【感想】『七つの大罪』第183話 デンジャーゾーン
週刊少年マガジン 2016年33号[2016年7月13日発売] [雑誌]
第183話 デンジャーゾーン
- 謎の声が『煉獄』と呼ぶ異様な世界で、メリオダスの魂は対話を続けていた。
- 「今回は派手に
殺 られたな メリオダスよ」
揶揄する声に、飄々と…いや、普段より棘のある調子で、メリオダスは返す。
「暇つぶしに のぞき見とは アンタも いい趣味だな」
「なに 我が忠実な“目”が 貴様に起こった全てを見せてくれただけのことよ…」
「あっそ」
すげなく言いつつ、メリオダスは筒状の世界の奥へ…いや、出口へだろうか…歩み始めた。
◆現世のメリオダスの近くに「忠実な“目”」…即ち、スパイがいるようです。
自覚的にスパイ活動しているのか、本人は無自覚なのかは判りませんが、メリオダスの映像を、煉獄に送り続けているらしい。
誰なんでしょうね?
まず、マーリンやホークママは、メリオダスが殺される場面にいなかったので、候補から外れます。
自覚有りのスパイなら、吟遊詩人ソラシド、フラウドリン辺りが怪しい?
無自覚なら、ホーク、ゴウセル辺りでしょうか。 - 「…さしもの貴様も「敬神」と「慈愛」の
戒禁 にかかっては」「何もできず 死を待つほか なかったわけだ…」
メリオダスは笑う。
「おかげで すっかり戒禁は解けたぜ?」 -
◆「我が生み出した戒禁」!? じゃあ、この声の主は魔神王ですか!
どこにいるのかと思ってたら、煉獄にいたんですね。つまり「この世とあの世の狭間」に肉体の無い状態で封じられてるってこと? - 「――そしてオレは アンタに受けた呪いのおかげで何度でも蘇る!!」「残念だったな にっしっしっ」
笑ってみせたメリオダスに、しかし、声も笑いを返した。
「ハ…ハ…ハ… 強がりはよせ」「恐怖か? 怒りか? 貴様の震えが手にとるように伝わってくるぞ…」
「さてさてさーて… なんのことやら さっぱりですなぁ?」
「まだ うそぶくか 貴様は己 が生に終止符を打てぬだけに非 ず……」
空気が変わった。周囲の亀裂や穴から、ズズ…と闇が染み出してくる。ハッとして見回すメリオダス。 - 「かつて最凶の魔神の名を ほしいままにした 貴様が」「あの女のせいで 役立たずの骨抜きにされて はや三千年…」「それが今の状態まで 戻れたのは誰のおかげだ?」「そう… 貴様が死を選び 煉獄へ来るたびに」「我が 貴様に芽生えし感情を喰らってやったからにほかならぬ!!」
染み出た闇は黒煙のように大きく湧き上がり、集って一つの形を成していった。それを見上げて睨むメリオダス。
◆「最強の魔神」ではなく「最凶の魔神」なんですね。
3000年前のメリオダスは、単に強いってだけでなく、とんでもなく冷酷だか残忍だかな、ヤバい気質だった、ってことでしょうか。 - 「…さあ
此度 も我が飢えと渇きを満たすがよいぞ」「これも互いの今後のためだ…」「我は感情を養分に 失われし力を蓄え」「貴様は かつての最凶の魔神に 再び近づくことができる」
形作られたのは、山のごとき巨大な人影だ。
「喜ばしかろう 我が息子よ…?」 - 「やれるもんなら やってみろぉっ!!!!」
憤怒の顔で叫ぶと、地を蹴ってメリオダスは『影』に殴り掛かった。 - そして、現世。
ブリタニア、リオネス王国。
ここも無数の魔神の襲撃を受け、城下町はどうにか形を保っていたものの、王城には穴が開き、あちこち炎と煙に包まれて、もはや壊滅に近い状態になっている。 - それでも、生き残った聖騎士たちは未だ王都を守り続けていた。何体も転がる赤き魔神の死骸は、彼らの奮迅の証だ。
- だが、今。音を立てて、彼らの武器が地に放棄されていた。
- 「スレイダー おかしいよ」
物干し竿のような長剣を取り落として、異国風の鎧を着た小柄な少年騎士が苦しげに訴えている。<暁闇の咆哮 >の団員・サイモンだ。
「剣を持つ手に 力が入らないわ」
団長のスレイダーは、己の巨大鋸から手を離さずにいたものの、どうしても持ち上げることができずに刃先を地に付けてしまっていた。
両刃斧を取り落とす傍らの兜の騎士。
「なぜだ? 魔力も使えない」 - この症状は、他の聖騎士たちをも同様に襲っていた。
大穴を開けられた王城の門を背に守り、ダンゴムシのような鎧の聖騎士マルマスが、マラカス型の棍棒を取り落として、力の入らない全身を震わせている。
