【感想】『七つの大罪』第300話 魔神王メリオダス
週刊少年マガジン 2019年 11号[2019年2月13日発売] [雑誌]
第300話 魔神王メリオダス
- 背中まで伸びた金色の髪、見慣れた面影を宿した緑の瞳。
薄い唇に笑みを浮かべたメリオダスらしき青年が腕組みをして立っている。 - ギザギザ縁の立襟で袖なしの白いオールタイツは、体にぴったりとフィットして見事な胸筋や腹筋を浮かび上がらせ、手足は金色の鎧を思わせる形に皮が変形・硬化している。
- 特異さで目を引くのは、後背部に浮かんだ翼状の闇だ。しかも、そこから甲殻類の脚を思わせる複数節のゴツゴツした長腕が一対生え出していた。手足鎧と同じ金色で、床に付くほどに長く、先へ行くほどに太い。太く大きな先端にはナイフのように尖った五本の指がある。
- これら白オールタイツ、金の手足鎧、金色の節腕の全てに、様々な形の闇の紋様が対称に浮かんでいた。胸部中心に大きく広がるものは、かつてメリオダスの額の中心に浮かんでいた渦紋様に似ている。
- 青年の額に闇の紋様はなかったが、左腕の肌には<
憤怒の罪 >の紋様が禍々しく歪んで広がっており、色も本来の赤ではなく闇色をしていた。 - 「メリオダス……………」「あなたなの?」
おそるおそるとエリザベスは振り向く。 - 「苦労をかけたなエリザベス……」「そして<七つの大罪>!!」
『メリオダス』は朗らかに労 い、忘れずにホークにも声を掛けた。
「珍獣もな」 - 「珍?」
耳でバサバサ羽ばたく暴龍 型ホークがキョトンとする。 - 機嫌よさげに目を細めた男を、エリザベスは しばし見つめていた。そして。
「メリオダスじゃない…」「あなたは誰なの?」
表情を険しくして真っ直ぐに問うたのである。 - 「!?」
ぎょっとしたディアンヌの隣で、キングは冷静に男を見定めている。 - マーリンやゴウセルは びっしりと冷や汗を浮かべて身を強張らせ、エスカノールは「え?」と声をあげて青ざめた。
- ゼルドリスが ゆっくりと身を起こす。
「メリオ…ダス…! 約束は……果たした 今度はお前が約束を果たす……番だ!」「ゲルダの…居場所を…教えてくれ」 - 「ゼルドリスよ… まだあんな吸血鬼の娘に心縛られておるのか?」「メリオダスといい お前といい… ほとほと呆れ果てるわ!!」
- 振り向かずに『メリオダス』が返した言葉に、ゼルドリスは激しく驚いた。
「!!?」 - ディアンヌは大いに戸惑う。
「この口調って… 本当に団長じゃない…の?」 - 「あいつが俺を珍獣なんて呼んだことは一遍もねえ!!」
ホークが羽ばたきながら べーっと舌を出した。 - 「やっぱり…」と、険しい顔に冷や汗を浮かべるエリザベス。
- 「
姉々 … まずいぞ」
未だ禁呪の疲労で息の荒いマーリンは更に深刻だ。 - 「………まさか こんな大物に出くわすとは」
リュドシエルと、その言葉を聞くマエルの顔にも冷や汗は浮かんでいた。 - ゼルドリスが声を震わせる。
「そ… そんな… なぜ あなたが」「メリオダスの身体に――!?」
「父上!!!!」 - 腕組みして嗤う、青年の肉体に成長したメリオダス。
だが、今その身体を動かしているのは、煉獄にいたはずの魔神王だったのだ。 - 「どういうことなのですか?」「あなたはメリオダスを新たな王にすると… そう言ったはずだ!!」
痛みに前屈まらせた体から治癒の闇を立ち昇らせながらゼルドリスが訊ねれば。 - 「こんな裏切り者に本気で王位を譲ると思ったか?」「我が欲したのは若く強い新たな肉体そのものよ」
◆煉獄の魔神王の一人称は「儂」だったのに、この魔神王の一人称は「我」ですね。
若い体を手に入れて浮かれて一人称を変えてみただけ?
