【感想】『七つの大罪』第129話 ドルイドの聖地
週刊少年マガジン 2015年30号[2015年6月24日発売] [雑誌]
第129話 ドルイドの聖地
- 巨岩の林立する荒野…ドルイドの聖地は森の際にある。いつもと違って半分だけ地面に潜ったホークママの背から降り立つ一行。
ホークママが半身しか潜っていないので、まるで小山のような高さです。メリオダスがエリサベスの手を引いて、エスコートしつつホークママの背から滑り降りていました。
今までママは完全に地面の下に潜って<豚の帽子>亭だけを外に出していたのに、今回はどうしたのかな? たまたま? - 巨岩の並ぶ辺りは そこそこの勾配の丘になっており、一行はそれを登っていった。
メリオダス曰く、10数年前に<七つの大罪>の任務で訪れて以来だという。 - 門の形に積まれた巨大な
支石 があった。「これも みんなドルイドが…?」と感嘆しつつ門を潜ったエリザベスは仰天した。潜る前は見えていた巨石群の景色はどこにもなく、初めて見る景色が広がっていたからである。
すり鉢状に抉れた大地の底に湖があり、その中央には島がある。島には奇岩にも見える巨大な尖塔と、巨大な切株のような岩山(?)があり、島から門までは、湖の中を一本の渇いた道が結んでいた。
この場所……何らかの巨大な力で出来たクレーターに水が溜まった? ちょっと気になる地形です。 - 慌てて振り向いてメリオダスを呼べば、「なんだ もう入り口が開いてたのか」と呑気な様子で門を潜って来た。
マーリン曰く、二つの場所を繋ぐ「転移門 」の一種で、通過には術者の許可がいるという。即ち、術者であるドルイド族は既にメリオダスらの到着を把握し、門戸を開いて待っていたのだ。 - 「その通りじゃ」「来ることは
先刻 承知していたぞ」
門と島を結ぶ道の途中、少し広くなった場所に、三人のドルイドが待っていた。
中央に立つのは筋骨隆々とした銀髪の巨漢。頑丈そうな杖を持ち、強面で、実に威風堂々とした風貌である。背は見上げるほどでバンやスレイダーより高そうだ。
その左右には、銀髪で黒ミニスカート服の少女と、黒髪で白ロングスカート服の少女が立っていた。共に小柄で背丈は同じ。12~14歳程度に見え、鏡に映したような左右対称の髪型で、雰囲気こそ違うが顔立ちもそっくりだ。先ほど声をかけてきたのは彼女らで、交互に「久しぶりじゃな」「<七つの大罪>」と続けた。 - 「何者?」と呟いたスレイダーに、「ドルイドの
長 だよ」とキングが答える。
「ほほう長とな!!」と、ホークが中央の大男に駆け寄って自己紹介を始めた。が。彼の豚鼻に容赦なく杖の先が突っ込まれ耳が引っ張られた。ムッとした様子の銀髪の少女によって。
「長は この私ジェンナ様と 妹のザネリじゃ!!」
ホークの自己紹介。「俺様はホーク!! <七つの大罪>の盟友にして師匠 残飯処理騎士団団長なんだぜ!!」嘘は一つも言ってないですね(笑)。 - こんなちびっこ共がドルイドの長なわけ!? と驚くホーク。エリザベスも戸惑っている様子。「んじゃ このオッサンは!?」と訊けば、大男はしかめつらしい顔から一転、「ボクは長たちをお守りする司祭テオだよ!」と、幼い口調であどけなく笑った。
「よう テオ! 随分でかくなったな!」
「うん! メリオダスさん もう15だもん!」
メリオダスとテオの会話を聞いて「詐欺!!!」と叫んでしまったホークとスレイダーなのだった。
テオくん、笑うとすごく幼い感じになって可愛いです。10数年前(3、4歳くらい?)は見た目も可愛らしい少年だったのでしょうか。司祭というからには、ドルイド族の中で才能エリートなんですね。
4歳の頃にメリオダスと会ったエリザベスは、それを覚えていませんでした。小さかったのだから無理もありません。なのにテオは、多分同じくらいの年頃に一度メリオダスと会っただけでしょうに、はっきり覚えてるんですね。里にいるドルイド族はあまり外界と交流しないらしいですから、外から来たメリオダスのことは印象深かったのかな。 - 銀髪のジェンナはホークが気に入った様子で、「この豚おもろいのう」と何度も耳を引っ張ったり、ヌイグルミにするように脇に抱えたり、杖の先で皿回しのようにくるくる回したり。客人たるメリオダス達の目を気にせず遊びに興じる態度は、浮世離れしているように見える。
