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『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第209話 教えてください この気持ちを

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週刊少年マガジン 2017年14号[2017年3月8日発売] [雑誌]

第209話 教えてください この気持ちを

  • 荒れて、あちこちから もうもうと煙を立ち昇らせているいにしえの妖精王の森。
    その上空には<四大天使>三人、メリオダス、肩で息を吐くエリザベスが浮かんでいる。
    見下ろす彼らの視線の先には、身を寄せ合って気を失っているモンスピートとデリエリの姿。彼らの肌に染みついていた闇は一掃され、見た目だけなら人間族のようだった。
  • 「ふ… 二人は?」
    ハア ハア ハアッ と荒げた呼吸の合間にエリザベスが問う。真下に倒れた二人の姿を確認する余力もないようだ。
  • 「元に戻った… お前のおかげでな」
    メリオダスの優しい声にはいたわりが籠っている。
  • ギリ、とリュドシエルが奥歯を噛んだ。
  • 「よかった………」
    「エリザベス!!」
    安堵の呟きを最後に気を失った少女の体を、メリオダスが片手で軽々と支える。
  • その、一瞬の隙に。
    疾風のようにリュドシエルが降下した。地上のデリエリとモンスピートに向かって。
  • メリオダスはハッとしたが、空中でエリザベスを抱えているため身動きが取れない。
  • 生餌で<十戒>を誘き寄せ<四大天使>で迎え討つ。少なからず自軍の損害も出るだろう この作戦は、聖戦を終わりに導くための大勝負だった。どんな手を使おうとも。犠牲を払ってでも。望む未来のために やり遂げるのだと。
    小娘の妄動が全てを水泡に帰したが、まだ取り戻せる。
    リュドシエルは手刀に きらきらしい光をまとわせた。
    「生かしておいてなるものかぁっ!!!」
  • 「やめろーー!!!!」
    恋人を抱えたメリオダスが怒鳴る。
  • バチッ
    ほぼ同時に、リュドシエルは強い力に全身を横殴りされて弾き飛ばされていた。
    「んがっ」
    それでも無様に落ちるのは回避して、軽い身のこなしで半回転して地に降り立ち滑る。顔を上げ、己を殴り飛ばしたものの正体を見てとった。
    「!!」
  • 横たわるデリエリとモンスピートの傍らから巨大な五角柱が斜めに生え出して、二人をひさしのように護っている。
    その向こうで巨人族の王が片手を差し伸ばしていた。彼が石柱を生え出させたのは明らかだが、これに打たれただけではなさそうだ。それより速く、己を撃った力がなかったか。そう、妖精族の王の魔力が。その男は巨人の王より前に出て、じっと こちらを見下ろしている。
  • 「グロキシニア殿… それにドロール殿 なぜ邪魔を…!!」「私は正義の名のもと <十戒>を討たんとしているのだぞ!!?」
    同志であるはずの彼らに、憤懣ふんまんを隠さずリュドシエルは訴えた、のだが。
  • 「卑怯~~!!」
    返った巨人の王の言動ときたら。
    「動けない相手に とどめを刺すなんて卑怯だと思うな!!」
    二本の右手でビシッと指さしながら プンスカプーン と頬を膨らまし、挙句、「卑怯♬ 卑怯♬」とリズムをとって、どしんっと片足を踏み鳴らし始めたのだった。まるで幼児だ。
  • 「・・・」
    あまりのことに無になるリュドシエルである。
  • 妖精王が空を滑って前に出、口を開いた。
    「リュドシエル… キミの言うことはもっともだよ…」「殺し合いの戦争に卑怯も なにもないと思う…」
  • 「キング」
    巨人の王…ドロールの器に宿るデイアンヌが、驚いたように眉を下げる。よもや同調してもらえないとは思わなかったのだろう。
  • 「さすがは妖精王殿!! 話がわかる」
    顔を明るくしたリュドシエルの前に、妖精王…グロキシニアの器に宿るキングはス…と舞い降りた。
  • 戦場に卑怯も正々堂々もない。それをキングはよく知っている。生きるか死ぬかの瀬戸際では正道も遠ざかる。善意に善意が返るとは限らず、下劣が凌駕し、狡知こそが命を救うこともある。それが全てと思い込めるほど達観もしないが、綺麗ごとだけでは済まない現実があることは、数多の戦いや喪失で思い知ってきた。
    大切なものを守りぬくためには、夢見るばかりではいられないのだ。
  • それを思えば、リュドシエルの行いを否定はできなかった。彼の方法は非道だけれども、彼なりの形で聖戦を終わらせることはできたはずだから。
    それは理解している。
    「でも… それでも <十戒>を命がけで救ったエリザベス様の行為を踏みにじるような真似はできない……」
    気まずげに目線を逸らして、キングはリュドシエルにそう告げた。
  • 再び歯噛みしたリュドシエルの こめかみに血管が怒張する。
  • 嬉しそうに微笑んだディアンヌの前に、エリザベスを抱えたメリオダススーッと舞い降りてきた。
    「ドロール グロキシニア 礼を言うぜ!」
    更に、未だ上空に留まる二人の天使に笑顔を向ける。
    「それと… サリエル タルミエル お前らもサンキュな」
  • 「…お前に礼など言われたくもない」
    両腕を組んだサリエルは、むっつりと返した。
    「私たちは あくまでエリザベス様の味方ってだけ~~」
    とタルミエルも続ける。
    サリエルさん、初登場時は いよいよ<十戒>と戦えるからって高揚してたのかテンション高くて やんちゃな少年っぽい感じがありましたけど、戦闘が終わると少し大人びた雰囲気になりましたね。
    三回後(ゴウセル外伝)欄外の作者さんへの質問コーナーによれば、見た目こそ幼いものの、サリエルはエリザベスより年上なのだそうです。
  • 「…けど いいの メリオダス?」
    右手のエリザベスを未だ放さぬまま、左手の大剣を地に突き立てたメリオダスに、キングは強いて問うた。
    「助けたからって<十戒>は仲間になるようなやからじゃない
     いつか… キミを殺しに来るかもしれないんだよ?」
  • この問いかけは、この場では些かズレたものだったかもしれない。なにせ、今<十戒>に殺されかけていたのは<四大天使>の方なのだから。にも拘らずエリザベスに従って<十戒>を救ったサリエルとタルミエルにこそ問うべきことだったかもしれなかった。
    それでもメリオダスに問うたのは、無論、キングが3000年後の「結果」を知っているからである。
    メリオダスが<十戒>に嬲り殺された、あの無残な結末を。
  • 「ま」「そん時ゃ そん時さ」
    あっけらかんとメリオダスは笑った。何一つ屈託を感じさせない顔で。
  • 「プ」「アハハッ」
    吹き出して、ディアンヌが愉快そうに笑いだす。
    楽天家な彼女は、あの現実を忘れてしまったのかもしれない。
  • 可愛い笑い声が、キングの肩から力を抜かせた。苦笑が浮かんでしまう。
    「…本当に昔から変わらないんだな」
    腕組みして、呆れたように頭を左右に振りながら ハ~~ と長く息を落とすと、メリオダスは「?」と目を瞬かせていた。
  • その時、デリエリとモンスピートが薄く目を開けていたことを彼らは知らない。魔神たちのその目に、どこかくすぐったげな戸惑いの色が浮かんでいたことも。
  • 一方、表情を静めたリュドシエルは、頭の内で次の算段をつけ始めていた。
    戦いは未だ終わってはいない。
  • 次回「感情メイルシュトローム

