【感想】『七つの大罪』第168話 <十戒>殲滅計画
週刊少年マガジン 2016年18号[2016年3月30日発売] [雑誌]
第168話 <十戒>殲滅計画
- 時は少し遡り――辺境の地ゼルドン
◆遡ったのは どのくらい?
ゼルドンの研究棟破壊が一昨日(26日)の午後と推測するので、前日(27日)の昼前あたりでしょうか。(「現在」は3月28日の夜になったところ。) - 砂浜で波に洗われている、屋根や外壁の一部と思しき瓦礫。そこに佇む二つの人影があった。
「凄まじい衝撃波だったみたいね… 酷い有り様だわ」
呟いたのはギーラだ。愛用の鎧に身を固め、小柄な女兵士を従えている。
魔神の攻撃とは どれほどのものだったのか。研究棟が建っていた場所から少々離れた この海岸まで、よくもまあ飛んだものだ。
「……何より この残存する魔力には覚えがある」「……ドレファス聖騎士長!」 - その言葉にハッとしたように、女兵士が兜で隠した顔を向ける。
- そこに男の声が響いた。
「いいか ギーラ! …それと新入り!!」
ジェリコの兄・聖騎士グスタフだ。
辺りには、やはり衝撃波で飛ばされてきたらしい、石灰化した巨樹の破片が林立していたが、その一つに立って見下ろしている。 - ギーラは傍らの女兵士を示して「ニッカです」と指摘した。「グスタフ殿 なんでしょう?」
「デンゼル様から 直々の伝達があるそうだ! 今後の作戦会議も行うからな 急ぎテントに集まれ!!」
傲慢に聞こえる物言いだが、配下を使わず自ら呼びに来たらしい。
とは言え、ギーラは先輩聖騎士に愛想も おもねりも見せはしない。素っ気なく「わかりました さ… 行くわよ」と、兜の女兵士を促して歩き出した。
◆番外編でのベロニカへの態度を見ていても思いましたが、ギーラってホント、形式的な礼儀は保ってるけど、人に好かれようという気がないですよね。(^_^;)
先輩が呼びに来てくれたんですから、もう少し愛想よくしてもバチは当たらないと思うんだけどなあ。 - 「……」
グスタフは女たちを見送っていたが、兜の女兵士が無言のまま すれ違って行きかけると、不機嫌そうに呼び止めた。
「ニッカとやら… 返事もしないとはいい度胸だな?」「ギーラの部下だそうだな… ここへ来るまで俺様に一度も挨拶なしとは どういう了見だ」 - 「・・・」
ニッカは足を止めてグスタフに顔を向けたが、やはり何も言わない。後ろからギーラが取り成した。
「グスタフ殿 どうか非礼をお許しください」「私も ほとほと手を焼いている始末でして」
肩をすくめてみせる態度は、どこか そらぞらしい。女兵士が無言のままギーラに肘鉄を打ちこんだが、彼女は易々と手で止めた。 - 石灰化した巨樹林の際に、リオネス軍の野営地が設けられていた。
医務や事務のためのテントに囲まれた中央、一段高い盛り土の上に張られた、なかなかに華美な大テントが本部である。
今、そこに十名近い騎士や兵士たちが集められ、奥に座す王弟デンゼルの前に整列していた。
◆すげー気になったんですが。大テントの上に人が寝てません??
え、なんだこれ。王弟がいるテントの上で寝るなんて許されるの? それ以前に、すっ裸に見えるし。わいせつぶつちんれつ……うむむ?
