【感想】『七つの大罪』第167話 キミの中の大切な
週刊少年マガジン 2016年17号[2016年3月23日発売] [雑誌]
第167話 キミの中の大切な
- 「う… くっ」
キングを手に庇い、転がったまま呻くディアンヌ。
ズシャッ ズシャッ と足音を響かせながら、大股に土人形 が近付いてくる。 - どうにか半身を起こした少女に、手の中のキングが
狼狽 えて訊ねた。
「ディアンヌ…ゲホッ…どうして…」「どうしてオイラを庇ったんだ」 - 痛みに強張る顔でディアンヌは微笑ってみせる。
「えへへ… だって 今日初めて出会った男の子が危険を顧みずに命がけでボクを守ってくれている」「これって…普通じゃないよね?」
手の中の少年をじっと見つめた。
「…ねぇ ハーレクイン キミはボクにとって どんな存在なの?」「キミにとって ボクはどんな存在なの…?」 - 「…………」「ディアンヌ……………」
言葉に詰まるキング。答えを待たずに、ディアンヌは、ス… と彼を優しく床に下ろした。
「だから――…」
勇ましく立ち上がり、幾つもの両手印を高速で結び始める。
「この戦いが終わったら教えてね!!」
◆死亡フラグ?(違います) - 最後にワッと両腕を広げると、床から二体のゴーレムが生まれいでた。
”双子の巨像 !!”
岩を積み重ねた不格好な人形のような それは、彼女が幼い頃から作り続けた馴染みの友達だ。左目が丸く開いて笑っているように見えるのがフィレ、細目でムッツリしているように見えるのがロース。 - 「ほう…」巨岩の上から
円舞台 を見上げるドロールは、軽侮の息を漏らす。「我が代理 に土人形 で立ち向かうつもりとは」 - 「ぶっとばせ!!!」
ディアンヌの号令で、二体のゴーレムは一斉に突撃した。土人形 の方も呼応して突進してくる。 - 三体のゴーレムが激突! するかに思えたが。
土人形 はカポエイラのごとき舞踏格闘のリズムで動き、まずは手刀一発でロースを分断、流れる動きで片手を床につくや、下半身を勢いよく振り出す蹴りでフィレを容易く砕き折った。
首から折れてゴロゴロと転がった二体の頭すら踏み砕き、しまいにグリッと踏みにじる。そこに容赦は感じられない。
◆ドロールは、激昂するガランを宥めたり、口調が丁寧で常に穏やかな態度だったりと、理知的・紳士的に見えていましたが、魔神らしく凶暴・残酷なのだと窺い知れる場面でした。怖っ。 - あっという間に虎の子を壊されて、ディアンヌは両手で頭を抱えて「にゃーーーーっ」と喚いた。
「えーーーーーー!? なんで? なんで!? どーーーして!?」「同じ土人形 で全然 強さが違いすぎる!!! ズルイズルイ こ… こんなの反則だよう!!!」
たちまちパニックに陥り、子供のように涙が滲んでくる。
◆予想外のことが起きた時、キングが頭抱えて「ノォーーッ」と叫ぶのは定番。そしてディアンヌは、頭抱えて「にゃーーっ」って叫ぶんですね。
似た者同士?
