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『七つの大罪』ぼちぼち感想

漫画『七つの大罪』(著:鈴木央)の感想と考察。だいたい的外れ。ネタバレ基本。

【感想】『七つの大罪』第208話 エリザベスvs.インデュラ

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週刊少年マガジン 2017年13号[2017年3月1日発売] [雑誌]

第208話 エリザベスvs.インデュラ

  • 巨木は折れ、地は裂けた。荒れた森は引き換えに上空への視界を開き、広く空を見渡せるようになっている。
    遥か高みの雲が渦巻く中、向かい合うリュドシエルと二体の怪物の間に割り込んだエリザベス。その様相が、今や地上からもはっきりと見て取れた。
  • 「ねえ メリオダス… エリザベスと対峙している化け物は!!?」
    見上げて尋ねる、ドロールの器に宿るディアンヌ。突き立てていた大剣を左手に取ったメリオダスが答えた。
    「<十戒>が自分てめえの心臓六つを犠牲に転化した姿―― インデュラだ」
    「あ… あれが<十戒>!!?」
    ディアンヌは唖然と声を大きくする。バイゼルで見た姿とは似ても似つかないではないか。
  • 「インデュラ………!?」
    その傍らに浮かんで、グロキシニアの器に宿るキングも、訝しげに怪物たちを注視していた。
  • メリオダスは告げる。
    「ああなったが最後 奴らは死ぬまで破壊を続けるぞ!!!」
  • 「!!」
    ディアンヌは息を呑んだ。
    「そ… そんな!! なんとかしなきゃ このままじゃブリタニアが…」
  • 「止める方法があるとすれば――――…」と、メリオダスは険しい顔で怪物と化した かつての仲間たちを見やる。
    「あいつらが残りの心臓いのちを燃やし尽くし死ぬのを待つか」
    そこまで言って口をつぐんだ。別の方法を知っている――だが、それを示すべきは自分ではない、と言わんばかりに。