「いつもより余計に回しております!」なんて囃しながら、ザネリと曲芸やってほしい。
それはそうと、やっぱり、豚が喋っても誰も驚きませんねー。 - 黒髪のザネリは姉に比べると落ち着きがあって口数が少ない。じっと見つめられて、エリザベスはどぎまぎしながら自己紹介を始めたが、途中でプイッとそっぽを向かれてしまった。
途中でそっぽを向かれるなんて失礼なことをされても、怒ったり不安になったりネガティブにはならず、「?」と不思議そうに戸惑うだけなのが、エリザベスの育ちの良さと言うか強さと言うか。いい子だよね。 - 「よう ザネリ! 相も変わらずお互いチビだな」と、メリオダスがいつになくフランクな様子で声をかけた。
「メリオダス また会えてうれしいぞ」
ザネリはメリオダスの左手(利き手)を両手で取ると、そっと自分の薄い胸に押し当てて目を伏せた。
「…っ!」とぎょっとし、見てはいけないものを見た、という風にさっと目をそらすエリザベス。
しかしメリオダスは、軽く、けれど毅然とザネリの手を振りほどいて、彼女の胸から手を離した。エリザベスにするように胸を揉むことはしない。そのうえ、もう腕を取られまいとするかのように、さりげなく両腕を組んで「再会の挨拶はさておいて」と話を変えたのだった。静かに沈むザネリ。
メリオダスの、ザネリからの逆セクハラへの拒絶っぷリが容赦なくて笑いました(笑)。特に、腕を組んで、もう逆セクハラされまいと防御してた辺りが(笑々)。痴漢してないことを示すために満員電車で両手を差し上げてる男の人みたい(笑々々)。
「やめろよ!」みたいなあからさまな拒絶は見せない辺りが、スマートなオトナの対応ですよね。
そりゃ、愛しい彼女(エリザベス)の前でこんなことされちゃたまりませんよね。エリザベスは表立った嫉妬を見せないけど、内側に抱えて傷付いちゃう子だから。(そしてザネリは、わざとエリザベスの前でやったんだろうなあ、彼女を傷つけるために。自分も傷ついたけど。女の業ですわ。)
メリオダスがザネリに「お互いチビだな」と言ってましたが。並んでる時の身長差を見るに、ザネリはメリオダス(152cm)より頭半分高いくらい。となると、キング(160cm)やエリザベス(162cm)と同じくらいか、少し低い158cm前後あたりかなと。数字の上ではエリザベスと大して変わらないですよね。となると、ここで言う「チビ」とは、背丈よりも顔立ちや体つきの幼さの方が主なのかな。 - 話を変えて、ここへ来た目的を説明しようとしたメリオダスに、お前たちが聖地へ来た目的はわかっておる、とジェンナは鷹揚に言い放った。「さすがはドルイドの長 助かる」とマーリン。
しかしスレイダーは「…話がトントン拍子でテンポについていけないわ」「私たちが来ることから 目的までわかってるなんて」と戸惑っていた。
「ドルイドは不思議な術を使う連中だから」とキング。ここでは手持ち無沙汰な彼は、ディアンヌを思い浮かべては心配している様子。 - ジェンナがマーリンに尋ねた。
「ところで マーリンよ さっきから あそこでつったっておるのは連れの者たちか?」
岩門からほんの数メートル進んだ辺り、メリオダス達からはかなり離れた場所に、アーサーとゴウセルは立ち止まったままでいた。こちらへ来る様子はない。
「行かないのか?」と、ゴウセルがアーサーの肩をつついて尋ねている。アーサーは気まずげに笑って目をそらし、「ゴウセルさんこそ…いいんですか?」と問い返す。ゴウセルは無表情に「只今 絶賛空気読み中なんだ」と返した。
ガラス玉のように透き通った視線の先には、冷ややかな目で彼を返り見ているキングの姿がある。
え…。アーサー、同行してたんかい!! あの状態の自国をほったらかして!? …彼を成長させるには連れ出すしかないと判断してマーリンが強引に連れてきたのかなあ。
そして、今までホークにさえ「豚殿」と「殿」を付けて呼んでたアーサーが、ゴウセルを「さん」付けで呼んでて驚きました。…………アーサーにとってゴウセルは……まさか、女性枠なのか? - ザネリがメリオダスを促して、島にある岩山のような尖塔へ向かい出した。エリザベスを「お前」と呼び、何故か一緒に連れて行く。(他のメンバーは置いていかれた。)
- エリザベスは、ザネリ様はメリオダス様のことを好きなのではと、そればかり気になっている。一方、岩道で遅れがちなエリザベスを気遣うメリオダスの様子に、ザネリは寂しげに俯いているのだった。
