【感想】『七つの大罪』第229話 愛は乙女の力
週刊少年マガジン 2017年36・37号[2017年8月9日発売] [雑誌]
第229話 愛は乙女の力
- 「め…女神エリザベス…」「このタイミングで目醒めるなんて!!」
暗澹の繭の中でメラスキュラは悔しげに唸った。 - 「エリザベスが目醒めただと…………!?」
見上げた女魔神に問うメリオダス。 - 「そうよ…
放 っといても三日後には呪いで死ぬんでしょうけど…」「私が直々に出向いて殺してあげるのも悪くはないわね…」
「メラ… 二度は言わねぇぞ…!」「俺を今すぐ出せ…!!」
昔ながらの愛称を使いつつ、睨みを利かせたが。
「フン」
鼻で嗤って、メラスキュラは スウ… と闇に溶け消えた。繭の外に出たらしい。 - 残されたメリオダスは憎々しげに歯噛みをした。
「エリザベス………!!」
呻くように恋人の名を呼べば、全身から、またも沸き上がり始める負の力。
「エリザ……ベス!!!」「エ…リ…ザ…」 - コランド市街。
ぺたりと正座したディアンヌと、彼女の肩の高さに浮かんだキング。並ぶ二人にエリザベスが左手を伸ばしかざす。
彼女の周囲に湧いた光が千切れて、光の花吹雪となって吹き抜ければ、もう、二人の傷は完全に癒やされていた。血の跡さえ消えた顔を唖然と見合わせる。 - エリザベスの背後では、バンがエレインの腰を抱き寄せて顔を覗き込んでいた。
「全く… 無茶しやがる!!」
エリザベスのおかげか、今は調子がいいようだが、今朝まではベッドから起き上がれないほど衰弱していたはずだ。
「だって バンやみんなのことが心配で……」
「とにかく早くお前は戻ってろ」
「……」
少女は拗ねたように顔を背けた。話を変えるつもりか、エリザベスに声をかける。 - 「それにしても とてつもない魔力だわ…」「本当に… 本物の女神だったのね」「今のあなたは どっちのエリザベスなの…?」
- 振り向いたエリザベスは面映ゆそうに微笑んだ。
「今の私は女神族のエリザベスであり」「リオネス国王女のエリザベス――――――でもあるわ」
その両瞳に女神の紋様 が瞬 き、また消える。そしてマーリンに顔を向けた。
「ねえ マーリン メリオダスは 今どこに?」 - 「……」
マーリンは応えない。 - 「マーリン? 王女様が聞いてるよ」「………マーリン?」
ゴウセルが取り次いでも黙ったままだ。 - エリザベスがマーリンの前へ歩いていく。
両腕を後ろに組んで、つま先立ちに背伸びをして、頭一つ分は高いマーリンの顔を下から覗き込んだ。
「…本当に見違えたわ」「こんなにキレイになって」「大人の女性になったのね…」
大人になったと言いながら、小さな子供に向けるように気安く微笑みかける。 - 「あ…」「ああ…………」
やっと声を返したものの、マーリンは言葉少なだった。普段の傍若無人な態度はどこへやら、借りてきた猫のようではないか。 - 「?」「なんだか… マーリンの様子が…… ………ヘン」
ディアンヌが小首を傾げ、エスカノールも不思議そうに眉を上げた時、エリザベスが続けた言葉が爆弾を落としたのだった。 - 「もう昔のように」「“
姉々 ”って呼んでくれないの?」 - 顔を引きつらせてザッと青ざめるマーリン。
- 「「「
姉々 !!?」」」
ディアンヌ、ホーク、エレインが叫んだ。キングとバンは胡乱な目になり、ゴウセルはキョトンとして、エスカノールは荒く鼻息を吹き始める。
◆マーリンの故郷・ベリアルインは沖縄だった説。(沖縄方言で姉や姉貴分を「ねぇねぇ」と呼ぶ。)
…メリオダスのことは「兄々 」と呼んでたんでしょうか? - 「私を本当の姉のように慕ってくれていたでしょう?」
「い… いつの話をしているんだ!?」
ニコニコと笑うエリザベスから目を逸らすマーリンの頬は仄かに赤く染まり、動揺は明らかだ。満面の笑顔を輝かせてエリザベスはお構いなしである。
「あなたが まだ12か13の頃よ 覚えてない!?」
◆つまり、マーリンの年齢は およそ3013歳なんですね。(魔法で肉体の年齢を凍結させているので、肉体年齢は30歳くらい) - 「あ… あのマーリンが」「かわいい…」
笑いだしそうな口元を押さえてキングと顔を見合わせるディアンヌ。
「姉々 ……って」