  • 上空では、割り込んだエリザベスの背にリュドシエルが調子よく笑いかけていた。
    「いいところに来られました!! 共に力を合わせ この醜いけだものどもを討ちましょう!!」
    血で汚れた口元に きらきらしい光がたなびき、インデュラに負わされた傷が修復されていくのが見て取れる。上位女神族の自己回復能力だ。
  • 破壊の獣たちを睨み据えたまま、エリザベスは毅然と言った。
    「救います」
  • 「んな…」
    唖然とするリュドシエル。
    ◆話がずれている気がして戸惑いました。今、殺されそうになっていたのは女神族側。なのに、エリザベスはどうして唐突かつ大上段に「救います」と言ったのでしょうか。
    魔神を浄化して無力化することで<四大天使>も救いますってコト?
    バケモノ(インデュラ)になったのが「かわいそう、間違っている」から元に戻して救いますってコト?
    魔神は仲間を殺されて怒っているだけで「本当は戦いたくないはず、間違っている」から暴走を止めて救いますってコト?
    戦争自体が哀れな行いで「間違っている」から救いますってコト?
  • エリザベスの両眼に輝く三脚巴紋トリスケルが、ヒィィイイィイインと音を立てて大きさを増した。先程までの戦闘でリュドシエルが出したものより遥か大きく、10数m四方ほどに三脚巴紋トリスケル型の光がキンッと広がる。
  • 圧を伴ったそれは強風のように周囲の全員を押しのけた。
    「ぐっ!!」と呻いて顔の前に手をかざすリュドシエル。
  • 「「!!!!!」」
    インデュラと化したデリエリは のけぞって怯み、モンスピートは十の手に鷲掴んでいたサリエルとタルミエルを取り落とす。黒焦げの彼らは人形のように地面を転がった。
  • 「わあっ!!」
    地上にまで届いた圧に、ディアンヌは手をかざして巨体を屈め、キングは空中で身を固めて耐える。メリオダスだけは微動だにせず見上げていた。
  • 三脚巴紋トリスケルの中心に仁王立ったエリザベスの背には、普段の二対四枚の白翼に重なって、四対八枚もの巨大な光翼が輝きでている。
    女神族の力量は翼の大きさと枚数により見分けられるという。枚数が多い、翼が大きい者ほど力が強い。光で形作られた幻ながら、エリザベスの八枚の翼は<四大天使>に属す三人の誰よりも多く、大きかった。
  • 何かを胸に迎えるような仕草で、ス… と彼女は両手を差し伸ばす。その先をくるりと交差させ、管弦楽団オーケストラの指揮者のごとく振りながら明瞭に唱えた。
    「“光あれ”」
    白い両の掌から発射されたのは、二条の太い光線。
  • まるで光のドリルだ。螺旋に光の羽毛をまとわせた紡錘型の光線は、一条ずつ、デリエリとモンスピートの腹に突き刺さった。突き抜けるには至っていないが。
  • 浄化しようとしているのだ。そう悟ったリュドシエルは怒鳴った。
    「エリザベス様 正気ですか!!? <十戒こいつら>に救う価値などない!!」
  • 地上のディアンヌが子供っぽく プク~~ と頬を膨らませて むくれる。
    「…なんだか ボク あの人 苦手…」
    「……」キングは真顔のまま無言だ。
  • リュドシエルの声は続いている。
    「<十戒こいつら>を殺せば女神族われわれにとって… いや 他種族にとっての脅威も減るのです!!」「ひいては聖戦の終結に一歩近づくのですよ!!?」「目を醒ましなさい!!」
    ◆エリザベスの兄貴分だか先生だかみたいな諭し方のリュドシエルさんである。
  • その言葉をサリエルとタルミエルも聞いていた。
    ほんの数十秒ほど前まで焼死体のごとき無残さだったが、きらきらしい光が包む個所から見る間に回復し、半身を起こして やり取りを窺っている。
  • 一方、インデュラたちは腹を貫こうとする光のドリルを抱えるようにして押し留め、唸り声を上げて己が肉と骨を鳴らしはじめていた。
    「ア゛ア゛ …オ゛」「ア゛ ガァオァ」
    メキメキとデリエリの顔面が歪んで、バキ ゴキン と変形し肉食獣のようになる。モンスピートの顔は蜘蛛を思わせる六眼と化していた。
  • 「!!! …どんどん禍々しい姿に変化していく」
    戦慄するキング。傍らのディアンヌは口元を押さえて青ざめている。
  • 「…あいつらの中の闇が エリザベスの光に必死で抵抗してるんだ」
    メリオダスが言った。
    険しい視線の先で、より異形となったインデュラたちが、両腕で抱え留めていた光のドリルをゆっくりと押し返し始めている。
    「押し戻されるぞ……!!」
  • 構えた両腕から光を迸らせ続けていたエリザベスが、ぐぐっと押し戻された圧に耐えて歯を食いしばった。
    「私は…」「諦め…… …ない!!」
    実際に筋肉を使って耐えているかのように頬は上気し、全身が汗に びっしょりと濡れている。
  • たまらず、ディアンヌが足元に訴えた。
    メリオダス!! エリザベスの加勢を…」
  • 「ダメだ!! オレの魔力じゃ 相殺しちまう…!!」
    間髪入れず返る、ままならぬ苛立ち。滅多に見せぬ不安をこらえた表情で、ギリと拳を握りしめている。
  • 「押されているな…」
    同様に見上げて、静かにサリエルが呟いた。タルミエルは肩をすくめる。
    「当然じゃな~~い <四大天使わたしたち>を圧倒するような化け物ですよ~?」
    彼らは すっかり回復し、ボロボロに焦げ千切れていた衣服さえ元に戻っていた。
    ◆女神族の きらきらの光は服まで修復するんでしょうか。それとも、肉体が回復してから妖精族みたいに魔法で新しく服を作り直したのかな?
  • 傷が完全に癒えたのはリュドシエルもである。
    「フン…」「これ以上の茶番には付き合えん」
    先程までの破れかぶれから落ち着きを取り戻して、眼下の仲間に呼びかけた。
    サリエル!! タルミエル!!」「今のうちに我らで<十戒>を始末する!!!」