知らずのうちに、ディアンヌがキングに影響受けてるのなら面白い。 - 「……言いにくいけどディアンヌ…… ごほっ」
血にむせながら、足元からキングが声を掛けてきた。
「<十戒 >の魔力は…桁違いに強すぎる!!」
ディアンヌは半泣きの顔で確かめる。
「つ…つまりボクの土人形 じゃ 歯が立たないってこと?」
「…いや土人形 の性能を決める要素は もう一つあるんだ…」
痛みに冷や汗を流しながらも、彼は易しく説き始めた。
「フィレとロースは 長い間 独りぼっちだったキミが作り出した想像の友達――だよね?」
「!」「ど… どうして そのことを?」
「でもね ディアンヌ フィレとロースは実在しない友達…」「具体的なイメージがなければ土人形 には完全な体と強さを与えられないんだ」
体のふらつきをこらえ、励ますように語気を強める。
「キミが今 心から信じるものなら なんだっていい…」「強く心に思うんだ それが土人形 に形と力を与える!!!」
◆キングとディアンヌの幾つもの関係性の一つに「教師と教え子」という要素があります。ディアンヌが幼かった頃も、<大罪>の仲間として任務に当たっていた頃も(『エジンバラの吸血鬼』)、キングがディアンヌに ものを教え、彼女がそれを吸収する様子は、繰り返し描かれてきました。
私、その要素が好きなんで、今回のお話でも見られて嬉しかった。
マーリンの陰に隠れがちだけど、キング先生も相当な物知りだなと思います。教え方 解り易いし。
ところで。
ゴーレムって、信頼・愛情を持てる実在物をモデルに造ると性能が高くなるんですか。
グロキシニアが(恐らく彼にとって大切な人物だったのだろう)ゲラードを模した花人形 を作って戦わせてたの、悪趣味だなあ、心根が歪んでるよ、なんて思ってたんですが。ちゃんと理由があって、この世界では むしろ教科書的な行動だったんですね。(^_^;)。
……あれ。つーことは、自分をモデルにした土人形 を作ったドロールはナルシスト…もしくは、信頼できる相手が一人もいないってことですか?
ドロールの顔を隠してる面布って、元は死者の顔に掛ける布で、戦場で死んで掛けられたのかも、と想像していました(血で汚れてるので)。あまり いい死に方をしなかったんでは、とか。元ネタの神話と近いことが3000年前に起きたのなら、身内に片目を潰されて敗死したのかもですね。
キングが花人形 を作るなら、ディアンヌそっくりの むっちゃ強い奴になるのかな。バンやメリオダスなど<大罪>の人形も強そうです。エレインの人形は、戦わせる目的では作らなさそう…。ヘルブラム人形を作ったなら少し切ない。 - (ボクが今――)(心から…… 信じるもの)
目を見張ったディアンヌの背後に、土人形 が駆け迫っていた。
「…やってみる!!」
少女は高速で複数の印を結ぶ。
”土人形 ”!! - 波打つ床から立ち上がる複数の影。何を感じたか、
土人形 は突撃の足を止めて様子を窺った。 - 土煙舞うなか、現れたのは四体の
土人形 。エリザベス、ホーク、マトローナ、メリオダスと、全て彼女の身近な存在を模している。 - 「わ… わわっ やったね!!」
ぶっつけ本番で、こうも上手くいくとは。少女の才能にキングは瞠目した。 - ディアンヌは得意げな笑顔である。
「どぉどぉ? ちょーーっと細かいところは適当だけど 大きさとか!」「ボクの大切な友達を思い浮かべたんだ♡」 - なるほど、
土人形 たちは よく出来ていたが、少しずつ本物との差異がある。彼女の中のイメージに左右されたのだろう。特に縮尺 は、本物とは違うし、統一されてもいない。 - マトローナゴーレムは現在の人間風の服ではなく、ディアンヌにとって馴染み深いのだろう、以前の巨人族の毛皮服を着ている。
縮尺 は本物の2/3くらい。 - エリザベスゴーレムは、
巨大蛭 から救ってくれた件が印象的だったか、勇ましい表情で堂々と仁王立ちしている。本物より大きい。 - ホークゴーレムは、足元で ちょこまかしている印象が強かったのか、本物よりずっと
縮尺 が小さい。ちょうどエリザベスゴーレムの手のひらに乗るサイズだろう。 - そしてメリオダスゴーレムは、初めて出会った16年前の服装で、エリザベスゴーレムより少し大きく(本来はエリザベスより10cm背が低い)、果ては頭身も高かった。本物は12、3歳程度の外見だが、17、8歳程度に大人びて見える。
- 颯爽としたメリオダスゴーレムを見て、キングの顔がムッと曇った。
(…悔しいけど やっぱり団長はディアンヌにとって特別なんだな…)(実物より頭身高いし)
記憶を失ってなお『大切な友達』の一人に数えられている、というだけではない。彼女の中で美化されてさえいる。自分なんて、今は『友達』ですらないのに…。 - 落ち込みかけたキングは、立ち込めた土煙の向こうに もう一つ影を見つけて(ん…?)と目を見開いた。(んん?)