…や、人じゃなくて模様か何かかしらん? でも人っぽく見える…。この少し後の場面では、何も寝てないし模様もありませんでした。 - 「聖騎士グスタフ 聖騎士ギーラ 並び配下の者よ」「ゼルドンまで 急遽 救援に駆けつけてくれたこと感謝する」
鷹揚に言ったデンゼルの隣には、聖騎士デスピアスが立って控えている。
◆グスタフとギーラ以外に中央から派遣された聖騎士はいないようです。
ギーラの配下は「ニッカ」だけでしょう。となると、グスタフとギーラの後ろに並んでる三~五人くらいの騎士(兵士もしくは従騎士?)たちは全員グスタフの配下? 彼らは「グスタフ騎士団」でしょうか。
最下級の水晶 の聖騎士だった聖騎士ギャノンでも自分の騎士団を持ってましたから、それより二階級上のグスタフが騎士団を持ってても おかしくなさそう。 - 「破壊された塔は魔神族討伐のため建てられた代物だとか! 損害のほどは?」とグスタフ。
「研究の中には三千年前の魔神族との大戦で用いられた秘術があると聞きましたが…」とギーラが続ける。
「…特に問題ない」と、デンゼルは目を伏せて返した。「すでに研究による成果は こちらの手中にある…」 - 「……」何故なのか、デスピアスがチラリと不安げな視線をデンゼルに向けた。
◆ん? - デンゼルは言葉を続けている。「何より団員も全員 無事だった」
その頃、大テントの周囲に張られたテントの一つで、デルドレーの治療が行われていた。
簡易ベッドに寝かされた彼女の腹部に、口の中で文言を呟きながら、幼さを残す顔立ちの治癒士が癒しの光を当てている。
「…たゆたう光よ 女神の祝福をもたらしたまえ」
祈るような表情で見守っているのはアーデンとワイーヨ。ドゲッドは腕を組んで樽に腰掛け、あえて痛々しい現場から視線を外していた。
◆この治癒士ちゃん、王都決戦時に大怪我を負ったエリザベスに治癒術かけてくれてた子ですね。
元々、王の部屋の前に待機していて、スレイダーが押し掛けた際に騎士たちと共に扉を守っていました。若い見かけによらず、王近く仕える実力と、いざとなれば体も張る勇気を持つ人物と思われます。
治癒術を使えるのはドルイドのみってことは、この子もドルイド族か。男か女か、当時から気になってましたが、名前含め、そろそろ判るかな? - デルドレーの容体も落ち着き、一息ついて アーデンの怒りはぶり返した。
「ドレファスの野郎~~~!!!」「次に会ったら必ずブチ殺す!!」
「正確にはドレファス聖騎士長の中に入ってる<十戒>だ」
冷静なワイーヨの指摘に怒りをぶつける。
「うるせぇ!! もう少しでデルドレーは死ぬとこだったんだぞ!!?」
「ケガ人の前では お静かに」治癒士が不機嫌な声で注意した。 - 「アンタらしく…ないわね アーデン」横たわったままデルドレーが微笑む。「私のことで… そんなにムキになって…くれる…なんてさ…」
ぐっとアーデンが固まった。プイッと顔を背ける。「……るせぇ」
◆髪を下ろしたデルドレーが、いつもと雰囲気が違って、新鮮で可愛かったです。
- 緊張を緩めて樽に座り直し、ようやくドゲッドが口を開いた。
「ったく 揃いも揃って俺の偽者なんかに まんまとだまされやがって………」「もう少しで 全員 おっ死ぬところだったんだぞ!!」 - 「申し訳ない!!」ワイーヨは鉄の表情のままペコリと頭を下げる。「くそ… …悪ィ」アーデンは目を合わせられず項垂れ、デルドレーは微笑んで礼を言った。
「ありがとドゲッド」「アンタの「爆進 」がなかったら 今頃 木端微塵だったわ」
フラウドリンの攻撃で研究棟は崩壊した。この三人が生き残れたのは、ドゲッドが彼らを抱いて猛ダッシュし、瞬間的に逃れたからだ。
◆あれ。瞬動的な力を持ってるのはワイーヨかと思ってましたが、ドゲッドの方だったんですね。じゃあ、ワイーヨの魔力は何でしょう? - 「…それにしてもよ デンゼル様たちは崩壊の中 よく無事でいられたな」
アーデンが不思議そうに こぼすと、ドゲッドが返した。
「あの二人なら問題ねぇだろうよ デンゼル様にゃ秘密兵器もあるしな」
◆んん? デンゼルの隠し玉(三千年前に魔神に有効だった秘術?)って「魔神を倒すもの」ってだけじゃなくて「身を守れるもの」なんですか? - 「それと…」「ドレファスのことなら安心しろ…」ニヤリとドゲッドは嗤う。
「デンゼル様の「審判 」を受けて 夜も眠れねぇ状況だろうよ」
◆ドゲッドさんて、バンとタイプ似てる気がします。かなりの長身で痩躯で悪人面でケンカっ早い。服の趣味も似てる気がする(笑)。