  • すぐに「応」とは言わず、無言で目を向ける天使たち。
  • 光を発し続けながら、肩越しにエリザベスが訴えた。
    「ダメ!! やめて リュドシエル!!」
  • 聞く耳持たずに、小さな聖櫃アークを手中に生んで薄笑いを浮かべるリュドシエル。身動きできない破壊獣インデュラたちに ぶつける気なのだろう。
  • だが、その機会は与えられなかった。ハッとリュドシエルは身を強張らせる。
    彼とエリザベスの間に、闇の翼を広げたメリオダスが割り込んでいたのだから。
  • 「いつの間に!?」
    慌てて、一瞬前までメリオダスがいた場所に目をやるディアンヌ
  • キングが「メ…」と言いかけた先を、二人の天使が声を揃えて補った。
    「「メリオダス!!!」」
  • 「オレに任せろ エリザベス」
    彼女と背中合わせで嗤うメリオダスの瞳は漆黒に染まり、額には大きな闇の紋様が浮かんでいた。
  • この男はどんな攻撃でも阻むだろう。リュドシエルは憤怒の形相で歯噛みした。
  • メリオダス… ありがとう!!」
    背に感じる彼の存在に、涙ぐんで微笑むエリザベス。
    その瞳に、ふと哀れみが射した。見つめるのは光のドリルに貫かれまいと抵抗を続けている破壊獣インデュラたち。
    「ごめんなさいなんて私には言う資格がないかもしれない…」「私のせいで… あなたたちの仲間が死んだも同然なんだから…」「それでも………」
  • 「何を仰るのですかエリザベス様!!」
    サリエルが声を張って自虐めいた言葉を止めた。これは戦争だ。戦場で責任の所在を論じて、抱えずともいい部分まで懺悔するのは的が外れている。
    「仇敵である魔神族に情けなど無用!!」
    タルミエルも同調して続けた。
    「その通り 魔神族のどこに救う価値があるのです~~?」
  • エリザベスはムッと眉根を寄せる。涙ぐんだまま言い返した。
    「なら その価値は誰が決めたの?」「誰が決めていいものなの?」
  • 子供のような切り返しだ。女神族と魔神族との間にどれほどの争いの歴史があり、どれほどの怒りや憎しみが互いに蓄積されてきたかを、残酷に無視した。
    「………………」
    しかし、あどけなさすぎる言葉に、かえって二人の天使は返す言葉を失った。
  • エリザベスの言葉は続く。
    「朝の光も 夜のとばりも」「誰にも等しく降り注ぐわ…」「人間に」「巨人族に」「妖精族に」「女神族に」「魔神族に…………」
  • 背中合わせに美しい声を聞くメリオダスの顔は哀しみに翳っている。
    メリオダスはエリザベスの望みを叶えたいと決意しているけれど、その理想は一面・一義的なもので、故に完全に叶うことはないとも解っているから哀しげなんでしょうか?
    …いやいや。そういうことではなく、単純に、困難な道で苦しむエリザベスが可哀想で愛しいってだけの表情なのかな?
  • 御託ごたくは もういいっ!!! あの方は決して お許しにならんぞ!!!」
    リュドシエルが怒鳴った。
    ◆あの方=女神族のおさ(=エリザベスの母)ですかね?
  • エリザベスも泣きながら怒鳴り返す。
    「私は…」「誰に許しを乞うつもりもありません!!」
  • 頑なな少女に見切りをつけたリュドシエルは再び仲間たちを呼んだ。
    サリエル!! タルミエル!!」「さっさと来い!! 我ら三人でメリオダスもろとも<十戒>を討つぞ!!」
  • 二人の天使が、翼をすぼめて ヒュッ と垂直に上昇してくる。リュドシエルの背後で翼を開き ビタッ と止まった。
    睨むメリオダスに欠片も怯まず、二人の天使は愉快そうに口を歪めて両手を構え突き出す。
    「やるか」とサリエル
    「オッケ~~」とタルミエル。
  • 渦を巻いて発された きらきらしい光は、獣たちでもメリオダスでもなく、エリザベスの背へ送り込まれた。
    ギュウ
    彼女を中心に、再び巨大な三脚巴紋トリスケルが輝き現れる。
  • 「!?」リュドシエルが狼狽えた。「お… お前たち 何を!?」
    天使たちが行ったのは攻撃ではない。純粋に、己の魔力を注ぎ込んでいるのだ。破壊獣インデュラたちへ浄化の光を発し続けるエリザベスへと。
  • 思わず、驚き果てた顔を見合わせるキングとディアンヌ
  • 「何って 見りゃわかるだろ 加勢サポートだよ!」
    サリエルが言った。タルミエルも続ける。
    「私たちは私たちの意志で動かせてもらいます~~」
    ◆それって、「女神族のおさに逆らう覚悟」での行動なんですか?
  • 光の力が膨れ上がっていく。機は熟した。
    「エリザベス いけーーー!!!」
    メリオダスの号令に押され、渾身の魔力を発するエリザベス。
    ドッ
    ついに押し勝って、光のドリルが破壊獣インデュラたちの腹を貫いた。
  • 巨大なドリルは背に突き抜け、ズズズズズと貫き、通り抜けていく。
    奇妙なことに、突き抜けた部分は光を失って闇に染まっていた。
    それが体外に出て行くにつれ、魔神たちの姿も変わっていく。インデュラ化する前の姿に。まるで、光のドリルが彼らの闇の力を奪い取っているかのようだ。
  • 突き抜けきって排出され、魔神たちの背後に止まった漆黒のドリルは、間を置かず細かく砕けて空中に消えていった。
  • 「ハッ」「ハアッ ハアッ」と、エリザベスは汗だくで荒い息を吐いている。
  • 力を失ったモンスピートとデリエリは、ドサッと地上に落下した。
    サリエルの風で砕けたデリエリの左腕こそ失われたままだが、光のドリルに貫かれた腹には傷一つない。
    姿形は完全に元のもの。それどころか、常に手足や胸を覆っていた、魔神の力たる闇すら消え失せている。
    身を寄せ合って眠る彼らの顔は穏やかに見えた。
  • 次回「教えてください この気持ちを」

