『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第213話 それをボクらは愛と呼ぶ

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週刊少年マガジン 2017年19号[2017年4月12日発売] [雑誌]

第213話 それをボクらは愛と呼ぶ

  • そびえ立つ鉱樹オルドーラ。その内部に、魂を3000年前に送られて眠り続ける現妖精王キングの姿がある。
    クッション形態の神器シャスティフォルに頬を埋めた寝顔を、ごく間近まで舞い降りた初代妖精王グロキシニアが、硬い表情で じっと見下ろしていた。
    ――試練の時が来る。


  • 3000年前のいにしえの妖精王の森、「恩寵の光」の前。
    グロキシニアの器に宿るキングが、未だ到着していなかった頃。
  • ロウと女神族の男との激しい剣戟が続いていた。
    全身を濡らす血は返り血のみではなかろうが、ロウの動きは鋭さを失っていない。対する女神族の男は豊かな髭を蓄えた壮年の見かけの二枚羽で、未だ無傷であり、ロウに引けを取らない見事な剣さばきである。
  • 「お願い!! …もうこれ以上」「これ以上 傷つけあうのは やめてーーーー!!!」
    5mほどの高さから無残な戦場を見下ろして、ゲラードは泣き叫んでいた。
  • バァァァン
    女神族の男が放った きらきらしい光弾がロウに激突し、彼は地を滑って数m押し離される。間合いが取れた。耳障りだったのだろう、女神族の男はゲラードに顔を向けて叱りつける。
    「ええい 黙れ 役に立たぬ臆病者め!!!」「泣く暇があるならば貴様も戦…」
    ドッ
    言葉が途切れ、血走っていた男の目が見開かれた。
    その胸に剣が深々と突き刺さっている。グラ…と傾いだ身体が、ゆっくりと倒れていった。
    数m離されたロウが、そこから己の剣を投げつけたのである。
  • 魔神族には絶大な威力を発揮する女神族の「聖櫃アーク」も、それ以外の種族には そこまでの効果がないらしい。光弾をまともに受けたはずのロウは、シャツが裂けた程度で、見た目は深刻なダメージを受けていない。
    それでも、体内に影響はあったのか。口の中に溜まった血を「ペッ」と吐き捨てた。
  • 「ロウ殿… もう殺さないで…」
    空中で震えながら訴えるゲラードに目は向けず、物言わなくなった女神族の男に歩み寄る。
    「なんで まだ居やがる」「死にたくなけりゃ とっとと逃げろ!!」
    苛立った声音で吐き捨てると、死体に刺さった剣を引き抜いた。
    「それとも――…」
  • ドッ
    「!!」
    その時、ロウの右腿に突き刺さる小さな株。
    「よくも… よくも 弱っちい人間のくせに~~~!!」
    小柄な妖精族の少年の攻撃だった。目から涙を、鼻と口、額から血を流している。
  • 「へっ… 弱っちいか……!」
    よろめきながらも倒れず、ロウは空中の妖精を一睨みする。それだけで妖精は怯え、と言って更なる攻撃も逃げることもできず、空中に凍りついて「来るな… 来るな!!」と悲鳴をあげた。
  • その時だ。飛び出したゲラードが妖精を背に庇ったのは。
    「ゲラード様ァッ!!」
    彼女は泣きながら、それでも両手で杖を構えてロウを睨む。
    「…止めないというのなら… 私は…私が…」
  • 「…俺を殺すか」
    血をぽたぽたと落としながら、据わった目でロウは言った。
    「そうだな… それもいい …やれよ…」
    腿に刺さった株も抜かず、ふらつきながら一歩ずつ近づいてくる。
  • だが、ゲラードは動けなかった。怯えた妖精が後ろから喚く。
    「ゲラード様 早く! 早く!! 奴を殺して!! 早く殺して!!!」
    それでもゲラードは動けない。
  • 次に怒鳴ったのはロウだった。
    「俺は<光の聖痕てめえら>の敵なんだぞ!!!」「さあっれ!!!」
  • 杖を握る手を ぶるぶると震わせて、ゲラードは ぼろぼろと涙を落としている。
    「どうして…………どうして…………」
  • その姿が、一瞬で断ち切られた。
  • 目を見開くロウ。
  • ラードの右後ろに庇われていた妖精の首がボールのように飛んで、それを斬った剣が彼女の両羽をも断ち切り、更に右顔面を斬り裂いていた。
    愛らしい右目も、ツンと尖っていた右耳も失われ、緩く結われていた髪は解け、花飾りの付いた帽子も飛んで、血の花を咲かせた身体は力無く地に落ちていく。
  • 同時に、二人の妖精を飛び込み斬りした張本人が ザッと砂を踏んで着地し、荒い息を吐きながらロウに顔を向けた。
    「ボサッとしてんじゃねえ ロウ!!」「さっさと……仕留めやがれ!!!」
    ロウと共に この森に潜入した三人の仲間の、最後の一人だ。彼も返り血と己の血にまみれている。
  • 「あ…」
    その足元で微かな声がした。
    「ん?」
    男が肩越しに目を向ければ、右顔面の潰れたゲラードが、必死に這って逃げようとしている。
    「まだ逃げるか羽虫ィ~~!!」
  • 何故か硬直しているロウの顔に、微かな焦りが滲んだ。
    「やめろ」「もういい」
    強張った掠れ声は、仲間には届かない。
  • 「羽の次は足だ…!!!」
    この場の<光の聖痕スティグマ>は狩り尽くした。残るは この妖精のみ。
    勝利と血に酔った男は嬲り殺しを楽しむことにしたらしい。下卑た嗤いを浮かべて剣を振り下ろす。少女の太腿めがけて。
  • 噴き出す血。もはや痛みと知覚できないほどの衝撃が、一度、二度。
  • (兄上……)(これは きっと…)(報いなのでしょうね)
    急速に闇に沈んでいく意識の中、ゲラードは最愛の兄に懺悔する。
    私は罪を犯した。だから、罰されるのだと。
  • 「なんだロウ!」「やめ…」「…!」
    闇の底で、誰かの悲鳴を聞いた気がした。


