【感想】『七つの大罪』第172話 かつて友だった お前たちへ
週刊少年マガジン 2016年22・23号[2016年4月27日発売] [雑誌]
第172話 かつて友だった お前たちへ
- 「かつて魔神王を倒すため 共に戦った三人が 今や敵同士… 運命とはホント皮肉なもんスね」
苦笑を浮かべるグロキシニアの周囲には霊槍の鎧の欠片が漂っている。
「メリオダス キミの本音が聞きたい」「本気で あたしらと殺し合いがしたいわけじゃないでしょう?」 - 浮かぶ彼の下、血まみれで横たわるドロールも目を開き、腕のない体で頭をもたげてメリオダスを見やった。
- そんな彼らの方へ、少年は大股に歩み寄っていく。
「当たり前だろ」
言い切ると「…お前ら 二人がそっちに行った理由も気持ちも 俺は知ってる」と、苦く言葉を続けた。かつての友、それぞれへ向けて。
「グロキシニア… お前は信じていた奴らに裏切られ」「自分の命より大切なものを奪われちまった」
「ドロール… お前は常に最強を目指す戦士だった」「だが その誇りをズタズタに踏みにじられたんだ」 - 「そこまで わかってて なぜ―――」
「でもな」グロキシニアの声を遮る。足を止めて。
「そっちに行ったらお終いなんだよ!!!」
ドパッと地を蹴るや、弾丸のように跳んで挑みかかった。 - 「残念っス」
再び苦笑して、グロキシニアは右手の中に小さな光を灯す。灯したまま腕で大きく弧を描けば、軌跡に沿って星空に光の輪が描かれた。
霊槍バスキアス 第一形態「霊槍 」
「…ね!!」
腕を軽く振り下ろす。
輪の中心に切っ先が生じ、そこから極太の光線――いや、巨大な光の槍が発射された。 - メリオダスに出来た反応は、目を
瞠 ったことだけ。
貫かれはしなかったが、全身でぶつかって背後に押しやられる。
夜空を、ほぼ水平に流星が走った。
大迷宮を越え、更にその先へと。恐らく数十kmは離れた地点に隕石のごとく激突。大音声 を轟かせて地を抉り山を砕き、真昼のように辺りを照らし出したのである。
◆おお! キングの真版「第一形態・霊槍 」とは全然違いますね。キングのは超巨大槍を槍投げモーションで全・力・投・擲!! って武骨な感じですが、グロキシニアはバレーボールでも打つみたいなモーションで軽やかに発射です。
これ、発射されたのは光線だけなのか、光線に見えるのは高速で撃ち出された大槍そのものなのか、判断がつきませんでした。
なにせ、次の場面でグロキシニアの傍らに霊槍が浮かんでいます。槍の実体を投げたなら直後に手元にあるのはおかしくないか? ならば光線を放っただけなのか?
でも、メリオダスは光線? に押しやられるような姿勢で飛ばされているので、光線の中に槍の実体があるようにも思えるし…。
うーん??
もう一つ気になったのは、前回 砕かれた霊槍が再生する描写もなく、新たに召喚されたような感じでグロキシニアの手元に出てきてるところです。
…むむむ?