エリザベスの「救います」発言への一考

※超不毛・思考偏重の愚痴なので、危険を感じた人は読み飛ばして候。

 

 

<四大天使>を瀕死に追いつめたインデュラたちの前に立ちふさがり、エリザベスは言いました。

「救います」

<四大天使>が口々に「救う価値はない」と言っても退かず、全ての種族は平等だと涙ながらに訴え、一瞬で感化されて意見を翻した周囲の賛同・協力を得る。

そして浄化の光で貫いて、死ぬまで獣のはずだった彼らを元に戻す奇跡を起こしたのでした。

 

まるで毎年度末の『プリキュア』最終戦のように、聖乙女系戦うヒロインの鉄板でした。

ここだけ切り取って読むならば。

  

私は「……ん?」と思いました。

いや、だって。

「怪物化した魔神族を救う」「だって全ての種族は平等だから」

今、そんな話の流れでしたっけ?

感動的に盛り上がってるとこ悪いけど、話がズレてる。と感じたのです。

 

 

第一に。

今、殺されかけていたのは女神族の方です。

なのに、どうして(まずは彼らを救うという段階を踏まずに)一足飛びに「魔神族を救う」と言い出したのか?

 

 

第二に。

デリエリとモンスピートは、救ってあげなければならない存在でしたか? 

そこが最も釈然としませんでした。

 

死ぬまで暴れ続ける怪物になったのが可哀想だから「救って」あげないといけない?

仲間を殺されて怒っている(=復讐に囚われている?)のは不毛だから「救って」あげないといけない?

インデュラが暴れ続けたらブリタニアが滅ぶかもしれないので魔神族のためにも「救って」あげないといけない?

 

大きなお世話では。

 

魔神族と女神族は長年 戦争してきたと語られています。彼らが戦ったのは、今回の怒り・恨みだけではないはずです。

また、魔神族は異世界たる魔界が本拠地。ブリタニアに求めるのは魔力資源ですから、ブリタニアでインデュラが暴れて生き物が駆逐されてもダメージはなさそう。インデュラが命尽きて死ぬまで退避していれば済む話なんですから。(現に、ガランとフラウドリンは退避しました。)

 

そもそも。

怪物化した二人は、苦しんでもいないし、助けを求めてもいません。

自分で心臓を掴みだして潰すなんて、生半可な気持ちではできないでしょう。

リスクを承知で、覚悟を以て、自国の勝利の為に自分の意思でインデュラ化を選んだのでは。

  

そりゃ、戦後日本教育上の価値観で見れば、「戦争ごときのために自身の尊厳や命を捨てるのは愚かな行為」でしょう。

「間違ってる、可哀想だ」と感じたから、エリザベスは彼らを「救おう」と決意したのだと忖度ソンタクシマス。

でも、エリザベスの目に間違っていて可哀想に見えたのだろうと、彼らは そうまでしてでも勝ちたかったってことでしょう? それが彼らの意志で信念でしょう。

頭ごなしに「救います」と否定される いわれはないと思う。

 

 

第三に。

魔神族に救う価値なしと<四大天使>に言われたエリザベスは、涙ながらに一席ぶちました。

「なら その価値は誰が決めたの?」「誰が決めていいものなの?」

「朝の光も 夜のとばりも」「誰にも等しく降り注ぐわ…」「人間に」「巨人族に」「妖精族に」「女神族に」「魔神族に…………」

 …………は?