それとも、実は煉獄の魔神王と この魔神王は別の存在? - 「…!!」
ゼルドリスは衝撃を受けた目で歯を食いしばった。 - 「戒禁は我が力の欠片 その全部を取り込み魔神王になるということは即ち」「我が新しき依り代になることに他ならぬ」
◆読者の質問コーナーによれば、魔神王は初代であり、彼の前に別の魔神王はいなかったのだそうです。
…でも、もしも魔神王が「依り代に乗り移る」のが初めてではなかったとしたら、精神的には一代目でも、「肉体的」には何代もいた、なんて可能性もあるのでしょうか。
魔神王が「新しき依り代」という表現を使ったので、それ以前の古い依り代もあったということかと、ちょっと気になりました。 - その言葉を彼が…『魔神王』が発するや否や。
彼の周囲をエリザベスと<大罪>たちが取り囲み、一斉に臨戦態勢を取っていた。 - ちなみにエスカノールは、またもマーリンの前で両腕を広げて彼女の盾にならんと踏ん張っていたが、一歩も譲らぬ気迫の表情に反し、ガニマタに開いた脚はガクガクと小刻みに震え続けている。
- 「メリオダスの体から 今すぐ出ていって!!」
エリザベスが睨みつけた。 - 「てめえも親父なら ちったあ息子のためになることをしろ!!!」
空で羽ばたくホークが プゴッ と鼻を鳴らす。 - 魔神王は軽く首を捻って考えた。
「……………………息子のため? ふむ…なるほど」「息子の悲願を叶えてやるのも父の務め…か」 - 「ほえ?」とホーク。
- すると魔神王はエリザベスに目を向けて笑ったのである。
「よし!! 名案を思い付いたぞ…!!」「エリザベスよ… お前にかけられし永劫の輪廻の呪いを解いてやろう!!」
飄々とした明るい顔は、まるで本物のメリオダスの表情そのままだ。 - 「?」
ピクッと震えて、エリザベスは怪訝に眉をひそめた。 - 「プゴッ!! なんだよ~ 案外 話のわかる親父じゃね~か!!」「ふーふー」「エリザベスちゃんの呪いを自分から解いてくれるなんて」
とホークは喜ぶ。
◆ここでホークが小さく「ふーふー」と言ってるの、何の意味なのか解らなかったです。「ヒューヒュー」とか「ホーホー」とか「わふわふっ」みたいな囃し声なの? 「ふうふう」と疲れて息を吐いてるの? - そして魔神王はニタリと笑った。
「それから殺す」「…できるだけ むごたらしく」 - ゾクッとエリザベスの体を戦慄が駆け上る。
- 「お前の死体を見た時」「奴は どう反応するかな…?」
- 「ひ…」
青ざめたホークは空中で じょば~ と失禁した。 - 「もう二度と お前に会えぬことを悲観し生きる希望を失うか」「それとも お前が呪いから解放されたことに安堵し 生きる目標を失うか…」
「どちらにせよ 我には都合のいい話だ」「そうは思わぬか? <七つの大罪>諸君!」 - 煽られた<大罪>たちは、ますます気配に怒りを滲ませた。エスカノールはマーリンを庇う姿勢は固定したまま、ますます震えている。
- その直後である。悠然と腕組みしたままの魔神王の背後に生えた節腕が、肥大化すると共に伸び上がって、エリザベスの頭上に迫ったのは。
- ボオッ
ドンッ - 一瞬のことで反応できなかったエリザベスを、しかし、鋭い手爪が貫き潰すより先に、ゴウセルが抱きかかえて横っ飛びに避けていた。
- 「いいよマーリン!!」
呆然とへたり込んだエリザベスを抱き支えてゴウセルが間近の魔女に言えば、阿吽の呼吸のエスカノールが、少し離れた場所のヘンドリクセンを抜かりなく手招いた。
「ヘンディくんも早く こっちへ!!」 - 苦しげに荒い息を吐くマーリンは術印を結ぶ。
「いくぞ……!」
“完璧なる立方体 ”