  • 一面に転がる巨人・妖精・女神族の死体。そこかしこに広がる ぬかるんだ血溜まり。充満した鉄錆に似た臭い。
  • ロウの剣が、死体の胸に柄まで突き刺さっている。驚愕に目を見開いたまま固まっている その男は、ゲラードを斬り刻んだ彼の仲間だ。
  • ラードが目を開けた。
    両羽を失い、右目と右耳を抉られ、両脚も切断された。それでも生きている。
  • 「バカやろう」「…なんで 俺を殺さなかった」
    …これはロウの声。
    背中が温かいのは、彼が後ろから抱きかかえているからだと気付いた。両手はゲラードの腰に当てられ、傷ついた身体を優しく支えている。
    ◆両足のない瀕死のゲラードが、敵側であるはずのロウと話している情景。
    なんか『デビルマン』の最終場面(敗北して下半身を失った不動明に、並んで座った飛鳥了が しみじみ告解してるやつ)を連想しました(苦笑)。
  • ぼんやりとした頭で考えて、ゲラードは話し始めた。
    「あなたと… 兄上の… 話をした時…」「あなたの… 中に… 抑え込んだ怒りと悲しみと… 一つの顔が…… 見えたの」

    『…どんな兄貴だい?』
    『…とても優しい人』『私が困ってると いつも すぐ駆けつけてくれて…』

    その応えを聞いたとき、ロウはとても優しく微笑んだ。大切な何かを慈しむ顔で…けれど心の内には怒りと悲しみを抑え込んで。そして視えた。彼の内に、髪を後ろで一本三つ編みにした幼い人物の姿が。あれは、まるで……。
    「私に…」「よく似た……少女…の顔…」
    ラードの見た目を四、五歳幼くしたような。ただし性格は違っていたようで、元気いっぱいの人間の少女。
  • 「……………同じ村の幼なじみだ」
    ロウは答えた。
    「…あいつが いじめられていると 俺は飛んでいって助けたものさ」
    ラードが困れば、グロキシニアが すぐに駆け付けてきたように。
    「いつか大人になったら… 好き合って…」「一緒になるんだろうって… そう思ってた…」
  • ロウの内に次々とイメージが浮かんでくる。
    「でも あいつは大人になる前に死んだ…」
    野で摘んだのだろう一輪の花を持った少女は、……大岩に潰されて片腕と髪の一房しか見えなかった。
    「…………<光の聖痕スティグマ>に殺されたんだ」
    「<光の聖痕スティグマ>は ある時 村を襲うと皆殺しにした……」「…理由も口上も弁明も何一つないままにな…」
    巨人・女神族・妖精が、村の家屋を破壊し瓦礫にしていくイメージが浮かぶ。ただしシルエットで、具体性は薄い。彼はその場面を直接見ていないようだ。破壊された村を見ての想像なのだろう。
    ◆幼馴染ちゃんを殺したのは巨人族の術? 何があったんでしょうね。
  • 「思い当たる節が あるとすれば… 数日前 傷つき行き倒れていた一人の魔神族を村で介抱したということくらい」
    またイメージは変わり、未だ破壊されていない人間の村が見えた。室内に置かれた人間式の寝床ベッドに誰か寝ている。幼いロウが大きな魚を抱えて見せに行くと、身を起こして笑ったのは…魔神族だ。
    「今でも覚えてる …いい奴だった」
    ◆↓「いい奴だった」という行き倒れの魔神族さん
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    ロウが初対面から やたらメリオダスに懐いて「アンタは いい奴」認定してて(第203話)、奇異に感じてましたが。(助けてくれた恩人、というならドロール、グロキシニア、エリザベスも同じ立場なのに、そっちには ろくに話しかけすらしない。)なるほど、この魔神族と重ね合わせてたんですね。
