【感想】小説 七つの大罪 ―外伝― 彼らが残した七つの傷跡
小説 七つの大罪 ―外伝― 彼らが残した七つの傷跡 (KCデラックス 児童図書第一出版)
『小説 七つの大罪 ―外伝― 昔日の王都 七つの願い 』に続く外伝小説の二巻目。
本編開始の8年前、<大罪>が王都を追われて2年後の夏を舞台にした、わんぱく三人組と三王女たちを中心にした物語。
前巻と同じくチラチラと<大罪>に関わる事物が見えます。彼らの活躍はありませんが、各章の冒頭に王国騎士時代の彼らの日常を描いた部分が僅かながら付いていて(ディアンヌだけは王都脱出まもない頃)、ファンには嬉しいサービスになっています。
今回も挿絵は全部、原作者本人。
構成自体は複雑なのですが、それを感じさせない読み易さで、前巻以上に軽く、サラッと読めました。面白かったです。
群像劇で、視点は複数の人間を行ったり来たり。マーガレットの侍女でハウザーの幼馴染みのグレイス(小説オリジナルキャラ、14歳)、ビビアン(21歳)、ハウザー(13歳)、そしてマーガレット(14歳)とギルサンダー(13歳)。
個人的な印象では、全体のメイン主人公はマーガレットで、終盤の戦闘関連部分のみギルサンダーでした。
ビビアン&使い魔に監視されたマーガレットとギルサンダーは、本当に辛い青春を送っていたんですね。
なにしろ、誰にも助けを求められない。
ギルサンダーは、ただむっつり冷たい顔で耐えてた感じでしたが、マーガレットは、妹たちや使用人に悟られれば巻き込んでしまうと気を遣って、そのうえで、心配かけさせまいと普段通りの笑顔を作って優しく接していて。凄く頑張ってました。
多感な時期にこんななんて、私だったら精神どうにかなるわ。
本編第一部の二人は病む寸前みたいでしたけど(ギルサンダーは心を殺し過ぎて過剰に冷酷になってたし、マーガレットは自虐・自傷的だった)、それも むべなるかなっていう。
物語の中心に三王女の「謎とき」があり、ラスト近くに わんぱく三人組の大掛かりな戦闘が用意されているのは、前巻と同じ。
しっかりした戦闘があるのは少年漫画のノベライズらしくていいですね。ギルとハウザーの合技、もう駄目だ、という要所でグリアモールが<
最も印象に残ったのは、やはり、ラスト近くのギルの独白です。
マーガレットとは言葉を交わすことも、名を呟くことも、近くで息をすることすら許されず、24時間監視され、憎いビビアンには心を殺して愛想をふりまかねばならず。
辛い境遇に疲れ果てて、何もかもを投げ出したい消えてしまいたいと、虚無的な気持ちに陥りかけていたギル。
彼は襲われたマーガレットたちを守るため、同情すべき敵(ヘンドリクセンとビビアンに魔改造され怪物化した、哀れな
そして、何より優先して守るべき人はマーガレットであると、かつてメリオダスの前で宣したことを思い出し、そのためには心を殺しても、鬼にしてでも、どんなに辛くても投げ出さないと決意するに至るのでした。
『辛くて苦しくて、誰にも頼ることができないときに唱えるんだ―― ”僕は<七つの大罪>の誰よりも強い”』
<七つの大罪>よりも強い。
それは、ただ、魔力や武力の
値 のことではないのだと思う。彼らはみな、万死に値するような<罪>を犯したと言われているが――それを乗りこえて、誰かを守ろうとしていた。
(それが、彼らの強さなんだ)
そしてきっと、自分自身も、それを身につけなくてはいけないのだ。
誰を傷つけても。
自分と同じように苦しんでる人を――例えばブランカのような人を、虐げることになったとしても。
(そうですよね、メリオダス――……)
ギルサンダーは、胸の奥でもう一度呟いた。
……というわけで、8年後のギル坊は、マーガレットを守るため、表向きヘンドリクセンの手先になり切って、バーニャの村を圧制で苦しめる大人になっていたのでございます。
ってのは置いといて。
「<七つの大罪>の強さとは闘級の大きさではなく、犯した罪に立ち止まらず誰かを守ろうとしていた、その心の強さだ」って解釈は、すごく胸に残りました。
以下、気になったこと、面白かったことを箇条書きで。