出会ったら、凄く仲良くなるか・ガン飛ばし合うか・無視し合うか、どれかなー。 - その頃、人里離れた山中。山腹に雑に穿ち造ったかのような洞穴の奥に、魔神フラウドリンは潜んでいた。
上衣を脱いで岩に腰掛けた彼を、天井から差し込む幾筋かの光が照らしている。
傍らの闇に、ボオーと半透明の人影が浮かび上がった。ぽかりと開いた目鼻口から血を流す騎士である。
「どうした 私が恨めしいか?」
見もせず言う魔神に、亡霊は「オオ…」と呻きながら飛びかかった。
「が」フラウドリンは無造作に手刀で亡霊を突き崩す。「貴様ら如きに この私を倒すことは出来ん」
かき乱された煙のように形を失い、小さな白い魂となったそれを、ヒュ、と一息に吸ってゴクッと呑み下した。
「デンゼルめ 忌々しい奴よ」「”死人の復讐 ”と言ったか」「刻まれた聖印を肉ごと こそげ落としてみれば――」
その胸元には指先で肉を抉ったような傷があり、僅かに血で汚れている。
「また別の箇所に現れるとは… 何が聖印か まるで呪いだ!」
そして左手の甲には、先日デンゼルに胸元に刻まれたものと同じ、文字のような紋様が白く浮かび上がっていた。 - 「フラウドリン」「その肉体を捨てろ…」「ブリタニア制圧が優先」「術から解放される」
横に浮かぶ魔神グレイロードが無機質な声音で言う。フラウドリンは立ちあがった。
「…そういうな この体には 大分 愛着があるんだ できることなら手放したくない」
そして、ふと表情を曇らせる。
「それに少々 気にかかることもある」「…亡者共は私によって殺された者たちばかり」
それを思えば、真っ先に思い浮かぶべき顔がある。
「だとしたら なぜ 奴が現れぬ?」
先代聖騎士長ザラトラス。その後ろ姿を、彼は脳裏に浮かべていた。 - 場面はゼルドンの大テントに戻る。
「――しかし<十戒>とは それほどまで恐ろしい相手なのですか?」
水を差したのはグスタフだった。
「いえ… 我々は 先日 魔神化したヘンドリクセンと一戦を交えまして… あれ以上の化け物というのは にわかに信じ難いような…」
言葉を選びつつも微かな失笑が滲んでいる。背後の騎士たちも同様で、顔を見合わせて笑っていた。
「あの戦い」を経験した。それは彼らの自信となり、驕りにもなりつつあるのだろう。あれ以上はあり得ない、と。 - 頬杖をついたデンゼルは淡々と返した。
「ヘンドリクセンを つむじ風に喩 えるなら <十戒>は紛れもなく天変地異級 だろう」「目 のあたりにした時には すでに手遅れ」「<十戒>とは それほどの存在なのだ」 - グスタフはじめ、騎士たちが青ざめる。
- ギーラも表情を引き締め、顔を向けぬままグスタフに言った。
「…グスタフ殿 陛下には あまり口外するなと言われていたのですが」「<十戒>復活を察知した陛下は密偵を数名 各地に送ったそうです… …が 連絡は全て途絶えたとのこと」
「…!!」
色々な意味で ぎょっとして、グスタフは冷や汗を流しはじめる。
◆ギーラさん、すっかり「王族のお気に入り」ですね。他の聖騎士が知らされてない情報も知ってます、と。
ベロニカの剣術指南役に抜擢されて以来、大出世してるなー。 - その時、異を唱えた者がいた。
「いいえ…」「ただ一人戻ってきました」
デンゼルの傍らに立つデスピアスだ。
「それも たった今 …ただし 私が放った密偵ですが」
デンゼルが目を向ける。「そうか! …して詳細は?」 - しかし、他の騎士たちは不審そうに ざわめいた。
「み…密偵? どこです デスピアス殿?」「どこにも姿と気配は――…」
たった今 戻ったも何も、誰も入ってきていないではないか。 - すると。フ…と笑みを浮かべたデスピアスは、顔の横に目線を動かし、こう言い放ったのである。
「この子はインビジブル」「私にしか視えない妖精です」 - そこには、身長10cm程の愛らしい女妖精が浮かんでいた。
波打つ長い髪、大きな瞳、ぷっくりした赤い唇。妖精らしく尖った耳と小さな羽を持ち、くびれた腰と豊かな胸を露にして、身に着けているものといえば、レースのあしらわれた黒のオーバーニーソックスのみだ。
◆成熟ボディで裸んぼ。オイオイ。一般的な妖精族は服を着てるのにー。妖精の裸族ですかー。ニーソックスだけ穿いてるのが また、マニアックな(苦笑)。 - ただし。彼自身が言った通り、その姿は他の誰にも見えていない。
「彼女は とても恥ずかしがり屋さんなんですよ
