合わせて、なみなみと注がれたエールで喉を鳴らしている。
    「しっかし 山ん中で酒場ここを見つけた時は おったまげたぜ!!」
    「俺も てっきり あの世に来ちまったかと思ったもんな」
    「不思議だねえ 三日前までは ここにゃ何もなかったのに」
  • 「酒場…?」
    楽し気な彼らを見下ろして、ゴルギウスは困惑しきりである。
  • 「お待ちどおさまーー!!」
    その時、彼らのテーブルに新しいジョッキが運ばれてきた。
    「よっ 待ってました!!!」
    ヒューッ♥ と彼らは口笛を吹く。その可憐な女給ウェイトレスに向かって。
  • 「あ…あれは―――」
    ゴルギウスは顔色を変えた。その女に見覚えがあったからだ。
  • 「はいっ 大ジョッキ五つ!!」
    テーブルに力強く五つの大ジョッキを置いた、銀髪の少女。
    それは、リオネス王女・エリザベスに他ならなかった。
  • 次回「さまよえる騎士」

 一挙二話掲載の一話目です。巻頭カラーでした。

 

 

前回に続き、懐かしの<不気味な牙ウィアード・ファング>メンバー登場。

よく知られていることではありますが、やはりゴルギウス、作者さんに愛されてますね。(^^;)

ルインやフリージアがあっさり素顔をさらして登場、すぐさま殺されて退場したのに対し、ゴルギウスは死にません。素顔も、部分だけ見せるチラ見せ状態を なんと6ページも続けて、なっかなか全体を見せませんでした。なんなんじゃろ、この勿体ぶった演出(苦笑)。

 

 

ついこないだまで、聖騎士たちは民衆を理不尽に支配し、苦しめ、簡単に殺していました。

聖騎士は強者であり、民衆は弱者だったから。

民衆のバックに魔神が付いたことで、その力関係が逆転し、今度は聖騎士が虐げられる立場に。

可哀想ですが、因果応報な面もありますね。

 

 

けど、ハウザーのような、まったく民衆を虐げていない聖騎士は気の毒です。

無事に決まってるでしょうけど、わくぱく三人組やギーラ、ジェリコたちは、どんな風に過ごしているのかなあ。

アーサーがななしと行動しているように、大喧嘩祭り新キャラのフォローがなされるならば、ハウザーは吟遊詩人ソラシドと、ギルサンダーはギルフロストと一緒に行動してるのかもしれないですね。

 

 

 

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