『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【考察】メリオダスのこと(第二部序盤時点)

※2015年3月時点の文章です。

 

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メリオダスは『七つの大罪』の主人公。

でありながら、現時点(第二部序盤)で実力・出自・真意の全てが明かされていない、謎に満ちたキャラクターです。作者の意図であるらしく、謎の明かされる終盤(第三部?)までは心理描写すら避け、「底知れぬ男」として描くとのこと。

結果的に、ミステリアスな魅力が増した反面、感情移入しづらさが生じたのかもしれません。

(第一回人気投票では、総合5位でした)

 

メリオダスは何歳?

最初の謎は「年齢」です。

見た目が中学一、二年生程度の少年なのに、さばけた態度で居酒屋を経営しているうえ、10年前に指名手配された<七つの大罪>団長だと言うのですから。

 

エリザベス(第1話)

「…メリオ… ダス…?」「え……」「……うそ」「まさか…」「そんな…」「だって…」「その姿はまるで……子供…」

 

ツイーゴ(第1話)

メリオダス……?」「ま…まてよ 貴様の顔には見覚えが…」「いや… だとしたら 何故なにゆえ 昔と姿が変わっていない…!?」

 

キング(第20話)

「…それにしても団長は10年前と変わらないというか――…」「変化なさすぎだろ……!」

 少年が伝説の騎士団の団長というだけでも驚きですが、10年前から姿が全く変わっていないらしい。

それどころではなく、16年前に滅亡したダナフォール王国では聖騎士団長を務めていたことも明らかになりました。

ケイン・バルザド(第38話)

「バカを言え!! メリオダスがお前さんのような小僧のわけあるか!!」「もし あやつが今生きておったら三十路過ぎの青年になっとるわい!!」

16年前から年をとっていない?

と思いきや、200年前でさえも、今と変わらぬ子供姿で聖騎士(団長?)を務めていたことが、外伝「まちぼうけの妖精王」で示唆されました。

 

彼は何歳なのか?

 

結論から言えば、メリオダスは3000年以上生きています。

3000年の封印から復活した魔神族たちと旧知でした。

 

ただし、彼の年齢にはまだ謎があります。

復活した魔神ガランは、3000年経っていると知って、普通に生きていたら三回は死んでいると言いました。即ち、魔神族ですらも平均寿命は1000年程度なのです。にも拘わらず、封印されていたわけでもなかろうに3000年生き、姿も変わらないメリオダスは何者なのでしょうか。

 バンのように、何かの術や呪物で不老になっている?

或いは、魔神の王族など特別な血筋なら3000年以上生きられるのでしょうか。

 

そしてもう一つ。

第113話「啓示」にて、エリザベスが不思議な夢を見る場面がありました。

自分が何者かも忘れメリオダスを探し彷徨い続ける彼女の前に、青年のメリオダスが現れるのです。

その姿は、手配書に描かれた「成長後の想像図(と思われる)」メリオダスそっくりでした。

 

これは、メリオダスがやがて大人の姿に成長できるという啓示でしょうか。

或いは、この回で容姿の明かされた魔神エスタロッサが、手配書メリオダスと瓜二つであることの啓示に過ぎないのでしょうか。

 

想像をたくましくするならば、こう考えることも可能かもしれません。

その啓示はエリザベスの前世の記憶がもたらしたものである。メリオダスは過去に青年であったが、何らかの事情で子供になってしまい、そのまま生き続けているのだと。

 

3000年の封印から目覚めた魔神族たちが、今もメリオダスが生きていることに驚かず、「相変わらずその姿のままか…」と言ったところを見るに、そうであっておかしくない相応の理由があることは確かなようです。

 

  

 メリオダスは魔神族?