キングは汗タラして胡乱な目のままだ。 - 「エリザベス王女 できれば その話の詳細をもっと…」
何故か ハア ハア と息を荒げ頬を紅潮させたエスカノールが、胸に手を当てる礼を取りつつ乞うたが。
「余計な詮索だ!!」
と怒鳴るマーリン。珍しくも、まるで余裕が失われている。
◆この場面、エスカノール×マーリンのラブコメの波動を感じました。
エリザベスがマーリンの姉的立場になったことで、マーリンに子供っぽい面(妹属性)が出てきた気がする。それにより、高嶺の花だった彼女が降りてきて、エスカノールと並べそうな感じになってきたような…? - 和みかけた空気に異物が割って入った。
「ご歓談の最中 に失礼するわ……」
仲間の誰でもない声。
「!」
一斉に振り向いた<大罪>のなか(キングは振り向くと同時に神器 を刃に変化させた。エスカノールは泰然としている)、憎々しげに顔を歪めるバン。
「てめぇ……!」「<十戒>「信仰」のメラスキュラ!!」 - 切り揃えた髪を腰まで垂らした少女が、白い裸身をさらして廃都の空に浮かんでいた。エスカノールに焼かれて以来、服を着ていないのだろうか。以前は とぐろを巻かせて身にまとっていた闇すらなく、無防備に見える。
それでも余裕たっぷりに見下ろすと、耳まで裂けた口を歪めて言葉を続けた。 - 「メリオダスの心を奪い 操り 寝返らせ…」「魔神族に致命的打撃を与えた 憎き女神エリザベス」
まずはエリザベスを睨 めつけ、
「生意気にも<十戒 >に楯突く」「<七つの大罪>」
神器の刃を展開させたキングと身構えるデイアンヌやゴウセル、悠然としたエスカノールやマーリンへと視線を巡らせていく。
「あら… 私が仮初めの命を与えてあげた半死の妖精の小娘まで 一緒じゃないの ……フフフッ」
顔を強張らせたバンが背に隠していたエレインをも目敏く見つけて、女魔神は くすくすと笑った。 - 「………………」
一同の中、ドキドキとコメントの順番(?)を待っていた子豚がいたが。
「俺は!?」
無視されて「プゴッ」と鼻息を荒げた。 - 「この「信仰」のメラスキュラ」
宙に浮かぶメラスキュラの身体が、モゴッ モリ モリ メキッと奇妙に膨れ上がっていく。
「魔神王様に代わり 汝らに罪を下す」
肉を盛り骨を変形させ、ブンッと首を左、次いで右と振って伸ばした彼女は、人の姿を棄て、巨大な毒蛇の姿を現していた。 - 鎌首をもたげればディアンヌより やや高い。胴回りも彼女が両手で抱きつくほど。全長60m以上はありそうだ。
「シャアァァァッ」
尾の発音器官を震わせて威嚇音をあげ、コブラ風に頸部のフードを広げる。
◆敵が、いよいよ主人公側にやっつけられる時に見せる鉄板行動、それが巨大化・怪物化。メラさんもヤキが回ったね…。
ところで「罪を下す」って日本語的に変では? 「罰を下す」の誤植でしょうか。 - ホークが、ジョッと おしっこを漏らした。
◆どーでもいいけど、ホーク、コマによってエスカノールの眼鏡を掛けてたり掛けてなかったりする(笑)。 - 「…可愛くないから この姿には あまりなりたくなかったの」
チロチロと細い舌を動かしながら人語を喋る大蛇の頭部には、二本の突起が耳か角のように突き出、目には睫毛がバサバサと生えている。 - 「ハッ♪」「今までよか だいぶマシだぜ~~?」
皮肉に嗤ったバンに、一瞬で長大な身体が躍りかかった。
「キシャアッ!!!」
ゴッ ドンッ - 「…っ」
衝撃波と噴き上がる瓦礫に顔をしかめるディアンヌ、神器で防ぐキング、ボールのように吹っ飛びかけたホークを片手で押さえるエスカノール。ゴウセルとエリザベスはマーリンが己ごと“完璧なる立方体 ”に封じ込め、空に離脱する。 - 「バン!!」
そんな中で、エレインが悲痛な叫びをあげていた。
大蛇は巨大な口を開けて襲い掛かるや、バンだけを咥 え込み、そのまま都市の瓦礫の中を くねり進んでいったからである。 - 「まずはバン あなたからよ」
「くっ…」
口の中で、バンは両手両足で必死に大蛇の顎 を支えていた。
「あなたのせいで心臓を六つも潰されるわ顎 の噛み合わせも悪くなるわで 超最悪!!」
◆再登場後のメラスキュラの口が耳まで裂けてたの、噛み合わせが悪くなったせいだったんですか(苦笑)。 - 「そのお返しに 私の胃袋で飼ってあげる …あなたは胃液で溶かされては再生を 一生繰り返すのよ!」