土煙が晴れていき、次第に形が見えてくる。 - 「オ…オイラ?」
キング自身の等身大で、実物より大きなメリオダス・エリザベスゴーレムらに比べれば明らかに小さいが、確かに自分だ。ぽや~っとした うすら間抜けた半笑い顔で、いかにも無能そうに突っ立った姿であるものの、間違いない。 - 「ディアンヌ… どうして?」
自分のゴーレムを指さして、思わず、うわずった声で訊ねていた。
彼女が恋うてやまなかったメリオダスや親友のエリザベスらに比べれば、自分の存在は遥かに小さい。彼女の心に存在すらしていないのだと諦めかけていたのに。 - 「ん? どうしてって――」ディアンヌはきょとんとして笑う。
「キミも大切な友達だからに決まってるじゃない」 - じ~~んと胸が震えて、キングの目から ほろっと涙がこぼれた。
「オイラ… 生きてて よかった」
そう、たとえ彼女の自分へのイメージが、間抜け面で無能そう、というものであったとしても。
「すっごく弱そうだけど…… すっごく…うれしいよ」 - 「泣くほど感動することなのかな…?」
ディアンヌは困ったように笑った。
◆キングゴーレムが間抜け面なのは、ディアンヌが彼を そう認識しているから?
そうは思いたくな~い! メリオダスは本物よりカッコよくなってるのに、流石にキングが可哀想です。
アレは「お人好しそうな優しい顔」をイメージしていたのだ。その細部を再現できなくて間抜け面っぽくなっちゃっただけだ。
…と、思っておきましょう…。 - 様子見は終えたか、
土人形 が襲いかかってきた。
その拳を率先して止めたのはエリザベスゴーレム。(キングゴーレムは、ぽけっ と突っ立ったままでいる。)
なんと、両手のひらで受け止めて、その力に耐えている。 - 「おお!」と、キング。
今度の土人形 は上々だ。一撃で砕かれたフィレ&ロースとは違う。それはともかく、エリザベスの姿をしたものが怪力を発揮する様子は、見た目に違和感多大だが。
「エリザベスすごーい!!」と、ディアンヌは無邪気に歓声をあげている。 - エリザベスゴーレムは
土人形 の手を掴み、グンッと引き寄せるや、ガラ空きの腹に強烈な肘鉄を打ち込んだ。
ところが相手にダメージは与えられず、反対に自身の腕が肩から崩壊する。
「ああっ!」悲鳴をあげるディアンヌ。土人形 の無造作な腕の一振りで、エリザベスゴーレムの胸から上は粉砕されてしまった。 - その時ホークゴーレムは、後ろ足で ペシン と小石を蹴って、
土人形 の足先に コンッとぶつけて「プゴー」と鳴いていた。 - 一方、すかさず攻撃を繋げたのはメリオダスゴーレムだ。ジャンプして肩車のように飛び乗るや、
土人形 の頭を両手で滅多殴りし続ける。頭部が一部欠け、土人形 はグラッと体を揺らがせた。 - 思わず声援を送るキング。
「シャクだけど いいぞ団長!! やれやれー!!」
◆あれ? キング、ケンカして以来メリオダスを「団長」と呼ばなくなってたのに、シラッと団長呼びに戻ってます。(今回 二度目。)
仲直りしたら団長呼びに戻るのかな、でも「メリオダス」と名前呼びするキングもいいなーと思ってたので、拍子抜けでした。
ディアンヌと再会したら、メリオダスとのケンカなんて どうでもよくなっちゃいました? キングさん(苦笑)。 - その時ホークゴーレムは、
土人形 の脛に ぺちっ と体当たりをかまして「プゴッ」と鳴いていた。 土人形 が剛腕を振るい、己の肩に乗っていたメリオダスゴーレムを一撃で破砕した。- 続いて攻撃を始めたのはマトローナゴーレム。本物に近い巨体で、
土人形 を左右の拳でガンッと挟み殴る。そのまま挟み潰そうという算段だ。だが土人形 は両腕を開き、マトローナゴーレムの双拳を、じわじわとながら押しのけていく。 - その時ホークゴーレムは、
土人形 の膝に タム! タム! と可愛いフットスタンプを続けていた。 - 「がんばれっ マトローナ!!」
