【感想】『七つの大罪』第234話 未知への扉
週刊少年マガジン 2017年41号[2017年9月13日発売] [雑誌]
第234話 未知への扉
- 周囲には未だ、緑色魔神の踏み砕いた木の破片が降り注いでいる。
見知らぬ人間の少年に、その人 の話を聞かせてくれないかと言われて、オルロンディは数瞬、ぽかんとしていた。 - 「お… お前 誰だ!!?」「モガッ」
叫んだ口を、少年の左手に掴み塞がれる。 - 「さっきのキミの大声で 新手が やって来た…」
言いながら、少年 は半分残った網目の木の陰にもたれて サッと しゃがみ込んだ。
「橙 魔神の聴覚は かなり鋭いんだ」 - 団扇状の大きな耳をピクッと震わせながら、身長3mほどのオレンジ色の魔神が、のしっ のしっ と熊のような二足歩行で近寄ってくる。
オルロンディは知る由もないだろうが、その顔かたちは、世界の彼方に住む動物・コアラに似ていた。 - 魔界の言葉を呟くや、大きな手を振るって網目の木を粉々に砕いてしまう。
だが、そこには何もいなかったので「?」と不思議そうにした。 - 橙魔神は気付かなかった。その時にはもう、アーサーは音もなく三歩も進んで、魔神の背後 6、7mほどの位置に離れていたのである。
その右手は腰の剣の柄を握っており、キン、と鍔が鞘に当たる音がした。まるで、抜いた剣を鞘に収めたかのように。 - 口を塞がれたまま慄然とするオルロンディ。
- アーサーは魔神に気付かれることなく立ち去り、城壁に囲まれた王都を見下ろす丘に身軽に駆け登った。
頂の岩陰に隠されていた金属の取っ手を摑み、1m四方ほどの蓋型の扉を開く。 - 「ついてきて!」
なんと、中は数10mはありそうな深い縦穴で、壁面に取り付けられた梯子を無視して、アーサーは一息に飛び降りたのだった。 - 「お… おい 待てってばーー!!!」
慌てて後を追うオルロンディ。 - アーサーは軽々と着地するや、一拍の停滞もなく走り出した。
竪穴の底は、松明もないのに不思議に明るい通路になっており、壁・天井の一面に、びっしりと大きな渦紋様が浅彫りされている。
そこを駆けていくアーサーは あまりに速く、角を曲がったところで、オルロンディは彼を見失ってしまった。
◆通路一面に浅彫りされている紋様。ケルト紋様っぽいような、そうでもないような……。
この通路(地下都市)、どう見ても一朝一夕で作ったものではありません。元々存在していたものだと思われますが、どうしてマーリンは、アーサーの探索をオルロンディに命じた際、この地下都市を捜させなかったのか??
王の側近で、切れ者で有名で、キャロメットに十年いたマーリンが、これだけの規模の地下都市の存在を知らないなんてありえないです。
ついでに言うと、探索者のオルロンディにアーサーの顔や容姿の特徴を教えてないってのは、もはや意味が解らない。 - 「うそだろ!? か…完全に見失った!!」「気配を追おうにも全く感じない…」
通路は一本道ではなく、幾つかに分かれている。
「魔神も あいつの気配には全然 気付かなかった」「な… 何者だ!?」 - 「こっちだよ?」
そこに、角から ひょいと顔を出すアーサー。 - 悲鳴を上げて縮こまったオルロンディは「驚かすなよ!!!」と涙目で怒ったが、アーサーは気にした様子なく、案内するように歩きながら朗らかに言った。
「マーリンは息災か? まぁ… 彼女のことだ なんの心配もいらないだろうけど…」 - 「!!! なぜ あの
女 のことを…」「お前…… まさか?」