私の子供の頃からの唯一の友人でしてね」
ハハハと笑うと、デスピアスは『何もいない空間』に向かって右手を伸ばした。まるで手の先に小鳥をとまらせたかのごとき仕草で、「え? ご褒美に私の歌が聞きたいって? それは また後で…」などと、楽しそうに独り言を言い始める。 - 場の空気が固まった。
僅かに眉根を寄せるギーラ。凝視している風のニッカ。グスタフは半笑いで硬直してダラダラと冷や汗を流している。 - 「コホン! 本当だ…」
咳払いして取り成すデンゼルを気にした様子もなく、デスピアスは己の手先に向かって「ビジー 映像を私に見せておくれ」と優しく笑いかけた。 - ところがである。インビジブルが耳打ちするようにそっと動くと、彼の表情は一変した。
「…何」「ブリタニア北部 大小九つの町と村が」「<十戒>襲撃により ほぼ全ての民が魂を喰い尽くされ」「全滅状態!!?」
愕然と見開かれた目の奥には、男女の魔神…デリエリとモンスピートが、無数の人々の魂を一度に容易く吸い込み、呑み下しては、物言わぬ抜け殻にしている情景が映っている。 - 「…!!」グスタフが ぎょっとし、配下の騎士たちは「バカな…… このわずかな期間にか!?」と叫んだ。
- デスピアスの震えを帯びた言葉は止まらない。
「ああ… なんてことだ!!」「そんな… ま…さか」「南の王都キャメロットが」「陥落!!!!!」
新たに その目に映る情景は、暗雲下のキャメロットの王城である。外観は無事だが人の姿は見当たらず、空には赤き魔神らが群れ飛んでいる。
映像は無人の謁見の間に入り、龍と太陽をイメージした玉座に向かう。そこに座る人影が見えてきた。一見して人間、それも小柄な少年のようである。妖精の囁きは告げる。彼こそが、今のこの城の主なのだと。
「た… たった一体の<十戒>に全兵力が無力化され――」「キャメロットは魔神の巣窟へと なり果てたそうです……!!」
それはメリオダスと瓜二つの顔立ちの魔神。ゼルドリスだった。
◆エスタロッサはどこへ?
それと、下位魔神の召喚が出来るの、メラスキュラの専売特許じゃなかったと思っていいのでしょうか? - 「キャメロットは今やリオネスに次ぐ大国 それを この短期間で
陥 とすとは……!!」「恐ろしい相手よ」
血管が浮くほどの力を込めて、デンゼルが、ギリ…と肘かけに爪を喰い込ませる。 - 「報告は以上か?」と彼に問われて「もう一つ」とデスピアスは答えた。
「バイゼルを中心に 半径およそ八マイルの巨大迷宮が出現」「大喧嘩祭りに参加するために 続々多数の人間が迷宮内に入り 消えたと…」
◆8マイルはおよそ13km。 - 「大喧嘩祭りだって…!? うそだろ…」
デルドレーの左肩を支えて大テントに入ってきたアーデンが言った。
「まさか<十戒>の罠だったとは… 危なかった!!」と、デルドレーの右手に肩を貸したワイーヨも声を落とす。 - 「このままでは リオネスに侵攻してくるのも時間の問題…!!」
王都にいる弟を想ったかギーラが顔色を変え、傍らでニッカもガシャッと甲冑を震わせた。 - 「…それと さらに悪い知らせだ」
しかし、話はそこで終わらなかったのである。今度はデンゼル自らが、よく通る声を響かせた。
「<十戒>は もう一体存在する」 - 「?」戸惑い、ざわめく騎士たち。
- 「つまり全部で十一体」「そやつは
王国 の内部に音もなく忍び込んでいた」「さすがの我が兄にも予見できなかったようだ」
緊張の目を見交わすワイーヨとアーデン。デルドレーがアーデンの視線に頷きを返している。 - 「その者とは…」訊ねたギーラに、椅子から立ち上がったデンゼルが指示を下した。
「聖騎士ギーラ!! 急ぎ王都に戻り国王と全聖騎士に通達せよ…!!」「今より我らは魔神族<十戒>および――」「<七つの大罪><色欲の罪 >ゴウセルの討伐作戦を開始すると!!!」 - 「!!!!?」驚愕するギーラ。
- グスタフが声を震わせた。
「バ… バカな! ゴウセル殿が魔神の仲間!?」「…いや<十戒>そのものだと!?」
恐怖にとらわれた顔で配下の騎士たちが喚いた。
「じゃあ やはり<七つの大罪>は我らの敵だったのですか…!?」「そ… そんな」
「俺にわかるはずないだろうが!!」と逆切れするグスタフ。 - 一方ギーラは、数日前に聞いたゴウセルの声を脳裏に浮かべていた。
『すまなかった』『俺に心があれば心から謝りたい』
確かに、彼には心ない仕打ちを受けたが。
(まさか…… あの人が…)(ゴウセルが<十戒>…!?)
