【感想】『七つの大罪』第207話 破壊獣インデュラ
週刊少年マガジン 2017年12号[2017年2月22日発売] [雑誌]
第207話 破壊獣インデュラ
- インデュラと化したデリエリに顔面を殴られ、吹っ飛ぶリュドシエル。
「ぐ…」
二対の翼を開いて制動をかけたが、止まり切れず大木の幹に背中から激突した。
「おぐっ!!」
それでも止まらず幹を縦に大きく割いて突き抜け、更に数本の大木を次々とへし折ってから、やっと止まった。 - 「儂らは撤退じゃフラウドリン!!」
急かして、ガランが闇の翼で舞い上がる。
「しかし! 二人は…」
「早うせい!!!」
「は!!」
どうにか身を起こして、フラウドリンも翼を出すと舞い上がった。
◆ガランさん、現代編だと「子供っぽくて困ったちゃんの じーさん」って印象でしたが、実は仲間想いで面倒見が非常にいい人だったんですね。極大聖櫃 からメラスキュラも助けて、全軍に撤退指示まで出してたし。
ところで、扉絵や人物紹介にサラッと書いてありましたが、フラウドリンの現時点の肩書は「ゴウセルに仕える<魔神将軍>」だそうで。この後、いつ<十戒>ゴウセルの代理になるんだろ。
扉絵はデフォルメ<十戒>で、フラウドリンとメラスキュラが顔を見合わせてニッコリ笑ってたり、ガランの両膝の顔まで笑顔になってて、とても可愛かったです。仲良し♡
そしてモンスピートとデリエリは、やっぱ顔がそっくりだなあと思いました。 - 「ガラン様!! デリエリ様とモンスピート様の変化は…!?」
異形と化した二人を上空から見下ろす。
「あれは… あれは まるで…」「破壊の権化インデュラ!!!」「魔界にのみ生息し魔神 たちですら畏 れ忌み嫌う伝説の獣…」 - ガランが答えた。
「その通り… あれは七つの心臓を有する上位魔神が六つの心臓を捧げ 闇と契約を交わし 本性を曝 け出した姿じゃ」「ただし 闘級5万を超える個体でない限り その変化に耐えきれず死ぬ!!」
◆つまり、上位魔神でもフラウドリン、ガラン、メラスキュラは、この術を使えないってこと。ゼルドリス、エスタロッサ、メリオダスは使えると。
ゴウセルはどうなんでしょう? 今回の扉絵に、彼も「上位魔神」だと書いてありました。闘級は5万を超えるのでしょうか。
インデュラは魔界に生息する獣だそうですが「伝説」と呼ばれる点を見るに、基本、目撃されることのない超レアモンスターらしいですね。過去の上位魔神がインデュラ化した後、そのまま元に戻れず野生化した存在なのかな。 - 「よもや あの二人にインデュラ化を決断させるとは…」「<四大天使>リュドシエル… たいした玉じゃ」
インデュラと化せるのは生涯一度。しかも理性は失われ、暴れ狂うだけの獣となってしまう。死ぬか・獣となるか。まさに最終最後の決断だったのだ。 - ガランが語り続けるなか、木片を粉塵のごとくまき散らして、無残な木々の間から垂直に舞い上がってくるリュドシエル。
「汚らわしい獣 風情が…」
口元を汚す血も拭わぬまま両手をかざすと、キラキラしい光に包まれた三脚巴紋 が出現。己の身を超えるほど広がったそれから太い光線を撃ち放った。
カッ
先ほど 己が突き抜けた大木の裂け目を通して、デリエリを狙う。 - ドキュッ
正面から顔面に命中した。
インデュラ化する前の彼女とモンスピートを同時に貫通した、強力無比の光線だ。 - 「…が」
と、ガランは反す。
「これで終 いじゃろ」 - 直立したままギロッと睨み返したデリエリは、全くの無傷だったのだ。
- 「……っ」
息を呑むリュドシエル。 - 「う…」右目が完全に回復したサリエルが、
「うそぉ~~ん」三つの頭が元に戻ったタルミエルが、唖然と声をあげる。
◆もう完全回復してる! 上位女神族の自動治癒速度って、どうやら バンより速いんですね!