    巨人・妖精・女神は敵。だが魔神族は「いい奴」だ、と。
    (<光の聖痕スティグマ>が憎いって言うならメリオダスも<光の聖痕スティグマ>所属なのにねぇ。
    その当時すでに<光の聖痕スティグマ>が存在していたってことは、メリオダスも すでに所属していたと思われるし。メリオダス魔界出奔が聖戦を起こし、聖戦が起きて<光の聖痕スティグマ>が結成されたはずなので。)
    これも ある種の「種族差別」って奴でしょうか。
  • 「・・・」
    ラードはロウの記憶を辿った。
    「あなたは その時 村に いなかったのね……」
    破壊された村を前に絶望の涙を流す幼いロウと、同じ年頃の三人の少年が視える。彼らは、ロウと共に今日の血の饗宴を開いた男たちなのだろう。
    ロウが答えた。
    「ああ… 俺たち四人は ちょうど狩りの訓練で山に入っていたんだ」
  • 「泣いて…泣いて…涙も枯れてから」「俺たちは ただ<光の聖痕スティグマ>への復讐のためだけに剣の腕を磨き」「…そして とうとう仇を とったわけだ」
    ロウの視線が周囲を彷徨う。
    「めでたし」
    足の踏み場もないほどの、血を流す物言わぬ死体たち。
    「めでたし」
    巨人も、女神族も、妖精も、……人間も。共に苦難を越えてきた仲間すら、最後にロウは殺した。
    「……………っ」
    嗚咽を こらえるように息を呑む。
    「あいつも少しは喜んでくれるかな………」
  • 「ロウ… あなた」
    残った左目をゲラードは向けた。「ロウ殿」と敬称を付けることも忘れて。
    「うそを… つくの…が …下手ね…」
    彼女には彼の心の声が聴こえている。
    『俺のやったことは…』『<光の聖痕スティグマ>と何も変わらねえ』
    …それだけではない。
    血に汚れた頬を一筋、流れ落ちていく涙。
    ロウは泣いていた。
  • メリオダスは これを見たら どう思うかな… 俺を信じてくれた いい奴だった…」
    死体の山を見ながら、涙と共に落ち始める後悔、不安。
    「お前の兄貴は… きっと俺を即座に殺すだろうな」
  • 「大…丈……夫……」「兄上に……っ 事情を… 話……す…から…」
    ラードは微笑みを向けたが、ロウは無言で首を左右に振った。
    事情を話せば赦されるほどの軽い話ではないのだ。死者は戻らない。ゲラードの目や脚も戻らない。信頼させておいて最悪の形で裏切った。
    犯した罪は、受け止めない限り消えることはない。
  • 「私も… 許され…ない……罪を犯した…わ…」
    ラードは言った。
    「早く…聖戦なんて終わって…ほしい そう…思うがあまり」「リュド…シエル…の非道を… 黙って… 見て見ぬ… ふりを」
    ゴホゴホッと、血にむせて激しく咳き込む。顔色を変えて立ち上がったロウが、ゲラードを強く抱きしめた。
    「もう喋るな!! …早く手当てを」
    つい先刻まで、無慈悲に殺していたことを忘れたように。
  • 「………フ」「フフ…フ…………」
    ラードは、微かな自嘲を込めて笑った。
    「…なんで笑う?」
    「さっきから… ロウの心に浮かぶ あなたの幼なじみの顔が… あまりに… 私に… そっくり…だから」「まるで…… 私のことばかり…考えてる… みたいに… 錯覚……して」「変な… …感じ」
    自分はおかしくなっている。その自覚はあった。
    周囲は彼が殺した同胞なかまの死体で埋め尽くされているのに。
    彼が想うのは人間の幼なじみなのに。