それでも、憎めないのも事実だった。偽りの記憶に踊らされたとは言え、初めて愛を交わした相手でもある。 - デンゼルへの返事も忘れて立ち尽くすギーラの肩に、ポンとニッカの手が乗せられた。
「大丈夫かい ギーラ?」
「はっ… …ええ」
無言を通していたニッカが ついに発した労りの声に、どうにか応えた、その時。 - ゴツン☆ とニッカの兜が小突かれた。いつの間にか背後に回り込んでいたデンゼルによってだ。
殆ど痛くはなかっただろうが、反射的に「あたっ」と呟いた彼女に告げる。
「バルトラには黙っておいてやるが 無茶はするなよ」「ベロニカ」 - 「…へ?」「ベロ…」グスタフが目を剥いた。
- 「お前の身に何かあったら兄に合わせる顔がないからな…」「どうせ やめろと言ったところで言うことを聞く玉でもあるまい じゃじゃ馬め!!」
溜め息をつくデンゼル。 - 「やっぱバレちゃったか」「…私も王国と人々のために何かしたくてさ」
ニッカが兜を脱いだ。短く切られた髪がふわっと揺れて、愛らしい したり顔が現れる。「恩に着るよ デンゼルの叔父貴!!」
「せめて叔父様くらい言えんのか」と叔父に突っ込まれてもどこ吹く風だ。 - 「へーー姫様♡」アーデンが鼻の下を伸ばした。デルドレーが無表情に拳を握り、その後頭部に一発お見舞いする。
「いって!!」「何すんだよ!!」 - アーデンの騒がしい声を背にして、ギーラは一人、大テントを出た。晴れた青空を見上げる。
「ゴウセル あなたは一体……」 - 時は再び戻り――
満月輝く夜空の下、「巨神の手甲 」の右薬指…キングらのいる中指の隣に設けられた円舞台 で、今まさに、ゴウセルの戦いが始まろうとしていた。 - 「お… おい ゴウセル」「ま… まじで こいつらと戦うのかよ」
半笑いで戸惑うジェリコに、眉一つ動かさず返す。
「それが大喧嘩祭りのルールだろう」「大喧嘩祭りルールその1 あらゆる武器・魔力 または手段の使用が許可される」「ルールその2 勝利条件は相手組 の殺害 または無力化 または場外落下」「ルールその3 試合放棄は厳禁―― 以上」 - 「てめぇ…… どこまで本気で言ってんだ」
信じられないものを見る目でジェリコが叫んだが。 - やはり、ゴウセルは眉一つ動かさない。淡々と告げた。
「俺は祭りに優勝して」「心を手に入れる」
ガラス玉のような瞳が捉えているのは、これまで親しく付き合ってきた仲間であるはずの、エスカノールとホークである。
「そうすれば お前たちが死んだとして」「心から悲しむことができるかもしれない」 - 「ゴ… ゴウセル君が 何か… 怖いことを言ってますけど…」
エスカノールは顔から血の気を引かせ、へっぴり腰でブルブルと震えている。
一方ホークは、どこ吹く風でプゴッと鼻を鳴らすや、ニヤリと笑った。
「雑魚だな」 - 次回「伝説の最弱聖騎士」
デンゼルさんって慎重で用意周到な人だと思っていたので、いきなりゴウセル討伐作戦開始を宣言してビックリしました。
ええええ(苦笑)。
だってフラウドリンが言っただけで、(作中キャラ目線では)真実は判らないのに。
本当でも、フラウドリン自身が言ってたじゃないですか。ゴウセルには<十戒>としての記憶がなく、自覚もないと。
なのに、いきなり討伐しようとしますかね。
毒を以て毒を制すで、利用しよう、仲間に引き込もうとかは考えないのかな? 勿論、いざという時のための討伐作戦も並行しておくべきでしょうが。
魔神族という時点で敵だというなら、メリオダスも魔神です。魔神だけど人間の仲間になってるから心強い、という立ち位置。
そして、それはギルやバルトラ王も承知のこと。恐らくデンゼルも知ってますよね……えっ、まさか知らされてないのか?
そういえば、デスピアスは今回、インビジブルの見せてくれた映像で、ゼルドリスの顔を見ています。メリオダスとそっくりだってことは気にならないんでしょうか?