続く力比べに、懸命に声援を送るディアンヌ。
ピシ パキッ と音が響き、土人形 の腕や胸に亀裂が走り始めた。 - しかし。
両腕はマトローナの双拳に耐えながら、土人形 が(膝にいたホークゴーレムをぽとっと落として)高く蹴りを放つ。その一撃で、巨大なマトローナゴーレムも粉砕されてしまったのである。 - 土に戻っていくマトローナゴーレムを踏み越えて、
土人形 が近付いてくる。
「く… なんて強さだ!!」
歯噛みしたキングの隣で「でも… かなりダメージは与えてるよ!!」と、ディアンヌは少しも へこたれた様子がなかった。
「それに大丈夫 ハーレクインの土人形 が残ってる!!」 - 「いやいや ダメでしょ!!」泡を食ってキングは まくしたてた。「勝てるイメージが全くこれっぽっちも 微塵も 思い浮かばないもん!!」
当のキングゴーレムはと言えば、相変わらずの半笑いの間抜け面のまま、動く様子すら見せず立ち続けている。
どう見ても、すっごく弱そうだ。そもそも、ここに至って動いてすらいないではないか。ダメだ、絶対 役に立たない。
◆モデルと同じく「怠惰」で「遅れてきた男」なんですね。 - それ目指しズン ズン と歩み寄った
土人形 は、二対の剛腕を振りかぶった。容易く破壊される様が想像できて、キングは焦って言葉を続ける。
「早く別の土人形 を作っ」 - その時。キングゴーレムが動いた。
ドゴン
轟音一声。土人形 の胴には巨大な穴が開いている。キングゴーレムが目にも留まらぬ速さでダッシュ、拳一つで懐を貫き、投げ槍のごとく全身で突き抜けたのである。 - ドドドドドッと、
土人形 は雪崩うって砕け散り、キングゴーレムは無傷で タンッ と着地した。どんっ と床を踏んで身を起こせば、元の、一見して間抜けで弱そうな昼行燈 に戻っている。 - その時ホークゴーレムは、無傷でキングゴーレムの足元に立っていた。何故かドヤ顔の雰囲気で。
- 「・・・」「う…うそ」
絶句するキングの隣で、ディアンヌは得意満面に はしゃいで胸を揺らした。
「ホラホラッ」「すごーい♡」「わーい」 - 「…おもしろい余興でした」
バンザイして喜ぶ少女を大岩から見上げ、ドロールが抑えた声音で呟く。
「審判… コールを」
「はい!」ビクッと震えて従うタイズー。 - 「ディ… ディアンヌ キミのイメージはどうなってるの?」
円舞台 の上では、自分似のゴーレムを眺めつつ、キングが戸惑いを吐露している。
「オ… オイラ こんなに強くないけど……」
今日だって、自分ではキミを守れなかったのに。 - 傍らに膝をついたディアンヌは目を瞬かせた。
「そうかなーーー?」
ニコッと微笑む。
「ハーレクインは すっごく強いよ!!」 - 「勝者――――キング&ディアンヌ
組 !!」
試合終了のコールが響き渡った。 - 次回「<十戒>殲滅計画」
第一印象「なんか すごく弱そう~~」が「ハーレクインはすっごく強いよ!!」に変化。
よかったね、キング。
ただし、えらく間抜け面でイメージされてるけど……。(え、本物そのままの顔? いや、本物はもうちょっと顔が締まって……もうちょっとくらいは……。)
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ホークゴーレムが、すんごく可愛かったです!!
この豆粒っぽい ちびっこさ。役立たず感。最後まで無傷で残ってる しぶとさ。ドヤ顔の ちゃっかり感。
かっ…かわいいんじゃ~~~!
本筋と関係ない、コマ隅のホークゴーレムちゃんの活躍を読み返すだけで、一話で二度おいしい気分でした。
ところで、ホークゴーレムって何気に超性能じゃありませんか?
本物そっくりに「プゴッ」とか鳴いてます。
この漫画でゴーレムが声出してるの、初めて見ました。
ディアンヌが この技術を極めれば、会話できるゴーレムを作るのも夢じゃない?