作者さんの体調不良で減ページ(7P)となった回でした。

 

代わりに『マガジンエッジ』連載のスピンオフ漫画『七つの大罪 セブンデイズ ~盗賊と聖少女~』から特別読み切りが4P、出張掲載されていました。

『セブンデイズ』電子書籍 分冊版単行本の第1巻に描き下ろしで収録された ヘルブラムとキングたちがババ抜きをする3Pギャグ漫画の再録に、バンとエレインのイチャイチャ(?)漫画1Pを新しく追加したもの。

 

この描き下ろし目当てで分冊版単行本を購入したばかりだった私としては、ちょっとしょんぼりな事態でした(苦笑)。

本誌に掲載されるんなら先走って買わなきゃよかったよ~。「単行本でしか読めない描きおろし」って感想まで書いちゃって恥かしい。(^^;)

 

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彼らのための修業編のはずなのに、傍観者としてすら影の薄い状況が続いていたキングとディアンヌ

 

修業編が始まったとき、ずーーっと(リアル時間で年単位で)くすぶってたキングの活躍が、やっと見られるのかなとワクワクしてました。

(バイゼル大喧嘩祭りでも、結局ディアンヌに護ってもらって終了でしたから。)

<十戒>カルマディオスが登場して、仮想過去&借り物の力ではあるけど、バチッと打ち倒してスカッとさせてくれるんだろーなと。

ところがどっこい。

何故かメリオダスが割り込んで、圧倒的パワーでカルマディオスを打ち倒しちゃったじゃありませんか。

一番オイシイ・派手なところを さらったメリオダスを、後ろからキングとディアンヌが辛うじて お手伝いした形で終わってて、ビックリしたものでした。

えぇ~~…!? これ、キングとディアンヌの修業編だよね。なんでメリオダスがメインで倒しちゃうの?