戦闘時のメリオダスには切り札があります。

窮地に陥ると額に渦文様が浮かんで瞳が漆黒に染まり、異様な力を発揮するのです。

その際の魔力(気配)は、キング曰く「(魔神の血を取り込んだ)ギーラたちによく似てるけど それよりはるかに純粋で禍々し」く、ディアンヌは「すごく不安な感じがするの」と怯えていました。

また、彼は「魔の者にのみ作用する」呪具「女神の琥珀」に吸引・封印されたことがあります。

 

以上から、メリオダスは魔神族であると判断できます。

彼自身、魔神化ヘンドリクセンに「同族」と呼ばれたり、バンに「アンタ 魔神族なのか?」と問われても否定しませんでした。(肯定もしていませんが…)

 

ドルイド族(独特の魔術を使う人間の魔術師集団)の出身であるヘンドリクセンは、初対面時からメリオダスの内側に蠢く「禍々しくも強大な魔力」を感じ取っていたそうです。確信するに至った経緯は現時点では語られていませんが、魔神の血を引くためだと考えていました。

 

ただし、どうも純血の魔神族だとは思っていなかったようです。

彼が「死者使役」で手足のように使っていたヘルブラムが、魔神の力を暴走させたメリオダスを観察してこう言うからです。(第47-48話)

「実に嬉しい誤算だよ」
「チミィ… はなから混じっとるね?」
「後付けで魔神の血を取り込んだギーラたちとは まるでモノが違う」

即ち当初は、ギーラ達と同じような、魔神の血を取り込んだ「人間」だと睨んでいた。よって、「女神の琥珀」のような簡素な呪具でも封印できると考えていたわけです。

ところが予想を超えた異形力を見せたので「端から混じっとる」と認識修正した。

即ち、生まれながらに魔神の血を引く「人間」だと。

 

この流れを素直に読むなら、メリオダスは「人間と魔神の間に生まれた混血児」ということになります。

 

尤も、混血ではなく純血の魔神族だという可能性もなくはありません。

ヘルブラムやヘンドリクセンが頑なに「(魔神の力を持つ)人間」と見たのは、恐らく、魔神族は3000年前の聖戦時に全て封印されたという前提があったからです。

しかし実際には、封印から逃れた(或いは解けた)魔神族は少数ながら存在していたことが後に明かされていますし、メリオダス自身も3000年以上生きていることが判明しています。

(第二部からメリオダスの兄弟が魔神族陣営に登場していますから、純血にせよ混血にせよ、魔神の血を引くことは確定済みです。)

 

魔神の力の謎

メリオダスは己の魔神の力を使いこなしているように見えます。

  • 獄炎ヘルブレイズ…魔力で作りだした消えにくい高熱の黒炎。剣への付呪エンチャントが可能。それによる斬撃「神千斬かみちぎり」といった技も持つ。
  • 攻撃力増加…通常より闘級が格段に増す。
  • 回復…体力・魔力が底をついていようが、魔神状態になればたちまち回復。
    腕が切り落とされようとも、くっつけて治すことも可能。
    ただしダメージは蓄積していき、回復を繰り返せば少しずつ弱っていく。
  • 防御…肌の黒い痣を自在に移動・変形させ、防御を行う。指先に集めてダメージを受けずに魔力剣を掴んだり、斬撃を撃ち込まれた個所に集めて防刃チョッキのようにも活用できる。

何しろ、遊びのバイゼル喧嘩祭り・バン戦でさえ使用したくらいです。禁忌扱いはせず、比較的気軽に活用しています。

 

しかし気になる点もあります。(第一部までの範囲では)短時間しか使いません。

多くは数瞬。ケンカ祭りに至っては「ほんの一瞬」で、目の優れたディアンヌやキングにしか使用が判らなかったほどでした。

第一部の王都決戦時も、ずっと魔神化していれば楽だったでしょうに、やはり要所の数瞬しか使っていません。

 

どうして魔神の力を発揮し続けないのでしょうか。

ボロボロになって戦う様子から、怠慢や慢心とは思えません。人前でも必要なら魔神化していますから正体を隠すためとも思えません。とくれば、使用には何らかのリスクがあって控えていると見るべきでしょう。

長時間、或いは過度に力を使うと、よくないことが起きるのか?