バスキアスは壊れても「その場でパッと、新たに作れる」ものなのかな? やや ゆっくり目に再生する 封印シャスティフォルとは違って。
だから砕かれても すぐさま新しく作れたし、メリオダスに投げてから一瞬で手元に新しいのを作った、ってこと? …と、とりあえず仮定してみました。
実際は どうなんでしょう。 - この轟きは、人々が囚われた地の底にも届いていた。
「凄まじい力 の ぶつかり合いだ」揺さぶられながら無表情に分析したゴウセルは、気を失ったエスカノールを背負っている。
「あんな化け物共に たった一人で挑むなんて 無謀もいいとこだろ!!!」
ハウザーの叫びを聞いて、不安に顔を曇らせるエリザベス。
「メリオダス様………!」
「てめえら!! みんなでメリオダスの加勢に行くぞ!!」
冷や汗をかきながらもホークが音頭を取ったが。 - 「…行ってどうする?」
「プゴッ!?」ぎょっとしてホークは傍らの男を見上げた。よりによって彼が…メリオダスの親友であり、常に豪胆であったバンが水を差すとは。 - 「
地上 に出て何秒立ってられる…!?」「団ちょの足を引っ張るのが関の山だ…」
揺れから守るようにエレインを抱いた彼は、苦しげに歯噛みしながらも言い切ったのだ。 - 「そんな……!」
愕然とするエリザベス。 - 「バンの言う通りだよ…」
キングも気まずげに俯いて同意した。
「相手は 今までの敵とは次元がまるで異なる力を持つ<十戒>」「正直…… 現状で太刀打ちできるのはメリオダス――――彼をおいていない」 - 「…だとすれば 俺たちが ここに閉じこめられていることもハンデになってしまうのでは?」
ギルサンダーが戸惑い気味に問うた一方で、ハウザーは切り替え早く、己の槍を壁に叩き付けている。
「でもよ この岩盤……!!」
傷一つ付きはしない。見回しても出口らしきものはないようだ。
「逃げようにも破れそうにねぇ…」「どうやって脱出するよ」
◆「俺たちが ここに閉じこめられていることもハンデになってしまうのでは?」
…や~っと気付きましたか!(;'∀')
現状、仲間と言いつつエスカ以外は全員、金魚の糞以下の足手まといです…。
メリオダスと一緒に喧嘩祭りに出たいとワクワクしてる場合じゃなかったですね。
ガランに大敗した直後のキャメロットで、マーリンが、仲間の闘級の合計が<十戒>のそれを上回れば勝てるみたいなことを言ってたのは何だったんでしょうか(苦笑)。現実は、雑魚がどれだけ集まろうと援護の役にすら立ちませんでした。
(実際には、不死身のバンと、ほぼ不死身のゴウセルなら、一瞬の足止め程度ならば援護の役には立てたんじゃないかなとは思いますが。) - 「私に任せてくれないか」口を開いたのは若き魔術師だった。「この空間にいる全員を安全な場所へ瞬間移動させる」と、貴石飾りのついた長杖を鳴らす。
◆この杖頭の宝石、ただの飾りだと思ってましたが、第一部でベロニカが使ったのと形状が似てるので「女神の琥珀」の可能性もあるのかな?
そーいや、かつてメリオダスは力と肉体それぞれを別々に女神の琥珀に封じられていましたが、同じことを<十戒>にも できるのでは? - 「ギルフロストだったっけ? こんなに大勢を いっぺんに運べんのかよ?」
皆が彼に目を向けた中、ハウザーの問いに淡々と返した。
「まぁ なんとかやってみよう」
◆ここ、この場に囚われた恐らく全員の姿が描かれているのですが、トーラとジグモはいません。この後の場面を見ても、やっぱりいないようです。
地に呑まれた彼らも、大会後に生きて出てくるんじゃないかと甘い期待を抱いていたので残念でした。メリオダスが本気出すまで時間を稼いで試合していたら助かっていただろうに…。なんたる犬死に。
あと、タイズーさんも見当たらないんですけど。(^^;) もしかして一人だけ地上に取り残されたの? - 巨人には少々狭いこの空間で身を屈めて聞いていたマトローナが、ハッとまなじりを釣り上げる。
「冗談じゃない!! 私は残るぞ… ここで退くわけにはいかない!!」
「ダメ! 今は逃げなきゃ」とディアンヌ。
「では ゾルとデラは」
「ボクに考えがあるの! ね? マトローナ!!」
◆魔神に頼るより、エリザベスに治癒してもらった方が確実ですよね。 - 「時間がない 行くぞ!!」
ス…と、ギルフロストが印を結んだ。途端に、全員の姿が掻き消えたのである。 - そんなことには構わず、地上では魔神同士の戦いが続いていた。