結局その形のまま。女神エリザベスやメリオダスの華々しい活躍を、キングとディアンヌは端っこから「わー、ひゃー」と見物してるだけ。

・・・さみしい。

 

そんな感じだったので、今回、どうにかキングとディアンヌが事態に介入して存在を示したので、ホッとしたというか嬉しかったです。(^^;)

 

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大人と子供の対比

 

 

さて。

気絶したデリエリとモンスピートを殺そうとしたリュドシエルを、キングとディアンヌは妨害しました。

 

や。

絵で見るに、妨害したことがハッキリ確認できるのは、石柱を生やしたディアンヌだけですね。

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まさか、キングは何もしてない??

 

でも、リュドシエルがドロールより前にグロキシニアの名を出して

「グロキシニア殿… それにドロール殿 なぜ邪魔を…!!」

と言ってるので、石柱に当たるより先に、あるいは強く、キングの魔力で撃たれて妨害されてたのかな、と解釈しました。

 

 

この後の、リュドシエルと対峙したキングとディアンヌの態度が、とても対比的でしたね。

完全に「大人と子供」になっていました。

 

ディアンヌは「子供」。

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修業編に入ってからディアンヌの言動が どんどん子供っぽくなってて気になってはいたのですが、それが極まれり、って感じです。

子供っぽいというか、これ、もう幼児じゃん(汗)。退行してるよ。なんでかしら。

 

幼児じみたディアンヌは、非常に純粋・単純な見地からリュドシエルを批判します。

卑怯は悪い、エリザベスの優しさを無下にするのは悪いと。

 

 

対してキングは「大人」です。

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リュドシエルの行いは正道ではありません。

しかし戦争という条件下において「間違い」ではない。

 

キングはそれを理解しており、リュドシエルを一旦認めて受け容れます。

そのうえで、それでも<十戒>を助けようとした友人の心を無下にはできないと「情」を選び、否定の意思を示しました。

 

 

皆さんは、ディアンヌとキング、どちらの意見に よりシンパシーを感じましたか?

私は、キングの意見の方が受け容れやすいです。

 

 

子供のように真っ直ぐな純心を見せるディアンヌと、屈折した大人である(しかし、甘さを捨てきれない)キング。

対比的に示された二人が、それでも「同じ結論」を選んでいること、そしてそんな二人が「ペアつがい」であることが、作者さんの意図するポイントの一つなのかな、と なんとなく思いました。実際どーかは分からんけど。

二人が双対の存在であるからこその描き方なのかもですね。

 

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<十戒>を生かしておいたら、いつかキミを殺しに来るかもしれないよと、キングは強いてメリオダスに確かめます。

仮定じゃなく、現実にそうなったんですもの。

 

メリオダスは笑って「ま」「そん時ゃ そん時さ」と返しました。

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それを聞いたディアンヌが、プッと吹き出して楽しそうに笑い、キングも釣られたように明るい苦笑を浮かべていました。

 

メリオダスが3000年後に<十戒>に殺されると知っている(生き返ったことを知らない)のに、なんで笑えるんだろうと不思議に思いました。

まさか、忘れてるんでしょうか? 少し怖かったです。

 

修行を終えて現代に戻って生きてるメリオダスに遭遇しても、当たり前に接して少しも驚かないという展開にでもなりそうですね。

 

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明るく「そん時ゃ そん時さ」と言ってのけたメリオダス

器が大きい?

実際、完全状態の彼にとっては、デリエリとモンスピートなんて、簡単に返り討ちできる程度の相手でしかないらしい。

3000年後に殺されて生き返った後、「死んじまえ!」と嗤ってデリエリとモンスピートを軽く殺しましたね。(生き残ってるかもしれませんが、メリオダスは殺したつもりで攻撃したと思う。)

これも「復讐の連鎖」なのかしら。

 

女神エリザベスは、デリエリとモンスピートを殺そうとするリュドシエルを激しく否定し、命かけて二人を「救った」ものです。

けれど王女エリザベスは、二人を殺したメリオダスを一言たりとも否定しませんでした。

 

「エリザベス」はメリオダスの行いの全てを肯定する。信念よりも優先する。(戦いを終わらせたいと宣すると同時に、メリオダスを魔神族に引き渡すくらいなら一人でも戦うと言ってのけてましたし。)全ては愛ゆえに、なのでしょう。

 

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今回、デリエリとモンスピートはうっすらと目を開け、

「こんなに皆さんに優しくしてもらえるなんて。少し後ろめたくもあるけど、この暖かな気持ちは何なのだろう」

とでも言いたげな、くすぐったそうな表情をしていました。

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でも、3000年後にエリザベスに遭遇した際には、デリエリ、激怒して即座に殴り殺そうとしたんですよね。

またまた「誤解です! エリザベスのせいじゃないのに恨まれちゃった!」案件が起きるっぽいけど。何が起きるんでしょうか。 

 

 

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