- 尖塔の壁には巨大な亀裂があり、内部は一切の光源がない暗黒である。
おもむろにザネリは言った。
「メリオダスには これから試練を受けてもらうぞ」「”力”を返すのは その結果次第…」「とても苦しく辛いものだぞ?」「お前に耐えられるかどうか… 私は心配だぞ」
メリオダス様にそこまで言うなんてとエリザベスは不安になったが、彼は少しも臆さず、むしろやる気倍増である。自信に溢れているのだ。
だが、ザネリは憐れむように、悲しげに目を伏せた。 - ザネリが呪文を唱えると、メリオダスの視界が光に包まれる。あまりの眩しさに目を覆い、再び開くと、情景は一変していた。
見覚えのある紋章旗たなびく賑やかな街。懐かしい団服を着て、聖騎士団長様と呼ばれ敬われている自分。
「うそだ… あの紋章…」「ここは…」「ダナフォール……なのか?」
16年前に消滅した、今は存在しない都市だった。今のこの幻の中では、大人も子供も楽しげに、生き生きと生活している。往時のように。
そして、背後から懐かしい声がかけられた。
「コラ 捜したぞメリオダス!!」
「……まさか」「その声…」
ゆっくり振り向くメリオダス。その顔が切なげに歪む。
困ったように微笑んでいる、騎士団服を着たエリザベスそっくりの赤毛の少女。
「…リズ!!!」
16年前に守れなかった恋人、リズだった。 - 次回「やさしく貫くその痛み」
スレイダーに賛成(苦笑)!
話がトントン拍子に進み過ぎて、サクサク進むのはいいけど、取り残されちゃう気もしますね。
ドルイドたちに会った時、マーリンと互いにどんな態度を取るか興味があったのに、超うっすい反応で、ええええって感じです。
団長は、物事を気にしなさすぎじゃないかなあ。自分の「力」をマーリンが勝手に奪って、勝手にドルイドに預けられて、勝手に試練を与えられてるのに、超スルー!
第111-112話のマーリンへの態度見るに、苛立ってないわけじゃないみたいなのに、見事なまでにその感情を見せませんでしたね、今回。
ホント団長って「得体が知れない人」です(苦笑)。
そんな団長も、今回のラストでは切なげに崩れた顔を見せて、とても印象的でした。
試練の幻の中にリズが現れましたが……このリズは、ただの幻なのかな? ザネリが、エリザベスをわざわざ同行させたのが気になります。
このリズが、過去の記憶に遡ったエリザベス本人なんて可能性はないのでしょうか。もしそうなら、この試練を越えることでエリザベスまでもパワーアップできるのかも。
あと、他のメンバーはここでは修行しないの?
待ってるだけってのもちょっと勿体ない。<十戒>は待ってくれないのに。
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コマの片隅でキングがディアンヌを思い浮かべてくれている描写はとても嬉しかったです。
でも、絵がデフォルメされた可愛いものでしたから、先週までの緊迫した状況が軽くなった気がして、ちょっと寂しくもありました。
キングがゴウセルを赦していない描写は驚きでした。
展開の速さが売りの漫画ですから、こういう、仲間同士の軋轢みたいな細かいエピソードを引きずると思っていなかったので。
まあ確かに、彼の行動が起因となって、現在もディアンヌは行方不明の生死不明なんですから、何のわだかまりもない方がおかしいか。
ディアンヌが戻ってきてからかな、仲直りするとしたら。
しかしまさか、ゴウセルが「空気を読んで」キングに近寄らないなんてことがあろうとは…!
先週、<豚の帽子>亭から外に出なかったのは、マジに自主謹慎だったんですね。
これは成長なのでしょうか?
ゴウセルは人形なので痛覚はないのだと思います。ディアンヌに殴られて「痛い」と言ったのは人間を真似た演技なのでしょう。だから、キングに殴られた肉体的な痛みがトラウマになった、懲りた、ってことではないはず。
キングに未だかつてないくらい怒られたうえ、嫌いを通り越して「軽蔑」されたことが、何か精神に響いたのか?
それとも、「なんか怒ってるからとりあえず離れとこう」くらいのことでしかないんでしょうか。
ゴウセルはいつだって傍若無人の我が道行く派で、こういう「普通」の反応を見せはしないと思い込んでいたので、結構驚いています。
アーサーの方は、どうして皆の輪に入らないんでしょう?