口の奥を向いたバンの腰にはメラスキュラの舌が巻きついており、喉の奥へ引きずり込もうとしている。
「不死であることを後悔させてあげるわ!!」
バンは支える手足を わなわな震わせながらも懸命に堪 えているが、呑み込まれるのも時間の問題だろう。
◆溶解と再生の繰り返しで永遠に苦しめてやるっていうの、タニス・リーの小説『死の王』で、大地の炎の井戸に落とされた不死の英雄シミュのエピソードを連想しました。抜け出せない・誰も助けに来ない場所で何十年と焼かれ続けて、不死者ゆえに死ねず、人格も崩壊して狂ってしまったというやつ。
それはそうと、バンを口に咥えたまま喋ってるメラさん器用。きっと特技は腹話術。いや、舌をバンに巻き付けてるので腹話術師より器用。…普通に、口(喉・舌・口腔)以外の場所に発声器官があるのかもですけど(苦笑)。 - 「バーン!!」
建物をなぎ倒しながら這いゆく大蛇を追って、エレインが空を飛ぶ。
「バンを離して!!」
「来るなエレイン!!」 - 恋人の言葉を聞き入れることなく、エレインは風を放った。
“追撃のつむじ風” - それこそ蛇のように伸びた風が、大蛇の頭部に巻きついて パシュ パシュ と叩いたが。
「ちょっと! 痒いじゃないの!」
バンの腰に巻き付けていた舌を解いて言うや、大蛇は尾でエレインを打った。 - バチッ
「キャッ」 - 「危ない!!」
地に落ちそうになった身体を、ディアンヌが頭からスライディングするようにして、パフッと手のひらに受け止める。 - 「エレイン!! やめろ!!」「そんな体で無理は もうよせ!!」
大蛇の口から叫ぶバン。
「バンの言う通りだよ!! ここはオイラたちが…」
キングも語気強く追随したが。 - 「今… 無理を…しないで…… いつすればいいのよ…!!」
エレインはディアンヌの手のひらの上で身を起こした。
バッ
「エレイン!!」
兄に構わず、再び飛び立っていく。
◆闘級3万強の相手に、見た目かなり強く殴られたのに、かすり傷一つありません。(この時点のエレインの闘級は2830のはず。この闘級差だと、モブ聖騎士なら一撃死、パワーアップ前の大罪でも かなりの傷を負う状況でしょうに。)
展開のための ご都合とはいえ、なんか狡いな~…。 - 「私はいつだってバンに守られて バンに甘えて…」「でも… それだけじゃいやなの…」
大蛇を追いながらエレインは独白した。
「私だって…」「あなたを守りたいの!!!」
涙を浮かべて叫んだ全身に、ポ…と、魔力の光が灯って包み込む。 - 「愚かね」「あなたの力じゃ 私から恋人を奪うことはできないわ」
這行 を止めてメラスキュラはエレインに顔を向けた。
「自分の無力さを噛みしめながら 恋人が噛みしめられる様を見届けると――」
いいわ、と言おうとした頬を ヒンッ と掠め抜けた風。
◆メラさん「無力さを噛みしめながら恋人が噛みしめられる様を」って、台詞回しに詩心がありますね(笑)。出会い方が違っていたらエスカノールと詩作友達になれてたのかもしれない。 - 「!?」
ぎょっとするメラスキュラ。口の中からバンが消えている。一瞬で掠め取られたというのか。 - 「キング… あの姿…」
大蛇の背後、頭上に浮かぶ二人の姿を見て、ディアンヌが口をあんぐり開けた。
「う…そ」
キングは、口ばかりか目まで落としそうに見開いて固まっている。 - 「魔力1万8000 武力50 気力3000」「闘級2万1050!!?」
プゴッと、ホークが興奮の鼻息を吹いた。<十戒>ガランに匹敵する闘級だ。 - 「愛する人を想う気持ちが 力へと姿を変えたのよ…」「キレイだわ…」
うっとりと微笑むエリザベス。 - 「エレイン…………」
己の腕に抱きついた恋人の名を、バンは呼んだ。
飛行能力のない彼を、それだけで空中に自然に立たせている彼女を。
肩までの長さだった金の髪が腰近くまで伸びていた。身長も少し伸びたのかもしれない、大人びたように見える。そして、その背に広がる、淡く輝く蝶のような大羽。初代妖精王グロキシニアにこそ やや劣るが、今まで見たどんな妖精より大きく美しい。 - 愛おしさを込めた目で、バンは恋人を見つめた。
彼女の叫びは聞こえていた。自分もバンを守りたいと。
「バカヤロウ… お前はいつだって俺の救いなんだ」