その前に並ぶ、若き聖騎士たち。 - 「どうなってるギル? このクソったれな魔神どもを前に なんで力が出ねぇ!?」
武器を落とし、立ったまま全身を硬直させてハウザーが歯噛みしていた。 - 「ぐ… ぐ」
ギルサンダーは烈しい憎悪に顔を歪めていた。前に出ようとするが一歩も動けずにいる。
「メリオダスの仇は必ず この俺が… とる!!」「殺してやる…殺してやる!!」 - 「もうやめよう ギル!?」
ギルフロストが横から諫めたが、
「黙れ!! お前はすっこんでろ!!」と収まる様子はない。 - 憎悪の目が捉えているのは、数瞬前に降り立った魔神たち。
グレイロード、モンスピート、デリエリ…。<十戒>の多くが、今ここに揃い踏みしていた。 - そして、彼らを従えし王者のように一段上に立つ者。
「愚かで弱き人間諸君…」「俺の前で「憎悪」を抱く者は何人 をも傷つける術 を失う」 - 朗々と語る、その男を睨みながら硬直しているのは、バンも同じだ。
- 無感情な瞳で、その男は名乗りをあげた。
「俺は<十戒>エスタロッサ」「魔神の王より「慈愛」の戒禁を与えられし者…」 - 「「慈愛」だぁ? ふざけんな!!」動けぬままバンが叫んだ。
「団ちょを殺した てめぇが 何をほざきやがる!!」 - 「んん? お前 死んだはずだよな?」
バンを見てエスタロッサは不思議そうにしたが「まあ どうでもいいか」と、すぐ興味を失くす。虫でも見たように。 - 事実、バンも、ここで固まっている他の聖騎士たちも、この男に掠り傷一つ付けられないのだろう。収まらぬ憎しみで一矢でも報いたいというのに。
「俺たちは…… 剣を握ることも 拳を握ることも」「奴に向かって歩くことすら 叶わぬというのか…!?」
怨嗟を吐くギルサンダー。戒禁に侵された身は重く、どんなに奮い立たせようと一歩も動かせはしないのだ。 - 「かわいそうに…」エスタロッサが言った。
見下 す瞳に空虚な哀れみをたたえて。
「その苦しみから救ってやろう」 - しかし、魔神が動く前に。
瓦礫に覆われた地を薄氷のように踏み割りつつ、何の戒めも感じぬ動きで、一人の巨漢がエスタロッサの前に歩み出ていた。 - 軽く目を見開くエスタロッサ。
グレイロード、デリエリも少し驚いた様子で見やり、モンスピートは警戒したように目を細めて呟いた。
「なんだ…? この男は」 - ついに眼前に立った巨漢に、エスタロッサは気怠げに尋ねる。
「なぜ 戒禁が効いてねえ?」 - 「当然のことです」巨漢は言った。
「自分より弱い者に憎しみを抱くはずがないでしょう」
彼の体を覆うのは重厚で華美な鎧。巨大な戦斧を軽々と片手で持っている。
「抱くのは哀れみ」
静かに言った男の目には、なるほど、一片の憎悪も見られない。 - 「傲慢だな」
そう返したエスタロッサの漆黒の瞳を見下 して、巨漢・エスカノールは静かに告げた。
「…それが<傲慢の罪 >」 - 次回「超激突!!」
重要と思われる設定が、たくさん公開された回でした。
あり過ぎて、まとめにくくて感想 書きづらいですね。(^^;)
■メリオダスは死ぬと「煉獄」へ行き、魔神王?もそこにいる
今まで、赤き魔神が吐くのは煉獄の炎だと語られたり(それだけが、妖精王の森を燃やせる)、メラスキュラが
一体どんな場所・概念なのか、不思議に思っていた「煉獄」。
それが、ついに明らかに…!?
……なってないとゆーか、ますます謎が深まったとゆーか。(^^;)
結局、煉獄ってなんなんだー!?
リアルの煉獄は、中世に、キリスト教が土着の「死後の世界」の信仰を取り入れて創作した概念で、当初、その支配者と考えられていたのは「ハーレクイン」でした。
…が、流石にこの漫画では、そうじゃないだろうし。(この漫画のハーレクインさんには別の役割が与えられているのだろう。)
なんにせよ、影みたいになった(死んだ?)魔神王?がいて、メリオダスも死ぬ度に そこに魂が行くらしいから、「死後の世界」の一つではあるんでしょうか?
そして、エリザベスは死者の都でメリオダスに逢えなかったというのだから、死者の都の一部ってコトではない、よね? 別物と考えられる?
(でも、死者の都にいたエレインが「煉獄を彷徨う魂」として召喚されてるしなあ…。)
…魔神族専用の死後の世界?
とは言え、メリオダスは そこから毎度 生き返っているし、そこにいる魔神王?も、力を蓄えて生き返るつもりっぽい。(3000年も力蓄えてて元に戻れてないなら、もう無理だろと思うけど。)
となると、生き返れる可能性がある死者の魂が憩う場所?