漸く、この少年が何者か勘付いたオルロンディである。 - そして、アーサーは辿り着いた先の扉を開けた。
- 「アーサー様の お帰りだぞ!!」
「アーサー王様ぁ!!!」
「アーサー王 お怪我は ありませんでしたか!?」
「よかったーー!!」
たちまち、ワッと沸き起こる歓声。
数十人の老若男女が笑顔を弾けさせ、突進して少年を取り囲んだ。 - 彼らに跳ね飛ばされ、悲鳴をあげるオルロンディ。
「こらーーっ!! ボクをなんだと思ってる!!」涙目で怒りまくる。 - 「なんじゃ この目ん玉は」と、老人。
- アーサーが言った。
「彼はマーリンの使い魔さ!! …そうだろう?」
「ま… まあな」 - 「おお… マーリン様の」と人間たちの関心が集まったのに気をよくして、オルロンディは仰々しく名乗ってみせる。
「このボクこそ 混沌の母より生まれし吸血鬼王族…」「オルロンディ様さ!! フフン」 - 「目玉のくせに偉そう」
誰かが言った。 - 冷や汗を流して、ギロリと目玉を動かすオルロンディ。
「そこの猫!! まん丸の!!! 聞こえたぞ!!!」
青筋を幾つも浮かべて、アーサーの鞄に収まっている丸い猫を、ビシッと羽で指し示した。 - 「やめろ キャス」
「だって偉そう」
フード付きマントを脱ぎながら困り顔で窘めるアーサーに言い返して、丸い猫は まるで悪びれない。 - 「猫に言われる筋合いはない…って なんで猫が喋ってるんだ~~!?」
「目玉に言われたくない」 - そこで、人々がアーサーに食事を勧めた。屈託なく喜ぶアーサー。
矛を収めて嬉しそうに「悪くないねー」と言った目玉に、猫がまた「お前には言ってない」と辛辣に突っ込んだ。
◆キャスの性格が悪くて びっくりだ!(笑) 精神的に かなりの子供みたいですね。アーサーと同い年なのに、幼稚園児っぽい。 - 供された暖かなスープを、スプーン無しで器に直接 口を付けて飲む。ブリタニアでは野卑た行為だが、ここにはテーブルもカトラリーも揃っていない。
人々はバイオリンを奏で、肩を組んで歌い、踊り始めた。
キャスを膝に抱いてスープを飲みながら、その様子をアーサーは穏やかな目で眺めている。 - 「しっかし能天気な連中だよ」
アーサーの傍らに立てられた杖の上に留まって、捕まえた ねずみを尻尾から齧りながら、オルロンディが言った。
「今 王都の中が どうなってるのか知らないのか?」「洗脳された人間は みんな魔神の餌か」「女神の封印を破るための生贄にされてるんだぞ?」
アーサーを捜して王都内を探索し続けた彼は、その有様を見てきた。人間たちの魂は、ある者は魔神に喰われ、多くは吸い出されて封印を破る儀式に使われている。
◆ん? 人間の魂で女神の封印は解けるんですか? 第一部の頃、女神の血が必要と言ってたのは何だったんだ。 - 「…わかっているさ 本当は みんな辛いんだ …大切な家族や友人と離ればなれになって ――そして 失って…」
アーサーは辛そうに眉を曇らせた。
「だからこそ 努めて明るくふるまっている …でなきゃ とても気持ちを保てないんだ」 - すると、人々がアーサーに語りかけた。アーサー王がいるからこそ、みんな希望を失わずにいられる、必ずキャメロットを取り戻してくれると信じているからと。
- チッと舌打ちするオルロンディ。
「こんな小僧に何ができる?」「はは~~ん 笑っちゃうね」
小馬鹿にしたように口笛を吹いた一瞬後には、キャスに押し潰されて悲鳴を上げていた。
「笑えなくしちゃう?」
不機嫌そうに歯を剥いた丸猫の下で、苦し~~と呻く目玉。よほど重いのか、全く動けないらしい。 - 「キャス!!」と、アーサーが またも困り顔で窘めた。
