【感想】『七つの大罪』第178話 暗黒のブリタニア
週刊少年マガジン 2016年29号[2016年6月15日発売] [雑誌]
第178話 暗黒のブリタニア
- [<七つの大罪>メリオダスの敗北から一か月][魔神族に立ち向かう勢力は多数存在したものの―――――…][<十戒>の前には なす術がなく][その数は日ごとに減少し ブリタニアの勢力図は 暗黒の波に浸食されつつあった]
[<十戒>の恐怖は人々に暗い影を落とし――――][ある行為へと向かわせた…]
[魔神族は魂を食す][<十戒>は より強い魂を食す]
[ある者は 自らと家族を守るため][ある者は<十戒>に心酔し――][生贄を捧げた] - 幾つもの風車が回る、ブリタニア中部の とある村。
斧や鎌、三又農具 などを携えた男たちが四方から群れ走り、余所者を一角に追っていた。
「追い詰めたぞ!!」「あの お方に早く報告を」
彼らの顔は緊張の汗に濡れていたが、中には異様な目つきで狂気じみた笑いを漏れ吐く者もいる。彼が握るのは武器ではなく、三脚巴 の形をした魔法具 ・「バロールの魔眼」だ。 - 追い詰められたのは、スキンヘッドの僧侶風の大男と、本来は鎧のインナーらしいボディスーツだけの豊満な美女である。
「フン… 凡愚風情が!! 我らを誰と心得る!?」
男は この状況でも泰然としたもので、ちっと舌打ちすると吐き捨てた。手にした簡素な錫杖の先には鈴が……いや、豚の形の飾り が揺れている。
「シッ!! 黙って!!」「アタシら 一応 王国のお尋ね者なんだよ!?」
女は焦った様子で男に釘を刺したが、男は構わずに名乗りを上げた。
「リオネス聖騎士<不気味な牙 >ルイン様とフリージアだ!!」
「バカ!!!」
女…虫使いのフリージアに、スパンッと肩をひっぱたかれたが、大男…幻術使いのルインは意に介した様子もない。
◆フリージアの恰好、物語最初のエリザベスの鎧インナーを思い出しました。女性騎士の皆さんは、みんな こういうのを鎧の下に着てるのかな? …王国騎士時代のディアンヌは いつもの服の上に鎧を着てたのでしょうか。それとも『ポケ騎士』のみたいな色っぽい黒インナー?
ところで、フリージアの口調とか性格の感じが、かつてとはイメージ違うような気がするのですが。(もっと 媚があって ねっちょりしてたよーな…。)スレイダーみたく、鎧を着て顔を隠すとキャラ変わる系でしょーか。 - 意に介さなかったのは村の男たちも同様である。
「この闘級…上物だぜ!! 男は420… 女は440!!」
バロールの魔眼を握る男が、目つきを異様にして『視る』。オオッと男たちが沸いた。
ほんの数ヶ月前までなら聖騎士を畏怖し、その横暴にも耐えるばかりだったというのに、手を引く様子はない。あるのは、恐れが裏返ったかのような異常な高揚である。猫を前にした飢えたネズミの群れのように。
◆へえ。僅差ですがルインよりフリージアの方が闘級が上なんですね。武力で優ってる様子じゃないし、魔力が高いのかな。
ちなみにバルトラ王の闘級は530です。
この二人、今まで闘級が明らかになった聖騎士の中では最も低い。この闘級で、闘級3000台時代のメリオダスとディアンヌを手玉に取ったんですから、一芸に秀でているっていうのも馬鹿に出来ないもんです。 - 「
聖騎士 の魔力に気をつけろ!!」
男たちの言葉を聞いて、「ファッファッファ~~ッ」とルインが呵々大笑した。
「凡愚共 如き 魔力を使うまでもないわ~~~~~~っ!!!」
笑いながら錫杖を振り回す。それだけで何人もが骨や歯を砕かれ血を吐いた。
「こうなりゃ仕方ないね」とフリージアも腰に提げていた鞭を振り回したので、被害は尚更である。 - ところがだ。
男たちの誰も腰が引けない。倒れた仲間たちの間を通り抜け、倒れた者も よろよろと起き上がり。恐れの冷や汗をかき、血を流し、痛みに顔を歪めつつも、じりじりと包囲を狭めてくる。呪言のように「捧げろ」「魂を…捧げろ」と唱えながら。 - 「なんだい こいつら」
異様さに困惑するフリージア。流石のルインもゾッとした様子である。 - その時、彼らの背後にフッと気配が現れた。
「上物と聞いて飛んできてみれば お前達だったか」 - 「ド…」「ドレファス聖騎士長殿!!?」
振り向いたルインが、大声で その男の名を呼んだ。
「おお… <七つの大罪>との王都決戦で行方知れずになったと風の噂で聞き及んでおりました まさか こうして お会いできようとは!!」「我らも王都を追われ途方に暮れておったところ… あなたさえいれば 再び リオネスの覇権を握ることも可能でしょう ぜひ 我らも お供に――」
媚び笑いで滔々と取り入りの言葉を並べるルインの胸に、トンと『ドレファス』の刀印の指先が触れた。
「むぽっ」
たちまち、ルインの口から魂が押し出される。それは、そのまま しゅぽっ と『ドレファス』の口中に吸い込まれた。
◆マウス トゥ マウス♥ - 「薄汚れた魂は不味い…」
もっちゃ もっちゃ と咀嚼しながら顔をしかめる『ドレファス』。 - 「ル… ルイン?」
一部始終を見ていたフリージアは、呆けた顔で停止した仲間を怪訝そうに見つめたが。
「!!」
腐っても聖騎士の勘だろうか。
(し…死んでる!!?)