メリオダスを彼方へ飛ばしたグロキシニアは、その隙に霊槍に巨大な白花を咲かせる。
霊槍バスキアス
第七形態「月の華 」
「今 回復するっス」
“生命 の雫”
中心の蕊柱 から滴るしずくが、半身を起こしたドロールに落ちようとする。
◆以前は、タコ足そっくりな触腕の先に花を咲かせていましたが、この場面を見るに、普通の植物の蔓の先に咲かせています。(吸盤はなく、葉が生えている。)
…あのタコ足は趣味の擬態であって、バスキアスの本来の形は、あくまで「蔓」なんですかね? キングがシャスティフォルの「苔」をクッションに擬態させてるみたいに。 - その時。彼方の地平線で大爆発が起こった。いや。土中深くめり込んでいたのだろうメリオダスが飛び出した、その衝撃で土煙が上がったのだ。
広がる煙を追い越してシャッと現れ、地表スレスレを鳥のように飛び来る彼は、シャツが千切れ飛んだ上半身を露わにし、両手の先に噴出させた闇を巨大な翼にして羽ばたかせている。
◆とうとう、エリザベスがメリオダスにプレゼントした服も完全にダメになっちゃいました。
これで、第二部冒頭でお披露目された<大罪>の新衣装、残ってるのはディアンヌとキングのだけになりましたね。 - 「もう2 3秒待つっス」
鬱陶しげに左手を伸ばし、グロキシニアは指先を細やかに動かした。たちまち土中から飛び出す巨人並みの樹の怪物。
“呪蔓樹 ”
◆上から読んでもジュマンジュ、下から読んでもジュマンジュ。 - 怪物から放たれた幾本もの太い蔓を、メリオダスは剣で容易く微塵にした。速度を緩めず顔面に突っ込んでいく。
「悪いが待てねぇ…」剣を持たぬ右の拳に、ボオッと獄炎を付呪 し、「な!!!!」それ一つで巨体を突き破ったのである。
◆神樹の加護を受けた植物は通常の炎では燃やせない。燃やせるのは地獄の炎だけ。神樹の加護で不死身になったバンにも、メリオダスの獄炎ならば消えない傷を刻み込める…。
そう考えてみると、妖精王の天敵は獄炎使い系の魔神族なのかもですね。逆に、魔神族に対抗できる特殊な力を妖精族は何か持ってないのかな? - ハッとするグロキシニア。
その腹に怪物を突き抜けた勢いのまま、メリオダスの拳が叩き込まれた。
肉と骨の潰れる嫌な音が響く。
「か…」
貫かれこそしなかったものの、みぞおちが深く凹んでいた。目は極限まで開かれ、口から血が吐き出される。 - メリオダスの動きは止まらない。
「あばよ戦友…」
左手の剣を閃かせ、冷徹に息の根を止めようとする。 - が。直前でグロキシニアの姿が掻き消えた。
そして背後に立ち上がる山のごとき気配。生命 の雫によって復活したドロールが、元通りの二対の腕を広げていた。左手の一つに気絶したグロキシニアを掴んで守っている。
「“砕破 ”!!!!」
大地から燃える岩塊が無数に噴き上げた。一つ一つが小山ほどもあるそれは、メリオダスを容赦なく打ちのめしながら天高く昇っていく。
「“落山 ”」
間を置かずドロールの腕が振り下ろされれば、天空で静止したかにも見えた岩塊群が一斉に雪崩落ちた。空中で手足を投げ出していたメリオダスを、またも滅多打ちにして。 - その、少し前。
「…?」
キョロキョロと辺りを見回すエリザベス。
ギルフロストの魔術によって瞬間移動した面々は、まさに一瞬で異なる場所に立っていた。彼曰く「安全な場所」だというそこは……。
「こ… ここはリオネス城?」
彼女にとって馴染み深い城の中だ。
「おお!! す… すげぇじゃんか!!」
誉めそやしたハウザーの視線の先で、よほどの負担だったのだろう、ギルフロストは背を丸めて「ハアッ!! ハアッ ハアッ」と荒い息を吐いている。
◆ここ、第29話で二大聖騎士長が聖騎士たちに演説した集会場(吹き抜けの中広間?)ですかね。
ここにある丸い壁画、恐らく聖戦図なんでしょうけど、「翼を生やし剣と盾を持った女神の足元に、角の生えた獣(魔神?)がひれ伏している」って図柄です。
メリオダスが、かつて「エリザベス」は魔神の軍勢を改心させたと言っていましたが、そのエピソードも人間の間で伝説化していたりするのでしょうか。
つーか。「安全な場所」にリオネス城内を選ぶってことは、ギルフロストってリオネス王国の縁者なんですね。それも かなり内部に食い込んだ? - その時、地響きと共に激しい横揺れが襲った。