バンは粉々になっても復活できましたが、<四大天使>や女神エリザベスも、もしかしたら それ以上の速さで復活できるのでしょーか。 - 「サリエル!! タルミエル!! お前たちも手伝わぬか!!」
リュドシエルが青筋を浮かせて怒鳴りつけた。 - 「あ… ああ!」
慌てて舞い上がってデリエリに向かおうとするサリエル。タルミエルも、両手にキラキラしい光球を浮かべつつ飛び上がった。
「ご… ごめんなさ~~~」「い」 - 奇妙に くぐもって断ち切られる声。タルミエルの真ん中の頭が、真上から ガッ と鷲掴まれたのだ。口の端や鼻の両穴に指さえ突っ込まれて成す術もない。左右の頭も目を覆うように摑まれ、背中は二つの手が押さえて、ドンッ と地に叩き付けられた。
- 同様にサリエルも、真上から五本の手に頭・両腕・背中・足を掴まれ、地に押さえつけられている。
- いつしか高空に移動していたモンスピートが、十本の腕を伸ばして天使たちを捕えたのだ。
- 地面に うつ伏せに押し付けられたサリエルは羽をバタバタさせながら「ぐ…」と呻き、仰向けの タルミエルは「はな…」と喚いてジタバタしているものの、逃れることが出来ない。
◆翼をバタバタして押さえつけられてたサリエルが、猫に捕まえられた小鳥みたいで、なんか琴線に触れました…。
< - 彼方下の獲物たちを ギロ… と睨み、モンスピートは短く、聞き取れぬ言葉で何事かを唱えた。
- ドゴゴゴゴゴ
途端に、十本の手の中で大爆発が連続したのである。 - 「この化け物どもが…!!!」
顔の前で交差させた腕で爆風に耐えるリュドシエルの斜め上に、跳躍したデリエリが迫っていた。
「ちっ」
舌打ちし、彼女が頭を振ってシャッと放ったトゲ状の長い髪を危うくかわす。 - 髪はモンスピートの腕並みに長く長く伸びて、遥か地上にザンッと突き刺さるや。
ドンッ
こちらも大型爆弾の規模で爆発した。森は抉れ、木々は吹っ飛んでしまう。 - その間に、リュドシエルはデリエリに両手をかざした。
三度 、展開された三脚巴紋 から光線が発射される。 - 至近距離からの連射だ。それでも痛痒を感じた様子ないデリエリに、逆に腹に重い一撃を喰らわされて、リュドシエルは地面に激突した。
「ごぼっ」「がはっ」
内臓をやられたらしい。大量に血を吐き出す。 - モンスピートに掴まれたままのサリエルとタルミエルは黒焦げで、見るも無残な有様だった。微かに呻いているので、辛うじて息はあるようだが。
- 「ありえん………!」「<
四大天使 >を相手に……」
リュドシエルは歯噛みする。 - 爆発で壊れていく森の中を、メリオダスらは疾走していた。
「森が悲鳴を上げている!!」
抉れ裂ける地面や千切れ飛んでいく木々を掻い潜って飛びつつ、グロキシニアの器に宿るキングが叫ぶ。
「な… 何が起きてるのかな!?」と、ドロールの器に宿るディアンヌが うろたえた。
◆妖精王には、森の木々の断末魔の声みたいなのが感じ取れるのでしょうか。 - あえて森に身を隠しながら戦場へ向かっているため、状況がよく判らない。それでも気配が劇的に変化したのだけは感じられた。
「さっきから<四大天使>は誰と戦っているんだ!?」とキングが訝 れば、「<十戒>よりも禍々しい気配…」とディアンヌも表情を硬くする。 - 大剣を担いで先頭を走っていたメリオダスが、ハッと視線を横に向けて足を止めた。
「エリザベーーーース!!!」
女神族の少女が、ぐったりと倒れ伏していたのだ。 - 「た… 大変 倒れてる!!」
ディアンヌが膝をついて触れようとした、が。 - 「つっ!」
指先がバチッと弾かれた。少女を覆うキラキラしい光のドーム…聖櫃 に。
「何これ… バリア!?」
◆この結界、恐らくサリエルが張ったものかと。
現時点の彼は黒焦げの瀕死状態なのですが、それでもエリザベスの防護は解いていないんですね。
こういうのを見ると、女神族は身勝手で高慢なだけの種族ってわけじゃなく、一族への愛や彼らの社会での正義はあって、色んな面があるんだなと思います。(魔神族も、それは同じ。) - メリオダスが無言で大剣を傍らに突き立てた。空いた両手を広げて、
聖櫃 の中に差し入れる。
バヂッと一層激しく光が跳ねたが、構わずに押し込んでいくと、彼の両手はジュゥウゥゥゥと音を立てて見る間に焼け焦げていった。 - 「メリオダス …腕が!!」
バチバチと弾ける光の眩しさに顔を背けながらディアンヌが呼びかけ、キングも腕を顔にかざしながら警告する。
「それは女神族の張った結界だ! 魔神族のキミには――――…」 - メリオダスの両腕は、既に皮膚が焼けただれ、ぽろぽろと剥けて真皮が露わの赤黒いまだらになっている。