三途の川を渡る前の河原、みたいな。
うーん?
「煉獄」が、なんだか、内視鏡で見た腸内みたいな景色なのも、すごく気になりました。意味があることなのかな? 別に何でもないのかな?
何にしても面白い景色です。よくこんなの思いつくなあ。
■メリオダスは魔神王?の息子だった
以前から読者の間では よく挙がっていた推測でしたけど、本当にそうだったのかー。
魔神族の王子様だったんですね。
■戒禁を解く方法は二つ。その戒禁の主である<十戒>を倒すか、掛かった本人が死ぬか
条件の中に「魔神王を倒す」というものが入っていません。
つまり戒禁の発動は、魔神王の生死には左右されない。
■メリオダスの「死ねない呪い」は魔神王に掛けられたもので、戒禁の効果ではない
死んでも解除されないんですね。
■メリオダスは、3000年前「あの女」に骨抜きにされた当時に比べると、今はかなり「最凶の魔神」状態に戻っている。それは魔神王?が「メリオダスに芽生えた感情」を喰らったから
んんん?
3000年前の聖戦開始前、非情だったメリオダスは今よりむっちゃ強かったけど、聖戦末期の非情じゃなくなっていたメリオダスは、今よりずっと弱かったってこと?
「芽生えた感情」とは、愛とか優しさでしょうか。それがメリオダスを弱くする?
それを喰われて、今はかなり状態が戻ってる、と。
とゆーことは、今のメリオダスは「非情の魔神」時代に近い精神状態なのか。
まさか、そのせいで「<十戒>は分散して町や国を襲うから、そこを倒そうぜ」みたいな、一般人を魔神のエサにする非情な作戦を、笑って独断専行できた、とかいう話なんですかね。(^^;)
でも感情なんて湧き出るものですから、喰らわれても、いずれ元に戻りそうです。
周囲に恋人や友達がいるならば。
ところで、魔神王?が「メリオダスの感情を養分に 失われし力を蓄え」るって、どういうコトなんでしょうか。
メリオダスは感情があると力が弱くなるのに、魔神王?は感情を喰らうと力が強くなるの?
魔神王?が「感情を養分にして力を蓄える」っての、別に意味はないのか、実は大きな伏線なのか。
たとえばゴウセルは「感情を失っていて、それを取り戻して力を得ようとしている」んですよね。
魔神王?と、似たようなことしてる、気もします。
別に関係ないのかなあ。
■メリオダスが<十戒>のリンチで死んだのは、「慈愛」と「敬神」の戒禁にかかっていたから
リベンジカウンターをエスタロッサに受け止められた後、急に弛緩して殆ど無抵抗になってたのは、精根尽きたんじゃなく、エスタロッサの「慈愛」の戒禁に掛かってたからだったんですね…。
なるほど。
しかし「敬神」の戒禁の方には、どー見ても掛かってなかったと思う。
掛かる条件は満たしてたけど、もし掛かってたらマトモな自我を失っていたはずですし、ゼルドリスがいる辺りをリベンジカウンターで狙うことも できなかったはずですから。
(「敬神」はゼルドリスの戒禁で、どんな効果かは次回 明かされます。)
------------------------------
リオネスを守って戦う聖騎士たち。
久々にサイモンが見れて嬉しかったです。あと、マルマスがいたのは、驚きましたが、嬉しかった。(三話後に、あんなことになっちゃうけど…。)
メリオダスの死で憎悪に囚われているギルサンダーとバンが可哀想でした。
安心してください、メリオダスは自動的に生き返りますよ。
キングの姿が見当たらなかったので、凄くホッとしました。
彼は妖精族の王です。この非常時に自分の国をほったらかして人間の国を守ってたら、異常ですもんね。
アーサーだって
ディアンヌは、巨人族の里かザルパ一家の家に戻ってる可能性もあるけど、キングがマトローナやザルパ一家ごと妖精王の森に受け入れて、保護・共闘してるのもいいなあと妄想しています。
(マトローナはザルパ一家と離れたくないだろうけど、彼らを連れて巨人族の里に行くのも、彼らと共に人間の町へ行くのも難しそうなので。かといって、あの荒野の家に彼らだけで暮らし続けたら、魔神族にエサにしてくれと言わんばかりです。)
なにより、キングとディアンヌは折角 再会できたんだから、簡単にバラバラになっててほしくないなー、とゆー。(^^;)
…実は、バンは妖精王の森陣営に行ってるかなと想像していたので(エレインのことがあるから)、リオネスで戦っていて少し驚きました。
そっか。やっぱ、彼は人間ですもんね。自分の種族の国を守るのが当たり前なのである。
------------------------------
いよいよ本格的なエスカノール無双が始まります。
けど。
こんなに強いのに、一ヶ月間、<十戒>を一人も倒してなかったのは不思議だなと思いました。
何してたんでしょう?