<七つの大罪>関連
- リオネス王国の北の山岳地帯のグラウ湖、その中心にある島に、リオネス王の離宮がある。(通称「北の離宮」)
三王女とギル、グリアモールは、とても幼い頃に一度滞在し、皆で遊んだことがある。 - 本編開始の12、3年前、この北の離宮に、<七つの大罪>が任務で10日ほど滞在したことがあった。
◆リオネス王や聖騎士長ザラトラスの依頼で、戦時中の糧食となり得る魔法の食べ物(木に実る果実の中にスープやらシチューが入ってたり、実が豚や魚に似てて焼けば食べられたりする、料理の果実。ドラえもんの秘密道具みたいですね)をマーリンが開発していたようです。
そのためだけに全員で来る必要はないでしょうから、それ以外にも任務があったのかもしれませんが、それは触れられてなかったです。(そもそも全員で来てない可能性もゼロじゃないけど。)
他のメンバーの休暇を兼ねての離宮滞在だったら面白いですね。大きな湖も自然もあるし、一番はしゃぎそうなのはディアンヌ、それを見守るキングかな。バンとメリオダスは地酒を堪能?
三王女の離宮滞在と重なっていたら、メリオダスとエリーのドラマもありそう。
余談ですが、マーリンが作った料理の果実の一つ、豚の顔の付いた桃って、『マガジンスペシャル』掲載の四コマ漫画で、ディアンヌが夢に見た「豚肉の味のする超美味でジューシーな桃」ですよね(笑)。アレは正夢だったのか。 - この滞在期間中、エスカノールはマーリンの滞在する塔の最上階の部屋を、外の城壁の上から夜毎に見上げつつ、切ない恋心を詩にして、それを書いた紙片を本に挟んで、王都のマーリンの館に置いておいた。(わざと?)
◆エスカノールの詩は吸血鬼の王イズラフには不評(?)でしたが、この離宮での詩は、<大罪>離散後に、ビビアンによって古本屋に売られた本から吟遊詩人の手に渡り、詩人は感動して曲を付けて歌って回り、その歌を聞いたマーガレットとギルは互いの境遇を重ねて感動して泣いちゃうという…。
あれ、実はエスカノールさん、凄い才能あふれる詩人でしたか。 - バンは仲間との賭け事に負けると料理を作らされていた。(離宮滞在時は、マーリンに負かされて、しょっちゅう料理を作らされた。ちなみに彼女はそれを「料理の果実」を開発する一環で作らせていた模様。料理する様子をゴウセルと共に見学してレシピと手順を記録していた。)
◆離宮滞在時は「仲間と賭け事をしてよく負けてい」たそうです。賭けに強いイメージだったので意外でした。…マーリンが強すぎるだけか。
一番弱いのは間違いなくキングですよね(笑)。遊びだとポーカーフェイス出来ないだろうから。(遊びでなければ出来そうですけど。)
しかし、もしメリオダスが最下位になったら、マーリンはどうしてたんだろ? 大人しく彼に魔界めいた料理を作らせたのでしょうか(笑)。 - 北の離宮でバンの調理の手伝いをした当時12歳の料理人曰く、銀髪・真っ赤な瞳・大男のバンは見た目は「恐ろしかった」が、「しゃべってみると結構気さくで面白い人」
- バン曰く、美味い料理を作るコツは、団長の料理と逆をやること。
『うちの団ちょ、ものすっげえ料理が下手なんだぜぇ♪』『どうやったらこんなゴミみてぇな味のもん作れんだよって聞いたらよぉ、なんて言ったと思う?』『食べる人の気持ちなんかいっさい考えず、自分の作りたいように作るとそうなる、だってよ♪ だから、美味い料理ってのはその逆をやればいいんだよ、わかったか?』
◆つまり、バンは食べる人のことを考えながら料理してたんですね。
彼は貧しい暮らしをしてたから、不味い料理を作って食材を無駄にするなんて、絶対やりたくないんだろうなあ。
ところで、仲間で賭け事をして敗者が料理を作るってのを何度もやってたなら、賭けに弱いだろうキングが料理を作らされたことも、一度はあったんじゃないかと思うんですけど。
(賭けカードをよくやってそうなのは、メリオダスとバン、それに引っ張り込まれるキングという印象があります。マーリンやゴウセルは強すぎるから基本は参加しない感じ。エスカノールは時間帯による?)