    たまたま彼女に似ていたから庇われたに過ぎないのに。
    「…とても心が…温かく…なるの」
    全てを赦したくなる。
    ロウを見上げたゲラードの左目から涙が溢れた。
    「この気持ちは… なんなの…かしら」
    無言で見下ろすロウの目に宿るのは、悲しみか、哀れみか。
  • ザワッ
    その時、森が揺れた。
    木々の間から広場へ飛び込んできた風が、一斉に葉を吹き散らす。
  • ゾク
    本能的な戦慄を感じて、ロウは全身で振り向いた。
    視線が捉える。10mほどの高空に静止している、見事な蝶の羽を広げた赤い髪の少年の姿を。
  • 「うそ… …だ…」「そん… ……な」
    折り重なる同胞なかまの死体を眼下に呆然と呟く彼は、半ば自失しているように見える。
    「ゲラー…ド?」
    見開かれた大きな瞳が映しているのは、ロウが振り向いた勢いで脇に抱える形になった、無残な姿のゲラードだ。
    「ロウ…………」「妹から………」「その手を…放せ…」
    命じた顔は呆然としたままだったが、手は ギリ…と握りしめられている。今にも爆発しそうな激情を抑えるように。
  • 「兄さん…!! 違…」「ッ ケホッ」「ゴホッ」
    訴えようとしたゲラードは再び血にむせた。兄に届くほど声が出せない。代わってロウに訴えた。
    「早……… …逃…げ」
    ◆ゲラードが「兄さん」と言っちゃってますけど、「兄上」の誤植ですかね。
  • ロウはグロキシニアから目を逸らさずにいる。そして答えた。
    「…………いいんだ」「俺は もういい……」
    笑みを浮かべる。
    「ロウ…… …ダ…メ」
    ぐったりとしたまま涙を流すゲラード
  • 地に突き立てられた、ロウの仲間の血まみれの剣。周囲には、真ん中から断ち切られた羽と、太腿から切断された脚が、それぞれ一対ずつ。
    それらの中心に立っているのは、目ばかり光らせた血まみれの男・ロウ。
    笑ってグロキシニアを見上げている彼の片腕には、やはり血まみれのゲラードが抱えられていて、抉られた目や切断された両腿から ぽたぽたと血を滴らせている。
  • グロキシニアの顔を見て思い知った、とロウは思う。
    赦されるはずがない。幼い日を過ごした彼女を失った日の自分も、きっと同じ顔をしていた。愛するものを奪われた怒りは、悲しみは、簡単に消えるものではないのだ。
    あれを受け止めることが、それをもたらした己への報いだと覚悟する。
  • それでも溢れた涙で頬を濡らして、笑って腕の中の少女に言った。
    「生きろよ ゲラード
  • 「……!」
    思い出の中の愛ではなく。初めて彼に名を呼ばれて、ゲラードは涙を流す。
  • 一方。
    高空のグロキシニア――その器に宿るキングは、理性と激情をせめぎあわせていた。
    (また…)(オイラは守れなかった)
    脳裏に、護衛を任せた際のロウの声が響く。
    『森の留守は 俺ら人間に任せとけよ』
    嘘だった。あんなに人好きのする笑顔で、強く手を握り返しておきながら。
    「ふざ…けるな」
    ラードの優しく明るい声が響く。
    『妹が兄の心配をするのが そんなに おかしいですか?』
    兄として信頼されていた。守るべき「大切」な存在だったのに。
    「よくも………」
  • こらえるように握りしめていた拳が開かれる。一気に、それを掲げた。
    「あ
    掲げた手の上に巨大な霊槍バスキアスが現れ、纏う魔力を火花のように バチ バチ と弾かせる。
    ゴアッ
    手を振り下ろせば、それは罪人めがけて投げ放たれた。