待って。なんで差別の話に?

(異種族間の差別と戦争がテーマだった、ゲームの『テイルズ オブ』シリーズ初期のシナリオみたいなこと言い出したなーと懐かしさを感じました。)

 

女神族は確かに魔神族を差別し、見下しています。

けれど、魔神族も同じくらい女神族を差別して見下しています。

魔神族が女神族に一方的に虐待されてきた的な歴史が語られたこともありません。

二種族間の戦争はブリタニアの魔力資源を巡ってのものであって、能力も勢力も拮抗。(むしろ魔神族側が押してる?)

差別によって起きた戦争ではありませんよね。

なのに、なんで種族間差別の話??

 

 

差別はいけないことですね。それは間違いない。

でも。今、そういう話でしたか?

道徳教育的な「イイ話」に持ち込まれてるけど、そもそもの話がズらされてるように見えるんですけど。

 

 

最後に。

皆さんは、「平等」をどう定義しますか?

色々な考え方があると思いますし、それぞれの視点からの正解があると思います。

私個人が思うのは「違いを受け入れたうえで、すり合わせて得られるもの」です。

 

性別、能力、人種、宗教、文化

様々な面で人は「違う」。

まず、それを認めたうえで、対等であろうと互いに模索して、意見を戦わせたり妥協したりして作っていくものだと。

頭ごなしに「相手と自分を同じ」にしようとすることではない。というのが現時点での自分の考えです。

 

 

エリザベスは、怪物化したデリエリとモンスピートを「救います」と宣し、全ての種族は平等だからと唱えました。

 

救う。それは、怪物化してでも勝利を掴みたいというデリエリとモンスピートの決意を「間違ったこと」と定義し・否定した発言だと、私には感じられます。

 

しかし、それは「間違ったこと」なのでしょうか?

「正しい」のではなくても、そこには彼らの大義があるのではないですか。

 

精神に干渉する魔力で魔神族の軍勢を戦意喪失させて追い払い「誰も 心の底から こんな争いは望んでいないもの」と言い切ってしまえるエリザベスは、己の正義・価値観が絶対的なものだと信じて揺らがないのでしょう。

それが彼女の強さで信念。

 

しかし、彼女の信念と相いれない想いを持つ者だっているはずです。

 

傍から見て愚かだろうと、デリエリとモンスピートは身を捨ててでも種族のために勝利しようとした。

それが彼らの覚悟であり、信念でしょう。

 

彼らが救いを求めたわけでもないのに、頭から「救います」と押し通したエリザベスは、彼らの覚悟・信念を、どういうものなのかと一考することもなく、一蹴したのです。

 

二話後の話で、キングとディアンヌが「女神族は高圧的だが、エリサベスだけは違う」という風に話しています。

確かにエリザベスは他の女神族に比べて腰が低く人当たりがいいですね。

しかし、

魔神族を救う価値すらないと見下す多くの女神族の傲慢と

デリエリたちの覚悟を間違ったことだと決めつけたうえで頭から「救います」と言ったエリザベスの傲慢と。

形や程度が違うだけで、立ち位置は同じではないですか?

女神族(自分)の価値観こそ絶対的に正しい・思想的に優れていると決めつけている。

そのうえで、<四大天使>は魔神族を「救う価値無し」とし、エリザベスは「救ってあげないといけない」とした。

その違いでしかないように見えたので「……ん?」と思ったのでした。

 

 

デリエリたちの行いを、エリザベスが「間違ったことだ」と考えること自体は、別にいいのです。人はみんな違う考えを持ってるんだから。

しかしデリエリたちの覚悟をも、一度受け止めてほしかった。

その上で、それでも私は相容れないんだと否定して立ち向かってほしかったのです、「全ての種族は平等だ」と同時に唱えるのならば。

 

 

長々と書きましたが、要は

「救います」と言ってほしくありませんでした。「止めます」とかでいいじゃん。あと、ここで種族の平等を唱えるのは的外れじゃね?