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メリオダスゴーレムが、本物より頭身高くてカッコよかった件。
ディアンヌは「大きさとか細かいところはちょーっと適当」と言ってましたから、ウッカリそうなっただけかもしれません。
それでも、他のゴーレムたちが、縮尺的な大きさは狂っていても頭身は変わっていないのを見ると、これがディアンヌのメリオダスへのイメージなんじゃないか? 美化して認識されているのでは? と思えてきます。
まさか、今のディアンヌもメリオダスに恋しているのでしょうか。
年頃の女の子が、異性を本物よりカッコよい容姿にイメージするのは、一般的に『恋愛フィルター』の仕業と判断されると思うんです。
ディアンヌが記憶を取り戻してからというもの、キングがこんなに好きなのにとか、メリオダスへの想いは「叶わないこと前提」の疑似的なものだったとか、そもそもハーレクインへの想いと混同して始まった錯覚の恋だったなどと語られてきました。
そして大迷宮でメリオダスと再会した際、彼がエリザベスにセクハラしても全く怒らなかった。なので、今のディアンヌはメリオダスに恋していないんだなと思っていたのに。
それでもやっぱり、ディアンヌはメリオダスに恋してる……少なくとも特別な好意を抱いていて、恋の入口にいる、のか?
ディアンヌが記憶を失ったことで、「メリオダスに恋してる」のではない、プレーンな状態の彼女と「はじめまして」から二度目(三度目?)の恋ができるんだと思ってたので、なんだかガックリしてしまいました。
まあ、これも愛の試練か…。
今のメリオダスとキングは、ディアンヌにとって「出会ったばかり」「危機を助けてくれた男の子」という意味では同等です。
今度こそキングを選んでほしいです。
出来ることなら、記憶が戻るより先に。
頭を打ったりゴウセルが術を解いたりで記憶が戻ったとして、その途端、それまで友達扱いしてたキングへの態度が「恋愛的に好き♡」にコロッと変わっちゃったら、馬鹿馬鹿しいにもほどがありますよね。
それこそ、ゴウセルの言う通り、愛も(書き換え可能の)記憶に左右されるものでしかなく、人の心や感情は、記憶に踊らされているってことになる。
そう、おぼろな記憶しかなかったディアンヌが、それに惑わされて、メリオダスを「ずっとキミを好きでいる」と言ってくれた男の子だと勘違いして好きになってしまったみたいに。
個人的希望では、まずはキングを恋愛的意味で好きになってほしいです、新しく。(今はまだ「友達」の一人ですよね。「すごく強い」と信頼してくれてはいるけど。)
好きになってくれて、その自覚が鍵となって記憶が蘇る……みたいな方向だったら嬉しいんですけど。世の中ままならんもんですし、どーなるでしょうか(苦笑)。
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美化?されたメリオダスゴーレムを見たキングが
( やっぱり団長はディアンヌにとって特別なんだな…)
と思い、「友達」の一人に数えられただけで「生きてて よかった」と泣いちゃったのを見て、彼が可哀想でたまらなくなりました。
読者目線だと、ディアンヌもキングを愛してるんだから二人が結ばれるまで秒読み段階よね、と気楽に構えてたんですが。
でもキング自身は、そう思ってなかったのか。
ここに至ってさえ、ディアンヌはメリオダスに恋してると思ってて、彼女に(友達としてすら)愛される自信も なかったなんて!
この場面を見て、ハッとさせられました。
キングは、ディアンヌが「キングがいなくなったらボク寂しくて死んじゃう」とか「キングとの大切な記憶を取り戻した」と言ってたと、人づてに聞いてはいます。そこから、記憶が戻っていたと確信はしている。
でも、そうですよ。
キングは、ディアンヌが自分を『恋愛的な意味で』好きだってことは、まだ知らなかったんでした!
だって彼女は、一緒に暮らしていた頃も、記憶が戻ってデートした時も、とうとう「キミが好き」とは言わなかったんですから。
幼いディアンヌがハーレクインを慕ってくれていたのは確か。けれど、それは家族的な愛情に過ぎなかったのではという疑念を、今のキングが どうして否定できましょうか?
ディアンヌは「キミはボクにとって、キミにとってボクは、どんな存在なの? 戦いが終わったら教えてね」と言っていましたが。
考えてみたら、何を言えばいいんでしょ?