……「皆の」輪じゃなくて、「マーリンの」傍に近寄れない、ってことかな。
マーリンを守れなかったことがそこまでトラウマになったのか。確かに、まだ17歳の少年ですもんね。
同じような「国や大切な人を守れなかった」体験を持つ王様のキングと、何かお話ししてみればいいのに。キングはちょうど乗り越えて立ち直ったところですから、参考にできる面もちょっとはあるんじゃないかな。
……いや。「守れなかった」というのは半ば建前で、本当は<十戒>に心底恐怖しちゃって、そんな自分が情けなくて隠したくて…とかいうセンもあるのか?
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ドルイドの長は外見ロリな双子姉妹でした。
彼女たちは人間なんですよね? なのに年を取らない?(少なくとも10数年前から姿が変わってないらしい。)
一方、彼女たちを守る司祭のテオは、この10数年で「でかくなった」15歳。普通に年を取っている。…むしろ、外見的に年取りすぎ?
まさか、周囲の人間の若さを吸い取ってる(だからテオは15歳なのに外見がオッサンに見える)なんてことじゃないでしょうね!?
まあ、んなわけないですが。(^_^;)
しかし。
双子みたいな外見のきょうだいで、鏡に映したみたいな左右対称の身体的特徴があって、薄色の髪と濃色の髪で、長い年月を小柄な子供の姿のままで過ごしてる。
この要素、メリオダスとゼルドリスにも当てはまっちゃいますね。
たまたまのデザインの相似なのか。何か意味があるのか?
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メリオダスは<七つの大罪>の任務で10数年前にドルイドの聖地を訪れたことがあるという。
どんな任務だったのでしょうか。また、任務は常に全員で赴いていたわけではない(むしろ全員そろってる方が珍しかった)ようですから、この任務には誰が行ったのでしょうか。
電書版には相変わらず未収録の扉絵が、その時の状況なのかな?
だとしたら、その時ドルイドの聖地に行ったのは、メリオダス、マーリン、バン、キング、ディアンヌの5人だったんですかね。(つまり、ゴウセルはドルイドの聖地に来たのは今回が初めて?)
扉絵では、<大罪>は
扉絵に付いてる煽り文は「ドルイドの聖地を探索中」となっていて、実際キングは何かを探しているようですけど。
もしかしてこれ、マーリンの指示でディアンヌが岩を積んで
というのも、伝承上では
扉絵見るに、任務なのに、メンバーの誰も鎧に身を固めていません。(バンが足装甲を着けているだけ。)ディアンヌ、マーリン、キングは何やら作業している風なのに、バンとメリオダスはそれぞれ酒瓶を持って、離れた場所で気を緩めている様子です。
つまり、この任務は戦闘を伴わないもので、危険性もなく、バンとメリオダスは手を貸さずとも大丈夫な内容だった、ってことだと思うのです。
…岩を魔術的配置で積んで、魔術的な何かを造る仕事だったのかも?
扉絵一枚から妄想がはかどりますね。
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今週分から、電書版マガジンでの色が改善されました。
ぼやっとして読みにくい薄いピンク色だったのが、くっきりした濃いえび茶に!
おかげさまで読み易いです。だいぶストレスが軽減されました。ありがとうございます。
この調子で扉絵も収録してくれるようになったらいいのになあ。
今週分もそうですが、扉絵ないと楽しめない要素もありますから。
特に、カラー扉絵が収録されてない時は、判っていてもガッカリ感が半端ないです…。(扉のカラーは単行本でも再現されないのにー。) いつかなんとかなるといいなあ。
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あ、一つ書き忘れるところでした。
今回、ドルイド族の性質を指して「世間ズレしてる」と説明してる台詞がありました。
確か以前も、(若き日の)ヘンドリクセンの性格を指して、何度かこの表現が使われてたと思うんですが。
その頃から気になってたんですけども。
文脈からして「世間の常識を知らない」と言う意図でこの言葉を使ってるように思うのですが。
「世間ズレ」という言葉は「世間を渡るうちにスレて、ずる賢く裏の有る性格になっている」って意味です。
気になって調べたら、最近は「世間の常識からずれている」意味で誤用する人も多いんだそうですね。
でも、まだ誤用してる人は世間の半分くらいだそうです。残りの半分は私みたいに「?」と思ってるでしょうから、この言葉は避けた方がいいんでは。
「浮世離れしてる」とかじゃだめなんかなあ…。どーにも、読んでて詰まってしまう。