マーリン自身を中心に、エリザベス、ゴウセル、エスカノール、ヘンドリクセンの五人が結界内部に保護された。 - 「プガ!?」
血の気が引いたほど慌てたのはホークである。思わず プリ と脱糞したほどに。
「プゴ~~~!!」「俺も入れてくれ~~!!」変身 が解けた姿で とんとこ とんとん と駆け寄ると、中に入れてはもらえなかったが、彼だけの新たな「完璧なる立方体 」に収めてもらえた。…ホーク一匹を やっとギュウギュウに押し込んだ感の小ささではあったが。
「ムギ… サ…サンキュ~」
それでも今のマーリンには限界なのだろう。透明な壁に鼻や頬を べったり押し付けながらもホークは礼を忘れない。 - 結界内部からマーリンが呼びかけた。
「キング!! ディアンヌ!! 魔神王には攻撃魔力は通用しないと思え!!」 - 「「了解!!」」
二人は攻撃を始めた。 - 「私も加勢します!!」
兄を残して飛び出すマエル。 - 「エリザベスはボクらが必ず護る!!!」
ディアンヌは巨大な戦鎚で魔神王を滅多打ちした。 - 「団長の体で好き勝手はさせない…」
キングは霊槍・第一形態 と霊槍・第五形態 を同時に発現させ、一気呵成に叩きつける。 - そしてマエルは剛拳で殴り続けた。
- しかし、殴るほどにマエルの顔に焦りが増していく。
「ありえない…」
三人に打たれ続ける魔神王は腕組みして立ったまま。その背後の闇から伸びた節腕が渦のように回転して盾となっており、魔神王自身には一発とて届いていないのだ。
「我々の攻撃を微動だにせず」「完全に防御している!!」 - もたらすことのできた変化と言えば、悠然と浮かべていた笑みが消えて、やや不快げに口元を引き結んだくらいか。
- そして、魔神王は防御に使っていた節腕を開いて振り回した。
- その一撃だけで。
ディアンヌとマエルとキングは強打に弾き飛ばされ、エリザベスらの入っていた「完璧なる立方体 」はシャボン玉のように爆 ぜ割れた。 - 勢いよく仰のけに倒れるデイアンヌ。
- エリザベスらは箱に入っていた人形を子供が投げ散らしたかのようにバラバラに吹っ飛んで地に叩きつけられた。
- 「ひぎゃあああああああああ~~!!!」
ホークの「完璧なる立方体 」は攻撃の範囲外だったため割れなかったが、その場から動けないため、押し寄せる土砂の勢いに悲鳴をあげている。 - 弾かれ飛んだマエルはリュドシエルに背中から受け止められた。
- キングも弾き飛ばされたものの、数m後ろに押されたところで制動を掛け、空中で体勢を立て直す。
- 魔神王の攻撃は一撃のみ。
しかし、辺りは惨憺たる有様になった。 - 「ゲホ ゲホッ」
咳き込みながら、どうにか身を起こそうとしているエリザベス。 - 彼女の傍に転がるマーリンは動かない。気絶しているらしい。同様に、うつ伏せに倒れたエスカノールとヘンドリクセンも気絶している。ゴウセルは意識を保っていて、ぎこちなく身を起こしかけていたが。
- 「ゼハッ」「ハッ」
血で汚れたディアンヌは苦痛に顔を歪めながらも立とうとしているが、身を起こすことが出来ない。 - キングは傷一つなかったが、息を荒げていた。
(まずいな………)(連戦続きで もう魔力が限界だ…) - マエルは血まみれである。
「よせ!! …敵う相手ではない!!」
止めようとするリュドシエルに
「このまま むざむざエリザベスを殺させるわけには いきません!!」
と返すものの、やはり動けない様子だ。 - 「わからんな なぜ無駄に抵抗する?」「呪いから解放し 安息の死を与えてやろうというのだ」
気力で立ち上がるエリザベスを眺める魔神王が些か うんざりした様子で言ったとき。 - 「やいこら魔神王!!!」
- 大声の主に、魔神王は 白々とした目を向けた。