うーん。この辺どーなってるんだろー。
なんにせよ、ちょっと短絡な作戦だと思いました。
キャメロット陥落がよほど衝撃で、焦っちゃったんですかね。
------------------------------
キャメロットと言えば。
「全兵力が無力化され」と言ってて、魂が食われたとか殲滅されたとは言ってないんで、意外に国民や兵士は無事(復活可能?)なのかなと思いました。
やー、ズルいですね。
次世代編の舞台だから、滅ぶわけにはいきませんもんね。
魔神の巣窟となり果てたキャメロット。
そして、そこには石化したマーリンさんの体が残されてい―るーよー(笑)。アーサー君と、エスカノールの奪還展開・待ったなしですね。
大喧嘩祭りにマーリンの魂が同行してなかったのは、この展開の布石だったのか。
この展開を読んで、色々思うところ、ありました。
ひとつめ。
出奔したディアンヌを追って<大罪>がキャメロット出発した時、王であるアーサーが半壊したばかりの国を置いて同行なんてしないと思っていたので、数話後に同行してたことが判明してビックリしたものでした。
少年漫画のキャラとして、修行は必要なのかもだけど……。人間の王が、あの状態の国を放置して出てきちゃうかなあと。
しかも、出発した時点で「修行のため」じゃなくて「ディアンヌの追跡」だったんですよ。アーサーはディアンヌとは顔見知り程度。王として やるべきことは山積み。彼が付いてくる理由、一つもなかったのに。
そのうえ、ドルイドの聖地で修行した後は、<豚の帽子>亭で呑気に下働きしてました。
結果、留守中にキャメロット陥落。
……悪いけれど、同情したり、魔神に憤ったりする気になれませんでした。
一読して、あーあ、国を放置してウロウロしてるから。と思ってしまった。
この漫画世界では、ウーゼル王(アーサーの父、キャメロット前王)は健在なのでしょうか? ならば、彼がアーサーの旅立ちを許して、王の代行をしてくれてたのでしょうか。ケイ卿(アーサーの義兄)も頑張ってた?
アーサーは、マーリンだけでなく、彼らをも救うべく奮闘することになるのかな。
ふたつめ。
またまた思いました。
メリオダスの意図的な<十戒>散開は、やはり、いい結果を生んでいないじゃないか、と。
魂を喰われた人々は二度と生き返らない。それどころか、生まれ変わることも出来ない……はず。
(『ドラゴンボール』の前例があるので、最終的に皆んな蘇るに違いない、だからメリオダスは一つも悪くない、と見る向きもあるようです。個人的には、その展開は茶番の極致なんで、できれば そうなってほしくないなあ。)
メリオダスが<十戒>散開させた当時の感想に、どうしてギルサンダーらは平気な顔でメリオダスを賞賛し続けているのか、散開した<十戒>がリオネス王都を襲うかもしれないのにと書きました。
案の定、キャメロットを始めとした幾つもの国や町が滅んじゃいました。リオネス王都が無事なのは、たまたまです。
それでも、彼らはメリオダスに疑問ひとつ感じないんでしょうか?
もしそうなら、メリオダスが飲めと言ったら、魔神の血でも疑わず飲みそうですね。
------------------------------
デスピアスと妖精インビジブルのこと。
上のコメントにも書きましたが、ビジーちゃんの裸ニーソ、凄いです(笑)。
一般の妖精族はみんな服着てるのに。なんともマニアック。趣味なのか?
カラー扉絵では普通に服着てたから、なおさら「何があったんだろう…」と気になったものでした(笑々)。
(とは言え、カラー扉の方は髪形も羽の形すら違いますが。)
自己意思で人間界に暮らし、人間と親交を結んで、役割を得て暮らしている妖精がいたことに、大きく驚きました。
…いやまあ、そうですよね。全ての妖精が妖精王の庇護のもと、彼に従って暮らしてるわけじゃないんだ。
ハイド アンド シークたちみたいに、人間界のあちこちの森に独自に暮らしてる妖精眷族もいるわけですし。
インビジブルは、どんな経緯で妖精界を出て、はぐれ妖精になったのでしょうか。
キングやヘルブラムと面識はあるのかな? もしも遭ったらどんな反応かな?
700歳以下の年齢なら、そもそも妖精王の存在を知らない可能性もありますかね。
デスピアスの台詞から読み取れることもチラホラあって、想像力を刺激されました。
「私の子供の頃からの唯一の友人でしてね
え? ご褒美に私の歌が聞きたいって?」
つまり、デスピアスには人間の友達が一人もいないんですね。過去も現在も。
<蒼天>メンバーは信頼に足る仲間ではあるけれど、プライベートな友達ではないってことかな?
孤独な子供時代を過ごしていて、インビジブルとの出会いに救われた、とか。
今、デスピアスがデンゼルに仕えているのは、彼がインビジブルの存在を疑わず受け入れてくれたから…ってのも理由の一つなのかなと思いました。
インビジブルの仕事のご褒美は、デスピアスの歌。
彼の魔力は「
昔、孤独な少年だったデスピアスが独りで歌っていて、やはり孤独に彷徨っていたインビジブルが魅了されて寄ってきて、二人は出会って友情を結んだのかな、なんてことを想像させられました。
------------------------------
ゼルドンの研究棟のこと。
第153話で初めて研究棟が舞台になった時、塔の背景のかなり高い位置にスッと横線が引いてあったのが気になっていました。
これ、水平線?
もしそうなら、この塔は海辺に建っているってこと?
……いや。海の水平線だとすると位置が高過ぎないかなあ?
さんざん悩んで判断つかず、結局、当時の感想では そのことに触れませんでした。
今回、破壊された塔の残骸が波に洗われていました。
ヒトデ等が波打ち際に描かれているので、湖でなく海です。
えっ、壊れた塔のすぐ下に海が?