- その時、アーサーたちが入ったのとは別の通路の方から、鎧を着込んだ衛兵に「戻ったのか?」と確かめつつ、一人の剣士が入ってきた。
- 「首尾よく偵察は済んだようだな」
「ななし殿!!」
呼びかけられたアーサーが声を弾ませる。 - 異国の剣士・ななし。バイゼル大喧嘩祭で出会って以降、アーサーと行動を共にしてきた男は、今やブリタニアの衣服で身を包み(異国の名残は、日本刀と袴、草履くらいだ。)、髪も異国風に高い位置で結っていたのを首の後ろで結うようになって、この場において高い立場すら得ているようだ。
- 「日に日に 例の封印が弱まっているようだ…」「今日だけで 穴から55体の気配が這い出してきた…」
綻びの進む女神の封印について語れば、アーサーは立ち上がって笑いかけた。
「ついでに その倍は仕留めてきました」 - 「フ…」と、トレードマークの草の茎を咥えたまま嬉しげに笑う ななし。
「上出来だ アーサー この数ヶ月で よく ここまで到達した」
「はい!!」「全ては ななし殿の教えのおかげです」 - その頃。
キャメロット王都内に蠢いていた灰色魔神たちの首が、唐突に、次々と落ちていった。その足元にいる操られた人間たちには何事もないのにだ。
城壁の外を汽笛のような叫びをあげて走り回っていた緑色魔神も、コアラのような顔の橙魔神も、本人たちも不思議そうな顔をしたまま、バラバラの肉片になって崩れていく。まるで、姿の見えぬ死神に切り刻まれていたことに、今になって漸く気付いたとでもいうように。 - 灰も、赤も、橙も、青も。
アーサー王の偵察の経路にいたのだろう無数の魔神たちが、気付けば、物言わぬ肉片になっていたのである。 - キャメロットの地下アジト。
「…そろそろ作戦を実行する時が来たか……」
ななし が言い、人々のざわめきの中で、アーサーも「で… では いよいよ」と息を呑んだ。 - オルロンディが はっとして叫ぶ。
「さては お前ら全員でキャメロット城に乗り込むつもりか!!?」「やめとけ!! 全員捕まって殺されるのがオチだ!! 無駄死に決定だぞ!?」 - すると、アーサーは拳を握って屈託なく笑ったのである。
「行くのは私一人!!」「そして キャメロットを この手に取り戻す!!」
その肩に、素早くキャスが飛び乗った。 - 「ば…」「馬鹿だろ!? 城には魔神が うじゃうじゃいるだけじゃない… <十戒>ゼルドリスがいるんだぞ!? 魔神族最強最悪の処刑人だぞーー!!?」
オルロンディは詰め寄ったが、尾をキャスに齧られて悲鳴をあげた。 - アーサーは全く怖じけた様子なく、にこにこ笑って言い放つ。
「「あれ」さえ取り返せば なんとかなるよ」
「「あれ」?」キョトンとするオルロンディ。
フッとアーサーは笑った。自信に満ち満ちた瞳で、取り返すべき物の名を告げたのである。
「聖剣」「エクスカリバー」 - キャメロット城内。
壁面を美しく装飾された円形の小部屋。そこにあるのは、床の中央に突き立った一振りの剣のみ。
稲妻のように歪んで渦紋様の刻まれた柄を握りしめ、グンッと引き抜こうとするが、微動だにしない。 - 闘級6万1千を誇る己の力でも抜けぬ異常な剣に、ゼルドリスが特殊な魔力を感じ取ったのも当然のことだった。
- (ビクともしない…)(
剣 自身が選別した者にのみ 力を与える魔剣か…)(いや… これは魔神の魔力とは全く異なる… となると――)
◆「聖剣」と言うからには、女神族の魔力なんでしょうか? それともベリアルインとかの特殊な剣?