キングの料理は下手だって話が出ないところを見るに、特別美味くも不味くもない無難なものを作ったのでしょーか。 - 王国騎士時代のゴウセルは、あの鎧の巨人姿のままで闊歩。離宮でバンの料理手順をマーリンの命で見学・記憶した際は、体が大き過ぎて厨房に入れず、裏庭の扉から身をねじ曲げて半身を入れ、覗き込んでいた。
◆この分だと、鎧装着時は建物の中には入れないことも多かった?
ただし、マーリンの館(後のヘンドリクセンの魔術研究館)では鎧を脱いで、ちゃんと部屋の中に収まっていました。館にはゴウセルの私室があり、部屋中を占める本棚には美しい物語の本がぎっしり。そこで、日暮れから夜明けまで物語を読み漁っていたそうです。
ゴウセルは人形なので眠りませんが、表向き、マーリンの館で寝泊まりしてることになってたみたいですね。エスカノールはどう思ってたんでしょう? 嫉妬に悶えたりしなかったのかな。
ちなみに、マーリンの館には時折<大罪>たちが押しかけて酒盛りすることもあったそうです。 - 12、3年前の当時、リオネス城下ではクロスワードパズルが流行っていた。ゴウセルはパズルの面白さが解らない。パズル好きの人に横から答えを教えて恨まれたことがあり、どうして怒られたのかも解らなかった。
◆では、彼の好きな物語の本の結末を、彼がまだ読んでいる途中で横から教えたら、どう思うのかな。何も感じない? - マーリン曰く、ゴウセルは「演算能力」が高いので、パズルなど一瞥で解けて面白くないのだろうとのこと。
- マーリンに勧められてクロスワードパズルを自作。
◆キレイなパズルを作り上げてましたけど、本編では全くやっていないところを見るに、パズル作りにはハマらなかったみたいですね。 - リオネス王都にある、酒場や食堂が軒を連ねる「酔いどれ通り」。そこにある食堂「黒猫のあくび亭」に、王国騎士時代のキングはよく夕食を食べに来ていた。
しかし、この食堂には野良の黒猫が居着いていて、客の料理をよく掠め取っており、キングは いいカモにされていた。おかず(魚料理)を盗られて怒って追いかけ回すも、捕まえることができずに顔を引っ掻かれて悲鳴を上げ、周囲の客に笑われるのを繰り返していたと言う。(2年経っても女店主や客たちに覚えられていて、思い出話に出てきたくらい。)
◆バイゼル喧嘩祭りの際にメリオダスが語っていた、魔力を使わないキングは猫にも負ける、というエピソードの詳細が、ついに明かされました!
実はこれが、本書で一番の衝撃でした。(気になってたから…)
ただ、漫画本編とは矛盾もあります。そちらでは「昔 自分のおやつを盗ったネコと喧嘩して負けたくらいだ」と言っていたのに、こちらで盗られているのは おかず(魚料理)です。
メリオダスの記憶違い? もしや、彼は実は大食漢で、この程度のおかずはおやつの認識だとか?(笑)
なお、本編漫画のメリオダスは、キングが魔力なしで戦うのを見るのは、バイゼル喧嘩祭りで二度目だと言っていました。つまり、黒猫のあくび亭でキングが猫と戦うのを見たのは一度きりということになります。
ところが、当時のキングは、店の客たちに覚えられてしまうほど、何度も猫に料理を盗られていた。
つまり、メリオダスがキングと一緒に来て猫被害に遭ったのは一度だけ。彼抜きで、その後もキングはこの店に通って猫と戦っていたということになる。
他の誰かと一緒だったのでしょうか?