じゃあ、あの横線は、本当に海の水平線だったのか。
この塔は海岸に建ってたのね……って。んん?
いや、でも。第153話で描かれていた景色見るに、塔の足元に海岸はありませんでした。生えてた植物の様子からして、潮の満ち引きも関係なさそうです。
……うーん。
つまり、研究棟が建ってたのは海の近くではあるけど海岸まで数kmくらい離れてて、魔神に破壊された塔の破片が海岸まで吹っ飛んで、それをギーラ達は見に行ってた、ってことかなあ?
(今、改めて153話の景色を見直すと、塔から離れた奥の方の地面にゆらゆらした線が描かれてるのが、もしかしたら海岸線の波打ち際ってことだったのかな??)
と判断してみましたが、実際はどうなんでしょうね。
第154話で、研究棟を覆っていた巨樹が石灰化していると語られた時も、やっぱり この塔は海辺にあるのかなと考えはしました。
イギリス(イングランド)と言えばドーバーやセブンシスターズの白い崖(石灰岩)が有名なので、それを連想して。
石灰化した巨樹の台地が、後の時代に海に浸食されて、海に面した石灰岩の崖になりました、的な設定なのかなあとか。
だとすれば、ここ、ブリタニア南端?
うん、考え過ぎです。(^_^;)
------------------------------
デンゼルの「
えええええ~~!?(汗)
だって154話で、フラウドリンを研究棟に閉じ込めていた「
だから、塔の中で掛けられたデンゼルの「
なんで??
一応考えてみる。
説A
デンゼルの「
説B
「
細かいこと気にすんなと怒られそうですけども。
直接攻撃の魔力しか反射できないと説明されていたメリオダスの「
この漫画、時々こういうことがありますね。(^_^;)
------------------------------
「
第153話感想の時点で、既にその指摘はしてました。
やっぱ意味のあることだったのか。
当時は、デンゼルに死者使役的な魔力があって、ザラトラスを蘇らせてるのかななんて考えてました。
元々死んでなかった、ということはないと思います。何故なら、死体を<大罪>も確認してたから。
大喧嘩祭りに参加してる聖騎士シルバーは、ザラトラスなんでしょうか。
それとも、今回の<十戒>殲滅計画によって送り込まれた、別の騎士なんでしょうか。
------------------------------
デンゼルの秘密兵器の件。
<
●魔神グレイロードが「嫌なモノを感じる」と少し嫌がる(魔力は微量)
●3000年前の聖戦で用いられた秘術
●「秘密兵器」。それさえあれば崩壊する塔の中でも平気?
デスピアスが、何に対してなのかは判りませんが、チラッと不安げな目線をデンゼルに向けてたのが気になりました。
たとえば、その秘術をデンゼルが自分自身に施してて、デスピアスが彼の身を心配してたのだとしたら、被術者の対魔神能力を高める半面、何らかのリスクを与えるものなのかもしれませんね。魔神の血みたいな。
そうではなくて、その術を使うには大きな犠牲を要する、みたいなセンもあるでしょうか。常闇の棺の封印をもう一度、みたいな。(流石に、またもやエリザベスちゃんを生け贄にするなんてことはないでしょうが 苦笑)
------------------------------
さて。
今回のゴウセル、「お前たちが死んだとして 心から悲しむことができるかもしれない」と言ったり、ジェリコが やたら慌てて止めようとしてるせいで、今この場で、仲間を本気で殺そうとしているのかと惑わされそうになりますが。
実は彼、殺すとは一言も言ってません(苦笑)。
本当に戦うのかと訊ねたジェリコに「それが大喧嘩祭りのルールだろう」と言い、ルールとして「無力化」も、ちゃんと挙げています。
彼自身に仲間を殺す気はなくて、大会に優勝して「心」が得られたら、将来、何かで仲間が死んだとして、心から悲しめる(大切な仲間なのに、今は、その死を悲しめる自信がない。悲しめるようになりたい)と言っただけなんじゃないかな?