目前の男が、肉体的にはまだしも、もはや『生きていない』ことを直感したのである。 - 「ドレファス様 ルインに何を――――…」
返り見た視線の先に、ヌッと突き出された『ドレファス』の掌。
「どうせ お前らには 守るべき民も帰るべき国もない 潔く死ぬがいい」
◆帰るべき国がない? お尋ね者だからという意味か。まさか、既にリオネスの王都は…? - 「!!」「ちいっ!!!」
触れられる直前、咄嗟に鞭を振るって その手を叩き、フリージアは背後に跳び退いた。同時に鞭の数撃を叩き込む。並みの男なら血反吐を吐いて吹っ飛んだだろう。だが『ドレファス』は微動だにしていない。 - 周囲の男たちが一斉に喚いた。
「フラウドリン様ーーーーー!!」「この女 なんと無礼な…!!」 - 「目を醒ましな クソ虫共!!」「あいつは人間じゃない!!」
理屈は解らない。しかし、先程の手応えも人間とは思えなかった。聖騎士の顔で彼女は村人たちに訴えたが。
「ちょ…」
ぎょっとする。彼らが両腕を拘束し、数人で抑え込んできたのである。 - 「当然だろう 罪深き女め!!」立派な顎ひげを蓄えた、風采優れた初老の男が言った。どこか心苦しそうに、それでも据わった目で。
他の男たちも必死の形相で彼女を取り押さえ、口々に罵る。
「あの お方は<十戒>ぞ…!!」「人間の分際で 魔神族に盾突く愚か者め……」 - 「ふざけろよ! 何が魔神族だ」「アンタたちに人間の
誇り は ないのかい!?」
身動きとれぬ状態で、ついに うつ伏せに抑え込まれたフリージアの耳元に、顎ひげの男が告げた。冷や汗を流し、それでも覚悟の揺らがぬ顔で。
「誇りで家族は救えんのだ…」「聖騎士 とは違ってな…」
◆この顎ひげの人は、きっと、子供がとても大事なんでしょうね。 - もはや、彼女に許された抵抗は言葉のみ。
「くそぉーー!! 殺してやる!! この化け物…!!!」
喚くフリージアを見下ろして、ドレファスの姿をした魔神が悠々と歩み寄ってくる。
「さっきの魂より 活きが良さそうだ」
今度は触れず、呪言を唱える方法で魂を抜いた。「はうっ」と息を呑んで動かなくなるフリージア。 - 抜いたばかりの魂を手の中で遊ばせながら、魔神は村人たちに『慈悲』を垂れた。
「お前たち よく 見つけてくれたな」「褒美に猶予を もう三か月 伸ばしてやる」 - 「ははあ… ありがたや」「フラウドリン様~~~!!」
誇りを棄て魔神を讃える大人たちの様子を、物陰から覗く無垢な瞳がある。 - 「……っ」
悔しげに息を殺したのは、このオーダンの村の長の息子・ペリオ。その取り巻きのメラ、トーマス、タント、カッツ。
かつてアーマンドと名乗っていたゴウセルと過ごし、無邪気に<七つの大罪>ごっこを楽しんでいた子供たちである。 - 場面は変わる。
キャメロットより やや南西の地を、二体の灰色の魔神が飛んでいた。「わ」「わ」と、泡を食って地を駆ける騎士二人を追っているのだ。
次々に口から光線を吐けば、巻き起こった爆風が彼らを吹っ飛ばした。
「どわああぁ~~~~!!!」 - しかし、そこが囮役の彼らの目的地点だったのである。
待ち受けていたのは、異国の剣士・ななし。
爆風を斬り裂いて放った斬撃は、灰色魔神の一体の片翼と片腕を断ち切った。墜落し頭から地に激突した魔神は、それでも間断おかず光線を吐いたが、既に居合の姿勢で突撃していた ななし は止まらない。
居合“無情の滝”
光線を真二つにして突破、その向こうの魔神をも斬って捨てていた。 - 残る一体の灰色魔神が降り立ち、呪言を唱えながら手の中に闇の球を生み出す。
“黒死 ”だ。放たれたそれに触れれば即死である。 - が、放たれるより早く。
「うおおおお~~!!」
その肩甲骨の間に、アーサーが剣を突き立てて闇を消失させた。 - 長い腕を素早く背に回した魔神が、少年王を掴んで投げ捨てる。そして、ぎこちなく人語を発した。
「抗ウカ人間…」「オ前ラニ残ル選択ハ 二ツ 服従カ 死ノミ」
◆…!! こいつ人語を喋れたんか!!