ディアンヌは体の大きさの問題で、当時は食堂へ行けません。そしてバンは、キングが猫にも負けることを知りませんでしたから、一緒に来ていないはず。ゴウセルは飲食しません。となるとマーリンかエスカノールということになりますが、キングがマーリンと二人で食事に行くというイメージはあまりないです。エスカールのことは少し苦手だったようなので、やはりあまりなさそう。ドレファスやヘンドリクセンと来ていたなら、2年後にハウザーがその話を店で聞いた時に話題に出そうなのに、それはありませんでした。
……というわけで。どうも、一人で食べに来てたことが多かったんじゃないかなーという気がするんですけど。
いつも猫に料理を盗られて引っ掻かれていたというのに、飽きず同じ店に来て、猫が狙い易いテラス席に座って、猫の好きな魚料理を頼んでた。
学習能力ないの?
いやいや。これ、あえてそうしてたんじゃないかな―。
男のプライドにかけて、猫に勝ちたかったのだよ、きっと!(笑)
勝負のつもりで、(メリオダスらには内緒で、)一人でせっせとこの店に通い続けていたのではないでしょーか。 - キングが「黒猫のあくび亭」で頼んでいたのは、白身魚の切り身と野菜の煮込みの上にチーズをとろりとかけた人気料理。
ちなみに、メリオダスが頼んだのはポークソテー。
キングの魚料理が来るや、メリオダスはすぐさま「これ、ウマイよなぁ」「いいじゃん、ちょっとぐらい。半分こしようぜ」とキングの皿の魚にフォークを突き立てようとしてました。
キング曰く、「やめてよ! これはオイラが注文したんだよ! 団長のポークソテーはまだ来てないだろ!」「そう言って、団長はいっつもごっそり持っていくじゃないか。オイラは豚肉はちょっと……とにかくこれはオイラの!」
◆仲いいですね。メリオダスは仲間と料理シェアするの好きそう。そして何気に横暴(笑)。
つーかキング、メリオダスに「いっつもごっそり」料理取られてたのか(笑)。猫に盗られるわ、メリオダスに取られるわ、大変ですね。
普段は果物を食べてるキングには小食なイメージがありますが、メリオダスは(ホークやディアンヌには敵わないまでも)マジに大食漢なのかもしれない。そして肉が好きそう。
もし本当にそうなら、当時のこの二人の食事風景見てたら、丸々太ったおっさんのキングがちょびちょび食べてて、小柄な少年のメリオダスが豪快にモリモリ食べてたりして、ビックリするのかもですね。
キングが魚料理を頼んでいたのはかなり驚きました。妖精族の彼は、食べられないわけではなくとも、基本的に肉や魚は好まないものだと思っていたので。他に選択肢のない時ならともかく、食堂でわざわざ注文するとは。
…いや、他に食べられそうなものがなかったのかな。この料理は魚がメインだけど、野菜が多くて、好物のチーズも入ってて、食べられる部分がそこそこあって気に入っていたとか。
で。魚はまだ食べられても、豚肉はどうしても食べたくないみたいですね。特に苦手なのかな。 - キングは猫におかずを盗られては引っ掻かれる醜態を繰り返しており、店の客たちに笑われていた。本人は聖騎士だと言っているが本当だろうかと疑われてさえいた。
ところがある日、店にタチの悪い酔っ払い客が来て、当時の店員の女の子を無理矢理外へ連れ出そうとした。凄い大男で刃物まで持っていたので、誰も何もできなかったのだが、キングがいきなりふわりと宙に舞い上がって、どこから取り出したのかも判らない大槍で、その男を床に縫い止めてしまったのだという。
それで人々は、彼は本当に聖騎士だったのだと納得した。
「ありゃあ、猫になんか魔力使うこともねぇってことだったんだろうな」
「それにしてもちょっと弱すぎだけどな」
「近頃見ないけど、どこか辺境任務にでも行ったかね」
「<七つの大罪>のひとりだったんじゃねぇかって噂もなかったか?」
「手配書のひとりに似てるけど、あんな凶悪な顔じゃなかったよ。いつもニコニコしていたし」
「そうそう。それに<七つの大罪>なら、さすがに素手でも猫には勝つだろう」
◆<七つの大罪>は、王国騎士時代も顔や名前は一般には知れ渡ってなかったんですね。
キングのライバル(?)だった黒猫は、<大罪>が王都を追われて2年後に、ビビアンによって合成獣 の素材にされて怪物化し、町に放たれて暴れたのをハウザーとグリアモールによって退治されてしまいました。
キングは永遠にこの猫に勝てなくなってしまったんですね。
ところで、この小説は<大罪>離散の2年後。キングが王国に舞い戻ってギルサンダーに匿われている様子はありません。
彼はいつ戻ってきて、ギルサンダーと行動を共にするようになったんでしょうか?