  • この世で最も歓喜させ、そして絶望させるもの。温かく器を満たし、けれど冷たい穴を穿つもの。それを得れば全てを赦し、奪われたなら全てを憎む。
    ――それを世界は『愛』と呼ぶ。
  • 次回「あの日の君には もう届かない」

ラードの生命力に驚嘆。

3000年後の一般妖精たちなんて、羽をむしり取られただけで死んでたのに…。

そういえばエレインも、体の真ん中に大穴が開いたのに数分(数十分?)生きて、意識も保って喋ってましたっけ。

妖精王の血族は頑丈で生命力旺盛なんでしょうか。

 

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連載当時、読者の間で非常に物議をかもしていた回だったと記憶しています。

 

グロキシニアの<十戒>入りの理由は「信頼していた人間に森を襲われゲラードが傷つけられた(グロキシニアは殺されたと思っていた)」からだろーなとは、第169話第172話の時点で、既に予想できるように描写されていました。

なので、キング&ディアンヌの修行が聖戦時のグロキシニアたちの追体験だと提示された時点(第200話)で、闇堕ちしたグロキシニアたちに対し闇落ちを回避したキングたち、という対比になるんじゃないかなと想像・期待していました。

ですから、期待した通りではあったんですけど…。

雑誌掲載当時、すごくハラハラして翻弄されました~(苦笑)。

いやだって、なんか、キングの方が悪者で愚か者みたいな描写になってるんだもん(汗)。

 

 

ちなみに、第172話、第200話時点の感想では以下のように書いていました。 

 

---------- 172

>グロキシニアたちは、信じていた相手に裏切られたり、大切なものを奪われたりしたために闇に堕ちたのだという。

>同じような経験を、<七つの大罪>のメンバーたちもしています。

 

>キングは、命より大切だった親友・妹・一族や故郷を失った。

>バンは、命より大切になったエレインを殺され、冤罪で何度も処刑された。

>ディアンヌは、マトローナを騙し討ちされたうえ、罪を着せられて処刑されかけた。

>エスカノールは、両親に裏切られて国を追われ、人々に忌避され続けてきた。

>そしてメンバー全員が、10年前にザラトラス殺害の濡れ衣を着せられ、殺されかけ、逃亡生活を余儀なくされました。

 

>みんなそれぞれ、怒りや憎しみや虚無感に囚われましたし、時に闇堕ちの淵ギリギリを彷徨ってもいます。キングはバンに復讐しようとし、ディアンヌはリオネスの王女を憎んで拒絶し、バンはメリオダスを殺そうとしました。

>けど、彼らは堕ちなかった。

>絶望に襲われても「こっち」に踏みとどまり、「誰かを守る」心を忘れなかったです。

 

>3000年の時を経て、闇堕ちした かつての仲間と対峙することになったメリオダスが集めた新たな仲間たちは、闇に堕ちない心を持つ連中でした。

>魔神と戦うメンバーとしてバルトラ王が彼らを予知・指名したのは、戦闘力が高いからというだけの理由ではなかったのかもしれないですね。 

 

---------- 200

>キングとディアンヌに、当時の自分たちと同じ力・同じ環境を与えて、同じ状況を経験させるんですね。

>かつての自分たちと同じ絶望に追い込まれたとき、キングとディアンヌはどう「選択」するか。

>かつての自分たちと同じ道を選ぶか。全く違う道を選ぶか。

>それを見物して、確かめようとしている。

 

>うわー、なんて意地が悪い。

 

>キングとディアンヌは、現時点で闘級は低いけど、こう見えてそれぞれ、絶望を越えて生きてきています。

>きっと、これから訪れるだろう、仮想過去の中での「選択の時」が来ても、グロキシニアたちとは違う道を選んでくれると期待しています。

 

 