元ネタのアーサー王伝説で考えれば、「選定の剣」とすればマーリン由来、「エクスカリバー」の名を重視すれば妖精族(湖の貴婦人、アヴァロン)由来の剣ですね。でも この漫画だと、今のところ、アーサーは妖精族に全然絡まないからなぁ~…。 - そこに灰色魔神が現れ、魔神言葉で何事か報告した。
「…なんだと? 今度は100体殺 られた?」
灰色魔神は報告を続ける。
「いまだ 何者に やられたかも つかめんのか!?」
怒鳴られて灰色魔神は カタカタと震えたが、ゼルドリスは、怒り任せに部下に危害を加えるような真似はしなかった。
「全く 無能な連中だ…!!」「もういい 退がれ!!」
◆ゼルくんは(魔神族的には)いい上司。 - 灰色魔神は立ち去り、ゼルドリスは眉をひそめて独りごちる。
「連日魔神族 に奇襲をかけては 一切正体を掴ませぬ死神――か」「フン… どれほど愚かな行為か この俺が直々に教えてやる…」 - その時、空間に亀裂が走った。
『ゼルドリス………』『我が代理… 我が息子…』
不気味な声と共に、空間の裂け目が渦を巻き始める。 - 「これは父上!! お見苦しいところを… 必ずや 侵入者は捕らえ―――」
『どうでもよいわ…』
かしこまって言いかけた言葉は、興味なさげに遮られた。
『それよりも朗報だ…』
不思議そうに 朗報とは? と問い返した息子に、声は告げた。
『魔神王が目覚める』 - 「父上が お目覚めに!? しかし まだ封印が解けるまで時間が…」
『我に非 ず… 本来なら我の跡を継ぐべきだった者…』 - 渦巻き続ける空間の裂け目の向こうに、ここではない光景が見えた。どこかの室内だ。椅子やテーブルで作ったベッドに寝かされているらしい大男の足、“
完璧なる立方体 ”を見張るように立つ魔女の後ろ姿。その結界の箱の内部には、何故なのか眠っているらしいメリオダスを抱きしめたエリザベスの姿がある。
視点は ひどく低い位置にあった。まるで、犬か豚くらいの大きさの生き物が見ている景色のように。 - ゼルドリスの顔色が変わった。
「……!!」「まさか…… あの裏切り者が………?」 - 『ハ…ハ… 言うな 汝の兄を魔神の新たな王として迎えいれるのだ』
「それは……………しかし!!」 - 珍しく抵抗を見せる末息子に、にべなく父王は命じる。
『これより命を下す』『メリオダスを奪還せよ…!!!』 - 映像の中のメリオダスは、うっとりと頬を染めた女神の腕の中で、薄く漆黒の瞳を開いていた。
- 次回「新たなる脅威」
アーサーが、ただ強くなったとかいうのとは別次元のチートキャラに変貌していて「!?」って感じでした。
ファンブックだとアーサーの闘級は4万でしたが、闘級6万1千+魔神王の力で、敵の魔力を封じる力すら持つゼルドリスに、エクスカリバーさえあれば勝てると自信満々に言うからには、もはや闘級10万以上あるんでしょうか(汗)。
色んな意味で、エスカノールも形無しになりそう?
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マーリンに助けは必要ない?
アーサーの自信満々っぷり。
第二部序盤(第125話)の「マーリンや民をガランから守れなかったと自信を失って打ちひしがれていた」頃とは、もはや別人ですね。
特に印象的だったのは、マーリンは息災かと自ら訊きつつ、答えが返る前に「彼女のことだ なんの心配もいらないだろうけど」と自己完結して、結局 彼女の近況を聞かなかった場面です。
第159-160話では、あれほど「マーリンを守れなかった自分は不甲斐ない」「必ずマーリンを助けてみせる」と熱く語っていたというのに。
いつの間にか、彼女を助けたいという気持ちはアイスクリームのように溶け去って、「マーリンは一人で大丈夫」と、ケロリと笑う態度に豹変しているじゃないですか。
アーサーがマーリン離れしちゃった…。
王都防衛戦終了後(第196話)、エスカノールが、久々に会ったマーリンに
「あなたこそ石にされたと聞いて―――――… もちろん 僕は大丈夫だと確信してましたよ」
と にこやかに言ってて、ちょっと驚いたことを思い出しました。
メリオダスを始め、恋する男は何をおいてもヒロインを守ろうとするのが この漫画だったのに、マーリンに限っては、あれほど彼女に焦がれるエスカノールですら「あなたは一人で大丈夫」と放置してしまうんだ…と。
そして、エスカノールに引き続き、アーサーもが「マーリンは一人で大丈夫」と言い出すとは。
確かにマーリンはチートですけどね。
でも、助けが必要と誰にも思ってもらえないというのも、なんか淋しい気がする。マーリン本人は てんで平気なのかもですが。
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時間経過について、一考
ななしが言いました。
「上出来だ アーサー この数ヶ月で よく ここまで到達した」
数ヶ月!!?