- 「エリザベスちゃんに悪さしようってなら この残飯処理騎士団 団長――――改め!!」「残飯王ホーク様が相手になるぜ!!」
血管を怒張させて プゴーーーッ と気炎を吐いているのは、小さな「完璧なる立方体 」内にギチギチに詰められて身動き一つとれない豚だった。
「残飯王が本気出したらアレだぞ? お前なんか一口で ぺろりだぜ!!」
◆ホークちゃん、残飯処理騎士団団長の名を改めちゃったんですね。唯一の団員だったオスローも死んじゃいましたしね。騎士から王様にランクアップか。
ホークの言う「本気を出したら魔神王でも一口でペロリ」、現時点では ただの妄言ですが、今後、展開によっては現実になる可能性も あるのかないのか…? - 「ホークちゃん… 挑発しちゃダメ!!」
エリザベスが顔色を変えて諫めたが聞き入れる様子はない。
「へいへーーい 魔神王ビビってるブルってる~♬」
少しの間でも魔神王の気を逸らす。それが無力な豚にも できる精一杯の抵抗なのだ。 - 「バ… バカなのか あの生き物は!?」
焦るリュドシエルの隣で、ホークの意図を悟ったらしいマエルが「…!」と息を呑んだ。
◆リュドシエルはホークを豚とは呼ばず「生き物」と呼びました。魔神王もワイルド共々「珍獣」と呼んでます。豚に似てるけど全く違う生き物だと認識しているってコト? - 小さなの前まで移動した魔神王は、豚を見下ろして ニコ… と笑う。
- 「ニコ?」
冷や汗を垂らして呟いたホークに向かい、魔神王の節腕の一撃が襲い掛かった。 - パンッ
- 風船のように容易く割れる「
完璧なる立方体 」。ズボッと引き出された節腕の先に掴まれたホークは、一瞬で全身が血に漬けたような有様になっており、力なく開いた口からダラリと舌を垂らしていた。
節腕の尖った太い爪が、めり…とホークの体に食い込んでいく。
「あば、ば…」
ホークの目から流れる涙。 - 「…その顔を見ると無性に腹立たしいわ」「今すぐ兄の下へ送ってくれる」
- エリザベスが涙をこぼして叫んだ。
「やめて… 殺さないでーー!!」 - めりっ めり めりっ
- 食い込んでいく爪が不意に対象を失って空虚を握った。手の中からホークが消え去ったのだ。
- 「!!」
魔神王は目を見開く。己の傍らに いつしか立っていた気配を感じて。 - 「団ちょ 聞こえてるか」
耳元に、左顎に傷のある男が呼びかけた。 - エリザベスの顔が希望と喜びに輝く。
- 「戻ってきたか」
転がったまま薄く目を開けたマーリンが苦痛をこらえながら笑った。 - 彼を見つめるゴウセル。その近くで身を起こしたエスカノールは涙を浮かべている。
「僕は…」「信じてました!!」 - 「ああ…」
仰向けに倒れたままのディアンヌも嬉しげに感嘆する。 - キングは、ホークを救うべく伸ばしかけていた手を止めて彼を見ていた。
- マエルは唖然と見つめる。彼から感じられる『強さ』の、以前との あまりの違いに驚かずにいられないのだろう。
「彼は…」 - 「<
強欲の罪 >………!!」
己の血に汚れた顔でヘンドリクセンも笑顔だ。
◆キング、ディアンヌ、エリザベス、ホーク以外の人たちは、バンが少し前に煉獄から戻ってたことを知らなかったんですね。 - 「とっとと この
親父 を追い出しちまおーぜ♬」
血まみれで目を閉じたホークを小脇に抱えたバンが、魔神王のすぐ傍に立って笑っていた。 - 次回「みんなの想い」
連載300回記念で巻頭カラーでした。プレゼントや第二回人気投票の募集もあり。
おめでとうございます。
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メリオダスは肉体を魔神王に乗っ取られていた!