「お… おい まさかこれって」バランスを崩しかけたハウザーが顔色を変える。
浮かぶキングは揺れの影響を受けないが緊張した視線を巡らせ、バンはエレインを腰に引き寄せた。
「バイゼルでの戦いの余波が ここまで届いている」
揺れの中に平然と立ってゴウセルが告げる。背負われたエスカノールは激しく揺さぶられても目覚める気配は ないようだ。 - 息を整えたギルフロストが恐ろしげに言った。
「<十戒>は目醒めさせるべきではなかった…!!」「奴らは もはや天変地異そのものと言って過言ではない!!」 - 「……」
無言で俯いたヘンドリクセンを、幼いグリアモールが きょとんと見上げている。 - そんな様子も目に入らずに、エリザベスは、ただ愛する人の身を案じていた。
「そんな… メリオダス様は…?」 - ギルフロストは手の中に水晶玉を取り出している。
「だからこそ戦慄を禁じえません…」 - 「え?」
エリザベスは気付いた。水晶玉の中に影が映し出されていることに。
それは、落下していくメリオダスの姿だ。魔神の文様を肌に滲ませた彼の周囲には、大量の鮮血が飛び散っている。
……しかし、彼の血ではない。 - それは巨魔神の血。燃える岩塊群と共に落下したメリオダスの剣に斬り裂かれ、肩から腰までをパックリと開かせた、哀れなドロールの。
「メリオダスの勝利です」
ギルフロストが試合終了をコールした。 - 次回「闇は降り立つ」
うわー。
マジに、「もうメリオダスとエスカノールの二人だけ いればいいんじゃね?」という揶揄通りの展開になってしまいました。
なんか、燃えないなあ。
一応、ドロール&グロキシニアも色々攻撃はしてるんですけど、メリオダスに全然通じてるように見えないのが、また、盛り下がる要因ですね…。
シャツが破けただけで、血も出てない、顔も腫れない。一瞬たりともピンチになったように見えなかった。
灰色ヘンドリクセンと戦った時の方が、よっぽどボロボロになっててハラハラ展開だったってのは、流石にどーなのか。
作者さんの中で、メリオダスが強くなりすぎたんじゃないですかね? 「最強」エスカノールより弱く見えないようにしたいがために。
強い主人公はかっこいいけど、強すぎる(ワンマンすぎる)主人公は面白くないよう。
仲間をも欺いて隙を窺わなければ勝てなかったとメリオダスは言いましたが、こんな圧倒的に<十戒>二人をボコボコにしといて、何言ってんだって感じです。いきなり戦っても普通に勝てたようにしか見えませんよ。
…うーん。
第二部に入って一年半。<十戒>の半分近くが倒された現時点で、マトモな戦力は未だメリオダスとエスカノールだけ。
「他メンバーが多少活躍するも<十戒>には敵わず、エスカかメリオダスが出てきて圧倒的強さで一方的に倒す」パターンが二回続いちゃいました。
今まで、てっきり<大罪>全員が<十戒>に対抗できるレベルに強くなるんだと思い込んでいたけれど。
あれ? もしかして、そうじゃなかったのかも…?(汗)
このまま、他キャラが善戦するも敵わずエスカかメリオが出てきて倒すパターンが、最後まで繰り返されるんじゃ…?(゚Д゚;)))
ラスボスには流石のメリオダスも苦戦して、恒例の「みんな、オラに元気を分けてくれ」をやって、マーリンが言ってた通り全員の闘級を合計して凌駕したから勝てたよ☆雑魚でもお手伝いできた☆仲間って素敵だね的に終了。実質戦ったのはメリオダスだけどな! ……みたいなオチに…なったり……。
……はっ!
いかんいかん、ガッカリし過ぎてネガディブになってしまいました。(;'∀')
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今回のメリオダスの「敵に意図を悟らせないため仲間にも真意を伝えない。それが作戦」という言い分は、『エジンバラの吸血鬼』での「敵に手の内を読ませないため作戦は立てない。作戦がないのが作戦」という言い分と、よく似ています。
彼自身がチート級に強く、どう転ぼうとゲーム盤をひっくり返せるからこそ成り立つ、大ざっぱな「自称・作戦」。
つまるところ、彼は王国騎士時代から、仲間と密に意思を伝えあうことをしてこなかったのです。
「キミは本当に味方なのか」とキングに
その直後に、
あるいは、<十戒>を攻撃することで「自分は味方だ」とキングにアピールする意図だったのでしょうか?