その裏付けとなり得るのが、第46-48話の魔神化メリオダス暴走のエピソードです。

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「女神の琥珀」に封じられたメリオダスは、(恐らく)魔神の力でそれを破壊して復活。すると様子が一変していました。

いつもの魔神化なら右額に現れるだけの渦文様が、真っ黒の痣となって右半身を覆い、表情はうつろ。喋らず、呼びかけにも応じず。躊躇なくギーラの腕を切断し、バンを真っ二つにし、キングを跳ね飛ばしてヘルブラムに挑みかかり。善悪の情動は感じられないものの、エリザベス以外の全てを攻撃対象としていました。

メリオダスの人格が失われているかのようです。魔神の力を使い過ぎると、心が消えて破壊の怪物になってしまうのでしょうか? ヘルブラムは、理性を失ったか、もしくは別人格化の可能性もあると推測していました。

 

なお、ヘルブラムの調査によれば、この状態だと普段の特殊能力「全反撃フルカウンター」は使えなくなるようです。代わりに、全身の黒痣を両手から煙のように吹き出させ、鉤爪や大剣の形に実体化させて強襲を行いました。

黒痣を翼の形にして高速で飛翔することも可能です。(羽ばたかなくても宙に浮くことは出来ます。)

普段のメリオダスは、攻撃反射と卓抜した剣技を用いた、最小限の力でのテクニカルな戦法を得意としますが、こちらの彼は正面からの力押し。まさに別人格のようです。(ただし、どちらのメリオダスもエリザベスを庇護対象として特別扱いする点は変わりません。)

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後に登場した魔神族<十戒>たちも、黒痣を手や翼の形に実体化させて活用していましたが、彼らは理知的でよく喋り、暴走メリオダスのようなうつろさはありませんでした。魔神の力の本格的な使用で人格が変わる(?)のは、メリオダスだけの現象のようです。

 

113話で、暴走して王都中を巻き込む大罪を犯してしまったゴウセルが「…このままだと俺は…… 閉じこめてくれ 誰もいない所へ 俺が―― 俺でなくなる前に」と呟いた時、メリオダスはポーカーフェイスながら大いに胸打たれた風に描かれていました。彼自身も「俺が俺でなくなる」ことを恐れているように読み取れます。

 

思えばメリオダスは<憤怒の罪>。怒りに我を忘れてダナフォール王国を滅ぼした怪物だと言われてきました。所詮は冤罪だろうと予想されるこの風評には、実は多少の真実が混じっているのでしょうか?

少年漫画の主人公ですから、そのままではないでしょうが、近い面はあるのかも…。

 

ダナフォール王国時代、そしてエリザベスと旅を始めたばかりの頃の彼は、あえてまともな剣を持っていませんでした。自身が強すぎるので、本気で戦って殺してしまうことを厭ったのだそうです。

それを彼の優しさだと解釈したエリサベスは「戦ってほしかったんじゃありません… あなたに生きてほしかったから」「そのための罪なら 私も一緒に背負います」と剣を渡しました。以降、「何かが吹っ切れた」メリオダスは迷わず剣を振るうようになります。

メリオダスは殺害行為そのものを恐れていたのでしょうか? そうは思いません。彼は、その力で取り返しのつかない破壊と喪失を招いたことがあるのではないでしょうか。有象無象の死とは比べられない大切な何かとの別れを。16年前どころではなく、もっとずっと過去にも。

そして恐らく、彼がそれを吹っ切るためには「エリザベス」に許してもらう必要があった。

彼の強大すぎる力は、「エリザベス」や仲間を護り得るものであると同時に、彼女を喪わせかねないものでもある。よって全力は出し難い。そんなジレンマがあるのかもしれません。

 

魔神の紋章

ヘンドリクセンやギルサンダーによれば、メリオダスの右額に現れる渦文様は「魔神の力の現れ」であり「魔神族の紋章」だそうです。

人間の間でも ある程度は知られ記録されていたものらしく、ドレファスはその研究書(?)を所持していました。

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 この本、よく見るとページ下部に二本角の怪物が描かれているように見えるのが気になるところです。

 

第二部には複数の魔神族が登場します。しかし全ての魔神族が顔に紋章があるわけではなく、あっても、その形は様々です。

ただ、メリオダスと同じ渦紋章を持つ者が、現時点で二人登場しています。魔神ゼルドリスと魔神エスタロッサです。

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 メリオダスそっくりの顔・声・背格好のゼルドリスは、メリオダスの弟です。手配書やエリザベスの夢の青年メリオダス瓜二つのエスタロッサは、ゼルドリスの兄です。即ち、この二人はメリオダスと近い血縁関係にあります。

あの渦文様は、彼らの家系の特徴、証明のようなものなのでしょうか?