ななしとアーサーの出会い(バイゼル大喧嘩祭りでメリオダスが殺された時点)から、「数ヶ月」経ってたんですか!?
メリオダスの死~リオネス王都防衛戦までは「一ヶ月」だったと、作中(第177話)のナレーションで語られています。
その翌日にハウザーが新聖騎士長(代理)に就任。
新<豚の帽子>亭 竣工の日にキング&ディアンヌが合流。翌日にはキャメロットへ向けて出発しました。(同日にマーガレットがギルサンダー捜索に出発。現在は、それから三日後と思われる。)
以上の時間経過から、私、現在はバイゼル大喧嘩祭りから一ヶ月半~二ヵ月弱くらいかと思っていました。
しかし、実は「数ヶ月」経っていたんですか。
う~~ん…?
「数ヶ月」というのが具体的にどのくらいの期間を指すのかは定かではありませんが、個人的には三ヶ月以上一年未満、という印象です。
メリオダスの死から復活(リオネス防衛戦終結)まで「一ヶ月」だったこと(A)、キング&ディアンヌとの合流の翌日にキャメロットへ出発したこと(B)は確定しています。
なので、「数ヶ月」経っていたというのなら、AからBの間に、二ヵ月以上の期間が挟まっていると仮定せざるを得ません。
<豚の帽子>亭再建に、それだけの時間がかかった?
確かに、普通の住宅なら建てるのに三ヶ月くらいはかかるでしょう。
でも、半壊したリオネス王都は、マーリンの魔法で一夜で完全修復されてたのに。
第219話 扉絵の解説文(単行本には未収録)によれば、新<豚の帽子>亭には少なからずマーリンの手が入っています。費用はバルトラ王が持ったようですが、彼女が魔法で建てたんだと思うんですよね。それでも何か月もかけた?
そもそも、ゼルドリスの戒禁に操られた人々がキャメロットに逃亡したことは、防衛戦終結の翌日には、マーリンが(入浴しながら)<大罪>達へ報告していました。
オーダンら地方の村々は魔神たちに支配されたまま。
ギルサンダーもビビアンに誘拐されたまま。
その状況で、何か月も のんびり王都で遊んで暮らしていられるものなんでしょうか?
個人的には、甚だ疑問です……。
ななしは「数ヶ月」と言ったけれど、実際は二ヵ月くらいだったんじゃないかなあ、と思いたい。(;^ω^)
余談ですが。
王国誕生祭から日数を読んでいけば、バイゼル大喧嘩祭りは3月末~4月頭の出来事だったと推測できます。
ならば、一ヶ月後のメリオダス復活時は4月末~5月半ばくらいだったのかなと。
その後、リオネス王都で数ヶ月過ごしているのなら、その間にエリザベスの17歳の誕生日が過ぎていることになります。(彼女の誕生日は6月12日)
場合によってはアーサーの誕生日(8月17日)すら過ぎて、そろそろ秋に差し掛かろうとしてる?