キミはボクにとってどんな存在?
→仕事仲間。キミが子供の頃に友達として同居していた時期もある
キミにとってボクはどんな存在?
→命の恩人。仕事仲間。唯一の恋の相手で守りたい人。ただし片想いで、キミはメリオダスが好きだった
これ以外言えないよーな。
だって、恋愛的には元々関係が成立してないし。そもそも、ディアンヌが自分をどう思っていたのか、今はメリオダスをどう思っているか、キングは知らないんですから。
恋愛に関しては とても奥手な印象のあるキングですが、実は言うべき言葉は結構ハッキリ言っていたりします。(ディアンヌが言わせてるとも取れますが。)
「キミを ずっと好きでいるし ずっと側にいるよ!!」とか「オイラなら絶対ムキになるよ!! そして一人でだってキミを助けに行く!」とか。今回も「キミに告白したいんだ」と、ほぼ告白そのものみたいな予告を済ませてましたね。
おかげでディアンヌは彼からの愛情を疑ってません。
対してディアンヌは常に曖昧でした。メリオダスへは開け広げで押せ押せだったのに。
なので、キングは愛される自信を全然持ててない。
王都を出る前、彼女は、自分の気持ちはキングに「伝わってると思い込んでい」て、彼が告白してくれた時も自分からは何も言わなかった。記憶が戻っても気持ちを伝えずにいた。だから今、すれ違っている。(彼は去ってしまった。)それをすごく後悔してると言ってましたが。
なんか上手くいくといいですね、今度こそ。
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ディアンヌ、やっぱ天才でしたね!
幼い頃から日常的に
そして今回も、ちょっとアドバイスを受けるや、
キングの強さを、彼の教えを信じたから、ディアンヌの力が引き出された。
とは言え、引き出された力は彼女個人のものです。キングは関係ありません。
フルパワーの
彼女の力が開花したのは喜ばしいことですが、ちょっと しょんぼりもしました。
キングは限界を超えて力を振り絞り、ボロボロになって、ようやく
出した力自体は、恐らくキングの方が大きいのでしょう。でも彼はそれをコントロールしきれず、自分の体を破壊してしまっている。
理由があるのでしょうし、将来的には改善するのだと思います。
しかし現状、結果だけを見れば、力を上手く使いこなしたディアンヌの方が上等。
彼女は「ハーレクインはすっごく強いよ」と言ってくれましたけど。
客観的には、キミの方が強いよ(^_^;)。
好きな女の子を守り切れず、逆に守られてしまった。
ディアンヌに「すっごく強いよ」と言ってもらえても、キングの気持ちは不本意の方が勝っていたかもなあと思いました。
彼の性格では「男のプライドが傷ついた」みたいなことは思いもしないでしょう。それでも、「全部守りたい」ひとですから。
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最後に。
今回のお話を読んで、懐かしの漫画『魔法陣グルグル』(衛藤ヒロユキ/スクウェア・エニックス)を思い出した人、手を挙げてー(笑)。
その漫画の序盤のエピソードに、以下のようなものがありました。
ククリという魔法使いの女の子(ヒロイン)が、修行場で試練を課せられます。具象気体という「イメージで実体を作れる魔法アイテム」を使って強い存在を作り、試験官を倒せというのです。
幾度もの失敗の後、彼女が自信満々でイメージしたのは、一緒に魔王を倒す旅をしている男の子・ニケ(主人公)でした。ククリは彼に恋していて、盲目的なほどの絶大な信頼を寄せており、普段から「勇者様」と呼んでいるのです。
具象気体から生みだされた「勇者様」は美化されていて、本物よりイケメンでした。でも本物と同じく小柄な少年で、一見して「弱そう」。
なのに、その「勇者様」はワケの分からん強さを発揮して、試験官をボコボコに。
というのも、ククリが「勇者様」を心から信頼していて、彼はすっごく強いのだと信じきっていたからです。具象気体で作り出される存在は、信じる心やイメージが強いほど、高い力を発揮するのでした。
今回の『七つの大罪』後引き文「信頼が、強さになる!!」「信じる強さが紡いだ勝利!!」にもピッタリで、ちょっと似てません?(笑)