バン自身こそ、いつだって守りたいと思っているのに。かつての妖精王の森が大焼失した時も、守られたのは自分の方だった。それからの20年だって。
エレインは、その存在だけでバンを救ってくれている。
「……………ありがとな」
ギュッと抱きしめれば、その心の全てを感じ取った聖女は嬉しそうに涙を浮かべた。 - 「よくも私の獲物を!! 小生意気な小娘が…!!」
恋人たちのダシにされたメラスキュラが喚く。
「こうなったら 順番なんて関係ないわ… 全員 皆殺しよ!!」
◆メラさん、エレインを小娘と言ってますが、封印されてた期間を数えない実年齢で言えば、メラ362歳、エレ約1000歳で、エレインの方が遥かに年上なんですよね。 - ズンッ
その時、都市の中心のドームが震え、蜘蛛の巣状の亀裂を走らせて一気にひび割れた。
ビシッ
「!?」
驚いて見やるメラスキュラ。あそこはメリオダスを入れた“暗澹の繭”を置いていた場所だ。 - エスカノールが表情を引き締めて そちらに顔を向けた。
- 「この邪悪な波動は…?」
“完璧なる立方体 ”内で尋ねるゴウセル。
「間違いない 奴のものだ」
マーリンが告げた隣で、答えを悟ったエリザベスが顔色を変えた。
「メリオダス」 - ドンッ
ついにドームが弾け飛び、消滅する。 - 「う…うそでしょ ありえないわ!! “暗澹の繭”は<十戒>の誰にも」「「魔神王」の魔力を行使しない限りゼルドリスにすら破れないのよ!?」
メラスキュラが叫んだ。 - 飛び散る瓦礫の向こうに見えてくる、背に翼の形の闇を広げた少年の姿。
そこから放たれる“鬼気”の、なんと禍々しいことか。 - おもむろに唱えたのはエスカノールだ。
「我が意志に応えよ…!!」「神斧 リッタ!!」
キョトンと見ているホークの前で、グ…と身を屈めるや、地を蹴って一息に跳ぶ。
ボン
それだけで衝撃波が起こり、驚いたホークが「ぴーーっ」っと鳴いた。 - ギュルルルルルルルルルと回転しながら飛んできた己の神器を空中で掴み、ズンッと地を鳴らして、一跳びにメリオダスの前に着地する。
- 「エスカノール!! その団長殿は お前の手にすら余る存在だ!!」
珍しく顔色を変えてマーリンが叫んだが。
「ご心配なく…」「私は こう見えて 子守りが とても得意でしてね」
それを聞くエスカノールの目は穏やかなままだ。傲慢なほどに。
「…これは実に あやし甲斐がありそうです」
ゴキと軽く首の関節を鳴らし、桁外れの重さの神斧を片手に軽くぶら下げると、己より3000歳以上は年上の少年に向かって踏み出した。 - 次回「選ばれし戦士たち」
危惧していた通り、前回の悲劇は キレイサッパリ「
エリザベスとマーリン(とエスカノール)の ほのぼの、バンとエレインのイチャイチャは描かれても、キングやディアンヌの哀しい顔はコマの隅にすら描かれず。
ジバゴの霊がバンの身代わりになったときは、すぐ後に「そうか… オッサンが………」とジェリコが涙ぐんで悼むシーンがあったのにな。(第146話)
ヘルブラムの自己犠牲はキング以外には知られることすらなく終わったのでしょうか。
ディアンヌは、自我はあったようなのに、キングを蹴ったこともヘルブラムを握り潰したことも、自覚がないの?(あまりにもケロッとしてる…)
エレインは、ディアンヌが怨霊に憑かれたことは遠い場所にいても察知したのに、ヘルブラムがいなくなったこと・兄の悲しむ心には気付かないの?(兄には見向きもしない)
身体の傷はエリザベスが片手で治してくれる。
でも、死んだ(消えた)者が蘇るわけではないし、心の傷は治らない。
王都決戦時に王女エリザベスが癒やしの力に目覚めた時は、それをちゃんと語ってくれていたのに、今回は 微塵もありません。
怪我は治ったんだからもういいでしょ、さっきの話はお終い! と乱暴に片づけられた感じ。
悲しいなあ。
…いや。
描かれてないだけで、エリザベスが治療をする前に、一通りの悲しみと謝罪と許しのドラマがあったのかもしれない。…と、妄想補完するしかないですね。
単行本で描き足されたら嬉しいけど、無理なんだろうなあ。
------------------------------
エレインの羽化
エレインに立派で大きな羽が生えました。
それだけでなく、髪も伸びて、もしかしたら微妙に背も伸びた?