実際には二ヵ月くらいしか経っていないのだとすれば、現在はエリザベスの誕生日 直前なのかもしれません。
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お前はもう、死んでいる
強大な魔力を秘めているが未発現だったアーサー。
それが覚醒したということなんでしょうか、今の彼からは「気配を全く感じない」そうで、魔神にも気付かれずに動き回っていました。
…バンの「
そして、なんだか意味が解らなかったのは、アーサーが剣で斬った(らしい)魔神たちが、彼自身はとっくに立ち去った後、かなりのタイムラグを置いて(※)、一斉にバラバラになって死んだことです。
※アーサーが地下に帰還してご飯も食べた後に魔神たちが死にましたから、数十分~一時間くらい?
え、どゆこと?(困惑)
アーサーが剣の達人過ぎて、肉の組織を崩さず斬れるため、痛みや出血を覚えず、重力で肉がバラバラになるまで斬られたことに気付いてすらいない、という描写なんでしょうか?(それにしたってタイムラグがあり過ぎる)
それとも、時間操作系の魔力で、攻撃を数十分以上 遅延させて行えるという意味なんでしょうか?
??? ホントに、よく解らないです。
アーサー王物語群やケルトの騎士物語を読んでいると、「姿の見えない死神」のエピソードがチラホラあります。
戦場で騎士たちが姿の見えない何者かに次々と、容易く殺されてしまう。
それは、着ると姿の見えなくなる「隠れマント」を まとった騎士の仕業であった…というモチーフです。
【元ネタ】キング、オスロー、ヘルブラム、ゲラードで説明したように、隠れマント、隠れ蓑、隠し兜といった「着ると姿が見えなくなる」アイテムは、本来は「霊」を暗喩したものです。霊的存在は姿が見えないので。
霊的存在が戦場で騎士たちを次々殺してしまうエピソードの根底にあるのは、視えざる神に与えられる死、まさに「死神」への恐怖でしょう。
隠れマントをまとった暗殺者は、「死神」のイメージから出来たキャラクターだと思います。
アーサーが魔神たちに全く気取られず殺して回り、ゼルドリスが「一切正体を掴ませぬ死神」と言っていたので、以上の「姿の見えない死神(隠れマントの騎士)」のモチーフを思い出しました。
思えば、伝承上のアーサー王も「姿隠しのマント」を持っていると語られることがありますよね。
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聖剣エクスカリバー
というわけで、この漫画にも ついに登場しました。
混沌の渦を思わせる ぐねぐねした柄と、光を連想させる菱形の鍔が特徴的ですね。
伝承上のアーサー王は、「誰にも抜けぬ岩に刺さった剣を抜いて、王と認められた」エピソードが有名です。
ちなみに、岩に刺さっていた剣と、アーサーが愛用していた剣エクスカリバーが同一だったかには諸説あり、ぶっちゃけ、伝承によってバラバラです。
様々なパラレルな伝承をまとめてオリジナルアレンジして『アーサー王の死』を書いたトマス・マロリーは、伝承に倣って「マーリンが用意した岩に刺さった剣」と「湖の貴婦人が授けてくれた名剣」を、どちらも「エクスカリバー」としたので、読者を「ん? どゆこと?」と惑わせたのでした。
では、この漫画のアーサーも、岩に刺さった剣を抜いて王と認められたのでしょうか。そして、岩に刺さっていた剣こそがエクスカリバーなのでしょうか。
第63話にて、リオネス王都に突然 軍勢を率いたアーサー王が訪ねてきた時、ドレファスが以下のように語っていました。
「天の啓示か… 神の気まぐれか 突如 出現した巨石に刺さった剣――いかなる聖騎士にも抜くことができなかったらしい」「――それを抜いた若き王…だったか」
ここのイメージ画でアーサーが掲げている「巨石に刺さっていた剣」、特徴的な菱形の鍔から見て、エクスカリバーに見えますよね?