けど。「仲間として信頼できるか見ている、裏切るな」と言われた直後に、仲間の誰にも相談せず、こんな取り返しのつかないことを独行するなんて。
私には、仲間を軽んじた、「信頼」を蹴飛ばした行為だと思えました。
なので、キングへの腹いせでやったのかと、当時 素で思った(苦笑)。
仲間が大事だと謳いながら、メリオダスは「仲間に事前に相談・連絡する必要がある」とは思っていないと、現時点では結論できます。
好き勝手に やらかした後で、こういうつもりでやったと報告だけはするけれど。
「信じてもらえると思えないから<十戒>との関わりを説明しない」という言い分もそうですが、そもそも、メリオダスの方が仲間を信頼していないように見えます。
…いや。そうではなくて、「対等な存在とは見ていない」と言うべきでしょうか。(年齢と闘級にこれだけ差があれば、仕方のない感覚なのかもですけど。)
彼にとって仲間とは、自分の下にいて、気が向いたとき一緒に酒を呑んで遊んだり可愛がったりする存在。弱くて取るに足りない、さして頼りにはできない、けれど心の慰めとしては有用な、子供かペットみたいなもの。(でも、特に保護はしない。放し飼い的。)
そんな風に見えます、現時点では。
酒を呑んで楽しく語らうだけの遊び仲間なら、意思を伝えあう必要なんてないでしょう。
でも、仮にも、責任を負って一つの目的を果たす仕事仲間です。
必要な情報も秘匿し、重要なことは連絡・相談せず、それでいて度々 仲間を巻き込んで独断専行するのは、普通に「信頼を損なう」行為だと思うんですけどね。
この漫画では「カッコいいこと」だと定義されてるっぽいんだけど。
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仲間たちとメリオダスが離れ離れになった件。
いいことじゃないかなと思いました。
多少修業して埋められるほど<十戒>とのレベル差は小さくなく、いるだけでメリオダスの足を引っ張ってしまう。
そうハッキリ語られてしまった以上、メリオダスに金魚の糞してても無意味です。
しばらく<十戒>と直接戦うのはメリオダスとエスカノールに任せて、そのあいだ他メンバーは、できることを「自分の頭で」考えて、それぞれ動いた方が建設的じゃないでしょうか。メリオダスに盲目的に従うんじゃなくて。
第二部当初から不思議だったんですが、一般人を守る方策が一切取られていないように見えるのが気になってました。ドルイドの聖地みたいな結界を作って、一般人を隔離・避難させた方がいいんじゃないですかね?
このまま、弱い人々が魔神のエサになり続けていくのを放置するのは、気分がよくないです。彼らは魔神が復活したことすら知らされていないのに。
161話辺りの扉絵の煽り文で「(<七つの大罪>が)世界を救うために(集結した)」みたいなテンプレ的なことが書かれてたけど、団長が意図的に一般人を魔神のエサにしといて、世界を救うも何もないだろと思ってました。
そろそろ、仲間たちが主人公の「やらかしちまった」ことをフォローして、一般人を守ってあげてもいいのでは。
……って思うけど、リオネス王城に転送されちゃったんで、そうも言ってられなくなるんでしょうね。
ゴウセル討伐作戦を携えたギーラが、ちょうど王都に戻る頃合いのはず。
ギーラはゴウセルを庇ってくれそうなんで、大したことにならないかもですが。話の転びようによっては、バン・キング・ディアンヌ・エスカノールら他の<大罪>も、とばっちりを受けて、再び聖騎士に追われることになりかねないのかも?
そして、ヘンドリクセンは、ちゃんと王の前で謝罪できるんでしょうか。
なんか、わんぱく三人組が「ヘンディおじさんは可哀想だから悪くない」ってやりそうな気もしますが、一人前の男なら自分でケジメはつけないとですね。
<蒼天の六連星>のドゲッドさんは、王都決戦で親友を殺されたという。そういう聖騎士は、きっと沢山いますよね。メリオダスやジェンナは「仕方なかったんだから許してやれ」と言うけれど、そんな簡単に許容できることなのか。
とは言え、ちゃんと謝れば、バルトラ王は聖騎士たちがヘンディに個人的な制裁をするようなことはさせないんじゃないかと思います。けど、どうなるでしょう。
一刻を争ってゾルとデラの治療に行かなきゃですし、バンの神器もそろそろ返却されて いい気がするし、アーサーとエスカノールとスレイダーはキャメロットへマーリン救出に行きたくなるだろうし、フラウドリン辺りが来そうだし、シルバーが鎧脱ぐか気になるし、やること満載で、どうなるか楽しみです。
またバラバラになっちゃうんでしょうか。
…そして、ホークママはどうなったのか(笑)。
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ドロールとグロキシニアの過去の件。
グロキシニアは「信じていた奴らに裏切られ、自分の命より大切なものを奪われ」たという。
第169話で
「自分の望みを叶えるためならば どんな残酷なことでもやる」「…キミら人間は 元々醜い種族でしょう?」
と言ってましたから、彼を裏切ったのは人間族の一部なのだと思います。
不老不死になりたい人々が泉を守るゲラードを襲撃したとかでしょうか?