そして闘級は十倍近くアップし、なんと2万1050に!
キャメロット来襲時のガランと同程度の闘級です。つまり、今のエレインは片手でヒョイの攻撃で都市を半壊できる強さってこと。
確かに、エレインは綺麗でした。とても驚きました。
こんな展開、予想もしてなかったです。
でもなあ。
ごめんなさい。
正直、戸惑ったというか、あまり嬉しくなかったというか、がっかりしました。 (個人の感想です)
エレインに
そんなの、望んでなかったです。
ひとつは。
バンの闘級アップを今か今かと待ってたのに、変な肩透かしを食らったから。
足手まといで役立たずのバンの危機を、彼より桁違いに強いエレインが救う、なんて。
確かに意外性はありました。
でも、コレジャナイ感が凄い。
読みたかったのはコレじゃないんや…!
バンがパワーアップしてエレインを守る方が見たかった。
何でバンより先にエレインがパワーアップするの?
エレインがバンを助けるのが悪いってことじゃない。
けれど、程度ってものがあるだろうと思っています。
バンとエレインの闘級が離れすぎ。バンが役立たず過ぎ。エレインが強くなり過ぎ。
まさか、キングだけでなくバンのエピソードまで、読者の期待を意図的に外した がっかり仕様になるとは。
エレインを こんなに強くしてどうすんだ、とも思うのです。
今後は戦場で<大罪>と肩を並べて戦うんですか? 申し訳ないけれど、嬉しくないなあ…。
第一部の頃の、戦う力がないのに懸命に体を張ってた(非力でも心は誰よりも強かった)エリザベスが。そして、そんな彼女を守るメリオダスという構図が好きでした。
頭古いでしょうか。
でも騎士物語って「お姫様を守る騎士」が基本で、第一部の頃はそういう話でしたし、それが好きだったのになあ。
(最初から戦士キャラであるディアンヌは別にして、)猫も杓子も戦闘能力的に強くなくていいじゃん。心が強いとか特殊な力に秀でてるとかで充分じゃん…。
ゲームキャラじゃあるまいし、守られていたヒロインがチート級パワーを誇示して戦場で敵をなぎ倒すのを見たかったわけじゃないのに。(個人の感想です)
ふたつは。
妹に易々と凌駕されて、キングの存在価値が下がった感じになったから。
↑このマヌケ面。
闘級的にはキングの方がエレインより高いです。
でも、羽の生え方・大きさは、エレインの方がずっと立派で美しくカッコいい。
愛する男を守りたいと頑張って、掠り傷一つ負わず、あっさり大きな羽が生えて<十戒>並みにパワーアップしたエレイン。
このお手軽さを見たら、虚しくなってしまいます。
読者はリアルで二年以上も、羽の生えない(パワーアップできない)キングの奮闘を見守ってきたのですから。
エレインのバンへの愛は素晴らしいですね。
でも、キングのディアンヌや妖精族への愛は、それに劣るものだったのでしょうか。
キングは全身から血を噴きだして気を失うまで力を振り絞って戦っても羽が生えなかった。
やっと生えても、どんな妖精よりも貧相な・ギャグみたいなちっさい奴で、みんなから笑われて揶揄われています。
対して、エレインの羽の生え方の簡単さ、カッコいい演出、大きさと美しさ。エリザベス様が褒めたたえるオプション付き。
なんだか悲しいなあ。
(つーか、ちっちゃい羽しか生えなかったキングへの「生え始めは そんなもんス」ってグロキシニアの言葉は、やっぱり優しい嘘だったんですね…。)
そもそも。
なんでエレインに妖精王っぽい羽が生えて闘級が5桁台になるんでしょうか?