本編開始直前くらいなのだとしたら、それまでの10年間、どこで何をしていたのでしょう。
故郷の森が焼失したと知って、絶望していたはず…。この期間にオスローと再会したんだろうけど。どんな経緯で、憎い王国騎士の力を借りてまでバンを見張ろう、脱獄は許せない、いっそ復讐しようと思うようになったんでしょうね。 - ディアンヌは、王都脱出後、何度も聖騎士と戦いながら辛い逃避行を続けていた。体が大きくすぐ見つかってしまうため。
彼女曰く「わかるのは、自分たち<七つの大罪>が、誰かにハメられたということだけだ。それが誰なのか――もうそんなことはどうでもよかった。だって――それが人間というものだと思うから。」「人間なんかみんな、自分勝手でずるがしこくて、他人を利用することしか考えてなくて。そう、いつだってそう。いつだって。」
◆ディアンヌ外伝を読んだ後だと、彼女のキツい人間評は、無理もないものだとしか思えません。
そういや以前、本編第137話の感想で、王国誕生祭辺りの三月下旬のイギリスの気候は「まだ寒くて俄か雨が多いそうです。『大罪』世界では降らないのかな?」と書いたことありましたが、この小説では「春先のブリタニアは天気が不安定で、雨そのものは珍しくない。」となってて、しっかり降ってました。やっぱり降るんですね。ろくに雨宿りも出来ずに逃避行してたディアンヌは、辛かったろうな。 - 人間に不信を抱きながらも、大雨で川が溢れて下流の人間の村が巻き込まれるかもと思った時、ディアンヌは迷いに迷った後で、術で地形を変えて川の流れを変え、人知れず村を救った。
ところが、この地形の変化でそれまで通れなかった崖が埋まって通れるようになり、人間の猟師たちがそれまで入れなかった山奥に侵入して獣を狩るようになった。結果、ひっそり暮らしていた人狼 族が獲物を失って困窮し、人間の村に降りるようになって衝突。2年後に人狼 族は人間に滅ぼされてしまった。
◆この顛末をディアンヌは知りません。きっと、一生知ることはないでしょう。なんとも後味が悪い。誰かを守ろうとして、一つの種族(の里)を滅ぼす罪を知らずに犯していたなんて。
その他のこと
- ビビアンは精神侵入系の術が苦手。
魅了 の術をかけても、数日も維持できない。
◆だから、ギルサンダーの心を操ることはできなかったんですね。
……けど、数日維持できるんなら、それなりのことできそうだけど…。 人狼 の数は少なく、生態もあまり知られていない。メスは里からあまり出てこないので特に珍しい。
彼らは、昼はそれほどでもないが、満月前後の夜間のみ、かなり強くなる。人間の姿に変身できるが、完全な人型になれるのは一部のオスだけとも言われる。(実際は、メスにも完全な人型になれる個体がいる模様。)
<咆哮 >という種族特性の魔力を持ち、吠え声を聞かせることで獣や人間を操る。
◆漫画本編には「狐男 」が登場していますが、狼男 もいたんですね。狐男 のジバゴは完全な人間の姿になっているのに彼の息子は出来ないのは何故だろう、年齢に左右されるんだろうかなどと思っていましたが、この小説の人狼 の設定と同じならば、完全な人型になれる個体自体が少ないのかな。持って生まれた魔力の大きさに左右されるとか?- 毎年の夏至祭りは三日間続き、屋台や催し物で王都が賑わう。