ドロールは「(最強を目指す戦士の)誇りをズタズタに踏みにじられた」という。
ディアンヌ外伝を参照するに、巨人族は戦いと誇りのために生き、正々堂々・全力の立ち合いを好むようです。
それを踏みにじられたということなら、騙し討ち的なことをされたんじゃないかなと思いました。
メリオダスが言った「そっちへ行ったらお終い」の「そっち」とは、「魔神族陣営」の意味だけではないですよね、たぶん。
「心のあり方」の問題なんだろーなあと。
第一部の王都決戦時、ヘンドリクセンは言いました。コンプレックスや怒りといった「負の感情」が魔神の血に反応して魔力を生み出すと。
メラスキュラによる
魔神の力とは「負の感情」に結びついて大きく発現するものらしい。
なので、魔神の力に憑かれたとき(殺されたか瀕死だったんじゃないかと妄想します)、グロキシニアやドロールは、激しい怒りや憎しみを抱いていたのではないでしょうか。
そのため、その感情が増幅されて、魔神化以前よりも残忍な性格に変わったのでは。ギーラやジェリコたちがそうなっていたように。
メリオダスはそれを指して「そっちへ行ったらお終い」と言ったんではないかと思いました。
グロキシニアは、元は、もっと優しい性格だったのでは。大勢を いたぶり殺して嗤うような奴ではなかったんじゃないかと。
ドロールは、元は曲がったことの嫌いな誇り高い性格だったのでは。人質を取って脅すなんて最低なこと、かつての彼なら一番嫌うことだったんじゃないでしょうか。
……という妄想。
ちなみに、メリオダスの魔神の力と結びついた「負の感情」は、「怒り」ですよね。
彼はその感情をコントロールして、魔神の力を使いこなしている……ことになっている。ギーラが、ゴウセルのコントロールで魔神の力を保持したままでいるみたいに。
メリオダスは、正面から戦うと負けるから、グロキシニアとドロールの隙を窺っていたと弁明しましたが。
もしかしたら旧友を倒すことに、ほんの少し ためらいがあったのかも、だから なかなか攻撃開始しなかったのかも、と思ってみたりもしました。
元々の二人の性格を知っているから、そこまで酷いことはしないんじゃないか? 手を止めてくれたりはしないか? と、無理とは悟っていても、どこかで期待していたのかも。
けど、ドロールが人質を取ったとき、これはダメだと完全に見切りをつけたのかもしれません。
妄想酷いですね。
さて。
闇に心が堕ちてしまった かつての友を倒したメリオダス。
その姿を見て、キングがヘルブラムを殺したエピソードを思い出しました。
グロキシニアたちは、信じていた相手に裏切られたり、大切なものを奪われたりしたために闇に堕ちたのだという。
同じような経験を、<七つの大罪>のメンバーたちもしています。
キングは、命より大切だった親友・妹・一族や故郷を失った。
バンは、命より大切になったエレインを殺され、冤罪で何度も処刑された。
ディアンヌは、マトローナを騙し討ちされたうえ、罪を着せられて処刑されかけた。
エスカノールは、両親に裏切られて国を追われ、人々に忌避され続けてきた。
そしてメンバー全員が、10年前にザラトラス殺害の濡れ衣を着せられ、殺されかけ、逃亡生活を余儀なくされました。
みんなそれぞれ、怒りや憎しみや虚無感に囚われましたし、時に闇堕ちの淵ギリギリを彷徨ってもいます。キングはバンに復讐しようとし、ディアンヌはリオネスの王女を憎んで拒絶し、バンはメリオダスを殺そうとしました。
けど、彼らは堕ちなかった。
絶望に襲われても「こっち」に踏みとどまり、「誰かを守る」心を忘れなかったです。
3000年の時を経て、闇堕ちした かつての仲間と対峙することになったメリオダスが集めた新たな仲間たちは、闇に堕ちない心を持つ連中でした。
魔神と戦うメンバーとしてバルトラ王が彼らを予知・指名したのは、戦闘力が高いからというだけの理由ではなかったのかもしれないですね。