第3話、バーニャの村で<豚の帽子>亭の営業をした際、客の一人が
「はるか南のキャメロットで アーサーだかって若造が王様になったんだと」
と噂話をしていました。
つまり、アーサーは本編開始の少し前(現在の一年前)に「巨石に刺さった剣」を抜いて王になった…と。
では、アーサーとエクスカリバーとの出会いも、その時だったのでしょうか。
……実は、そうとも言い切れない点があります。
第159話、幼い頃からのマーリンへの恩を想うアーサーの回想画の中で、幼い(6、7歳くらい? の)アーサーが持っている剣が、やはりエクスカリバーらしく見えるからです。
マーリンは10年前の<大罪>離散後すぐ、アーサーの師になったらしい。
それは、彼に何らかの素質を見出したからだそうです。
もしかしたら、10年前にマーリンが幼いアーサーにエクスカリバーを与え、彼が選ばれたのを見て、素質を認めて師になったのかも…?
そして10年かけて育て上げた後、わざとエクスカリバーを巨石に刺して人々の前に置いて、アーサーだけが抜くことが出来る、彼こそが王だ、というパフォーマンスをさせて、まんまと即位させた…のかもしれないですね。
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魔神王がメリオダスを新・魔神王にしようとするのは何故?
最凶化の進むメリオダスを指して、魔神王は
「魔神王が目覚める」
と言いました。
なんだか奇妙な言い回しです。
現在のメリオダスの記憶は<十戒>統率者時代に退行しているらしい。しかし、いつ元に戻ってもおかしくありませんし、再びエリサベスに恋する可能性もある。
なのに、いつまた裏切るかもしれぬメリオダスを魔神王に据えようというのです。能力的にはゼルドリスでも遜色なさそうなのに。
なーんか、変ですよね?
なんの意味があるんだろう、これ。
そもそも、メリオダスが最凶化すると「(煉獄で黒モヤになってる)魔神王が復活する」んじゃなかったのか?
第183話、煉獄の黒モヤ魔神王は何て言ってましたっけ。
「かつて最凶の魔神の名を ほしいままにした 貴様が」「あの女のせいで役立たずの骨抜きにされて はや三千年…」「それが今の状態まで 戻れたのは誰のおかげだ?」
「そう… 貴様が死を選び 煉獄へ来るたびに」「我が 貴様に芽生えし感情を喰らってやったからにほかならぬ!!」
「…さあ 此度も我が飢えと渇きを満たすがよいぞ」「これも互いの今後のためだ…」
「我は感情を養分に失われし力を蓄え」「貴様は かつての最凶の魔神に 再び近づくことができる」「喜ばしかろう 我が息子よ…?」
なるほど…。
自分が復活するとは言ってなかったんですね。「失われし力を蓄え」と言ってたから、てっきり煉獄の魔神王自身が蘇る気なのかと思っていました。
では、魔神王の目的は、最初から「メリオダスを魔神王にすること」だった?
しかし、いくら力が強く才能があるとしても、女にうつつを抜かして同胞を殺すのも厭わぬ裏切り者を王に据えるのは危険すぎます。
もっと同胞想いで父にも忠実なゼルドリスではダメなのでしょうか?
うーんん…?
想像A
メリオダスを魔神王にするというのは、実は、黒モヤ魔神王がメリオダスの肉体を乗っ取るという意味である
想像B
メリオダスが魔神王として「目覚め」れば、自然に人格が変わってエリザベスに惑わされなくなることを、黒モヤ魔神王は知っている
想像C
実は、これはメリオダスとエリザベスそれぞれに課された試練であり、二人が新・魔神王、新・最高神になれば、魔神族と女神族の融和したラブ&ピースな世界になることが約束されている
あはは(苦笑)。
さて、どう転んでいくのでしょうか。
ところで、最終場面のメリオダスさんがエリザベスの胸の中で うっすら目を開いていて、目が覚めてないふりして胸の感触を楽しんでいるのだろうかと思いました。「いい匂いだなー」とか思ってそう。
エリザベスはエリザベスで、こんな状況なのに頬を染めて うっとり抱きしめてるし…。(でこチューしてる?)
このバカップルめ!(^_^;)