うーん…この展開なのか。
力を受け継いだり奪い取ったりして強大な存在になるゾという発端から、肉体を乗っ取られるとか・精神を侵されて人格が邪悪や冷酷に変わるというオチになるのは、伝奇要素のある物語では割と よく見る、鉄板のパターンの一つです。
それが変形したパターンとして、邪悪なラスボスが実は過去に善良な誰かの肉体を乗っ取った存在だった…というのも よくありますよね。(こっちのパターンだと、肉体を取られた犠牲者は もう助からないことが多い。)
この漫画の読者のなかにも、この展開を一度は想像したことのある方は かなり沢山いたのではないかと思います。
このブログでも、読み返してみると第196話感想(2016年10月なんで、二年四ヶ月くらい前か。黒モヤ魔神王初登場から間もない頃の感想でした)に展開予想として書いていました。
>そんで、最凶になって魔神王を倒すつもりでいたら、「魔神王の復活」とはメリオダスの体を乗っ取ることだったんじゃーい! となって、<十戒>含む仲間がメリオダスを救う形で共闘。的な王道系の熱血展開も好きです。
第234話の感想(2017年9月…一年半くらい前)にも、以下のように書いてましたね。
>魔神王がメリオダスを新・魔神王にしようとするのは何故?
>
>最凶化の進むメリオダスを指して、魔神王は
「魔神王が目覚める」
>と言いました。
>なんだか奇妙な言い回しです。
>
>現在のメリオダスの記憶は<十戒>統率者時代に退行しているらしい。しかし、いつ元に戻ってもおかしくありませんし、再びエリサベスに恋する可能性もある。
>なのに、いつまた裏切るかもしれぬメリオダスを魔神王に据えようというのです。能力的にはゼルドリスでも遜色なさそうなのに。
>
>なーんか、変ですよね?
>なんの意味があるんだろう、これ。
>そもそも、メリオダスが最凶化すると「(煉獄で黒モヤになってる)魔神王が復活する」んじゃなかったのか?
>
>第183話、煉獄の黒モヤ魔神王は何て言ってましたっけ。
「かつて最凶の魔神の名を ほしいままにした 貴様が」「あの女のせいで役立たずの骨抜きにされて はや三千年…」「それが今の状態まで 戻れたのは誰のおかげだ?」
「そう… 貴様が死を選び 煉獄へ来るたびに」「我が 貴様に芽生えし感情を喰らってやったからにほかならぬ!!」
「…さあ 此度も我が飢えと渇きを満たすがよいぞ」「これも互いの今後のためだ…」
「我は感情を養分に失われし力を蓄え」「貴様は かつての最凶の魔神に 再び近づくことができる」「喜ばしかろう 我が息子よ…?」
>なるほど…。
>自分が復活するとは言ってなかったんですね。「失われし力を蓄え」と言ってたから、てっきり煉獄の魔神王自身が蘇る気なのかと思っていました。
>
>では、魔神王の目的は、最初から「メリオダスを魔神王にすること」だった?
>
>しかし、いくら力が強く才能があるとしても、女にうつつを抜かして同胞を殺すのも厭わぬ裏切り者を王に据えるのは危険すぎます。
>もっと同胞想いで父にも忠実なゼルドリスではダメなのでしょうか?
>うーんん…?