それでも、メリオダスは少しの苦悶も浮かべていなかった。見ているのは、ただ一点。横たわる愛しい少女のみ。 - 「エリザベス… もう大丈夫だ」
爛れた腕で、ついに結界の中から抱き上げると、少女は意識を取り戻して愛しい人を見つめた。
「………メリオダス」
デリエリに殴られた際に出血したのだろう、その口元は痛々しく汚れている。堰を切ったように、両目からボロッと大粒の涙が溢れ落ちた。
「ごめんなさい …私… 何も気付けなくて」「何も止められなくて… 何もできなくって…」 - メリオダスは優しく微笑う。
「お前は何一つ悪くねぇ…」「あとは オレが なんとか――」 - 伸ばされた白い両手が、そっとメリオダスの胸を突き放した。
「ダメ…… あなたばかり傷つくのは…」
逞しい胸から離れ、純白の翼を広げて一気に舞い上がる。 - 「エリザベス!!」
メリオダスにも、呼びかけたディアンヌにも目を向けずに、涙を拭って高空へ飛んでいった。 - 戦場では、二体のインデュラを前に、リュドシエルが決意の声を上げかけていた。
「とことんやるか!! 面白い… ならば私も<四大天使>の名にかけて」「あなたは下がって」
遮るように響いた涼やかな声。バサッと、リュドシエルの前に純白の翼が広がった。
譲らぬ顔で、インデュラと化したデリエリに再び対峙するエリザベス。
「私が止めます」
その瞳には、三脚巴紋 が くっきりと浮かび上がっていた。 - 次回「エリザベスvs.インデュラ」
これ、一番損してるの妖精族ですよね。(^^;)
森が、森がぁあ~!!
リュドシエル様は、どうしてここを<十戒>を呼び出す戦場に選んだのか…。
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この過去編、キングとディアンヌの修行という名目だったはずなのに、
<十戒>スゲー!
<四大天使>スゲー!
それ以上にエリザベス 超スゲー!
って展開が しばらく続いていて、キングとディアンヌは傍観者にすら なり切れておらず、ちょっと寂しい心地です。(;^ω^)
(前回は登場すらしなかったので、今週はチラッと出番があって嬉しかったです。)
いや。『グロキシニア』たちが知る由のなかった「恩寵の光」内での出来事や、メリオダスとロウとの絆などが三人称的視点で描かれ始めた時点で、あ、これキングたちの修業(キングとディアンヌの視点から聖戦を見る)という名目からは乖離して、普通に過去を説明する(キングたちとは無関係に語る)形に崩れてきてるなあと判ってはいたのですが。
この寂しさは、
3000年前の戦士たちが凄すぎて、キングたちが歯の立たなかった『グロキシニア』や『ドロール』すら、その他 大勢の「平凡・そこそこの強さの戦士」の中に埋没しているかのようであり、
キングたちが修行を果たして始祖らと同等に強くなれたとしても、結局 役に立たないんじゃないのか?
という予感が ひんやり漂い始めている気がするせいかもしれません。
そんな杞憂なんてぶっちぎって、メチャメチャ熱くなってくれたらいいですね。
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今回の作者さんへの質問コーナーにて。
<十戒>は、自分の戒禁以外には引っかからないのだと書いてありました。
だから、「不殺」のグレイロードの前でエスタロッサがメリオダスを殺しても、何も起こらなかったのだと。
とゆーことは、「慈愛」や「敬神」の戒禁に引っかかりまくっていた元・<十戒>のメリオダスは、今や完全に、己の戒禁の力は失っているということなのか…。
すると、未だ<十戒>に籍があるらしいゴウセルは、他の<十戒>たちの戒禁には引っかからない?
さて。そこで新たな疑問です。
フラウドリンさんはゼルドンの研究棟で<蒼天の六連星>を殺そうとしました。グレイロードを同伴してたのに。
そうかー、フラウドリンは<十戒>の一員だから、「不殺」の戒禁には引っかからないってことだったのね。
…って待て。
フラウドリンさんは「自称・<十戒>の代理に過ぎず、魔神王に戒禁を授かっていない」って話になってたじゃん!
<十戒>じゃないのに、普通に戒禁を冒そうとしてたの?
どーなっているのですかこれは…。
そもそも。
「自分の戒禁しか<十戒>には効かない」という説明だけでは、<十戒>と共に戦っている魔神将軍やら魔神騎士やら下位魔神たちは、戒禁に引っかかりまくってしまうのでは??
その辺、どーなっているのでしょう。
いっそのこと、
「魔神王の加護を受けている者は、戒禁に引っかからない。(魔神王は、魔神軍の全てを加護している。裏切り者はその加護から外される。)<十戒>は自分の戒禁にのみ引っかかる」
みたいな設定の方がスッキリだったかもしれない。
と、浅はかに考えたりしました。