ってコトで(苦笑)。

 

 

 

サリエルとタルミエルの、超インスタントな心変わりもなぁ…。

 

個人的な好みを言えば、

エリザベスの平等思想に一瞬で共鳴して魔神族の救済に参加、ってのよりは、例えば、インデュラの抵抗でボロボロになりつつも諦めず暴走を止めようとするエリザベスの懸命さに心打たれて、思想に共鳴するかは別にして、今は彼女に力を貸そう、みたいな流れの方が自分的にはしっくりきたかもなあと思いました。

即ち、第一部でエリザベスがディアンヌやキングを仲間に引き入れた際みたいな状況の方が。

 

第一部の時、ディアンヌやキングは「王国を救いたい」というエリザベスの思想自体には共鳴しなかったけれど(二人とも、人間の国のことはどうでもいいと断言してました)、王国のために身を削って活動しているエリザベスの強さや健気さに心打たれて仲間になったでしょう?

思想には共鳴しないけど、友達だから力を貸すよ、ってやつ。

私、あれが好きだったので。(素直に、エリザベス カッコいいと思っていました。そして<大罪>各人の独立性もよかった。)

 

次回、キングがエリザベスに手を貸した(リュドシエルの行動を阻んだ)時の様子もそんな感じでしたね。思想に何もかも共鳴したわけじゃないけど、エリザベスの努力と心を無下にはしたくないから、ここは協力するよと。そういう流れの方が、私には受け入れやすいです。

何故かというと、

思想を振りかざして周囲を不自然に屈服させ、やんやと褒めたたえられる流れは、ちょっとカルト宗教の洗脳っぽくて気持ち悪いから(個人の感想です 苦笑)。 

 

私、エリザベスが第202話で魔神族の軍勢に精神介入して撤退させたことも、好きじゃないんですよ。だって、ただの洗脳じゃん。

戦争は悪いことだからエリザベスのすることは正しい? 無血だから正しい? そういう問題じゃないでしょう、と思う。

いや。それはそれで戦争の手段としてアリなんだけど、無血ってだけで「正義・聖なる行い」のように扱われたらモヤモヤする。洗脳は「卑怯」系の手段ですよね。

だから、エリザベスが「戦争を止めるためとはいえ、私は罪を犯している…」的に、自身の行いに多少なりとも葛藤してくれてたらいいなあ、そんなドラマがあるかなあと期待していました。

…が。今回のエピソード見る限り、それは無いようですね。(^^;)

  

バイゼル大喧嘩祭りの時も、「殺そうと攻撃してきたマラキア暗殺団を、それでも救ってあげたエリザベス尊い! 聖乙女!」って流れになってましたっけ。

戦いの最中に敵を救うのこそが最も美しい行為だというのが、この漫画の価値観の一つっぽい。(エリザベスがこの行為を行うと、周囲のキャラたちが彼女は優しい素晴らしいと褒めたたえるオプション付き。)

ところが作者さん何を思っているのか、この時も今回も、同時に「敵側にも充分な大義がある、戦う理由がある(エリザベス側の者が敵側の大勢を酷いやり方で殺した)」という描き方をしてくるので、エリザベスの優しさばかりが多大に讃えられる流れに、納得しがたいようなムズムズしたものを感じてしまうのでした。何故 読者を惑わすの作者さん…(;^ω^)。

 

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前回、インデュラ化モンスピートに黒焦げにされたサリエル&タルミエル。

もー戦闘不能かと思いきや、アッという間に完全回復してたので驚きました。

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所要時間、恐らく1~2分程度。

バンの回復よりずっと早いように窺えますし、なにより、服まで完全修復されていたのは素晴らしい。さすが、女神族は上品だわ。

(上級魔神たちも傷を回復できますが、服は戻せてませんでしたね。エスカノールに焼かれたメラスキュラやエスタロッサ、グロキシニア&ドロールと戦ったメリオダスは、身体の傷は元に戻っても、服は失われたままで全裸もしくは半裸でした。)

 