>
>想像A
>メリオダスを魔神王にするというのは、実は、黒モヤ魔神王がメリオダスの肉体を乗っ取るという意味である
>
>想像B
>メリオダスが魔神王として「目覚め」れば、自然に人格が変わってエリザベスに惑わされなくなることを、黒モヤ魔神王は知っている
>
>想像C
>実は、これはメリオダスとエリザベスそれぞれに課された試練であり、二人が新・魔神王、新・最高神になれば、魔神族と女神族の融和したラブ&ピースな世界になることが約束されている
>
>あはは(苦笑)。
>さて、どう転んでいくのでしょうか。
魔神王は煉獄に黒モヤ姿で初登場した当初から、メリオダスの感情を奪って強くする、それがお互いのためになると言っていて、いかにも「肉体のっとり」系の設定に思えたわけですが、その後の二年半ぶんの展開を見るうちに、こっちのセンはナイんだろうな、と思うようになっていたのです。
理由は以下の通り。
- メリオダスが魔神王になることに、魔神族側の誰も後ろ暗さを見せなかった。
メタ的に言うと「これ系の展開で一般的に打たれるような布石が、特に打たれていなかった」。
最古参魔神でメリオダスを溺愛するチャンドラーすら、彼を魔神王にすることに何の忌避感も持っていなかったので、肉体を乗っ取られる系はナイかなと思ってました。 - 「戒禁を集めて魔神王になる」のは、誰に唆されたのでもなく、一から十までメリオダス自身が考えて行ったことである。
それを「元から魔神王の計画でした」とするのは、さすがに不自然だろうと思ってました。 - メリオダスの肉体を乗っ取るのが魔神王の目的で、そのために感情メリオダスが邪魔だったなら、彼を消滅させることも封印することもせず、まるで修行かスポーツのように煉獄で繰り返し相手をし続けていたのは奇妙と言わざるを得ない。
感情メリオダスやバンが強くて消せなかった説は成り立ちません。魔神王よりメリオダスが強いなら、呪いを解けないはずがないのですから。そもそも魔神王は煉獄から脱出するメリオダスに追いすがろうとして失敗した・見送る立場だったので、そこからメリオダスの肉体を奪う展開には繋がらないだろうと思ってました。
それでも「肉体を乗っ取るのが目的だったんじゃーい」に着地するとは。無茶しやがって…(;´・ω・)。
不思議に思っていたのは、魔神王が「メリオダスに王位を継がせるから連れてこい」とゼルドリスに命じてチャンドラーが迎えに行ったあと、メリオダス自ら魔神側に戻って魔神王化を始める展開になったことでした。そしてキャメロットに戻ったメリオダスは魔神王と一切対面しない。連れ戻せと命じたのは魔神王なのに、ゼルドリスが報告することもない。
メリオダスが肉体を乗っ取られるオチになるなら、『メリオダスは捕らえられて連れ戻され、無理やり魔神王化の儀式を受けさせられる。そんな彼を救うためにエリザベスと大罪がキャメロットに向かう』…という王道の流れの方が、メリオダスにもエリザベスにも罪が生じなくて良かったのでは。
…もしや、メリオダスが無理やり連れ戻されて儀式を受けさせられるのはカッコ悪い、自分から魔神王になろうとするぐらいがカッコイイ、なんて理由だったりして?(;^ω^)
でも現在の結果では、メリオダスが最高にカッコ悪いことになってしまっていると思うのです。
さて。
この設定で確定した以上、
メリオダスは おマヌケさん
ということになります。
誰に頼まれたわけでも命じられたわけでもなく、騙されたわけでも捕らえられて強引に儀式を受けさせられたわけでもなく、自分の意思で、周囲の制止を振り切って暴力を振るってまで行動した結果、こうなったのですから。
マヌケ過ぎるでしょう。
皆に超々々多大な迷惑をかけています。
ところが、次回の流れや予告サブタイトルを見るに、どうも今後は
魔神王復活の危機を煉獄から帰還したメリオダスが救ってくれた。皆がメリオダスを待ち望んでいた!
…的に流れていく感じ?