だって彼女は「妖精王の妹」ではあるけど、「妖精王」じゃないです。
妖精王とは神樹に選ばれた唯一無二の存在で、だから他の妖精たちとは異なる圧倒的な力があるという設定だったはず。
それが、王の妹ってだけのエレインが、なんでこんな?
まあ、700年前にキングが森を出る時、エレインに留守を任せていましたし、王の妹とは、元々 王の補佐をするための(妖精王が王に選ばれたことで生まれてくる)特殊な存在なのかもしれません。
しかし、ならばグロキシニアの妹のゲラードが闘級2370しかないのは どういうことなのでしょうか? 羽が切られているので力を失ったのでしょうか。そうなら、3000年前の羽が無事だった頃のゲラードは、やはり闘級2万以上あったんでしょうか?
なんにせよ、エレインの この簡単で素敵なパワーアップは、キングの妖精王としての特別感を薄めてしまいました。
妹に簡単に凌駕され、お株を取られ。
妖精王とは、何なのか…?
第216話、待ちに待ってキングに やっと羽が生えたのに、ちっちゃくてギャグ扱いだった当時は、正直、ちょっと がっかりしていました。
でも、いやいや 今後 本当のパワーアップイベントがあるってコトだ、その時は今度こそ大きな羽が生えてカッコよく活躍するんだ、それを期待して待とう、と気を取り直したものです。
しかし…。
「愛するひとを守るため頑張り、戦場で大きな羽が生えてパワーアップ」という王道をエレインがやってしまった。キングに類似のイベントは起こらないってコト。
じゃあ、どうなるのでしょうね。
第二部のキングのエピソードって、今のところ「読者の期待を悪い方に裏切る、尻つぼみになって がっかりさせる」ことが繰り返されているので、なんだかイヤな想像をしてしまいます。
もしや、キングの完全羽生えイベントって、ギャグ扱いとか、軽く流されるだけとかになっちゃったり…?
最悪、本編では羽が完全に生えず、全ての戦いが終わった後の後日談的なところで「やっと羽が全部生えたよー!」(今頃 生えたって無意味だろ!)みたいなギャグで終わるとか……。
いやいやいや。いくらなんでも そんなことはないですよね。
気持ちが盛り下がって、つい悪い想像をしてしまいました。
楽しいことを考えましょう。
エレインは羽が生えたことで髪が伸び、背も少し伸びた?感じに見えました。
となると、キングの羽が完全に生えたら、彼も髪や背が伸びたりするのかも…?
ちょっぴり大人っぽくなるかもしれないキング。楽しみですね。
次世代編では親世代として顔見せすることになるんでしょうし、素の姿のままでも、少し大人っぽくなっててくれたら嬉しいです。
------------------------------
メリオダスが暴走しましたー。
ドルイドの聖地での修行で
「今の奴の中に存在するのは」「荒れくるい 全てを破壊する烈火のごとき<憤怒>ではなく」「静かに全てを呑み込む 深海の如き<憤怒>だぞ」
「メリオダスは完全に怒りを
支配 している」
ってザネリが讃えてたのは何だったんや(苦笑)。
つーか。
前も一度書きましたが、
今 思えば、ドルイドの聖地での修行で、ザネリたちがメリオダスに「魔神として暴走しないように、感情を捨てさせようとしていた」のは、一体何だったんでしょうね。
だって今の設定だと、
魔神王に感情を喰われたら(感情を失ったら)最凶の魔神になる(暴走する)
ってことになってますから。話が矛盾しています。
ドルイドの聖地のエピソードをやっていた当時は、まだ、魔神王に感情を喰われる云々の設定が無かったんでしょーか。
前々から読者間で「どっちが強いんだろう」と話題になっていた期待のカードです。
でも。
愛するエリザベスが死ぬまで三日という切迫した状況下で、
マーリンの警告も聞かず怒り任せに単独特攻して
“暗澹の繭”に捕らえられ
怒りを抑えきれず負の力を沸かせて仲間の足を引っぱり
怒りに暴走して我を失い仲間を殺そうとする
…って。
勝っても負けても、かなり カッコ悪いぞ~ メリオダスさん。
コランド編は、ひたすら<大罪>同士の潰し合いエピソードが続いています。
暴走メリオダスが勝つと<大罪>皆殺しバッドエンドになっちゃうので、エスカノールには頑張っていただきたいです。