夢見過ぎでしょうか(苦笑)。
------------------------------
ところで。
マラキア王国って以前から登場してた国だったんですね。(^_^;)
先日、ようやっと気付きました。
は、恥ずかし~~!! 色々的外れな考察してたよ!(苦笑)
小説『七つの大罪 昔日の王都七つの願い』に登場していて、国王の名はイグニス・マラキア。バルトラ王とは親しく、息子は少なくとも三人いて、三男のエセルバート・マラキアはマーガレットの四つ年上。二人とも朗らかで好人物。
現在、マラキアの王族は散り散りになっているんでしたっけ。
いつか本編で無事な姿を見せるのでしょうか。
------------------------------
書くの忘れてたので追記。
新作TVアニメ情報開示されましたね。
一昔前なら お高いオリジナルビデオアニメで出そうな内容を、TV放送してくれるのはありがたい。楽しみです。
キンディアのお祭りデートが新規エピソードで見られそうで何よりです。
ギルマガとグリベロの お祭りの夜のデートも見れるといいな。
ハウザーのディアンヌへの片想いにも決着がつくのかな?(この時期にそうなっていたとしたら、原作第二部のハウザーの言動にも色々納得いく気がします。)
お祭りデートの場面にモブでデルドレーが出るといいな。お祭りデートに憧れてるってことは、お祭りの日に素敵なカップルを色々見たんじゃないかなという気がするので。
メリエリの「オレのために生きてくれ」はカットのままなのかなあ。
アニメ未登場だったペリオが登場するのは、とても興味深いです。
アーマンドの存在は、実はあったことになるのか、やっぱり なかったことになるのか?
そして、かなり興味あるのはマーリンとビビアンのエピソードです。
------------------------------
も一つ ついでに、どーでもいい追記。
4月1日はキングの誕生日でした。
アニメ公式サイトの誕生日仕様イラストが、今年も可愛かった♡
ところで、キャラの誕生日が公式から発表された時、キングの誕生日が4月1日だったことに驚いた人、チラホラいたんじゃないでしょうか。
私も意外に思ったものでした。
や、4月っていうのは花一杯なイメージで妖精王に相応しいなと思います。
が、それは置いといて。
妖精王の誕生日って、てっきり夏至祭の日だと思ってませんでした?(苦笑)
妖精界の扉が開いて、妖精たちが人間界に遊びに来ると言われている日です。大体6月半ばで、正確な日付は国によって微妙に異なります。6月23日か24日のことが多いみたいです。
古代の西洋では、一日の始まりは深夜0時ではなく「日没」でした。なので、現代の暦では「クリスマスイブ」と「クリスマス」の二日にまたがっているものは、本来は一日のお祭りでした。同じように、現代では「夏至祭」と「夏至祭前夜」に別れているお祭りも、元は一日の行事だったわけです。
民間伝承上では、夏至祭前夜、聖木を通り抜けて妖精王とその廷臣たちの幻の行列が現れる、と言われたりします。
妖精王オベロンとその妃ティターニアが活躍するシェイクスピアの
その中に、劇中で夜が明けた時、妖精たちが妖精王オベロンの誕生日を祝って合唱する場面があります。(妖精族にも誕生日を祝う慣習はあるんですね。パーティや物品のプレゼントは しないっぽいけど。)
今、夜は追い払われた
昇るお日様を大歓迎だよ、大歓迎だよ
今日はハッピー、ハッピー・ディ
オベロン王のお誕生日
『夏の夜の夢』を、タイトル通り「夏至祭前夜~夏至祭」の出来事と見るなら、妖精王オベロンの誕生日は夏至(6月23か24日)ということになります。
このイメージがあったんで、キングの誕生日がそうでなくて、当初、ちょっとだけ納得いかなかったのでした(苦笑)。
ただし。
シェイクスピアの原典の方をよーく読むと、タイトルは『夏の夜の夢』なのに、作中キャラの台詞を参照する限り、実は「五月祭前夜~五月祭」の出来事なんだそうです。
つまり、シェイクスピア的日時設定から見れば、妖精王オベロンの誕生日は5月1日ってことになっちゃうのでした(苦笑)。
ちなみに、北欧の夏至祭は男女の縁結びの日です。
国によって差異はありますが、概ね、その日に特定の(魔力があるとされる)植物を摘んで冠を編んで被ります。一緒に植物を摘んだり、川に流した冠が寄り添ったりしたカップルは、運命が結ばれ、生涯の幸せな結婚が出来るそうです。
女の子が、夏至祭の夜に七種類の花を摘んで枕の下に敷いて寝ると未来の夫の夢が見られるとか、七種類の花を摘んで井戸を覗くと未来の夫の顔が映るとか言うおまじないは有名ですよね。
北欧の夏至祭とイギリス辺りの五月祭は、豊穣を祈念して花で飾った柱を建てるところなど、似た面のある お祭りなのだとか。
男女の縁結びと言えば。
『夏の夜の夢』は、オベロン王が、揉めていた人間のカップルたちの仲立ち・縁結びを、世話焼きにも陰ながら行う お話で、ラストは彼らの結婚式になっています。
この結婚式場面への導入曲として作られ、現代、結婚式場でも よく かけられる定番曲が、メンデルスゾーンの『結婚行進曲』です。
『七つの~』世界のカップルたちも、みんな「生涯幸せな」結婚ができるといいですね。