廃都コランド戦を思い出してください。
遠征出発時に「チームワークが大事だ」と自ら語っておきながら、初っ端からチームワーク放棄した独断専行の単騎特攻し、仲間の足を引っ張ったうえ仲間を信じ切れずに暴走、
彼の魔神王化は現聖戦の開戦のキッカケにもなっています。
ところがマーリンは「メリオダスは正気じゃないから悪くない」、エリザベスは「メリオダスは悪くないわ! 裏切ってないわ!」と声を荒げて、彼が裏切ったと述べたリュドシエルは悪者扱いされていたものです。(まさか「メリオダスは私への愛のために魔神軍に戻っただけなんだから裏切ってないわ」と本気で思っていたなら、エリザベスちゃんは救いようがないレベルの視野狭窄な恋愛脳ということになってしまいます。)
同じことが また起こりそうな気が…。
或いは、メリオダスが魔神王化を選んだのは魔神王に操られていたせいだと責任転嫁したり、バイゼル大喧嘩祭りの時のように「俺は騙されたフリをしていただけだ。全ては作戦だった!(キリッ)」とメリオダスが言い出したりするのかもしれません。
そもそも、メリオダス魔神王化のリスクは「メリオダスがブリタニアに留まれなくなるので、エリザベスと別れることになる」コトだとしか語られてきませんでした。
「別れたくない」という理由で開戦までして止めようとするのか、エリザベスちゃんの愛はヤバいな…と思ってたら、いつの間にか「聖戦を止める(キリッ)」と言い出して驚いたものです(いや、あなたこそ開戦メンバーの一人ですよ? と)。
加えて、今度のことで「メリオダス魔神王化をエリザベスが戦争をしてまで止めたのは、正当性あることだった(魔神王がメリオダスの体で復活するのは とても悪いことだから)」と話が更に すり替えられたような気もします。
個人的には、最終戦が終わった後にでも、メリオダス(とエリザベス)には一度キッチリ己を省みる(自分たちが愛を貫くためにしてきたことは、周囲の人々にとっては、正しいことばかりではなかったと認める)イベントがあってほしいけれども。まあ、無理なんだろうなあ。
二人は決して悪人ではありませんが、今回の魔神王化にまつわる一連の行動と結果のように、その行いは必ずしも正しくない…むしろ度を超えてマズい面もあると感じるので、二人が ただ「被害者」「正義」の立場だけでラスボスを断罪したり許してあげたりして終わるのは、ちょっと しこりが残る感じがします。
いやまあ、きっと何事もなく二人が祝福・称賛されるだけで終わるのでしょうけども。
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シルエットクイズ! この人は誰?
これまで、第28話や第256話において、メリオダスの背後に怪物のような、明らかに人外の形をした巨大な影が映し出される場面がありました。
メリオダスの魔神としての真の姿は、この異形の怪物なのか…?
と思わせてきたところで、今回、魔神王メリオダスが登場したわけです。
ふはは(笑)。
異形の怪物でも何でもない青年姿だけど、後背に浮かぶ謎パーツを合わせてシルエットにすると、あらまあ、これまで示されてきた怪物の影に概ね似てる感じ?
シルエットを見せて「これなーんだ?」と尋ねて、影の形からは想像できないような突飛な実体を明かす ひっかけ遊びがあるけど、まさに それですね(笑)。
ところで、魔神王メリオダスの白オールタイツという服装デザイン、どう思いましたか?
自分の見た範囲内では、国内外ともに、好評・不評は半々という感じでした。
私は、最初見た時かなりギョッとしました(苦笑)。もう慣れたけど。
私が このデザインを見ていて思い出すのは、ゲーム『テイルズ オブ シンフォニア』のラスボス、ミトス・ユグドラシル(青年バージョン)です。
金色の長髪で、体にぴったりフィットした上下つなぎで金色アクセントのある白服、ってトコが同じ系統かなと。
同じキャラデザイナーさんによる『テイルズ オブ ベルセリア』のラスボスのアルトリウスというキャラも似た感じのデザインらしいですが、私は そっちはプレイしたことが無いので。
このミトス・ユグドラシルというキャラ、
- 四千年以上 生きているが(普段は)少年の姿をしている
- 実は鬼強い
- 愛する女性を蘇らせる目的を持ち、そのためなら どんなことでもする
- 種族差別のない世界を求め戦った「勇者」と、愛する者のためなら非道をも行う「魔王」という両面性がある
という点もメリオダスと少し似てるかもしれない?(ミトスは貧民からの叩き上げで、メリオダスは生まれながらの王子様、という真反対の要素もありますけども。)
そう言えばこのゲームには、
- 神子が「世界再生のため身を捧げる」役割を与えられていたが、儀式の真の目的は「神子の肉体を器にして『ミトスの愛する女性』を復活させること」だった
- 神子は身を捧げる前段階として、次第に五感と感情を失っていく
という要素もあって、メリオダスが魔神王に肉体を乗っ取られる・その前段階として感情を少しずつ失っていった、のと ほんのり似ているかも。