少し気になるのは、メリオダスのそれは右額にあるのに、ゼルドリスとエスタロッサは左額にある点です。

 

追記

アニメ版最終回では、メリオダスの渦文様と並んで、もう一つ別の文様が「魔神族の紋章」として提示されていました。

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なんでしょうかこれは? 原作にはまだ登場していない(と思う)文様です。

…強いて言うなら、上下の端っこにあるギザギザ部分が、ドレファスに憑いた魔神フラウドリンの顔に浮かんでいた紋章に似ていなくもない、かも…?

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ちなみに、フラウドリンの紋章も左目側にありますね。一方、赤魔神の血で若返ったヘンドリクセンは、メリオダスと同じ右目側に縦波線風の紋章のできそこない? が滲み出てました。

 

それはともかく。原作ではドレファスの持っていた魔神の紋章の本は一冊だけだったのに、アニメ版では十冊ほどもあり、それどころが壁一面に紋章を描き写した大きな紙をぺたぺた貼るわ床にも置いてるわですごかったです。

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別の意味でこえーよ!

 

メリオダスは魔神の紋章(と、漆黒の瞳)を任意にON/OFFできますが、ドレファスに憑いたフラウドリンも同様で、普段は紋章を出していません。

魔神エスタロッサも、第113話の見開きページ(目は閉じている)では額に紋章がないのに、次ページでは目を開いて漆黒の瞳を見せ、額に紋章があります。

作者の紋章描き忘れでない限り、彼もまた、魔神の力のON/OFFを自在にできるのか?

もしかしたら全ての人型魔神がそうできるのかも。謎です。

 

常闇の棺と刃折れの剣

第一部のメリオダスは、刃の折れた竜の柄の剣を背負っていました。

役立たずのガラクタ、食い逃げ抑止の見せかけと言いながら、全反撃フルカウンターの触媒にしたり、暗器や剣を跳ね返したり、竜気で黒妖犬ブラックハウンドを威圧したりと、武器としてかなりの活用をされていたと思います。

 

これがただのガラクタでないことは、序盤から明示されていたものです。なにせ、敵がメリオダスから奪い取ろうと狙うのは王女エリザベスだけでなく、この剣もなのですから。

常に飄然としたメリオダスが憤怒を見せる数少ない状況、それがこの剣を奪われそうになること。その際は仲間に対してすら容赦はなく、バンの左顎から首筋に伸びる大きな傷は、<大罪>時代にこれを奪おうとしてメリオダスに付けられたものです。

不気味な牙ウィアード・ファング>のゴルギウスに奪われそうになった際は、瀕死の昏睡からの覚醒すら成して手離さず、以下のように言いました。

「…この剣は 死んでも離すわけにはいかねぇ
 それが オレにできる唯一の償いなんだ!!!」

「償い」? どういうことなのでしょうか。

 

第一部中盤以降明らかになったのは、刃折れの剣は武器ではないということでした。柄に見せかけられていた部分が本体で、折れた刃は後付け。3000年前に魔神族を封じた祭器<常闇の棺>の欠片パーツだというのです。

 

つまり、メリオダスが「死んでも離」さない覚悟で守っていたのは、魔神族の封印を解かさないためだった?

メリオダスは3000年前から生きています。ならば、彼は3000年間ずっと、この欠片を背負って守り続けていたのでしょうか?