 

つーか。

黒焦げになってもすぐ元に戻る。<十戒>も腹に大穴開けられてもケロッとしてる。

こんな調子なら、女神族と魔神族が何百年~何千年と戦い続けられるわけだよ、と思いました。

下級の女神族や魔神族(異種族を媒体にして量産できる)は普通に殺せるようですが、上級存在たちは ほぼ不死なんですね。

不死者同士で血みどろな泥仕合を続けていたわけかぁー…。

不毛。まるで地下で永遠の噛み合いを続ける赤と白の竜のように。(アーサー王を象徴する猪~豚が踏み潰すまで止まらない的な伝説のアレ。)

 

一応、上級魔神族は七つある心臓を全て潰されると死ぬ、という弱点が設定されてますが、上級女神族の弱点は何かあるのでしょうか。

 

 

ところで、戦争が長く続いていたのに、<十戒>と<四大天使>が直接戦ったのは今回が初めてらしいってのは、ちょっと不思議な感じでしたね。お互い、あまり前線に出てなかったのかな?

 

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デリエリの腕のこと

 

3000年後に常闇の棺から出てきたデリエリは、左腕が常に闇に覆われていて、獣のような大きな鉤爪状の手でした。

てっきり、普通の腕を闇で覆って強化してるだけ、もしくは生まれつき獣の腕なのだと思ってましたが。

今回の一連のエピソード見るに、デリエリの左腕は元は普通の人間の形で、サリエルとの戦いで喪失し、以降、闇を義手にして補っていたってコトっぽい。

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どうして、デリエリの左腕は元に戻らなかったのでしょう?

だって、メリオダスは何度腕を切られても簡単にくっつけて元に戻っています。

 

腕が粉々に砕け散ったから、または女神族の力で砕かれたから再生しなかった?

いえいえ。第188話、王女エリザベスが聖櫃アーク(女神族の力)でデリエリの右手の肉を消滅させて骨にした際は、10数秒で元に再生していました。

 

サリエルの力が、実はそれほどに(二度と再生出来なくなるくらいに)すさまじかったってことなんでしょうか。

 

 

 

もう一つ気になったのは、女神エリザベスに浄化されたモンスピートとデリエリの全身から「闇」が完全に消え失せていた点です。

これはどういうことなんでしょう?

メリオダスが普段は闇無しで、魔神の力を使うときだけ闇に覆われるみたいに、一時的に闇の力OFFになった状態なだけ?

 

それとも、実は「闇」とは寄生生物みたいなものなんでしょうか。

エリザベスの浄化の力が闇を追い出した?

 

第121話でガランと戦った際のメリオダス

「闇に…呑ま…れる…な」「制御…しろ…」

とブヅブツ唱え続けていたのも、どういうことだったのか気になっています。だって、生まれつきの魔神族で、闇を使って生きてきたのだから、今更、ちょっと戦いに使ったくらいで暴走するなんておかしな話ですもんね。

で、ドルイドの聖地での精神修行以降暴走しなくなった。

つまりは、メリオダスは過去に闇に呑まれて暴走した経験があって(恐らくダナフォール以前にも)、それがトラウマになってたってことなんだろうけど……。

 

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第28話にて、ベロニカがメリオダスについて言いました。

「あの男の姿は仮初かりそめのもので」「かつて怒りのままに大破壊を繰り広げた化け物が真の姿!!」

そして、実際にメリオダスの影が怪物になっている様子が描かれていたものです。

 

このエピソードを見た読者の多くが期待・想像したのではないでしょうか。

いつかメリオダスが怪物化して暴走し、それをエリザベスが愛の力で止めて元に戻す的な展開が来ると。

 

そういうのは、やっぱ鉄板にして王道ですから、見たい。

私も、きっとクライマックスにあるんだろうな、どんなのかなと楽しみにしていました。

 

そうしたら今回、インデュラをエリザベスが元に戻すという、似たようなエピソードが…。

もしや、メリオダスの怪物化・暴走は無い?

 

それとも、今回のエピソードこそが、その布石となるんでしょうか。

少なくとも、3000年前の聖戦末期には一度暴走しているでしょうし。

(でないと、ケルヌンノスの角笛に宿ってた女神が、メリオダスを全種族の脅威呼ばわりしないと思うので。)

 

 

 

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