<大罪>が王都を追われて2年後の夏至祭りに大きな見世物小屋がかかっていたが、裏で違法な品物の展示や売買もしていた。薬物、悪しき魔法具、呪われた宝石……。
その中の一つが妖精族の死体である。
◆ヘンドリクセンは、ここからヘルブラムの死体を購入した模様。
それらは「ブリタニアの国家間の商取引で、一般に売り買いしてはいけないと決められているもの」だそうで、この見世物小屋の取り締まりをして主人を逮捕した聖騎士デール曰く、もし噂通り妖精の死体が取引されていたら「事実だとしたら大変だ」だそうです。
妖精の死体や翅は堂々と流通されていたものではなく、法では禁止、それも「大変だ」と強いて繰り返されるほど強く禁じられていたんですね。そりゃそうか。表向き、妖精族とは不可侵の盟約を結んでたわけですから。(人間側からは殆ど形骸化してたけど…) - ヘンドリクセンは当初、複数の動物を魔界の術で融合させた「
合成獣 」をビビアンに作らせ、それに魔神の血を投与して魔神の力の移植実験を行っていた。しかし知能の低いモノを強くしても無駄だと考えるようになり、人狼 族のような知能の高い異種族で実験するようになった。それを経て、もっと強い力でなければと、聖騎士を使うことを考えた模様。
なお、「妖精の死体」に魔神の血を投与することも一瞬考えた。(すぐに考え直して実行せず。) - リオネス王は8年前の時点で、マーガレットとギルサンダーが苦境にあることを承知していたが、黙っていた。独り、密かに小声で呟くに
「マーガレット……今は辛いだろうが耐えてくれ」「儂にはわかる……きっといつか、お前もギルサンダーも報われる日が来る……<金色 の魔神>が、お前たちをきっと救ってくれる……」
◆……解せぬ。これ、ザラトラス殺害の真相も推測・承知してたってこと? 何でドレファス達の策謀に唯々諾々と従って黙ってたんだろう。いずれメリオダスが助けてくれると<千里眼 >で知ってたから、自分は動かなくても大丈夫だと思ってたのでしょうか?
あと、つまりリオネス王はメリオダスが魔神族だと、とうに知っていた? それとも「金色の魔神」が誰なのかは、具体的には解っていなかったのかな。 - ザラトラスはリオネス国王の腹心の部下で、古い友人だった。
- <
暁闇の咆哮 >が結成されたのも8年前。王命に従い三王女の陰からの護衛も行っていた。
とりあえずこのくらい。
追記。
書くの忘れてたのを思い出したので。
この小説の当時、エリザベスは8歳です。
12年前、4歳の頃は、前髪が短く切り揃えられていて、両目が露出していました。
ところが、今作の挿絵に描かれた姿を見るに、右側だけ垂らして右目を隠した、現在と同じ前髪の形になっています。
…なんとなくですが、<大罪>が王国を追われた日(この小説から見ると2年前)に、エリサベスの力が一度発現しかけて、そのせいで髪形も変わったのかもしれないな、と思いました。
現時点の本編で示唆された断片的な情報からすると、メリオダスが王都脱出する際、幼いエリザベスが大怪我を負っていたらしい、聖騎士たちから<大罪>を逃がそうとして。
今のエリザベスはそれを全く覚えていません。記憶を失うほどの怪我をしたってことでしょうし、その時、例の女神の使徒の力の片鱗を見せて、幼さゆえに
で、それ以来、右目を隠すようになったんじゃないかなあと。
妄想過多ですみません。