 

答えはNOです。

よくよく読むと、200年前にキングを逮捕した時点のメリオダスは、刃折れの剣を持っていません。16年前のダナフォール王国騎士時代もです。

しかし同じ16年前でも、ダナフォール滅亡後に<七つの大罪>団員集めをしていた頃には、刃折れの剣を背負っているのでした。

つまり、彼が刃折れの剣を持ち歩くようになったのはダナフォール滅亡後からなのです。高確率で、ダナフォール滅亡時に入手して持ち歩くようになったと思われます。

 

バイゼル喧嘩祭りで、ダナフォールの聖騎士だったケイン・バルザドに、何故ダナフォールを滅ぼしたと責められた時、メリオダスは言いました。

「守ろうとした…… 全てを守りたかった」
「でも… できなかった」
「それが俺の罪」
「だから 今度こそ守らなきゃならねぇんだ!!」

 ダナフォールを滅ぼした償いのため、二度と同じような滅亡を起こさないために、刃折れの剣を守っていたのでしょうか?

つまり、ダナフォール滅亡は魔神族復活を目論む何者かがもたらしたものであり、メリオダスはそれを阻止しようとしている…?

 

けれども、ちょっとだけ異なるようにも感じられるのです。

やがて刃折れの剣は奪われ、魔神復活を目論むヘンドリクセンの手に渡ってしまいます。

なのに、メリオダスは笑って言いました。

「…事態は深刻だ」
「でも正直ーーーー」
「エリザベス」「お前が無事なら それでいい」

 しばらく経ってから刃折れの剣を取り返すべく王都に突入する計画を立てはしましたが、その前にエリザベスがさらわれると、もはや刃折れの剣のことなど度外視して、一度たりとも思い出すことすらなく、エリザベスを取り戻すことだけに集中していました。

 

思うに、彼が本当に重視していたのは「エリザベス」の命だったのでしょう。

常闇の棺を開くには、刃折れの剣だけでなく、エリザベス(女神の使徒)の血が必要でした。メリオダスは最初からそれを知っていて、彼女を犠牲にさせない防波堤として刃折れの剣を守っていた。そういうことかと。

 

彼が刃折れの剣を抱え込んで、奪おうとするなら仲間でも容赦なく斬りつけ、「自分にできる唯一の償い」と思いつめていたのは、もう一人の「エリザベス」であるリズを、16年前のダナフォールで守り切れず死なせてしまった、その後悔のためなのでしょう。もしかしたら、リズは常闇の棺の生贄にされかけて、その傷が元で死んだのかもしれません。

 

メリオダスにとって最も重要なのは「エリザベス」であって、国や騎士団の仲間はその下であるように思います。(ダナフォールの聖騎士長だった当時、リズを処刑から救うため、部下全員を敵に回す宣言をしたこともありました。)仲間を大事にしているのは間違いありませんが「エリザベス」に比べ優先度は高くない。(無論、仲間が死ねば悲しいでしょうし怒るでしょう。しかし彼女のため仲間を棄てねばならない的な究極の場面では彼女を選ぶと思います。第一部王都決戦時、バンが恋人を救うためメリオダスを殺そうとした時「オレもお前の立場なら… きっと そうする」と述べていました。)

そして、もしかしたら「魔神族復活の阻止」という大義すらも。

極論、魔神族が復活しても、「エリザベス」が安全に生きていけるなら問題ではないのかもしれない。

彼が魔神族復活を阻止しようとしていたのは、それが「エリザベス」の命や幸せを脅かすものだから。それだけなのではと思うのです。

 

外伝『エジンバラの吸血鬼』にて、常闇の棺の中に封印されている弟・魔神ゼルドリスの知人と会ったメリオダスは、少し切なげな様子でこう呟いています。

「三千年ぶりに聞いたあいつの名前…」
「…いずれ また 剣を交えなきゃならない時が来るのか……」

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この物語は本編の12年前。リズが亡くなってまだ4年。刃折れの剣を「唯一の償い」とて、腹の底の冷たい怒りと共に抱え込んでいた時期のはずなのに、この呟きはまるで、近い将来に封印が解けると想定し、それを否定しない感情によって漏らされたもののように聞こえます。

少なくとも、「命に代えても魔神族の封印は解かせない! 二度と封印の外には出さない!」と思っているようには見えません。

 

メリオダスは、封印された魔神族たちを忌んではいないし、絶対に復活させてはならないとも思っていない。

ただ「エリザベス」のためだけに彼は封印を守り、甦った同族とも戦う。

そんな風に、現段階では考えられるのかも? と思いました。

  

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