…いや、考えてみたら赤き魔神すら呪言を唱えて魂抜いてましたもんね。赤も人語を喋れるってことですか。
それにしても灰色魔神、羨ましい体の柔らかさ。血管年齢若そう。 - 「いいや…」剣を杖に、少年王が立ち上がる。「選ぶのは三つ目さ」
肩にはキャス。背後に居並ぶは、囮役を引き受けた騎士二人と異国の剣士ななし。
「…とことん抗ってやる!!!!」
血と汗に濡れた顔で不敵に笑い、若き王は勇ましく剣を構えた。
◆キャス、前は頭に載ってましたが、肩に移動した模様。アーサーが成長したってことかしらん。
囮役の二人の騎士の一人が、ドワーフ族っぽく見えます。髭が立派すぎなだけで普通の人間かなあ? - 次回「希望を求めて」
灰色の魔神、どうして足装備だけ穿いて、他は すっぽんぽん なんだろう。なんか卑猥。
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ルインとフリージアは、どうして「王国のお尋ね者」だったのか。
王都決戦終了時に、全ての聖騎士の罪がバルトラ王によって不問にされたはずなのに?
ダルマリーの町を襲った罪が重いから?
でも、ギルサンダーやギーラ、ジェリコ、マルマスらだって似たようなことはしているし…。
…うーん。
彼らは王都決戦時に王都におらず、その後も帰還せず、自主的に逃げ回ってたってことかな?
王が罪を不問にしたと知らず、自分たちは赦されないと思い込んでいた、とか。
王都に近寄らなかったから情報が不十分で、王都では死んだ扱いになってたドレファスを「行方不明」だと思っていたし、ヘンドリクセンが魔神化したことも知らなかった、とか。
それにしたって、ブリタニアが魔神に支配されて一か月だっていうのに、とんだ情報弱者でしたね。(^^;)
逃亡時代のエスカノール並みに、どっかに隠れてたんでしょうか。
ゴルギウスは未だ逃亡生活をしているのかな。ちゃっかり王都に戻っていたのかな。
そーいや、ルインってメリオダスに殺されたのかな? と疑問に思っていました。生きてたんですね。魔神化デールのエピソード(必要なら敵を殺すと決意)の前ですから、不殺を貫いていたということですか。
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魔神に恭順した人たちのこと。
これもまた「愛」ゆえ。
力無き人々は、汚かろうと誇りがなかろうと、どうにか自分と家族(愛する人)を生かしていくしかない。
これが彼らの戦い方、ですよね。
子供たちに軽蔑されても、憎まれても、生き残らせることができなければ、何も得られないので。
ペリオたちが再登場したので、ゴウセル編突入が近いでしょうか。楽しみです。
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新章突入。
普通に第三部と言っていいのか。それとも第2.5部?
どこにも「第三部」という煽りがないので後者ですかね(^^;)。
次週は一挙二話掲載だそうです。
ラストページのアーサーに「もう この世界に希望はない。――この男を除いては!!」と後引き文が付けられてたので、え、アーサーしか希望がないの(汗)? わんぱく三人組やヘンドリクセン、スレイダーらは? デンゼルたちは? <大罪>は? みんな死んだの(大汗)?? と困惑させられました。
そもそも、現時点でアーサーより ななし の方が強いみたいなんですけど。
「~希望はない。――彼らを除いては!!」くらいにしといてくれたらよかったのに。
<大罪>たちは どうしているのかなあとワクワクしつつ『マガジン』巻末を見たら、笑顔のエリザベスのカットと共に「<豚の帽子>亭再開!!」とか、明るく予告が打ってありました。
あ…そうなんだ。「初心に戻ります」方向なのね。(;'∀')
メリオダスは仮死状態扱いとかなのかなあ。店長代理はエスカノール?