キングもディアンヌも試練を超える、それは彼らがメインキャラクターである以上、ほぼ確定している(しててくれないと困る)こと。

それでもハラハラしたのは、ディアンヌが割り込んでキングの攻撃を止めて、説教したり反省させたりする展開になるんじゃないか、と不安になったからでした。

なにせ、ここ最近

ディアンヌは優しくて人を赦す、心広い、正しい」

「キングは怒るし赦さない、心狭い、愚か者(ディアンヌに導かれる)」

みたいな対比描写が、チラ見えしてましたから。

いくらなんでもそれは嫌だ、惨めすぎる、どうか自分の力で試練越えしてくれ~と、ハラハラしたのでした(苦笑)。

 

 

不安になった もう一つの理由は、裏切り者のロウが、やたらと美化されていたからでもあります。

彼は「バンそっくり」なキャラだったので、てっきり裏切り行為には参加しなかったのに誤解されてゲラードやグロキシニアに恨まれることになるのかな(まさにバンのように)、と思ってたら、それ以上にタチが悪かった(苦笑)。

本物の裏切り者で殺戮者なのに「可哀想な事情がある」と強調されてて、あまり好きではなかったです。(ごめんなさい 汗)

 

それ以上に ぎょっとしたのは、何故かゲラードと恋仲(?)になるところ。

なんじゃそりゃ!?

ラードが死んだ恋人に似てたから手にかけるのを躊躇った…ってトコロまではいい。が、他の妖精や巨人たちを殺し尽くした後で、ゲラードを守るため、苦難を共にしてきた仲間を殺すってのは、どうしても好感を抱けなかった。

どんな恋愛脳なんですか。身勝手すぎる。

 

そして、吊り橋効果だかストックホルム症候群だか脳内麻薬出てたんだか判りませんが、ゲラードがロウを好きになる(?)のが、もう、違和感が強くて仕方なかったです。(すみません 涙)

だって、周り中ロウが殺した仲間の死体だらけなんですよ?

大丈夫 兄上に話すから、って、ロウは可哀想な過去があるから悪くないのよ、皆を殺したけど私だけは助けてくれたから いい人よ、と訴えるつもりだったの? あなたは妖精族の姫でしょう。民が殺されてるのに、好きになっちゃったから赦すんかい。

私たちの方が悪かったんだから殺されても仕方ないわ~とか言う気だったのかな。

 

あと、ゲラードがロウが好きで人間たちは悪くないと思ってたなら、3000年後のゲラードが人間をひどく嫌い見下しててバンを串刺しにしたエピソードと繋がらなくなっちゃうんですけど…(汗)。後付け改変にも程があるのでは。

 

とにかく、ロウは反省もしてて悪くない、ロウは可哀想、ゲラードは赦してて むしろロウを愛しちゃってるのに、それも気付かずに怒ってるキング(グロキシニア)は滑稽なピエロ、と取れる描き方で、なんかもー、うわぁああ~…って感じでした(苦笑)。

 

 

でも、私と同じような感想を抱いた人は多かったみたいですね。

私の見た範囲ではですが、WEB上の感想でロウを擁護・共感するものは見なかったです。 

 

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ロウの村のこと

 

ロウの村は<光の聖痕スティグマ>に、理由も口上も弁明もなく、唐突に滅ぼされたのだという。

でも、本当に唐突だったのかな?

だって当時ロウは子供で、しかも滅ぼされたとき村にいなかったそうですから。だったら、本当に口上や理由がなかったかなんて判りませんよね。

 

魔神族を匿ったから滅ぼされたんだとロウは言う。

思うんですが。

村人に密告者がいたと思います。

でなければ<光の聖痕スティグマ>が気付くわけありませんもの。

 

魔神族が一人隠れていただけの村を<光の聖痕スティグマ>が大挙して襲って完膚なきまでに粉々に滅ぼしてしまったというのは、ちょっと奇妙な出来事ではあります。

光の聖痕スティグマ>たちは魔神族に仲間を殺されていたから復讐に囚われていて、「魔神族を匿った人間は魔神族の仲間だ許せん」みたいな理屈だったのかもしれないし、

ロウが「いい奴」だと思っていた魔神族が実は食わせ者で、村で派手な戦闘をした結果、巻き添えで村が滅んだのかもしれない、

なんてことを想像しました。 

 

 

 

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